第 4 回フォーラム開催速報 題 し て 、 医 師 法 第 21 条 の 解 釈 に 関 す る 議 論 の 経 緯 や東京保険医協会としてどのように関与してきた 去 る 10 月 18 日( 土 )に 、医 療 と 法 ネ ッ ト ワ ー ク か に つ い て 紹 介 す る と と も に 、諸 外 国 で は 有 害 事 象 第 4 回 フ ォ ー ラ ム「 医 療 事 故 調 査 制 度 の 発 足 と 医 療 の 報 告・学 習 シ ス テ ム の た め の WHO ド ラ フ ト ガ イ ド 現 場 の 対 応 」を 、京 都 リ サ ー チ パ ー ク 4 号 館( 京 都 ラインに則った制度が導入されていることから日 市 下 京 区 )に て 開 催 し 、約 130 名 の 参 加 を 得 て 無 事 本の医療事故調査制度も同ガイドラインに則って 終了しました。 実 施 さ れ る 必 要 が あ る 、と い う 持 論 を 展 開 さ れ ま し フ ォ ー ラ ム は 2 部 形 式 で 、前 半 は 4 名 の 先 生 に よ る 講 演 、後 半 は パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ン を 行 い ま し た。 第 1 部 で は 、ま ず 、樋 口 範 雄 氏( 一 般 財 団 法 人 日 た。 講 演 の 最 後 は 、弁 護 士 と し て 長 年 に 渡 り 医 療 過 誤 訴 訟 に 携 わ っ て き た 経 験 を 持 つ 石 川 寛 俊 氏( 関 西 学 院 大 学 法 科 大 学 院 教 授 )か ら 、 「患者側の視点から」 本 医 療 安 全 調 査 機 構 運 営 委 員 会 委 員 長 、東 京 大 学 大 と 題 し て 、患 者 側 が 医 療 事 故 が 起 き た 際 に 被 害 者 が 学 院 法 学 政 治 学 研 究 科 教 授 ) が 、「 医 療 事 故 調 査 ~ 訴 訟 を 起 こ す 原 因・背 景 は 、何 が あ っ た か 知 り た い 第 三 者 機 関 の 役 割 」と 題 し て 、こ の 度 の 制 度 設 計 に と い う 思 い( 原 因 究 明 )と 、再 発 防 止 を 願 っ て の こ 携 わ っ て こ ら れ た 立 場 か ら 、日 本 に は 原 因 究 明・再 とであることから、今般新設される制度はまだ 発 防 止 に つ な げ る 制 度 が な か っ た こ と 、ま た 裁 判 を 60-70 点 の も の で は あ る が 、原 因 究 明 と 再 発 防 止 の すれば全ての真実が明らかとなるという幻想から 検 討 が 公 正 ・ 透 明 に 実 施 で き れ ば 、 現 在 年 間 800 刑 事・民 事 の 裁 判 に 頼 る こ と に な っ た が 、裁 判 は 対 件ほどある医療事故をめぐる民事訴訟は激減する 立 構 造 を 作 る だ け で 、本 来 の“ 一 刻 も 早 く 原 因 究 明 だろう、という期待を示されました。 を し て 再 発 防 止 を ”と い う 患 者 側 の 願 い が 実 現 す る も の で は な い こ と か ら 、原 因 究 明 と 再 発 防 止 を 目 的 と す る 、民 間 主 体 の 、専 門 家 と し て の 医 療 者 自 身 が 調査を行うという今般の制度が樹立された旨の紹 介 が な さ れ 、 ま た 、 今 回 の 制 度 を 、 2008 年 大 綱 案 で 提 示 さ れ た 制 度 や ア メ リ カ の JCAHO( Joint Commission on Accreditation of Health Care Organizations) の 活 動 等 と 比 較 し つ つ 紹 介 し 、 日 本 の 医 療 事 故 調 査 制 度 を 実 際 に 実 施・運 用 す る た め の今後の検討課題につき整理されました。 そ の 後 、松 村 由 美 氏( 京 都 大 学 医 学 部 附 属 病 院 医 療 安 全 管 理 室 室 長 ) が 、「 医 療 事 故 調 査 制 度 : 成 功 第 2 部 で は 、石 川 寛 俊 氏 が 座 長 を 務 め 、他 の 講 演 させるために医療者側が留意すること」と題して、 者 3 名 と パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ン を 行 い ま し た 。参 ご自身の医療安全管理室長としての経験に基づき、 加 者 か ら の 質 問 に 対 し て 、事 故 調 制 度 の 周 辺 の 問 題 京 大 病 院 に お け る 医 療 事 故 対 応 プ ロ グ ラ ム を 、「 イ ( 特 に 刑 事 司 法 と の 関 係 )と 、事 故 調 制 度 の 中 身 ・ ン シ デ ン ト レ ポ ー ト す べ き 対 象 」や「 医 療 事 故 の 公 運用に関する問題について討論が行われました。 表 基 準 」等 具 体 的 な 規 程 等 を 示 し な が ら 紹 介 さ れ ま 刑 事 司 法 と の 関 係 で は 、院 内 事 故 調 査 の 過 程 で 話 し た 。ま た 、一 般 に 、第 三 者 に よ る 検 証 の 方 が 、病 した内容に基づいて刑事責任を追及されるのでは 院自身による検証より公正であると思われがちで と い う 医 療 側 か ら の 危 惧 に 対 し て 、刑 法 学 者 か ら は 、 あ る が 、実 際 に は 委 員 の 選 定 に 時 間 が か か る し 、現 「 刑 事 責 任 追 及 の 可 能 性 を 残 し た ま ま だ と 、事 故 関 場の特殊性等の病院内部の事情は外部の人間には 係者に黙秘権をはじめとする自己負罪拒否特権を わからないことから、院内事故調査によってこそ、 認 め る こ と に な る 。そ う な る と 、事 故 調 査 へ の 協 力 医療者と患者間の対話が始まり、レジリエンス力 が 得 ら れ な い こ と に な り 、原 因 解 明 が 実 現 で き な く (復元力)は養えると説かれました。 な る 。刑 事 免 責 と 事 故 調 査 協 力 義 務 は セ ッ ト に し て 続 い て 、細 田 悟 氏( 大 田 病 院 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 考 え る べ き 」と い う 発 言 が あ り ま し た 。他 方 で 、医 科 医 長 、東 京 保 険 医 協 会 勤 務 医 委 員 会 委 員 長 、全 国 療 側 か ら「 ノ ン パ ニ テ ィ ブ を 保 障 し な い と 本 当 の こ 保 険 医 団 体 連 合 会 理 事 ) が 、「 東 京 保 険 医 協 会 勤 務 と を 話 さ な い 、と い う こ と は な い 」と い う 発 言 も あ 委 員 会 が 医 療 事 故 調 問 題 に 取 り 組 ん で き た 歩 み 」と りました。 1 Medical-Legal Network Newsletter Vol.46, 2014, Oct. Kyoto Comparative Law Center ま た 、 制 度 の 中 身 に つ い て は 、 届 出 対 象 (「 管 理 者 が 予 期 し な か っ た 」と は ど の よ う な も の か 、合 併 症 も 届 け 対 象 に な る の か 、在 宅 医 療 に お け る 医 療 事 故 の 扱 い 等 )、 医 療 連 携 の 場 合 な ど 複 数 の 医 療 機 関 が医療事故に関与する場合の院内調査の実施主体、 院 内 調 査 や 報 告 書 作 成 に 必 要 な 人 員・費 用 等 の 手 当 て 等 に つ い て の 意 見 交 換 が 行 わ れ ま し た 。い ず れ も 現 在 検 討 中 の 課 題 で あ り 、現 時 点 で は 明 確 な 回 答 は 提 示 で き る 状 況 で は な く 、現 実 に 運 用 す る に 際 し て 詰めるべき課題が具体的に浮き彫りになりました。 フ ォ ー ラ ム 後 に 回 収 し た ア ン ケ ー ト で は「 医 療 事 故 調 査 制 度 の 発 足 に 至 る 背 景 、全 体 像 を よ く 理 解 で き た 」「 各 先 生 方 の 個 人 的 な 意 見 や 医 療 側 の 皆 さ ん の 本 音 が 聞 け て 、大 変 お も し ろ か っ た 」 「( 京 大 病 院 の 取 組 み に お け る )事 故 対 応 の 体 制 や マ ネ ジ メ ン ト 実 務 は と て も 参 考 に な っ た 。制 度 運 用 開 始 に 向 け て 今 か ら 院 内 体 制 づ く り を 進 め て い き た い 」と い っ た 回答が寄せられました。 ご 存 じ の よ う に 、講 演 者 の 樋 口 氏 が 参 加 さ れ て い る 厚 生 労 働 省 科 学 研 究 費 研 究 班( 代 表 者:西 澤 寛 俊 全 日 本 病 院 協 会 会 長 )に よ る 中 間 と り ま と め が 昨 日 ( 10 月 23 日 ) 発 表 さ れ ま し た 。 ま た 、 厚 生 労 働 省 は近いうちに医療事故調査制度に関する省令等を 決めるための検討会を設置する予定を打ち出して い ま す 。現 段 階 で 決 ま っ て い る の は ま だ 制 度 枠 組 み だけであり、詳細は今後の議論に委ねられるため、 特に医療側関係者において制度への不安が大きい こ と 、ま た 枠 組 み に つ い て も 医 療 側・患 者 側 双 方 が そ れ ぞ れ に 、不 安・不 満 に 感 じ る 点 が あ る こ と は 理 解できます。しかしながら、この事故調査制度は、 原 因 究 明・再 発 防 止 を 司 法 以 外 で 実 現 す る た め の 最 初 の 重 要 な 一 歩 で あ り 、本 制 度 を 運 用 す る 中 で 改 善 拡 充 さ れ て い く こ と が 期 待 さ れ ま す 。本 フ ォ ー ラ ム で 、原 因 究 明 と 再 発 防 止 に 向 け た よ り 良 い 制 度 を 作 る た め の 課 題 を 、医 療 側・法 律 側・患 者 側 が 共 に 対 話 す る こ と の 重 要 性 が 強 く 認 識 さ れ ま し た 。ご 参 会 いただきました皆様に感謝いたします。 (文責:事務局) 2 Medical-Legal Network Newsletter Vol.46, 2014, Oct. Kyoto Comparative Law Center
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