「香港ダンス・アワード 2008」受賞 - 愛知芸術文化センター

愛知芸術文化センター製作
ダンスオペラ 第一弾 ユーリ・ン振付
『悪魔の物語』(「兵士の物語」より)
「香港ダンス・アワード 2008」受賞
2004年2月に愛知芸術文化センターのプロデュースにより製作されたユーリ・
ン演出・振付『悪魔の物語』が、「香港ダンス・アワード2008」を受賞しました。
「香港ダンス・アワード」は、世界ダンス連盟の公式団体・香港ダンス連盟が主催
するアワードであり、2007年度の一年間に香港国内で上演されたダンスアーティ
ストの舞踊活動を対象とした「香港ダンス・アワード2008」に、2007年8月
17日、18日に公演されたユーリ・ン振付『悪魔の物語』が選ばれたものです。
『悪魔の物語』は、文化庁、財団法人地域創造などのご支援を受けて、2004年
2月に愛知芸術文化センターのプロデュースにより、<ダンスオペラ>の第一弾とし
て製作されたダンスを中心としたコラボレーション作品です。その後、2005年7
月、2007年8月に香港で再演され、この度の受賞となりました。
「愛知芸術文化センター製作<ダンスオペラ>」は、複合文化施設である愛知芸術
センターの複合性を象徴する事業として、2004年度から約年一回のペースで製作
している身体を中心とした総合芸術製作プロジェクトです。
<ダンスオペラ>の第一弾として製作された『悪魔の物語』では、国内外からジャ
ンルを超えた作品に相応しいアーティストと共に、約40日間にわたる愛知県での共
同制作を行うことによって(アーティスト・イン・レジデンス)、これまでにない
新しい作品を創造し、異ジャンル間の共同製作により、
「新たな総合性の魅力を示唆し
た」などとして、日本国内でも高く評価されました。
●ユーリ・ンについて
■演出・振付家
ユーリ・ン
プロフィール
英国ロイヤルバレエスクールに学ぶ。アデリン・ジェニー、ゴールド
メダル受賞。1983―90 年カナダナショナルバレエ団所属。93 年よ
り香港を拠点に振付家として活動を開始し、香港バレエ団、CCDC、
クラウドゲイト・ダンスシアター、シンガポール・ダンス・シアター
などに作品を提供。97 年アーティスト・オブ・ザ・イヤー受賞。
98 年「ボーイ・ストーリー」でバニョレ国際振付賞を受賞。99 年「チ
ャオチャオ・スージーウォング」。2000年、2003年には香港最優秀振付賞受賞。
愛知では、99年『都市の幻想・地の幻想』
(名古屋市美術館庭園前)、99年『島 唄』
(愛知県芸術劇場小ホール)、2002年、あいち芸術文化フェスタ『スイッチ・オン』
(愛知県芸術劇場小ホール)、04 年愛知芸術文化センター製作ダンスオペラ『悪魔の物
語』
(愛知県芸術劇場大ホールほか)を発表している。
アワード内定決定時に寄せられた
「ユーリ・ンから愛知芸術文化センターへのメッセージ」
2004年に「悪魔の物語」のプロジェクトへの参加をご招待いただき、心からお礼
を申し上げます。愛知県文化情報センターの芸術に対する遠見卓知、ユニークさ、創造
性と独創的なコンセプトから「悪魔の物語」は香港で上演されて以来、非常に高い評価
を受け、
「香港ダンス・ダンス・アワード2008」を受賞しました。
愛知県文化情報センターは、観客とのコミュニケーションをさらに十分にとり、かつ
一層親近感を与えるために、それまでの抽象的な舞台芸術を具現化してくださった努力
と勇気に感銘を受けております。
当時、困難にもかかわらず、最新鋭の愛知芸術文化センターにて、世界的に著名な芸
術家・出演者各位とコラボレーションするチャンスをいただき、それは今までの人生の
中で最も忘れられない体験だったのみならず、非常によい勉強にもなりました。
愛知県文化情報センターは、現代舞台芸術の発展・舞台芸術家・ダンサーの皆様に多
大な貢献をなさっているのは言うまでもありませんが、また前回同様の成功をお収めに
なりますよう、お祈り申し上げます。
ユーリ・ン(Yuri NG)
●ダンスオペラについて
愛知芸術文化センター・文化情報センターでは、1992年の開館当初より、
「身体
の復権」をテーマに掲げ、日本で初めての本格的な複合文化施設であるセンターの「複
合性」を活かした異ジャンル間のコラボレーションに積極的に取り組んできました。
2002年には、愛知芸術文化センターの開館10周年事業として製作した「オー
ケストラと合唱とH・アール・カオス『カルミナ・ブラーナ』」が「第34回舞踊批
評家協会賞」大賞を受賞しているほか、「第2回朝日舞台芸術賞」にノミネートされ
るなど、高い評価を受けました。
2003年度からは、新たに<ダンスオペラ>とプロジェクト名を掲げ、ダンスを
中心とした、音楽、物語(演劇性)、声(語りや歌唱)、美術、映像などが高いレベル
で融合あるいは拮抗した新しい総合舞台芸術作品(オペラ opera の語源はラテン語で
「作品」
)を創作することを目指してきました。
発祥当初はひとつであった様々なジャンルの芸術が、現代になるにつれしだいに分
裂し、専門的になり過ぎることによって、観客にとっては時には難解と受け取られる
ことの多くなってしまった現代芸術に対して、ダンスをトータルシアターの核として
とらえて、人間の原初的感覚に直接訴えることにより、芸術本来の目的である観客
とのコミュニケーションを取り戻し、芸術が誕生した時点の活き活きとした奥行き
のあり姿に蘇らせようという試みでもあります。
●「悪魔の物語」(「兵士の物語」より)について
ストラヴィンスキーが1918年に作曲した「語られ、演じられ、踊られる『兵士
の物語』
」は、ロシア民話『脱走兵と悪魔』から着想された音楽劇です。ストラヴィン
スキーの音楽劇では、民話どおりに、語り手は「兵士」の側に立って、物語を語るこ
とにより、善と悪の間で揺れる兵士の心を描いています。しかし現代社会においては
「善と悪」の二項対立はもはや存在しないということを多くの人は身を持って体験し
ているのではないでしょうか。ダンスオペラ版では、視点を逆転させ、人間だれもが
備えている「悪魔性」に注目し、台本そのものを書き換え、悪魔側の心の動きを中心
に語ることによって、今日でも共感することのできる現代に相応しい「踊られ、演じ
られ、奏でられる『悪魔の物語』として甦らせました。
●作品詳細データ
■愛知芸術文化センター製作 初演版
ダンスオペラ『悪魔の物語』(「兵士の物語」より)
初演:2004 年2月22日 愛知県知立市文化会館(知立市との共催)
2月28日 愛知県芸術劇場大ホール(「ダンス・クロニクル」において)
演出:ユーリ・ン
振付:ユーリ・ン&ダンサーによるコラボレーション
原台本:シャルル=フェルディナン・ラミューズ「兵士の物語」より
音楽:イゴール・ストラヴィンスキー「兵士の物語」より
構想:合志崇
舞台美術:イーウィン・チャン
プロデュース:唐津絵理(愛知県文化情報センター)
企画・制作:愛知県文化情報センター
製作:愛知芸術文化センター
主催:愛知芸術文化センター企画事業実行委員会、東海テレビ放送
助成:財団法人地域創造、キリンビール株式会社、チャコット株式会社
平成15年度文化庁芸術拠点形成事業
制作協力:アーキタンツ
■初演時の出演キャスト
ダンス:笠井叡、シン・ラン、白井剛、越智友則、
三井太一
女性ダンサー:石川雅実、加藤おりは、YUHO
コロス:ワークショップ男性ダンサー30 名
台本・語り:澤登 翠(活動弁士)
指揮:磯部省吾
演奏:名古屋フィルハーモニー交響楽団
写真:2004年2月・愛知県芸術劇場大ホール
白井剛&シン・ランによるダンス
(撮影:南部辰雄)
■ 再演データ
初演の主演ダンサーのシン・ランと白井剛は、再演公演にも引き続き参加。
2005年10月28・29日
クワン・ツイン・シアター
2007年 8月17・18日
香港シティホール・コンサートホール
2007年の再演は、「兵士の物語」作
曲したイゴール・ストラヴィンスキーの
生誕125年を祝う「ストラヴィンスキ
ープログラム」の一環として開催された
ものです。
●これまでの愛知芸術文化センター製作<ダンスオペラ>作品
ダンスオペラ4『ハムレット~幻鏡のオフィーリア』(シェークスピア「ハムレット」より)
2006年2月 2 日
愛知県芸術劇場大ホール
振付・ダンス:西島千博、平山素子、山崎広太
語り・歌:鞠谷友子
台本:麻創けい子
作曲・指揮:笠松泰洋
演奏:木ノ脇道元、室屋光一郎、向井航、神谷朝子
照明:足立恒
舞台美術・衣裳:堂本教子
構成:唐津絵理
ダンスオペラ3『UZME』(「古事記」より)
2005 年9月10・11日
9月13日
愛知県芸術劇場大ホール
愛知県万博会場EXPOドーム
振付・構成:笠井叡
演出・映像:手塚眞
作曲・演奏:橋本一子
ダンス:ファルフ・ルジマトフ、白河直子、新上裕也
コロス・群読:ペルセパッサ・オイリュトミー団
歌:麻実れい
演奏:橋本一子アンサンブル
ダンスオペラ2『青ひげ城の扉』(バルトーク「青ひげ公の城」より)
2005年2月11日 愛知県芸術劇場大ホール
演出・振付・映像・舞台美術・ダンス:アレッシオ・シルヴェストリン
音楽:ベラ・バルトーク
指揮:アレキサンダー・ドルチャー
演奏:セントラル愛知交響楽団
ダンス:白河直子、浅見紘子、中谷友香、米沢唯
能:津村禮次郎
歌:ペーター・フリード(Bass)、アンドレア・ツァント(M.Sop)
ダンスオペラ1『悪魔の物語』
(ストラヴィンスキー「兵士の物語」より)
2004 年2月22日 知立市文化会館
2004 年2月28日 愛知県芸術劇場大ホール
演出・振付・構成:ユーリ・ン
音楽:イゴール・ストラヴィンスキー
ダンス:笠井叡、シン・ラン、白井剛、越智友則、三井太一
女性ダンサー:石川雅実、加藤おりは、YUHO
台本・語り:澤登翠
指揮:磯部省吾
演奏:名古屋フィルハーモニー交響楽団
ダンスオペラ『月に憑かれたピエロ』(シェーンベルク同題曲より)
2004 年2月22日 知立市文化会館
2004 年9月13日 大府市勤労文化会館(ピアノ編曲・独奏版)
振付・ダンス:上村なおか、平山素子
歌・語り:荻野砂和子
構成・演出:唐津絵理
音楽:アーノルド・シェーンベルク
指揮:磯部省吾
演奏:名古屋フィルハーモニー交響楽団
●次回<ダンスオペラ>公演 及び 白井剛出演コラボレーション企画上演予定
<新たな神話の誕生!!>
複合文化施設・愛知芸術文化センターが全国に先駆け取り組んできた異ジャンル間共同
企画、今年度の新事業がすでに始動しています!!
ダンスを中心にして異なるジャンルのアーティストの共同制作で創作される<ダンスオ
ペラ>の第5弾は、開館 10 周年記念事業『カルミナ・ブラーナ』で絶賛を浴び、舞
踊批評家協会賞大賞を受賞したH・アール・カオスの大島早紀子が満を持して取り
組む新作の登場です。気鋭のダンサー白河直子をはじめ、ソプラノ歌手の佐々木典子や人
気男性ダンサーの共演を得て、イタリア文学最大の古典といわれるダンテの『神曲』を大
胆に舞台化する話題の作品。同時上演は、現代作品で高い評価を得ている振付家・川口節
子が、地元のダンサーたちとスペインの戯曲・ガルシア・ロルカの『イエルマ』に挑戦し
ます。東京バレエ団のプリンシパルダンサーの愛知出身・小出領子&後藤晴雄がゲスト出
演します。
また、12月には、ダンスオペラ『悪魔の物語』に初演から再演まで、主演し
続け、アワードの受賞に貢献、絶賛を浴びている白井剛が愛知芸術文化センターの
コンサートホールに初登場します。白井と一緒にコラボレーションを行うのは、世界最高
峰と謳われる現代音楽カルテット・アルディッティ弦楽四重奏団。演奏されるジョン・ケ
ージの幻の傑作「アパートメントハウス 1776」は、日本のコンテンポラリーダンスシー
ンを代表する白井剛と、愛知初登場となるアルディッティ弦楽四重奏団のコラボレーショ
ンによって新たな光を投げ込んだ話題作です。
●ダンスオペラ5『神曲』/同時上演『イエルマ』
~クリエイティブ・ダンス・プロジェクト 2008~
平成20年8月2日(土)17時開演
愛知県芸術劇場大ホール
・ダンスオペラ5『神曲』
構成・演出・振付:大島早紀子
原作:ダンテ「神曲」より
音楽:リスト ほか
ダンス:白河直子、和栗由紀夫、辻本知彦、群青
木戸紫乃、小林史佳、斉木香里、泉水利枝、池成愛
ソプラノ:佐々木典子
合唱:名古屋少年少女合唱団
音楽監督:笠松泰洋
・モダンバレエ『イエルマ』
構成・演出・振付:川口節子
原作:ガルシア・ロルカ「イエルマ」より
音楽:ショパン
ダンス:小出領子、後藤晴雄(チャイコフスキー記念東京バレエ団プリンシパル)
米沢 唯(サンノゼ・バレエ団)
AACオーディション選抜ダンサー
チケット料金
S 席 8000円
B 席 4000円
A席
学生席
6000円
2500円
●ダンスと音楽のコラボレーション公演
アパートメントハウス 1776/ジョン・ケージ=
アルディッティ弦楽四重奏団(音楽)×白井剛(ダンス)
平成20年12月3日(水)18時45分開演
愛知県芸術劇場コンサートホール
S席
3000円
A席
2000円
学生席
1500円