2016 年度

2016 年度
東工大 英語
■概要
(1)出題・解答の形式
記述式・客観式混合。
(2)分量/難易度の変化(昨年度比)
分量: 減少 / 難易度の変化:変化なし
(3)特記事項
・Ⅰは約 2,400 語あった 2015 年度から,今年は 1,450 語と大幅に減少した。Ⅱは昨年より約 50 語増
えて約 700 語であった。配点は,昨年度までのⅠ(80 点)
,Ⅱ(70 点)から,Ⅰ(90 点)
,Ⅱ(60
点)となった。Ⅰで昨年出題されたパラグラフ補充問題は今年はなくなり,客観式設問は英問英答
3問と内容一致文選択問題のみになった。また,本文全体の内容一致文選択問題では,選択肢の数
が 15 から 10,正解選択肢が4から2に減った。全体として内容説明問題は3問から2問(うち1
問は字数制限付き)に減り,下線部和訳は4問から6問に増えた。
■各問の分析
大問
(90 分)
出題形式・テーマ
問題の内容・分析
難易度
2015 年度から大幅に語数が減少した。各文の構文はそれほど複雑
ではないものの,難語が多く,専門用語も用いられているので,そ
こにとらわれると時間を取られてしまう。内容的にはイルカの知能
について,というなじみのあるテーマについての研究者の考え方な
どにふれたものなので興味を持って読めるだろう。設問数は昨年
並。昨年,空所補充問題に代わって出現したパラグラフ補充問題は
Ⅰ
長文読解
(イルカの知能)
今年は出題されなかった。英訳問題と内容説明問題は昨年度同様1
問ずつである。和訳は語句・構造ともにそれほど難易度の高いもの
やや難
ではなかった。if anything や pull away などのイディオムを知
っていたら訳出にかかる時間が短縮できただろう。英訳は,主部,
述部,修飾部の組み立てが複雑であった。Ⅰ-3の説明問題は,(3a)
のまとめ方が難しく,字数制限がないので長いまとめになってしま
った受験生もいたと思われる。両者の発言から比較の軸を見つける
のがポイントだった。Ⅰ-7,Ⅰ-8は,選択肢中に難解な語句も
なく,該当箇所を探しやすかった。
Ⅰの英文に比べ語数は約半分程度である。テーマは「図書館の廃止
と存続,存続の成功例」で,人物名や団体名などが多く現れ,Ⅱ-
5でも問われているので各々の意見や立場などを細かく理解しな
がら読む必要がある。しかし,各文の構文や語彙はそれほど難しい
ものではなく,目立って解きにくい設問もなかったので,全体を通
長文読解
Ⅱ
(図書館の廃止と存続,
存続の成功例)
しての難易度は標準レベルであった。和訳問題のⅡ-1は,本文1
文目からの出題だったので,少し驚いたかもしれない。run(s) low
on funds は,本文を読み進めると文脈からも判断可能だった。Ⅱ
標準
-2では,turn out が「出かける」という意味を持つと知らなけ
れば,訳出が難しかっただろう。Ⅱ-3の下線部英訳では「…とい
うことになる」の表現が難しい。Ⅱ-4の説明問題では,該当箇所
が後出のコロン以下であることをふまえた上で four to one とい
う語句そのものの意味も加味して字数内でうまくまとめる力が試
された。
※ 難易度は東工大受験生を母集団とする基準で判定しています。
■合否の分かれ目
2015 年度と比べて,語数は減少し,設問形式も従来の形に戻った。総合的なレベル・難易度は例年並。
また,Ⅰ,Ⅱともに,和文英訳と英文和訳でイディオムや構文知識を正しく活用できたかどうかもポイン
ト。この点では,基礎をしっかりと固めてこられたかどうか,その固めてきた基礎をもとにアウトプット
できたどうかも,合否の分かれ目となったと言えるだろう。
■東工大英語の要求
要求① 文法・語彙知識
語数の多い英文を読む必要はあるが,ひとつひとつの構文は決して難解ではない。確固たる文法知識を
身に付けて丁寧に読めば,最後まで英文を読み通すことができるだろう。語彙に関しては,辞書で2番目,
3番目に挙げられている意味までチェックしておきたい。やや専門的な単語も見られるので,東工大で過
去に出題されている英文のテーマを参考に,幅広い語彙力を構築しよう。
要求② 構文知識
正確な文法知識と豊かな語彙力だけでなく,構文知識も必要になるのが和文英訳である。難しい構文を
覚える必要はなく,平明なものでよいので,正しく使える構文を身に付け,自分で書けるようにしたい。
過去問などを解く際,第三者の添削を受けながらリライトを重ね,本番までに完璧に書けるようにしてい
こう。
要求③ 精読と速読の両立
毎年出題されている内容理解を問う問題では,漫然と英文を読み通しただけでは正解にたどりつけない
が,英文に分量があるので,時間をかけてじっくり読みこむのも難しい。まず設問に目を通して,問われ
る内容を確認した上で英文を読み,キーワードに印を付けながら論の展開を追う,というように,精読と
速読を両立させることが重要である。
■東工大英語攻略のために
基礎力の完成
標準レベルの文法問題集を1冊仕上げて,文法を固めよう。さらに,要求②・③をクリアするために,
さまざまな和訳や英訳の問題を解き,身に付けた知識を徐々に実用的なものにしていこう。
レベル UP
身に付けた知識をいかに効率よく運用するかを訓練するために,実戦的な演習に取り組もう。要求③の
精度を上げるために,1,000 語を超える英文を読みこなし,問われていることに対して的確に解答できるよ
う,復習も忘れずに演習を積んでいこう。
東工大レベルの演習
東工大の本番を想定した演習を重ねる時期には,要求①~③の完成を目指そう。過去問など,東工
大英語に即した問題の演習に取り組もう。自分に合った時間配分や解き進め方を意識して,本番で最
大限の力を発揮できるよう,最後までしっかり対策しよう!