2016 年度 阪大 英語 1 外国語学部以外 ■概要 (1)出題・解答の形式 記述式,客観式混合。 (2)分量/難易度の変化(昨年度比) 分量:変化なし / 難易度の変化:変化なし (3)特記事項 ・Ⅱの長文読解では,2015 年度から語数が約 60 語減少し,約 550 語となった。2015 年度に出題され ていた空所補充・文意の推測・本文内容一致は出題されず,日本語内容説明が増えて,全体の設問 数が6問から8問に増えた。 ■各問の分析 大問 (90 分,文学部は 105 分) 出題形式・テーマ 問題の内容・分析 難易度 1文目の study の3つの目的語である名詞相当語句の把握は易し 英文和訳(創造性の科学 Ⅰ(A) 的解明が芸術にもたら す脅威) い。2文目の worried that … が分詞構文であることに気づけた か。3文目の if 以下は,仮定法過去の art might … と they might … に対する条件節。並列関係や代名詞の中身の把握は易し 標準 いが,be diminished や be exposed の訳し方で差がついたと思わ れる。 英文和訳(人の「手」の Ⅰ(B) 能力を補い,拡張する道 具) 具体例の部分を訳すので,内容のイメージはしやすい。but 以下は 無生物主語構文。be(also)capable of being grasped を自然な日 本語にするのがやや難しい。a digging stick は《動名詞+名詞》で 標準 「…のための~」がわかれば適切に訳出できただろう。 約 550 語の論説文。内容説明問題は,いずれも下線部前後の文脈 をふまえて答えるもので比較的取り組みやすかっただろう。(3)の Ⅱ 長文読解(イギリス人と 犬の関係の変遷) “An absolute dog!” の意味を説明する問題は, 「この会話において」 という問題指示や「どうだった?」という質問への答えであること, 標準 下線部直後の No positive qualities をもとに考える。(8)(i)の doggedness(がんこさ;根気強さ)の同義語選択は,本文中の faithfulness との並列だけから推測するのはやや厳しいだろう。 Ⅲ 自由英作文( 「知識をも 2015 年度までに比べるとテーマが抽象的なものになった。抽象的 つこと」とはどんな力を な議論だけで 70 語分書こうとすると意図が伝わりにくくなってし もつことか) Ⅳ(A) Ⅳ(B) (イ) Ⅳ(B) (ロ) まう危険性があるので,適切な具体例を交えて答えるのがよい。 和文英訳(人の精神状態 「それ」が2カ所にあるので,それぞれ意味を適切に捉えた上で訳 「~に左右されてしまう」 「自明なことのように思われる」 と環境,健康状態との密 したい。 接な関係) やや難 標準 「~と密接な関係がある」などは,基本表現を使って書けるだろう。 和文英訳(現代の若者に 「価値を帯びている」まではよいが「決定的な不幸すら刻印する」 とってのコミュニケー で手間取りやすい。engrave ~(~を刻み込む)などを用いなく ションと承認) やや難 ても, 「不幸を決定づける」のように捉えて訳せばよい。 日本語の文意は明確で,比較的取り組みやすい。 「失ったものもあ 和文英訳(文字の功罪) る」の部分での時制, 「文字がないと…できない」の部分での直説 標準 法・仮定法の使用など,基本的な文法の運用力が問われた。 ※難易度は阪大受験生を母集団とする基準で判定しています。 ■合否の分かれ目 Ⅲの自由英作文は,語数は例年通り約 70 語であるが, 「知識は力なり」という言葉をふまえつつ,どれ だけテーマを自分に引きつけて考え,具体例を交えて語数指定に従った上で論理の通った解答を書けるか どうかで差がついただろう。また,Ⅳ(B)(イ)の和文英訳では第2文で,文の真意を理解した上で適切に 訳す工夫が問われた。 ■阪大英語の要求 ⇒基礎力なしに制覇は不可能。どの形式にも万全の対策を。 要求① 語彙と文法・構文知識の確立 早い時期に入試標準レベルの語彙と文法・構文をしっかり覚えて,表現力の基礎を培おう。自由英作文 のテーマは具体的なものから抽象的なものまで幅広い。やみくもに書く練習をするのではなく,模範解答 の書き取り・熟読や添削を受けた上で自分の解答のリライトをするなど,復習を徹底的に行いたい。 要求② 長めの英文に太刀打ちできる速読力と精読力 英文の読解に対して問題量が多い。長文読解では,英文全体のキーワードやキーセンテンスに着目して 大まかな流れをつかみつつ,設問に目を通しておき,解く際の根拠となる箇所に印を付けながら読むとメ リハリがつき,解答のスピードアップにもつながる。 要求③ 論理的な思考力と表現力 長文読解において内容説明問題は高い頻度で出題される。設問指示に従い,求められている解答を吟味 するようにしたい。筋道を立てて解答を考え表現する力は,その他の問題形式にも共通して言えることで ある。 ■阪大英語攻略のために 基礎力の完成 基本的な語彙の持つ幅広い意味をふまえ,それを英訳・和訳で応用する力の基礎を培おう。それらは日々 の英語学習の中で意識的に身に付けていく必要がある。そのためには必ず単語集による学習を行うように しよう。大学入試必修レベルの単語集を繰り返しやっておき,いつでも実戦的な問題に取り組めるように, 準備をしておきたい。 レベル UP 要求②を満たせるように,阪大形式の内容説明問題や適語選択を含む長文読解に取り組み,練習を重ね よう。また,英文和訳・和文英訳・自由英作文も毎年出題されるため,特定の大問形式に偏ることなくバ ランスよく演習をすることが大切である。また,センター試験も含めて必ず過去問に目を通しておくこと。 阪大レベルの演習 ここまでの学習が順調であれば,要求③もある程度は満たされているはず。阪大の入試過去問題と,最 新の傾向を反映した予想問題などを活用し,総仕上げをしよう。ただし,センター試験も侮らず,確実に 高得点を取れるようにしておくこと。もちろんセンター試験終了後も決して気を抜かないことだ。最後ま で充実した勉強を続けられたということが,本番当日の自信につながる。 2016 年度 阪大 英語 2 外国語学部 ■概要 (1)出題・解答の形式 記述式 (2)分量/難易度の変化(昨年度比) 分量:増加 / 難易度の変化:変化なし (3)特記事項 ・大問数の出題数・形式に変化はなかった。 ・Ⅱの長文読解の語数は毎年増加傾向にあり,2016 年度も 2015 年度より約 250 語増えて約 1,480 語 となった。設問数も6問から7問に増え,下線部和訳が3問出題されたが,素直な設問が多かった。 全体としては 2015 年度並みであった。 ・Ⅴのリスニングは,スクリプトが 2015 年度より約 70 語増えて約 530 語となった。5つの設問に日 本語の記述式で答える形式は変化しなかった。 ■各問の分析 (120 分) (リスニングテストの実施時間を含む) ※ⅠとⅢは外国語学部以外と同じ問題です。 大問 出題形式・テーマ 問題の内容・分析 難易度 約 1,480 語の論説文。語数は増えたものの内容が具体的で全体とし ては読みやすく,設問の解答の根拠となる部分も見つけやすい。(1) は not just と Instead の対比,2文目の to 不定詞の同格や, 3文目の when 節の並列など捉えやすい。(2)の this trend の内 容は下線部直前の文のコロン以下からまとめる。(3)は「理由」が 長文読解(素晴らしいも Ⅱ のを生み出すための集 団による共同作業につ いて) 問われているが,本文中に because … とあるので見つけやすい。 (4)は下線部直前部分が解答の根拠となるが,直後の Q reflects the “social intimacy” や 同 パ ラ グ ラ フ 1 文 目 の an extremely 標準 interconnected social network も参考になる。(5)は下線部の直後 を答えればよいが,crushed theatrical innovation を適切に表現 できたかが鍵。(6)字数制限はないが,第9パラグラフの全体にわ たる内容を,適切な分量で過不足なくまとめるのがやや難しい。(7) は1文目の訳に工夫が必要。radical departure や extended dance scenes を適切に訳せたかどうか, ‘要因’を表す for を捉 えることができたかで全体のできばえが分かれただろう。 2015 年度と下線の数は変わらない。(1)「あってもなくてもいいよ 和文英訳(私と芸術活動 うなもの」 ,(2)「気持ちがすっとした」 ,(3)「それぐらいのこと」 Ⅳ ―篠田桃紅「百歳の力」 といった部分は,意味から考えて日本語を咀嚼する必要がある。 より) やや難 (3)では「描いた甲斐がある」を「私がしたことは価値がある」な ど日本語に示されていない部分を補えたかもポイントだった。 放送文は約 530 語。設問は 2015 年度同様,すべて記述式。例年通 り,what,why,how といった要素を問う設問であった。必ず事 Ⅴ リスニング(子供の記憶 前に設問文に目を通し,該当箇所を聴き逃さないようにすること。 力の発達) (3)は「三つの点」と問題文にあるので,リスニングの際も Another 標準 key や Another reason といった‘列挙’のディスコースマーカ ーを聞き逃さないようにしたい。 ※難易度は阪大受験生を母集団とする基準で判定しています。 ■合否の分かれ目 Ⅱの長文読解は,問題の英文・解答の記述量ともに多いが,全体の時間配分を考えた上でテンポよく解 き進めたい。Ⅲの自由英作文で具体例を交えてわかりやすく書けたか,Ⅳの和文英訳で日本語のニュアン スを汲み取り,適切な語彙を選択できたかでも合否が分かれただろう。 ■阪大英語の要求 ⇒設問文までじっくりよく読む。真の「思考力」を身に付けることが合格への鍵。 要求① 語彙と文法・構文知識の確立 基本的な語彙と文法や構文の知識で対応できる場合も多いので,早い時期に入試標準レベルの語彙と文 法・構文をしっかり覚えて,表現力の基礎も培おう。これは,自由英作文の対策にもつながる。 要求② 長めの英文に太刀打ちできる速読力と精読力 長文読解は年々増加傾向にあるので,英文全体のキーワードやキーセンテンスに着目して大まかな流れ をつかみつつ,設問に目を通しておき解答の根拠となる箇所に印を付けながら読むなど,効果的に読み進 めたい。 要求③ 正確なリスニング力と情報を整理する力 リスニング問題は完全記述式の解答方式であることが特徴。聴き取った内容から複数の情報を把握・整 理する力が求められる一方,根拠となる細部を正確に聞き取り訳せるかも試されている。 要求④ 論理的な思考力と表現力 外国語学部における長文読解の設問は,設問がすべて記述式である場合が多い。添削問題を活用し,求 められる該当箇所・解答の分量を見極める力を磨いていこう。 ■阪大英語攻略のために 基礎力の完成 外国語学部の和訳・英訳では,純粋な語彙の量だけでなく,複数の語義やイディオムなど,1つ1つの 語彙に対する深い理解が求められる。日々の英語学習の中で,単語集による学習を通して意識的に身に付 けていきたい。大学入試必修レベルの単語集を繰り返しやっておき,いつでも実戦的な問題に取り組める ように,準備をしておくとよい。並行して英作文対策として,基本例文の和文英訳にも取り組むこと。 レベル UP 要求②を満たせるように,阪大形式の内容説明問題や適語選択を含む長文読解に取り組み,練習を重ね よう。また,要求③の達成に向けて,阪大はもちろん一橋大・東大などのリスニング問題も利用して演習 量を増やそう。また,センター試験も含めて必ず過去問に目を通しておくこと。 阪大レベルの演習 ここまでの学習が順調であれば,要求④もある程度は満たされているはず。阪大の入試過去問題と,最 新の傾向を反映した予想問題などを活用し,総仕上げをしよう。ただし,センター試験でも確実に高得点 を取れるようにしておくこと。リスニングは継続して練習しよう。もちろんセンター試験終了後も決して 気を抜かないことだ。最後まで充実した勉強を続けられたということが,本番当日の自信につながる。
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