ウイ メンズ

第46号 1993年 2月 25日
ウイメンズ
ブ ックス
ウイメンズ
ブックス
霧
19934
2月 25日
Womenb Booに
女性の本の情報誌・ウイメンズブ ック友の会会報
舅冒行
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ウ イ メ ンズ ブ ック最 新 刊
[女 性問題 とは ?]
『アイ ドル時代 の神話 完結編』
小倉千加子
朝 日新聞社 1992年 11月 1200円
「朝 日ジャーナル」誌 に連載 していた ものをまとめた
PART I、 Ⅱに続 く完結編。心理学 を武器 に、 フェ ミ
ニ ズ ム か らア イ ドル を分析 す る著 者 の芸 が 「朝 日
ジャーナル」誌 の休刊 とともに消 えるのは惜 しい。サ
ラ・パ レツキーの描 く女性探偵、V・ I・ ウォー ショー
ス キー論、 “
東京 ラプ ス トー リー"の 鈴木保奈美論が
興味深 い。
『 NHKス ペ シャル新 。日本人の条件 3
-決 断 した女たち』
NHK新 。日本人の条件 プロ ジェク ト
日本放送出版協会 1992年 12月 1200円
「不法滞在」の壁 を前 に、あえて外国人労働者 と結婚
す る日本女性。均等法施行後 6年 、総合職の女性たち
が次 々に会社 を辞める理由。彼女たちの決断は、男 た
ちには一見身勝手 にみえる。だ力`
彼女 たちに共通する
キー ワー ドは「人に どう思 われるかではな く自分が ど
う思 うかで生 きて い くこと」。その選択 を通 して 日本
の偽 りの国際化や、変わ らない男女分業論が鮮やかに
写 し出される。
『JAPANESE
WOMEN NOW』
デ イアで描かれる女性像など。 日本 の女性 問題 の年表
も便利。英語 を学ぶ学生たちのテキス トに最適の書。
『女性学 と政治実践』女性学研究第2号
女性学研究会編 勁草書房 1992年 12月 2575円
塩 田咲子 と棚沢直子 の二論文が面白い。前者 は80年 代
「主婦 フェ ミニ ズム」が、主婦 (被 扶養 の妻)に とど
まる限 り、社会 の性 支配 システム を変革 しえず に終
わった と指摘す る。後者は「 日本にあってフラ ンス に
な い もの =高 学歴 主婦」、「フランスにあって 日本 にな
い もの =女 性思想家」 と断言す る。私 は私 自身の言葉
を書 く。体験 をわか りやす く一般化す る。女 を切 り口
に して 日本 を分析 し、思想 をつ くる作業 を、 と刺激的
に呼 びかける。
『女性の呼び方大研究一ギヤルか らオバ さん まで』
遠藤織枝編 三省堂 1992年 11月 1600円
現代 日本の社会 には「おまえ」
「奥 さん」「おばさん」
「お嬢 さん」 な ど、女性に対す る呼 び名がた くさんあ
る。それ らを単 なる愛称 とみるのか、個人 よ りも役割
を尊重す る社会のあ らわれとみるのか。本書 は「女性
の 呼 び方」が女性 へ の性的役割 の押 しつ けの一 つ に
なっているとい う視点 にたち、女性 を東ね ようとする
言葉 の背景を探 る。好 きだか ら「お まえ」 なんて/愛
される理由が「お嬢 さん」なんて/結 婚する と名前が
な くなるなんて他。
Englsh Discussion Society編
松香堂書店 1992年 12月 1400円
これ まで 日本女性 の現況を伝 える英語の本 はほ とん ど
なかった。 ここ20年 の間に、 日本で も大 きく変化 した
女性 をめ ぐる問題 を、わか りやす く今 日的に英語で説
明 している。結婚観や家族観 の変化、性 と心 と体、働
く女性たち、社会活動、固定的性役割 の変化、マスメ
『新 。現代女性 の意識 と生活J
神田道子 木村敬子 野口具代
日本放送出版協会 1992年 12月 890円
女子教育問題研究会 の調査 など豊かな統計デー タの分
析 か ら、女性 のライフスタイルの変化 を追った書。家
庭 も職業 も社会活動 もとい う三次元型の生 き方 をする
ウイメンズ
「両手 を広げた女性 たち」 のイメー ジが浮か び上がる。
これか らの女性の生 き方は四つの 自立 (精 神的 自立、
経済的 自立、生活的自立、性的 自立)を 基本 に した「個」
としての関係が必要なことを提言する。
『生 物学が運命 を決めたとき一 ワイマール とナチス ド
イツの女たち』
レナー ド・ プライデ ンソール他 近藤和子訳
社会評論社 1992年 11月 4120円
ワイマール共和国 とナチス ドイツ時代、女の体 をめ ぐ
る国家管理が、 どんなに劇的に政治操作 され、恐 ろ し
い方法 で解決 されていったかを解 き明かす。左翼や女
性運動 よ りも右翼 の方が巧みに女 たちの「個人的なこ
と」 を政治化 して きた。 フェ ミニズムの うちにあ る危
「生物学が運命 を決めた とき」のキー
険性 も指摘する。
ワー ドは性 と “
人種"。 現代 を再考 させ る労作。
『やわ らかいフェミニズムヘー大庭 みな子対談集』
大庭みな子 吉原幸子 吉田ル イ子 水 田宗子他
青土社 1992年 11月 2200円
思想 としてのフェ ミニズムが体 の 中で消化 され、血 と
な り肉 となった時、女性 は真 の表現者 として輝 くので
はないだろ うか。本書 はそんな九人の女性表現者 と、
大庭 み な子氏 との対談集。
『リブ私史 ノー トー女 たちの時代か ら』
秋 山洋子 イ ンパ ク ト出版会 1993年 1月 2000円
一 人 ひ とりの女が 自分 の リプの時代 を生 きた、その一
人分 の記録。 リプの中で、 これはわた しの ことだ と思
い、 さが し求めていた ものに出会った女たちが、 こん
なに も、そ して意外 なところに もい るのだ と改めて思
う。著者 はウルフの会のメ ンバー。 リブ周辺 の女 たち
をい きい きとていねい に描 く。 リプを語 る熱 い思 いが
伝 わって くる、 とってお きの一冊。
『わが ままの哲学一 わた しの ことはわた しが決める』
若尾典子 学陽書房 1992年 12月 1400円
女 と男 の関係はいつ も個人的。その関係 に女 と男の力
関係 が入 り込む。男の価値観で女が分け られ、男の思
惑か ら外 れる女は「 わが まま」 と非難 される。女たち
よ、 もう一歩踏み出そ う。そ うす ると何かが変わる。
居心 地 もよ くなる と著者 は呼びかける。
「 いや な もの
はいや。わた しのことはわた しが決める」わが ままの
哲学が、 わか りやす く書かれたおすすめの一冊。
『わた したちのフェミニズ ムー落合恵子 と日本の女た
ち』
河地和子 講談社 1992年 12月 1800円
の
落合 恵子 小説の魅力 は、女が女である ことに誇 りを
持 ち、 た とえ傷ついて も自分 を生 き、新たな出発 をす
る女 たちを描 くか らだ とい う。あた りまえの女 の経験
を読者 と共有する落合恵子 に、 日本 のフェ ミニ ズムの
広が りをみる。 日本や外国の他の女性作家の作 品 もク
ロス させ、変わ りつつ ある女たちを描 き出す。お しゃ
れな表紙が うれ しい。
ブックス
第46号 1993年 2月 25日
[女 性 と仕事]
『現役です70歳 一働 ける体 を誉めて しまう』
谷辺葉子 ユ ック舎 1992年 10月 2060円
女が「親 のため、夫 のため、息子のため そ してお国の
ため」 に と生 きなければな らなかった時代。そんな中
で も自己を捨てずに生 きて きた女たちが いた。第二次
世界大戦 を経験 し、今 にいたるまで現役 で働 き続けて
きた 13人 の女 たちの語 りを通 してみ えて くるのは、
。 どんな時代 に も
「 自分 の生 を生 きて い る人の輝 き」
力強 く生 きてきた女たちが いることを知 るのは、明 日
を生 きる力 になる。
『素敵 なヘル メッ トー 職域 を広げた アメ リカ女性 た
モ リー・マーテイン 原 美奈子訳
ち』
荻原み ど り監修 現代書館 1992年 10月 1700円
ブルー カラー職につい て い るアメリカ女性 たちの体験
記。 ここに登場する女性 たちの職種 は、 トラック運転
手、大工、消防士 など14種 類。編者 自身、電気工 とし
て働 いている。「男 の仕事」 とされて きた領域 に踏み
込んだ女性 たちに共通 して いる悩み は「 嫌が らせ」。
その中を切 り抜ける方法 は大声で怒鳴 りかえ した り、
ユーモ アでかわした りと、一人一人違 う。女性が「性
別に よる職種分け」 にこだわ らず、普通 に働 くことが
いかに画期的なことかが 見 えて くる一冊。
『ハウスワイフはライター志望―私の再就職物語』
森 恵子 社会思想社 1992年 11月 1600円
「何か したい、働 きたい」 と思 う主婦 たちは多い。公
民館 の講座 に通い、同 じ志 をもつ グルー プも生 まれる。
彼女 たちが再就職す るには、 まず主婦のサ ビ落 としが
必要。ハ ウスワイフを しなが ら、子 どもを気づかいな
が ら一歩踏み出 し、 オ ン・ ザ 。ジョブ・ トレーニ ング
でライター志望を実現 してい く物語。
『ワーキングウーマ ンのサバイパルガイ ド
ー働 く女性が落 ち こみそ うになった時読む本』
福沢恵子 学 陽書房 1992年 12月 1400円
『私たちの就職手帖』初代編集長の著者が、働 く女性
にお くる元気 ブック。「 自分 の仕事 を持 ち、収入 を得
ている」女性 が増えた とはいっても、 ビジネス社会は
今 も男性 の世界。「女 の子」 として補助 職 に閉 じこめ
られた り、普通に仕事 を しようと思えば「男並みの頑
張 り」 と「女 らしい気配 り」を要求 された り。働 きな
が ら「モヤモヤ」 した不満 を感 じている女性 は少な く
ない はず。本書にはそんな「モヤモヤ」 を粗末にする
ことな く、 自分 を肯定 しなが ら生 きてい くためのヒン
トが満載。 イラス トは「朝 日ジャーナ ル」 などでおな
じみの佐 々木さとみ さん。
[女 性 論 、 エ ッセ イ ]
『アマジネスのように』
中島 梓 集英社 1992年 11月 1300円
“
ガンを
乳
宣告された ことも含めてすべ てが私の人
生"と い うポジテイプな意志で貫かれた闘病記。「私
はアマゾネスのように片方 しか乳房がない女戦士…こ
第46号 1993年 2月 25日
ウイメンズ
れか らはもっとほ とば しるように生 きるだろう」 と著
者は語 る。その徹底 した自己肯定は少 々重 くもある。
しか しそれは逆 に乳 ガ ンが、 この社会 の中で女性 一般
に与 えてい るダメー ジの強 さゆえなのだろ う。
『 ドイツの母より 娘 へ』
エ ミー リエ 。プラーハ ベ ルギ ッ ト・ フォルクハマー
伊藤美奈子他訳 あむす く 1992年 4月 2900円
1939∼ 45年 の ドイツで書かれた母か ら娘へ の手紙集。
イギ リスに亡命 させ た娘 に、届 くあての ない手紙を書
)。 激
き続ける (原 題 は「 もしこの手紙が とどいた ら」
化する戦争の陰で、祖父母や猫 たちの、こまごました
日常生活がつづ られる。それはどんな激 しい言葉 より
も反戦へ の強い思 い を伝 えてい る。
[女 性 史 ]
ブックス
の施策。だが、それ にしがみつい て生 きなければな ら
ない母親 たち。その背後に、男の人間性崩壊、非 自立
性、子 どもへ の無 自覚が読み とれる。
『魔女 と聖女一 ヨーロッパ中・近世 の女たち』
池上俊一 講談社 1992年 11月 600円
いつの時代 も女 は三分化 されて きた。 ヨーロッパ 中・
近世 の女たちは変動す る社会のスケー プゴー トとして、
魔女 と聖女 に分け られた。女性蔑視 と女性賛美 は裏返
しの関係 にある。男 にとって不可解 な存在 としての女
に、権力はいかに公然 とサデイズム を行って きたか を、
この書 は克明に解 き記す。その偏見 に抗 して、女 たち
が どの ように したたかに生 きて きたか。女が トー タル
に生 きることの難 しさ、女 と男の 間の溝 の深 さにため
息が出る。
[か
『科学史から消された女たち
一 アカデ ミー下 の知 と創造性』
ロンダ・ シー ビンガー
小川具理子 藤岡伸子 家田貴子訳 工作社
1992年 10月 4944円
原題は「知性 に性差 な し ?」 。著者 は問題 の立て方を、
「なぜ 〈私
女性が科学 に向いているか どうかではな く、
たちが知ってい る》女性 の科学者が こんなにも少ない
のか」 と設定す る。 そ して科学や哲学が、 “
純粋 に客
観的な立場"を 装 い なが ら、 ジェンダーの補完性 を政
治的につ くりあげて きた歴史を追求す る。 ジェンダー
と科学 の関係 を掘 り下げ る、貴重な労作。
『共生 への航路 か ながわの女 たち'45∼ '90』
神奈川県立かなが わ女性セ ンターかながわ女性史
編集委員会編 ドメス出版 1992年 11月 3399円
かながわ女性セ ンター会館十周年 の記念 の書。戦後 の
歴史を、神奈川の女 たちの「地方」 と「女性」の視点
か ら検証する。 と りわけ「読む年表」 が うれ しい。 こ
れまで 日にとまらなか った女たちの足跡が、い きい き
と読み とれる。丹念 な整理に関わった編集委員 と、手
記や聞 き書 きを寄せ た女性 たち との共同作業の結晶。
『野上輛生子』
逆井 尚子 未来社 1992年 12月 3914円
野上蒲生子 の文学 の軌跡 を丹念 に分析 し、検証する作
品論。漱石 を継承 し近代的個人主義 を追求する爾生子
の、 自と他 を識別す る 日、 自己 と他者 との微細な差異
を見逃 さない筆 は、徹底 した作家 としての力だとい う。
近代が確立 されない まま、近代 の超克が叫 ばれる今、
主体的に生 きる人間を描 く蒲生子 の文学 は、混迷す る
現代 に示唆 を与 えるだろう。伊藤野枝 へ の痛慣 を描 い
た『彼女』がFp象 的。宮本百合子 の爾生子へ の賞賛 に
共感する箇所 も新鮮 だ。
『母子寮の戦後史― もう一つの女 たちの暮 らし』
林 千代 ドメス出版 1992年 9月 2060円
母子寮 は、戦争犠牲者養護のため緊急増設 されたが、
その後、入寮者 の質的変化 (離 別や未婚 の母 の増加)
をた どる。量的、質的にも貧 しい「母子一体化 の原則」
らだ・ こころ]
『エイズ そこが知 りたい エ イズ教育マニ ュアル』
デ ビッ ト・スズキ ICU高 校BAC訳 武田 敏監訳
草土文化 1992年 10月 1200円
レビの
自然番組 で活躍す るカナ ダ
著者 は環境問題やテ
の遺伝学者。「エ イズ予防の最良の手段 は教育である」
と主張 し、親、教師、十代 の若者 を対象にエ イズ教育
の基本的事柄 をわか りやす く網羅 してい る。巻末の監
訳者 による日本での最近のエ イズの現状 と、今後 のエ
イズ教育 の提言 は参考 になる。翻訳 を国際キ リス ト教
大学高等学校生物・ エ イズサークルが担当 している。
『エイズ とセ ックス レポー ト
ーJAPAN/感 染爆発 の きざ し』
宗像恒次 田島和雄編著
日本評論社 1992年 12月 2200円
「セ ックス・ パー トナー リレー シ ョン」 (国 際調査 )
の 日本調査実施の報告 と分析。 日本人のセ ックスパー
トナー関係 をめ ぐる諸行動 と、避妊や性感染症 (HI
Vを 含 む)予 防の知識や態度についての きめ細か な調
査。 セーフセ ックスをす る限 り、エ イズはほ とん ど予
防で きるとい う。調査 の 目的 とず れるか もしれないが、
感染者 との共存 と共感のメッセー ジが もう少 しほ しい
ところ。
『お産 って 自然でな くつちゃね
―ある産科医の真実 の提言』
吉村 正 農文協 1992年 12月 1300円
「こ
お産 をする女性 はみな産む力 をもっている。だか ら
んなお産が したい」 とい うイメー ジを大切 に、主体 的
な出産を、 と著者 はすすめてい る。 なぜ な ら女性 が子
どもを産 もうとする時、当事者 である女性が、現代 の
病院における出産 の現状や、体 について知 ってい るこ
とは、大 きな力 になるのだか ら。
精神療法 Vol.18 No.6
金剛出版 1992年 11月 1850円
女性 と精神療法の特集。女性 による女性 のための カウ
ンセ リングルームが各地で開かれてい る。 フェ ミニス
ト・ カウンセ リングが 日本の女たちに勇気 を与 え、意
『女性 と精神療法』
ウイメンズ ブックス
識改革 のために果た した役割 は大 きい。河野貴代美 さ
んの「 クライアントか らた くさん学んだ」 とい う実感
あふれる文章が うれ しい。
『性のユマニスムー エロス と結婚のゆ くえをさ ぐる』
佐藤和夫 星雲社 1992年 10月 1545円
男 の性 と女の性 はお互 い に相手の快感 を知 ることがで
きない。 だか らこの本 を読んでいて、女は性 を こんな
ふ うに考 えてないよと思 う箇所がある。女 の性 の主体
性 も書 き込 まれていない。それで も著者は自らの性的
自由を阻む ものに限界突破 を試みる。だが、その試みは
正直に語 るのが いいのか もしれない。
限界 の ままだ と、
『たの しく、出産』
村本邦子 新水社 1992年 11月 1200円
女 に とってお産 とは「産みの苦 しみに耐える」 ことな
のか。それ とも「母 となるよろこび」 なのだろ うか。
著者 は自ら妊娠 し出産す る中で、既成のお産イメー ジ
と格 闘。病 院でのお任せ 出産ではな く、 自分 を大切 に
子 どもを産 む方法 を模索す る。「百人の女が い れば百
とお りのお 産 と子育てがある」 と考 える著者 による、
自宅分娩 の体験 レポー ト。
[家 族・家 庭・パ ー トナ ー シ ッ プ ]
第46号 1993年 2月 25日
の言 う「家族 の 日常素」 をつづ る30日 。 だが、家族 と
い う「 まとま り」が もつ外へ の排他性 と内への抑圧、
異質な ものを排除 した上 に成 り立つ「和」の差別性 に、
決 してふれ ようとは しないのが気 になる。
『子 どものための離婚講座』
離婚制度研究会編 有斐閣 1992年 12月 1957円
離婚は、親にとって も、 まして子 どもに とっても重い
意味をもち、多 くのエ ネルギー を必要 とす る。離婚す
る夫婦の七割 に未成年 の子 どもがいる。その子 どもた
ちの側 にたち、応援 し、勇気 を与える書。法律的な手
続 きや「意味ある第三者」 としての専 門家の有効なア
ドバ イスがいっぱい。親 も子 も、 自らに向 き合 い「決
めるのは私」の視点が さわやかに一貫 している。離婚
制度改革 のための提言 も付記 してい る。
『婚姻改姓・ 夫婦同姓 のお とし穴』
中村桃子 勁草書房 1992年 11月 2060円
男がつ くった コー ド「イエ」 を表わす姓 に、女は東ね
られて きた。姓 の変更 は、男に とって「体面」に関 わ
る らしい。「入籍」 なんて言葉 は使 い た くない。女が
正式の妻 として認め られ る意味だとすれば、その外 に
い る女たちへ の排外性 は ?記 号論の立場 か ら見た婚姻
改姓 の疑問点 を探 る書。
rあ
なたが「離婚」を考 えるとき一 もう一つの人生に
向けて』
志村章子 田上正子 同時代社 1992年 11月 1300円
結婚20年 以上の “
熟年 カップル"の 離婚が増 えててい
る。女 と男がそれぞれの役割 をこな してさえいれば、
偽 りで も続 け られる制度 としての結婚 に、中高年 にさ
しかかって異議 申し立てする女たち。そ して離婚 につ
い て語 りたが らない男たち。「老 いの風景」 を間近 に
した現代離婚事情か らみえて くるのは、
「老後」を「余
生」 としか 考 えていない男 と、「 もう一つの人生」 を
一歩踏み出 したい女の間の意識 のずれ。
『家族 と喜― シリーズ比較家族 2』
藤井正雄 義江彰夫 孝本 貢
早稲 田大学出版部 1993年 1月 3700円
比較家族史学会のシンポジウム
「家族 と墓」の記録。 日
本人にとって墓 とは何かを問 う。東西 の異質な文化 と
の比 較、 日本の墓の現状分析 を試みる学際的研 究 の書。
r親 になれない―ルポ 。子 ども虐待』
川名紀美 朝 日新聞社 1992年 12月 1200円
アメ リカや ヨー ロ ッパ で はす で に大 きな社会 問題 に
なって いる “
幼児虐待"。 日本で も過保護時代 とい わ
れる反面、何 らかの形で親か らの虐待 を受けて いる子
どもが10%は いるとい う。著者 は日本、アメ リカでの
取材 を通 して一体何が親を凶暴 な衝動 に駆 り立てるか
を探 ろ うとす る。
『家族 を考 える30日 』
ICC出 版局 1993年 1月 1400円
月ヽ
浜逸郎 」
不況 になる とキー ワー ドは「家族」 なのか。家族 を普
通 にや っていれば、 どこかでぶつかる出来事、月ヽ
浜氏
『世紀末家族一 ちちははの海 はどこへ』
永畑道子 国土社 1992年 11月 1600円
著者 の思い と、大正 。昭和 をリー ドした女たちの思 い
を重ねて描 く。歴史 を生 きた女たちの勇気 ある批判が、
生 身の言葉 として伝 わって くる。女性史、伝記を丹念
に調べ る著者の手法が生 きる。とりわけ
「付 炎の人・
の生
丸岡秀子
涯」が光 る。
『人は なぜ結婚するの か』
小浜逸郎 草思社 1992年 11月 1300円
結婚す る もよし、 しない もよしの時代、人はなぜ結婚
す るのか。結婚生活 の リア リテイの中で、特定の個人
(夫 あるいは妻)を 「 気 にかける」心 もようを小浜氏
はエ ロス (?)と 呼ぶ。結婚 の中身が問 われる今、ペ
アであることの社会的認知 は必要あ りや な しや。通俗
的なるものへ の反論、異論 を呼び起 こす には、ふ さわ
しい一冊。
『フェスタの国から来 た妻
(セ ニ ョー ラ)
一私の国際結婚奮戦記』
山崎真二 時事通信社 1993年 1月 1300円
フェス タ (お 祭 り騒 ぎ)好 きのネアカのセニ ョリー タ
と、ネクラの 日本人の男が ペ ルーで結婚 した。それ以
来「 カラスの鳴かない 日はあっても、わが家で騒動の
ない 日はない」 とい う毎 日。夫婦ゲ ンカのスケッチの
中に、 日本 と中南米 の文化比較がか い まみ える。「 ワ
タシはワタシ、アナタはアナ タ」 とい う元気印セシリ
アの 自己主張が楽 しい。
『ぼ くらのパパは駆け出 し主夫』
吉田義仁 朝 日新聞社 1992年 12月 1400円
第46号 1993年 2月 25日
ウイメンズ
舞台 は福島県郡 山市。仕事 を通 して知 り合 った二人は
結婚 し、妻が双子 を妊娠、そ して出産。地元テ レビ局
の「有能な」記者 である妻は仕事 を続 け、新聞社 の駆
け出 し記者だった夫が辞表 を出 し、主夫 になる。本書
はその顛末記。育児休職申請 を会社 に認めてもらえず、
主夫 になる決意 を した筆者の願 いは、「女 も男 も家庭
も仕事 も」。駆 け出 し主夫 として奮戦す る筆者 に共感
す る反面、 こん なに も頑張 らない と欲 しい ものは手 に
入 らないのだろ うか… と考 えて しまう。
『ラテンアメ リカ家族 と社会』
三田千代子 奥山恭子編
新評論 1992年 12月 3296円
家族の領域 は個人的なもの と見なされがち。 しか しど
んな個人 も社会 とは無縁 に生活で きない ように、家族
も単なる私的な歴史のつみか さねではないはず。本書
は1980年 代後半 か ら科学的研究の対象 にされるように
なったラテ ンアメ リカの家族制度に焦点 をあて、紹介
している。
[老 後を考 える]
『老 いの青 い鳥 を求めて
一 第10回 女性 による高齢化社会 シンポジウムの記録』
樋 口恵子監修 ミネルヴア書房 1992年 9月 1700円
老 いを豊かに生 きようと、女性 の力 を集めて年一 回開
かれる女性 による高齢化社会 シンポジウムの記録集。
青 い鳥"は どこ
女性地方議員大集合 や寸劇「老 いの “
に ?」 の熱演 な ど。21世 紀 の高齢化社会 を揺 り動かす
原動力 は女性 の手 にあ り、を実感 させ る内容。
『女53歳 からのアメ リカ留学
一大学院 。老人 ホーム体験記』
滝野文恵 ミネルヴァ書房 1993年 1月 1500円
「本当の意味 で生 きるとはどうい うことだろ う」 と筆
者 は自問す る。重 た く湿 った家庭 に耐 えられず、結婚
26年 目にして始めた一人暮 らし。筆者 は「年だか らダ
メ」 とい う常識 よ りも、「何 としてで も人を呪い世 を
呪 いなが ら幕 を開 じるような人生 を送 るわけにはいか
ない」 とい う一`さ で留学生活 に飛び込む。その心意気
が気持ちよい。 一味ちが うシルバー問題 の書。
『私たちはどこで老いるか一高齢化社会 と住宅問題』
日本住宅会議編 ドメス出版 1992年 11月 2060円
第一 回住宅円卓会議「私 たちは どこで老 いるか」の記
録集。人権 としての住居 な くして真 に豊かな高齢化社
会 はあ りえない。「寝 た きりは寝 かせ き り」 に して い
るのは、介護機器 を使 えない住 まいにある。住宅改善
に取 り組 む行政、ケア付住宅、特別養護老人ホームの
現場 の専門家 の実践報告 と討議。 目線 を高齢者の位置
においた姿勢が うれ しい。
[女 性 と法律]
『女性 と戸籍―夫婦別姓時代 に向けて』
榊原富士子 明石書店 1992年 12月 2060円
夫婦別姓時代 に向けて、著者 の「戸籍 か ら個籍へ」 の
視点は明確 だ。個人を大事 にす る個人別登録です っ き
ブックス
りと一 人で生 きたい。紙 きれ一枚 の戸籍が個人 を (女
を)家 に しばる。家意識 を引 きず ったままの戸籍 を解
体 し、個人単位の登録 を呼びかける書6難 しい法律 の
しくみ もわか りやす い例 と説明で、読みやす い。
[女 性 とメデ ィア]
。
『エッチ ジャーナリズム』
衿野未矢 リベ ルタ出版 1992年 9月 1545円
スポー ツ新聞、 アダル ト・ ビデオ、
は男性週刊誌、
著者
電話 ボ ックスの買売春 ちらし等がつ くりあげて い る一
つの世 界 を、 まとめて「エ ッチ・ ジヤーナ リズ ム」 と
命名。巷 に氾濫するエ ッチ情報 を分析 し、送 り手 と受
け手 の相関関係 に挑 む、真面 目な本。
『本 が好 き。だから、出版業界探検』
女性 のための編集者学校 7期 生編
女性 のための編 集者学校 1992年 11月 880円
今回のテーマ は「 出版」。「本が私 たちに届 くまで」 を
一冊 にまとめた。本誌「あなたの情報・私 の情報」欄
をご参照下 さい。
『メデ ィア・ リテラシーー マスメデ ィアを読み解 く』
カナダ 。オ ンタリオ州教育省編
FCT(市 民 のテ レビの会)訳 鈴木み どり監訳
リベ ルタ出版 1992年 11月 3440円
メデ イアを自分の 日で、耳で読 み とる力 を子供時代か
ら育てたい、メデ イアを私たちの ものにす るために。
メデ ィアを読み解 く教育がすす んでい るカナ ダか らの
報告。「いっ しょにやってみよう」「 こんなこともやっ
てみ よう」 の体験学習 のプログラムが楽 しい。
[女 性 と芸 術 ]
『アニー・ジヨン』
ジャメイカ・キ ンケイ ド 風呂本惇子訳
學芸書林 1993年 1月 1860円
植民地下のカリブ海の島ですごした少女の心象風景。
母へ の憧れ と反発、女友達 との友情が、植民地社会の
特殊 性 とか らめて つづ られ る。雑誌「 ニ ユー ヨー カー」
の専 属 となった著者 の、 故郷 へ の憧憬 と郷愁 が感 じと
れ る。
『オ ー ラン ドー』
ヴ ァー ジニ ア・ ウル フ 杉 山洋子訳
新装版 1992年 10月 (1983年 11月 )2500円
著 者没 後 50年 をむか えた 1992年 に新装版 と して再登場。
遊 び心 いっぱいの 両性 具有 フ ァ ンタジー。
『女 と愛 と文学一 日本 文学 の 中 の女性像』
小泉 道 三村 晃功 世 界思想社
1993年 1月 2300円
本書 は1991年 度 に光華女子大学 が行 った公 開講座 「 日
本 文 学 と女性」が基 になって い る。 同大学 の教 員 関係
者 11人 が、上代 か ら近代 にいた る まで 日本文学 に現 れ
る様 々 な女性像 を紹介。
ウイ メンズ
イヽ
野小町「吉子の恋」』
三枝和子 読売新聞社 1992年 11年 1300円
「平安五人女」 の一人、小野小町の ロマ ンが鮮やかに
浮かび上が る。耳に聞きな じんだ歌 をお りこみ、流 れ
るような文章がつづ られる。 この時代、女たちは多 く
の制約 を生 きなが らも、情熱的な和歌のオを存分 に発
揮 した。
『小説
『知 られ ぎるオ リーブ・ シ ュライナ ー
ー バ イオグラフイー・ 女たちの世紀』
ジョイス・バー クマ ン 丸山美知代訳
晶文社 1992年 12月 4900円
オ リープ 。シュライナーは19世 紀後半か ら20世 紀 にか
けて活躍 した、南アフリカの英国人作家。その作 品の
特徴 は「癒 し」。 シュライナー は 自己 と社 会 を癒 そ う
とし、それ故 に個人 と社会 の間の矛盾 に直面 した。本
書 はその生涯 を克明にたどり、 シュライナーが残 した
思想 の可能性 と限界 を探 る。
『スザナ 。ム ーデ ィの 日記
― マーガレッ ト・ ア トウッ ド詩集』
マーガレッ ト・ ア トウ ッ ド
平林美都子 久野幸子 ベ ヴァリー・ カレン訳
国文社 1992年 7月 1648円
スザ ナ 。ムー デ ィはカナダの開拓時代 を代表する文学
者。 イギ リス か ら移住 し、「 自立」 と「依 存」 の は ざ
まで苦 しんだ。現代のカナダに生 きるア トウッ ドがそ
の人生に注 目。今 を生 きる女性の 目を通 して、ムーデ ィ
の思 い を再生 した詩集。
『セカン ド・ カ ミング』
落合恵子 新潮社 (文 庫) 1992年 10月 360円
「60年 代 の子 ども」だった主人公 と女友達 のアメ リカ
での再会。今 を生 きる女たちの姿が60年 代 の歌 と重 な
り、 なつか しくも切ない。 セカ ン ド・ カ ミング (人 生
の二 番 目にや って くる)愛 と孤独 に共感す る。落合恵
子 の書 き下 ろ し文庫の刊行。
(本 号 10P参 照 )
『ほ ととぎす を待 ちなが ら一 好 きな本 とのめ ぐ りあ
い』
田辺聖子 中央公論社 1992年 10月 1200円
著者 は冒頭 で「私 は評論家ではないか ら、 これは書評
集ではな く感想・ 文集である」 と謙遜 しているが、読
者 は ここで取 り上げ られた本 をす ぐにで も読んでみた
い と思わせ られ る。作家ゆえの視点は勿論だが、それ
以上 に著者の本 を楽 しむ読み方 に思わず引 き込 まれて
しまうためで あろ う。林真理子 『戦争特派員』、野 口
富士 男 『 しあ わせ』、堤玲子 『わが 闘争』等 々、広範
囲か ら取 り上 げ られている。
『紫式部の恋』
近藤富枝 講談社 1992年 12月 1700円
『源氏物語』 の謎 を読み解 く書。紫式部 の単独執筆か、
弟、惟規 との 共同作業か。華麗 な物語 のベースにある
「母 の ない子」「中流志向」「父 との深 い結 びつ き」 と
式部 の生涯 との共通性。そ して紫式部の恋の相手は ?
「身 のほ ど」 をあ きらめて「憂 きこと」 を語る思 いが
ブックス
第46号 1993年 2月 25日
式部に 『源氏物語』 を書 かせたのでは、 と著者は推測
する。
[男 性 問 題 ]
『女のせ りふ一私の歌舞伎 ノー ト』
馬場 順 日本放送 出版協会 1992年 12月 980円
江戸時代 の大衆芸能であ った歌舞伎。人 々はその舞台
の何 に感動 し、拍手 を送 ったのか。著者 は女形のせ り
ふに注 目。そこに江戸時代の女性がおかれていた絶対
的弱者 としての立場 を見 いだす。 日常生活の中で「 自
分 のせ りふ」す ら言 うことが許されず、沈黙を強い ら
れてい た時代 の女たち。著者は男たちが女 について積
みあ げ て きたあ しき思想 の流れを、歌 舞伎 を通 して
追っている。
『尽 くさずにい られない症候群― “
道具 としての愛"
しか捧 げ られな くなった男たち』
ハーベ イ・ ホー ンスタイ ン
ICC出
椋田直子訳 」
版局 1992年 12月 1500円
性役割意識に縛 られてい るのは、女だけではない。本
書はお とぎ話に出て くる救 出者 としての王子様に男 ら
しさの原型 を見、150人 の男女へのイ ンタビュー を通
して、現代 に生 きる男 たちの無 自覚な王子様願望 を暴
く。「尽 くさずにい られ ない」 とは、男が「白馬 の王
子様」 た らん として女 に様 々な形で奉仕す る姿を指 し
た言葉。男たちが奉仕 と引換 えには じが っているもの
は何か。「男たちよ。男 らしいふ りをす るな、男 であ
れ !」 とい う最終章の タイ トルが印象的。
[母 なるもの・ 子育て]
『イデォロギー としての母性』
八木公子 城西大学 1991年 6月 1000円
母性 イデオ ロギーは、外 へ は排他性 と攻 撃性 をもち、
内には抑圧 と自己犠牲 を女たちに強いて きた。戦前は
「国家的母性」 として働 き、高度成長後 は企業戦士 の
父親不在 と専業母をもた らした。 日本の母 と子の密着
の中で、 自立 した個人が育 ちに くくなっている。では、
その呪縛 を解 きほ ぐす女性学 のパースペ クティプは ?
母性 の「 イデオロギー性」 を明 らかにす る研究書。
『
「感情」 をなくす子 どもたちJ
青木信人 青弓社 1992年 9月 2060円
著者は現役 の保護観察官。近年の青少年犯罪 を検証す
ることによ り、現代 を生 きる子 どもたちの 問題がみえ
て くる。大人の子 どもに対す る精神的・ 肉体的虐待、
そ してその先に現代社会 の矛盾や歪みがあぶ りだされ
てい く。
『子どもに手を上げたくなるとき
―子 育てに悩むママたちへ』
橘 由子 学陽書房 1992年 12月 1400円
子育てに一段落 した著者が、当時の困難 さを文章につ
づ り出す ことにより、子育てを個人的な レベ ルか ら社
会的な問題 として とらえよ うとしてい く。子育て中の
母親には共感 を呼ぶだろ う。
ウイメ ンズ
第46号 1993年 2月 25日
『 ドミノ倒 しはやめにして』
春野弥生 明石書店 1991年 7月 1600円
子 どもを受験戦争 に駆 り立てた結果、親子 ともに傷 つ
き、その苦 しみの中か ら自分 を見 いだ して行 く著者 自
身の葛藤 の記録。 さらに本書は親子 の葛藤の 自分史の
中に、戦後 の社会・ 経済情勢や教育 の反動化 の歴 史 を
冷静 にオーバー ラツプさせている一本誌第44号 「私 の
出会 った 本」 丸本 百合 子 さん に よる紹 介 文 よ り。
)
44号 で品切れとあ りましたが、
在庫あ ります。
(お わび、
[女 性 と社会]
r運 動 の 中の思想』
唯物論研究協会編
イクォリテ イ (平 和文化 )
1992年 12月 1854円
企業、教育、環境、行政その他 の分野で思想 と運動 を
つなぎ、闘 う生活者か らの報告。具体的な運動 の展 開
が記 されている。婚外子差別 とたたか う会 の活動 と理
「非婚 の親 と婚外子差別」の章で収録 されてい る。
念が、
『従軍慰安婦資料集』
吉見義明編 大月書店 1992年 11月 6500円
47年
、国 は戦争責任 も戦後責任 も果たさない まま、
戦後
戦後 を終わ らせ ようとしている。 とりわけ「従軍慰安
婦問題」 については、何 一つ解決 されていない。本書
は、防衛庁防衛研究書図書館か ら発掘 された資料集 で、
「従軍慰安婦問題 に関与 してい ない」 とい う政府見解
を逆転 させ る きっかけともなった。関連す る外国資料
も合わせ たこの書物は、今後、従軍慰安婦問題 の全 体
像を解明す る一助 となるだろう。
[海 外 の女性]
三交社
1992年 12月 1280円
『続 スカー トの風』に続 く第三作『新
『スカー トの風』
スカー トの風』 は評論集。 日・ 韓 の 間の「同質性 の意
識の内側」 で体験 した「異質性」 を、なにげない 日常
か ら描 く。両国の合わせ鏡の ような関係 を、闊達 な 日
本語 で表現 している。
[資 料 ]
『国際女性 '92J
国際女性 の地位協会編
国際女性 の地位協会
19924「 12月
特集
バ イオ レンス と性
『も うひ とつの日本弛図
1992∼ 1993い のちのネッ トワー ク』
生活編集部編
野草社 1992年 10月 2215円
自然
北海道 か ら沖縄 まで、食べ物屋 さん、本屋 さん、フリー
スペー ス など、 さまざまな分野か らのメッセー ジが満
載。「 や りたいことをや る」 をモ ッ トー に、 日本 中に
自然 なネ ッ トワー クが広がる。松香 堂 もちゃん と載っ
てます。
『世界 の女性1970-1990 その実態 と統計』
国際連合 日本統計協会訳
日本統計協会 1992年 10月 2400円
『婦 L
(全 19巻 別冊 1、
分配不可)
第 1回 配本 1∼ 3巻 市川房枝編
不二 出版
56650Fq
19921「
婦人参政権獲得運動 の 中心的機関紙 だった「婦選」 の
復刻版。
[文 庫 になつた本 ]
『い い女は頑張 らない』
松原惇子 PHP研 究所 1992年 11月 480円
<以 下 の本 、詳細 は次号 で >
『家 と家父長制― シリーズ比較家族 1』
永原慶二 住谷 一彦 鎌 田 浩
早稲 田大学出版部 1992年 7月 3600円
『男の座標軸一 企業か ら家庭 。社会へ』
1月
『女ひ とり世界 を往 く』
ナワル・エル・ サー ダウイ 鳥居千代香訳
図書出版社 1992年 12月 2987円
サー ダウィの60∼ 70年 代女 ひとりの旅行記。社会 主義
フェ ミニ ス トとして、エ ジプ ト政権やイスラム原理主
義者にね らわれる彼女 は、いつか80∼ 90年 代 の旅 を書
くことを夢 みる。今なおエ ジプ トでは妻が夫 を伴 わな
い旅 をす る時、夫の許可証 を必要 とする。世界中、 ど
の国の民主主義 も幻想 だ とい う著者 も、そ こで闘 う友
人たち との新 しい出会 い によろ こびを見 いだす。
『新 スカー トの風一 日韓 〓合 わせ鏡の世界』
呉 善花 (お そんふあ)
ブック ス
2000H
580円
『黒部・ 底方需誓一量 三夢管言事鮮哭i3年
内田すえの 此川純子 堀江節子
桂書房 1992年 12月 2060円
『国際結婚 とこどもたち一異文化 と共存する家為
新 田文輝 藤本 直訳
明石書店 1992年 10月 3500円
『子 どもの愛 し方がわからない親 たち
― 児童虐待 何が起 こっているか どうすべ きか』
斉藤 学 講談社 1992年 10月 1500円
『雇用平等の最前線』 岩波 ブ ックレッ トNo.277
女性労働問題研究会編
岩波書店 1992年 11月 350円
『戦時下 の女たち一 日本・ ドイツ・ イギ リス』
岩波 ブツク レッ トNo.282 早川紀代
岩波書店 1993年 1月 350円
『沈黙 をやぶ つて
一 子 ども時代に性暴力 を受けた女性 たちの証言』
森田ゆ り 築地書館 1992年 11月 2060円
『乳 ガン・ 乳房温存療法の体験』
イデアフオー編 時事通信社 1993年 1月 1500円
『マ ザ ー アジアの旅人一 シンクレテ イズム紀行』
川村 湊 人文書院 1992年 10月 2472円
『近代 ドイツの母性主義 フェミニズム』
姫岡 とし子 勁草書房 1993円 1月 3605円
ウイメンズ
ブックス
第46号 1993年 2月 25日
あ な た の 情 報・私 の 情 報
『 ジ ャパ ニ ー ズ・ ウイ メン 0ナ ウ』
イ ン グ リ ッシュ・ デ ィス カ ッシ ョンの 会
岡 村 久 子
この数年、 日本の女性の状 況 はめ ざましく変化 して
い ます。 これを具体的に外国の人たちにも伝 えたい と
本書 を企画 しま した。
ここでは連帯す る女性、先頭 を切 って道 を拓 く女性
は もとよ り、パ ー ト・ タイマー、農漁村 の女性や熟年
離婚 の増加 とい った話題 も取 り上 げ ました。巻末の年
表 とともに読 んで もらえば、 日本女性の現在が理解 さ
れ るで しょう。
英語 を学ぶ 日本の女性、そ して男性 にも読んでいた
だ き、 日本人が苦手 とする自分たちの情報発信 を可能
に して下 さい。本書は、 自分たちの問題 を英語で考え
語 りたい人たちのために、 よきテキス トになるはずで
す。
松香堂 1992年 1400円
『ス ザナ・ ム ー デ ィの 日配 』
マ ー ガ レ ッ ト・ ア トウ ッ ド詩 集
平林 ・ 久野 ・ カ レン訳
久 野 幸 子
日本 との関係 は深 いのに、 カナダは英米に比べ 、 日
本人 にあまり知 られていない。 カナダ文学 も、優れた
作 品があふれているに もかかわ らず、ほとん ど紹介 さ
れて いない。そ こで、現代 カナダ文学 を代 表す る詩人
で作 家 の ア トウ ッ ドが、英国人 開拓 者 ス ザ ナ 。ムー
デ ィの19世 紀 カナ ダ奥地での苛酷 な生活体験 を形象化
した詩集『スザ ナ・ ムーディの 日記』 を勤め先の同僚
2人 と共訳 した。移民の国カナダでは、人々はカナダ
人 と してのアイデ ンティティの問題 に苦 しむが、その
あ りさまが不思議 と現代社会での女性 のアイデ ンティ
テ イ探 求の姿 に重 な りあ う。 カナダや移民 に興味のあ
る方、 カナダ文学 の先端に触れたい と思ってい る方、
フェ ミニズムに関心 のある方、人間の 自然破壊 に心 を
痛 めている方、そ して詩 とい うジャンルの もつ奥行 き
と広 が りに魅せ られている、いや、
魅せ られたい と願 っ
て い る方 々にお 薦 め します。画 才 に も恵 まれたア ト
ウ ッ ド自身の手 になる コラー ジュの挿絵 も転載 したの
で、 手元 において、折 りにふれ、楽 しみ、味わい、か
つ 思 索 の糧 に して もらえる訳詩 集 になったのでは と
思 っている。
※松香堂で扱 っています。 国文社 1992年 1648円
『兵 庫 発 女 の 伝 言板 』
∼ 元気 な女 の 困 ったい ろい ろ HELP∼
西 本 和 代
女 の情報誌 は、た くさんあ りますが、そ こには、私
たちの まわ りの女 の事 はほとん ど載 ってい ません。私
たちが 日々暮 らしてい る地域で、女たちが どんな問題
をかか え、 どんな動 きをしているのか、それを知 りた
い と思 い ました。そ こで、県下の各地 の女性 グループ
に呼 びか けて、 自分たちの活動案内をこの「女 の伝言
板」 に寄せていただ きました。 また情報はいっぱいあ
るのに、女 たちの暮 らしの 中で本当に必要な情報は意
外 と手 に入 りません。仕事や子育て、か らだのこと、
人間関係の悩み、そんな暮 らしの中で困った時、 また
何か始めたい と思った時 に役 に立つ情報 も集めました。
このよ うな本が、各地の女 たちの手でつ くられること
を願ってい ます。
申込 は郵便振替 神戸 1-66771
ウイメ ンズ ネ ッ ト 。こ うべ まで 980円 (送 料240)
※松香堂で扱 っています。
『本 が好 き 。だか ら、出版 業界探検』
女性 のため の 編 集者学校 7期 生編
森 山 佳 代
「女性のための編集者学校」 は、編集に興味のある女
性 を対象 として1987年 に開校。以来、毎期生徒 自身の
手により、企画・取材 ・執筆・ レイアウ トと版下作成
までを行 い一冊 の本 に仕上げて発行 し続 けています。
開校か らの講師陣には、出版 。マスコ ミ業か らの著名
な方々、取次や書店主などの本の流通に欠かせぬ立場
の方 々等 を多数迎 えて、本づ くりの工程や、その仕事
の情熱ぶ りを学んできました。
今回 7期 では、「出版」 をテーマ に 5班 に分かれた
メンバーが、各 々の切 り口で本 をめ ぐる人 々を取材 し、
肌で感 じた熱 い思 い を168頁 にまとめ ました。 1章 で
は、出版界 のいわば裏街道 を突っ走る小 さなメディア
(ミ ニコ ミ誌)の つ くり手たち、 2章 では装丁や紙選
びを中心 に、本 をつ くってい る表情豊かな「紙」に注
目。子 どもの頃わ くわ くして入 った ものだった本屋 さ
ん。今だって同 じはず ! 本屋 さんがんばって ! と
エールを送 る 3章 。編集者 にな りたいって言 ったって
実際のところ どんな人が どんなことやってるの ? と
調 べ 歩 い た 4章 。 5章 で は本が 手で触 れ るカタチ と
なってで きあがる工程、印刷・ 製本を詳 しくレポー ト。
この 1冊 で、「ああ、私 も本 をつ くってみ よ う !」 と
その気になっちゃう栄養剤 です。
女性 のための編集者学校へ のお問い合わせ は
03-3498-0746 ワー クシ ョップ 。ガルダまで。
※松香堂 で扱 っています。1992年 880円
『歴 史 をひ ら く愛 と結婚 』
福 岡女性 学研 究会 編
西 嶋 友 子
この本 は、私 たち会員が分担 して、女性 の覚醒や人
間的平等 を主張 し実践 した近代 日本の先覚者か ら14人
をとりあげ、各人の結婚観離婚観 を考察 した ものです。
その主張 した思想 を整理す るとともに、パー トナー
を選んだ基準やパー トナー以外 との恋愛が どうだった
か、 また女性 の経済的自立や家事育児他での性的役割
分担に対 して どの ような態度 をとったか等、実際の生
活 をで きる限 りさぐることで、女性観 =人 間観 の本音
の ところにせ まってみました。そ こか ら、従来の評価
や通説に異議 を唱えることになったところ もあ ります。
と りあげ たの は、岸 田俊子 ・福 田英子・ 羽仁 も※
第46号 1993年 2月 25日
==海
ウイメンズ
ブックス
外 だよ り ==
ア メ リカ最 新 事 情
渡 辺 和 子
″
フェ ミニ ズムの後退、 中絶権 の危機 と闘 う米 国 の
フェ ミニス トたちの合 い言葉 は、11月 3日 だつた。そ
の 日、女性たちの期待 どお りにクリン トンが大勝利 を
お さめ、 レーガン・ プ ッシユ共和党政権 とい う女性政
策の暗黒 の時代 を終わ らせ ることがで きたのだった。
それに上院議員でそれまでの 3倍 の 6人 、下院議員 で
2倍 近 くの46人 の女性が選出 された。 しか も初 めての
アフリカ ンアメリカンの上院議員などマ イ ノリテ イの
女性 たち もいた。
実は、共和党の勝利 と画期的な数の女性 の政界進出
を実現 させ たのは、男性 中心 の政治に対する女性 たち
の怒 りであつた。直接 には、その 1年 以上前 にさかの
ぼる、最高裁判事 に指名 された トーマスに対す るアニ
タ・ヒルのセクシヤルハ ラスメ ン トの訴えである。自人
男性 ばか りの上院司法委員 たちの屈辱的な質問 に答 え
るアニ タ 。ヒルに、全米 の女性 は、男社会 で孤立す る
自分 自身の姿 を重ね、 いかに女性 の声 が政治 の場 に届
け られてい ないか を改めて認識 したのだった。上院の
女性議員 は100人 中、民 主党 と共和党にそれぞれ 1人 。
それに保守的な トーマスが最高裁判事に任命 される こ
とによつて、女性 のか らだの 自己決定権 を保障する中
絶法 が、 いつそ う制限 されることは目に見 えて いた。
公聴会が全米放映 された 日、「女性 に とって革命 と
なるだ ろ う」「過去 20年 間運動 をして きたが、 あ のア
ニ タ・ ヒルの公聴会 の写真 ほ どイ ンパ ク トを もつ もの
はなか った」 と、 フエ ミニス トたちは、その意識変革
の効果 を指摘 した。事実、アニ タ・ ヒルの訴 えを退け
た上院の決定 に対す る女性 たちの怒 りは、即座 に行動
に移 された。ペ ンシルベニ ア州のヤ ンケル、 イ リノイ
※ (前 頁 よ り)
。
と子 ・与謝野晶子・ 管野 スガ・平塚 らいて う 山川菊
。
栄 。高群逸枝 ・伊藤野枝 宮本百合子 の他、 これ まで
あま り知 られてい なかった戦前 の活動家、岩崎盈子 な
どの女性群 を中心 に、森有積 ・植木枝盛・堺利彦 な ど
男性 たち も加 えました。
この共同研究 をすす めるにあた り、1987年 度 と90年
度の 2回 、東京女子大学 より「青山なお研究奨励 金」
を受 け とることがで き、 たいへ ん大 きな励み とな りま
した。
女性 史のテキス トや 日本史のサプテキス トとして も
役 立つ と思います。ぜ ひ、 ご一読 ください。
※松香堂で扱 ってい ます。 ドメス出版 1991年 2266円
州 の プ ラウ ンなど、 上 院 で11人 、下院で 106人 の女性
が立候補 したのだった。その多数が民 主党だつた。
60年 代 に「個人的な ことは政治的な こと」 と主張 し
て始 まった女性解放運動 によって女性 の職場進出はめ
ざま しく、地方議員 や市長に女性 の数 は急速に増 えて
い た。 しか しこと連邦 レベ ルでは資金や地盤など女性
が政治 に入 り込む ことは困難 にみえたらそ こで女性た
ちは女性 の寄付 による億単位 の資金作 りを「全米女性
政治幹部会議」や民主党 の候補者 のための「エ ミリー
の リス ト」な どで行 った。 さらに支援 ネッ トワー ク作
りに膨 大 なエ ネルギ ー が注がれ た。 なか で も第 二波
フェ ミニズムを担 った女性たちの娘がそ ろそろ選挙権
。
を得 る年代 に成長 し、彼女たち もまたアニ タ ヒルの
へ の危
い
と中絶権
訴 えを退けた男政治 に対する強 怒 り
い
としたワツ
を中心
こ
女性
機感 か ら行動を起 した。若
ク (WAC=女 性 の行動連合)は 性差別や レスピア ン
差 別 に対 して直接 の抗 議 を起 こす ことを目的 として
ニュー ヨークで結成 された選択派 の グループで、全米
に広 が っていつた。「第 三の波」 は選挙民 を増やす た
めに全米 をバスで回つた。
こ う して女性は女性 の力を政治 に向けて結集 させ、
女性 の政策を打ち出す民主党のクリン トン政権 を実現
させ たのだった。女 性 たちはプ ツシユ支持 との差 を
16%も あけたように、そ こには女性 は女性 のために選
"が 生 まれてい
挙す る とい う “ジェ ンダー・ギ ヤップ
ような女性 の期
ン
ン
は、その
た。 また、クリ ト 大統領
の
、 さらにホ
の
の
委員
重要な政府
他
に応
え閣僚やそ
待
ヮイ トハ ウスのス タッフに積極的に女性 を登用 した。
彼 は団塊の世代 として、男性 と対等 に活躍す る女性 た
ち と共 に育っていた。 なかで も、彼 の当選 を実現 させ
た影 の参謀でもあ り、弁護士 としての実力が高 く評価
されている妻 ヒラリー は、クリン トンが最 も信頼す る
政治 の協力者であ り、彼女の女性 ネ ッ トワー クが女性
登用 に活用されたのだった。
い ま、いかに中絶 の 自由を保障す る法や家族 と医療
のための休暇法 など女性 のための政策 を新 しい政府 に
実施 させ るか、ワシ ン トンに向けて結集 された女性 の
力が い よいよ試 され よ うとしている。他方、 この よう
な男 中心 の政治へ の怒 りを、女性 のための政治 とい う
積極 的な力 に変えた米国女性 たちに、私たちが学ぶ こ
とも多 いように思 える。
わたなべ かず こ (京 都産業大学教員)
ウイメンズ
ブ ックス
第46号 1993年 2月 25日
旧間になるが、 昨春 ジ ョディ 。フォスターが「羊たちの沈黙」で二
度 目のア カデ ミー 賞 主 演女優 賞 を獲 得 した。「 “フェ ミニ ス ト・ ヒー
ロー"に 賞が与 え られて うれ しい」 とオスカー を抱 きなが ら堂 々 と挨
拶す ぅ姿 を BSの 生 中継 でみていた私 は、その後京都 で授賞式が行わ
れた 日本 アカデ ミー賞 では仁侠 ものの姐 さんの主演作 品が ノ ミネー ト
されて い たのには恥ずか しくなって しまった。 さっそ く連載中のある
コ ラム に「海 の 向 こ うでは “
フェ ミニス ト・ ヒーロー"の 時代だとい
うのに、 日本 は…」「現実の社会の 中で女性 たちがいい シナ リオを示
して いかない限 リダ メだろ うな とい う気がす る」 と書 い た。邦画 の女
性像 は未 だに芸者文化 の域 を出ていないんだか ら
前置 きが長 くな ったが、最近 いい “
シナ リオ"に 出会 った。 この作
品を映画化 してほ しい とさえ思 った。落合恵子の書下 ろ し文庫 『セカ
ン ド・ カ ミング』 (新 潮文庫 360円 )だ 。特 にフェ ミニ ス トのファー
ス ト・ レデ ィーが誕生 したヮシ ン トンか らこの物語 は始 まるか ら、余
計 に興 味深 い。92年 5月 、二週 間の休暇旅行で60年 代 を共有 した友人
たちを訪ねるわた しの旅は、わた しが “
私"に 出会 う旅 で もある。愛、
別離、孤独 もわた しの もの。アメ リカの今 を生 きる女 たちが凛 々 しい。
母である こと、女 で ある ことに傷 つ き、心 を病 んだ母親、その母 と
娘 をテーマ に普遍 化 した自伝風小 説 『あなたの庭では遊 ばない』 (講
談社 1400円 )を 書 き終 えた作者 自身にとって も、久 々の休暇旅行だっ
たのでは ない だろ うか。彼女は ここ数年追われる如 く走 り続 けてきた
ものだ。大 きな仕事 を成 し終 えた ものだけに許 される凛 とした潔 さが
全編 に伝 わって くる。苦渋に満 ちた自己認識 を通 して、 アメ リカに暮
らすそれぞれの彼女 たちを受容す る豊か さ、それは現在 の落合恵子 自
身で もある。
この文庫本 を楽 しんで読み終 えた ところで、 まあ ピ ッタリとい うタ
イ ミングで読める文学評論が出た。 アリス・ ウォー カー な どの黒人女
性文学 の研究者、河地和子著 『わた したちのフェ ミニ ズム ー落合恵子
と日本 の女たち』 (講 談社 1800円 )が それだ。副題か らもわかるように、
「落合恵子の作品 を辿 ることは、 フェ ミニス ト作家 としての彼女の成
熟 の道 を辿 ることで もある」 としてlo作 余 りの作品か ら落合恵子が主
張する様 々な提言 を通 してフェ ミニズムを考え る文学評論 だ。
!
最近の出版傾向からみると、80年 代の 〈
戦略過剰なフェミニズム〉
から、90年 代 は 〈
それぞれのフェミニズム)に 力点は移ってい くので
はないか と思える。田嶋陽子は 『愛 とい う名の支配』 (太 郎次郎社
1780円 )で 「冠 つ きフ ェ ミニズム」 はフェ ミニズムその ものが人 々に
届 きに くか った として、比類 なき大 らかなキャラクター とパ フォーマ
ンス で もって田嶋流 フェ ミニズム・ メッセージを TV電 波 に乗せてい
る。大庭みな子対談集 『やわ らか いフェミニズムヘ』 (青 土社 2200円 )
では、十人十色の く
それぞれのフェミニズム)が 生 き生 きと語 られて
い る。「今現在の瞬 間 だったら、女 の方がまだ比較的希望が持てる」
との大庭みな子の言葉に共感を覚える。
また、
「わいふ」の 田中喜美子 は『エロスとの対話』 (新 潮社1300円 )
で「抱 きじめられたい とい う女の欲望は、相手のすべ てを受容 したい
とい う望み、自らを与えたい とい う深 い欲求の表れ」だとして、女の
「受動性」について新 しい解釈を試みている。
今後、文学や表現 の分野で<そ れぞれのフェミニズム >の 出会いが
さらに期待できそうだ。
(き の した あけみ ブックア ドバ イザー・ コラムニス ト)
ウイメンズ
第46号 1993年 2月 25日
=nfomation f―
ブ ックス
SHOυ K■ DOυ
し
―
あ い さ つ一
82年 の創刊号 より私が微力 なが ら責任編集 してまい りました「ウイメ
ンズブックス」 をご声援 、 ご愛読 くだ さ りあ りが とうございます。おか
げさまで私は 日々本 に追いか け られなが らも伸び伸 び と楽 しく本 と格 闘
す ることが出来 ました。 これ も会員 の皆様 の女の本に対す る熱 い思 い と
ネ ッ トワー クのおかげだと、感謝 の気持 ちでいっぱいです。
さて、新装 の本号 より私は編集長 とい う立場 を離れ、新 たにブ ックア
ドバ イザ ー とい う立場で コラムでお付 き合 い させていただ くことにな り
木下明美
ました。今後 ともよろ しくご声援 くだ さい。
☆
上覧の ごあい さつ にもあ ります ように、 11年 間 も
の長 きにわたつて、編集長 として本誌 を支 えて くれ
Point"欄 を担 当 して頂 きます。
と思 い ます。 これか らもどうか変 わ らぬ ご購読 をお
願 い します。
☆
①
④ ⑤ ⑥ ⑦ ③
今後 は特 に編集長 を決めず、松香堂及 びフエ ミネ ッ
ト企画 のス タッフー 同で、編集 に当た ります。新 し
く刊行 される女性 の本が増 えてい ます ので、新刊案
内のペー ジをたっぷ りとって、 ご紹介 してい きたい
(松香堂刊 は除外)
② ③
た木下明美 さんが、45号 をもって、その任 を辞 しま
した。木下 さん、本当に長 い間 ご苦労 さまで した。
“
今号 か らは、 プ ックア ドバ イザ ー と して、 View
◇1992年 度 ウイメンズブックストアBEST20◇
倉千加子 富岡多恵子
男流文学論 上野千鶴子 月ヽ
筑摩書房
パ
リブ20年 イ ンパ クシ ヨン73 イ ン ク ト出版会
ポルノグラフイ ニユーフエミニズムレビュー第3号
白藤花夜 子編 学陽書房
パ ッ ト・ パ ルマ ー 径書房
自分 を好 きになる本
田嶋陽子 新水社
フィルムの 中 の女
福 島瑞穂 岩波書店
結婚 と家族
高村光太郎 の フェ ミニズム 駒尺喜美 朝 日新聞社
「少産化時代」 を生 きる
フェ ミニ ズ ム 1991 ユ ック舎
「 ウイメ ンズ・プ ックス」は女性問題 の本をご購
入 の際、いい手引 きにな ります。バ ツクナ ンバー も
残部少 々ござい ます。 どうぞお申込 ください。一部
⑨
女 と男
400円 (29号 まで)∼ 500円 (30号 か ら)で す。
⑩
熊田 亘
英語 で読 む アメ リカの フェ ミニ ズ ム
⑪
アサ ー テ ィブ ネスのすす め
男 も考 える性 差別 の現在
藤枝澪子
☆
2200円 、団体会員3000円 です。
会費納入が まだの方 は、 どうか一 日も早 くお振込み
ください ます よう、お願 い申 し上げます。
☆
『資料
日本 ウー マ ン・ リブ 史
I』
(松 香 堂刊
12000円 )は 、 図書館 にぜ ひ入れてほ しい一冊。皆
さまもお近 くの図書館 にぜ ひリクエ ス トして くださ
い 。
(T)
⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑩ ⑭ ⑪ ⑩ ⑩
前号 でお知 らせ しましたように、会費 の値上げを
致 しました。苦 しい台所 をご賢察 の上、 ご理解 いた
だ きます よ うお願 いいた します。入会 金800円 (入
会時 のみ)、 新 ・年会費 (1月 ∼ 12月 )は 個人会員
ほるぷ 出版
松 野潔子他編
創元社
ア ン・ デ イクソ ン 柘植書房
図 でみ る 日本女性 デ ー タバ ンク
大蔵省印刷 局
ゼ ミナール女 の労働 竹 中恵美子監修 ドメス 出版
ェ イジズ ム ニュー フェ ミニズ ム レビュー 第 4号
樋 口恵子編
女性 とメデ イア
非婚 を生 きた い
加藤春恵子他編
結婚届
朝鮮人従軍慰安婦
女性 のデー タブ ツク
教科書の中の男女差別
学陽書房
世界思想社
善積京子編 青木書店
二宮周平 毎 日新聞社
鈴木裕子 岩波書店
井上輝子他編 有斐 閣
伊藤良徳他 明石書店
ウイメンズ
おん なの本・韓国
良』
第46号 1993年 2月 25日
連載第四回〕
〔
市
『野
ブックス
ヂ 静慕
場
淳
子
創作 と批評社
『野良』 は、「民衆作家」 として活躍 中のヂ静慕 さ
ん初 の長篇農民小説。 ウルグアイラウン ドでのアメ リ
カの農産物輸入規制撤廃要求 に直面 した、韓国農民 の
苦悩 と闘いが描かれてい る。
ヂ静慕 さんは、「民族文学作 家会議」の 自由実践 文
人委員会 (主 に政治犯救援 に携 わる)の 委員長 を務め
るな ど、民主化 闘争 の担 い手で もある。そんな彼女が
創作活動 の 中で問い続けてい るテーマ は、祖国の民衆
を苦 しめる「外 部勢力 =外 勢」の問題だ。この「外勢」
とは、朝鮮 を植民地支配 した 日本であ り、今 も朝鮮 の
分断 を支 える 日本やアメ リカの ことである。
『野良Jで も、この テーマが貫かれてい る。韓国 (朝
鮮)の 農村 は、近代以来、「外勢」の最大の犠牲者 で
あ り続 けて きた。
植民地時代 に 日本 は、
「土地調査事業」
や「産米増殖計画」 によって朝鮮 の農村生活 を破壊 し、
多 くの農民 を日本や中国に追いやった。その うえ「強
制連行」で野良に働 く若 い男女 を戦争に狩 り出 した。
また「水利税」 を導入 し、それは現在 も韓国農民 を苦
しめている。植民地支配か ら解放 された ものの、野良
は朝鮮戦争で戦場 と化 した。朴正熙政権時代 には、韓
国に繰 り出 した 日米企業が、農村 の安価 な労働力 をほ
しい ままに した。 1980年 代、 アメリカか ら大量の農畜
産物輸入 によ り、農村 は崩壊 の危機 にさらされた。だ
が、 1980年 代末 に韓国農民 の怒 りは爆発 した。農民た
ちは水利税廃止 !ト ウガラシの完全収買 !ア メ リカ牛
の輸入反対 !を 叫 んで、対政府闘争に立ちあが ったの
である。そ して今 も、
「米の輸入 自由化 を許すな !」 と、
決起集会 を各地で繰 りひろげて いる。
『野良』の前半部では、 この ような歴史の中で、農
民たちが織 りな して きた様 々な人間模様が、四季折 々
の農村風景 とクロス されな力=ら 描 きだされてい く。 な
かで もハ ルモニ (お ばあ さん)た ちの姿が心 に染みる。
彼女 たちは、 日本の植民地支配や朝鮮戦争で夫 を奪 わ
れなが らも、 また儒教的家父長制の もとで抑圧 されな
が らも、怯 むところな く自分 と家族を守 って生 きてき
た。後半部では、農民たちが新 しい世 の 中を作 るため
に農民会 を組織 し、水利税やウルグアイ ラウ ン ドの間
題 を訴 えて、対政府闘争 に立ちあがってい く姿が描か
れている。それは実際の農民闘争をもとに、 ドキュメ
ンタリー タッチで描かれ、固唾 を飲む迫力 だ。 さらに
その中では、農村活動隊の学生 と農民 の交流、社会変
革 のための労働者・ 農民 。学生の役割 。平等 な関係 を
志向す る若 い男女、農村女性 の抱 える問題、女性 の農
民運動へ の主体的な参加 な ど、農民運動 におけるいろ
いろな問題が取 りあげ られている。
『野良』 は都市生活 に どっぷ りと浸か って きた私に、
農村か ら世の中を眺める ことの大切 さを気付かせて く
れた。そ して、韓国の農村 と同様、
「米の輸入 自由化」
を前 に、危機 に立たされている日本の農村 の実態につ
いては何 も知 らない 自分が恥ずか しくなった。
ヂ静慕 さんは『野良』 を書 きおえて、「女性問題 と
政治・ 外交問題を一緒 に扱 うことがこんなに も難 しい
とい うことを改めて骨身に しみて感 じました」 と語っ
てい る。 よ く「韓国女性 は今 も儒教倫理 に強 く縛 られ、
日本女性 よ りも解放 されていない」 といわれる。だが、
日本 にヂ静慕 さんのような女性作家が い るだろ うか。
私 は、 日本 と韓国の女性解放 の質が大 き く異 なること
を感 じるのである。全 2巻 (上 325頁 ・ 下 334頁 )
創作 と批評社 1992年 ソウル
ヂ静慕 さんの翻訳作品には、元朝鮮人軍隊慰安婦の
半生 を描 いた『母 。従軍慰安婦 ∼かあ さん は「朝鮮
ピー」 と呼ばれた』 (神 戸学生青年 セ ンター 出版部)
がある。
い ちば じゅんこ
大阪外国語大学朝鮮語科大学院在学中
共著『女たちの世界文学』松香堂
内容
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溝口明代・佐伯洋子・三木軍子 ■
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既刊
1993年 5月 刊行予定
1993T秋 刊行予定
します。
ウイメンズブ ックス トア松香堂
TELaFAX 075‐ 441¨ 6905
第46号 1993年 2月 25日
ウイメンズ
ブ ックス
わ た しの 出 会 った 本
『朝 鮮 人 女 性 が み た「 慰 安 婦 問 題 」』
テ 貞玉他著 三一書房 (1992年 750円
)
やぎ みね
忘れ ることが優 しさか一―強い られた沈黙 と体験 を
言葉 にで きなか った元慰安婦 たちの生 を、忘れ ること
によって封 じて きたのは誰か。46年 もの長 い 間、彼女
たちを生 きなが ら再度、殺 して きたのは誰か。
その問 いに、 この本は、在 日朝鮮人女性 の立場か ら
鮮やか に答 えを出 した。そ して今、同 じ問い を問われ
てい るのは、 日本の女たちなのだ。
この書 は、梨花女子大学教授 だったヂ貞玉 さん と、
ヂ さんの挺 身隊取材 で出会い、その後「朝鮮 人従軍慰
安婦 問題 ウリヨソンネッ トワー ク」 を作 った若 い在 日
朝鮮人女性 たちとの共同作業か ら生 まれた もの。韓国
籍 を持つ彼女 たちは、あえて タイ トル を「朝鮮 人女性」
とした。過去 と現在、本国 と日本を結ぶ呼称 として、
慰安婦 たち と彼女 たち、ヂ さんを結 ぶ言葉 として一番
ふ さわ しい と思ったか らだ とい う。彼女 たちは、 この
問題 と出会 ったことで初めて、在 日朝鮮人女性 として、
歴史的、社会的に どこに立 ってい るかを知 ることがで
きた とい う。その思 いのた けを語 る言葉が、本 の中に
い きい きと書かれ ている。
「慰安婦」問題 は、 さまざまな切 り口があ る と言わ
れる。戦争、天皇制、性、その どれ も切 り離す ことは
で きない。 だが、一人の女 の身 に引 き寄せ て考 える時、
性支配 の社会 システムと して、 日本 と朝鮮半島に共通
す る「性 の ダブルス タンダー ド」 (性 の二重 規範)を
決 して見逃す ことはで きないのだ。
日本 は今 なお、戦争責任 も戦後責任 も果た していな
い。そのお としまえは、当然、私 たち日本人が国にき
ちん とつ けさせなければな らない。だが、残 された課
題 の 中で、なぜ この問題 だけが最後に浮上 して きたの
か。金学訓 さんが声 を上げるまで、 どうして これほ ど
の年月を必要 としたのだろう。元慰安婦 たちが名乗れ
なかったわけは、私 たちが、彼女 たちを「 そ うい う目」
で見て きたか らだ。その ことについては、 日本 人 も朝
鮮人 も同罪だ ったか もしれない。80年 代、韓国 の民主
化闘争下、性拷間を告発 した勇気ある女性 を きっかけ
に、若 い女性 たちの間 にフェ ミニズムの うね りが起
こった とい う。
さて、そ こで問題 は 日本 の女 たちのこと。私 たち日
本 の女は今、 どこにいるのだろ う。戦前、銃後 の妻 と
「行 っ
今現在 、
して、貞女 として旗 を振 った 日本 の女 と、
て らっ しゃい、気 をつ けて」 と東南アジアや PKOに
男 たちを送 り出す 日本の女 と、一体 どこが変 わったの
か。天皇制 の ミニチ ュアとしての家族や、性 の二重規
範 を問い直 さなければな らないのは、む しろ私 たち 日
本 の女 たちだ。
家族制度 の「公認」 の性 と、売る性 と、 どれほどの
違 いがある とい うのだろ う。女 たちは三分 されず トー
タルに生 きたい。私 の性 は私の もの、主体 的な ものだ。
「慰安婦」 と呼ばれた女性 たち (誰 にとって の慰安 な
のか)を 被害者 の ままに置 きた くはない。私たちをた
だ特権的な ところに位置 させて しまうだけのことだか
ら。 む りか もしれないが、同 じ目線で、彼女 たちに近
づ く回路 をさぐりた い。
先頃、いい話 を聞 いた。 この本 の著者 の一人、金英
姫 さんは昨年、中国東北部の朝鮮族 の地 を訪れ、そ こ
で一人の女性 と出会 った。中国人男性 と結婚 した彼女
の ことを、村 の人 々は、昔の ことをよく知った上で、
「 カイ コ」 (日 本軍が付 けた名)ハ ルモ ニ と呼び、彼
女 は慕われ、穏やか に暮 らしてい る とい う。今、 日本
で元朝鮮人従軍慰安婦だ った人が裁判 を始め ようとし
ている。名乗 りを上げた彼女 を、せめてそのことで生
き難 くさせ ないことが、少な くとも私たち一人ひとり
が果たさなけれ ばな らない最低 限の責任 ではないか と
思 う。
『あなたが「離婚」 を考 えるとき』
志 村 章子 。田上 正 子 著
同時代社 (1992年 1300円 )
野原 ―子
この本に登場す る二人の女性たち (著 者である志村
さんも含めて)は 「 こんなもんじゃない、私の人生は」
と思い続けてきたのだと思うと、何やら親しみを感 じ
て しまう。ただ、年代が私の母より少 し下とい うとこ
ろでは、その思い続けてきた年月の長さに圧倒されて
しまう。
女 は家、男は外 と疑い もなく思わされ、かつ思い込
んで きた女性が、離婚 に踏み切 るには相当のエ ネル
ギー というよりも、勇気 といつていい ぐらいの覚悟が
いることだろうと思 う。まして、一度も自分一人で自
分を養ったことがないなら、なおさらだ。結婚して出
産 しても仕事をしていた私が、家を出た時ですら「え
いっ」 と全部振 り切るくらいの覚悟がいったのだから。
「熟年 110番 」チー
文中に出てくる迫田さんとい う
フ相談員の方が言 う。「離婚をしたいと思うほど、夫
婦がうまくいっていない」 とい うことが「離婚をした
い」 という言葉になるのであって、す るかしないは別
の問題なのだ一一。それを受けるように、弁護士の立
場 か ら中高年の離婚を語 る角田さんが「経済が離婚 を
左右する」とも言うのだが、確かに50歳 すぎて初めて
働 くとなったら、もらうお金も、仕事 もご く限られて
くるだろう。「専業主婦は危険な選択」 とも角田さん
は言 う。
とりあえず、私 は私の母が離婚すると言ったならば、
パチパチと拍手を したい。そして、この本をプレゼン
「離婚」を思うのではなく「結
トしたい ものだと思う。
婚」をもう一度考えてだめと思ったら飛び越えられる
んだと確信 させ られるような本だった。副題にもある
ように、「もう一つの人生」に向けてい くつであろう
とも、や りなおしていこうとする限 り、道はついてく
るんじゃないだろうか。人生の先輩である女性たちが、
もう一つの人生を手探 りしているとわかつて、なんだ
か元気になってきた。 (フ リーライター)
ウイメンズ ブックス
第46号 1993年 2月 25日
ミ ニ コ ミの 女 た ち
<女 のための ク リニ ックニ ュース >
ウ ィメンズセンター大阪
阿古安子
最初、「女のための クリニ ック」 をつ くろ うと思 い
立ったその 日か ら、遠 くにあった、「性」 の ことにか
かわって きた ら近 くにあった女の人生 に くっついて き
ました。
トー タルな女 の人生 は「生」 =「 性」、 い ろんな角
度か ら女の人生 を考 える場所 にしたい と、 ウィメ ンズ
セ ンター を発足 させ るにいた りました。
皆 さん意外 と身近 な体が一番遠かった りしてい ませ
んか ? 日常 の 中 にあ る「月経 。SEX・ 妊娠・ 出
産 。中絶 。更年期 。婦人病」 と数え切れない、様 々な
形で接 してい ることも、 なかなか自分の ものには なっ
てい ませんね。そ して、個人の ものである体 なのに、
社会抜 きには語れない複雑 な仕組みの中に置かれてい
ます。そ して、その ことが厄介なことに、人生や心の
問題 を どう変え、つ くり上げてい くのか とい う問題に
まで発展 し、それを追求 していかなければ、女の住み
よい状 況は来ない と思 っています。 1人 の女 の問題が、
多 くの女 の問題である とい うことの共感 を、 この場 の
中で感 じてい く、そんな関係 をつ くる場 として、大い
に利用 して もらいたい と思います。
「 私 は月経 の相談で来たけど……」「私 は性器 ヘ ル
ペスの ことで……」「私 は個人カウンセ リング」「私は
性暴力 の CR… …」。入 った 門戸 は違 って も、考 えて
行 き着 くところは同 じ、そんなメッセー ジが互いに伝
われば と思 い ます。 ここで知 り合 った仲間が、少 しず
つ増 えてい くことは、女力 会 に進出 しやす くな り、
'社
自信 を持 って女 の人生 を歩 くためにも、 このシスター
フッ ドは役立つ と思ってい ます。で も、遠 くてとか、
東京 にも、北海道にもあ りますか ? とい う電話の間
い合 わせにお答 え して、セ ンターの講座 の様子や、か
かわっているメ ンバーの思 い 。体験 など、幅広 い視野
の 中でつ くられている「女のためのクリニ ックニュー
ス」 も発行 してい ます。
このセ ンター に直接足 を運べ な くて も書面 を持って
伝 えたい、知っては しい とい う思い を込めてニュース
に取 り組 んでい ます。た とえば今月号 で は、「女のた
めの クリニ ックを 昨 日 。今 日 。明 日シ リーズ」「 ロ
ン ドン・ アムステルダムの旅」「性暴力 を受 けた女た
ちへ」「ひとりよが りの映画評」等 々 とか ……。
「 自主
講座 =女 とエ イズ考えよ う」 とい う新 たな取 り組みを
含めた行動 を提起する呼びかけを載せ た り、届 くのが
待 ち遠 しいなどの声 もあ り、読者 の年代 の幅 も感 じら
れ ます。
私たちは生 まれなが らに して女であ り、女 の性を肯
定 しなが ら女 として育 って きた。そんな思 い を、誰が、
女 としての制約 を持 って、女 として育てて い くのか、
しっか り探 る必要がある と思い、女の人生 を トー タル
に考 えてい きたい と思っています。 もし、 この熱い思
いに賛同される方 は、下記 の講座 に足 を運 んで下され
ば と思います。
活 動 内 容〉
く
至北浜
餞悔歯
===U
フェミニス トヘルス部門
か らだ と心 の 相 談 室 /女 。か らだ110番 /ス ペ
キュラム 。ペ ッサ リー指導/鍼 灸治療/女 のため
の コーガ教室/電 話相談員養成講座/不 妊 を考 え
る講座/マ ザ ー クラス (母 親教室)/乳 房 の 自己
管理/子 宮が ん検診等
フェミニス トカウンセ リング部門
個人カウ ンセ リング/ア サ ーティプ トレーニ ング
(自 己表現 の トレーニ ング)/や さしい心理学 と
カウンセ リングの講座/ス ーパー ヴィジ ョン/コ
ンシャスネス レイジングー 自助 グルー プー等
ニ ュースの定期購読 は年間3600円 で、毎月「女 のた
めの クリニ ックニ ュース」 をお送 りします。
連絡先
〒536大 阪市城東区蒲生 1-3-23 TEL 06-933-7001
郵便振替 口座 大阪0-45309
加入者名 ウィメ ンズセ ンター大阪
ウイメンズ
第46号 1993年 2月 25日
タ ビュー ほか」
1992年 12月 400円
「れ組通信 No.70-ゴ マユ キ ヨー ロ ッパ 珍 道 中 ほ
か」
「 1月
1993乙
400円
「婦人通信 12月 号― こ と し、 わた しに とつて ほか」 日
1992年 12月 250円
本婦人団体連合会
「婦人通信 1月 号一 わが家 のふ た ごほか」
1993年 1月 250円
ら
しも商売
も大 変 だけ ど
「婦人通信 2月 号一 座談会暮
ほ か 」
報
情
ヽ
ヽ
ヽ
コ
二
ヽヽヽ
「れ組通信 No.68-東 北 。夏 の合宿 リポー トほか」
れ組 ス タジオ東京 1992年 11月 400円
「れ組通信 No.69-リ リア ン・ フェイダーマ ン イ ン
ブックス
きの う今 日あ したほか」 1993年 1月 300円
「月刊 むすぶ一 自治・ ひ と 。くら しNo.264-特 集
クルマ社会 を考 える/PL法 は市民 の味方 ■」
ロシナ ンテ社 1992年 12月 700円
「月刊 むすぶ No.265-特 集 [核 の平和 利用 ?]そ
んなのあ りか ?― 原子力大国 日本 を考 える」
ニ ック
1993年 1月 700円
「Volce第 36号 一 住 民票裁判控訴審 証 人尋 問決 ま
る !」
住民票続柄裁判交流会 1992年 11月 150円
「 Voice第 37号 -10/27「 国際人権規約 と女性 の人
権」 集会報告 2 各団体 ア ピール」
1993年 1月 150円
1993年 2月 250円
「わいふ No.23‐ 特集 早期教育や ってみた らば」
グルー プわいふ 1993年 1月 460円
「Fi町 :Fi町 Vo:・ 17-特 集 フェ ミニズ ムは男 を救 う
Click 1992年 12月 330円
「婦人通信 No.248-三 多摩 の会講座―不況 を理 由に
拡大す る雇止 め解雇 ・契約解除 ほか」
か」
社会主義婦人会議 1992年 10月 300円
「婦人通信 No.249-生 殖技術 の発展 と女 のか らだの
自己決定権一代 理出産 は不妊治療 かはか」
1992年 11月 300円
「Voice第 38号一 控 訴審第 6回 口頭弁論 傍聴 お願
1993年 1月 150円
い します」
「 ア ジアと女性解放 No.21 -特 集 タイ女性 はなぜ 日
アジアの女たちの会 1992年 11月 500円
本 に ?」
「 おん なの叛逆 No.40-特 集 元慰安婦 た ちは訴 え
久野綾子1992年 12月 300円
「あご らNo.179-新 聞切 り抜 きにみる女 の16年 パー
ト3 女性元年・ メキシヨ会議」
BOC出 版部 1992年 11月 2575円
「あごらNo.180 冠婚葬祭 とフェミニズム」
る」
1992年 12月 880円
「婦人通信 No.250-天 皇制 と女性差別 は切 り離 せ な
Vヽ
ほか」
1992年 12月 300円
「野合 VOL.30-野 合 の5年 野合 の30年 、 しどろ もど
ろに男のセ ックスほか」朝倉 ふみ 1992年 12月 200円
「プ ロシ ューム12月 号―特集 私 のカラダ役 立 てて く
ださい一臓器移植一」大阪 よどがわ市民生協
1992年 12月 330Fl
「プロシューム 1月 号―特集米 好 きだか らごはん つ
くりたいか ら米」
「プ ロ シ ューム 2月 号一 特 集
1993年 1月 330円
便利 さが こわい ク レ
1993年 2月 330円
ジ ッ トカー ド」
ニュース
ニ
No.91-自
己改革ヘ
「女のためのクリ ック
の方法論 をめ ぐってパー ト2ほ か」
ウイメ ンズセ ンター大阪 1992年 11月 300円
「女の ための ク リニ ックニ ュースNo.92-更 年期が
1992年 12月 300円
や って くるほか」
「女 の ための ク リニ ック ニ ュース No.93
-女 の クリ
「女性 ライフサイクル研究 第二号 特集 児童性的
FLC研 究所 1992年 11月 1000円
虐待 」
「 メンズネッ トワー クNo.6-第 6回 例会私 のセ ック
ス ライフ報告続 きほか」
メ ンズ リブ研究会 1992年 5月 200円
ー クNo.7-第 7回 例会 に参加 して
メンズ
トワ
ネッ
「
ほか」
1992年 7月 200円
ー
「メンズネッ トワ クNo.8-メ ンズ リブに寄せてほ
か」
1992年 9月 200円
「メ ンズ ネッ トワー ク No.9-男 に ア イデ ンテ イ
1992年 11月 200円
。
マ
ー
ルVo:.24-特
集 デイス・ イ
ジャ
ナ
「シネ
1993年 1・ 2月 500円
ズ 。マ イライフほか」
「 ファイ ト・ パ ックVol.12-“ 突撃 一 番 "は 生 きて
1993年 冬号 500円
いた ほか」
テ ィの確立は必要か ほか」
ウイメンズ
――書
ブックス
第46号 1993年 2月 25日
評 一―
『エイジズムーおばあさんの逆襲一』
ニ ュー・ フェ ミニ ズ ム・ レビュ ー 4
樋 口恵子編
学陽書房
(1600円
)
わた しの意識の 中に「老 い」が忍 び込み始めたのは、40歳 を迎 える直前あた りか らだった。 もとも
と性的魅力 のあ る存在 ではなかったに もかかわ らず、容色 の衰 えを理 由に主役 の座 を下 ろされる女優
の心境だった。青春 よさような ら、おばさんよこんにちは。こんな考えが頭の中を占めるはず じゃなかっ
た。
その上、丈夫 だけが取柄 のわた しも、 10年 近 い激 しい 肉体労働のせ いか、腰が痛 い、足が痛 い、腕
も痛 い、アゴが鳴る (ス トレス らしい)、 カラダの あち こちがス トライキを起 こし始めた。ち ょうどそ
の頃、41歳 の若 さで友人が亡 くなった。彼の死後、 もはや突然 とい う言葉が失われて しまった。誰 に
何があって も不思議ではないの だ。そ して昨夏、母が突然入 院する事態 となった。 これ まで も、父の
病気 もあ り薄氷 を踏 む思 いの 日々ではあった。 しか し、 一 日で も先 にのびて欲 しかった出来事 はあっ
けな くや って来た。
本書のシリーズは以前か ら毎回楽 しみに していたが、最初か ら最後 まであっとい う間に読破 したのが、
この『エ イジズ ム』 だった。わた しに とって、今や恋愛で もポルノグラフイで もな く「老 い」 力`
一番
身につ まされたテーマであったことが、 ここに きて判明 して しまった。
バーバ ラ・マ ク ドナル ドの「 フェ ミニ ズムの 中のエ イジズ ム」 は最初か ら挑戦的だ。 フェ ミニス ト
たちはバーバ ラたちの許へ歴史 を学 びにやって くる。現在かか えてい るバーバ ラたちの困難 な状況 を
知ろうとしない。そ こで彼女は言 い放 つ、「私たちはあなた方の母親で もなければ、祖母で も叔母で も
ない」 と。高齢者女性 こそが、母性神話の極限にいると明言す る。
エ ミリー・ K・ エ イベ ルの「娘の人生 と親の介護」 の 中では、両親 の介護が育児 に代 わって女性 の
離職の主たる理 由になって きて い る事実。 また介護の社会的サー ビスの充実 を求める声 が、あ らたな
家族主義の強化 へ 利用 される危険性 を指摘 しつつ、介護す る人、 される人、介護者 を持たない人 を含
めて介護のあ り方 を模索する。
富岡多恵子 ×小倉千加子の対談「死 に向か う孤独」 は「究極 の孤独」死 を「死 に行 く側の視点」で
語 り合 う。
上野千鶴子 の「弱者へ の変容 を生 きる」はフェ ミニズムのキー ワー ドが「 自立」だったが、ヘ ルプ ミー
といえる「依存 しなが らの 自立」の方向を探 る新 しい課題 を投 げかける。映画 に文学に漫画 に筆者 た
ちはあ らゆる角度か ら「老 い」 を解 きあかす。
それにひきかえ巻末ア ンケー ト「男性 オ ピニ オ ンリー ダー に聞 く・男 の老後」 の回答の無 自覚 さは、
羽田澄子の「 自作 『痴呆性老人の世界』 に見 る男 と女」 の 中の淋 しい男 の姿 に重 なってい く。-21世
紀 はババ視座か ら世の中を変えてい く一樋 口恵子の言葉が決 して夢ではない とこの本 を読む と力強い
気持 ちになれ る。
吉田 ミユ キ (び お亭 )
= 原 稿 募 集=
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400字 詰原稿用紙に約 2枚 ,900字 前後です。掲
さも。本当に書 きたいことを書 く本 との出会 いはス
載させて頂 いた方には薄 々謝,進 呈致 します。
「あなたの情報 。私の情報」 とコラム「私の出
会った本」は知って欲 しい本,御 意見等に御利用
ください。600字 以内。但 しこの欄 は 申 しわけあ
りませんが薄々謝 も差 し上げられませんので念の
ため。
宛先は 〒602京 都市上京区下立売通西洞院西入
松香堂書店「ウイメンズ ブックス係」です。
上記両方 とも次号 の締切 りは 1993年 4月 20日 。
編 集 室 か ら
リリングで刺激的。一読者 としてまっす ぐに向き合
いたい。
「読みた くなる」新刊情報をお届けします。
よろしく。
(M・
Y)
◎新刊紹介を担当するようになり、本 との出会 いが広
が りました。そ して女の本のすそ野の広 さを、あら
ためて実感 しました。「読み物 として も面白い」新
刊情報を目指 します。 どうぞ よろしく。
◎次号は1993年 5月 25日 発行の予定です。
(Y・
I)