特集1 ベトナム物流マーケット

ベトナム物流マーケット 特 集 1
第 4 部:フォワーダー現地リポート
しく、こうした倉庫を確保できるかといっ
た問題もある。最近では、温度管理機能
などさまざまな機能を持つ倉庫へのニー
近鉄エクスプレス
ロジス業務でサービス向上に注力
ズも高まっており、こうしたケースへの対応
景気後退、国内・国際で貨物量減も
サービス差別化へ、各社が取り組み
05 年前後から相次ぐ日系物流企業の新規参入、現地法人化で、物流各社の
競争は激しさを増している。これに拍車をかけるように、世界的な景気後退か
ら貨物量は国内・国際輸送で減少傾向。物流各社はこれまで以上に、サービ
スの差別化を迫られている。進出企業の増加に伴い、物流ニーズの多様化、
高度化も加速する中、各社に今後の戦略を聞いた。
国内・国際で貨物量減
北部で物流ニーズ高度化
では自社倉庫の方がより柔軟な施策を講
じることができる。
東西経済回廊はコスト面で課題
衣類やワイヤーハーネスなど自動車部品の
ベトナムの航空マーケット全体の現状に
取り扱いが多いという。航空、海上をあわ
ついて嶋本社長は「足元では、特に米国
せた KWE ベトナムの全取扱量のうち、日
向け貨物の減少が著しい。ベトナムは衣料
本発着貨物が占める割合は6割程度。
「自
や靴などの輸出が多いが、このうち半分は
近鉄エクスプレスのベトナム法人、KWE
社グループの国際ネットワークを活用する
米国向け。例年ならば、クリスマスに向け
ベトナム
(Kintetsu World Express<Viet-
ことで、日本発着以外の貨物も多く取り扱
て 9 ∼ 11 月が出荷のピークとなるはずだ
nam>Inc)
は、近鉄エクスプレスとビナトラ
っている」
という。
が、物量は半減している」とし、米国経済
ンス・グループのビナフレートとの合弁会
倉庫運営では、昨年 2 月にハノイでロジ
の停滞が荷動きに大きく影響していると指
社。設立は 05 年5月で、出資比率は現地
スティクス専門会社の Kintetsu Logistics
摘する。また、ベトナムではローエンドの自
物流大手ビナフレート51 %、KWE49 %。
(Vietnam)Inc.(KLV)
を設立。ハノイ近郊
動車部品の生産が盛んで、これらの輸出
ルートとして注目を集める、東西経済回廊
ホーチミンに本社、ハノイに支店を構え、タ
のクアンミン工業団地内に 4500 ㎡の倉庫
は製品より少し早い 8 ∼ 10 月がピークとな
を利用したベトナム∼タイ間の陸路輸送だ
ンソンニャット国際空港、VSIP(ベトナム・
を建設し、今年1月から稼働を開始した。
るが、こうした貨物の減少も際立っていた
が、現時点で常時利用している荷主は少
シンガポール工業団地)、TTEPZ(タント
このうち 2700 ㎡のスペースでは保税蔵置
という。嶋本社長は「こうした経済状況か
ない。東西経済回廊を利用した場合、海
ゥアン輸出加工区、いずれも南部)、ハイ
が可能で、大手家電メーカー案件を中心
ら、現状では新拠点設立などの予定はな
上輸送では 10 ∼ 14 日かかるバンコク/ハ
フォンに事務所を置く。
海上、航空輸送を補完する第 3 の輸送
ノイ間を、3泊4日で走行することが可能。
航空輸送と比較しても、コストを大幅に削
に VMI や JIT 納入などの高度なロジステ
い」
とし、特に国内の保管・配送業務でサ
KWE ベトナムの月間貨物取扱量は、航
ィクス業務の提供が可能だ。KLV 設立の
ービスレベルの向上を進める。
「この 3 ∼ 4
空貨物が輸出入合わせて約 400 ㌧。件数
背景について嶋本社長は「ハノイとその周
年で国内配送用のトラックのうち 7 割を自
そんしょく
世界的な景気後退から、ベトナム発着の
近年、ベトナム政府の積極的な外資誘
減しながら、ドアツードアではほぼ遜色な
ベースでは輸出が約 500 件、輸入が約 700
辺の北部地域は、日系大手セットメーカー
社車両とするなど、国内の体制は充実して
国際貨物取扱量は減少傾向にある。特
致により、北部地域には日系大手セットメ
い日数で輸送することができる。07 年末
件。KWE ベトナムの嶋
の進出に伴って多数の部品メーカーが進
きた。当面は、業務品質の向上に重点を
に、米国発金融危機が深刻化した 9 月ご
ーカーの進出が相次いだが、これに伴っ
から 08 年初頭にかけて日本政府と日系荷
本利彦社長は「航空貨
出している。同倉庫でも大手家電メーカー
おいて事業を進めたい」
という。
ろから米国向け貨物を中心に減ってきて
て部品メーカーの進出も加速。このため、
主、物流企業らによる実証実験も行われ、
物は、マーケットの拡大
への VMI 供給を手掛けているが、高機能
いるとする声が多く、今後はさらなる減少
北部ではセットメーカーへの部品供給で輸
輸送品質面では実用段階に入っているも
に合わせて依然増加し
倉庫の活用による高度なサービスはさらに
が見込まれている。
送・保管ニーズが高度化・多様化してい
のの、海上輸送の 3 倍を超えると言われ
ているが、年初から海
求められるようになる」と語る。同倉庫は
る。物流各社は運営する倉庫に保税スペ
るコストがネックとなって、利用に積極的な
上シフトの動きがより顕
保税スペースに温度管理・低湿スペースも
動二輪車などの輸送量が減少してきてい
ースを設置するなど倉庫機能の強化や、
荷主は少ない。日系大手やベトナム国内
著になっており、海上貨
ることから、国内景気が冷え込む可能性
配送車両の増車などを進めている。保税
輸送で強みを持つ物流業者を中心に、同
物の取扱量も増加して
しか保税倉庫を持てないため、同団地内
ケイラインロジスティックス
(KLL)
は 06 年
も指摘されている。
機能を活用した VMI(ベンダー・マネージ
ルートの利用が可能なことはアナウンスさ
いる」
と語る。海上貨物の月間取扱量は輸
唯一の保税倉庫となる点も強みだ。嶋本
1 月、ホーチミン市に駐在員事務所を開
今回、本稿に登場する物流業者の中で
ド・インベントリー)供給や、JIT(ジャスト
れているが、定期混載便を開始しているド
出が平均 150TEU、輸入が 100 TEU で
社長は「家電メーカー案件では、製品の検
設。ベトナム国内のマーケット調査や空港、
は、これまで駐在員事務所を設置してい
インタイム)供給などのニーズに対し、より
ラゴンロジスティクスでも「採算ベースに届
件数では輸出入合わせて 300 件ほどにな
査業務も受託しており、今後はこうした周
港湾設備などのリサーチに加え、ホーチミ
た阪急エクスプレスと阪神エアカーゴが共
充実したサービス体制を構築する狙いだ。
くのは当分先になる」とし、現状では採算
る。海上貨物では、外資系大手アパレルの
辺業務のニーズも増えていくだろう」
という。
ンに進出しているKLL の顧客企業へのサ
同で現地法人化(阪急阪神ホールディング
また、北部地域はメーカーなどが入居す
度外視で認知度の向上を図っている段階
ス出資)、西日本鉄道は現地法人で新規
る工業団地や、空港、港湾が点在してい
参入を果たした。それぞれ、これまでもパ
ることもあり、案件を受託した際は顧客工
しかし、海上輸送に比べて、リードタイ
ートナーを通じてベトナム発着貨物を取り
場などの近くでサービスを提供する必要
ム短縮のメリットが高いことは確かで、サ
扱ってきたが、現地法人化を機に新規案
がある。
「案件ごとに拠点を設置していた
ービスを提供する各社では長期的な視点
件獲得に意欲的に取り組んでおり、競争
らコストがかかってしょうがないが、顧客
で利用を促進していく姿勢を示している。
は激しさを増している。
はキメの細かいサービスを求めており、自
中国華南地区からハノイへの中越陸路
国内輸送でも、これまで好調だった自
輸 送 では 、郵 船 航 空 サ ービスベトナム
している背景には、日系荷主からより日本
との声もあるように、北部地域ではこの問
(YAS ベトナム)などが昨年から定期混載
的なサービスを望む声が高まっている点
題に頭を悩ませる企業も多い。
が挙げられ、パートナーの名前ではなく、
倉庫施設の場合は借庫やパートナー倉
自社の看板を掲げた事業展開の必要性が
庫を活用する方法もあるが、保税蔵置を
増しているといえる。
前提とするなど物流ニーズの高度化は著
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案件拡大、現地法人設立も視野
完備。ベトナムでは、1加工区につき1業者
だ。
社拠点を設置せざるを得ないことが多い」
日系フォワーダーの現地法人化が加速
嶋本社長
ケイラインロジスティックス
便を開始しており、同ルートではベトナム
発の貨物を徐々に増加させて採算性を高
めている物流業者もあるようだ。
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ポート活動などを行う。自社貨物の取り扱
加速する。食品などの取り扱いを考えて
58 台を所有し、従業員は約 600 人。さら
運営体制を構築す
港、以下 JGL)
との合弁で設立。南部にホ
いでは、現地パートナーを通じて倉庫運営
いる、企業も多く、保税や温度管理機能な
に、ホーチミン、ハノイ、ハイフォンに計 1 万
るとともに、ドライバ
ーチミン本社、北部ではハノイ支店ほかハ
などでノウハウを提供している。また、今
どを備えた倉庫の需要がますます高まる
7000 ㎡以上の自社倉庫を構えるなど、充
ーなど従業員の教
イフォン港やノイバイ空港などに 5 カ所に
年 6 月にはハノイにも駐在員事務所を設
だろう」
とし、KLL でもこうした高機能倉庫
実した国内体制を築いている。
育や自社車両の整
サービス拠点を構え、9 月には中部ダナン
立。日系企業の進出が加速する北部地域
の運営を検討している。
ベトナム発着の輸出入貨物は、航空・海
備・点 検 の 強 化 、
に支店を開業した。スタッフはホーチミン
今後のベトナムでの活動について花井
上ともに靴や繊維関連が中心。海上貨物
GPS などを駆使し
本社に 45 人(うち日本人 2 人)
、ハノイ支店
KLLとしての主な取り扱い貨物は、デジ
所長は「ベトナムではこれまで、顧客本位
では、一部木製家具なども取り扱う。また
た配送業務のシス
に 35 人(同1人)の 80 人体制。南部では
タル家電や自動車関連部品などで、このう
のサービスを心掛けることが、その後の案
国内では、自社トラックによる家電製品や
テム 化 を 進 める 。
航空フォワーディング、北部では航空フォワ
ち日本発着貨物が 8 割を占める。通関件
件獲得につながってきた。引き続き、きめ
二輪車の完成品輸送を手掛けており、物
新井社長は「インフ
ーディングのほかにロジスティクス関連業務
数ベースでは、航空利用が 6 割、海上利
の細かいサービスを心掛けるとともに、倉
量は増加傾向にあるという。佐川急便ベ
レや労働者の賃金
にも重点的に取り組んでいる。
用が 4 割となっているが、最近では海上貨
庫運営などでノウハウを蓄積していきた
トナムの新井誠社長は
でも、顧客のサポート体制を整えた。
物が増加傾向にある。KLL ホーチミン駐
い」
と語る。事務所設立以来、貨物取扱量
「国内輸送では、トラッ
在員事務所の花井雅康所長は「取り扱い
も順調に拡大していることから、今後は現
案件は年々増加しているが、足元ではマ
地法人の設立も視野に入れる。
上昇など、事業環
佐川急便ベトナムホーチミン本社
ジュピター・パシフィックは、昨年から日
境は変化している。
系企業が多数進出する北部のタンロン工
クの積載・回転率をさ
顧客へのサービス
業団地(TLIP)やハイズン省など北部地域
らに向上させることで、
をコスト、質の両面
で拠点展開を加速し、主に輸出加工型産
ーケット全体の伸びが
利益率を高めていきた
けている」
と語る。依然として、ラオス側の
で高めながら、従業員にはより魅力的な
業の進出企業に対し、サプライヤーのパ
鈍化している。当面は、
い」とし、将来的には
インフラ面や通関事情、片荷問題など課題
労働環境を提供すべく、経営体質の強化
ーツ配送請負業務や工場間物流、コンテ
は多いが、早期に価格競争力のあるサー
を図りたい」という。
ナ陸送などのロジスティクス業務に進出を
佐川グローバルロジスティクス
特に輸出加工分野で
厳しい局面が続くだろ
経営効率化、サービス向上に注力
う」と指摘。全体の物
量の減少に伴い、物流
佐川急便ベトナムは、97 年に佐川急便
混載輸送サービスの開
新井社長
始も視 野 に 入 れ るな
ビスとしての提供を目指すという。また、今
ど、顧客の要望に沿った効率的なスケジ
後は中国華南地区からの陸路輸送につい
ュールの提供を目指す考えだ。
ても、商品化に向けた取り組みを進めて
図ってきた。川崎社長は「北部は空港や港
ジュピター・パシフィック
湾、顧客企業の拠点が広範囲に広がって
いるため、顧客ニーズに沿ったサービス
と現地物流業者の合弁で設立。このほど、
東西回廊を利用したタイ∼ベトナム間の
圧力も高まることが予
合弁相手を変更し、経営体制を改めた。
陸路輸送では、引き続き商品化に向けた
今後の事業展開について、新井社長は
想されるという。
ホーチミン∼ハノイ間の南北陸上輸送に強
取り組みを進めている。佐川急便ベトナム
「09 年以降は、当社事業の柱となりうる新
ジュピター・パシフィックは 97 年、ベトナ
説明する。ベトナムでは、省ごとに税関当
南部では、現地パートナーを通じた倉
みを持ち、航空・海上フォワーディングでは
は 07 ∼ 08 年初めにかけて、日本の経済
規事業の開始を模索する一方、経営効率
ム第 2 位の航空会社パシフィック航空と日
局の法律や通達に対する解釈、運用がま
庫運営を拡大している。以前から市内で
自社通関に加え、充実した国内配送網を
産業省や国土交通省主催の実用化トライ
化、サービス品質の強化も進める」と語
本航空インターナショナルグループのジュ
ちまちであることも多く、輸出入業務に関
運営していた延床面積 1400 ㎡の倉庫に加
生かした一貫輸送サービスを提供。国内
アルに参加するなど、東西経済回廊の商
る。ベトナム全土で、よりコスト効率の高い
ピター・グローバル・リミテッド(本社=香
して顧客企業の相談に乗る機会が多いと
え、新たに市内に第2 倉庫(720 ㎡)
を今年
拠点は、南部にホーチミン本社を含む 5 拠
品化には積極的に取り組んできた。新井
10 月から開業。機械部品などを取り扱う。
点、北部にハノイ支店、ハイフォン営業所、
社長は「サービス開始は着実に近づいて
花井所長は「09 年から独資による商社設
中部にダナン支店を構える。自社で、トラ
いる。現在は商品として安定したサービス
立が可能になるため、日系商社の進出も
クターヘッド 35 台、シャーシ 65 台、トラック
を提供すべく、市場調査や試験走行を続
業者への料金の下げ
30
花井所長
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いくという。
新会社設立で、空港ロジ展開
を提供するために、顧客工場内や近接地
にサービス拠点を置いて対応している」
と
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いう。
昨年に第 3 倉庫が完成したことで、第 1 倉
ている。昨夏から週 2 便で提供していた
今後の事業展開について川崎社長は
庫はすべて保税に切り替えた。住友商事
中国・華南∼ハノイ間サービスは今夏から
「先ごろ、中部のダナンにも拠点を開設し
物流事業部の中西栄介・アジア事業推進
週 3 便に増便。大口顧客の貨物をベース
たが、今後はジュピター・パシフィックとジュ
チームリーダーは「近年は電子部品関連な
に取扱量を伸ばしている。また、タイ・バン
ピター・ロジスティクスが共に連携しなが
どで顧客のニーズが高度化しており、現在
コク∼ハノイ間でも今夏から定期混載サー
ら、一歩一歩ベトナム全土でロジスティク
は定温スペースの設置を準備している」
と
ビスを開始しており、顧客の認知度も高ま
ス事業を発展させていきたい」と語った。
説明する。サプライヤーの進出が増加し
っていることから、さらに利用を促進して
たこともあり、1 日 6 ∼ 12 回といった高頻
いくという。
品の取り扱いもある。
11 月には、空港周辺でのロジスティクス事
業強化を目的とした新会社ジュピター・ロジ
Focus
1
スティクス・ベトナム
(JUPITER LOGISTICS VIETNAM JOINT STOCK
COMPANY)
を設立した。新会社はホー
タンロンインダストリアルパーク
TLIP Ⅱ販売開始、09 年 6 月から稼働
タンロンインダストリアルパーク(TLIP)は、 激な高まりから各地で停電が多発しているが、
住友商事が現地企業とハノイ市内に設立した
TLIPでは変電所を併設することで、電力供給で
チミン市に本社を構え、中部や北部も含め
総開発面積 274 ヘクタールの工業団地。ノイ
もバックアップ体制を敷く。また、TLIP 全体で5
たベトナム全土での事業展開を予定する。
バイ国際空港から 14km、市内中心部までは
万 2000 人の労働者が雇用されているが、近接
川崎社長は「新会社のコンセプトは、
“エアポ
16kmという好立地から、多くの日系大手セッ
地には TLIP 労働者用にハノイ市が公共アパー
ート・ロジスティクス”。当社の強みである、
トメーカーや部品メーカーなどが進出している。 トを建てるなど、周辺環境も充実してきている。
航空フォワーディングを軸としたサプライ・
チェーン・ロジスティクス・ビジネスを展開
したい。まずは既存顧客とのパートナー
98 年から 3 期に分けて開発され、昨年 9 月か
現在は、TLIP から南東 46km に位置する、フ
らは工場用地すべてが供用可能に。現在は、 ンイエン省イエンミー県に第 2 タンロンインダ
日系企業を中心に精密機器、電気、自動車関
連など 83 社が入居し、工場用地はほぼ完売の
ドラゴンロジスティクス
09 年内、TLIP2 にも物流拠点
金は 1500 万㌦で、住友商事が 80 %、TLIP が
状態だ。現在の出資比率は住友商事が 58 %、 20 %を出資する(実質、住友商事が 91.6 %を
できれば」と語る。事業の詳細は未定だ
ベトナム建設省傘下の国営企業が 42 %。
開発中の TLIP2 にも物流センターを設置
予定で、来年中の開業を目指している。
北部では TLIP の自社倉庫以外でも、
ストリアルパーク(TLIP Ⅱ)を建設中だ。資本
シップに基づいた幅広いサービスを展開
度の国内配送も受託している。今後は、
西日本鉄道
VSIP Ⅱ内に倉庫スペース確保
ドラゴンロジスティクスは、住友商事、鈴
バクニン省ティエンソン地区のパートナー
与と現地物流企業の4社合弁で 96 年に設
倉庫で大手セットメーカー案件を請け負う
西日本鉄道のベトナム法人 NNR ベトナム
出資)
。ハノイ市中心部から33km、ノイバイ国
立。タンロンインダストリアルパーク
(TLIP)
ほか、ハノイ近郊でも外部倉庫を活用した
「NNR GLOBAL LOGISTICS<VIET-
住友商事は、フィリピンやインドネシアなど
際空港から 53km、ハイフォン港からは 82km
に本社を構え、同団地に進出する日系企
倉庫運営を受託している。
「北部では進出
NAM>(NNR ベトナム)
は現地物流業者の
東南アジア地域で工業団地事業を展開。工業
と、主要ポイントへのアクセスも良好だ。総開
業などを中心に物流サービスを提供して
企業の生産拠点が点在しているため、す
Royal Cargo Vietnam が 51 %、西日本
団地の提供だけでなく、物流サービスや企業の
発面積は 220ha で、2 期に分けて開発・販売す
進出支援を組み合わせた付加価値サービスを
る。第 1 期は 09 年半ばから稼働予定で、今年
いる。ホーチミン、ドンナイ、ハイフォン、ダ
べてに自社拠点を設置することは難しい。
鉄道が 49 %を出資して今年 9 月にホーチ
展開している。特に海外進出の経験が少ない
8 月から予約販売を開始した。顧客企業は 09
ナンに拠点を設置し、従業員は400 人。国
自社倉庫ではなくても、当社のノウハウを
ミンで開業。スタッフは上野延寿社長を
08 年第3四半期(1∼ 9 月)
までの取り扱
中小企業などは住友商事の全面的なサポート
年初頭から工場の建設を開始できる。すでに、
際輸送から通関、国内配送まで総合的な
生かした倉庫運営を提供していきたい」
と
含む 11 人で、航空・海
い貨物量は、ホーチミンでは輸出で海上、
を受けられるため、スムーズな進出が可能にな
第 1 期開発面積 94ha のうち約 13ha で日系企
物流サービスを提供し、特に通関・倉庫運
いう。南部では、昨年からアマタ工業団地
上 フォワーディング 業
航空とも前年比を上回るものの、第 4 四半
る。ベトナムでは、進出時の各種手続きや進出
業6社と予約契約を締結。6社はみな、海外初
営・配送などの国内物流業務に強みを持
内に自社倉庫を設置。5400 ㎡のうち一部
務 や 国 内 の 通 関 、配
期に入って米国向け需要が急激に落ちて
後のサポートに加え、物流面ではドラゴンロジ
進出の企業で、業種は航空機部品や自動車部
つ。自社保有の倉庫や車両などの充実し
に保税スペースを設置し、VMI などのロ
送、倉庫業務などを手
たアセットを活用し、VMI、ミルクラン配
ジスティクス業務を提供できる体制を整え
掛ける。取り扱い貨物
送、保税倉庫運営など高度なロジスティク
た。同倉庫は拡張余地もあるため、同倉
は航空輸送が中心で、
ス業務を提供している。
庫を基点に南部での事業を拡大していく
西鉄ベトナム開業後は
方針だ。
特に輸入貨物の取り
が、国内各地の空港周辺で質の高い貨
物ハンドリングを提供していきたい考え。
今後の案件次第では、物流センター運営
なども視野に入れる。
きている。川崎社長は「米国発金融危機
の影響もあり、今後は
スティクスの物流サービスを提供することで、 品、医療器具などだ。
顧客の部材調達や保管、国内外への輸配送を
支援している。
米国向け貨物のさらな
TLIP Ⅱでは、TLIPと同様に各種インフラを
完備し、物流サービスや進出支援を提供する
TLIP 敷地内は、雨水排水設備や上下水道、 高付加価値サービスを展開する。今後は、
上野社長
る減少が懸念される。
通信施設、浄水場、下水処理場上下水道や変
2012 年までに第1期の完売を目指し、第 1 期
本社を置くTLIP では倉庫棟 3 棟・計1
ベトナムの航空貨物マ
電所などを完備し、企業の生産活動をインフラ
の販売状況を見ながら第 2 期の開発・販売に
万 5000 ㎡を運営。以前から、VMI 業務の
ドラゴンロジスティクスは、泰越間や中越
ーケットは米国および
面で支えている。ベトナムでは電力使用量の急
移行する予定。
受託拡大に伴って第 1 倉庫(約 5000 ㎡)の
間の陸路輸送にも積極的に取り組んでお
NNR ベトナムはこのほど、ホーチミン近
保税スペースを段階的に拡張してきたが、
り、両ルートで定期混載サービスを提供し
郊ビンズオン省の VSIP Ⅱ(ヴェトナムシン
欧州向けが主力のた
め、状況を注視してい
扱いを増加させている。
川崎社長
きたい」と語る。航空
輸出では、繊維製品が最も多く、続いて花
卉類など生鮮貨物、電子部品、機械部品
など。
海上貨物では、繊維製品に加えて釣具、
自動車部品、シーフード製品などを取り扱
っている。ハノイでの貨物取扱量は年々
増加しており、ホーチミンの取扱量の過半
に迫ることもあるという。北部では、ロジ
スティクス業務を多く手掛けることもあり、
機械部品や電子部品などの取り扱いが中
TLIP Ⅱの完成イメージ図
心だが、一部欧州向けや日本向け繊維製
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