卵白タンパク質の有用性に関する研究

第 10 回
日本機能性食品医用学会
卵白タンパク質の有用性に関する研究
(卵白タンパク質はラット内臓脂肪を低減させる)
1
武藤彩乃、1 高橋弥生、1松岡亮輔、1木村守、1増田泰伸、2高橋陽子、3宇都宮一典
1
キユーピー㈱研究開発本部、2(独)農研機構
3
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科
食品総合研究所、
【目的】
卵白タンパク質(EWP)は、非常にバランスの良いアミノ酸組成であり、良質なタンパク質であるこ
とが知られている。これまでに我々はEWP摂取時の正味タンパク質利用率が、大豆タンパク質および
乳清タンパク質に比べ高いことを確認している。またカゼインと比較してEWP摂取時のカーカスのタ
ンパク質量は高く、さらに TG 量は低いことを確認している。そこで本試験では体タンパク質と体脂肪
の主要組織である骨格筋および内臓脂肪へのEWPの影響を評価した。
【方法】
(実験 1)4 週齢の SD 系雄ラットにカゼインまたはEWP20%、コーン油 10%を配合した AIN-76 組成
準拠の試験食をそれぞれ 4 週間ペアフィーディングで摂食させ、骨格筋重量(腓腹筋、ヒラメ筋)
、内
臓脂肪重量(精巣周囲、腎周囲、腸管膜脂肪組織)を測定した。
(実験 2)実験 1 の飼料を 2 週間摂食させ、骨格筋重量、内臓脂肪重量の測定ならびに骨格筋の脂質代
謝に関与する酵素活性と mRNA 発現量を測定した。
【結果】
(実験 1)骨格筋重量はEWPがカゼインに対して有意に高値を示し、内臓脂肪重量はEWPがカゼイ
ンに対して有意に低値を示した。
(実験 2)骨格筋重量はEWPがカゼインに対して有意に高値を示した。内臓脂肪重量はEWPがカゼ
インよりも低値を示したものの統計学的な有意差はみられなかった。また、骨格筋の脂肪酸合成酵素へ
の影響は認められなかったが、β-酸化に関与するカルニチンパルミトイル転移酵素活性はEWPがカ
ゼインに対して有意に高値を示した。
【結論】
EWPは骨格筋重量を増加させ、骨格筋のβ-酸化を高めることによりエネルギー代謝が亢進し、内臓
脂肪重量を低減させる可能性をみとめた。これよりEWPは内臓脂肪に起因する疾病の予防にも活用で
きると考えられた。