家族形態による理想と現実の「食スタイル」について ○小林愛子、松山綾、森川聡 日清オイリオグループ㈱ 生活科学研究室 【背景・目的】 少子化の原因として、初婚年齢の上昇や、結婚してから子供を産むまでの期間が長くなっ ていることが指摘されている。その理由の一つに、単身者や夫婦2人の家族形態を望む人 は、子供を育てる(家族を持つ)よりも、食を含めたその他のライフスタイルを重視した い気持ちがあると推測した。 そこで、本研究では、少子化により今後増加する食に関するライフスタイル(食スタイル) を予測することを目的に調査を行なった。 【方法】 調査対象者:以下のような家族形態を志向し、実際にその家族形態である全国 20~40 代 の女性 600 人 結婚 子供 人数 単身志向 未婚 なし 150 人 夫婦2人志向 既婚 なし 150 人 1人っ子志向 既婚 1人 150 人 子だくさん志向 既婚 2人以上 150 人 調査方法:インターネット調査 【結果】 望んでいる食スタイルが実現しているか否かについて聞いたところ、「単身志向」では全 体的に食に対して望むことが少ない傾向にある。手間がかからず、1人で食事をするスタ イルは実現しているが、健康に配慮した、家族で食事をするスタイルは実現できていなか った。「夫婦2人志向」では、総じて望むスタイルを高い割合で実現している。特に時間や 費用をかけて食を楽しむスタイルの実現は高い。「子だくさん志向」は、食に対して望むこ とが多い。望む食スタイルは、「単身志向」と逆の傾向で実現していた。 【考察】 「夫婦2人志向」の増加によって、食を積極的に楽しむ人が増える可能性がある。一方、 「単身志向」の増加と、 「子だくさん志向」の減少によって、 「家族揃って食事をすること」、 「規則正しい食生活」、 「栄養バランスに気をつかうこと」は実現できず、「料理をしない」 など、食について興味が薄く、乱れた食生活を送る人が増えるかもしれない。 さらなる少子化時代を迎える中で、特に単身者に向けて一層の「食育」への取組みが必要 である。
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