本会議(代表質問)

第393回定例福井県議会会議録
第 2 号
平成28年9月14日(水曜日)
―――◆
◆●◆●◆
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議 事 日 程
9月14日(水)
午前10時開議
諸般報告
第1 議席の一部変更について
第2 総務教育常任委員会委員の選任について
第3 厚生常任委員会委員の辞任許可について
第4 予算決算特別委員会委員の辞任許可及び選任について
第5 第55号議案から第66号議案まで(12件)及び報告第18号から報告第33号まで(16件)
――――――――――――――
本日の会議に付した事件
日程第1 議席の一部変更について
日程第2 総務教育常任委員会委員の選任について
日程第3 厚生常任委員会委員の辞任許可について
日程第4 予算決算特別委員会委員の辞任許可及び選任について
日程第5 第55号議案から第66号議案まで(12件)及び報告第18号から報告第33号まで(16件)
第55号議案 平成28年度福井県一般会計補正予算(第1号)
第56号議案 平成28年度福井県下水道事業特別会計補正予算(第1号)
第57号議案 福井県民生委員定数条例の一部改正について
第58号議案 福井県児童福祉施設の設備および運営の基準に関する条例の一部改正について
第59号議案 福井県産業振興施設の設置および管理に関する条例等の一部改正について
第60号議案 ふくい農業ビジネスセンターの設置および管理に関する条例の制定について
第61号議案 福井県立体育施設の設置および管理に関する条例および福井県立青年の家設置条例
の一部改正について
第62号議案 福井県警察本部の部制に関する条例の一部改正について
第63号議案 指定管理者の指定について
第64号議案 県有財産の取得について
第65号議案 平成27年度福井県歳入歳出決算の認定について
第66号議案 平成27年度公営企業会計における剰余金の処分および決算の認定について
報告第18号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第19号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第20号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第21号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第22号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第23号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第24号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
-21-
報告第25号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第26号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第27号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第28号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第29号 専決処分の報告について(損害賠償額の決定および和解について)
報告第30号 健全化判断比率の報告について
報告第31号 資金不足比率の報告について
報告第32号 平成27年度福井県一般会計継続費精算報告書
報告第33号 平成27年度公立大学法人福井県立大学業務実績評価の結果について
―――◆
◆●◆●◆
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午前10時00分 開 議
会議に出席した議員(36名)
1番
井 ノ 部
航
太
20番
大 久 保
2番
辻
一
憲
21番
松
田
泰
典
3番
清
水
智
信
22番
田
中
宏
典
4番
力
野
豊
23番
大
森
哲
男
5番
宮
本
俊
24番
石
川
与 三 吉
6番
島
田
欽
一
25番
笹
岡
一
彦
7番
松
井
拓
夫
26番
田
中
敏
幸
8番
西
本
恵
一
27番
欠
9番
細
川
か を り
28番
山
本
正
雄
10番
西
畑
知 佐 代
29番
野
田
富
久
11番
鈴
木
宏
紀
30番
山
本
芳
男
12番
長
田
光
広
31番
田
村
康
夫
13番
小
堀
友
廣
32番
斉
藤
新
緑
14番
小
寺
惣
吉
33番
仲
倉
典
克
15番
畑
孝
幸
34番
山
本
文
雄
16番
中
井
玲
子
35番
中
川
平
一
17番
佐
藤
正
雄
36番
山
岸
猛
夫
18番
西
本
正
俊
37番
関
孝
治
19番
糀
谷
好
晃
―――◆
◆●◆●◆
衞
員
◆―――
説明のため出席した者の職氏名
知
事
(委任を受けた者)
西
川
一
誠
博
英
副
知
事
石
塚
副
知
事
藤
田
長
東
村
健
治
総 合 政 策 部 長
山
田
賢
一
安 全 環 境 部 長
清
水
英
男
健 康 福 祉 部 長
櫻
本
宏
産 業 労 働 部 長
片
山
富 士 夫
観 光 営 業 部 長
佐 々 木
総
務
部
-22-
穣
康
男
保
博
義
則
久
敏
弘
山
﨑
祐 美 子
教育委員会教育長
森
近
悦
治
公安委員会委員
野
口
正
人
猪
原
誠
司
人事委員会委員長
野
村
直
之
監
員
緒
方
正
嗣
選挙管理委員会委員長
熊
澤
喜 八 郎
(委任を受けた者)
査
委
農 林 水 産 部 長
中
土
長
辻
国 体 推 進 局 長
国
会
木
計
警
察
部
管
本
理
部
者
長
村
―――◆ ◆●◆●◆ ◆―――
事務局出席職員氏名
事 務 局 長
小
寺
啓
一
議事調査課主任
藤
木
良
子
議事調査課長
小
林
里
代
議事調査課企画主査
江
守
紀
章
議事調査課参事
松
山
哲
治
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
○議長(松井拓夫君) これより、本日の会議を開きます。
――――――――――――――
○議長(松井拓夫君) まず、書記から諸般の報告をさせます。
〔書 記 報 告〕
辞 任 願
このたび、議長として議会運営に当たって中立公平な立場を保つため、厚生常任委員会委員を辞
任したいので、許可されるようお願いします。
平成28年9月14日
福井県議会副議長
畑
孝 幸
様
福井県議会厚生常任委員会委員 松 井 拓 夫
――――――――――――――
○議長(松井拓夫君) なお、説明者として、地方自治法第121条の規定により、選挙管理委員会委
員長熊澤喜八郎君の出席を求めておきましたので、御了承願います。
――――――――――――――
○議長(松井拓夫君) 次に、議会運営委員会の委員長及び副委員長互選の結果、委員長に斉藤君、
副委員長に仲倉君が選任されましたので、御報告申し上げます。
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
○議長(松井拓夫君) 本日の議事日程は、お手元に配付いたしましたとおりと定め、直ちに議事に
入ります。
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
第1 議席の一部変更について
○議長(松井拓夫君) まず、日程第1 議席の一部変更についてを議題といたします。
会議規則第4条第3項の規定により、ただいま御着席のとおり、議席の一部を変更いたしました
ので、御了承願います。
――――――――――――――
-23-
新 議 席 表
1番
井 ノ 部
航
太
20番
大 久 保
2番
辻
一
憲
21番
松
田
泰
典
3番
清
水
智
信
22番
田
中
宏
典
4番
力
野
豊
23番
大
森
哲
男
5番
宮
本
俊
24番
石
川
与 三 吉
6番
島
田
欽
一
25番
笹
岡
一
彦
7番
松
井
拓
夫
26番
田
中
敏
幸
8番
西
本
恵
一
27番
欠
9番
細
川
か を り
28番
山
本
正
雄
10番
西
畑
知 佐 代
29番
野
田
富
久
11番
鈴
木
宏
紀
30番
山
本
芳
男
12番
長
田
光
広
31番
田
村
康
夫
13番
小
堀
友
廣
32番
斉
藤
新
緑
14番
小
寺
惣
吉
33番
仲
倉
典
克
15番
畑
孝
幸
34番
山
本
文
雄
16番
中
井
玲
子
35番
中
川
平
一
17番
佐
藤
正
雄
36番
山
岸
猛
夫
18番
西
本
正
俊
37番
関
孝
治
19番
糀
谷
好
晃
―――◆
◆●◆●◆
衞
員
◆―――
第2 総務教育常任委員会委員の選任について
○議長(松井拓夫君) 次に、日程第2 総務教育常任委員会委員の選任を議題といたします。
お諮りをいたします。
委員会条例第5条第1項の規定により、総務教育常任委員会の委員に仲倉君を指名いたしたいと
存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松井拓夫君) 御異議なしと認めます。
よって、そのように決定をいたしました。
ここで、議事の都合により副議長と交代のため、休憩いたします。
午前10時03分 休 憩
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
午前10時03分 再 開
会議に出席した議員(35名)
1番
井 ノ 部
航
太
10番
西
畑
知 佐 代
2番
辻
一
憲
11番
鈴
木
宏
紀
3番
清
水
智
信
12番
長
田
光
広
4番
力
野
豊
13番
小
堀
友
廣
5番
宮
本
俊
14番
小
寺
惣
吉
6番
島
田
欽
一
15番
畑
孝
幸
8番
西
本
恵
一
16番
中
井
玲
子
9番
細
川
か を り
17番
佐
藤
正
雄
-24-
18番
西
本
正
俊
28番
山
本
正
雄
19番
糀
谷
好
晃
29番
野
田
富
久
20番
大 久 保
衞
30番
山
本
芳
男
21番
松
田
泰
典
31番
田
村
康
夫
22番
田
中
宏
典
32番
斉
藤
新
緑
23番
大
森
哲
男
33番
仲
倉
典
克
24番
石
川
与 三 吉
34番
山
本
文
雄
25番
笹
岡
一
彦
35番
中
川
平
一
26番
田
中
敏
幸
36番
山
岸
猛
夫
27番
欠
員
37番
関
孝
治
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
会議に欠席した議員(1名)
7番
松
井
拓
夫
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
○副議長(畑 孝幸君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
第3 厚生常任委員会委員の辞任許可について
○副議長(畑 孝幸君) 次に、日程第3の厚生常任委員会委員の辞任許可についてを議題といたし
ます。
お諮りいたします。
本件につきましては、願いのとおり許可することにいたしたいと存じますが、これに御異議あり
ませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(畑 孝幸君) 御異議なしと認めます。
よって、議長、松井君の厚生常任委員会委員の辞任を許可することに決定いたしました。
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
第4 予算決算特別委員会委員の辞任許可及び選任について
○副議長(畑 孝幸君) 次に、日程第4 予算決算特別委員会委員の辞任許可及び選任についてを
議題といたします。
予算決算特別委員会の委員につきましては、予算決算特別委員会要綱第3条により、議長を除く
全ての議員をもって構成すると規定されておりますので、議長、松井君の予算決算特別委員会の委
員の辞任を許可し、委員会条例第5条第1項の規定により、新たに仲倉君を予算決算特別委員会の
委員に指名したいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(畑 孝幸君) 御異議なしと認めます。
よって、そのように決定いたしました。
ここで、議事の都合により議長と交代のため、休憩いたします。
午前10時05分 休 憩
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
午前10時05分 再 開
会議に出席した議員(36名)
1番
井 ノ 部
航
太
2番
-25-
辻
一
憲
3番
清
水
4番
力
5番
智
信
21番
松
田
泰
典
野
豊
22番
田
中
宏
典
宮
本
俊
23番
大
森
哲
男
6番
島
田
欽
一
24番
石
川
与 三 吉
7番
松
井
拓
夫
25番
笹
岡
一
彦
8番
西
本
恵
一
26番
田
中
敏
幸
9番
細
川
か を り
27番
欠
10番
西
畑
知 佐 代
28番
山
本
正
雄
11番
鈴
木
宏
紀
29番
野
田
富
久
12番
長
田
光
広
30番
山
本
芳
男
13番
小
堀
友
廣
31番
田
村
康
夫
14番
小
寺
惣
吉
32番
斉
藤
新
緑
15番
畑
孝
幸
33番
仲
倉
典
克
16番
中
井
玲
子
34番
山
本
文
雄
17番
佐
藤
正
雄
35番
中
川
平
一
18番
西
本
正
俊
36番
山
岸
猛
夫
19番
糀
谷
好
晃
37番
関
孝
治
20番
大 久 保
員
衞
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
○議長(松井拓夫君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
第5 第55号議案から第66号議案まで(12件)及び報告第18号から報告第33号まで(16件)
○議長(松井拓夫君) 次に、日程第5を議題といたします。
これより、各会派代表による各議案に対する質疑及び県政全般にわたる質問に入ります。
よって、発言は斉藤君、田中宏典君、笹岡君、糀谷君の順序にお願いいたします。
斉藤君。
〔斉藤新緑君登壇〕
○32番(斉藤新緑君) おはようございます。県会自民党会派を代表して、まず県政の基本的な推進
方針について、質問と提言をさせていただきます。
質問は、知事の政治姿勢についてであります。
グローバリズムの波に我が国が飲み込まれようとする時代の中で、時の流れに身を任せていたの
では、地方は生活基盤を奪われ、衰退の一途をたどることは必至であります。いかにふるさとを守
り、未来へとつなげていくのか、この根本が地方議会人としての普遍的かつ喫緊の重要な任務であ
ることは言うまでもありません。目先の対症療法的な手段、手法に目を奪われ、大局を見失えば、
未来を見通すことはできません。
知事の招集によって開催される年4回の定例議会には、縦割り行政によるところの部局別、課別、
事業別予算が提案され、それを私たち県議会が承認してきた結果、未来に展望を抱ける福井県にな
ってきたのかどうか、幸福度日本一をどれだけの県民が実感し、誇りに思っているのか、いま一度
立ちどまって、つぶさに検証していく必要があります。その上で、県民が将来の福井県に自信と確
信を持てるよう、県政の方針、福井創生の柱を確立しなければなりません。
そのために私たちは、瑞穂の国の歴史と文化を大切にし、老、壮、青、おのおのの持ち分を生か
した強力な政策集団として、また、分厚く寛容な保守会派として、県会自民党を結成いたしました。
-26-
規制緩和と市場原理主義は、グローバリズムを推進するエンジンとなっています。規制緩和は、
それ自体を目的化するような風潮があり、また、国民の間にも、盲目的に善であるとの認識が広ま
っています。
しかし、規制緩和、自由競争は、大が小を飲み込む弱肉強食の論理です。地方は、第一次産業や
中小零細企業が圧倒的多数を占めており、規制緩和によって競争が激化すれば、まず最初に経営が
立ち行かなくなり大企業に屈するのは、こうした地方の第一次産業や中小零細企業です。規制緩和
の名のもとに地方経済を切り捨てるような政策には、疑問を感じざるを得ません。
唇亡びて歯寒し――唇亡歯寒という言葉があります。互いに助け合う存在のどちらか一方が滅び
ると、もう一方も危うくなることを例えた言葉です。大企業と中小企業、あるいは地方と都市は、
互いに助け合う存在です。一方が衰退すれば、もう一方も同じく衰退していくことになり、結果、
我が国の将来は危うくなります。
こうした事態に陥らないため、むしろ、地方には小が大に奪われないための、地域保護の視点か
らのあるべき規制こそが必要だと思いますが、知事の所見を伺います。
我が国においてグローバリズムは、海外からの重圧と、経済成長が困難な人口減少時代に、あた
かも全てを解決してくれるかのような虚像として推し進められているように感じます。グローバリ
ズムという言葉に踊らされず、福井県に何をもたらしたのか、また、今後何をもたらすのか、しっ
かりとした検証の上で県政運営に当たっていくことが必要です。
知事は、グローバリズムについてどのような認識をお持ちか、グローバリズムの嵐から福井県を
どのように守ろうとしておられるのか、所見を伺います。
また、今の福井県は、グローバリズムという巨大な嵐の中、人口減少という大きな転換点に立っ
ています。明治以来、我が国では経済成長を最優先の課題としてきました。しかし、経済成長を維
持するための生産性の向上にも限界があることから、今後は経済成長率にかわる大きな目標と、そ
れに基づく政策が必要だと考えますが、知事の所見をお伺いします。
さて、平成28年度も、はや残り半分余りとなりました。国では、既に各省庁の平成29年度概算要
求が出そろっており、県でも間もなく予算編成が始まります。
我が会派としては、新年度予算において、自信と確信の持てる「ふくい創生」についての新しい
政策を打ち出していただきたいと思います。そのためには、県庁の各部各課が縦割りで政策を立案
するのではなく、横串で新しい政策を立案していくための仕組みが必要ですが、現在の県の政策立
案の仕組みは、非常に弱いと言わざるを得ません。
新年度の予算編成に向け、政策を立案するための新しい仕組みをつくることが必要だと考えます
が、所見を伺います。また、「ふくい創生」の理念と立案した横串の政策を予算編成方針に加え、
福井ならではのプロジェクトを全庁体制で実行していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
以上、知事の政治姿勢について質問と提言をさせていただきました。
以下、個別課題については、田中宏典政調会長が行いますので、よろしくお願いします。
知事の明快で誠意ある答弁を求め、私からの質問を終わります。
○議長(松井拓夫君) 知事西川君。
〔知事西川一誠君登壇〕
○知事(西川一誠君) 斉藤議員の代表質問にお答えをいたします。
まず、地域保護の視点から、あるべき規制が重要ではないかという御質問であります。
小泉内閣による構造改革以降、いわゆる新自由主義の考え方が、世の中を席巻をするといいます
か、そういう状況の中で、あらゆる面にいわゆる競争原理が導入されるということで、規制緩和が
行われております。これにより、生産することよりも消費に重点が置かれ、また民間の力が大きい
-27-
大都市が重視され、地方よりも大都市重視の政策が展開されがちである。都市圏への重点投資、規
模の拡大による効率化が進められた嫌いがございます。
さらに、今般の「一億総活躍プラン」においても、国はいわゆる電力自由化やTPPなど、さら
なる規制緩和が進められようとしております。
地方の立場としては、こうした問題は地方から考えられるべきでありまして、例えば地域交通の
運行の弾力化や、公教育と私教育の考え方におけるいろんなアンバランス、不徹底など、地方の活
力を高める規制緩和は進められるべきものがありますが、一方で大都市圏の大学の定員抑制、ある
いは農村、農業を守る、あるいは景観維持などの規制は強化すべきであり、ふるさとを守る新しい
秩序をつくることこそ、地方を重視した政策実行に不可欠な考えかと思うものであります。
次に、グローバリズムから福井をどのように守っていくのかとの御質問です。
これまで、我が国は国際間の貿易や分業などにより、経済成長を促進し、生活を豊かにしてまい
りました。明治維新、あるいは戦後、また高度成長など、表現はともかく、グローバリズムに類し
たものは、その都度新しい形で世界にいろんな意味で影響を与えているわけでありますが、近年の
こうした問題は、欧米型の行き過ぎた市場原理が世界中に広がり、我が国においても競争力のある
大都市や大企業を重視した考え方が政策的に強まり、地方が取り残されるという傾向にあるわけで
あります。
こうした動きには、人々の自信や誇り、地域の多様性を守りながら、国を豊かにしようとするふ
るさと主義といいますか、こうした考え方が欠けていたと私は思っております。とりわけ、人につ
いては、人、物、金なんて俗に言いますけれども、物や金とは全く別物でありまして、国境を越え
て動く極端なグローバリズムに巻き込まれないよう、むしろ地域の金回りをよくするといいますか、
そういう中で人を大事にした政策が重要であります。
こうした観点から、行き過ぎた競争には加担せず、家庭や地域の支えによる子育て、地域、福井
に誇りと将来に夢や希望を持って挑戦する子供を育てるふるさと教育の実施、さらには祭り、伝統
文化の承継なども含め、こうした世の中の傾向の中にあっても、福井県として人々が幸せを感じら
れる地域づくりに努めていきたいと思いますし、そうした結果が幸福度日本一という福井のこうし
た成果にもつながっているのかと思うものであります。
次に、経済成長率にかわる大きな目標、それに基づく政策が必要ではないかというお尋ねです。
経済成長率、いわゆるGDPの考え方は、短期的な経済フローに着目し、国や地域の経済活動の
変化から豊かさをはかっていこうという考えでありまして、市場で取引されない価値――これは教
育とかあるいは健康などが入るかと思います、また、長期的な成長を続けるための諸条件――里山
里海湖などの自然や交通基盤などが、この中には考慮されていないものであります。
こうしたGDPに考慮されていない価値や条件は、県民や企業を支え、幸せの実感につながる、
いわゆる基盤となるものでありまして、地域の幸福を拡大するという我々の次の目標に向かって、
こういうものを目に見える形で評価をし、そういう結果を政策に生かしていくことが必要でありま
す。
そこで、今後は新しい豊かさ指標の開発を行おうとしている国際連合や、そういう研究をしてお
られる九州大学などとも連携をし、教育のよさ、大切にされている里山や里海湖、森林などの価値
を総合評価できる、新しい幸福にかかわる指標を研究してまいりたいと考えます。
次に、予算編成につきまして、政策立案のための新しい仕組み、また「ふくい創生」の理念と横
串といいますか、こういう政策を予算編成に加え、全庁体制で予算を考えていくべきではないかと
いう御提言であります。
仕事のフロンティアは、今や各部局の境目にあるわけでありまして、互いに気を回しながら、協
-28-
力して仕事を行っていく必要があります。さまざまな形でそうした機会をふやす組織運営に努めて
おります。また、毎年度の予算編成においては、政策テーマをあらかじめ示しながら議論を行って
おります。例えば、今年度の予算編成に当たりましては、人口減少対策、また高速交通活用対策と
いった重要テーマについて、部局を横断した組織のもとで議論した結果を予算に反映しており、主
要事業一覧においても部局連携として表記をしております。
来年度予算においても、「住む人も来る人も人生の幸福を実感できるふるさと福井」の実現を目
指し、人を重視しながら、物、金を地域に呼び込み、域内でできるだけ回す政策、幸福日本一を将
来世代にどうやって継承していくかなど、全体の問題意識を政策立案の段階から徹底することによ
り、新たなプロジェクトを積極的に生み出してまいりたいと考えます。
○議長(松井拓夫君) 田中宏典君。
〔田中宏典君登壇〕
○22番(田中宏典君) 県会自民党の田中宏典でございます。
引き続き、県政が当面する諸課題につきまして質問と提言をさせていただきます。
質問の1点目は、県の9月補正予算案についてであります。
今月8日、平成30年のNHK大河ドラマは、西郷隆盛に決定したとの発表がありました。由利公
正を主人公にした大河ドラマの誘致に取り組んできた県の対応は、変更を余儀なくされます。今回
の発表を受けて、県はこれまでの取り組みを総括し、十分に検証すべきであります。そうした上で、
今後の戦略の見直しが必要であると考えております。
今回、観光営業部の9月補正予算案において、新規事業として、幕末明治福井150年博開催準備
事業600万円余りが計上されています。平成30年に幕末明治博を開催するための計画策定と機運醸
成のためのイベントを開催するとのことでありますが、なぜ今なのか。唐突な感じは否めず、事業
の目的もよくわかりません。
そもそも補正予算は、あくまでも当初予算の修正であって、緊急性、必要性を十分に検討した上
で編成されるべきものであります。今回のような新規事業が補正予算案に計上されることについて
は、余りにも場当たり的な感じがしてなりません。また、年縞研究展示施設や六呂師高原スキー体
験施設の整備についてもさまざまな課題があります。
年縞については、学術利用にとどまらず、世界に誇る若狭地方の観光資源として、多くの観光客
が見込まれるよう戦略的に活用すべきであります。また、スキー体験施設については、多くのスキ
ー場が経営難に陥る中、指定管理者となる大野市にも財政負担が重くならないよう、マーケティン
グ調査などを十分に行うべきであります。
補正予算案を編成するに当たっての県の基本的なスタンスを伺うとともに、これらの重要な事業
については、県民が納得できるように、将来の福井県にとって有益かどうか、また、真に県民のた
めになるかどうかなど、十分に説明すべきと考えますが、所見を伺います。
質問の2点目は、国の第2次補正予算案についてであります。
第2次安倍政権で最大規模、事業費28兆1,000億円にも上る経済対策の第1弾、一般会計総額3
兆2,869億円の第2次補正予算案が先月24日に閣議決定され、今月26日に開会する臨時国会に提出
される見通しであります。
国は、一億総活躍社会の実現加速や21世紀型インフラ整備などを柱として掲げ、働き方や産業構
造改革などの新たな視点から成長力を底上げし、アベノミクスのエンジンを最大に加速していく方
針であります。
本県におきましても、保育士、介護職員の処遇改善や敦賀港における海外クルーズ客船の誘致、
さらにはTPP対策としての農林水産物の輸出促進と競争力強化など、直面する県政課題の解決に
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向けて、今回の補正予算も最大限活用し、未来への投資を行っていかなければなりません。
その一方で、こうした国の予算に基づいた政策に追随するだけではなく、県みずからが主体性を
持ち、独自の施策を講じていかなければ、地方創生を進めることはできないことも決して忘れては
なりません。
まず、今後の地方創生や国民の安全・安心に直結するインフラ整備など、福井県にとって大変重
要な国の第2次補正予算案が閣議決定されたことを踏まえて、県内にどのような効果を期待し、県
としてどう対処していくのか、知事の所見を伺います。
次に、一億総活躍社会の実現等に向けて伺います。
政府の第2次補正予算案には、一億総活躍社会の実現の加速として、子育て、介護の環境整備、
若者への支援拡充、女性の活躍推進など、7,119億円の予算が計上されるとともに、イギリスのE
U離脱に伴う不安定性などのリスクへの対応、並びに中小企業、小規模事業者及び地方の支援とし
て、地方創生推進交付金900億円なども計上されております。県においては、昨年10月、「ふくい
創生・人口減少対策戦略」を策定し、さまざまな施策を推進しておりますが、こうした予算も最大
限活用し、県民が活躍できる社会の実現を目指すことが重要であると考えます。
県が「ふくい創生・人口減少対策戦略」を策定してから約1年が過ぎましたが、現状と今後の方
針についてお伺いをするとともに、当該戦略に関して、いま一度、客観的な視点から検証し、成果
や課題を洗い出した上で、大局的な情勢分析を踏まえたビジョン、柱を県民に示し、ふるさと福井
の創生へとつなげていくべきであると考えますが、知事の所見を伺います。
次に、21世紀型インフラ整備について伺います。
政府は、第2次補正予算案に、21世紀型インフラ整備として1兆4,056億円を、熊本地震や東日
本大震災からの復興や安全・安心、防災対応の強化として1兆9,688億円を計上しました。未来へ
の投資を実現する経済対策の一環として、成長への投資となるものは思い切って行い、中長期的に
成長していく基盤を構築するとの方針を掲げて、物流ネットワークの強化など、成長の基盤となる
インフラ整備を推進することとしております。また、安全・安心、防災対策の強化として、災害対
応の強化及び老朽化対策を行うとしており、原子力発電所周辺地域における防災対策の充実、強化
や、河川、道路、港湾等の防災、減災、老朽化対策などが盛り込まれております。
今回の補正予算案については、新たな物流ネットワークの構築やミッシングリンク解消の観点か
ら、早期整備が求められている中部縦貫自動車道、また、国際物流拠点や太平洋側港湾の代替機能
の強化のために整備が必要な敦賀港など、本県の地方創生に重要な役割を果たすインフラ整備を力
強く後押しするものと考えられます。
また、6月定例会で請願を採択しておりますが、原子力発電所の立地地域住民の安全・安心確保
のための原子力災害制圧道路や、近年頻発しております地震や豪雨等に備えた河川や道路など、県
民の安全・安心の向上や防災対策の強化に必要なインフラの整備や維持管理の推進に向けて、大い
に活用すべきであります。
今回の国の補正予算案については、未来への投資を実現するという経済対策の目的を踏まえ、最
大限の予算獲得を目指すとともに、既決予算も活用し、地方創生や県民の安全・安心を実現する未
来への投資として、道路、河川、港湾などのインフラ整備や老朽化対策等に集中的に取り組むこと
が必要と考えますが、所見を伺います。
質問の3点目は、核燃料税交付金についてであります。
県内の発電用原子炉施設で貯蔵している使用済み燃料に課税し、県外搬出を促す新たな政策的税
制であります搬出促進割などを盛り込んだ核燃料税条例制定の議案が、6月定例会での活発な議論
を経て可決、成立いたしました。地方税法に基づく総務大臣の同意を得て、11月10日には施行され
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る予定であります。
今後は、この条例に基づく核燃料税の税収を活用し、原子力安全対策や民生・生業安定対策など、
今後5年間で県及び市町の合計で約900億円程度見込まれる財政需要に対し、核燃料税交付金を活
用し、対応していくことになります。
この核燃料税交付金の配分に関しては、制度設計段階において市町との事前協議がなされなかっ
た前回の見直しの教訓も踏まえ、十分に意思疎通を図り、信頼関係を損なうことなく進めるべきで
あることは改めて言うまでもありません。
さきの6月定例会において県は、核燃料税交付金の市町等に対する配分割合につきまして、条例
案可決後、市町等の意見を聞き、配分案を検討していくとの答弁に終始いたしましたが、これまで
の総務省並びに市町等との協議状況について伺うとともに、市町等の意見を踏まえた今回の配分割
合に対する県の基本的な考え方、方向性等について所見を伺います。
質問の4点目は、参院選の投票結果と若者からの政策提案についてであります。
選挙権年齢が引き下げられて初めての国政選挙となる参議院議員選挙が7月10日に行われました。
県選挙管理委員会によりますと、福井選挙区の投票率は56.5%で前回より2.72ポイント上回り、ま
た、二十未満の投票率は42.19%でありました。
県は、この参議院議員選挙における投票結果をどのように分析、評価しているのかお伺いをいた
します。
これまでも県は、若い世代を中心に主権者教育や選挙啓発を実施しておりますが、引き続きこう
した取り組みを進めていただきたいと思います。
さて、先月、「ふくい高校生県議会」を開催いたしましたところ、県内9校から33名の高校生に
参加していただきました。模擬本会議では、「丹南地域の住民が新幹線の県内延伸によりかえって
不便にならないように、南越駅での乗りかえ利便性を向上させてはどうか」、「県外の大学に進学
し、地元就職を考える学生には、給付型奨学金の支援をしてはどうか」といった質問に加え、原子
力政策など本県が直面する重要課題に対して、鋭い質問や提案を我々理事者役の議員にぶつけてく
れました。
また、全ての参加校の学生によってまとめて、可決された、福井県を元気にするための決議には、
若者の意見を政治に反映させるため、福井学生会議を開催するという内容も盛り込まれました。若
者の政治離れとよく耳にいたしますが、高校生県議会に参加していただいた高校生を見る限りにお
いては、そのような言葉は当てはまらないというふうに感じました。福井の未来を担うすばらしい
若者がたくさん育っていることを実感いたしました。参加していただいた高校生の皆さんには、未
来に向かって大きく羽ばたいていただきたいと思います。
そこで、今後、次代を担う若者の県政に対する関心をより高めるため、県内の学生や県外の大学
等に進学した本県出身者の意見を県の政策立案に活用する仕組みをつくり、若者の生の意見を積極
的に反映した施策を多く盛り込むべきと考えますが、所見を伺います。
質問の5点目は、北陸新幹線の整備促進についてであります。
北陸新幹線の敦賀以西ルートについては、4月27日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチー
ムの検討委員会において中間とりまとめがなされ、現在、国土交通省において、小浜京都ルート、
小浜舞鶴京都ルート、米原ルートの3案について、所要時分、路線延長、概算事業費、需要見込み
などの調査が行われています。秋ごろをめどに当委員会に報告され、ルートが決定されると伺って
おり、本県もその調査結果並びに与党PTの判断を待っている状況であります。また、さきの政府
の第2次補正予算案には、財政投融資を活用した整備新幹線の予算、8,279億円も盛り込まれ、建
設加速に向けた環境が整いつつあります。
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沿線各県の動向については、7月に開催された北陸経済連合会と北陸3県知事との懇談会におき
まして、大阪までの全線整備を平成42年度末の北海道新幹線、札幌開業より早く進めることを確認
し、北陸3県の政財界が結束して強く要請していくこととしましたが、その後においては、石川県
の谷本知事、富山県の石井知事は具体的なルートについて明言を避けています。他方、京都府にお
いては、府北部の振興や将来の山陰新幹線の整備もにらみ、小浜舞鶴京都ルートを推す動きが活発
化しております。
また、8月3日の内閣改造で稲田衆議院議員の防衛大臣就任に伴い、与党PTの座長に茂木敏充
政務調査会長が就任されました。ルート決定については、本県が推す小浜京都ルートが最終決定さ
れるまで、予断を許さない状況にあると認識しております。また、ルート決定とあわせ早期整備を
図るため、現在の年額755億円以上の予算を確保していかなければなりません。
稲田防衛大臣は、8月下旬の地元テレビ番組の中で、敦賀以西ルートに関して、「現在、コスト、
所要時間、旅客数や地方創生等を踏まえた調査が行われている。福井にとって一番よいルートにな
ると思う」との発言をされましたが、小浜京都ルート実現に向けて、政府・与党等の情勢分析と今
後の県の取り組み方針について所見をお伺いいたします。
質問の6点目は、原子力政策についてであります。
最初に、「もんじゅ」について伺います。
先月、県議会の厚生常任委員会は、「もんじゅ」の視察調査を行いました。日本原子力研究開発
機構の職員から、平成7年に発生したナトリウム漏えい事故等を踏まえた対策、保守管理体制の改
善状況等について説明を受けた後、現場を視察いたしました。原子力規制委員会から、たび重なる
保安規定違反が指摘されたことに加え、昨年11月には新たな運営主体を特定する旨の勧告がされる
など、厳しい環境に置かれながらも、機構の職員の方が「もんじゅ」の抱える問題に対し精いっぱ
い取り組まれていた姿が印象的であったと聞いております。
文部科学省においては、有識者検討会が5月に新組織に備えるべき要件等を記載した報告書をま
とめ、文部科学大臣に提出いたしました。その後、報告書提出から3カ月が経過いたしましたが、
国の結論は見えません。原子力規制委員会は昨年11月に、半年後をめどにかわりの運営主体を特定
するよう勧告しておりますが、その期限を超過している状況であります。国は、どのようなスケジ
ュール感を持って今まで対応してきたのか、国の本気度を疑わざるを得ません。
このような状況の中、昨日、「政府は、再稼働には数千億円の追加負担が必要で、国民の理解が
得られないと判断し、「もんじゅ」を廃炉にする方向で最終調整に入った」との大変ショッキング
な報道がなされました。まさに青天のへきれきの出来事でありました。
県は、「もんじゅ」をエネルギー研究開発拠点化計画の中核施設として位置づけていることを踏
まえ、しっかり情報収集を行い、対応していくことが必要と考えますが、所見を伺います。
また、来年予定されているエネルギー基本計画の見直しについて、「もんじゅ」の位置づけが重
要な課題になると考えられますが、県はどのように対応していくのか所見を伺います。
次に、高浜1・2号機の運転延長について伺います。
原子力規制委員会は6月、運転開始から40年を超える高浜発電所1・2号機について、全国で初
めて最長20年の運転期間延長を認めました。とはいえ、劣化しつつある一部の配管や電気ケーブル
の補強や交換が条件とされているため、再稼働は早くても平成31年秋以降になる見通しであります。
高浜1・2号機の運転延長につきましては、6月定例会において知事は、「県としては、規制委員
会の新規制基準や事業者の対応状況等を厳正に確認し、慎重に対処していく」と発言されておりま
す。
県内の報道機関の調査によりますと、運転延長を否定的に考えている県民は5割を超えるなど、
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県民理解は十分に進んでいない状況であります。国に対しては、運転延長の必要性に対する十分な
説明に注力するとともに、安全確保に万全を期すため、事業者に対する指導や監督を厳正に行って
もらうよう強く働きかけていくべきであります。
県は、県原子力安全専門委員会を先月末に開催された会合を含め、これまで2回開催し、その安
全性について議論されております。また、先日、関西電力の豊松副社長が県に、高浜1・2号機の
安全性向上対策工事の計画を取りまとめたと報告した際、藤田副知事は再稼働とは別の事柄として、
工事に着手することを了承いたしました。
さらに、京都府でも高浜発電所に係る地域協議会を開催し、国や事業者から説明を受けて議論が
なされるなど、原子力規制委員会による運転延長認可以降、関係機関における議論は少しずつ進ん
でおります。
そこで、高浜1・2号機の運転延長に関し、県は事業者の実施する安全対策工事の安全性の確認
を含め、今後どのように対応していくのかお伺いをいたします。
次に、合同原子力防災訓練についてお伺いをいたします。
県は、先月27日と28日に高浜発電所及び大飯発電所の過酷事故を想定した原子力防災訓練を行い
ました。高浜地域における訓練は、高浜発電所から30キロ圏内の福井、京都、滋賀3府県と関西広
域連合、国が連携した国内最大規模の広域防災訓練となり、約9,000人が参加をいたしました。
一方、大飯地域における訓練についても、嶺北市町への避難を行うとともに、県議会の原子力発
電・防災対策特別委員会が先月末、原子力緊急事態支援センターで視察した小型偵察用ロボットを
遠隔操作する訓練などが行われました。
今回の訓練では、マイカー避難のはずが、交通事故を懸念して公用車やバスに変わり、雨風が強
く、ヘリや船舶による避難が中止になったとの報道もありました。訓練では、これらの想定外の事
態とともに、大小さまざまな課題や問題点が生じたものと思われます。
そもそも訓練は、計画の不備を見つけ、実効性のあるものに改善し、いざというときに生かすの
が本来の目的であり、訓練でうまくいかなかったことを徹底的に洗い出し、検証しながら、想定外
の事態を一つずつ消していくことこそ重要であります。また、一度の訓練だけでは、想定外の事態
に対応できるような体制の構築や課題検証は不十分であると考えますので、継続的に訓練を実施し
ていかなければなりません。
そこで、大飯、高浜地域の原子力防災訓練の成果と今後の課題についてお伺いをいたします。特
に、高浜地域の広域避難計画に今回の訓練の課題をどう反映させるのか、今後も訓練が継続して行
われることになっているのか、あわせてお伺いをいたします。
また、複合災害が生じることで県の本庁職員が現地に参集することが困難な状況も想定されます。
こういった事態に対応するため、今後の訓練項目として、県の嶺南振興局の職員を中心とした現地
対策本部の運営や、発災後のスクリーニングポイントの設置訓練などを行う必要があるというふう
に考えますが、所見を伺います。
質問の7点目は、危機対策についてであります。
ことし4月に発生した熊本地震は、震度7の地震が2回発生した後も、震度6強、6弱の地震が
複数回発生し、地域住民の生活等に多大なる影響を与えました。発生から5カ月を迎えましたが、
今もなお避難生活を余儀なくされる方がおられます。国や関係機関の支援を通じ、地域住民の皆様
の生活が一刻も早く安定することを期待しております。
国では、熊本地震を受け、主要な活断層のリスク評価の見直しや主要活断層の地図に掲載する活
断層の対象拡大、住宅の耐震改修に対する補助金の上乗せなど、さまざまな対策を講じております。
県では、熊本県が講じた対策のうち、被害抑制の観点から効果が認められたもの、効果が十分に
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発揮されなかったものなどを分析、評価を進めていると思いますが、本県の防災体制や対策に関し
て見直すべき点はないのか伺います。
先月、県議会の厚生常任委員会は、静岡県の地震防災センターを調査いたしました。このセンタ
ーでは、自主防災組織や事業所のほか、女性や学生等を対象とした防災に関する人材育成の実施、
防災に関する知事認証制度の創設など、平常時における防災体制の充実に取り組んでいると伺って
おります。先月には北海道、東北地方で大規模な水害が相次いで発生しており、自然災害に対する
日ごろの防災対策や防災意識などが重要であることは言うまでもありません。堤防など河川管理施
設の総点検を含め、平常時の備えを万全にしておくことを強く求めておきます。
質問の8点目は、健康福祉行政についてであります。
7月、神奈川県相模原市の障害者支援施設において、入所する知的障害者や職員の方々が襲われ、
19人が犠牲となり、27人が負傷するという痛ましい事件が発生いたしました。お亡くなりになられ
た方々には心より御冥福をお祈りするとともに、けがをされた方々の一日も早い御回復をお祈り申
し上げます。
本来、障害者支援施設は、障害のある方々が地域住民との交流など、地域に開かれた施設として
安心して生活を送る場であるべきでありますが、それが一転、理不尽な事件の標的となったことか
ら、県内の障害者支援施設に入所する方、その家族、また職員の方々からも、施設の防犯体制は大
丈夫か、侵入者がいた場合、入所者を守ることができるのかといった不安の声が上がっております。
先日、県議会の厚生常任委員会は、神奈川県での事件を受け、県内の障害者支援施設を視察いた
しました。施設の方からは、防犯対策の強化は必要であるが、職員の支援業務や利用者の安全を阻
害しないよう配慮し、また、開かれた施設に逆行しないようにしなければならないとの意見があり
ました。また、慢性的な人手不足を指摘する声もあり、職員の処遇もあわせて改善を進めていく必
要があります。
国においては、事態の重大性を踏まえて、関係閣僚会議を開き、再発防止に向けて施設の防犯体
制強化などを検討することを確認しています。また、厚生労働省では、第2次補正予算案の中で防
犯対策の強化のための補助金を盛り込んでいます。
本県においても、障害者施設の防犯対策の強化と職員の待遇改善もあわせて必要と考えますが、
それらの現状と今後の対策についてお伺いをいたします。
また、ことし4月には障害者差別解消法が施行されました。この法律は、障害を理由とした不当
な差別的取り扱いを禁止するとともに、行政や民間事業者などに障害者の方への合理的配慮の提供
を求めています。この合理的配慮の提供については、民間事業者に対して努力義務が課されている
だけであり、果たして徹底されるかどうか懸念されます。国や県などはこの点に十分に留意をしな
がら、障害者の方に対する差別が早期に解消されるよう力を尽くしていただきたいと思います。
そこで、障害者差別解消法の施行も踏まえて、障害者に対する差別の早期解消に向けた県の取り
組みの現状と今後の方針についてお伺いをいたします。
質問の9点目は、産業行政についてであります。
県は昨年、経済新戦略に基づき、技術革新によって新しい商品、サービスをつくることを目的に、
オープンイノベーション推進機構を設置いたしました。行政、研究機関、大学、金融機関、企業な
どが連携して研究開発を進め、県内中小企業の商品開発から販売促進までの一連の過程を支援する
ものであります。現在、平成31年度の打ち上げを目指す県民衛星プロジェクトや眼鏡の技術を基盤
とした医療器具の開発などが進んでいるということであります。
今年度からは、新たにオープンイノベーション支援資金が創設され、中小企業者を対象に特色あ
る技術や製品の開発を資金面で支援しています。また、3月には、航空、宇宙、ライフサイエンス、
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ロボットの分野において新たな成長産業を創出するため、産業技術総合研究所並びに新エネルギ
ー・産業技術総合開発機構――NEDOと連携協定を締結しておりますが、これらの開発される先
端技術のビジネス化については不安を抱いております。
また、経済新戦略では、「本県企業の持続的発展のためには、たゆまぬ技術革新と稼ぐ力の向上
が不可欠である」と記載されていますが、特に、本県の企業は高い技術は持ち合わせていても、こ
れらを生かした稼ぐ力は弱いように思います。研究開発だけではなく、販売促進までの支援を強力
に行っていただくことを改めて求めておきます。
オープンイノベーション推進機構が立ち上がってから1年、売れる製品化につながったものはあ
るのかなど、現在の取り組みの状況を伺うとともに、今後新たな地域産業の創出にどのように結び
つけていくのか、所見をお伺いいたします。
質問の10点目は、観光行政についてであります。
最初に、観光新戦略に基づく観光の促進についてお伺いをいたします。
昨年3月に観光新戦略を策定してから、約1年半が経過いたしました。その策定に当たっては、
議会でも活発な議論がなされ、我が会派の議員からも提言や意見を申し上げました。観光新戦略の
前身の計画であった新ビジットふくい推進計画では、計画の目標数値の検証、総括がしっかりとさ
れていなかったことから、年度ごとに計画の進捗を検証し、それを計画にフィードバックして、必
要に応じて施策の追加や見直しを進めていく必要があると考えます。
7月、産業常任委員会は沖縄県を訪れ、観光促進を一元的に担っているコンベンションビューロ
ーを調査いたしました。そこが毎月発行している広報誌では、毎月の目標数に対する観光入り込み
数、エリアごとの対前年増減数、さらには、入込数のうち国内、国外のどの地域から入ってきてい
るのか、また、各地域で行ったプロモーションの内容などが掲載されております。一目で目標の達
成状況やプロモーションの効果などわかるようになっております。この広報誌は、関係団体や620
余りの賛助会員に配布され、それぞれの取り組みがどのような成果を上げているのか、関係団体で
も確認することができます。
県は、6月に平成27年の観光客入り込み数の推計結果を公表しました。調査結果を今後の観光行
政に役立てることとしておりますが、果たして市町や観光団体等にどの程度認識されているのでし
ょうか。観光に携わる全ての機関、事業者等が同じ方向に進んでいくためには、こうした情報や課
題の共有は必須であります。
観光新戦略の基本理念において、知事は、「人口減少時代における地域経済の活性化と魅力ある
地域づくりを進めるに当たり、ふるさと力を結集し、本県観光を活気ある次のステージへと引き上
げるため、新たな戦略を策定した」とうたっております。計画策定から1年半が経過いたしました
が、活気ある次のステージに上りつつあるのか、現状と課題を伺います。
次に、周遊、滞在型の観光推進についてお伺いをいたします。
県は、今年度から誘客拡大と観光消費額の拡大を図るため、県内を六つのエリアに分けて、周遊、
滞在型の観光を促進しており、北陸新幹線の敦賀開業までに、国の交付金等を活用して約60億円を
かけて計画策定とそれに基づくハード・ソフトの事業を実施するとのことであります。今年度は、
エリアごとに計画を策定する予定であり、現在、市町、観光団体、ものづくりや農林水産関係者等
で構成する委員会において、計画の検討が行われております。
それぞれのエリアにおける計画の検討状況、及び検討過程において明らかになった課題等があれ
ばお伺いをいたします。
こうした観光地のネットワーク化は、県内はもちろんでありますが、高速交通体系の整備を見越
して、石川県、富山県、滋賀県、京都府、岐阜県など、隣接府県等の観光地とのネットワーク化も
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重要であると考えます。滋賀県については、今月6日に行われた西川知事と滋賀県の三日月知事と
の会談において、広域観光の面で連携を図っていくことで合意がなされ、鉄道などの歴史遺産を活
用した周遊観光ルートを開発していくとのことであります。このような県境をまたぐ周遊という点
も十分に踏まえ、今回のこのプロジェクトに投資される60億円が有効な投資となるよう強く求めて
おきます。
質問の11点目は、農業行政についてであります。
全国の農業の就業人口は、ことし初めて200万人を割り込み、1990年代と比較して4割程度まで
落ち込み、高齢化、人口減少などにより、農業の担い手減少に歯どめがかからない状況であります。
こうした中、国は、農業の成長産業化を目指して攻めの農業を推進しており、農地政策、米政策、
農協改革、担い手確保、育成などを進めています。
さきの政府の第2次補正予算案でも、輸出力の強化や中山間地域の所得向上支援等を掲げ、来年
度予算の概算要求においては、農地のさらなる集積、集約化、水田の畑地化や汎用化による野菜へ
の転換支援など、構造改革を推進していくようであります。こうした施策が果たして生産現場の声
をどれだけ反映したものなのか、真に生産者のためになっているかなど、我々も十分に注視してい
かなければなりません。
一方、県もまた平成26年3月にふくいの農業基本計画を策定し、競争力のある農産物づくりとし
て、「ポストこしひかり」の開発や大規模施設園芸の推進、九頭竜川下流域パイプライン化による
高品質米のブランド化、もうかる農業経営者の確保、育成として、農地の集積、集約の促進、メガ
ファームの育成など、さまざまな施策を展開しております。
こうした取り組みによって、県が目指すべき将来像として掲げている、ふるさと農業の活性化や
収益性の高い農業経営の実現にどの程度近づいているのでしょうか。それぞれの取り組みの実施状
況や課題を把握しながら、手段と目的を間違えていないかなども含めて常に検証していく姿勢が必
要であります。
斉藤会長が冒頭に述べたように、我が国はかつて瑞穂の国と呼ばれ、本来、葦が生い茂り、穀物
がいつも豊かに実る国であったのであります。本県の農業の基本は、そこに軸足を置かなければな
らないと考えております。豊かな里山里海湖にある資源も最大限に活用して、得られた利益を地域
内で循環させることで、地域農業、農村を守り、ひいてはふるさと福井を守っていくことにつなが
ると思います。
「ポストこしひかり」、大規模施設園芸の推進、農地集約、農協改革など、これまでさまざまな
キーワードが本県の農業政策の中で飛び交い、さまざまな施策が展開されてきましたが、いま一度、
ふくいの農業をどうしていくのかを県民にわかりやすく、未来に希望が持てるように示す必要があ
ると考えますが、所見をお伺いいたします。
質問の12点目は、福井しあわせ元気国体・大会についてであります。
リオデジャネイロオリンピックでは、日本選手団が過去最多のメダル41個を獲得いたしました。
柔道男子の全階級でのメダル獲得や、レスリング女子の全6階級で金4個、その他の競技において
も、記録そして記憶に残る輝かしい成績を残していただきました。
また、本県ゆかりの選手が過去最多の9名出場されまして、50キロ競歩で福井工大出身、荒井選
手が銅メダルを獲得いたしました。また、6人のうち4人が武生商業高校出身の選手で占めたフェ
ンシングの個人戦では、男子エペで見延選手が6位、女子エペでは佐藤選手が8位入賞、さらには
バドミントンの山口選手の5位入賞など、すばらしい活躍を目の当たりにし、感動を覚えました。
こうした好成績の裏には、血のにじむ努力はもちろん、過去の結果を踏まえたジュニア選手の育成
や指導者養成、ナショナルトレーニングセンターの設置など、細部にわたる改革が奏功したと思い
-36-
ます。
本県が競技力向上対策に取り組む中、参考とすべき事項が多々あるように感じております。この
活躍を追い風に、福井国体や東京オリンピックでの活躍も見据えた選手育成、強化が大切でありま
す。
また、来月、いわて国体が開催されますが、目標である10位代前半の成績をおさめ、選手の皆さ
んには最後まで諦めることなく練習の成果を存分に発揮し、頑張っていただきたいと思います。
そこで、福井しあわせ元気国体、そして東京オリンピックでの活躍にもつながる選手の確保と、
競技力向上対策の現状と今後の取り組みについてお伺いをするとともに、競技力向上対策本部長で
もあります藤田副知事の抱負を伺いたいと思います。
あわせて、競技施設の整備や宿泊施設の確保、県民機運の醸成、さらには競技団体等との連携、
協力体制など、残された課題も少なくないと思いますが、これらも踏まえ、2年後に迫った福井し
あわせ元気国体・大会の成功に向けた知事の強い決意を伺います。
最後に、公安行政についてお伺いをいたします。
初めに、新県警本部長の抱負についてお伺いをいたします。
県警察のまとめによりますと、ことし上半期の交通事故総数は1万777件で、昨年同期より1,218
件の減少、このうち人身事故は892件で216件の減少、けが人も1,019人で260人の減少となりました。
しかしながら、交通事故による死者は28人で、昨年同期よりも13人増となり、増加数では全国ワー
ストスリーとなりました。また、交通事故による死者のうち、65歳以上の高齢者は18人と、昨年同
期の8人の2倍以上、過去10年間を見ますと、平成23年と並んで最悪となったということでありま
す。
県と公安委員会、警察は、昨年度と今年度の2カ年をめどに取り組む、安全・安心ふくい万全プ
ランを策定しており、交通事故死者数35人以下を目指すなどの六つの基本目標を掲げております。
例えば、70歳以上の希望者にドライブレコーダーを活用した安全運転指導等を行って、高齢者を交
通事故から守る対策を強化するなど、今年度の重点推進事項を定め、プランに掲げた基本目標達成
に向けて取り組んでおられますが、先月10日に着任された猪原県警本部長は、このような交通事故
発生状況を初め、本県の治安情勢をどのように分析し、今後どのような対策を講じて治安を維持し
ていくのか、抱負を伺いたいと思います。
また、猪原本部長は、前職で警察庁暴力団対策課長を務められ、指定暴力団の分裂を機に勃発し
た暴力団抗争の捜査にも携わってこられたとのことであります。着任会見でも述べておられました
が、改めて県内の暴力団対策への意気込みをお伺いいたします。
次に、サイバー犯罪等への対策についてお伺いいたします。
ゲームアプリ、「ポケモンGO」が話題になっております。配信以来、ゲームをしながら歩いた
り、自転車や自動車を運転することによるトラブルが起きており、他県では死亡事故も発生いたし
ました。県警察には、ながらスマホ対策に早急に取り組んでいただかなければなりません。また、
この人気に便乗したサイバー犯罪も発生しております。偽アプリをダウンロードすると、遠隔操作
によって個人情報を盗まれるなど、スマートフォンにもサイバー犯罪が拡大しております。
経済産業省は、来年度当初予算の概算要求において、ロボットや人工知能を活用して産業構造の
転換を目指す方針を掲げております。第2次補正予算案にも、物とインターネットをつなげるIo
Tを活用した事業などが盛り込まれており、このような人工知能やIoTの活用が進んだ社会では、
情報漏えいやコンピューター自体の機能停止にとどまらず、インターネットとつながる全ての機器
や設備に影響が及び、社会基盤全体がサイバー攻撃に脅かされる危険性があります。
県議会の土木警察常任委員会は、7月、自治体や民間企業に情報技術分野のコンサルティングを
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行っている企業を視察調査いたしました。同社は、保有するサイバー犯罪に対する知見や情報の提
供など、他県の警察との間でサイバー犯罪に関する共同対処協定を結んでいます。調査の中では、
これから警察に求められるサイバー犯罪対策として、教養に必要な予算を十分確保すること、その
スキルを組織として発展させるために専門部署を設けることなど、組織全体の底上げを図ることが
重要であるとの話をお伺いいたしました。
県警察では、これまでも担当職員やサイバー犯罪アドバイザーに専門的な研修を受講させるなど、
対処能力の向上に取り組んでおられますが、今後ますます高度化、拡大していくサイバー犯罪等に
対しどのような対策を講じていくのか、所見をお伺いいたします。
以上、質問と提言をいたしました。知事を初め、理事者各位の明快で誠意ある御答弁を期待し、
県会自民党の代表質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
○議長(松井拓夫君) 知事西川君。
〔知事西川一誠君登壇〕
○知事(西川一誠君) 田中宏典議員の御質問にお答えをいたします。
国の第2次補正予算案についてであります。
県内への効果をどのように期待し、どのようにこの補正予算に対応するのかということでありま
す。
国の経済対策については、子育てや介護の環境整備など、さまざまな政策の追加のための予算を
含めて、国費ベースで4.5兆円規模の補正予算案が閣議決定をされております。この内容につきま
しては、地方公共団体の自主的な地域拠点づくりなどを支援する地方創生推進交付金を初め、学校
施設の環境整備に対する補助金などが盛り込んであります。県としても、国の補正予算を活用し、
ふるさとづくりを積極的に進めるよう努力してまいります。
なお、公共事業については、経済対策としての観点はもとより、防災、安全対策をさらに進める
ため、財源面でも有利であることから、国の補正予算を積極的に確保してまいります。
次に、「ふくい創生・人口減少対策戦略」を策定し、約1年が経過しているけれども、今後の方
針、またビジョン、柱を県民にいかに示し、ふるさと創生をいかに進めていくかという御質問です。
地方創生及び人口減少対策については、創生戦略に基づき、昨年度は104事業に対し47億円、今
年度は129事業に対し66億円を予算措置いたしております。平成27年度に設定したこの戦略に基づ
く49件のKPI――主な主要事業の政策成果については、約8割が目標を達成し、このほか本年3
月に県外大学、短大を卒業した学生のUターン就職率は29%となっており、調査開始以降――平成
14年からでありますが、最も高くなっています。これは、昨年度から関西圏の各大学と就職支援協
定を結び、学内セミナー等を積極的に行ったことなどの効果があらわれたものと考えています。
地方創生は、既に議論や計画の段階から本格的な実行段階へと移っており、幸福度ランキング1
位の福井県は、その優位性を極力生かし、自信を持って新しい課題に挑戦してまいります。
次に、今回の国の補正予算案についてでありますが、最大限の予算確保を目指し、インフラ整備、
さまざまな施設の老朽化対策に集中的に取り組むべきではないかとの御質問です。
国の第2次補正予算案については、21世紀型のインフラ整備として、地域の競争力強化等を図る
社会資本の総合整備や安全・安心、防災対策の強化として、老朽化対策等の集中支援などを柱に実
施をしております。
本県においても、これを受けまして、ミッシングリンクの解消の項目としては、中部縦貫自動車
道の大野油阪峠道路の事業、物流ネットワーク強化関連としては、国道8号福井バイパス、渋滞対
策としては、えちぜん鉄道高架化、老朽化対策としては、トンネルや橋梁、農業水利施設の補修な
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どの補正予算案の項目が挙がっており、こうした事業を積極的に予算確保する必要があると考えま
す。そのため、先般、石井国交大臣や県選出国会議員等に対し要望を行っており、引き続き県議会
とも協力して予算確保に努めてまいります。
次に、参議院選挙の投票結果と若者からの政策提案についてであります。
若い人たちの意見を積極的に政策立案に活用する仕組みをつくり、若者の声をどう反映するかと
の御提言です。
若者の意見については、広聴等の仕組みを通し、また各事業の検討、実行段階においてよく聞い
ているわけであります。例えば、昨年県が実施した県民アンケート調査では、30代までの若者が回
答者の約3割を占めております。また、人口減少対策の検討に当たりましては、首都圏に進学、就
職した本県出身者100名から聞き取り調査等を行い、企業の仕事内容の学生への提供、本県出身女
性のUターンや婚活支援などの政策に反映をしております。
若者の考えを具体化する仕組みを取り入れており、例えば若者チャレンジ応援プロジェクトでは、
グループによる若者のすぐれた地域づくりの活動を応援しております。
今後もさまざまなアンケート等も活用し、若者の声を十分聞くとともに、今年6月に開催したよ
うな合同大学祭のように、彼らが直接参加する場をふやすなどして、若者が活躍できる地域をつく
ってまいります。
次に、北陸新幹線の整備、促進についてであります。
小浜京都ルート実現に向け、今後、関係方面に対する働きかけ、情勢分析をどのように行うのか
との御質問です。
現在、国交省は3ルートの調査を行っており、ルートを決定する与党においては、内閣改造にお
いてPTや敦賀以西ルートの検討委員会の新しい人選を進めている中であります。組閣直後の8月
初旬に前政調会長にお会いし、これまでの既定の路線、敦賀以西ルートの年内決定が守られるよう
に、後任の会長に伝えていただきたいと要請しており、私自身も早期に小浜京都ルートの年内決定
を要請する考えであります。
ルート決定に向けた与党の議論は、国交省の調査結果が報告されるこの秋から年末にかけて本格
化すると考えられますので、確実にこのルートを年内決定されるよう、今後とも県議会と御一緒に、
また市町、経済界とともに、県内一丸となって政府・与党に強力に働きかけてまいります。
次に、原子力政策についてであります。
「もんじゅ」をエネルギー研究開発拠点化計画の中核施設として位置づけていることを踏まえ、
しっかり対応していくことが必要ではないかという質問です。
「もんじゅ」に関しましては、先月29日の菅官房長官の記者会見においては、「我が国としてエ
ネルギー基本計画で閣議決定したとおり、核燃料サイクルの推進を基本方針としたい。そこに変わ
りはない」と述べております。
県としては、これまでも菅官房長官を初め、関係閣僚等関係者にこうしたことを申し上げておる
わけでありますが、さらに先月には松野文部科学大臣と、さらに世耕経済産業大臣に対し、「もん
じゅ」は核燃料サイクルの中核施設であるので、政府として確固たる方針を持って結論を出すよう、
改めて強く要請しているところであります。また、今年5月には、県議会においてエネルギー基本
計画に示されている高速炉研究開発を確実に実行するよう求める意見書を採択されているところで
あります。
本県としては、エネルギー研究開発拠点計画を進め、国の核燃料サイクルの確立にも大きな役割
を果たしてきており、今後とも国に対し、「もんじゅ」を含む核燃料サイクル政策に真剣に取り組
むよう強く求めてまいります。
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次に、エネルギー基本計画の見直しについて、「もんじゅ」の位置づけが重要な課題にもなり、
県としてどのように対応していくのかということであります。
海外において原子力発電所の建設が進んでいる現状を見ると、日本で蓄積がされている高い原子
力技術や人材を維持、発展させることが、世界の原子力の安全性の向上、ひいては日本自体の安全
に深くかかわる問題となると思います。
また、資源に乏しい日本にとって、エネルギー、原子力の問題は、科学技術によって乗り越えな
ければならない重要な課題であると、かねてから申し上げているところであります。
「もんじゅ」については、国際的にも大きな期待が寄せられており、新しいエネルギー基本計画
の検討に当たって、国は長期的かつ国際的な観点から、その役割を真剣に考える必要があります。
また、福井県には「もんじゅ」を含む核燃料サイクルを初め、再稼働、廃炉、40年超運転延長、使
用済み燃料の中間貯蔵など、地域的にもさまざまな課題が集中をしております。こうした課題を全
体として捉え、新たな計画において原子力政策のあるべき姿をさらに明確にすることが重要である
と考えます。
次に、高浜1・2号機の運転延長に関し、今後どのように安全対策等確認を行っていくのかとの
御質問です。
高浜1号機に関しましては、これは40年を超える運転に関連することになりますが、今月8日に
関西電力から示された安全対策の実施計画について、おおむね1年ごとに進捗状況の報告を受け、
工事の途中段階における安全性の向上について厳正に確認していくこととしております。
また、事業者に対し、40年を超えて運転する必要性や安全性にかかわる科学的な議論を県民に対
し十分に示し、わかりやすく説明するよう求めるとともに、これまで若狭地域において原子力と環
境保全など、さまざまな努力がなされているわけでありますので、こうしたことについても十分な
理解と、また関係者への説明等々、こうしたことを求めているところでありまして、また、先月10
日、世耕経済産業大臣に対しましても、国が中心となって国民理解を深めるよう強く申し入れたと
ころであります。
県といたしましては、高浜1号機の運転延長について、今後、現場における安全対策の実施状況
や国や事業者の理解活動の実績などをよく確認をしながら、十分慎重に議論していく必要があると
考えております。
次に、原子力政策に関連いたしまして、防災訓練の今回の成果と今後の課題、これについてどの
ように考えるのかとの御質問です。
今回の訓練では、国において了承された広域避難計画に基づき、初めて県外避難も行うなど、複
数の府県、市町が連携をし、全国的に見ましても最も広域的かつ多数の参加者による実践的な避難
訓練が実行できたことは意義があったと考えます。
一方で、例えばヘリコプターなど天候の影響を受けやすい移動手段の運用方法の改善が要ること、
また、福井県と避難先市町間の連絡のいろんな徹底の問題、それから避難先における受け入れ体制
の一層の整備、またスクリーニング・除染の習熟度等の向上など、当面を見ましても改善、向上が
必要な点を確認しております。
今後、これらの課題については、地域原子力防災協議会などと対応策を検討し、これからも総合
的な訓練を行うほか、個別訓練も実施するなどして、継続的に防災力を高めてまいります。
次に、危機対策についてであります。
そのうち熊本地震の関連でありますが、熊本地震でのさまざまな実際の問題を含めて、本県の防
災対策を見直すべき点があるかという御質問です。
熊本地震では、庁舎、あるいは職員自体が被災をするなど、災害対策本部機能が十分果たせなか
-40-
ったことや、道路の寸断などにより支援物資等の円滑な配分ができなかったこと、避難所の環境が
悪化したことなどが課題として挙げられております。
県では、市町の災害対策本部を立ち上げる場合に、最初動を支援するため、今回、土木職や保健
師などからなる市町災害対応支援班を設け、強化をしてまいります。また、災害時には、輸送道路
の確保が重要であります。国に対し、概略ルートなどの調査を進めている国道8号の南越前町から
敦賀間の早期事業化など、県内全体の防災機能の強化が図れるよう要望しております。
次に、産業政策についての御質問であります。
オープンイノベーション推進機構の取り組み状況、また新たな地域産業の創出がどのように進み
つつあるかとの御質問です。
オープンイノベーション推進機構では、昨年6月の設立以来、これまでに28件の主要なプロジェ
クトを実行し、そのうち13件が昨年度中に研究開発を終えています。このうち、平成29年度中の早
期の製品化に向けまして、例えば患者の身体負担を大幅軽減する椅子製品や軽量で高い硬度の手術
用器具など、5件については、今、初年度で約10億円の売り上げを目指して生産、販売の準備を進
めております。
また、他の8件につきましても、例えば炭素繊維の建築部材については、試作品の製作と評価、
またレーザ加工機器については、量産機械での耐久試験などを行っており、平成30年度以降、順次
販売を開始し、年間約20億円を売り上げる意気込みで進めております。
引き続き、繊維の織編技術――織ったり編んだりする技術や眼鏡のチタン加工技術を生かした医
療分野、炭素繊維技術を生かした航空、宇宙、建設分野などにおけるプロジェクトを進めるほか、
工事現場での点検、診断用ロボットの開発など、毎年15件以上の新たな研究プロジェクトに着手し、
産業創出につなげてまいりたいと考えます。
次に、観光行政であります。
この計画策定から1年半余りが経過した現状において、課題は何かという御質問です。
観光新戦略では、高速交通体系が順次整備されていること、また最近の観光動向もにらみながら、
福井ならではの観光資源に磨きをかけ、強く発信するなどして、国内外からの誘客を拡大すること
としており、各政策を市町と共動し推進しております。
これまでのあわら温泉街、敦賀赤レンガ倉庫、小浜「まちの駅」の整備など、1カ所大体8億円
から10億円程度の投資をそこに集中しながら、全体のネットワークをこれから強めていきます。ま
た、恐竜王国福井などは、前面に打ち出した集中プロモーションを首都圏を中心に展開しておりま
す。
こうした中、観光客は増加をしておりますが、前年の観光客の伸びは日帰り客が中心となってお
り、観光客の滞在時間、宿泊、あるいは観光消費額の拡大が課題となっております。
このため、懸案となっている六呂師高原スキー体験施設や平成31年完成予定の永平寺門前の宿泊
施設など、新たな観光施設の整備を確実に急いでまいりたいと考えます。また、周遊、滞在型の観
光の推進、それから、「ZEN」を中心に据えた外国人観光客の誘致、観光産業、また、まちづく
りを担う人材の育成なども課題でありまして、努力してまいります。
引き続いて、観光行政に関連いたしまして、それぞれの県内のエリアにおける計画の検討状況と
現状について、どういう課題があるかとの御質問です。
現在、県内六つのエリア、地域において、周遊、滞在型観光を推進するため、市町の首長、また
副町長をトップに、観光団体や地元事業者をメンバーとする計画策定委員会をつくりまして、議論
を進めています。具体的には、エリアごとの特徴や強みといいますか、こういうものを打ち出せる
観光地の魅力づくりやターゲットに応じた観光素材の磨き上げ、また二次交通の充実など、ハー
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ド・ソフト両面から検討を今行っております。
今、六つのエリアごとに進捗ぐあいには差がありますけれども、例えば丹南エリアにおいては、
伝統工芸のみならず地域の歴史や文化、食べ物、さまざまな体験などの掘り起こしが進んでいる状
況です。
一方、新たな課題としては、観光地間のネットワーク化、それから提案された事業はさておいて、
そのコーディネーターや担い手がどれくらいいるのかどうか、あるいは二次交通の負担などが問題
として挙げられております。
今後、各エリアにおいて、地域主体による実効性のある事業、推進体制を盛り込んだ計画となる
よう、県も調整役を担ってまいります。
次に、農業行政であります。
これまでさまざまな政策を展開しているけれども、福井の農業をこれからどのようにしていくの
か、県民にわかりやすく未来を示せないかという御質問です。
福井県には、1ヘクタール程度の兼業農家から100ヘクタールを超える農業法人まで、約5万の
農業者がおられるわけであります。女性に人気のアグリツーリズムや九頭竜川パイプライン、坂井
北部丘陵地のような大規模なインフラを活用した農業など、その中にはさまざまなタイプの生産者
が努力をしておられるわけでありまして、しっかりした所得を得ながら安心して営農できることが
重要であります。
現在、平坦地では、規模拡大により米の生産コストを約4割削減し、また中山間地域では、特産
品振興により地域ブランド品として国の認証を受けているカブであるとかネギなどが頑張ってくれ
ているわけであります。また、越のルビー、ネギ、ブドウの生産拡大に加え、ここ5年間で直売所
の売り上げが12億円増の45億円になり、また学校給食の地場産使用率も14%向上して約5割に拡大
をしております。
これからの農業でありますが、食材生産のみならず、料理、加工品販売を行う食品産業、それか
ら農業体験、観光や教育のメニューとして商品化するサービス産業を加えまして、利益の上がる総
合産業として目指してまいります。
次に、福井しあわせ元気国体・大会についてであります。
2年後に迫りました福井しあわせ元気国体・大会の成功に向けた決意はどうだというお尋ねであ
ります。
福井国体と大会の成功には、国体と障害者スポーツ大会の融合というのが重要でありまして、障
害のある人もさまざまな形で参加できるよう、式典や協議会の実施方法等を工夫するとともに、障
害者スポーツ振興や障害者福祉の向上、バリアフリー環境の整備を含め、福井国体の2年後にあり
ます東京オリンピック・パラリンピックにもつなげていく必要があります。
福井県の両大会の開催に向けましては、整備する競技会場の状況でありますが、43施設のうち今
年度中には29施設が完成予定であります。また、宿泊につきましては、年内に施設の現地調査を行
う予定であります。また、開閉会式の演技内容等を年度内に定めるほか、ボランティア募集を開始
するなど、市町や競技団体とともに準備を着実に進めております。
これからも、県民や福井を訪れる人が幸せを感じられる大会となるよう、また県民スポーツを通
した健康づくり、ボランティアの参加意識の向上、幸福度日本一の発信などを進めるとともに、有
力選手の獲得や選手の強化、指導者の招聘などを強化し、競技力を高め、総合優勝をかち取ってい
きたいと考えます。
その他については、関係部長から答弁します。
○議長(松井拓夫君) 副知事藤田君。
-42-
〔副知事藤田 穣君登壇〕
○副知事(藤田 穣君) 田中議員から、私には競技力向上対策本部長としての取り組み等に関して
お尋ねを頂戴いたしました。
2年後に迫りました福井国体に向け、教育委員会や体育協会とも十分に連携をとりながら、現在、
競技力の向上に全力で取り組んでいるところでありまして、高校1年生からの計画的な強化、成年
選手の獲得や強豪チームに競り勝つ具体的な練習方法などについて、全ての競技団体と詰めたやり
とりをしているところでございます。
また、先月の北信越国体で課題が明らかとなった競技につきましては、各競技団体の会長と個別
に強化策を協議したところであり、岩手国体終了後にも、直ちにこうした場を全競技団体と持つこ
ととしたいと考えているところでございます。
選手の確保について具体的に申し上げますと、成年選手につきましては、得点につながる競技力
の高い選手として、「スポジョブふくい」、特別強化コーチ、そして、ふるさと選手、この三つを
合わせ430名以上の確保を目指しているところでありまして、昨年度までの200名に加え、今年度中
に新たに190名を確保し、合計で目標の9割となる390名という数字まで持っていきたいと考えてい
るところでございます。
また、少年選手につきましては、推薦入学制度を活用し、競技力の高い県内外の中学3年生を強
化指定高校に集めるとともに、福井国体で主力となる高校1年生の選抜チームによる県外遠征や国
体開催会場での練習の機会をふやしたり、スーパーアドバイザーなど実力のある指導者を頻繁に招
くことなどにより、その強化に一層努めてまいる所存でございます。
今後とも、競技団体の長となられている議員の方々を初め、県議会から御支援、御協力もいただ
きながら、県全体で心を一つにして福井国体での総合優勝を何としてもかち取りたい、かように考
えているところでございます。
以上でございます。
○議長(松井拓夫君) 総務部長東村君。
〔総務部長東村健治君登壇〕
○総務部長(東村健治君) 補正予算を編成するに当たっての県の基本的なスタンスと、重要な事業
については、県民が納得できるように十分説明すべきとのお尋ねでございます。
補正予算案の編成に当たりましては、当初予算成立後に発生した事柄に迅速に対応することによ
り、その効果がより発揮されること、マニフェストや戦略などに掲げた目標達成に向け、事業の追
加、拡充など、早急な対応が必要であることなど、事業の緊急性や必要性を精査しております。
今回の9月補正におきましても、7月末に発表されました幸福度ランキングの結果を生かし、
「ふくい創生・人口減少対策」を充実するための事業、関係市町との協議や工事の進捗等に伴い、
「高速交通開通アクション・プログラム」を推進するための事業を柱として編成したものでござい
ます。
3点御指摘いただきましたが、「幕末明治福井150年博」につきましては、昨年の6月議会から
その構想を説明させていただいておりますが、当初予算でも一部経費を持たせていただいておりま
す。他県であるとか県内17市町とは、本番となる平成30年に博物館における展示とかイベントなど
で共動して実施するために、今年度から準備委員会を設置して実施計画を策定する必要がございま
す。
また、年縞研究展示施設につきましては、当初の予定どおり平成30年の国体開催に間に合うよう
にするため、現在行っている実施設計に基づきまして、今年度から建築工事に着手する必要がござ
います。いずれも、9月議会でお認めいただく必要があり、提案させていただきました。
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六呂師高原スキー体験施設の指定管理者の指定につきましては、こちらは予算外の議案でござい
ますけれども、施設整備の予算は2月議会、設置及び管理に関する条例は6月議会でお認めいただ
いておりまして、地元大野市であるとか奥越青少年自然の家の利用者から早期開設の要望もござい
まして、この冬12月に予定どおり供用を開始するため、指定管理者の指定を今議会に提案したもの
でございます。
今後とも説明を尽くしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、核燃料税交付金につきまして、総務省並びに市町等との協議状況についてどうなっ
ているのかということ、それと、市町の配分割合に対する県の基本的な考え方、方向性についての
お尋ねでございます。
新しい核燃料税につきましては、6月議会で条例案を可決していただいた後、7月14日に総務省
に協議書を提出し、現在協議中でございます。
今回の新たな税制は、廃炉に対する出力割と使用済み燃料の早期搬出を促す搬出促進割を全国で
初めて制度化するものであるため、まずは同意を得ることが重要でございます。核燃料税交付金の
配分に当たりましては、原子力発電所が集中立地している本県の特殊性から、立地市町だけでなく
周辺市町にも配慮して交付を行ってきております。
配分方法につきましては、8月に県から立地市町及び周辺市町に出向きまして、さまざまな要望
や意見を聞いておりますが、従来からの全国最高水準の交付割合をベースにいたしまして、また、
原子力発電所の廃炉や運転停止の長期化などによる地域経済や市町財政への影響なども考慮いたし
まして、総務省の同意を得た後に決めたいと考えております。
○議長(松井拓夫君) 安全環境部長清水君。
〔安全環境部長清水英男君登壇〕
○安全環境部長(清水英男君) それでは、私のほうからは原子力防災関係について1問回答させて
いただきます。
嶺南振興局の職員を中心とした現地対策本部の運営、あるいはスクリーニングポイントの設置訓
練などを行う必要があるのではないかという御質問でございます。
県の原子力防災計画におきましては、原子力災害時には初動対応といたしまして、立地地域に近
い嶺南振興局職員がオフサイトセンターに参集いたしまして、嶺南振興局の局長を本部長といたし
ます現地警戒本部を設置するということになっているところでございます。
今回の訓練におきましても、嶺南振興局の職員が、避難先に到着いたしました住民の方の数、あ
るいは屋内退避を行った住民の方の数を把握するというようなことを行っているところでございま
す。また、今回初めて県外、これは京都府の綾部球場でございますが、スクリーニング・除染を実
施いたしたところでございます。ここにおきましても、嶺南振興局などによりまして車両検査、あ
るいは除染といったことを行っているところでございます。
万が一の災害発生時には、迅速に現地本部やスクリーニング場所を設置することが重要であると
いうふうに考えておりまして、今後とも嶺南振興局職員の研修、あるいは個別訓練というものを継
続的に実施いたしまして、初動体制の充実を図ってまいりたいと、こんなふうに考えております。
○議長(松井拓夫君) 健康福祉部長櫻本君。
〔健康福祉部長櫻本 宏君登壇〕
○健康福祉部長(櫻本 宏君) 私からは、健康福祉行政について2点御答弁申し上げます。
まず、神奈川県相模原市における事件を受けて、本県においても障害者施設の防犯対策の強化と
職員の待遇改善もあわせて必要と考えるが、現状と今後の対策はどうかとのお尋ねでございます。
今回の事件を受けまして、県としては8月上旬に県内27全ての障害者の入所施設を訪問し、指導
-44-
をいたしますとともに、高齢者施設を含めました約500の入所施設を対象にして、防犯対策の実施
状況について調査をいたしました。県では、この調査などをもとにして、国の検討結果を待たず、
独自に社会福祉施設等の防犯対策点検マニュアルを作成し、先週各施設に送付したところでござい
まして、今後その対応について確認、指導をしてまいります。また、障害者施設の防犯訓練につき
ましては、警察署の参加を得まして、本日までに入所27施設のうち10施設が実施しておりまして、
残りの施設につきましても来月中には実施する予定となっております。
職員の処遇改善につきまして、国は介護の人材と同様に、来年度から1人当たり月額1万円程度
改善する予定でございまして、県としても実地監査を通じ、給与改善などについて指導してまいり
たいと考えております。
次に、障害者に対する差別の早期解消に向けた県の取り組みの現状と今後の方針についてのお尋
ねでございます。
本年4月から施行されました障害者差別解消法につきましては、その趣旨や内容について、新聞、
広報誌等への掲載、民間企業への説明会等を行いますとともに、本年3月には県職員の対応要領を
作成し、徹底を図っているところでございます。
そして、本年7月には障害者団体、福祉関係者や行政機関等からなります県障害者差別解消支援
地域協議会を開催いたしまして、障害者への理解促進、相談事例や合理的配慮の具体的な内容につ
いて情報共有を進めていくことといたしました。
また、6月の県障害者スポーツ大会、8月の県民スポーツ祭において、健常者と障害者が車椅子
テニスやバスケットボールなどを通じて交流をいたしました。来月には民間団体が、トップアスリ
ートによるトークセッションを開催するなどの動きもございます。平成30年の福井しあわせ元気大
会に向けて、官民挙げて障害者への理解を一層促進してまいりたいと考えております。
さらに、11月の人権啓発フェスティバル、12月の障害者週間においてパネルディスカッション、
テレビスポット等により普及啓発を行いまして、障害者差別の解消に努めてまいりたいと考えてお
ります。
○議長(松井拓夫君) 警察本部長猪原君。
〔警察本部長猪原誠司君登壇〕
○警察本部長(猪原誠司君) 私からは、まず治安情勢の認識と今後の対策及び抱負についてお答え
いたします。
本県の治安情勢は、刑法犯認知件数が平成15年以降13年連続で減少し、本年も8月末現在で
2,337件と前年の同時期に比べて299件減少しております。また、交通人身事故件数についても平成
17年以降減少しているなど、総じて県内の治安に一定の改善が見られるところであります。これは、
平成15年以降、県及び県公安委員会と共動で策定している総合的な治安対策プランに基づく継続的
な取り組みの成果のあらわれであると考えております。
一方で、議員御指摘のとおり、本年に入り交通事故により32名の方が亡くなっておられるほか、
振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の被害は1億円を超えており、これらを分析しますと、いずれ
も65歳以上の高齢者の方々の被害が顕著であります。
また、子供に対する声かけ事案や女性を対象とした暴力的事案もいまだ多く発生している状況に
あるなど、県警察が取り組むべき治安上の課題は、依然として多くあると認識しております。
このような情勢を踏まえまして、まずは女性や子供、高齢者などの社会的に弱い立場にある方々
を犯罪や事故から守る対策に取り組む必要があると考えております。中でも、高齢者の方々を交通
事故から守るため、歩行者等に対する反射材の貸与や保護、誘導活動を強化するとともに、高齢運
転者の方々に対しては、議員のお話にもありましたドライブレコーダーを活用した安全運転指導を
-45-
行うなど、交通事故防止に努めてまいります。また、高齢者の方々を狙った特殊詐欺に対しては、
被疑者の検挙を徹底するとともに、最新手口の紹介や出前講座による注意喚起を行うなど、被害防
止対策を強化していく方針です。
さらに、子供や女性を犯罪から守るため、街頭防犯カメラの活用やストーカー、DV被害者等の
安全確保を最優先とした検挙及び保護対策を推進してまいります。また、本県には全国最多の原子
力関連施設があることから、テロの未然防止へ向けて警戒、警備に万全を期すこととしております。
県警察といたしましては、今後とも県民の皆様と連携し、「安全・安心ふくい」万全プランに掲
げました目標を達成するため、各種治安対策に全力で取り組んでまいります。
次に、県内の暴力団対策についてお答えします。
昨年8月末に分裂した6代目山口組と神戸山口組については、現在も対立抗争状態にあり、本県
においても両団体の勢力が存在し、本年2月に敦賀市内の暴力団事務所に対する拳銃発砲事件が発
生するなど、依然として予断を許さない状況にあると認識しております。
県警察では、県民の皆様に不安を与える対立抗争事件の発生を防止することを最重点として、あ
らゆる法令を駆使した取り締まりや関係箇所に対する警戒を徹底するとともに、暴力団対策法の効
果的な運用や関係機関、団体と連携した暴力団排除活動など、各種対策を推進し、暴力団の弱体化、
壊滅を図ってまいります。
仮に、今後県内において対立抗争事件が発生した場合には、行為者はもとより、首謀者まで徹底
的に検挙してまいります。
次に、サイバー犯罪対策についてお答えします。
情報通信技術の進展に伴い、サイバー空間ではインターネット等を利用した新たなサービスや技
術があらわれ、その利便性が向上している反面、これらのネットワークを悪用した犯罪が見られて
おります。
県警察では、サイバー空間の脅威に対して、統一的な戦略のもとで組織全体の対処能力を強化す
る必要があることから、昨年12月、人材育成、資機材の整備、広報啓発、捜査強化等を定めたサイ
バーセキュリティ戦略を制定したほか、本年の組織改編では、部門間連携強化のため生活安全部の
首席参事官を部門間連携の責任者とするとともに、その指揮下にサイバー犯罪対策室を移管するな
ど、体制を強化したところです。
また、人材育成のため、部外の専門的な研修を受けるための予算を確保し、民間の専門家の高度
な知見を学ばせるとともに、官民一体となった啓発活動による社会全体の意識の向上、産官学が連
携した情報収集による対処能力の強化などの取り組みを推進しているところであります。
引き続き、日々深刻化するサイバー空間の脅威を的確に捉えた捜査を徹底するとともに、県民の
皆様がサイバー犯罪被害に遭わないための広報啓発活動を行うなど、効果的な対策を推進してまい
ります。
○議長(松井拓夫君) 選挙管理委員会委員長熊澤君。
〔選挙管理委員会委員長熊澤喜八郎君登壇〕
○選挙管理委員会委員長(熊澤喜八郎君) 私のほうからは、さきの参議院選挙における投票結果を
どのように分析、評価しているのかという御質問に関しましてお答えいたします。
本県のさきの参院選の投票率は56.5%、全国18位でございまして、全国平均54.7%を上回り、前
回平成25年の参院選よりも2.7ポイント上昇いたしました。これは、70年ぶりに選挙権年齢が18歳
に引き下げとなったことにより、世間の関心が高まったこと。また、ショッピングセンターや大学
等に期日前投票所が開設され、投票環境が向上したことの効果があらわれたものと考えております。
一方、本県の18歳、19歳の投票率を見ますと、18歳は48.1%、全国22位、19歳は36.2%、全国30
-46-
位となっておりまして、いずれも全国平均を下回っております。これは、都会に比べまして高校卒
業後に県外に進学する割合が高く、住民票を残したままの学生が煩雑な不在者投票を敬遠した割合
が高かったのではないかなと推測しております。
しかし、現役高校3年生相当、平成10年4月2日から平成12年7月11日にお生まれになった方で
ございますが、福井県独自で全数を調査いたしましたところ、その投票率は約70%であり、これは
投票率が最も高い65歳から74歳に匹敵するものでありました。これまでの主権者教育や18歳選挙権
出前講座の効果があらわれたと考えております。
今後も、教育委員会と共同してこれを継続し、全体の底上げにつなげていきたいと思っておりま
す。
以上でございます。
○議長(松井拓夫君) ここで、休憩をいたします。
午前11時47分 休 憩
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
午後1時00分 再 開
会議に出席した議員(35名)
1番
井 ノ 部
航
太
20番
大 久 保
2番
辻
一
憲
21番
松
田
泰
典
3番
清
水
智
信
22番
田
中
宏
典
4番
力
野
豊
23番
大
森
哲
男
5番
宮
本
俊
24番
石
川
与 三 吉
6番
島
田
欽
一
25番
笹
岡
一
彦
8番
西
本
恵
一
26番
田
中
敏
幸
9番
細
川
か を り
27番
欠
10番
西
畑
知 佐 代
28番
山
本
正
雄
11番
鈴
木
宏
紀
29番
野
田
富
久
12番
長
田
光
広
30番
山
本
芳
男
13番
小
堀
友
廣
31番
田
村
康
夫
14番
小
寺
惣
吉
32番
斉
藤
新
緑
15番
畑
孝
幸
33番
仲
倉
典
克
16番
中
井
玲
子
34番
山
本
文
雄
17番
佐
藤
正
雄
35番
中
川
平
一
18番
西
本
正
俊
36番
山
岸
猛
夫
19番
糀
谷
好
晃
37番
関
孝
治
―――◆
◆●◆●◆
衞
員
◆―――
会議に欠席した議員(1名)
7番
松
井
拓
夫
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
○副議長(畑 孝幸君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
議員各位に申し上げます。
円滑な議事進行に御協力くださるようお願いいたします。
笹岡君。
なお、笹岡君より資料を使用したい旨の申し出があり、これを許可いたしましたので、御了承願
-47-
います。
〔笹岡一彦君登壇〕
○25番(笹岡一彦君) 自民党県政会の笹岡一彦でございます。会派を代表して、我が県の真のふる
さと力を引き上げていくという観点から、質問と提言をさせていただきます。きょうは、あわら市
からも応援団が来てくださっておりますので、張り切っていきたいと存じます。
質問に入る前に、岩手県を初めこのたびの台風10号による豪雨災害で被災された多くの皆様方に、
心よりお見舞いを申し上げます。
また、このたび残念ながら福井県議会において自民党が分裂してしまいました。しかしながら、
私たちは大人の政策集団として正々堂々と地に足のついた政策提言を行い、過去を達観した未来志
向型の会派として常に前を向き、今後については大きな気持ちで議会全体を見守りながら質問に入
りたいと存じます。
まず初めに、知事の政治姿勢について伺います。
知事が先頭に立って誘致に力を入れてこられた、由利公正を題材にしたNHK大河ドラマが、残
念ながら選に漏れたとの報道がありました。平成30年の明治維新150周年にあわせて挑んだ、いわ
ゆる維新ものだっただけに、同じ維新の三傑である鹿児島の西郷隆盛どんにとられた形となりまし
た。NHK側から由利公正の全国的な知名度の低さを指摘されたことも、その要因の一つと言われ
ております。
長年、県議会が大河ドラマ誘致を訴え続け、ようやく知事がそれを受け入れ、いざ題材選定の段
になると、県議会大河ドラマ誘致議連が県民にアンケートをとり終える前に、実質知事の一声で由
利公正に決まった経緯がありました。形の上では市町や県議会の議連も構成員となる誘致推進協議
会で決定したことになってはいますが、実際は少し強引な進め方もあったようで、推進組織の和に
も影響があったのではないでしょうか。真のふるさと力を高め、一丸となって再挑戦するのであれ
ば、その総括はきっちりとなされなければならないと考えます。
大河ドラマでは、当面、維新ものは困難だと予測できますが、今後もあくまで由利公正で行くの
か、それとも県議会の議連が実施した県民アンケートなどで上位を占めた、朝倉義景や人気の大谷
吉継なども含めてもう一度題材を再選定し、推進体制の結束を強化するなど、新しい戦略を練り直
すのか、明確にお示しいただきたいと思います。
次に、幸福度日本一の評価と、県民の実感とのギャップに陥り滞っている政策は、早急に見直す
必要があることを訴えたいと思います。
7月末に発表された日本総合研究所の都道府県幸福度ランキング2016年版において、福井県が前
回に続き総合1位を獲得いたしました。これはこれで大変喜ばしいことであります。知事は、今後、
幸福度を向上させるための政策を追求し、幸福を実感できるふるさとづくりを進めていくとの方針
のもと、9月補正予算でも、幸福ふくい魅力プロモーション事業など幸福度の高さを県内外にPR
していますが、それを受けて、果たしてどれだけの県民が幸福日本一を実感できているでしょうか。
この結果をもって、幾ら県内外にアピールをしても、状況は余り変わらないのではないでしょうか。
むしろ、本県の著しい人口の流出量が、「本当に幸せだったら福井県に残っているし、帰ってき
ているよ」と言いながら、私たちに「それでいいの」と、ギャップの大きさを問いかけているよう
に思えてなりません。
今回のランキングを分野別に見ると、例えば、文化分野の指標は、東京都が1位で福井県は42位、
本県が1位である仕事分野の指標でも、事業所新設率は42位、本社機能の流出・流入数も流出の方
が上回り39位と低迷。実際、幸福度日本一である福井県への人口がふえておらず減っており、逆に
最も住みたくない県としてワースト1位になっている別の統計さえございます。つまり、県民の実
-48-
感にヒットする真のふるさと力が不足しており、それを向上させる視点が欠けているのではないで
しょうか。
幸福度ランキングの客観的数値や順位だけに捉われることなく、政策の穴を埋めることが先決で
あります。進学や就職の受け皿など、物理的な部分での努力は少しずつ認められてきていますが、
本県に住む人が肌で誇りや幸福を実感でき、一旦本県を離れた人も帰ってきたくなる、外からも喜
んで移住したくなる、普遍的な魅力づくりが今最も必要なのではないでしょうか。特に、都市部の
きらびやかな豊かさよりも福井ならではの深い価値観を尊重できる精神的な面において、福井は何
もない、福井は面白くないという自虐的な思考をほとんど払拭できておらず、これが大きな心の壁
になっているように思えてなりません。
この総合ランキング1位となった結果は結果として、持続可能な本県を構築するために、普遍的
な価値観をむしろ県民に根づかせることが最重要と考えますが、知事の考えを伺います。また、県
は今後どのような具体的な施策を展開していくつもりか、所見を伺います。
次に、参院選の投票結果について伺います。
さきの参議院議員選挙では、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、福井県選挙区の投票率は
56.5%と前回を2.72ポイント上回りました。
一方、今月、県選挙管理委員会が公表した調査結果によると、福井県選挙区の18歳の投票率は
48.1%、進学や就職で地元を離れていることが多い19歳は36.24%にとどまっています。また、18
歳に比べて19歳の投票率が低いのは、不在者投票の仕組みが一因との見方もあります。県外で暮ら
す大学生は、住民票を実家に残したままにしているケースが多く、手続が煩雑な不在者投票を敬遠
したと見られます。また、地域別に見ると、例えば原発の問題を抱える高浜町やおおい町などが、
逆に際立って投票率が低くなっていたりと、さまざまな特徴が見られます。
県としても、参議院議員選挙での結果を踏まえて、今後の若者の政治参加を促すために、投票所
の追加、主権者教育のあり方、都市部の大学との連携など、今何が必要か、市町別、年齢別、性別
ごとなど、多角的な視点から分析することが大切であり、これも真のふるさと力の養成につながる
と考えます。
選挙権年齢が引き下げられてから初の国政選挙における若者の投票率をどう分析しているのか、
また、それを踏まえた今後の選挙啓発や主権者教育の取り組みをどうするのか伺います。
3番目に、北陸新幹線の整備促進について質問します。
まずは、稲田与党PT座長交代に伴う敦賀以西ルート決定の影響について伺います。
8月3日の内閣改造により、自民党政調会長、与党整備新幹線PT座長であった稲田衆議院議員
が防衛大臣に就任されました。エネルギー安全保障や災害対応の観点から、県が要望している嶺南
地域への自衛隊の配備について、日本全体の問題として前向きに取り組んでいくとのお考えであり、
我々も心強く感じているところであります。
しかし一方で、今回の入閣に伴い、敦賀以西ルートを年内にも最終決定することとなる与党PT
の座長を交代せざるを得なくなりました。稲田防衛大臣は、これまでの経緯や重要性について、新
たに座長となる茂木議員にしっかりと引き継いだとの報道もありましたが、今まで稲田座長の指導
力が地元にとって大きな頼りだっただけに、今回の交代が今後のルート決定に及ぼすマイナスの影
響について、県民も沿線市も少なからず不安を感じております。
この与党PTの座長交代が敦賀以西ルートの決定に及ぼす影響について県の見方を伺うとともに、
小浜京都ルート実現に向けた今後の取り組み方針についてお示しください。
次に、駅舎デザインコンセプト、新幹線駅周辺のまちづくりについて伺います。
北陸新幹線の県内延伸を見据え、用地取得や工事が進められておりますが、駅が設置される沿線
-49-
市においても新幹線駅舎のデザインづくりが本格化しております。芦原温泉、福井、南越、敦賀と
いう県内4駅の駅舎デザインコンセプトについては、本年12月までに鉄道・運輸機構に提出される
予定で、提出後、来年の10月から12月ごろまでに、鉄道・運輸機構から三つのデザイン案が各市に
示され、平成30年春ごろには新幹線駅舎の基本デザインが決まる見通しとのことであります。
県はことし2月、議会からの要請を受けて庁内組織を立ち上げ、そこに鉄道・運輸機構との交渉
窓口を一元化しましたが、在来線駅と新幹線駅の接続など、それぞれの駅においてさまざまな課題
を抱えております。既に、石川県では交渉が進んでおり、いずれも美しく誇れる駅ができそうであ
ります。このままでは、福井駅は金沢駅に、南越駅や敦賀駅は小松駅に、そして芦原温泉駅は加賀
温泉駅にそれぞれ開業と同時に負けてしまいかねません。他県の駅と同様、いや、それ以上にすば
らしい駅舎デザインと利便性及び駅周辺整備について、県が力強いリーダーシップをとり、この五
十年から百年の大計について責任を持って前に進め、県民の期待にしっかりと応えていくべきだと
考えます。ここにも県民の前に最もわかりやすい形で、真のふるさと力が試されております。
さきの6月定例会において、新幹線駅舎のデザインについて、「しっかりやっていく」との力強
い答弁がありましたが、それぞれの駅の課題や沿線市等との検討状況及び今後の具体的スケジュー
ルについて伺うとともに、今後の県の取り組み方針について伺います。
4番目に、「ふくい創生・人口減少対策戦略」について伺います。
自然減に加え、社会減も人口減少の大きな要因の一つであります。これについては、前述の若者
の県外流出と深く関係しており、先月開催した高校生県議会においても、県が実施しているU・I
ターン奨学金の対象となる業種の制限をなくすことや、県内にない学部の新設など、未来の福井を
担う高校生からの切なる提言を多数いただきました。
県教育委員会が発表した平成28年3月学校卒業者の進路実態調査によれば、高校卒業者7,348人
のうち4,119人が大学等に進学し、そのうち2,608人が県外に出ているとのことです。その後、福井
県にUターン就職するのは約30%と言われており、これこそ真のふるさと力の不十分さを痛切に感
じさせる現状であります。
県は今回、新たにミレニアル世代U・Iターン促進事業を立ち上げましたが、これまでも企業版
ふるさと納税による寄附金を財源の一部として活用した、U・Iターン奨学金返還支援事業や、県
外在住の女性を中途採用する県内企業への応援、県外大学と就職支援協定を締結するなど、さまざ
まな施策を組み合わせて実施しています。そうした社会減対策の効果が期待どおりちゃんと発現さ
れているのかどうか伺います。
また、現行のU・Iターン奨学金返還支援事業では、使い勝手の悪さが高校生からも指摘されて
いますが、今後どのように施策を拡充、改善していくのか、あわせて伺います。
次に、原子力行政について伺います。
最初に、「もんじゅ」についてお聞きします。
日本原子力研究開発機構は先月、保守管理体制の改善状況をまとめた報告書を原子力規制委員会
に提出するなど、運転再開準備禁止命令の解除に向けた活動を進めています。
しかしながら、国は、昨年の原子力規制委員会の勧告から10カ月が経過してもなお、いまだ結論
を出しておりません。そればかりか、再稼働には大幅な国費の追加負担が必要となることから、政
府は廃炉にする方向で最終調整に入ったという大変衝撃的な報道も昨日ありました。このことは、
エネルギー基本計画の中核施設として、「もんじゅ」を長年受け入れてきた本県に対して甚だ失礼
であるばかりでなく、国策として進めてきた核燃料サイクル全体に対して、極めて無責任で、かつ
大所高所からの展望のない安易過ぎる国の態度であると言わざるを得ません。
知事は、先月就任した松野文部科学大臣に対し、「もんじゅ」を生かすか否か最後の機会である
-50-
ことを認識し、「もんじゅ」を含む核燃料サイクル政策の将来に対し、政府一丸となって真剣に取
り組むよう強く要請しています。
しかしながら、廃炉にする方向で最終調整という報道も出た今、県はそれでもなお、このままで
本県が求める結論が出ると考えているのか、また、官邸に直接要請するなど、別の有効な手段を早
急にとるべきだと考えますが、県の覚悟を伺います。
次に、合同原子力防災訓練について伺います。
8月27日、福井県、京都府、滋賀県の3府県と国、関西広域連合が実施する高浜地域の合同原子
力防災訓練が行われ、私も視察させていただきました。その翌日には、大飯地域の原子力防災訓練
が引き続き行われました。3府県の合同原子力防災訓練は、昨年12月に国の原子力防災会議が広域
避難計画を了承したことを受けて、その計画の検証を目的とし、初めての県外避難の実施や、参加
した住民は京都府を含め7,000人超という過去最大規模のものとして、大きな意味を持つ訓練であ
りました。
昨年の12月定例会の予算決算特別委員会において、私は、住民の安全・安心につながるよう、高
浜地域における広域避難計画に一日も早く血を通わせるため、広域避難訓練の早期実施を県や国に
強く求めました。今回、訓練が実現し安堵する一方で、私の目から見ても課題や反省は多くありま
した。この点についても県の総括と改善が大事な鍵となります。真のふるさと力は、県民の安心・
安全にかかっています。
高浜、大飯地域の原子力防災訓練の成果と課題について伺うとともに、国等に対して広域避難計
画のどのような点について改善を求めていくのか、所見を伺います。
6番目に、健康福祉行政について質問いたします。
ことし4月、障害者差別解消法が施行されました。行政機関や民間事業者に対し、不当な差別的
取り扱いを禁じるとともに、障害者を手助けする合理的配慮を求めており、まさに今、社会全体で
障害者の差別解消に向けた取り組みを強化したところであります。
今はソーシャル・インクルージョン、すなわち、あらゆる人の孤立や排除を避けるために社会で
包み込むという理念の時代となりました。立法府に身を置く我々も、孤立や排除を極力避ける理念
を持たなければ、時代おくれの政治家と言われるでしょう。
さて、このような中、神奈川県相模原市の福祉施設で、知的障害者を社会から排除しようとする
動機による戦後最悪の殺傷事件が発生してしまいました。この事件は、社会全体で差別解消を進め
ようとする時代に逆行し、社会全体の努力と成果を卑劣な暴力によって一気に破壊するものであり、
絶対に許されない、そして二度と起こしてはならない事件であります。
県は、この事件を受け、社会福祉施設及び市町に対して入所者の安全確保を図る旨を通知すると
ともに、県内の障害者入所施設の安全対策の実施状況等について調査を行っていますが、いまだ入
所者や保護者の安心を得るには不十分であります。また、今月8日、県議会の厚生常任委員会のこ
の面での視察がありましたが、閉鎖的にならざるを得ないセキュリティーと開かれた施設としての
地域共生をいかに両立していくかという、新たな課題も見えてきたようであります。
国が、第2次補正予算案に障害者施設の防犯対策強化を目的とした補助金を盛り込むことや、防
犯対策に関するガイドラインを秋までにまとめる方針であることなども踏まえ、県はこうした施設
の防犯強化に向けた取り組みをさらに強化していくべきではないかと考えますが、現在の状況と今
後の方針について伺います。
次に、観光行政について積極的提言を申し上げます。
1点目は、観光の推進体制について提言いたします。
本年7月、産業常任委員会の県外視察において、沖縄県の観光コンベンションビューローを調査
-51-
いたしました。平成26年の本県の観光消費額は876億円であるのに対し、沖縄県の観光収入は約
5,169億円で本県の約6倍でありますが、これは沖縄県が観光をリーディング産業と位置づけて、
県がたゆまぬ努力をしてきたたまものであります。このコンベンションビューローも平成8年に知
事みずからが会長となり、知事の強力なリーダーシップのもと、県内にあった三つの観光団体を統
合して、観光とMICEの両方を一元化し、そこに市町村の観光協会も束ねて、全県一体となった
体制で強力に観光政策を推進してきたものです。
賛助会員620社、職員総数約200名、うち県から5名の職員が出向する体制で、予算額は約45億円、
うち県からの補助40億円という形で、政策は県が立て、実行はここで行うという実行部隊であり、
その実行力やスピード感たるやすさまじいものがあります。
本県も、観光新戦略において観光戦略推進懇話会を設置して戦略の進行管理を行い、観光推進会
議を定期的に開催して具体的な施策を推進することとしており、県、県民、事業者、関係団体、市
町それぞれが役割を担いながら推進していくとはうたっていますが、年に数回開催される会議で、
それらの戦略や施策などを果たして一元的に統括できるのか、沖縄県のような力強い展開が遂げら
れるのか大変疑問であります。
これからの福井国体や東京オリンピック、新幹線開業に向かって、観光営業部を設置してまで観
光強化を目指してきた西川知事だからこそ、大胆な観光推進体制の見直しを実現していただきたい
と考えますが、知事のお考えを伺います。
沖縄県では、次世代を担う人材の育成にも力を入れております。観光産業が沖縄県の第一の産業
であることを学ばせるために、10年前から小学生を対象に、総合学習において観光学習という教材
を活用した授業を行っております。このテキストブックでございます。(資料提示)この教材は、
沖縄の魅力、特色を知ることで沖縄への誇りと郷土愛を育み、最後に、私たちにできることとして、
観光客への明るい挨拶や町を清潔にすること、自信を持って沖縄のよいところを伝えること、そし
ておもてなしの心で優しくお迎えることなどを教えています。
全国の旅行者を対象とした、じゃらん宿泊調査2016の都道府県魅力度ランキングによりますと、
県民のホスピタリティーは、沖縄県が2005年以来、連続11年全国第1位であります。観光教育の効
果が発現されていると思われますが、福井県は残念ながら45位に低迷しているのが現実でありまし
て、これも真のふるさと力が不十分であることの証左ではないでしょうか。
本県でも、職業教育の一環として高校生や大学生を対象とした観光に関する授業を取り入れ、観
光産業を担う人材の育成を進めておりますが、県民一人一人が観光客をおもてなしの心で受け入れ
る分厚い素地をつくり上げるために、観光教育を小学生の段階から取り入れてはどうかと考えます
が、所見を伺います。
8番目に、農林水産行政について質問します。
県はこの4月から、TPP対策の一環として農林水産物等の販路拡大を目的とした「ふくい食輸
出サポートセンター」を設立しました。これは、県、農林漁業団体、商工団体、酒造組合などで構
成される組織で、予算もアジア市場への食の輸出拡大事業として2,600万円を計上し、取り組んで
いるところであります。
これを踏まえて、我々は那覇市のANACargoとヤマト運輸グローバルロジスティクスセン
ターを深夜2時に訪れ、沖縄国際物流ハブを調査してまいりました。那覇空港は24時間発着可能で、
国内産地から農林水産物の鮮度を維持したまま、翌日には香港や台湾、シンガポールなど、東アジ
ア諸国に輸送できるため、ANAとヤマトがアジアへの物流拠点として利用しております。この沖
縄国際物流ハブを活用した農林水産物の輸出は、既に他県でもスタートしており、青森県では鮮魚
や活ホタテ、三重県ではブリの輸出を本格化させ、国内輸送費用に対する県の補助制度も始めてお
-52-
ります。TPPや人口減少による今後の国内需要の縮小を見据えて、新たな市場を獲得するための
輸出推進の動きは全国で活発化しており、先般、政府が閣議決定した経済対策においても、輸出拠
点の整備など輸出力を強化するとしております。
こうした中、本県もこの時流に乗りおくれることなく、輸出の推進を図っていかなければなりま
せん。知事は2月定例会で、「アジアへの食品の輸出額を現在の4億円から平成30年には8億円に
拡大したい」と答弁しています。果たして、この目標値で県内の農林水産業の生産者は幸せになれ
るのでしょうか。私は、一桁違うのではないかと思います。また、現在、輸出品目のほとんどは日
本酒と米と聞いておりますが、さらに付加価値の高い輸出品目をふやすことが必要となります。
11月には、香港、シンガポールで食文化提案会を行うとのことですが、誰をターゲットに、何を
売り込もうと考えているのか伺います。
また、今後、輸出拡大を図っていくためには、競争力アップと県内生産者の所得向上という二律
背反を同時実現する仕組みをつくることが重要であると考えますが、知事のお考えを伺います。
次に、土木行政について質問いたします。
まずは、住宅・宅地マスタープランの改定について伺います。
空き家の増加については、少子高齢化や人口減少などを背景として深刻な社会問題となっていま
す。昨年、空き家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、全国的に行政代執行による強制撤
去もふえておりますが、その6割は、所有者の経済的困窮や死亡などの理由により、費用を回収で
きず、自治体が肩がわりせざるを得ないという厳しい現実があるようです。
こうした中、ことし3月、国は新たな住生活基本計画を策定し、初めて空き家の増加抑制に向け
ての目標値を設定しています。例えば、低所得者やひとり暮らしのお年寄りが空き家を借りやすく
するために、家主の改修費用を補助する制度を創設するなどの新事業が、来年度予算の概算要求に
も盛り込まれております。また、空き家を自治体などに寄附できる仕組みづくりを進める方針も示
されております。
国の基本計画の改定を受け、県は現在、福井県住宅・宅地マスタープランの改定作業を行ってお
り、今年度中に策定することとしていますが、どのような点に重きを置いて改定しようとしている
のか、そのポイントを伺うとともに、本県の空き家対策の明確な方向性を伺います。
次に、道路や河川等の維持管理について伺います。
県は、ことし、県有施設等の長寿命化、経費の軽減、平準化を推進するため、福井県公共施設等
総合管理計画を策定しました。この計画において、県は今後、北陸新幹線や中部縦貫道など大型プ
ロジェクトの建設費負担が増加し、厳しい財政状況が続くことが予想され、道路や河川などのイン
フラ施設の役割を継続して発揮するために、長期使用を可能とする効果的な維持管理と計画的な更
新が必要との基本認識を示しています。
県では、道路や河川の維持管理のうち、清掃や除草などの環境美化については道守活動や川守活
動を推進し、自治会や商店街、企業、学校など、地域住民の方々のボランティアによる協力を求め
ていますが、ボランティアによる環境美化には限界があり、清掃や除草が行き届いていない道路や
河川も多く見られております。総務省が実施した平成23年社会生活基本調査によると、過去1年間
に自治会等の清掃活動を含む、まちづくりのための活動を行った人の割合は年々大幅に低下してお
り、少子高齢化や人口減少が進む中、今後、ボランティア頼みは先細りが予測されます。
2年後の福井国体を見据えて、ボランティア頼みではなく、厳しい財政の中だからこそ、計画的
かつ集中的に道路や河川の維持管理や環境美化を進めていくことが必要であると考えますが、所見
を伺います。
次に、オリンピック東京大会事前キャンプ誘致の状況について伺います。
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南米大陸初の開催となったリオオリンピックが先月閉幕し、現在はパラリンピックで熱戦が展開
されております。4年後の東京オリンピックに向けて、メダル獲得を目指す選手たちの熱い戦いは
既に始まっていると思われますが、国内の各自治体においてキャンプ誘致の戦いが始まっておりま
す。一流の海外選手がキャンプ地として本県を訪れることで、県民のスポーツ振興や本県の知名度
アップが実現できるものと期待されております。
また、御承知のとおり、本県において東京オリンピックの2年前に国体が開催され、さまざまな
施設が改修や設備更新されるという強みがあり、本県も今回の9月補正予算で、オリンピック東京
大会事前キャンプ誘致広報事業を上程しております。
鯖江市、美浜町、越前町などの自治体が4年後に開催される東京オリンピックの事前キャンプ誘
致に力を注いでいますが、本県の誘致活動におけるこれまでの手応えと今後の取り組みについて所
見を伺います。
次に、次期学習指導要領に先駆けた授業改善、教員の指導力向上について伺います。
次期学習指導要領の素案が中央教育審議会から示され、4年後の東京オリンピックの年から実行
に移されることとなっております。小学校の英語教科化とともに、児童生徒がみずから課題を見つ
け能動的に解決する学習手法である、アクティブ・ラーニングが全教科で取り入れられております。
一方で、多忙をきわめる学校の先生の間で戸惑いの声も多く、教育現場としての十分な意思疎通を
図り、学校教育を無理なく着実に新しいステージへと進化させていくことが求められております。
教育先進県である福井県は、教育振興基本計画に基づく施策を進めていますが、次期学習指導要
領の実施に先駆けて、アクティブ・ラーニングの視点からどのように取り組み、さらなる授業改善
等につなげていくか伺うとともに、そのために必要不可欠となる教員の指導力をどのように向上さ
せていくのか伺います。
最後に、公安行政について質問いたします。
警察庁のまとめによれば、今年1月から6月の全国の振り込め詐欺など、特殊詐欺の被害額は、
昨年同期より41億8,000万円少ない198億4,000万円で、2年連続の減少、認知件数も5年ぶりに減
少に転じ、570件減の6,443件でした。しかし一方で、本県の被害額は、前年同期比3,681万円増の
1億1,206万円、摘発は38件増の43件であり、増加しております。
県警察では、警察官が戸別訪問等によりチラシを配布し、最新の手口に関する情報や注意喚起を
呼びかけるなど、広報啓発活動を実施しており、また、だまされた振り作戦により、現金を受け取
る受け子を逮捕し、そこから犯行グループのリーダーや電話をかける架け子を逮捕するなど、成果
を上げております。しかしながら、特殊詐欺の被害は一向に減っておらず、犯行グループが中枢の
逮捕を免れるための手口を巧妙化しており、イタチごっこが続いております。
こうした現状を踏まえ、今後どのような実効性のある対策を講じ、被害を食いとめていくのか所
見を伺います。
ながらスマホについても伺います。
ことし7月、日本で「ポケモンGO」の配信が開始されて以来、県庁周辺を含め、県内各地でゲ
ームを楽しむ姿が見受けられます。ゲームで使用するアイテムや貴重なポケモンをゲットできるス
ポットには多くの利用者が集まり、「ポケモノミクス」と呼ばれる経済効果も生じており、この効
果を地域振興や被災地の復興支援に活用する動きも見られております。
また、GPS機能とAR――拡張現実――機能を使った観光客誘致については、本県でもJR福
井駅周辺で恐竜の世界がのぞけるアプリを配信するなど、地域活性化に活用されております。
そうした取り組みが各地で進められる一方で、全国的に歩きスマホによるトラブルや、ゲームを
しながら自転車や車を運転したことによる事故が相次いでおり、とうとう先月下旬には徳島県と愛
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知県で死亡事故が発生してしまいました。本県においても、先月5日までにゲームをしながら自転
車を運転していた11人に警告、同じく車を運転していた3人を摘発しております。
歩きながら、そして自転車や車を運転しながらスマートフォンを操作するながらスマホ対策につ
いて、県警察は今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
代表質問の最後の締めくくりとして、新本部長の今後の抱負を伺います。
先月10日に着任された猪原警察本部長、先日は自然体の就任の御挨拶に対して、かえって自信と
余裕を感じました。新本部長は、福岡県警では暴力団対策部長、警察庁では暴力団対策課長などを
歴任されていますが、本県ではことし2月、敦賀市内にある暴力団事務所への発砲事件があり、7
月までに5人が銃刀法違反容疑で逮捕されるなど、暴力団組織犯罪に対し現在も24時間の警戒体制
をとっています。また、芦原温泉や福井市内でも県外暴力団の侵出が危惧されており、県民生活に
暗い影を落としております。
新本部長は、着任会見で、「「安全・安心ふくい」万全プランをしっかりと実行したい」と治安
向上への意欲を見せるとともに、暴力団対策についても、「万が一、事件が起きた場合には首謀者
まで徹底的に検挙する」と、厳しい姿勢で臨む構えを示されました。また、原子力発電所の警備や
北朝鮮による拉致問題などについても力強い意気込みを述べられ、県民の安全・安心のために大車
輪の御活躍をいただけるものと、県民からの大きな期待が寄せられております。
福井県の治安を担う警察の最高責任者として、本県の治安情勢をどのように認識しているのかを
伺うとともに、さらなる治安向上を目指し、どのような対策を講じていくのか、今後の抱負を伺い
ます。
以上、21の質問と提言に対し、理事者の真摯な御答弁を期待しまして、私どもの代表質問を終わ
ります。
御清聴ありがとうございました。
○副議長(畑 孝幸君) 知事西川君。
〔知事西川一誠君登壇〕
○知事(西川一誠君) 笹岡議員の代表質問にお答えをいたします。
まず、大河ドラマの誘致であります。
今後とも由利公正でいくのか、新しいいろんな考え方を練り直すのかという御質問です。
大河ドラマの誘致につきましては、まずは幕末、明治150年の再来年を目標に、由利公正を中心
に福井を舞台としたドラマが放送されるよう、NHKに対し、また、そのほかの関係者に対し、積
極的に要望活動や情報提供などを行ってまいりました。その結果、NHKでは、由利公正の生き方
や考え方、日本の近代化における福井の役割に関心を持っていただいたところであります。歴史家
や時代考証家からも由利に対する高い評価やドラマの実現を期待する声を聞いたところであります。
県内においては、県や市町の主催事業に加え、民間企業等が独自に講演会、パネル展を開催するな
ど、ドラマ誘致に対する関心も高まったところであります。
もともとドラマ誘致は簡単なことではありませんが、県としては、由利を中心に人物群や構成な
どもさらに吟味し、引き続き市町と力を合わせて粘り強く働きかけてまいりたいと考えます。
他の県ではいろんな市町とか団体がさまざま積極的に動いているのが実際でありまして、県が中
心になるところは割と少ないのでありますが、そういう状況なども踏まえながら、今後、誘致協議
会において、これまでの誘致活動等を踏まえ、引き続き体制や内容の充実について協議をし、ドラ
マの実現を目指すとともに、まちづくり、ひとづくりにも深く関係しますし、観光にも大きく影響
しますので、こうしたものにもつなげてまいりたいと考えます。
次に、幸福度ランキング1位となった結果は結果として、普遍的な価値観を県民に根づかせるこ
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とが重要ではないかとの御質問であります。
福井県の普遍的な価値観とは、家族のつながり、あるいは地域の連携といいますか、こうしたこ
と、つまり、つながりときずなが基本にあることが幸せと深くかかわるわけでありまして、幸福日
本一の礎となっており、福井の我々が誇るべきアイデンティティーと言えると思うのであります。
こういうことはなかなか感じにくいところもありますし、当たり前の状態になっておりますが、で
きるだけこれを前向きに明るく捉えて、さらに次の飛躍を目指すことが大事かなと思っておるわけ
であります。
幸福度ランキングや学力・体力日本一など、客観的な指標による評価は、単に地域の総合力を示
すだけでなく、県民がみずからの力を自覚し、次の行動につなげる原動力となるものと考えており
ます。多くの他の県では、自分のところが例えば10番目だとすると、これをどうやって上げたらい
いんだろうということをまず考えなければいかんわけですが、福井の場合にはそういうことは必要
がありません。次のことをやったらいいということでありますので、そういう気持ちで次のいろい
ろな行動を御一緒にとらせていただきたいと思います。
今回の連続幸福度日本一を受けて、まず県内においては、人や地域のつながりを実感できる伝統
行事や風習などを中心に、福井しあわせ歳時記などを用い、県民とともにこうした運動を広げてま
いりたいと思います。また、県外との関係では、ふるさと納税やふるさと県民、あるいは、地域お
こし協力隊などの応援をさらにふやすなど、新しいつながりをつくり、地域の活力を高める施策を
強めてまいります。
次に、北陸新幹線の整備促進であります。
与党プロジェクトチームの座長交代など、敦賀以西ルートの決定に及ぼす影響はどうなんだろう
か、また、小浜京都大阪ルートの実現の今後の方針はどうかというお尋ねです。
ルートを決定する与党においては、内閣改造に伴い、プロジェクトチームや敦賀以西のルートの
検討委員会のさまざまな人選も進めているところであります。組閣直後の8月10日には、前政調会
長にお会いをし、これまでの既定路線、敦賀以西ルートの年内決定がぜひ実行されるよう、また、
後任の政調会長等にも伝えていただきたいと要請をしております。私自身も早急にこのルートの年
内決定を直接要請する考えであります。
国交省は現在、3案について概算事業費などの調査を行っており、この秋にも結果が与党検討委
員会に報告される予定であります。その後、年末にかけ、ルート決定に向けた与党の協議が本格化
すると思われますので、小浜京都ルートが確実におくれることなく年内に決定されるよう、今後と
も県議会と力を合わせ、市町、経済界とともに、県内一丸となって政府与党に強力に働きかけてま
いります。
次に、新幹線との関連で、それぞれの新幹線の駅舎のデザインについて、各駅ごとの課題や沿線
市町との検討状況、今後のスケジュール、こういうものはどういう状況かという御質問です。
駅舎デザインについては、駅を設置するその市や町が検討委員会を設けて議論を進めることにな
っていますが、例えば、もう既に新幹線が来ております金沢の駅の例をとりますと、「まちが見え
る、心と体が気持ちがいい駅」というコンセプトでデザインを決めたわけであります。他の駅も同
じようないろんな考えでやっておるわけであります。
そこで、福井県内においても、同様に各駅についてのこうしたコンセプトをあらわす言葉を取り
まとめ、年内にこれを鉄道・運輸機構に提案するという運びになるわけであります。これまでの例
では、鉄道・運輸機構がこうした言葉によるコンセプトに基づき、具体的な駅の部分ですね、パー
スを3案作成し、市がその中から1案を選定するという、こういう方法をとっているようでありま
す。
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県内のそれぞれの駅には、歴史、文化など、地域特性が違いますし、また、駅舎の地面からの高
さとか、在来線との関係、駅周辺の景観等の調和など、それぞれ違う課題がありますので、県とし
てはこのプロジェクトの性格上、積極的に関与し、市を応援し、さまざまな調整をしなければなら
ないと考えております。
駅パースの作成に当たっては、各地域の特色、県内の統一感というものも考慮する必要がありま
すので、全体として福井らしさを感じることができる駅舎となるよう、各市とともに鉄道・運輸機
構に働きかけてまいります。
次に、「ふくい創生・人口減少対策戦略」であります。
U・Iターン奨学金の返還支援、また県外大学との就職応援協定、さまざまな政策は進めている
が、社会減対策の効果が期待どおりあらわれているのかという御質問です。
福井県では、従来から、大都市圏での企業説明会やUターンバスなどに加えまして、昨年度は、
関西圏の三つの大学との協定を結び、学内セミナーなどを行い、Uターンを具体的に働きかけてま
いりました。これらの政策や県内企業の採用意欲の高まりもありまして、本年3月に県外大学、短
大を卒業した学生のUターン就職率は、昨年の26%に対し29%となっており、調査を開始した平成
14年度以降で最も高くなっております。
また、社会人に対しましては、昨年Uターンセンターを開設し、市町とともに仕事探し、住まい
探しの支援を強めております。このほか、特定の分野では園芸カレッジやスポジョブ等の効果もあ
り、昨年度の全体としてのU・Iターン者数は、把握しているものとしては460名でありまして、
前年度より100名ふえております。創生戦略に掲げる平成31年度の550人前倒しで達成できるよう、
努力してまいりたいと考えます。
今年度、さらに、奨学金の返還支援あるいは林業カレッジでの人材育成、人材不足業種における
U・Iターンの雇用支援などもスタートしており、こうした施策を着実に進め、移住者をふやして
まいります。
これに関連し、現在のU・Iターン奨学金返還制度では、使い勝手がやや悪いのではないか、こ
ういう指摘もある。どのように政策を改善するのかとの御質問です。
U・Iターン奨学金返還支援制度は、もともと本県に戻ることを決めている学生を対象とするも
のではなくて、就職先を迷っている人たちに対し、Uターン就職を促すことを目的として制度をつ
くっております。その支援対象ですが、県内産業の雇用情勢を考慮し、まずは人手不足の業種や職
種に就業する学生に絞って、毎年30人程度を目標に運用を始めております。
県としては、この制度によって、お一人でも多くの学生が新しく福井に戻るきっかけとなるよう
に、対象業種や毎年度の支援者数などの動向をチェックし、また、受け入れる企業等の意見も聞き
ながら、制度の拡大についても検討してまいります。
次に、原子力政策についてであります。
「もんじゅ」についてであります。
報道では、廃炉という話も出ているけれども、本県が、あるいは議会が求めようとしている結論
が出るのかどうか、また、国への働きかけ、何らかの有効な手段を検討するべきじゃないか、こう
いう御質問です。
「もんじゅ」については、エネルギー基本計画において、高速炉の研究開発や高レベル放射性廃
棄物の減容・有毒度の低減を研究する国際的な拠点として位置づけられております。国においては、
この計画に基づき、「もんじゅ」について、国の責任のもと十分な対応を進めているものと理解し
てきたところであります。
県としては、これまでも、関係省庁が一体となって対応するように求めており、先月には松野文
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科大臣と世耕経産大臣に対し、「もんじゅ」は核燃料サイクルの中核施設であるので、政府が確固
たる方針をもって結論を出すよう、強く要請しているところであります。また、今年6月には、来
県された菅官房長官に対しましても、また、その後のいろいろな機会においても直接申し上げてい
るところであります。また、県議会においては、先般、この「もんじゅ」等の開発について意見書
を採択しておられたところでもあります。
県としては、今後とも国に対し、「もんじゅ」を含む核燃料サイクル政策に真剣に取り組むよう、
引き続き強く求めてまいります。
次に、原子力に関連いたしまして、高浜、大飯地域の原子力防災訓練の今回の成果と課題、また、
国等に対し、広域避難計画についてどのような改善要求をするのかとの御質問です。
今回行われた訓練では、初めての県外避難や京都府内でのスクリーニング・除染訓練を行うなど、
複数の府県、市町がまたがって連携をし、全国にある原子力発電所の中では最も広域かつ多数の参
加者による実践的な訓練を実行できたことは意義があったと考えます。
しかし、一方で、次のような問題──自衛隊などのヘリコプターが天候の影響を受けやすいとい
うことで、移動手段の運用が十分できなかったこと、避難元というか、福井側と避難先市町の連絡
のさらなる徹底の問題、あるいは、避難先における相手側の県、町、避難先における受け入れ体制
の整備がなお充実する必要があるなど、また、スクリーニング及び除染現場の習熟度の問題など、
改善、充実が必要な点が現段階でも確認をされております。
今後、これらの課題も含めまして、地域原子力防災協議会においてこの訓練結果を検証し、他の
県のいろんなチェックの結果もまとめながら、高浜、大飯両地域の広域避難計画に今後反映できる
よう、国に対し求めてまいります。
次に、観光行政についてであります。
大胆な観光推進体制の見直しの実現が必要ではないかとの御質問です。
福井県においては、これから高速交通体系の整備がなされるわけであります。また、福井国体も
2年後でありまして、誘客拡大の好機を迎えるわけであります。観光客を呼び込み、地域活性化に
つなげることが重要であります。
沖縄の例を出されましたが、それぞれの県で観光の産業面における位置づけや状況にはもちろん
違いや差はあるわけで、そういう中ではありますけれども、本県では、平成21年度に観光営業部と
いう組織を設け、また、下って平成27年には広域誘客課、また、嶺南振興局に観光・地域振興室を
設けるなど、観光を取り巻く環境に対応し、組織を見直してまいりました。また、県、市町、観光
協会、経済団体、交通事業者等、約50の団体が参加する推進会議を四半期ごとに開き、観光の動向
や主要事業の情報を共有するとともに、インバウンドなど新たな課題解決に向けて協議を重ね、効
果的な観光政策の実施につなげてまいります。産業構造がいろいろ違いますので、これを実際やる
人たちが、どれくらいパワーをもってこういう事業を推進するかというのが、これからまた課題に
なっているように思います。
なお、昨年度から新たに県観光連盟と共動し、市町、観光協会で構成する観光営業連絡推進会議
を実務的に随時開き、観光商品の開発、営業活動の強化も図っているところであります。
今後とも、観光の変化に的確に対応するため、推進体制を強化し、御指摘のように、従来の発想
にとらわれない新たな政策を展開してまいりたいと考えます。
次に、農林水産行政についてであります。
食文化提案会が、この秋、香港、シンガポールにおいて行われるけれども、どういう人たちをタ
ーゲットに何を売り込みたいんだと、こういう御質問でございます。
食文化提案会では、現地輸入卸業者約10社、トップクラスの日本料理店、ホテル約30店舗などを
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対象に、本県のお米、水産物、日本酒などを売り込む予定です。これによって、米につきましては、
現地に精米施設、販売拠点のある株式会社クボタを通して、また、越前がにや甘エビ、日本酒、越
前そば、へしこ、トラウトサーモンなど、本県の特色ある食品については、すしの材料、ネタにな
るものや鮮魚など水産品に強い輸入卸業者を通して、福井県から現地の飲食店やホテルなどへの輸
送ルートをつくり上げたいと考えております。
同じく農林水産業に関連しまして、輸出拡大を図っていくためには、競争力強化、あるいは県内
生産の所得向上を同時に実現する仕組みを考えるべきではないかということであります。
輸出拡大に当たっては、県内生産者の所得を向上するため、国内販売よりも有利な取引を拡大し
なければなりません。
水産物については、日本のトップブランドである越前がにのブランドイメージをさらに上げ、そ
れから、へしこ、甘エビ、トラウトサーモンも活用し、日本酒とあわせて高級日本料理店における
取り扱いを拡大したいと考えております。お米については、一般飲食店からの需要が多いハナエチ
ゼンの取引は拡大するのでありますが、さらに高級日本料理店を中心に、コシヒカリを高価格で販
売をするという考えであります。
アジアへの食品輸出額、桁がいろいろ違うんじゃないかというお話がありましたが、現在4億円
でありますが、これらにより、2倍、3倍とふやしていき、生産者の所得向上を実現してまいりた
いと思います。
その他については、関係部長から答弁いたします。
○副議長(畑 孝幸君) 健康福祉部長櫻本君。
〔健康福祉部長櫻本 宏君登壇〕
○健康福祉部長(櫻本 宏君) 私からは、健康福祉行政について、1問お答えいたします。
神奈川県相模原市の事件を受け、国が第2次補正予算案に防犯対策の補助金を盛り込むことなど
も踏まえ、障害者施設の防犯対策をさらに強化すべきと考えるが、現状と今後の方針はどうかとの
お尋ねでございます。
今回の事件を受け、県といたしましては、8月上旬に県内27全ての障害者の入所施設を訪問し、
指導いたしましたとともに、高齢者施設を含めた約500の入所施設を対象に、防犯対策の実施状況
について調査をいたしました。県では、この調査などをもとにして、国の検討結果を待たず、独自
に社会福祉施設等の防犯対策点検マニュアルを作成し、先週、各施設に送付したところでございま
して、今後、その対応について確認、指導をしてまいりたいと考えております。
障害者施設の防犯訓練につきましては、警察署の参加を得まして、本日までに入所27施設のうち
10の施設が実施をしておりまして、残りの施設につきましても来月中には実施する運びとなってお
ります。
防犯カメラなどの設備整備につきましては、今後、国の第2次補正予算案の内容を確認した上で、
県として予算措置など必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(畑 孝幸君) 土木部長辻君。
〔土木部長辻 義則君登壇〕
○土木部長(辻 義則君) 私からは、土木行政につきまして、2点お答えいたします。
まず、住宅・宅地マスタープランは、どのような点に重きを置いて改定しようとしているのか、
そのポイントと空き家対策の明確な方向性はとの御質問でございます。
住宅・宅地マスタープランは、5年ごとに改定しており、今年度末を目途に作業を進めています。
本県は、幸福度ランキングの指標である持ち家率の高さなどが高評価を受けており、改定に当たり
ましては、住む人、来る人の幸福の実感につながる住宅政策の方向性を示すため、三世代同居や近
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居など、子育てや高齢者世帯が安心して暮らせる住環境整備を議論のポイントとしております。
その中の空き家対策につきましては、適正な管理はもちろんのこと、活用の促進が重要でありま
す。U・Iターン者に加え、若年、子育て世帯が望む広い住宅としての活用についても検討してま
いります。
さらに、本県には、地域固有の資産である伝統的民家が多くあり、平成23年度からの5年間で新
たに427件が認定されて1,189件となっております。町並み形成の重要な要素となっていることから、
伝統的民家の空き家については、単に住宅だけでなく、地域の交流施設や宿泊体験施設などの用途
としても活用していきたいと考えております。
続きまして、2年後の福井国体を見据えて、計画的かつ集中的に道路や河川の維持管理や環境美
化を進めていくことが必要との御質問でございます。
県管理の道路や河川の除草など、維持管理につきましては、道守・川守活動のボランティアの強
力も得ながら、限られた予算の中、対象箇所や時期を選定し、効率的に実施してきているところで
ございます。
2年後の福井国体に向けまして、引き続き、地域との共動を進めますとともに、訪れる多くの人
がよい印象を抱くよう、競技会場、駅、主要観光地の周辺や競技会場へ向かうルート沿いの道路の、
例えば中央分離帯、歩道側の植樹帯やます、また、河川の堤防など、重点的に環境美化を行う場所、
区間を定めまして、国、市町と連携しながら、必要な予算を確保し、実施してまいりたいと考えて
おります。
○副議長(畑 孝幸君) 教育委員会教育長森近君。
〔教育委員会教育長森近悦治君登壇〕
○教育委員会教育長(森近悦治君) 私からは3点お答えいたします。
まず、観光行政につきまして、観光教育を小学生の段階から取り入れてはどうかという御質問で
ございます。
人口減少が進む中で、地域の伝統や魅力を知り、それを発信できる人材を育てることにより、地
域に新たな活力を生み出していくことは重要であるというふうに考えております。このため、平成
27年度から商業系学科を持つ高校6校において、地域の観光資源を調査、研究し、提案、発信する
授業を始めております。先日、全国高校観光選手権において、奥越明成高校が大野の名水を生かし
た観光プランを作成し、銀賞を受賞しているところでございます。
小中学校においても、観光の基礎となる地理をしっかりと学習するとともに、伝統芸能など郷土
の誇る歴史、文化、自然、そして石塚左玄の食育など、先人についての学習や、中学校での英語で
ふるさとの魅力を外国人に伝える活動などを今進めているところでございます。さらに、今年度か
らは、特産品を生かした商品開発や修学旅行先で地元の観光地をPRする活動など、地域の方々と
連携した提案型の体験学習を始めておりまして、福井を訪れる方々への思いやり、おもてなしにも
つながるよう、子供たちのふるさとへの誇りと愛着を育ててまいりたいというふうに思っておりま
す。
続きまして、教育行政について、まず、東京オリンピック事前キャンプ誘致活動につきまして、
これまでの手応え、そして、今後の取り組み方針についてのお尋ねでございます。
県においては、これまでキャンプ誘致に向けて、市町とともにパンフレットの作成や東京オリン
ピック組織委員会が公開するキャンプ候補地ガイドへの登録、また、中央競技団体等への要請活動
を進めてきているところでございます。現在までに8市町が、地元に根づいた競技、また交流のあ
る国を中心に誘致活動を進めているところでございます。
リオ五輪が終了し、東京オリンピックに向けて参加各国がキャンプ地選定に動き出すというふう
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に考えられます。県におきましては、市町と協議し、国体に向けて整備した施設などの利点を生か
して、国際大会等でのPRや視察の受け入れなど、積極的に誘致活動を進めることとしております。
今後、鯖江市におきましては、市体育協会と協力し、10月の国際体操連盟総会でPRを行うほか、
美浜町では来年2月の国際ボート連盟臨時総会でのPRを検討しているところでございます。県と
いたしましては、市町と協力し、各国の動向を注視しながら、積極的に活動を進め、キャンプ誘致
を実現してまいりたいというふうに考えております。
次に、次期学習指導要領の実施に向けて、アクティブ・ラーニングの視点から、授業改善や教員
の指導力をどのように向上させるのかというお尋ねでございます。
先月、中教審から出されました次期学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の視点か
ら授業の改善を図るとしておりまして、大学入試におきましても、これまでの知識を問う問題から
課題解決型の問題に変えていくというような方針が出されているところでございます。
本県では、昨年策定いたしました基本計画におきまして、知識の活用や意見発表を重視し、みず
から考え行動する力をつける教育を重視することとしております。これまで小中高校におきまして、
新聞記事を活用し、話し合う授業や実験や考察をまとめ発表する授業などを進めております。また、
県独自の学力調査では、実社会で生かせる多様な思考力、表現力を問う出題を平成26年度から取り
入れ、子供たちの能力を伸ばしてきているところでございます。
こうした教育を進めていくためには、教員の幅広い観点を持つような資質向上や具体的な授業改
善を進めることが重要でございまして、昨年度から実施しています模範事例の研修をさらに進め、
授業公開、また訪問研修の強化を行う、さらには先生方による自主研究活動の促進などを行いまし
て、教員の授業力を高めてまいりたいというふうに考えております。
○副議長(畑 孝幸君) 警察本部長猪原君。
〔警察本部長猪原誠司君登壇〕
○警察本部長(猪原誠司君) 私からは、まず特殊詐欺対策についてお答えします。
当県の特殊詐欺被害の状況ですが、本年6月末時点では、議員御指摘のとおり、前年比で件数は
3件減少し、被害金額のほうは約3,682万円増加しておりましたが、8月末現在では、件数は29件、
被害金額は約1億2,464万円で、前年比で見ますと、件数は7件、被害金額は約4,677万円、それぞ
れ減少しております。
しかし、その実態は、被害者の約9割が65歳以上の高齢者であり、一昨年、昨年に続き、依然と
して高齢者の方々の資産が標的になっている現状を踏まえ、官民一体となった諸対策を推進してい
るところであります。特に本年は、金融機関やコンビニエンスストア、宅配事業者等との連携によ
る窓口での阻止件数は、8月末現在47件で、これまでの年間における最高の件数を上回る多大な効
果が見られております。
今後も、県警察では、官民一体となったさまざまな抑止対策を一層強化するとともに、犯行グル
ープの壊滅に向けた取り締まりを推進してまいります。
次に、ながらスマホに対する県警察の取り組みについてお答えします。
県警察では、今回のゲームアプリに限らず、自動車や自転車運転時の携帯電話使用は、交通事故
に直結する極めて危険な違反であることから、これまで自動車等運転中の携帯電話使用等違反を本
年8月末現在、4,232件取り締まるとともに、自転車運転者に対する態様に応じた指導取り締まり、
自転車教室などを通じた交通安全教育を推進してきたところであります。加えて、今回のゲームア
プリ配信後、ながらスマホ防止を呼びかける広報啓発用チラシを作成し、夏の交通安全県民運動な
どの各種取り組みにおいて、このチラシを活用した運転中の携帯電話使用の危険性の周知などの広
報啓発活動を推進しているところであります。
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今後とも引き続き、関係機関、団体と連携した広報啓発活動を推進するとともに、街頭における
指導取り締まりを強化してまいります。
次に、本県の治安情勢に対する認識と今後の抱負についてお答えします。
本県の治安情勢は、刑法犯認知件数が平成15年以降13年連続で減少し、交通人身事故件数につい
ても、平成17年以降減少しているなど、総じて一定の改善が見られるところであります。これは、
平成15年以降、県及び県公安委員会と共同で策定している総合的な治安対策プランに基づく取り組
みの成果のあらわれであると考えております。
一方で、議員御指摘のとおり、六代目山口組分裂に伴う暴力団情勢の緊迫化に加え、子供に対す
る声かけ事案や女性に対する暴力的事案、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の被害はいまだ多く
発生しているほか、交通死亡事故は増加しております。また、本県には、全国最多の原子力関連施
設が集中立地しており、テロの未然防止へ向けて警戒警備に万全を期する必要があるなど、県警察
が取り組むべき治安上の課題は依然として多くあると認識しています。
こうした現状を踏まえまして、まずは、「安全・安心ふくい」万全プランに掲げております、子
供や女性、高齢者の方々を犯罪から守る対策に重点を置いて取り組んでまいります。
また、暴力団対策としては、県民の皆様に不安を与えるような対立抗争事件の発生を未然に防止
するため、あらゆる法令を駆使して取り締まりを徹底するとともに、社会と一体となった暴力団排
除活動を推進してまいります。万一、対立抗争事件が発生した場合には、首謀者まで徹底して検挙
することにより、県民の皆様の安全と安心を確保していく方針であります。
さらに、テロの未然防止対策としては、原子力関連施設における銃器対策部隊による24時間体制
での警戒警備を継続しつつ、関係機関等との各種訓練を行うなど、テロ対策に万全を期すこととし
ております。
県警察が対処すべき治安上の課題は多くありますが、引き続き、県民の皆様と連携し、「安全・
安心ふくい」万全プランに掲げました各種施策に取り組むことにより、治安のさらなる向上に努め
てまいります。
○副議長(畑 孝幸君) 選挙管理委員会委員長熊澤君。
〔選挙管理委員会委員長熊澤喜八郎君登壇〕
○選挙管理委員会委員長(熊澤喜八郎君) 私のほうからは、参院選の投票結果につきまして、若者
の投票率の結果をどう分析しているのか。また、今後の選挙啓発や主権者教育の取り組みにつきま
しての御質問に関して、お答えいたします。
本県の18歳及び19歳を合わせました投票率は42.2%、全国30位で、全体の投票率56.5%を14.3ポ
イント下回っております。特に、御指摘のとおり、嶺南西部におきまして投票率が低い傾向にあり
ました。これは、嶺南地域の県外大学、短大への進学率約81.4%が嶺北地域60.7%に比べまして約
20ポイント高く、住民票を残したまま県外へ進学した場合の投票率への影響が数字にあらわれたも
のと考えております。
しかしながら、本県の場合、18歳の現役高校生などの投票率は約70%と高く、これまで行ってま
いりました主権者教育や18歳選挙出前講座に一定の効果があったと考えております。今後も、教育
委員会と共同して事業を継続し、若者の選挙に関する関心を高めていく所存でおります。
また、期日前投票所の大学等への設置追加につきましては、18歳、19歳の投票率の底上げにつな
がるのかを設置権限がございます市町とも相談しながら、検討を進めていきたいと思っております。
以上でございます。
○副議長(畑 孝幸君) 糀谷君。
〔糀谷好晃君登壇〕
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○19番(糀谷好晃君) 民進・みらいの糀谷好晃です。会派の総意を受けて、提言も交えて代表質問
をさせていただきす。最後の代表質問になりますので、さきの質問とダブるテーマも当然あろうか
と思いますけれども、視点の違いもありますので、御理解をいただきたいと思います。
初めに、近年、国内の天候変動が大きい中で気象台や行政から出される情報は、特別警報などき
め細かくなってはいるものの、これまでにない進路をとる台風や、各地で頻発する局地的なゲリラ
豪雨などにはなかなか対処できません。8月末からの台風10号により、岩手県や北海道が大きな被
害を受け、とりわけ岩泉町の高齢者グループホームの9人の犠牲者は、町の避難勧告が出されず、
避難が後手に回った悲劇でありました。こうした介護施設では、避難計画や訓練の具体策は事業者
に任せきりといった実態も明らかになっています。これら台風により犠牲になられた方々に衷心よ
りお悔やみを申し上げ、あわせて被災地の皆様方にお見舞いを申し上げる次第であります。
さて、私ども会派は、8月31日から2日間、熊本地震の被害実態と熊本県など行政の対応、民間
の災害ボランティア団体によるサポートの状況、また仮設住宅の生活者の声をお聞きするなど、つ
ぶさに視察調査を行ってまいりました。4月の発災以来、約5カ月後の9月6日現在、人的被害は
死者110人、負傷者は2,000人を超え、住み家の被害は全壊8,000余棟を初め、約16万7,000棟に上り、
罹災証明書は18万件を優に超しています。
今回の視察では、熊本地震対応の教訓ということで、よかった点、改善を要する点などの説明を
受けました。熊本方式により、何よりも非常時に指揮命令系統がスムーズに機能したようでありま
す。すなわち、熊本県の危機管理防災企画監――元自衛官ですが――がオペレーション、そして職
員が行政事務対応を行うという明確な業務分担ができていたということであります。いずれにして
も、どこにも地域防災計画がありますけれども、それに基づく机上論では対応し切れない現実を見
せつけられた思いでありました。
熊本地震から得る教訓は何か、いかなる課題を認識し、県として地域防災計画など、どのような
改善を図り、有効な防災訓練に結びつけるのか、知事の所見と対応を伺います。
それでは、安倍政権の政策と地方とのかかわりについて、福井県政の視点から、知事の政治姿勢
を中心に伺っていきます。
まずは、地方創生の現状です。
さきの参院選で勝利した政権与党ですが、8月3日に第3次安倍再改造内閣が発足。命綱である
経済対策が閣議決定され、事業規模は28兆1,000億円に膨らんでいます。その実態は、このところ
進む円高株安で限界の見える政策のてこ入れを図るものであり、先祖帰りというか、公共事業がめ
じろ押しです。もし、短期的な需要増加策に終始するのであれば、旧来型のばらまき政策の繰り返
しになってしまい、未来への投資という売り込みが、逆に将来のツケ回しになってしまうのではな
いかと危惧されます。
安倍政権が地方創生を掲げたのは2年前です。地方創生の着実な政策実行というアナウンスは、
一昨年12月の衆議院選挙、昨年4月の統一地方選挙のときにも繰り返されたところでありますが、
全体に総花的であり、具体的な政策目標は乏しく、受け取る側の高揚感はだんだん低くなってきて
いるように思えてなりません。なかなか成果が見えてこない中で、新たに一億総活躍社会の実現が
掲げられました。
事実、地方関係の政策の主流は、地方創生という昔ながらの地域活性策から、待機児童の解消や
子育て支援など、生活に身近な課題に人々の関心が移ってきているように思えます。地域経済の状
況は決して良好とは言えず、地方の側からすれば、地方のための十分な施策がなされていません。
東京のひとり勝ちではなく、地方も持続可能な経済循環を築くため、中長期的な視点に立った政策
が求められます。そのためには、自治体と国の連携、協力が一層必要であり、両者の真のコラボこ
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そが地方分権のあるべき姿であります。そのためには、政権側は地方の声を真摯に聞く寛容さが求
められます。
まず、安倍政権の発足からきょうまで、その政策と地方とのかかわりについて、福井県政の視点
から知事の所見を求めます。
ここで、地方創生を掲げる政権の本気度をはかる指標となるはずの東京一極集中是正に向けた政
府機関の地方移転について触れます。
9月2日の政府発表では、総務省統計局が和歌山県に、消費者庁が徳島県へ、それぞれ拠点を設
けて業務の一部を移します。京都府への数年以内の全面移転が決まっている文化庁は、まず先行移
転として、2017年度、地域活性化に取り組む30人規模の拠点を設けるとしています。政府が昨春、
全国に募り、40道府県が69機関の誘致に名乗りを上げたものの、3機関の移転にとどまっているよ
うであります。文化庁だけで逃げるのかという批判を政府はどう受けとめるのでしょうか。
福井県の場合、理化学研究所、産業技術総合研究所、水産研究・教育機構、教員研修センターの
4機関が一部機能の移転という形になったようでありますが、これらの実効性ある年次プランと人
員や予算の確保など、今後の方向性について伺います。
また、政府は2014年度、各自治体の地方創生施策を支援する交付金1,700億円を創設。その後も
巨額の交付金が予算化されています。本県には2014年度の先行型交付金で県プラス市町分で約23億
円、2015年度の加速化交付金で約15億円が措置をされています。また、今年度の当初予算で計上さ
れた交付金の第1弾の配分先も決まっています。ただ、県内自治体の申請については採択されない
ケースがかなりあり、その理由も不透明とされ、さらに2015年度からは国が事業内容を限定するな
ど、いわゆる使い勝手が悪いという指摘もあるやに聞きます。地方創生担当大臣からは、しきりに
やる気のある自治体を支援というフレーズが発せられています。しかし、事実、各市町間では、交
付金もその対象事業もかなりばらつきがあります。
これらの実態についての認識を伺うとともに、地域の創意工夫を引き出すため、財政支援だけで
はなく、地方分権や真に国民益につながるような規制改革などのより一層の推進が求められますけ
れども、知事の所見を求めます。
さて、日本総合研究所の幸福度ランキングで、本県は前回の2014年版に続き総合1位となりまし
た。本県を再び総合1位へ導いたのは、高校のインターンシップ実施率100%、女性の労働力人口
比率52.2%、待機児童率の低さなど、6指標での全国1位であります。ほかにも平均寿命2位、正
規雇用者比率3位、学力2位など、仕事や教育の分野で上位のデータが目立っているところであり
ます。また、今回新たに地方創生や人口減対策の観点で、移住者にとっての幸福についても分析し
ており、本県は子育て世帯の移住幸福度で全国1位、シニア世帯も5位に入っています。
ただ、人口増加率は2%減の全国29位と、前回よりも順位を一つ落とし、また1人当たりの県民
所得や財政健全度などをもとにした基本指標は24位と、前回の14位を大きく下回っています。
このように、ランキングでは高い評価を受ける県ですが、現実を直視した場合、人口を初め移住
者がふえているわけではなく、本県が誇るべき教育環境で育った人材が都会へ流出していくという
大きな流れは変わっていません。また、事業所新設率42位、本社機能の流出・流入数は流出過多で
39位。さらに、外国人宿泊者数44位などは下位に低迷しています。こうした足りない面や弱みを克
服してこそ、名実ともに幸福度日本一を誇れるはずであります。
前回の幸福度日本一に係る県議会質疑では、「他県がまねのできない幸福度日本一を人口問題解
決の指針として、政策との間でよい循環をつくることを目指していく」というのが知事答弁の要旨
でありました。県民にとって、既に達成されている幸福度日本一は当たり前のことであり、その維
持にきゅうきゅうとした守りの県政であってはならないという指摘の中で、今回、再度の日本一に
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輝いたわけであります。
福井県知事として、幸福度ランキング総合1位という評価と個別の指標の関係をどう分析、判断
し、今後それを埋めていく施策をどのように展開していくのか伺います。
次に、8月3日、福井など全国13県の知事が連携する「自立と分散で日本を変えるふるさと知事
ネットワーク」の会合が勝山市内で開かれ、10回目となる今回、知事はふるさと納税拡大を図るた
め、全国の知事、市長、町村長が参加する自治体連合の設立を提案しています。ふるさと知事ネッ
トは、各県が連携して地方に共通する課題を解決するため、政府への提言活動を行うことを目的に、
西川知事の主導で2010年に発足しています。
一方、知事会といえば、かつて地方への税源移譲を強く迫るなど、国に物を言う闘う知事会とし
て注目された時代がありましたが、今では都市と地方の亀裂もあって一体感が欠如し、存在感の低
下が指摘されて久しいところであります。都市、地方を問わず、国民全体が直面する問題解決に向
け、国への要求事項を明示できなければ知事会の存在意義はなく、その結束すら保つことが難しい
状況に陥っているという声も聞かされるところであります。
知事会として国への要求など、その結束が不可欠と思われますが、知事会のあり方について西川
知事の現状認識を伺うとともに、今回の自治体連合設立へ向けての提言について、そのねらいと見
通しについて所見を伺います。
二つ目は、高速交通体系、北陸新幹線の整備促進について2点触れます。
北陸新幹線の整備促進については、敦賀以西のルート問題や北陸-中京間の利便性向上などにつ
いて、知事と県議会新幹線議連、そして県選出国会議員が連携して一体的に取り組み、特に小浜京
都ルートの年内決定の実現をともに目指すことを確認しております。
ところで、政府は今回の経済対策で、整備新幹線の建設加速に向け約8,000億円の財政投融資の
活用を検討しています。もし、財政投融資を活用することになれば、財源問題は大きく進展が期待
はできます。一方、リニア中央新幹線の全線開業の前倒しに向け、この財投で支援を受けるJR東
海に経営状況の報告を義務づけるという報道がありました。財投は、長期、固定、低利での資金供
給ですが、鉄道・運輸機構だけでなく、沿線自治体に対しても何らかの条件が求められるようなこ
とはないのでしょうか。
知事は、新幹線整備事業に財政投融資を活用した場合の効果について、どのような見識をお持ち
なのか所見を伺います。
さて、平成34年度敦賀開業へ向けた取り組みですが、測量から用地交渉、地権者の要望対応や埋
文調査、3年は要するといわれる土木工事、また軌道、電気工事に約2年、さらには開業へ向けた
1年間の検査、試運転など、開業への工程を総合的に判断すると、今年度中の用地取得が前提とな
ります。この交渉に関係する職員は、昼夜を問わず尽力されているともお聞きをしています。しか
し、用地取得率は石川県が約8割、福井県は約4割と、本県ではかなり難航しているのではないか
と思われます。
直近における用地取得の現状をお聞きするとともに、平成34年度敦賀開業へ向けた事業見通しを
伺います。
次に、原子力行政について、防災も含めて5点伺います。
ことし11月末で運転開始から40年を迎える関西電力美浜3号機について、原子力規制委員会が安
全審査で事実上の合格となる審査書案を了承しました。40年超運転を目指す原発の合格は、本年6
月に認可された関電高浜1・2号機に次いで2例目であります。原則として、原発の運転期間は40
年に制限をされています。例外的に最長20年間延長するには、美浜3号機の場合、40年を迎える11
月30日までに工事計画、そして運転期間延長の審査にパスする必要があります。
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関電は、美浜町民がこれまで培ってきた半世紀近い原発立地自治体としての歴史と思いを直視し
なければなりません。一方で、美浜3号機の動向は、原発と共生してきた全国の立地自治体の未来
地図につながると言えるかもしれません。
これら40年超の原発の運転延長について、知事の基本的スタンスと見解を伺うとともに、あわせ
て今回の美浜3号機の場合、事業者に求める課題などをどのように認識しているのか所見を伺いま
す。
ところで、40年超原発の運転延長は、一般的に色眼鏡で見られがちであります。それは、政府が
想定している2030年の電源構成で、全電源に占める原発の比率を20から22%としているからであり
ます。当面、もしも原発の新増設が見込めないとされるならば、この目標値達成のためには高経年
原発の活用が避けられないところであります。
そもそも、原則40年ルールは、民主党政権時代に自民、公明とともに3党合意として決めた経緯
がありますが、安全性の確保とともに原発依存度を下げていくという意味合いもあったはずであり
ます。原則40年を超える運転延長は例外とされたはずですが、本当に例外と言い切れるのか、多く
の県民、国民の理解、納得が必要であります。少なくとも安倍政権は、2030年の電源構成と原則40
年の整合性について、しっかりと説明すべきではないかと私どもは考えます。美浜町の山口町長は、
「町内はある程度、再稼働への理解が進んでいるようだが、町外では不十分だ。国が理解活動をし
っかりやって欲しい」と語っています。
一方、ここへ来て「もんじゅ」をめぐって存廃の渦中にあると報道されております。
これまで、知事は一貫して、国に対して原子力、エネルギー政策全般について国の責任を問い、
国民の理解を深める必要性を訴え続けてきたことは自他ともに認めるところであります。この要請
に対するこれまでの国の対応について、知事の現状認識を伺います。
また、残された課題など、国に求めるより具体的なポイントは何か、所見を伺います。
8月27日、関電高浜発電所から30キロ圏内の福井県、京都府、滋賀県の3府県と関西広域連合を
交えた広域避難訓練が実施されました。原子力災害による広域避難訓練の早急な実施や、県外避難
の訓練などを再三提言してきた我が会派として、一歩前進と言えます。
私ども県議会でも、同訓練を視察、高浜原子力防災センターにおける対策会議、あやべ球場での
スクリーニング・除染の状況を確認しました。悪天候により、ヘリや船舶での移動が中止になり、
陸路での移動に変更され、津波で水没した状況は想定をされませんでした。
あやべ球場でのスクリーニング・除染は、今回通過したのはたったの15台でありましたので混乱
はなかったものの、あやべ球場に至るまでの高速や道路は片側一車線で渋滞したり、車両事故やガ
ソリン切れで動かなくなった場合は、後続車両も動けなくなることは容易に想像ができます。仮に、
車両1,000台が通過し、車両のスクリーニングに1台あたり10分かかるとすれば、24時間フル稼働
で約7日間かかるという見込みとなります。
その他さまざまな課題が見えてきた中で、今回訓練を実施してみて広域避難計画の実効性をどの
ように考えるのか、また、課題をどのように抽出し、整理し、改善策を計画に反映させていくのか
伺います。
さて、県は社会福祉施設の原発事故時の避難説明会を数度実施、避難する施設と受け入れ先施設
の担当者が顔を合わせ、意見交換の場が設定されました。これも昨年12月から我が会派が提言を続
け、この2月定例会で県が責任を持って協議の場を設定するという答弁を受けての動きと評価をい
たします。入所者全員を運ぶには20往復しなければいけないなどの課題が出たと聞きます。
福祉施設の協議の場で見えてきた具体的な課題を伺うとともに、特に福祉施設における訓練をど
のように充実させていくのか伺います。
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次に、さきの6月定例会の特別委員会で、当会派山本正雄議員が広域避難訓練に関して第三者が
チェックするシステムを提言――国や県など主催者が評価、確認するだけではなく、第三者や専門
家、県民の代表がチェックするものであります。アメリカでは、洪水、ハリケーン、地震及び原子
力災害を含む、その他の災害に際して、連邦機関、州政府、その他の地元機関の業務を調整したり、
計画、避難などを確認する連邦緊急事態管理庁という第三者機関的な機関があります。
今回も県議会だけではなく、関係市町も含め多くの議員が視察をいたしました。しかし、全部を
チェックできたわけではありません。
第三者がチェック、客観的に評価し、課題、とるべき対策を提言、勧告する機関が必要であるこ
とを改めて実感いたしましたが、所見を伺います。
4点目は、観光行政です。
6月定例会では、県内の外国人宿泊者数が今年1月から3月で対前年度比62%増という報告があ
りました。また、恐竜博物館も8月末時点で前年度比11%増と、100万人を突破する勢いであり、
年間観光客数の1,300万人の目標突破に向け前進をしています。
ただ、民間の調査によりますと、本県の延べ宿泊者数は推計で、平成25年度約118万人から26年
度150万人へと急上昇し、平成27年度は136万人へと減少したという見方も発表されています。訪日
外国人客の増加を受け、国の規制緩和による民泊が注目をされています。また、コンベンションや
教育旅行も年々ふえてきています。
観光客数の増加は大変大きな目標ですが、滞在型、宿泊型の観光客数を伸ばしていくことは、地
域経済へのインパクトの面から重要であります。宿泊者数を伸ばしていく上で効果を上げてきた具
体的な取り組みを伺うとともに、今後の戦略と課題を伺います。
さて、この4月、舞鶴市の港湾行政を会派で視察しました。舞鶴港は三つの機能について日本海
側拠点港に選定されています。とりわけ、物流の港から、人流、物流の統合ゲートウエイを目指し
ており、今、外航クルーズ寄港などに力を入れています。その実績は、平成26年には「ダイヤモン
ドプリンセス」5回を含め計7回が寄港、内航と合わせて合計15回と過去最高となり、旅客数も1
万5,000人を超えました。平成27年には過去最大の13万トンクルーズ船を含め8回寄港、平成28年
は17回を予定しています。同様に、お隣の金沢港でも、イタリアのクルーズ船運航会社が平成29年
の日本発着の全32ツアーを発表、全て金沢港に寄港するなど、50回を超える寄港が見込まれていま
す。政府が8月2日に閣議決定した経済対策の一つにも、外国船クルーズの誘致を掲げています。
これら先行する隣県の実績に比べて、周遊観光など彼我の差をいかに詰めていくのか、福井県に
おける、特に敦賀港でのクルーズ船寄港の増大に向けた戦略と課題、対策を伺います。
五つ目の質問は、農林行政についてであります。
政府による事業規模28兆1,000億円の経済対策ですが、農業分野の柱は輸出促進と競争力の強化
です。TPP対策、農業振興において、この二つの流れを本県でも最大限取り込んでいくべきです。
県議会産業常任委員会は、7月に沖縄県を視察。沖縄は、20億人の巨大マーケットであるアジア
の中心で、アジアの主要都市は飛行4時間圏内にほとんど含まれます。政府が後押しして物流拠点、
沖縄ハブが整備され、ここでANAとヤマト運輸が連携して進めているのは、クール便、コンテナ
を活用しての農林水産品の輸出であります。自治体との連携も積極的であり、青森県、秋田県、三
重県、愛媛県、熊本県などと協定を結び、鮮魚、果物、肉などの輸出を促進しています。三重県は、
那覇空港までの国内輸送費を最大50%助成する支援事業を行っています。視察を行った7月14日に
は、福井でも県とジェトロによる説明会が行われるなど、県内でも関心を集めつつあります。
福井県における、農産品の輸出拡大についてのこれまでの取り組みとともに、協定締結、システ
ム、ネットワークの活用についての所見を伺います。
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次は、医療・福祉行政について2点伺います。
本県において総合的かつ高度な急性期総合病院として、また、多くの政策医療を担う医療機関と
して、県立病院があります。その柱の一つである陽子線治療施設は平成23年に開設、きょうまで受
診を高めるために県民の割引制度や公的医療保険の適用に向けた活動などに取り組み、県内外への
啓発活動にも取り組んでまいりました。今年度からは、小児がんが陽子線治療の保険対象になり、
また、全国に先駆けて乳がん治療についても、臨床試験の段階にまで進むことができました。
ところで、陽子線がん治療センターは、当初治療実績の目標として年間200人、最終的には収支
分岐点である400人で収支見通しを立てました。きょうまでの実績を見ると、5年間で累計患者数
は774名にとどまっており、ちなみに県内外の比率はほぼ半数、県内の内訳は嶺北が圧倒的に多く、
嶺南はわずか6%の実績です。
患者受診の推移を見るに、平成二十五、六年度の180人台が、27年度はかなり落ち込んで128名と
3割減です。この要因として、兵庫県立粒子線医療センターからの紹介が減ったことや、わずか3
ないし5億円で設置できる高度なX線照射装置が開発され、前立腺がんなどの患者がこれに流れた
ことなどで大幅減になったと聞きます。
さて、厚生常任委員会は静岡県立静岡がんセンターを視察しています。このセンターは、平成15
年に陽子線治療を開始し、治療分野の特化などによって治療実績を持っていますが、それでも200
人台の患者が平成26年では150人台、27年では110人台と減少しています。その要因として、ここで
も陽子線治療施設が全国的に大きくふえたことや、高度なX線照射装置の普及などを挙げていまし
た。
本県の陽子線がん治療センターが所期の目的を達するために、患者の受け入れと治療実績の拡大
を図るべきと考えますが、そのための基本的指針など具体的手だてを伺います。
次に、保育士の人材不足と低待遇問題については、6月定例会の辻議員による会派の代表質問で
も取り上げ、特に保育士の賃金を中心とした処遇改善について論議をいたしました。賃金アップの
対策は、引き続き強く要望してまいります。
今回は、研修を受けられる環境についてであります。こども園では保育士と幼稚園教諭の二つの
資格が必須となりますが、経過措置5年の中で取得する必要があります。新採用研修、中堅、ベテ
ランも資質向上のための研修を受けますが、現場では保育士や教諭の勤務のやりくりが難しい状況
にあることや、制度の変更に伴って保育士の資格取得について自己負担が必要になるといった問題
もあります。
フリーに動け、責任が持てる正規の保育士、教諭を1人配置することによって、これらの問題は
改善されます。市町が配置する上で県が補助を行うことを提言しますが、県の所見を伺います。
次は、国体、オリンピックです。
リオ五輪では、日本人選手の活躍により合計41個のメダルラッシュ、本県勢では福井工業大学出
身の荒井選手が男子50キロ競歩で銅メダルを獲得したほか、バドミントンの山口選手が5位、フェ
ンシングの見延選手が6位、佐藤選手が8位入賞を果たしております。
特に、4人もの代表を送り出したのがフェンシング競技ですが、その4人全員が県立武生商業高
校フェンシング部出身です。越前市長、福井県フェンシング協会宮本会長ともども、当時4人の指
導に当たった諸江監督が果たした役割は大変大きい。諸江氏に続く熱心な指導者の育成が大きな喫
緊の課題と指摘されています。指導者の育成については、越前市や県協会でやれることはやりなが
らも、フェンシング指導に当たる教員の配置は県の方針や考えで決まってくる部分であります。
今後の選手の育成強化、指導者育成をどのように進めていくのか、方針と課題を伺います。
次に、70年ぶりに選挙権年齢が引き下げられてから初めての国政選挙が、さきの参院選で行われ
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ました。特に、有権者となった県内の18歳の投票率は48.10%、19歳はさらに低く36.24%で、両方
合わせて42.19%であり、県内有権者全体の投票率56.50%を14.31ポイント下回っています。
県教委も、これまで生徒に対し国作成の副教材を活用した授業や選管と連携して公選法に関する
授業を実施、また教員に対しても研修などを実施してきました。また、報道では若者の活動がよく
取り上げられ、一見盛り上がっているようにも見えていただけに、今回の結果はいささか期待外れ
の感もいたします。初という目新しさがあったキャンペーン効果も、次の選挙では確実に薄れてし
まいます。
今回の結果をどのように認識し、今後、大学を含めた有権者教育の広がりや県外に在住する学生
らの不在者投票をやりやすくする工夫など、啓発活動の課題についていかに取り組んでいくのか、
所見を伺います。
最後に、公安行政について伺います。
新しく福井県警察本部長に猪原警視長が8月10日付で着任をされています。井上前本部長は、離
任会見で、県内の刑法犯認知件数が戦後最少を更新したと振り返る一方、弱者を狙った犯罪の高ど
まり、あるいは暴力団抗争を県警の課題として指摘しております。とりわけ後者の課題については、
猪原新本部長の福岡県警や警察庁など、これまでの任地における職務経験から見て、その手腕に期
待する声も多いと思われます。
ところで、敦賀市内では今年2月発砲事件があり、現場の組事務所周辺では今でも警察官による
警戒体制が続けられています。事件を受け、抗争に対する市民の不安も強く、7月には暴力追放敦
賀市民会議が同市中心部の商店街で街頭行進をし、暴力反対を訴えています。また、敦賀商工会議
所は8月24日、事業所で暴力団対応に当たる不当要求防止責任者の講習会を、県暴力追放センター、
そして県警とともに開催をしております。
着任以来1カ月余、猪原本部長の本県警察業務についての抱負をお聞きするとともに、民間の市
民サイドによる一連の動きを県警本部としていかに認識し、市民、県民の不安を払拭していくのか、
決意を伺います。
知事初め、理事者の明確な答弁を求めて降壇をさせていただきます。
ありがとうございました。
○副議長(畑 孝幸君) 知事西川君。
〔知事西川一誠君登壇〕
○知事(西川一誠君) 糀谷議員の代表質問にお答えをいたします。
まず、熊本地震から得られる教訓、課題をどのように考え、今後の改善、あるいは防災訓練にど
う生かしていくのかとの御質問です。
今回の熊本地震では、市町村の庁舎、職員自体が被災し、災害本部が機能を十分果たせなかった
ことや支援物資の円滑な配分に支障が生じたこと、避難所の衛生環境が悪化したことなどの課題が
ありました。
県では、市町の災害対策本部の立ち上げを支援するため、土木、保健師などからなる市町村災害
対応支援班を設けることとし、被災市町村への最初の人的支援を強化してまいります。
また、支援物資を迅速かつ円滑に仕分け、配送を行うため、いわゆるプッシュ型の応援というの
が最近あるのでありますが、そういうものを含めて、今月7日、県の倉庫協会及びトラック協会と
応援協定を結んだほか、避難所の衛生環境の維持や健康リスクの軽減を図るため、災害用トイレ等
の備蓄物資を充実することにいたしております。
今後、県の防災訓練の中で、市町支援班の派遣や物資の輸送、避難所の運営訓練などを行うこと
により、こうした対策の有効性をさらにチェックしてまいりたいと、このように考えます。
-69-
次に、安倍政権の政策と地方団体のかかわりについて、県政の視点からどう考えるのかとの御質
問です。
第2次安倍政権は平成24年末に発足以降、県の大きなプロジェクトの関係では、北陸新幹線開業
の3年の工期短縮の決定を平成27年明け1月に行っておりますし、中部縦貫道の全線事業化を同じ
く4月に行うなど、福井県に大きくかかわるインフラ整備の政策の実行をしておられると思います。
地方創生に関しましても、新しい交付金制度を設けており、福井もこれを活用し、例えば、U・
Iターンでは移住定住促進機構の設立など、独自の政策を展開した結果、昨年度の「新ふくい人」
の数は最多の460人に達しております。また、我々が要望したわけでありますが、ふるさと納税で
は、控除額の上限引き上げ等の制度改正が実現し、昨年度の全国の給付額は当初の20倍ということ
であり、約1,700億円ぐらいの金額になっていると思います。
一方、地方創生には交付金のスケールや企業の地方移転促進策など、なおなお課題もあります。
また、最近の施策については、これは必要なことかと思いますが、待機児童解消など、大都市寄り
の応急的な対策という傾向が見られまして、また、エネルギー政策では、国民に対する説明、姿勢
がなお不十分かと思っております。
こうしたさまざまなことがございますが、東京一極集中是正やエネルギー問題の解決には国の主
体的な役割が極めて重要であり、これは目先の課題というよりも、長期的にいろいろ効果があると
いいますか、マイナスの効果も出てくる大きな課題でありますので、そうした問題に責任をもって
こうした課題を推進していただきますよう、強く求めてまいりたいと考えます。
次に、この政府のいろんな関係の課題の中で、政府の機関の地方移転――特に福井県は四つの機
関の一部機能移転を今行っておるわけでありますが、この実効性のある年次プランなど、どうなる
のかという御質問です。
政府機関の移転については、3月に示されました基本方針がありますが、全体として組織の一部
移転にとどまり、東京一極集中の是正という目的の実現には至っていないわけであります。
本県関係では、既に地方拠点というものを開設したものが一つ、これは産業技術総合研究所、そ
れから、拠点設置の構想を策定中の二つの機関、理化学研究所と水産研究・教育機構、それから、
決めたけれども研修を行うといいますか、これにとどまっているレベルのもの、これが教員研修セ
ンターであります。この四つの機関があり、今年度中にさらなる年次計画を策定する予定でありま
す。新たな拠点を目指す2機関については、組織や設備、研究内容など具体のプランをまとめる予
定であります。他の二つの機関についても増員など、体制拡充や共同研究の拡大を検討することに
なっております。
本県としては、政府、国が政治的リーダーシップを発揮し、人や組織の移転を伴う機関移転を実
現するよう、引き続き要請するとともに、人員、予算の確保について、地方創生関連交付金に加え
まして、長期的な組織運営が可能な財政措置を行うよう、求めてまいります。
次に、幸福度ランキング総合1位という評価と個別のいろいろな指標の課題の判断、こうしたこ
とを長短相埋めて、どのように今後対応していくかとの御質問です。
幸福度総合1位は、福井の教育水準の高さや仕事、環境のよさ、子育て環境がすぐれていること
など、65の客観指標、これを偏差値で全て合計するものでありますけれども、これを集めた地域の
平均力の水準をあらわしたものであります。
一方、一つ一つの指標といいますか、偏差値を見ますと、外国人宿泊数や人口増加率など、全国
中位、あるいは、御指摘のようにそれ以下のものもあるわけでありまして、これらについて対策を
行うという指標にもなるかと思います。例えば、「ZEN」ブランドによる海外発信など、個人外
国人旅行者等をターゲットとしたインバウンドの促進や、若い人の移住幸福度が高いという斜め切
-70-
りをしたデータも出ておりますので、こうしたものをU・Iターン政策に生かさない手はありませ
んので、それを積極的に行い、突破力のある政策を工夫し進めながら、足りない部分を御指摘のよ
うに補うことによって、幸福度の基盤を1項目、1項目積み上げたものでありますので、これを上
げていくと、こういうこともやりたいと思います。
福井県としては、幸福度1位ということでありますので、この自信をもってこの課題に挑戦でき
る立場にありますので、多くの県民に幸せを実感してもらえるよう、さらに次のレベルの政策をあ
わせて追求をしていくと、このように考えております。
次に、全国知事会のあり方、また、全国の自治体との関連で、ふるさと納税の拡大を目指す自治
体連合、こうした狙い、見通しは何かとの御質問です。
先般、福岡でありました7月の全国知事会では、1票の格差、また合区といった問題がありまし
て、これは昨年、全国知事会で私などがこれを強く申し上げたことが、ことしに入って皆さんの理
解を得て一般的な話題になったものであります。また、税源の偏在是正など、さまざまな課題があ
り、これはいずれも都市部と地方で意見が異なるテーマであるし、しかし、これを何とか日本全国
で解決しなければならない課題が目立ったと思います。全体としてはいろいろ課題がありましたが、
合区解消を求める決議が今回初めてなされたなど、意思統一がそれなりに図られ、国への提言が実
施されました。いろんな課題はあるんですが、いろいろ解決しながら、知事会もその役割を果たし
ていると私は思っております。
一方、御指摘の自治体連合でありますが、これは全国知事会とは全く異なる課題でありまして、
全国のふるさと納税の受け入れ先の98%が市町村でありまして、こうした市町村も加えた、そして、
県を中心とした組織として、全体としてふるさと納税を健全に発展、拡充という共通の目的に向け
た活動を行おうとするものであります。今後、13県のふるさと知事ネットワークと協力しながら、
全国の市町村にも声をかけ、来月ごろには中心となる発起人自治体を募ると。そして、ふるさと納
税が集中する年末までに自治体連合をつくって、今後拡大を目指してまいりたいと考えます。
制度を大きく育てることによりまして、納税先と政策を選ぶ納税者意識や寄附文化を育てていく
ことにつながると思っておりまして、自治体連合で力を合わせて制度の充実を図っていくと、こう
した中で、いわゆる返礼品とか、いろんな課題があるんですが、そういうものを裾を広くすること
によって問題の解決に当たってまいりたいと、このように思います。
次に、高速交通体系であります。
新幹線整備に関連いたしまして、財政投融資を活用するということになるわけですが、こうした
場合にその効果なり、問題をどう考えるかとの御質問です。
これまで整備新幹線については、その事業費については、国費、それから、それに伴う我々の地
方負担、そして、JRの貸付料を財源に整備をしております。しかし、年々の事業の波があります
ので、そうした過不足を民間からの借り入れで一部補っているというシステムでありますが、今回、
その部分について、財政投融資、長期固定低利の資金を使うことによって、金利分が軽減されて、
全体の建設財源に余裕が生じると、こういう制度であります。
これによって、特に敦賀以西についても整備が加速できるという、そういう部分が出ますので、
そういうことを目指しながら、今回の敦賀以西の問題に取り組んでまいりたいと、このように考え
ます。
次に、原子力行政であります。
40年を超える原子力発電所の運転延長についての基本的なスタンス、また、具体的に美浜3号機
における電力事業者に求められている課題などについて、どう認識しているのかということです。
原子力発電所の40年を超える運転でありますが、原子力発電所のプラントの安全確保を大前提に、
-71-
その必要性や安全性について、関西電力などはもとより、国が中心となって国民理解を深めること
が、この問題については重要であります。
これに関連して、美浜3号機でありますが、今、原子炉設置変更許可申請書の審査案が示された
段階でありまして、今後、工事計画や運転期間延長の認可を受ける必要があり、こういう手続があ
るわけであります。なお、美浜3号機は、大幅な基準地震動の引き上げに伴う耐震工事、また、40
年を超えるということでありますので、それに対応した安全対策が必要でありまして、こういうこ
とについて、県としては、今後、規制委員会の審査状況、また、関西電力の対応状況を厳正に確認
し、慎重に対応してまいりたいと考えます。
同じく原子力行政につきまして、原子力エネルギー政策全般について、国の責任をしっかり問い、
県民の理解を深める要請をしておるけれども、国の対応の認識はどうか。残された課題は具体的に
どんなことがあるかという御質問です。
原子力発電所の必要性、重要性については、福井県等の求めに応じ、国がシンポジウム、説明会
を全国各地で開催し、国民理解を深める活動を行っております。しかしながら、最近の世論調査に
おいても、運転再開の是非について賛成、反対、いろいろあるんですが、どちらともいえないとい
う国民といいますか、こういう方が多いわけでありまして、国民理解がそもそも十分に届いていな
いんじゃないかという問題があるわけであります。
こうしたことから、原子力について、電力消費地を含めて、国民がしっかり議論をし、我が国の
エネルギー政策の将来について理解を深める必要があるわけであります。このエネルギー問題につ
いての政府の対応というのがこれから極めて重要だと私は思います。
特に、40年を超える運転延長については、古い発電所だというようなことから、国民や県民に安
全性に対して不安をもっておられる方もおると思います。したがって、国が前面に立ちまして、そ
の必要性やどう安全なんだというようなことについて、さまざまな機会を通してわかりやすく説明
を積み重ねることによって、これは初めて理解がなされるものでありますので、そのような努力を
さらに強く求めてまいりたいと考えます。
次に、原子力に関連し、広域避難訓練の結果、今回の避難計画の実効性、また課題をどのように
考え、改善策を反映させるのかとの御質問です。
今回の高浜、大飯発電所の訓練では、約5,500人の住民が参加をされ、そのうち約900人がバスな
どで県内外の避難先施設まで移動したほか、県外のポイントで初めてスクリーニング・除染を行う
など、広域避難計画に基づく実践訓練を実施できたと考えます。
スクリーニング・除染訓練については、全てのUPZ──30キロ圏避難者を対象に、京都のあや
べ野球場に加えまして、美浜町役場においては多数の住民を想定した訓練を実行しました。一方で、
ヘリコプター、船舶などの天候に影響されやすい移動手段の運用方法の改善が課題となったことや、
スクリーニング・除染の質、量ともの習熟度の向上など、改善、充実が必要な点を確認していると
ころであります。
今後、これらの課題も含めまして、大規模な広域訓練で実施することや、個別訓練で訓練内容を
深めていくといいましょうか、こういうことなどをしなければならないものがあると思います。地
域原子力防災協議会において、これらのもののチェックを行い、広域避難計画等に、次の計画に反
映させ、一つ一つ防災避難力を高めてまいりたいと考えます。
この問題に関連いたしまして、第三者がチェックし、評価し、課題を提言、勧告する組織といい
ますか、方法が必要なんじゃないかと、アメリカのFEMA(フィーマ)などの例をとられての御
提言でありますが、高浜、大飯両地域における原子力防災訓練の実施結果や成果、また、抽出され
た課題等については、地域原子力防災協議会において関係府県、防災機関等と共有し、避難計画等
-72-
の改善等のフォローアップを、現在ではそういう方法で行おうとしています。特に、高浜の訓練で
は、県において住民に対してアンケートを実施するほか、国においても、今回の訓練対象地域外の
敦賀、美浜のオフサイトセンターの職員などが高浜の訓練を評価したと、こういうことをしており
ます。
県としては、できるだけ早期に協議会を開き、住民アンケートや客観的評価も含めた訓練の検証、
総括を行い、さまざま御意見をいただきましたが、その結果について、できるだけ評価をうまくや
りながら、広域避難計画を一つ一つ改善するよう、国に求めてまいりたいと考えます。
次に、観光行政であります。
観光誘客における宿泊者数を伸ばしていく上で、効果を上げてきた具体的な取り組み、今後の戦
略はどうかということであります。
観光の宿泊者数を伸ばしてきた事例としては、例えば、あわら温泉では、芦湯でありますとか、
情緒あふれる温泉街の街路等の整備、また、地元の食べ物、文化を生かした体験などが楽しめるオ
ンパクなどを行っております。こうした効果もあり、あわら温泉では、平成27年は前年比14%増の
98万人の来客といいますか、こういうことであります。
一方、若狭地域での対応としては、漁業体験と民宿を組み合わせた教育旅行の誘致、民宿等にお
けるインターネット宿泊予約サイトの登録拡大などが見られます。さらに、首都圏等における越前
がに、若狭ふぐなど、食を組み込んだ宿泊旅行商品の充実などが挙げられます。
今後、宿泊を伴う新たな旅行商品の造成、誘客プロモーションを強化するほか、宿泊施設におけ
る設備やサービスの向上、滞在時間の拡大や宿泊につながる周遊、滞在型観光を進めてまいります。
最後に、農林行政についてお答えいたします。
農産品の輸出拡大についてのこれまでの取り組みと今後の対応であります。
これまで2年間、ジェトロの協力を得て、シンガポールの日本料理店10店舗において、本県食材
テストの販売を行ってきました。
お米につきましては、一般料理店ではハナエチゼン、高級日本料理店ではコシヒカリの要求が強
いわけでありますので、それに応じると同時に、水産物については越前がに、甘エビ、トラウトサ
ーモンへの評価が高いということで、冷凍より生鮮の要望が強いという認識をしております。
香港、シンガポールへの生鮮食品の冷蔵輸送でありますが、いろいろ御視察もされているという
ことで御提言がありましたが、小松・羽田・那覇空港を活用したルートが今のところ唯一でありま
す。県内での集荷と現地の配達を行うヤマト運輸と空輸のANAによる国内外のネットワークを利
用してまいりたいと考えます。
お米については、敦賀港から船便により、現地に精米施設と販売拠点のある株式会社クボタに販
売をしていくと、こういう方法をとってまいりたいと考えます。
その他については、関係部長から答弁いたします。
○副議長(畑 孝幸君) 総合政策部長山田君。
〔総合政策部長山田賢一君登壇〕
○総合政策部長(山田賢一君) 私からは2点、お答え申し上げます。
まず、地方創生交付金につきまして、使い勝手の悪さが指摘されているけれども、その実態につ
いての認識と地域の創意工夫を引き出すための分権や規制改革などのより一層の推進について、お
答え申し上げます。
今年度から導入されました地方創生推進交付金でございますが、初めは、交付決定前の着手、あ
るいは繰り越しを認めないなどの要件が付されておりました。しかしながら、6月に申請をして、
9月の交付決定まで事業着手ができず、しかも繰り越しもできないとすることについては、自治体
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の事業の執行の実態を理解していないものであるということで、全国から改善の要望がなされまし
た。6月1日には、全国知事会も国に対して緊急要請を行いました。
これらの結果、事業目的を達成する上で不可欠な場合の事前着手、あるいは繰り越しなどを認め、
ハード整備につきましても要件を緩和するなどの改善がなされたところです。8月2日の交付決定
では、本県、市町ともほぼ申請どおり採択され、一定の改善が図られたものと考えております。
しかし、地方創生は、本来、自治体の裁量で進めるべきものでございまして、そのためには国が
地方の主体性、自主性を尊重し、財源と権限の地方への一体的な移譲、そして、企業の地方移転や
大都市の大学の定員の抑制など、規制改革を一層する必要があります。これを求めていきたいとい
うふうに考えております。
次に、北陸新幹線の用地取得の現状、敦賀開業に向けた事業の見通しについてお答えします。
用地取得につきましては、用地測量や建物調査が完了した地区から順次、用地交渉を進めており
ます。県全体の用地取得率は4割となっております。あわら市や福井市では用地取得率が約8割に
達し、8月から個別交渉に着手した敦賀市におきましても着実に取得を進めております。まず年内
に9割という目標に向けて、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
工事につきましては、既に県内の総延長の5割を超える区間について着手しております。年度内
には、県内全線の工事を契約する予定でございまして、更地化や埋蔵文化財調査を終えたところか
ら順次、工事を開始してまいります。
○副議長(畑 孝幸君) 健康福祉部長櫻本君。
〔健康福祉部長櫻本 宏君登壇〕
○健康福祉部長(櫻本 宏君) 私からは3点お答えをいたします。
まず、原子力行政について、原子力発電所の事故時の避難について、福祉施設との協議で見えて
きた具体的な課題、特に福祉施設における訓練をどのように充実させていくのかとのお尋ねでござ
います。
原子力災害時における社会福祉施設の避難につきましては、本年8月までに避難元となる142施
設全てを対象に、避難先との協議の場を設けまして、入所者の介護の程度や処置の状況、備蓄品、
あるいは非常持ち出し品のリストなどについて、お互いに情報交換をしたところでございます。そ
の結果、主な課題としては、避難を手助けする介助職員の確保や避難先への輸送手段の確保、ある
いは、避難先において受け入れを行う職員やさまざまな資機材の確保等が挙げられているところで
ございます。
今後は、職員の参集訓練、あるいは避難先への情報伝達訓練、あるいは入所者を想定した移送訓
練など、個々の訓練を重ねることにより、避難計画の充実を図ることが重要でございまして、各施
設に対し指導してまいりたいと考えております。また、職員の応援派遣、あるいは避難バス等の移
送手段の確保につきましても、市町、あるいは関係団体と協議をして、あらかじめ必要な対策につ
いて検討を進めるよう求めてまいりたいと考えております。
次に、医療・福祉行政について、陽子線がん治療センターは、患者受け入れと治療実績の拡大を
図るべきであるが、基本的指針と具体的手だてはどうかとのお尋ねでございます。
日本海側唯一の施設でございます陽子線がん治療センターは、福井県のみならず、北陸地域で広
く活用されることが重要でございますが、開所5年間の利用実績は石川、富山両県で全体の2割に
満たない状況となっております。このため、現在、金沢大学附属病院に対しまして、陽子線治療の
相談、あるいは検査ができる外来診察室の設置を働きかけておりまして、開設の方向での検討が行
われているところでございます。
今後は、県立病院が中心となりまして、抗がん剤等の併用などによって最良のがん治療を提供で
-74-
きること、あるいは、御指摘のございました乳がんの臨床試験や今年度から保険適用となった小児
がん治療など、このセンターの特徴につきまして、DVD、ポスター、講演会、JR車内広告等に
より、北陸地域に対し重点的にアピールをしてまいりたいと考えております。
また、利用者の負担を軽減するために、全てのがんについて公的保険が適用されるように、全国
自治体病院開設者協議会等を通じまして、引き続き国に対し強く要請してまいりたいと考えており
ます。
次に、認定こども園で必要となる保育士、幼稚園教諭の資格取得を支援するため、フリーに動け
る正規の保育士、教諭を一人配置し、市町に県が補助を行うことを提言するが、所見はどうかとの
お尋ねでございます。
この保育士の研修については、現在、市町を通して1人当たり年間2日分の代替要員の費用が、
公立については地方交付税、私立につきましては運営費補助という形で、保育所、あるいは認定こ
ども園に措置をされているわけでございます。県では、県幼児教育支援センターにおいて、新採用、
あるいは中堅職員に対する研修を実施しております。今年度からは、保育士資格、幼稚園教諭免許
の資格取得のために、私立の認定こども園に対し受講料を助成しているところでございます。
御案内のとおり、全国的に保育士の確保が課題となっている中で、県内におきましては、国の基
準を上回って保育士を配置しているところが8割以上ございまして、職員の配置をさまざまに工夫
して研修派遣を行っているところでございます。こうした状況の中で、国においては現在、この研
修代替要員の費用を1人当たり年間2日から5日に拡充する計画を持っておりまして、県として保
育士の処遇改善に向け、その実現を強く要望しているところでございます。
御提案いただきました研修代替のフリーに動ける正規保育士、あるいは教諭の配置につきまして
は、こうした国の保育士の処遇改善の状況や各市町、そして保育所などの現場の声、あるいは御要
望を今後十分聞いた上で、必要性などについて検討してまいりたいと考えております。
○副議長(畑 孝幸君) 産業労働部長片山君。
〔産業労働部長片山富士夫君登壇〕
○産業労働部長(片山富士夫君) 私からは、観光行政に関しまして、敦賀港でのクルーズ船寄港の
増大に向けた戦略、課題、対策についてお答えをいたします。
敦賀港につきましては、以前から貨物利用の増大を中心にセールス活動を行ってきたところでご
ざいますが、これに加えまして、平成25年度からはクルーズ船の誘致活動を本格的に進めてきまし
た結果、来年秋に定員2,700人の「ダイヤモンド・プリンセス」の初寄港が決定したところでござ
います。
寄港の増加につきましては、まず、この初寄港に向けまして、先月発足いたしました、福井県海
外クルーズ客船誘致推進会議──これは県と市町、関係の観光、商工、それから交通団体から構成
されておりますが、これを中心に、岸壁での歓迎イベントでありますとか、あるいは、本県の食、
特産品を紹介する物産展の開催など、福井県の魅力を最大限にPRいたしまして、平成30年以降の
継続した寄港につなげ、着実に寄港回数をふやしていくことが重要でございます。
また、本県には東尋坊や永平寺、三方五湖など、主要な観光地がございますが、何といっても、
地元での観光や受け入れ体制が大事でございまして、敦賀港周辺の魅力を高めますとともに、港で
のおもてなしなど、地元が中心となって進めていく必要があると考えております。
さらに、他県との連携もポイントでございまして、敦賀港に近い滋賀県と共同してセールス活動
を行うとか、あるいは、敦賀港と距離的にクルーズコースを設定しやすい日本海側の山形県の酒田
港でありますとか、あるいは鳥取県の境港と連携しまして、運航責任者等のキーマンを招聘するな
ど、誘致活動を強化いたしまして、クルーズ船の寄港増大につなげていきたいと考えております。
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○副議長(畑 孝幸君) 教育委員会教育長森近君。
〔教育委員会教育長森近悦治君登壇〕
○教育委員会教育長(森近悦治君) 国体、オリンピックにつきまして、フェンシング選手の例を取
り上げられまして、今後の国体に向けた選手育成、特に指導者育成についてどのように進めていく
のかというお尋ねでございます。
福井国体で優勝を目指すためには、選手の能力を最大に発揮させる指導者の質というのは非常に
重要だというふうに思っておりまして、県におきましては、オリンピック出場経験のある指導者や
スポーツケアトレーナーを各競技に派遣をいたしまして、指導体制を充実させるとともに、監督、
コーチの資質を向上するためのチームづくり、また指導方法の研修も継続して実施をしているとこ
ろでございます。
少年選手につきましては、推薦入学制度を活用しまして、ジュニアアスリートを指定の強化校に
集めるということで、この春もたくさん入っていただきました。そして、そうした各校に指導力の
高い教員を配置いたしまして、指導を強化しているところでございます。国体で主力となる高校1
年生の選抜チームによる実践練習を数多く経験させるなど、強化を図っているところでございます。
また、教員が国体選手を指導、引率する際には、今年度から新たに必要に応じて非常勤講師を配
置するなど、体制を強化しておりまして、今後も国体に向けて、さらに県外遠征、また合宿等をふ
やしていきまして、選手の育成と競技力の向上を加速させていきたいというふうに思っております。
○副議長(畑 孝幸君) 警察本部長猪原君。
〔警察本部長猪原誠司君登壇〕
○警察本部長(猪原誠司君) 私からは、まず抱負についてお答えいたします。
本県の治安情勢は、刑法犯認知件数が13年連続で減少し、交通人身事故件数についても平成17年
以降減少しているなど、総じて一定の改善が見られるところであります。
しかしながら、子供に対する声かけ事案や女性に対する暴力的事案、振り込め詐欺を初めとする
特殊詐欺の被害はいまだ多く発生しているほか、交通死亡事故が増加するなど、県警察が取り組む
べき治安上の課題は依然として多くあると認識しております。
県警察といたしましては、引き続き、県や関係団体、県民の皆様と連携しつつ、「安全・安心ふ
くい」万全プランに基づく各種施策を着実に推進することにより、治安のさらなる向上に努めてま
いります。
次に、民間の方々による取り組みに対する認識と県民の皆様の不安の払拭に向けた決意について、
お答えいたします。
暴力団の弱体化、壊滅は、警察のみでなし遂げることは困難であり、地域住民の皆様や企業、行
政など、社会が一体となった暴力団排除活動が不可欠であります。暴力団の対立抗争により、本県
でも予断を許さない状況にある中、議員御指摘の敦賀市内で開催された街頭行進は、民意として暴
力団の存在を否定し、講習会は不当要求による被害防止を目的としたもので、暴力団排除の機運が
一層高まったものと認識しております。さらに、来月には、敦賀市内において、暴力のない安全で
安心して暮らせる福井県の実現に向け、暴力追放福井県民大会が開催されるところであります。
県警察といたしましては、暴力団に対する取り締まりや警戒を徹底するとともに、総合的な暴力
団排除活動や保護対策を推進することによって、市民、県民生活の安全・安心を確保し、暴力団の
対立抗争の巻き添えや暴力団排除活動への危害等に対する不安の払拭に努めてまいります。
○副議長(畑 孝幸君) 選挙管理委員会委員長熊澤君。
〔選挙管理委員会委員長熊澤喜八郎君登壇〕
○選挙管理委員会委員長(熊澤喜八郎君) 私のほうからは、18歳以上選挙権について、今回の結果
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をどのように認識し、また、今後の啓発活動の課題についてどのように取り組んでいくのかという
御質問に関しましてお答えいたします。
本県の参院選の投票率は56.5%で、全国平均54.7%を上回り、前回、平成25年の参院選よりも
2.7ポイント上昇したところでございます。これは、70年ぶりの選挙権年齢の引き下げに世間の関
心が高まったこと、また、大学、ショッピングセンター等への期日前投票所開設によりまして、投
票環境が向上したことの効果があらわれたものと考えております。
県では、今日に備えまして、平成15年度から小学校、中学校、高校、延べ60校におきまして、明
るい選挙出前塾を開催し、模擬投票などを通しまして、選挙の仕組みや選挙の大切さを啓発してき
たところでございます。平成27年度からは、この対象を大学等に拡大しておりまして、今年度は、
実施したものを含めまして短大等3校におきまして実施する予定であり、要請がありましたら積極
的に対応していく所存でおります。
御指摘の不在者投票につきましては、制度自体の存在や投票方法を知らないという方もいらっし
ゃることから、投票の方法等を周知するチラシを高校、大学等に配布するなどしまして、制度の周
知を進めていく所存でおります。
以上でございます。
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
○副議長(畑 孝幸君) 以上で、本日の議事日程は全部終了いたしました。
この際、お諮りいたします。
明15日から19日までは休会にいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(畑 孝幸君) 御異議なしと認めます。
よって、そのように決定いたしました。
なお、来る20日は午前10時より開議することとし、議事日程は当日お知らせいたしますから、御
了承願います。
―――◆
◆●◆●◆
◆―――
○副議長(畑 孝幸君) 本日は、以上で散会いたします。
午後3時36分 散 会
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