東電の隠ぺいと「完全ブロック」発言

2015年3月9日
古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン
Vol.120 から抜粋で。
3.東電の隠ぺいと「完全にブロック」発言
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古賀:
安倍政権とももちろん関連しますが、あと原発の問題もちょっと言っておかなきゃいけ
ないなと思います。きのうもかなり大きく出ていました、福島原発の汚染水漏れ。汚染
水といっても今までの汚染水を処理するどこかのパイプが壊れたとかなんとか、タンク
が壊れたとか、そういうんじゃなくて、もともと実は事故直後からずっと放ったらかし
になっていた 2 号機の近くの建屋の屋根に爆発して、ものすごく高濃度の汚染された放
射性物質が積もっているわけですけれども、そこに雨が降ると屋上からあふれて外にど
んどん流れちゃう。それを普通に排水口に流していたんだけれども、その排水口が外洋
につながっている排水口にも流れていた。
普段、全然、雨が降らないで上から何も流れていないときには一応、基準値内なんだけ
ど、そういう雨が降ったりしたときには基準の何倍にもなると。これが 1 年ぐらい前か
らわかっていたけど言わなかったというようなことがいわれているんですが、実は今、
また、だんだんわかってきているんですけど、おしどりマコさんとか、ああいう一生懸
命この問題を追いかけている人が 2 年、3 年ぐらい前からずっと東京電力に、ここは放
射能濃度が上がっているんじゃないのとか、この排水路って、どことどこがつながって、
どこから流れているのとか、いろいろ質問をしていて、当時から、この雨水で汚染され
ているんじゃないのということはずいぶん指摘をされていたんです。
東京電力も完全に否定するわけじゃなくて、のらりくらりと回答をうまく逃げていると
いうようなことが続いていたっていうのは今、マコさんはじめ、いろいろツイッターな
んかの上で流れていますね。
事故直後、僕はまだ経産省にいたんですけど、そのときにある経産官僚が言っていた話
は、要は「福島第 1 の爆発したところの周りっていうのは、もうめちゃめちゃ汚染され
ているんだ。もちろんいろいろ地下水が入ってきて水が汚染されるとか、そういうのも
あるんだけど、とにかくそういう汚染したものを全部外に出さないで処理するなんて、
どっちみち無理だ。だから一応、タンクにためたりしているんだけど、それをどうやっ
て処理するかって、最後は海に捨てるしかないんだ」というのを最初から確信犯的に言
っているわけですよ。
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いや、だけど基準があってそんなに捨てられないよねというと、いや、あれはフローの
濃度の規制しかないから総量規制がないので要は時間をかけて薄めて流せばそれで済
むんだ。それが 1 番効率的なんだ。時間をかけてやりゃいいんだということをはっきり
言っている人たちがいたんですね。
Gbiz:
それをやり続けていたっていうことですね。
古賀:
「雨雨降れ降れ」ですよ。雨降って、どんどん流してくれりゃいいな。タンクが壊れた
ら頭を下げて、でも、壊れて、どれぐらい出たかな、出てよかったねぐらいの感じだっ
たんじゃないかなというふうにさえも思えてくるような、これまでの対応なんですね。
そして原子力規制委員会のきのうの記者会見とかを見ていても、もう完全にボーッとし
てますよね。1 カ月ぐらいしたら何か、改善策を考えるらしいですよみたいな。反省す
べきことは反省してくださいって、当たり前だけど、そうじゃないでしょ。なぜ、この
基準をあなたたちはつくらなかったんですかと、原子力規制委員会がね。一応、あの対
策でいいですよということになっているわけですよ。
だけど全然、よくなくて、それは規制委員会がわざと見落としていたんだと思うんです
けれども、どうせできないんだからできないことを言ってもしょうがないよという確信
犯でやっているんだと思うんですけど、それは普通は相当大きな問題であって「委員長
の責任問題だ」と言われてもしょうがないと思うけど、それに対する答が「反省すべき
は反省して」なんて、本当に生ぬるいことを言っているなと私は思いました。
そして実はこの問題の背景にあるのはおととしの 9 月に安倍さんがブエノスアイレス
だっけ。
Gbiz:
東京オリンピックが決まったときですね。
古賀:
そこでやったあの大うその発言ですよね。
「汚染水は under control」とか、
「完全ブ
ロック」とか、ものすごい発言をしているんですね。もちろん官僚がちゃんと文章をつ
くっていますんで、細かいところで逃げを打てるようになっているんですけれども、こ
の発言によって汚染水というのはちゃんと処理されているんだと。もちろんときどき
ALPS っていう機械が壊れましたとか、タンクが壊れましたとかっていう、ときどきの
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問題っていうのはあるけれども、それを除けば定常的には全然、問題ないんですよとい
うことを言っちゃったわけですね、世界中に。
僕は、おととしの 9 月 10 日にツイートしたんですよ。1 番心配したのは何かというと
当時、僕は「大うそだ」と言ったんです、テレビで。「これは大うそで、とんでもない
ことを言っちゃった」と言って批判したら、ほとんどのコメンターはそうじゃなくて「こ
うやって国際公約になったっていうのは考えてみればよかったですよね」って言ったん
ですね。何故かというと国際公約になった以上、ちゃんとそれをやるしかなくなるんだ
から、もう、そういう不退転の決意で安倍さんにはがんばってもらいたいですねなんて、
のんきなことを言っているコメンテーターがほとんどだったんですね。
ところが、このトップがうそをつくと何が起きるかということなんですね。このコメン
トを言ったあと、私がツイッターで言ったのは<うそはうその連鎖を呼びます。今後、
最初のうそがばれないようにますます情報を隠し歪曲し続ける可能性のほうが高いで
すよ>というツイートをしたんですけど、まさにそれが起きているなと。要するに雨が
降るたびにだだ漏れでした。だだ漏れしているんですなんて言えないわけですよね、あ
んな大見えを切っちゃったあとに、いやあ、実はこの辺、すごい汚染されているけど全
部外に流れてますなんて口が裂けても言えないでしょ。
Gbiz:
東電も言えないっていうことですよね、逆に。
古賀:
東電は言えなくなっちゃうんです。そんなこと言ったら「お前、ばか」って言われちゃ
うので、だからまずなるべく計測しないようにしましょうということが起きるわけです
ね。
1 年ぐらいたつと、そろそろほとぼりも冷めてきたしなというので、計測を始めるけど
計測もなるべく比較しにくいようにとか、問題があまり発覚しないように計測しましょ
うみたいな話になって、ようやく最近になって、さすがにいろんなことがだんだん、だ
んだんわかってきちゃいますし、隠しきれないなということで、発表したということな
んだろうと思うので、やっぱりうそをつくっていうのは、こういうことに関しては絶対
やっちゃいけない。特に原発に関しては、ほんの小さなうそでも、ついちゃいけないな
と。だから安倍さんの責任は本当に大きいと思いますよ、あれだけのうそをついたって
いうことはですね。
それでも、まだ菅官房長官は、うそじゃないとか言い張ってましたよね。「影響はブロ
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ックされている」って言ったんですよ。影響はっていうのは抽象的な言葉ですから何ベ
クレルとか、どういう数値になったら影響があるというのか、ないというのか。結局、
薄めちゃえばないわけですよね。だって世界中の海の水で薄めちゃえば、ものすごく低
くなるわけですから、もう、それが経産省のずっと方針なんですけど、それは最近の原
発の関係です。再稼働の動きとか、いろんなことが今、動いていますので、またちょっ
と次の機会にやりたいと思います。
以上
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