2011 年 11 月 2 日 弥生講堂 食と生命のサイエンス・フォーラム挨拶 ご紹介いただきました農学生命科学研究科長の長澤と申します。統括寄付講座「食と生 命」の支援部局を代表して一言ごあいさつを申し上げます。 本寄付講座は 2009 年 6 月に食品のグローバル企業でありますネスレのご好意により、農 学生命科学研究科にではなく、総長室直轄の総括プロジェクト機構に設置されました。こ れまで約 2 年半、われわれの仲間であります加藤久典特任教授によって運営され、本日こ の寄付講座主催の初めてのサイエンスフォーラムが開催される運びとなりましたことを大 変嬉しく思っています。 本日のタイトルは、「コーヒーと糖尿病についての最新知見」でありますが、この寄付講 座を支援していただいています会社がネスレということで、コーヒーの健康に対する効能、 特に糖尿病に関連する話題が取り上げられたものと思います。 コーヒーは嗜好飲料としては、お酒や緑茶・紅茶など何千年もの歴史を持つ飲料と比べ ますと比較的歴史は浅いのですが、現在では世界的に普及しています。東大の構内にも数 年前からコーヒー専門のお店が入って結構繁盛しているようです。私自身も、1 日に必ず 1 杯はコーヒーを飲んでいます。コーヒーの語源は、アラビア語でのコーヒーを意味する「カ フア」という言葉だそうですが、日本には江戸時代の中期にオランダ人によって導入され、 漢字としては「オランダ語 koffie の音」から「珈琲」という漢字(王へんに加えるという 字と、同じく王へんに非ずという字)が当てられています。ちなみに、中国語ではそれと 似た漢字を当てていますが、2 つの漢字とも王へんではなく、口へんになっています。この 漢字は現在の日本の漢字にはありませんが、飲料であることを考えますと、口へんの方が ぴったりする感じがします。中国語では「カーフェイ」と発音します。 先週亡くなられました作家の北杜夫氏の作品にドクトルマンボウシリーズがあります。 そのうちの最初の作品であります「ドクトルマンボウ航海記」の冒頭にネスカフェの話が 書かれています。おそらくはその縁で 1970 年から始まりましたネスカフェゴールドブレン ドのテレビコマーシャルに北杜夫氏が起用されたのではないかと察します。かなり年輩の 方しかわからないかもしれませんが、「違いがわかる男の」というナレーションの下にコー ヒーを飲んでおられるシーンが思い出されます。 私自身は「生物有機化学」という学部の講義を担当していますが、その講義の中でコー ヒーの成分が 2 つ登場します。クロロゲン酸とカフェインであります。いずれも有名な化 合物ですので、本日のご講演の中にも必ず出てくるものと思って楽しみにいます。 以上をもちまして、私からの開会の挨拶とさせていただきます。
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