訓 示 このたび、市民の皆様のご支持と負託を賜り、市政を担わせていただくこと になりました内藤久夫でございます。市長に就任し、その責任の重さと3万余 の韮崎市民の生活を守るという使命の大きさを厳粛に受け止め、身の引き締ま る思いであります。 本日は市長就任にあたり、職員の皆さんに私の市政運営にあたっての基本的 な考え方を申し上げ、皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げる次第であり ます。 先ず、横内前市長におかれましては、2期8年間にわたり市政を担当され、 福祉・保健・医療・教育などの充実をはじめ、市民生活優先の施策に重点を置 かれ、親しみやすい行政運営を推進され、そのご苦労とご功績に対し敬意と感 謝の意を表する次第であります。今後ますますのご活躍とご健勝を心からお祈 り申し上げます。 さて私は今回の選挙を通じて、市役所についてさまざまな市民の声を聞く機 会がありました。そして驚いたことが二つありました。一つは、韮崎市役所は 雰囲気が暗い。もう一つは、韮崎市役所は職員が甘い、という意見でした。正 直、私にとってはどちらも意外な感じがしました。そこでお隣の北杜市と甲斐 市の市役所を自分の目で確かめました。なぜか何かが違う気がしました。 その原因の一つは、他市は挨拶の声のトーンに元気があるということ。職員 の元気度は市民は敏感に感じるものです。これは心していかなければいけない。 二つ目の問題、指摘した人の弁を借りると、隣接の他市はどこも 10 年前に町村 合併市であり、職員同士が切磋琢磨し、また制度の見直しやさまざまな考え方 の改善が図られたからだと言います。確かにそれまで数千人の役場で仕事をし ていたのが突然、5 万とか 7 万とかという人を相手に仕事をするわけですから 職員も相当な苦労があったと思われます。 韮崎市のような単独で存続している市は逆に常に自己改革をしていかないと、 周りからいつの間にか差がつく恐れがあるということです。この点を私は謙虚 に受け留めようと思っています。私は韮崎市の職員が決して他に比較して劣っ ているとは思いませんし、むしろ皆さんがしっかりやって下さっていると思い ます。しかし、日々新たに問題に挑戦していかないとこの厳しい環境は乗り越 えられないと思うのです。 私の尊敬する医師であり政治家である松本市の菅谷昭市長は長野県庁時代を 振り返りこう言っています。何か指示すると、返ってきたのは「予算がない、 前例がない、規制がある」などという「2ない1ある主義」の回答でしたと。 失敗を極端に怖れてはいけない、目標を定め挑戦することが最終的には市民の ためになるのです。私が言う心のこもった市政運営とは原点はここにあります。 今回、私は「市民目線の活力あるまちづくり」を基本テーマとし、 「チームワ ーク」「ネットワーク」「フットワーク」の「3つのワーク」で心のこもった市 政運営を目指します。 先ず1つ目の「チームワーク」は、それぞれの部署において、いざとなれば お互いが助けあえる団結力を持っていることが大切だということです。また行 政によくありがちな課ごとの縦割りではなく、横の連携・連絡を取り、力を合 わせて物事に対応することであります。 2つ目の「ネットワーク」は、昨今の IT・情報化の中で市民生活や企業活動 には欠くことのできない情報力を駆使し、いち早く情報を収集・分析し活用し なければならないと考えております。また国や県とのパイプを太くし、さらに 隣接する北杜市や甲斐市、南アルプス市との連携を深めることも重要です。 3つ目の「フットワーク」でありますが、これも言うまでもなく、市民に対 しスピーディーな対応をとることであります。そのためには常に現場主義でも のごとをとらえる事が大事です。机の上だけでは解決できないことがたくさん あります。現場とはその問題点のある場所であり、そこにいる人であります。 その現場に身を置いて問題に取り組むことこそ必要な点であります。この3つ のワークを基本姿勢とし市政運営を進めてまいりたいと考えております。 そこで私の市政運営にあたっての基本的な柱として3つの挑戦を掲げました。 まず第一の挑戦として「強くて美しいまち・韮崎」の実現であります。 前市政から取り組んでいる減災対策は、県内でも先進的な取り組みでありま すが、引き続き、NPO法人減災ネットやまなしとの連携により、防災・減災 体制を充実させ、減災教育とあわせ安全で安心なまちづくりを推進します。 また、健全な行財政運営を推進していくことも強さの一つとなります。近年 の地方自治体の厳しい財政状況は本市でも例外ではありません。企業誘致や徴 収率の向上により自主財源を確保することは必要不可欠であり、中長期的な視 野で財務体質の強化を図らなければなりません。 第二の挑戦は、「元気で豊かなまち・韮崎」の実現であります。 本年度、商工会と連携し計画を策定中の「赤ワインの丘プロジェクト」は、 穂坂町の赤ワインの材料になる良質な醸造用ブドウを活用し、ワイナリー誘致 を核とした幅広いサービス施設を作ることにより、農・商・工と産・学・官が 連携した産業の充実・活性化を図る考えであります。 また、雇用対策についてでありますが、人口減少対策には雇用環境の改善は 必要不可欠であります。起業家の支援や若い女性に重点をおいた施策を充実さ せ、働く場所の確保に取り組んでいかなければなりません。 第三の挑戦は、「夢と思いやりのあるまち・韮崎」の実現であります。 子育て支援策についてファミリーサポートセンター、一時保育の充実、市立 病院にあります病児病後時保育、こういったもの一つ一つを更に拡充していく ことが大事だと思います。 また延長保育につきましても、シルバー世代のサポートを活用し、現在の保 育士の負担を軽減しつつ、夜8時まで延長できないかと思っているところであ ります。 高齢者福祉施策につきましては、安心できる介護環境の整備・拡充を図ると ともに、いつまでも元気な高齢者として健康寿命を伸ばす施策を充実させ、全 国一の健康寿命を目指したいと考えております。 さらに医療面では、市立病院の医師の確保など医療体制の充実を図り、公立 病院として地域医療体制の強化と環境整備を推進してまいる考えであります。 そして、何よりも大切なことは、市民との対話を通じ、常に市民の立場で考 え、ともに歩む姿勢で行政を進めることであります。 さて皆さん、最後にお一人お一人に伺いたいことがあります。ベテランの方 もまだ経歴の浅い方も、ご自分が仕事を通じてもっとも嬉しかったことは何だ ったでしょうか?ご自分の胸に聞いて見てください。給料が上がったり、昇格 して役付きになったりしたこともそうかもしれません。しかし仕事を通じて公 務員としての役割が果たされ市民に感謝されるということがきっと大きな喜び の一つではないかと思います。 「市役所の人がよくやってくれた」という市民の 声こそ公務員の無上の喜びではないかと思います。残念ながらよくできた場合 でも市民からは褒めてもらえることは少ないかもしれませんが、後年、自分の 子供に「この仕事はお父さんがやったんだよ」 「これはお母さんが関わってやっ たことなんだよ」と子供に胸を張って言えるような仕事をしようではありませ んか。それは私自身も全く同じです。批判こそ多く甘んじて受けなければなら ないこともあるかと思います。しかしながら、市のため市民のためという姿勢 をあくまでも貫き、皆さんとともに努力をしてまいります。 当面取り組まなければならない具体的な問題は、職員の皆さんがよくご存知 であると思いますが、この山積する諸問題をいかにして解決・実現していくか、 一人ひとりが考える必要があると思います。もちろん厳しい財政事情を考慮す る中で、最大の効果を発揮するための創意工夫が必要でありますが、更に大事 なことは、私を含めた職員の”和”であると感じております。市役所全体が心 を一つにし、市民も一体となって、 「チーム韮崎」としてこの困難な時期ではあ りますが、一丸となり市政進展に向け問題にぶつかって行こうではありません か。 ここにおられる職員の皆さんは仲間であります。管理職から新人職員まで、 それぞれの立場を乗り越え、仲間意識をしっかりと持ち、明るく、市民サービ スに徹していただきたいと思います。また、いかなる問題に対しても市民目線 で見つめ、どのような課題があるのか、どうしたら解決するのか、常に問題意 識を持っていただきたいと思っております。職員の皆さんには、公僕たる公務 員としての自覚と誇りを持って、そして、のびのびと業務にあたっていただき たいと考えております。どうか職員の皆さんのご協力を心からお願いいたしま して、私の市長就任の挨拶と職員への訓示といたします。
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