FIN SWIMMING NEWS

2013/10/1
<NO.79 >
FIN SWIMMING
NEWS
特定非営利活動法人
日本水中スポーツ連盟事務局
ワールドゲームズ 2013 コロンビア・カリ大会
女子リレーは7位
夏の国際大会はワールドゲームズで始まった
ワールドゲームズとは、オリンピック競技種目に採用されていない競技の国際的な総合競技大会。国際ワール
ドゲームズ協会(IWGA International World Games Association)主催、国際オリンピック委員会(IO
C)後援で、4年に1回、夏季オリンピックの翌年に開催されている。ワールドゲームズ2013はコロンビア・
カリ市で7月25日に開幕した。フィンスイミング競技に参加できるのは、CMAS(世界水中連盟)が選考し
た選手。日本からは女子の4×100mリレーチームが選考されて、尾形蘭、山岡明奈、藤巻紗月、有路友紀の
4名が世界に挑んだ。
地球の反対側へ
今回ワールドゲームズが開催されたコロンビアに行くには、乗継2回、現地に着くまで長時間かかる上に、時
差も大きい。日本チームは7月26日に行われるレースに向けて、23日午前中に成田空港を出発、カレンダー
上は当日の深夜にカリに到着するはずだった。ところが、ヒューストンで乗り継ぎ、コロンビアの首都ボゴダに
到着、ここからカリへ向か
うはずが、乗り継ぎがうま
く行かず、ボゴダで一夜を
過ごすことになってしまい、
カリ到着は24日の午前中
となってしまった。地球の
反対側までの道のりは遠か
った。そんな中でも、ベテ
ラン尾形蘭率いる日本女子
チームは、明るく元気だっ
たという。休む間もなくト
レーニングで調整し、25
日にはワールドゲームズの
開会式に参加した。
自己ベスト目指して泳ぐ
今回の女子リレーチームは、これまで日本の女子フィンスイミングの先頭を走ってきた尾形蘭と、大学生の山
岡明奈、高校生の藤巻紗月と有路友紀の4名だったが、尾形がリーダーとしてチームをまとめて若い選手を引っ
張った。ただ世界の壁は高く、また「みんなが自己ベストで泳ぎ、リレーの日本記録を」という目標はかなわな
かったが、3分03秒70(尾形44秒34、山岡45秒78、有路49秒05、藤巻44秒53)で7位とな
った。
CMAS GAMES2013
ロシア・カザン大会
CMAS主催のCMAS GAMES2013は、
8月5日からロシア・カザン市で開催された。CM
AS GAMESは、水中スポーツの世界大会。フ
ィンスイミング世界選手権大会、ロングディスタン
ス世界選手権大会が行われ、日本からは男子8名(う
ちロングディスタンスのみ1名)、女子5名の選手
が参加した。
コロンビアからロシアへ
山岡明奈の23日間
ワールドゲームズに出場した選手4名のうち、ロ
シア・カザンの世界選手権大会に参加したのは、山
岡明奈だけだった。尾形蘭、藤巻紗月は、世界選手
権の代表選手にも選考されていたが、コロンビアか
らの帰国が7月30日、ロシアへの出発が8月2日
という厳しい日程から世界選手権への出場を回避し、
9月のワールドカップへの参加を決めていた。
筑波大学3年の山岡明奈(アックアセレーナ)は
「やはり世界選手権」
「個人種目で挑戦したい」と、
得意の400m、800m、1500mサーフィス
にエントリーしたのだった。山岡は、7月28日に
コロンビア・カリを出発し、ボゴダ、ヒューストン
を経由して帰国したのが30日で、コロンビアと日
本の時差は14時間。31日、8月1日の2日間の
調整だけで、2日の午前中には成田空港を出発した。
カザンへの道程は、イスタンブールでの乗り継ぎで、
カザン到着は3日の午前
2時というハードなもの
だった。
レースは8月5日に始
まり、山岡は400mサー
フィス予選に出場。わずか
に自ら持つ日本記録には
及ばなかったものの、3分33秒85で泳ぎ、13
位となった。疲れ知らずの山岡は、翌日には800
mサーフィスで7分23秒40の日本記録を樹立し
ている。さらにフィンスイミング競技4日目の8月
8日には1500mサーフィスで、14分12秒4
5の日本記録を樹立して12位。
今回の世界選手権に参加した女子5名は、山岡を
のぞいて国際大会の経験が少なく、山岡は若いなが
ら女子のリーダー格であり、山岡の頑張りは日本チ
ームに刺激を与えた。
山岡はフィンスイミングプール競技終了後もカザ
ンに残り、8月10日から行われたロングディスタ
ンス競技のサポートも行い、14日に異国。7月2
3日に始まった山岡明奈の23日間が終わった。
柿添武文、800mサーフィスで日本記録樹立
出版社に勤務しながら競技に取り組む柿添武文
(Delfino)は、今回の世界選手権に向けて、
「日本記録樹立」を大きな目標としていた。5月に
開催されたフィンスイミング日本選手権大会で、4
00mサーフィスの日本記録を出し、代表に選考さ
れ初の日本代表となり、カザンへの想いは強かった。
エントリー種目は、200m、400m、800
mサーフィスとリレー2種目。さらにプール競技終
了後には、ロングディスタンス6㎞。
大会初日に行われた男子4×200mサーフィス
リレーが最初の競技だった。宮本祐治(クリオネ)、
増田恒幸(NLS)、池口貴雄(NAIA―FST)、
柿添の4人で挑んだリレーは、日本記録を大きく更
新してゴールしたが、スタートの違反をとられて惜
しくも日本チームは失格となった。しかし、従来の
記録を5秒以上も更新しており、4人の選手の好調
さがうかがえるレースだった。
競技3日目の800mサーフィスで、柿添は7分
04秒58で泳ぎ、10年以上更新されなかったこ
の種目の日本記録を樹立した。
平拓也、200mビーフィンで決勝進出
競泳選手として活躍する平拓也(G・Phoen
ix)がフィンスイミングを始めたのは、大阪教育
大学の先輩である谷川哲朗に誘われたことがきっか
けだという。
フィンスイミン
グ日本選手権大会
で、50m、100
m、200mビーフ
ィンの3種目に日
本記録を樹立し、初
めての世界選手権
出場を果たした。
大会2日目に行
われた50mビー
フィンでは、日本人
初の20秒カット
が期待されていた
が、結果は20秒2
7で16位だった。
翌日の100mビ
ーフィンは、44秒
50の日本記録を樹立したものの11位で決勝進出
を逃し、大会5日目の200mビーフィンを迎える。
予選第1組の2位でゴールした平の記録は1分4
0秒70の日本記録だったが、最終組の結果を待つ。
ここまでで平は5位。最終組の4位の記録が平を越
えなければ、決勝進出が決まる。最終組で4位とな
ったロシア選手の記録は1分40秒83で、平の決
勝進出が決定した。決勝ではやや記録を落とし、1
分40秒87で8位と順位を上げることはできなか
ったが、今大会では日本選手唯一のファイナリスト
となった。
池口貴雄、100mサーフィスで日本記録樹立
初日の4×200mリレーで1分29秒台の泳ぎ
をみせた池口は、50mサーフィスでも16秒78
とベストに近い泳ぎで好調だった。日本記録を目指
した3日目の100mサーフィスでも泳ぎの感触は
よかったという。ところがターンのミスがあり、失
敗レースかと思いきや、38秒28の自己ベストだ
った。ミスがなければ、37秒台で泳げるという気
持ちになったという。
池口は、最終日の4×100mサーフィスリレー
の1泳として、もう一度日本記録にチャレンジでき
るチャンスを与えられた。結果は38秒05で日本
記録を更新したが、37秒台は幻となった。レース
後の池口の涙は、日本記録樹立の嬉しさよりも、3
7秒台を逃した悔しさのほうが強かったらしい。
世界選手権の経験
カザンで開催された世界選手権には、初代表の選
手が多かった。ビーフィンでは、宮腰美里(早稲田
大学)、荘加真歩(日本体育大学)の二人が自己ベ
ストを大きく更新する泳ぎを見せ、男子も鈴木信裕
(早稲田大学)が100、200の2種目で自己記
録を更新している。高校生の志村あすか(SPLA
SH)は、100mイマージョンで44秒06のユ
ース記録樹立など、初めての国際大会でも臆するこ
とはなかった。
CMAS
世界の速さを知り、国際大会を経験することで、
目標を高く持ち、さらに飛躍することが期待できる
だろう。
GAMES2013 フィンスイミング世界選手権大会結果(プール競技)
山岡 明奈 400SF
800SF
1500SF
志村あすか 50AP
50SF
100SF
200SF
100IM
鎌田 香織 50AP
50SF
100SF
200SF
荘加 真歩 50BF
100BF
宮腰 美里 50BF
100BF
200BF
柿添 武文 200SF
3分33秒85
7分23秒40日本新
14分12秒45日本新
19秒37
21秒27
45秒55
1分42秒41
44秒06ユース新
19秒38
21秒19
DSQ
1分43秒35
24秒45
52秒81
25秒06
53秒38
1分56秒67
1分32秒17
宮本 祐治
池口 貴雄
増田 恒幸
平
拓也
森野 大輔
鈴木 信裕
400SF
3分21秒36
800SF
7分04秒58日本新
200SF
1分32秒12
400SF
3分32秒23
50AP
15秒43
50SF
16秒78
100SF
38秒28
リレー1泳 38秒05日本新
50AP
15秒67
50SF
16秒97
100SF
39秒76
50BF
20秒27
100BF
44秒50日本新
200BF予選 1分40秒70日本新
決勝 1分40秒84
50BF
20秒76
100BF
45秒54
200BF
1分42秒01
2013 年フィンスイミングオープンウォーター
大下和茂(九州共立大学)
夏はフィンスイミングのオープンウォーター競技が開催される。国内では湘南オープンウォーター、そして海
外では韓国・釜山、さらにロシア・カザンで開催されたCMAS GAMES フィンスイミング世界選手権大
会で、ロングディスタンス競技が行われた。これまで日本のフィンスイミング・ロングディスタンス競技をけん
引してきた大下和茂(関西鰭泳会)は、この夏、釜山には役員として、カザン、湘南には選手として参加してい
る。大下の2013年夏のレポートである。
Korea Open
3㎞ Finswimming
Competition
会場は、釜山から車で 2 時間ほどのところにある
巨済島のビーチ。競技は7月28日に行われた。
都心から離れた会場ではあるが、ビーフィン・モノ
フィンを問わず、韓国国内の多くのフィンスイマー
が集まる。そこに3㎞の国際部門が設けられ、今年
度は日本、ロシア、香港、そしてフィリピンの選手
が招待されて、日本からは女子選手2名が参加した。
7月下旬ではあるが、水温は17度程度、透視度は
低く、当日は雨で視界も悪い中、オープンウォータ
ーの経験が豊富とは言えない日本の2人であったが、
5位と6位に入賞と健闘した。
世界選手権やアジア選手権のように各国から大所
帯で参加するような大会であれば、(残念なことで
はあるが)他国の選手と一言も喋らずに大会を終え
る選手もいる。この釜山大会は、国際の部とは言え、
韓国以外からの参加は役員を含めて10名ほどであ
り、参加者は共にバンで移動し、食事も同じテーブ
ルで一緒に食べるため、各国選手との交流も深まる。
日本代表として大会に参加するということは、結果
を残すことはもちろん重要であるが、親善大使とし
ての役割を担い、フィンスイミングを通して各国選
手と良き交流を深めることは重要な側面である。ス
ポーツは、言葉や文化が違う者同士が、共通のルー
ル・同じ土俵で競う。このようなものは他になく、
国際的にスポーツ活動が評価されている一つの理由
であろう。
参加選手の一人である魚住夢香(クリオネ)は、
初の国際大会であり、言葉の面等を心配していたが、
各国選手との交流を楽しんでいる様子で、最終日に
は、他国の選手と、またどこかの大会で会おうと言
い、帰路についた。記録を出すだけなら、国内の大
会で記録を出せば良い。国を代表して大会に参加す
るというのはどう言うことかを感じたのではないだ
ろうか。今後、この経験を糧に、更なる競技力向上
を期待したい。
CMAS GAMES
ロングディスタンス6㎞&20㎞
会場はヴォルガ河というヨーロッパ最大の川の一
角に作られた漕艇場(Universiade Ro
wing Center)を利用したコース。7月に
開催されたユニバーシアード、2015年の競泳世
界選手権大会の競泳競技・オープンウォーター種目
の会場でもある。
大きな波やうねりがないという点では泳ぎ易いが、
水温は約27度と高く、透視度30 ㎝ほどと、環境
自体は良いと言えない。ここに、一周1。5~1。
67 ㎞のコースが作られ、個人6㎞(1。5 ㎞×
4周)と20 ㎞(1。67 ㎞×12周)、そして
リレー3 ㎞×4人がロングディスタンス種目とし
て開催された。
日本からは6㎞に柿添武文選手(Delfino)、
そして20 ㎞に私(大下・関西鰭泳会)が出場した。
2001年の世界選手権(イタリア・ラベンナ)
で20㎞競技が導入され、私はそのレースを見て2
0㎞を泳ごうと思い、2003年(エジプト・アレ
キサンドリア)の世界選手権で20 ㎞レースに初出
場。その後、2005年(フランス・ラ シオタ)、
2007年(イタリア・バーリ)に続き、世界選手
権での20㎞出場は今回で4回目となる。
(成績はともかく)世界でも10年に亘り20 ㎞に
出場する選手はそういない。各国選手に20 ㎞に出
るというと、顔色を変えて「Crazy」と言われ
「Good luck!」とも言われる。私は200
7年後の2大会には
出場しなかったので、
久々の20㎞でもあ
ったが、何年経っても
それは変わらず、20
㎞は、この競技の中で
も特別な種目なんだ
と、「Good lu
ck!」と励ましても
らえる懐かしい感覚
を思い出していた。
この夏、そんなCr
azyな20㎞レー
スを制したのは、イタ
リアのDavide
Delfino Ce
glie。David
eは、2日目の6㎞で
優勝、そして3日目の
20㎞でも優勝、世界
選手権で個人種目を
2種目制覇したのは
彼が初めてである。さ
らに、1日目に行われたリレーでも銅メダルを獲得
している。コーチ曰く、彼は毎日10㎞ほどの練習
をこなしているそうだ。競泳であれば毎日1000
0mと言ってもさほど驚かないだろうが、フィンを
つけて毎日10000mは、タフな身体を持ってい
なければ耐えられない。
私の成績は、トップと1周遅れであったが、順位
は5位と自己最高の結果であった。昨年、職場に室
内プールが出来たこともあり、今回は、これまでと
比べて良い練習ができた中で出場できたと思う。プ
ールでの1500mのベストタイムを比較しても、
2007年より20秒ほど速くなっており、そのタ
イムにも安定感があった。そのため、今回のレース
は、もう少しトップに着いていけるかと思っていた
が、予想していた以上にトップの選手は速かった。
私が最後に参加した2007年の世界選手権と20
㎞の優勝タイムを比べると、(会場や海況が違うの
で直接の比較はできないが)、男子では2007年
が3時間36分だったのに対し、今回は3時間13
分、女子では3時間54分だったのに対し、3時間
25分と、会場や海況の影響を加味しても速くなっ
たと言える。
選手自身の能力が向上したことも要因ではあると
思うが、道具の進化も大きな要因だと思う。200
1年の世界選手権では、選手が使用していたのは、
いわゆるノーマル型のフィンのみであった。200
3年はウィング型のフィンを履く選手が出てきた。
2005年は、ほとんどがウィング型、2007年
にロケット型が出てきたが、まだウィング型のほう
が多かったと記憶している。今回は、ほぼすべての
選手がロケット型を採用していた。2005年や2
007年当時、ロケット型のフィンは負担が大きい
と言われていたが、道具は年々進歩し、推進力が増
すようになったことはもちろんだが、足の快適性も
増してきた。
私も、20㎞では今回初めて、ロケット型のフィ
ンを使って出場したが、(道具の進化か長年のフィ
ン生活で足が適応したのかは定かではないが)3時
間以上フィンを履いていても指の感覚があり、これ
までと比べて足は非常に楽であった。逆に言えば、
このお陰で、ずっとしっかり蹴り続けることができ、
レース自体も高速化したと言える。そして、それに
伴う身体への負担が増したように思う。今回、レー
ス後しばらくは重力に勝てず、どのような体勢を取
っても、どこかが攣るようで、しばらく陸上で動け
なかった。Davideのように、より高いレベル
の練習に耐え、道具の進化にも耐えられる、タフな
選手でなければ20㎞を戦うことができないと言え
る。
私が、この種目に出場することは、もうないと思
う。今回、世界の選手の速さを久しぶりに体感し、
身体的にも精神的にも、これ以上のレベルで戦うこ
とは厳しいと感じた。2001年に初めて出場した
世界選手権以降、この種目に挑戦してきたことで得
たものは多く大きく、この種目に挑戦させ続けても
らえることをありがたく思う。残念ながら、現在の
ところ、国内で20㎞に挑戦しようとする若い選手
はいないが、今後、そのような選手が出てくること
に期待する。
本年度は、8月25日にフィンスイミングの部が
開催された。あいにく朝から雨交じりの空模様で、
昨年の開催中止が思い起こされる天候だったが、水
温は高く、やや波が高かったものの、競技は行われ
た。
前年に比べると少し参加者は減ったが、新たに海
のフィンスイミングにチャレンジする選手が多かっ
たように感じる。そして、モノフィンの部で表彰台
に登った女子選手は全員が本大会のモノフィンの部
初出場であった。タイムは速いとは言えないが、新
しい選手がどんどんチャレンジし、オープンウォー
ターの層が厚くなることは嬉しい事である。今後、
選手層と共に競技レベルも向上することを願いたい。
湘南オープンウォータースイミング
日本でオープンウォーターのフィンスイミング大
会に出場したい場合、8月末に湘南海岸で開かれる、
湘南オープンウォータースイミングがある。競泳の
オープンウォータースイミングの大会ではあるが、
フィンスイミングに2・5㎞の部が設けられており、
トップを目指す競技者から、生涯スポーツとしてフ
ィンスイミングを愛好する者まで、さまざまなレベ
ルの方が参加している。
天気が良ければ、江ノ島や富士山を見ながらレー
スをするということも可能である。「海の経験はあ
るが、モノフィンで泳ぐのはちょっと…」という選
手はビーフィンの部も用意されているので、是非、
多くの方に体験してもらいたい。
湘南 OW フィンスイミング 2・5 ㎞結果
男子モノフィン
1 柿添 武文 0:27:23(写真左)
2 大下 和茂 0:27:34
3 妹尾 元気 0:31:56
男子ビーフィン
1 長竹 康介 0:30:11
2 大西 正規 0:31:28
3 岩井 聖 0:34:40
女子モノフィン
1 鎌田 香織 0:32:03(写真右)
2 魚住 夢香 0:32:42
3 古屋 夏海 0:32:45
女子ビーフィン
1 加藤 恵理子 0:31:52
2 山下 雅子 0:39:32
3 山下 まどか 0:42:37
第 25 回フィンスイミング日本選手権大会
2013年5月11日~12日
横浜国際プール
5月11日、12日の2日間、横浜国際プールで、
フィンスイミング日本選手権が開催された。8月に
ロシア・カザンで開催される世界選手権大会の代表
選考大会である。カザンでの世界選手権は、CMA
S GAMESという水中スポーツの大会の1種目
として行われることになっている。フィンスイミン
グのプール競技、ロングディスタンスのほかに、水
中ラグビー、水中オリエンテーリング、スポーツダ
イビングなどの種目が行われる。日本ではなじみの
ないスポーツが多く、今回はフィンスイミングのプ
ール競技、ロングディスタンス競技のみの代表選手
派遣となる。
2012年度の最優秀選手は、
長谷川雄太と山岡明奈
開会式で、2012年度の優秀選手が発表された。
最優秀選手は、男子が長谷川雄太(ATHRA)。
フィンスイミングアジア選手権大会の男子4×10
0mサーフィスリレーの第1泳者として38秒06
の日本記録を樹立し、男子リレーの記録更新の牽引
車となった。女子は山岡明奈(アックアセレーナ)で、
アジア選手権1500mサーフィスで銀メダルを獲
得したことが評価された。やはりアジア選手権の2
00mビーフィンで銅メダルを獲得した山階早姫
(G・Phoenix)は、新人賞を獲得している。
ユース最優秀選手賞は、ユース世界選手権大会で
50m、100mのサーフィスにユース記録を樹立
した藤巻紗月(NLS)と12月の短水路日本選手
権大会でユース記録4個を樹立した飯田智士(NL
S)が受賞した。同じチームで練習する藤巻と飯田
は、2013年度もユース区分で、さらなる飛躍が
期待される。
藤巻紗月、50mサーフィスで
初の19秒台
従来の女子50mサーフィスの日本記録は20秒
09で、2008年に尾形蘭(Orange)が樹
立したもの。日本選手権でこの種目では昨年まで1
2連覇の尾形はもちろんのこと、何人もの選手が、
これまで20秒カットにチャレンジしてきたが果た
せず、20秒というのは日本女子選手にとって長年
の高い壁だった。
その壁をあっさりと乗り越えたのが、16歳の藤
巻紗月。4月に高校生となった藤巻は、昨年から課
題だったスタートの改善に取り組んできた。そして
大会初日の50mサーフィス予選で、いきなり19
秒47という日本記録。電光掲示板にその数字が出
た瞬間、会場は大きくどよめいた。日本女子フィン
スイマーの前に立ちはだかっていた壁が崩れたのだ
った。午後になって行われた決勝でも、藤巻は19
秒80で泳ぎ優勝した。すでに藤巻の前に壁はなく
なっているのだろう。19秒47という記録は、昨
年オーストリア・グラーツで開催されたユース世界
選手権大会の記録を見ると、8位に相当するタイム
である。世界選手権大会のファイナリストになると
いう目標は、決して夢物語ではなさそうだ。
大会2日目に行われた50mアプニアでも藤巻の
勢いは続いていた。これまで藤巻は18秒を切るこ
とができず、アプニアではユース記録を樹立するこ
とができずにいた。ところが今年は、アプニア予選
であっさりと18秒の壁を越えて17秒92のユー
ス記録を樹立し、決勝ではさらに記録を更新して1
7秒88で泳いだのだ。
藤巻は100mサーフィスにも出場したが、こち
らは最後の競り合いに敗れて4位だった。しかし4
5秒59は自らのユース記録を更新している。
志村あすか(SPLASH)
100mサーフィスでユース記録
100mサーフィスで藤巻を上回る記録で泳いだ
のが志村あすか(SPLASH)だった。5コース藤巻、
6コース志村と並んで泳ぎ、記録は45秒56のユ
ース記録樹立。昨年テレビでフィンスイミングを見
て競泳から転向した高校2年生の志村あすかは、日
本選手権大会初出場だったが、大会初日の200m
サーフィスでは、1分42秒31、また2日目の1
00mイマージョンでは45秒23で優勝している。
100mサーフィスで優勝したのは月岡麻美(N
AIA)、2位は尾形蘭で、ベテランがレース巧者
ぶりを発揮した。1位から5位までが45秒台とい
う厳しいレースだった。
接戦
男子スプリント種目
大会初日、藤巻の19秒47で騒然とした会場で、
男子50mサーフィス予選が始まり、最終の5組目
のレースは、4コース池口貴雄(NAIA)、5コ
ース、増田恒幸(NLS)。昨年のアジア選手権の
4×100mリレーで記録更新を果たした二人であ
る。予選から全開の二人は、そろって自己ベストと
なる16秒台でゴール。増田16秒77、池口16
秒79で、予選1位、2位で決勝に進んだ。増田は
決勝でタイムを落とし、17秒25の3位。いっぽ
う池口はさらにタイムを伸ばして16秒67で優勝
した。昨年に続く2連覇である。
50mサーフィスで2位に入ったのは谷川哲朗
(G・Phoenix)で、昨年までCMASビー
フィン種目で圧倒的な強さを見せていたが、今年は
サーフィス、アプニアにエントリーしてきた。
谷川は、50mサーフィス予選の後で行われた2
00mサーフィスでは1分30秒95で優勝、50
mサーフィス決勝で2位と初日からの好調は、2日
目も続いた。100mサーフィスは3位だったが、
5位で予選を通過した50mアプニア決勝では、日
本男子二人目となる14秒台をマークして優勝して
いる。14秒93は大会記録であり、日本選手権大
会では初めての14秒台のレースだった。
100mサーフィスで優勝したのは長谷川雄太。
38秒24は、2位の池口38秒67とともに大会
記録だった。
50m、100mサーフィス、50mアプニアの
スプリント3種目は、優勝者、順位は入れ替わった
が、上位4人は、昨年のアジア選手権4×100m
サーフィスリレーを泳いだ長谷川、谷川、増田、池
口の4人だった。
柿添武文(Delfino)
400mサーフィスで日本記録
男子400mサーフィスでは、宮本祐治(クリオ
ネ)、関野義秀(NAIA)、そして柿添が200
m過ぎまで並んで泳ぐ展開だったが、250m手前
から柿添が飛び出していった。早い仕掛けに、宮本、
関野がどう対応していくかに注目されたが、柿添が
そのまま逃げ切り、
3分20秒55の日
本記録を樹立して優
勝した。
柿添は、筑波大学
水泳部出身だが、社
会人となってからは
4年ほど競技から離
れていたという。そ
の後、マスターズ、
オープンウォータースイミング、そしてフィンスイ
ミングに取り組み、フィンスイミングでは湘南オー
プンウォーター2011ビーフィンの部で優勝する
などの実績を残しているが、日本選手権大会では初
優勝だった。
男子CMASビーフィンは平拓也が
3種目に日本記録
フィンスイミング世界選手権大会で行われるビー
フィン種目では、激しいレースが続いた。
女子は昨年の日本選手権で50m、100m、2
00mの3種目を制し、アジア選手権で銅メダルを
獲得した山階が、初日の100mと200mでは優
勝したが、2日目の50mでは予選1位通過ながら、
決勝では3位。50mで優勝したのは、吉田麻紀(D
elfino)だった。
吉田はこの種目の日本記録保持者で、2011年
にハンガリーで開催された世界選手権大会では、決
勝で7位入賞を果たしている。
男子は平拓也(G・Phoenix)がCMAS
ビーフィン3種目制覇、それも3種目とも日本記録
樹立という快挙を成し遂げた。初日の100mでは
44秒62、200mでは1分41秒38とチーム
の先輩である谷川の記録を更新して優勝。2日目の
50mは、午前中の予選で平は20秒27の日本記
録を樹立したが、平野修也(Delfino)が2
0秒21で上回った。午後の決勝では、平と平野に
日本初となる20秒カットが期待された。
結果は平が20秒02とさらにタイムを伸ばした
が、20秒カットはお預けとなった。平野は20秒
27で2位。このレースでは4位までが20秒台と
いう接戦だった。
大会最優秀選手は藤巻紗月と平拓也
閉会式では男子10名女子8名の世界選手権代表
選手が発表された。また9月末に開催されるワール
ドカップファイナル・ジュネーブ大会の選考選手1
9名も発表された。そして、大会の最優秀選手は、
50mサーフィスで日本記録、100mサーフィス、
50mアプニアでユース記録の藤巻紗月とCMAS
ビーフィン3種目で日本記録を樹立した平拓也が選
ばれている。
チーム得点で争われる団体戦は、総合優勝がDe
lfino。男子、女子ともDelfinoが昨年
に続いて制し、ビーフィンの部は、神奈中SSが優
勝した。
第25回フィンスイミング日本選手権大会新記録一覧
日本記録
女子 50mサーフィス
藤巻紗月(NLS)
予選 19.47 決勝 19.80
男子 100mCMAS ビーフィン 平 拓也(G・Phoenix)
44.62
男子 200mCMAS ビーフィン 平 拓也(G・Phoenix)
1:41.14
男子 400mサーフィス
柿添武文(Delfino)
3:20.55
男子 50mCMAS ビーフィン
平 拓也(G・Phoenix)
予選 20.27 決勝 20.02
平野修也 (Delfino)
予選 20.21 決勝 20.27
藤巻紗月(NLS)
予選 19.47 決勝 19.80
志村あすか(SPLASH)
予選 20.57 決勝 20.69
ユース日本記録
女子 50mサーフィス
女子 100mCMAS ビーフィン 高橋花音(NLS)
55.35
女子 100mイマージョン
志村あすか(SPLASH)
45.23
女子 50mアプニア
藤巻紗月(NLS)
予選 17.92 決勝 17.88
女子 100mサーフィス
志村あすか(SPLASH)
45.56 リレー1泳 45.12
藤巻紗月(NLS)
45.59
高橋花音(NLS)
決勝 25.09
女子 50mCMAS ビーフィン
ジュニア日本記録
男子 100mCMAS ビーフィン
高橋雅輝(神奈中 SS)
55.83
男子 50mCMAS ビーフィン
畑野剣輝(シゲパワー)
24.72
高橋雅輝(神奈中 SS)
男子 50mビーフィン
CMAS
25.58
岡野有恭(アックアセレーナ) 22.64
※大会結果は、冊子を団体に配布済みです
GAMES2013 フィンスイミング世界選手権代表選手
女子 山岡明奈、志村あすか、鎌田香織、宮腰美里、荘加真歩
男子 池口貴雄、増田恒幸、宮本祐治、柿添武文、鈴木信裕、平拓也、森野大輔
ワールドカップ・ゴールデンファイナル・ジュネーブ大会参加選手
女子シニア 尾形蘭、山崎幸香、加藤恵理子、鎌田香織、笠茂鈴乃、山階早姫、山本夏生
女子ユース 藤巻紗月、立元瑞季、小野綾華、平井寿奈、野澤夏海、古谷夏海、渡邉菜々子、高橋花音
男子シニア 長谷川雄太、谷川哲朗、柿添武文、関野義秀、深野裕輔、野沢俊策、木内一成、勝俣大貴、
滝本悠介
男子ユース 飯田智士、佐山太一
<事務局だより>
☎03‐3222‐1192 Fax 03‐6427‐0127
今後の大会予定
強化練習会について
国内大会
11 月 9 日(土)学生選手権大会&ジャパンオープン
静岡県立水泳場
※10 月 26 日に予定していた大会ですが、会場の富
士水泳場の天井崩落事故が起こり、会場が使用でき
なくなりました。会場を静岡県立水泳場に変更し、
11 月 9 日に日程変更となりました。
ユース強化練習会をユースだけでなく、学生(大
学生、専門学校生など)にも門戸を広げて、強化選
手の練習会として開催することになりました。ユー
ス区分を卒業してシニア区分となった選手も参加可
能な強化練習会とします。
今後、強化選手標準記録を設定して、対象選手の
練習会だけでなく、合宿、講習会などを行っていく
予定。
11 月 23 日(土 祝日)短水路日本選手権大会
千葉国際水泳場
速報・辰巳杯の結果
※上記 2 大会については、開催要項およびエントリ
ー用紙を各団体に配布済みです。
9 月 29 日(日)に行われた辰巳国際水泳場杯・フ
ィンスイミングの部の結果は以下の通り。
2014 年 2 月 8 日(土)~9 日(日)東海大会
静岡県立水泳場
女子 AP
1.宮腰美里(6BEAT)
2.浜田未来(日体大フィン)
3.中村彩希(日体大フィン)
国際大会
11 月 2 日~5 日 香港国際オープンウォーター大会
11 月 15 日~20 日 スノウ・フィンズ 2013
ロシア・トムスク
ワールドカップ・ゴールデンファイナル
スイス・ジュネーブ大会で日本記録
9 月 28 日~29 日に開催された上記大会で、日本記
録が生まれました。
日本記録
女子 100SF 鎌田香織
43.26
男子 100SF 長谷川雄太 37.86
男子 200SF 長谷川雄太 1:29.62
男子 400SF 関野義秀
3:19.87
ユース日本記録
女子 4×100SF リレー
3:07.93
(平井寿奈、小野綾華、立元瑞季、藤巻紗月)
20.27
20.35
20.83
男子 AP
1.国府田翔平(日体大フィン) 17.30
2.鈴木信裕(6BEAT)
17.58
3.矢吹将人(NAIA)
17.96
女子 BF
1.吉田麻紀(DELFINO)
2.駒田紗彩(シゲパワー)
3.畑中マヤ
男子 BF
1.森野大輔(DELFINO)
2.遠藤 渉(シゲパワー)
3.中村公彦
23.38
24.10
24.44
20.15
20.89
20.91
女子 50SF
1.山岡明奈(アックアセレーナ) 22.27
2.渕上早紀(NAIA)
23.23
3.宮腰美里(6BEAT)
23.49
男子 SF
1.根本寛之(6BEAT)
18.62
2.国府田翔平(日体大フィン) 19.16
3.門間貴史(アックアセレーナ) 20.12
9.畑野剣輝(シゲパワー)
21.93 ジュニア新