Ⅳ 体外診断用放射性医薬品産業の現状 (1)体外診断用放射性医薬品の動向 400 ラジオイムノアッセイ(RIA)法の開発によりホル 1,200 モンや腫瘍マーカーなどの生体内微量物質の定 1,000 量が初めて可能になりました。 体外診断用放射 300 供 給 額 性医薬品は RIA 法を日常検査に導入することに 800 ︵ より、内分泌疾患や悪性腫瘍等の医療に非常に 200 600 億 円 ︶ 大きな貢献を果たしました。 これにともない、体外 診断用放射性医薬品の使用施設および供給額 400 100 は 1970 年代から急速に成長し、1988 年度に 330 200 億円の規模になりました。 しかし、ラジオアイソト (Non-RIA)が開発され、放射線の規制を受けず 動きが進み、体外診断用放射性医薬品の供給額 は 1989 年以降減少し 2003 年度にはピーク時の 3 1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 0 ープを用いない自動イムノアッセイ技術 に取り扱うことができるようになると、Non-RIA への 施 設 数 供給額 施設数 大学病院数(×10) 図 26. 体外診断用放射性医薬品供給額と使用施設の 推移 (日本アイソトープ協会 「アイソトープ等流通統 計」 より) 分の 1 まで減少しました。 (2)体外診断用放射性医薬品の課題 RIA 法は Non-RIA のような化学物質を使う必要がなく、測定結果に影響を与える因子も少ないなどの利点 があるといわれていますが、ラジオアイソトープを使用するため、施設・設備の規制や放射線取扱主任者資 格を有する従業員が必要などの制約があります。 米国のように特別の規制がなく使用できる状態と比べると、 放射線の安全管理の面から優れたシステムですが、使用する放射能に比して規制が厳しすぎないかとの議 論もあります。 放射線規制に関する国際標準化の動きの中で、わが国でも国際基本安全基準(BSS)の規 制免除レベルが導入され、クリアランスレベル(放射能が十分安全な水準まで減衰したものについては規制 からはずす)についても検討が進められようとしています。 科学的な根拠をもって十分な安全性が確保でき たものについては、不合理な処理によって費用や負荷を増やす必要はないと考えられています。 放射線規 制がより合理的なものになることにより、使用放射能が少なく、検体や測定環境の影響を受け難いとされる RIA 法が、診断や臨床研究・基礎研究、また予防医学の発展に一層貢献する機会が得られるものと考えられ ます。 17
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