行動規範 - 日本スポーツ用品工業協会

倫理および公正貿易
WFSGI 行動規範(基本指針)
前文
世界スポーツ用品工業連盟(WFSGI、以下 WFSGI と表記する)は、世界的にスポー
ツ活動を促進する事、スポーツの用具のサイズ及び規則の標準化を行う事、スポーツ
用品の品質基準の改善を図る事、国際的にスポーツ用品の公平な貿易を促進する事
を目的として、1978 年に設立された。
WFSGI は、国際的な大企業から属地的な小企業まで広く会員となっており、その範
囲は50カ国以上にわたっている。また、他の企業に商品を供給する企業もあれば、直
接消費者の商品を販売する企業も存在している。
同時に、各国のスポーツ工業会が会員として参加しており、参加の企業は 12,000 社
を数え、数十万人の雇用を創出している。
WFSGI の倫理公正貿易委員会(CEFT)は、構成会員、国際政府機関、国際非政府
組織等と協議して 1997 年に行動規範を制定した。
この行動規範は、会員企業が世界中で行う活動において、最も高い倫理基準を表し
ている。そして1997年から多くの会員企業がこの行動規範を自社の行動規範に導入
し、そして、それらの行動規範の遵守状況を、内部及び外部のモニターを使うという事
によって監視しできるように設計された。 1997年から国際貿易の見地から考察を繰り
返した結果、労働者と子供の権利の擁護団体との意見交換の結果、WFSGI は、200
0年に行動規範を修正することに決めた。
前置き
WFSGI の理念はスポーツの理念である、そして WFSGI はスポーツの分野において
だけではなく、スポーツ用品を作る工場においても、公正、誠実、相互理解、及び、高
い倫理上の標準を促進しようと努める。 WFSGI 会員は、自らが世界経済で演ずる重
要な役割と、スポーツ用品が製造及び生産される社会やその経済の状態に対する自
らの影響を認識する。 その影響は、二つの側面から社会に与えられるのである。即ち、
一方の側面は、企業の雇用主としての行動を通してであり、更に重要な、もう一つの側
面は、商品およびサービスの供給者から商品を仕入れる顧客としての意思決定を通し
て、その影響力が行使されるのである。
WFSGI の会員企業とその商品供給元、そして生産工程に関わるあらゆる下請け企業
は、信頼と相互の尊重及び共通の価値観に基づくべきである。 WFSGI はスポーツ
産業の育成に努める事を宣言している。即ち、WFSGI の会員企業が、スポーツの価
値に対する認識を共有するビジネスパートナーを積極的に構築し、そして、その積極
的な関係を通して、スポーツの価値を実現する責任を負う事によって、スポーツの産
業を育成することを決意している。
この原則は国際労働機関( ILO )の国際労働標準に基づいている。 同様に、
WFSGI は会員企業が、それぞれ、異なる法律、経済上の、社会の、そして文化的な
環境の下で営業しており、そして、これらの相違は理解と尊重に値することを認めるも
のである。WFSGI の会員企業は、尐なくとも会員企業の商品の生産と関係するすべ
ての活動が、あらゆる妥当に適用される可能性のある義務的な法律上の必要条件に
従わなくてはならない。
法律の遵守
WFSGI の会員企業と、その会員企業に商品を製造する企業(「雇用者」)は、その商
業活動に関係するあらゆる国家の法律とその地域における規則を遵守するべきであ
る。
労働条件
当該地域での産業界の基準が、その地域での法律上の必要条件より高い時には、当
該地域の産業界での基準を優先すべきである。 法律上の必要条件が国際的に認め
られた標準に達しない国においては、WFSGI 会員企業は、次の最低基準を満たす
べきである。
強制労働
WFSGI 会員企業は、囚人労働・年季奉公・束縛労働、あるいはそれに準じるような、
強制労働者を使うべきではない。 雇用者は強制力、力の脅威、あるいはどんな形式
の脅迫を通しても働くように強制されることがあってはならない。
非差別
人は、雇用、給料、利益、昇進、懲罰、解雇あるいは退職において性別、人種、宗教、
年齢、身体障害、性的傾向、国籍、政治的な意見、あるいは社会、あるいは民族的な
起源差別を理由として差別される事があってはならない。
組織及び団体交渉の自由
労働者は自らの意思で労働者の労働者組織を組織し加入し、団体交渉権を行使する
事をする権利を認識し、そして尊重するべきである。 組織及び団体交渉の自由への
権利が法律の下で制限されている場合には、雇用者は、労働者の独自の組織及び団
体交渉の自由類似の考え方の考案を考慮するべきである。
賃金
雇用者は、賃金が労働者の基本的な要求は賃金を満たす事と認識すべきである。そ
して、雇用者は、労働者の労働の対価は完全に支給すべきであると認識しなければな
らない。例外なく、どちらがより高いとしても、賃金は、最低賃金あるいは一般的な産業
賃金に等しいか、あるいは超えなくてはならない。
雇用者は、労働者が、通常の勤務時間の労働対価に加えて、超過時間労働に対する
賃金の支払いを、その工場が存在する国の超過勤務手当ての規定に従うか、その超
過勤務手当ての規定が存在しない国の場合には、その労働者の時間給を越える料率
で超過時間に見合う賃金を支払うべき事を認識すべきである。
労働時間
労働者は、例外的に異常なビジネスの事態を除いて、超過勤務を含んで週60時間以
上の超過勤務労働やオーバータイム、あるいはその地域の法律上の必要条件の尐な
い時間を超えて労働する事を強制されない。労働者は7日期間ごとに尐なくとも1日の
休日の権利を与えられるべきである。
権利と休暇
全ての労働者は、合法的に付与されたあらゆる権利を享受できる。その権利とは、食
事あるいは食事助成金、交通費あるいは交通費助成金、他の補助金、健康維持、保
育、緊急事態、妊娠或いは病欠、宗教、葬式の為の休暇、あるいは社会保障や、その
他の生命保険や健康保険、雇用保険等を含めた保険が含まれる。
児童労働
WFSGI 会員企業は、15歳未満(製造の国の法律が許す場合は14歳未満)の児童、
あるいは、義務教育が 15 歳以上で終了する国において、就学児童を雇用してはなら
ない。
健康と安全
WFSGI 会員企業は、安全で衛生的な労働環境を整えなければならない。
同時に、労働者仕事に従事する事と関連し、或いは従事する過程で生じ、企業が有
する施設の運営の結果として生じる職業病や労働災害事故を防ぐ予防策を積極的に
推進しなければならない。
この事は火事、事故と毒害からの防御を含んでいる。照明、暖房及び換気システムは
完備すべきである。洗面所は労働者が、何時でも使用可能であり、そして、それは常
に清潔であるべきである。
工場は安全と健康政策を持たねばならない。そして、その政策が労働者に明確に伝
達される手段を持っていなくてはならない。 労働者の住宅が雇用者によって供給され
る場合は、これらは労働者の住宅にも適用されなければならない。
いやがらせあるいは乱用
すべての労働者は敬意と尊厳をもって扱われ、身体的、性的、心理的、あるいは言葉
のいやがらせあるいは乱用がない仕事場を得る権利を持っているべきである。
環境
WFSGI 会員企業は、環境活動の改善に積極的に取り組むべきである。それは、会員
企業の中だけではなく、協力工場や、納品先企業や下請け企業においても環境の改
善に取り組むべきである。
環境問題は以下の事を包含している。
・ビジネス上の判断を行う際に常に環境保全意識を持ち続ける事。
・土地、土壌、エネルギーと水等の天然資源の責任がある使用。
・汚染(土壌・水質・大気汚染)を削減し、最小化し、更なる汚染と浪費を避ける事。
・商品のデザインや開発の際、或いは素材や技術開発の際には。環境保全意識を持
続的に持ちつづける事。
地域社会との係わり合い
WFSGI の会員企業は、自らがその仕事の経済的、社会的な影響力を認識して、より
広い地域社会の状態を改善することを決意した。
企業内の独自の規範
WFSGI 会員企業は、もし、企業内に倫理規範を作成していない場合には、上記の倫
理行動規範をもとに、自らの企業の規定を作成する事が望ましい。
証明
これらの原則は、WFSGI 会員企業への指針として作成されたものである。即ち、会員
企業が適正な工場においてその商品を製造していることを証明することを目的として
いる。WFSGI 会員企業は、自ら作成した社内規範を再検討する事によって自社内の
管理システムを構築する事が必要とされ、自社内の工場の労働環境や契約先の工場
の労働環境の弛まない改善のための行動計画を立て続ける事が要求される。同時に、
WFSGI 会員企業は適切な資格を持った第三者機関の監査を受ける事が望ましい。
遵守
WFSGI 会員企業は、自らの活動と契約先工場の活動において、これらの規定を遵守
するための処置を講じる必要がある。 違反事実がある場合には、それがたとえ、内部、
あるいは外部の監査によって見いだされるか否かにかかわらず、会員企業は、このよう
な違反については、時期を得た、そして、合理的な改善措置を行うべきである。そして、
他の工場で繰り返しそして/あるいは発生を妨げるために適切な措置がとられること
が望まれる。