製 品 安 全 デ ー タ シ ー ト 会 社 住 名 武藤化学株式会社 所 〒113-0033 東京都文京区本郷2-10-7 担当部門 学術課 緊急連絡先/受付時間:月曜日~金曜日、9:00~17:00 電話番号 03-3814-5511 MSDS番号 製 品 FAX 03-3815-4832 作成・改定 PAS染色キット 名 2010年3月4日 10回分 劇物、労安衛法、PRTR法対象品 本キットは下記構成試薬からなる。 ①固定液 6ml×5 ②1%過よう素酸 6ml×5 ③シッフ試薬 6ml×5 ④亜硫酸水 6ml×10 ⑤ヘマトキシリン液 6ml×5 (注:①固定液中に劇物、労安衛法及びPRTR法対象物質のホルムアルデヒドが10.5%含まれる) 物質の特定 ①固定液 単一製品、混合物の区別:混合物 含有成分 化学名 アセトン 含有量(100ml中) 約60ml 化学式 既存化学物質番号 CAS No. 国連番号 ホルムアルデヒド メタノール 酢酸 10.5% 約3% 約10ml CH3COCH3 HCHO CH3OH CH3COOH 2-542 2-482 2-201 2-688 67-64-1 50-00-0 67-56-1 64-19-7 1090 1198 1230 1842 ②1%過よう素酸 単一製品、混合物の区別:混合物 含有成分 化学名 過よう素酸 水 含有量 1% 99% 化学式 H5IO6 H 2O 既存化学物質番号 CAS No. 1-368 10450-60-9 水 約18ml H2O ③シッフ試薬 単一製品、混合物の区別:混合物 含有成分 化学名(一般名) 含有量(110ml中) パラローズアニリン 亜硫酸水素ナトリウム 約 0.5g 約0.5g 塩酸 水 1N塩酸として10ml 100ml (塩化水素として約0.3%) 化学式 C19H18ClN3 NaHSO3 HCl 既存化学物質番号 CAS H2O 1-215 No. 7631-90-5 7647-01-0 国連番号 1789 注:本液中の成分 本液中では色素パラローズアニリンは還元形で無色のロイコパラローズアニリ ンとして存在し、また亜硫酸水素ナトリウムと塩酸により生じる二酸化イオウ の一部はパラローズアニリンと反応しロイコパラローズアニリンを生成し、ま た二酸化イオウガスの多くが本液中に溶解している。 ④亜硫酸水 単一製品、混合物の区別:混合物 含有成分 化学名(一般名) 亜硫酸水素ナトリウム 含有量(100ml中) 塩酸 約 0.5g 1N塩酸として5ml 水 95ml (塩化水素として約0.15%) 化学式 NaHSO3 既存化学物質番号 CAS HCl H2O 1-215 No. 7631-90-5 国連番号 7647-01-0 1789 ⑤ヘマトキシリン液 単一製品、混合物の区別:混合物 含有成分 化学名(一般名) 含有量(100ml中) ヘマトキシリン(注1) ヨウ素酸ナトリウム(注2) 0.1g C16H14O6 既存化学物質番号 5-3664 1-443 517-28-2 7681-55-2 No. グリセリン 水 5g 20ml 80ml 0.02g 化学式 CAS カリミョウバン NaIO3 AlK(SO4)2 HOCH2CHOHCH2OH 2-242 10043-67-1 56-81-5 注イ)本液中ではヘマトキシリンが酸化剤のヨウ素酸ナトリウムにより酸化 されヘマテインになっている。 ロ)製造時使用した酸化剤のヨウ素酸ナトリウムはヘマトキシリンを酸化 してヘマテインを生成させ、その結果ヨウ素酸ナトリウムのほぼ全量 はヨウ化ナトリウムとして本液に存在する。 危険有害性の分類 ①固定液 分類の名称:劇物 有害性:急性毒性物質のホルムアルデヒド及びアセトンが含まれ、蒸気は 鼻、喉、気管支、肺等を激しく刺激し炎症を起こす。 皮膚に触れた場合、皮膚炎を起こす。 目に入った場合、粘膜を激しく刺激する。 危険性:引火性のあるアセトンが60%含まれる。 ③シッフ試薬 分類の名称:腐食性物質,急性毒性物質に準じる 注)本品中の成分の塩酸は腐食性物質、急性毒性物質に分類されるが、 本液中の塩酸濃度は約0.3%であり、その危険有害性は低い。また 本液中に溶解している二酸化イオウは急性毒性物質に分類される が、本液中の二酸化イオウの濃度は低く、その危険有害性は低い。 ④亜流酸水 分類の名称:腐食性物質,急性毒性物質に準じる 注)本品中の成分の塩酸は腐食性物質、急性毒性物質に分類されるが、 本液中の塩酸濃度は約0.15%であり、その危険有害性は低い。ま た本液中に溶解している二酸化イオウは急性毒性物質に分類される が、本液中の二酸化イオウの濃度は低く、その危険有害性は低い。 注)②1%過よう素酸、⑤ヘマトキシリン液は危険有害性に分類されないものの、化学品とし て取扱上注意が必要である。 応急処置 ①固定液 目に入った場合:流水で15分以上十分に洗い、眼科医の診断を受ける。 皮膚に付着した場合:直ちに付着又は接触部を多量の水で十分に洗い流す。汚染された衣 服や靴を速やかに脱がせる。医師の手当てを受ける。 吸入した場合:直ちに新鮮な空気の場所に移し、患者の虚脱を防ぐため枕をせずに 寝かせ、毛布等に包んで安静保温し、速やかに医師の手当てを受ける。 ②1%過よう素酸 目に入った場合:流水で十分に洗い流す(まぶたを親指と人さし指で広げ、眼をあらゆ る方向に動かす)。 皮膚に付着した場合:直ちに付着又は接触部を多量の水で十分に洗い流す。 ③シッフ試薬 目に入った場合:直ちに清浄水で十分に洗い流す(まぶたを親指と人さし指で広げ、眼 をあらゆる方向に動かす)。必要に応じて医師の診断、手当てを受ける。 皮膚に付着した場合:直ちに汚染された衣服やくつをぬがせる。直ちに付着部位又は接触 部を石けん水で洗浄し、多量の水で十分に洗い流す。 飲み込んだ場合:直ちに口をすすぐ。 吸入した場合:直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移 す。症状により医師の手当てを受ける。 ④亜流酸水 目に入った場合:直ちに清浄水で十分に洗い流す(まぶたを親指と人さし指で広げ、眼 をあらゆる方向に動かす)。必要に応じて医師の診断、手当てを受ける。 皮膚に付着した場合:直ちに汚染された衣服やくつを脱がせる。直ちに付着部位又は接触 部を石けん水で洗浄し、多量の水で十分に洗い流す。 飲み込んだ場合:直ちに口をすすぐ。 吸入した場合:直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移 す。症状により医師の手当てを受ける。 ⑤ヘマトキシリン液 目に入った場合:流水で十分に洗い流す(まぶたを親指と人さし指で広げ、眼をあらゆ る方向に動かす)。 皮膚に付着した場合:直ちに付着又は接触部を多量の水で十分に洗い流す。 飲み込んだ場合:直ちに口をすすぐ。 火災時の措置 ①固定液 :本液は引火性があり、引火のさい水噴霧や炭酸ガスで消火する。 ②1%過よう素酸、③シッフ試薬、④亜流酸水、⑤ヘマトキシリン液: これらの4つの構成試薬は水溶液であり、引火の危険性はないが、周辺火災の 場合、容器が破損しないよう速やかに容器を安全な場所へ移す。 漏出時の措置 本キット中の各構成試薬の容量は小さく、漏れだした本液を多量の水で希釈して洗 い流す。 取扱い及び保管上の注意 キットとしては試薬の安定を考慮し、冷蔵庫保存する。構成試薬の②、③、④、⑤はガラスア ンプル入りであり、破損しないよう取扱上注意する。またキットを開封し各構成試薬を使用す る際は下記に注意する。 ①固定液 塩基、酸化剤、還元剤と接触させない。引火しやすいので熱源や着火源から離れた ところに保管する。 ②1%過よう素酸 還元剤と接触させない。また酸化されやすいものが混入しないよう注意する。 ③シッフ試薬 漏洩の防止。塩基(アルカリ)と接触させない。成分の塩酸や二酸化イオウは多く の金属、コンクリ-ト等を腐食する。また金属を腐食するさい水素ガスを発生し、 これが空気と混合して引火爆発することがある。本液は密栓をして、冷蔵保存する (二酸化イオウガスの発生を抑制し、製品の品質を保持するため)。 ④亜流酸水 シッフ試薬の項に準じる。 ⑤ヘマトキシリン液 漏洩の防止。 暴露防止措置 ①固定液 本液中の主要成分で有害な「アセトン」と「ホルムアルデヒド」について記す。 アセトン ACGIH許容濃度 TWA(ppm) ACGIH許容濃度 TWA(mg/㎥): 1780 日本産業衛生学会許容濃度(ppm) : : 750 200 ホルムアルデヒド 0.3 0.37 0.1 (管理濃度2009.3) 日本産業衛生学会許容濃度(mg/㎥) : 470 0 61 設備対策:火気厳禁の措置をする。局所排気、洗眼施設及びガス検知管、ホルム アルデヒド検知管を設置する。 保 護 具:有機ガスの防毒マスク又は送気マスク。保護眼鏡、不浸透性保護前掛、 労働衛生保護手袋等を使用する。 ③シッフ試薬、④亜硫酸水 本液中の成分「塩酸」と本液中に溶解している「二酸化イオウ」について記す。 塩酸 ACGIH許容濃度 TWA(ppm) 5 2 ACGIH許容濃度 TWA(mg/㎥): 7.5 5.2 日本産業衛生学会許容濃度(ppm)(上限値) : 5 1 日本産業衛生学会許容濃度(mg/㎥) 7.5 1 策 : 二酸化イオウ : 設 備 対 : 保 護 具(塩酸、二酸化イオウ):防毒マスク(酸性ガス用、二酸化イオウ用)、保護眼鏡、保護手袋、 洗眼施設、身体洗浄施設 局所排気施設、洗顔施設 保護長靴、保護衣 ⑤ヘマトキシリン液 比較的安全な染色液であるが、pH値が2.7~2.8の酸性水溶液であり、皮膚等に かからないよう保護具の着用が望ましい。 物理/化学的性質 ①固定液 外 観:無色の液体 水溶解性:水と任意の比率で混和する。 ②1%過よう素酸 外 観:無色の液体 水溶解性:水と任意の比率で混和する。 ③シッフ試薬 外 観:無色ないし淡黄色の液体 (但し、空気酸化により無色のロイコフクシンが赤色のパラローズ アニリンが生じると液の色が赤色を呈する) 臭 い:少し鼻をつく異臭(二酸化イオウ由来) 水溶解性:水と任意の比率で混和する。 ④亜硫酸水 外 観:無色の液体 臭 い:少し鼻をつく異臭(二酸化イオウ由来) 水溶解性:水と任意の比率で混和する。 ⑤ヘマトキシリン液 外 観:濃紫色の液体 pH値:2.7~2.8 水溶解性:水と任意の比率で混和する。 危険性情報 ①固定液 本液はアセトン、ホルムアルデヒド、水等の混合液であり、この混合液の危険性に 関する具体的な数値データ(引火点、発火点、他)はない。が、本液の60%を構 成するアセトンは下記のごとくである。 引火点:-18~-17℃ 発火点:465~538℃ 爆発限界:2~13% 本液は引火性がある。 ②1%過よう素酸 本液は1%過よう素酸水溶液であり、引火性はない。 ③シッフ試薬、④亜硫酸水 燃焼性、反応性等:爆発、発火の危険性はない。 但し、塩酸が含まれるので多くの金属と接すると、水素ガスを発生 し、その水素ガスに引火すると爆発、発火の危険性あり。 ⑤ヘマトキシリン液 可燃性:本液は水溶液であり、常温では引火しない。有機溶媒としてグリセリン が含まれるが、引火点が高い(176℃)ので火気による危険性は低い。 有害性情報 ①固定液 本液そのものの有害性に関する知見はない。そこで固定液中の有害成分のホルマリン(ホル ムアルデヒド)及びアセトンについて記す。 イ)ホルマリン(ホルムアルデヒド)(人についての症例、疫学的情報を含む) 皮膚腐食性:皮膚を刺激し硬化させ、潰瘍を生じる。 刺激性(目、他):ホルマリン蒸気は目を刺激し、涙が出る。 吸入すると粘膜が刺激され、咳が出る。 急性毒性:LD 50 ラット、経口 800mg/kg LC 50 ラット、吸入 250ppm・4時間 慢性毒性:肝臓、腎臓の障害が生じる。 がん原性(微生物、染色体異常):知見なし 生殖毒性:知見なし 催奇形性:知見なし ロ)アセトン ②1%過よう素酸 急性毒性:LD 50 ラット、静脈内 LC 50 ラット、経気道 LD 50 マウス、経口 :知見なし 5500mg/kg 50100mg/㎥/1時間 3000mg/kg ③シッフ試薬 本液中の成分「塩酸」と本液中に溶解している「二酸化イオウ」及び原料のパラローズア ニリンについて記す。 イ)塩酸について 急性毒性:マウス、経気道 LC 50 1108 ppm/1 時間 マウス、腹気内 LD 50 1449 mg/kg ヒト、経気道 LCLo 1300 ppm/30分 がん原性(微生物、染色体異常):知見なし 生殖毒性:知見なし 催奇形性:知見なし ロ)二酸化イオウについて 急性毒性:ラット、経気道 LC 50 2520 ppm/1 時間 ハ)パラローズアニリンについて 急性毒性:マウス、経口 発癌性 LD 50 5g/kg :マウス、ラットの実験動物試験での発癌性の疑いありの報告がある ④亜硫酸水 本液中の成分「塩酸」と本液中に溶解している「二酸化イオウ」の有害性については上記 の③のイ)とロ)を参照。 ⑤ヘマトキシリン液 皮膚腐食性:本液はpH2.7~2.8の酸性水溶液であり、皮膚が長時間本液に触れ た場合炎症を起こすことが予想される。また本液は染色液であり、 皮膚が触れるとその部位は青色~紫色に着色する。が、数日内でそ の着色は消失する。 急性毒性:本液中に約20%含まれるグリセリンに関しての急性毒性は下記のご とくである。 LD 50 ラット、経口 >20ml/kg がん原性(微生物、染色体異常)、生殖毒性、催奇形性:知見なし 環境影響情報 分解性、蓄積性、魚毒性についての知見なし 廃棄上の注意 本キットの各構成試薬は少量であり、少量の場合多量の水で希釈して廃棄する。廃棄するアン プル等の数が多い場合は下記に準ずる。 ①固定液 アフターバーナー及びスクラバーを具備した焼却炉で焼却する。 ③シッフ試薬 弱アルカリ水溶液を添加して中和し、パラローズアニリンの赤色が強い場合 は、必要に応じて活性炭を添加、混和して脱色して、濾過し、ロ液を廃棄す る。濾過物は乾燥後焼却する。 ④亜硫酸水 弱アルカリを添加して中和し、多量の水で希釈して廃棄する。 ②1%過よう素酸、⑤ヘマトキシリン液は多量の水で希釈して廃棄する。 輸送上の注意 冷蔵ないし冷暗所条件下で火気を避け、またガラスアンプルが破損しないよう注意して 輸送する。 IMDG(International Maritime Dangerous Goods Code) :3.1、3.3 IATA(International Air Transport Association Regulation):3 適用法規 毒劇法:指定令第二条97項 劇物 労安衛法:法57条施行令18条名称等を表示すべき有害物 PRTR法:ホルムアルデヒド特定第一種 大気汚染防止法:施行令第10条特定物質 海洋汚染防止法:施行令別表第1有害液体物質(C類) 危険物船舶運送及び貯蔵規則:有害性物質 引用文献 1)化学物質安全性データブック、化学物質安全情報研究会編、オーム社、1994年 2)危険物データブック(第2版)東京消防庁警防研究会監修 丸善 3)MERCk INDEX 11th. ed. Merck & Co., INC., 1989 危険、有害性の評価は必ずしも十分ではないので、注意してご利用ください。 記載内容の問い合わせ先 武藤化学株式会社 学術課 TEL:03-3814-5511 1993
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