技術情報:糖検出/糖鎖検出操作① PAS染色による糖鎖検出 J-オイルミルズ メーカー略号:JOM 過ヨウ素酸−シッフ塩基(periodic acid - Schiff base:PAS)反応により,SDS電気泳動で分離した糖タンパク質を フクシヤ色(赤紫色)に染色します。25∼100ぉの糖タンパク質を検出することができます。 <糖鎖検出の原理> 1 使用する機器や器具 ・電気泳動装置 ・ブロッティング装置(TRANS BLOT SD(Bio-Rad社)など) ・膜(ニトロセルロースまたはPVDF) ・トレー(膜がちょうど入る大きさのもの) 2 使用する薬品類 ・シッフ試薬 市販のものを使用 ・0.5%過ヨウ素酸水溶液 ・0.5%ヒ酸ナトリウムを含む5%酢酸溶液 ・0.1%ヒ酸ナトリウムを含む5%酢酸溶液 ・5%酢酸溶液 ・0.6%ピロ亜硫酸ナトリウムを含む0.1M塩酸 ・ホルムアルデヒド 3 操作 1.電気泳動,ブロッティング終了後,膜を0.5%過ヨウ素酸水溶液に2時間浸す。 2.膜を0.5%ヒ酸ナトリウム−酢酸溶液に30分間浸す。 3.膜を0.1%ヒ酸ナトリウム−酢酸溶液で20分ずつ2回洗浄する。 4.膜を5%酢酸溶液に10分間浸す。 5.膜をシッフ試薬に浸し,一晩放置する。 技 術 情 報 6.0.6%ピロ亜硫酸ナトリウムを含む0.1M塩酸で洗浄する。洗浄液にホルムアルデヒドを添加しても,洗浄液が赤くなら なくなるまで洗浄する。糖タンパク質は赤色のバンドあるいはスポットとして検出される。 4 判断ポイント ・バンドが染色されたら,糖タンパク質であると推測できる。 146 5 オプション 膜上の糖タンパク質を過ヨウ素酸で酸化し,生じたアルデヒド基をビオチンヒドラジドのヒドラジド基と結合させ,HRP (西洋ワサビペルオキシダーゼ)やALP(アルカリフォスファターゼ)標識アビジンで増感し発色させる方法もある。これ はPAS染色法より高感度に糖鎖を検出できる。(キットも市販されている。) 5-1 使用する機器や器具 1と同じ 5-2 使用する薬品類 ・ブロッキングバッファー 10mM Tris-HCl と7.4+0.15M NaCl+0.05% Tween20 ・10mM過ヨウ素酸水溶液 ・ビオチンヒドラジド溶液 25お/た(DMSOなど溶媒で1か/た溶液を調製し,希釈して使用する) ・0.1M水酸化ナトリウム水溶液 ・HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識アビジン溶液 1お/た ・PBS ・HRP発色試薬(PODイムノステインキット(和光純薬工業株式会社)など) 5-3 操作 1.電気泳動,ブロッティング終了後,膜をブロッキングバッファーで10分ずつ3回洗浄する。 2.膜を0.5%過ヨウ素酸水溶液に浸し,10分間緩く撹拌する。 3.膜をPBSで10分ずつ3回洗浄する。 4.膜を0.1M水酸化ナトリウム水溶液で希釈したビオチンヒドラジド溶液(25お/た)に浸し,30分間緩く撹拌する。 5.膜をブロッキングバッファーで10分ずつ3回洗浄する。 6.膜をブロッキングバッファーで調製したHRP標識アビジン溶液(1お/た)に浸し,15分間緩く撹拌する。 7.膜をブロッキングバッファーで10分ずつ3回洗浄する。 8.HRP発色試薬で発色 5-4 分析例 Lane 1: 2: 3: 4: 5: 5-5 Transferrin (human) 500ぉ Ovalbumin 500ぉ Fetuin 500ぉ α1-acid glycoprotein 500ぉ Immunoglobulin G (human) 500ぉ 判断ポイント ・いずれも,染色されたバンドは,糖タンパク質であると推測できる。 <糖鎖の非還元末端ヘキソースの過ヨウ素酸酸化の原理> 技 術 情 報 本稿をご提供い た だ き ま し た 株 式 会 社 J -オ イ ル ミ ル ズ の 皆 様 に 心 よ り 感 謝 申 し 上 げ ま す 。 147
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