平成２６年度事業計画 Ⅰ 基本方針平成 26年度政府予算案による国土交通省関連の公共事業関係費は、５兆 3,518 億円となり、 25年度５兆 2,496億円と比し、 1,022億円 (1.9％ )増となっております。一方、岐阜県の予算における公共事業を含む普通建設事業費は、平成 26年度 1, 146億円となり、平成 25年度 1,175億円と比し、 29億円 (2.5％ )減となっておりますが、県土整備部関連予算で見ますと、726億円 (1.2％ )増となっております。なかでも、「東海環状自動車道西回り区間・ ICアクセス道路の整備」の 150億円、「幹線道路等の整備」の 296億円など公共投資を含む大型プロジェクト関連において大きく増加しております。また、「社会資本の計画的な維持管理の実施」についても、平成 26年度は 161億円であり、平成 25年度の 47億円と比し大幅に増加しております。このような中で、建設行政に対する社会的ニーズは多様化し、公共事業の適正化及びコスト縮減、社会基盤施設の長寿命化による維持管理を含めたトータルコストの削減、電子化による維持管理の効率化などが求められています。当センターは平成 25年４月１日より「公益財団法人」に移行しました。市町村の公共事業発注者支援機関として当センターは、新たにセンターの行動指針を制定し一層の顧客サービスの向上を図ってまいります。センターの行動指針・高度な技術・丁寧な対応・確かな信頼平成 26年度は、新たに「岐阜支所（仮称）」をふれあい福寿会館内に開設し、公益財団法人としてより公益性の高い事業の推進に努めてまいります。主な事業は次のとおりです。１２３相談業務の実施（「何でも相談窓口」の設置、市町村を訪問しながら建設行政全般の支援）設計・積算、施工管理事業（下水道・一般土木等）の効率的実施ＧＩＳシステム運営事業（よりよい操作環境の実現を目指した基幹システムの更新）４５６７ＧＩＳを活用した公共施設の台帳整備事業の拡充自主研究事業の実施（土木施設等の維持管理手法の研究）土木事業等啓発事業の実施（小中学生を対象に土木施設見学、総合学習）県、市町村職員研修の拡充（ＣＡＤ研修、測量実務研修、橋梁点検研修など実践的な実務研修）８９災害が発生した場合の災害調査、災害査定対応、災害復旧などの業務「東日本大震災」の復旧復興支援のため、福島県への遠隔地積算業務 Ⅱ 事業計画【公益目的事業】（定款第３条の目的）建設事業に関する調査研究、建設技術者の人材育成のための研修を実施するとともに、岐阜県及び県内市町村等の建設行政の適正かつ効率的な執行を総合的に支援することにより、県民の福祉の向上に寄与することを目的とした事業 1 調査研究研修事業県民の安全・安心な生活と県内外の経済の発展に寄与するため、土木施設等の適切な維持管理手法の調査研究事業、安全・安心で快適な生活を支える公共土木施設の啓発事業、県・市町村の公共土木施設の建設・維持に関わる職員や民間の建設事業に従事する従業員を対象とした専門的な知識・技術等の研修等、ソフト面から建設行政を支援します。（１）調査研究事業公共工事の品質確保、アセットマネジメント、コスト縮減、環境保全、災害対策等の社会的ニーズに対応した研究や社会資本整備のための技術開発に関する研究、建設業界全般の技術力の向上・活性化に関する研究等を行います。平成 26 年度研究テーマア県域統合型ＧＩＳの活用方法に関する調査研究（継続）イコンクリート構造物の簡易健康診断手法の検討（継続）ウ清流の国ぎふを創出する自然環境の保全に関する調査研究（継続）エ地域ＩＣＴ利活用広域連携事業（継続）オ舗装の維持管理手法の検討（新規）（２）土木事業等啓発事業建設産業や土木施設が、いかに生活に密着し、安全・安心、快適性、防災の面で地域社会に貢献しているかを将来を担う子供たちに正しく認識・理解してもらうことを目的として次の事業を行います。ア土木施設親子見学会の開催イ中学生を対象とした総合学習支援（３）建設職員研修事業県内の建設行政及び建設事業に携わる建設技術者の専門的知識や技術力の向上を図るため、県・市町村の建設技術職員を対象とした「専門研修」と、県・市町村及び民間建設事業者の建設技術職員を対象とした「特別研修」を、岐阜県及び関連団体と連携して実施します。（４）建設業再生支援対策事業県の建設業再生支援対策の一環として「技術と経営に優れた企業への成長」､「ヒトづくり」､「他業種への参入」など建設産業の再生・活性化を支援する事業を行います。社会資本整備やその維持管理のレベル向上、さらには地域経済の発展･活性化が図られことを目的として、経営者を対象とした「経営力向上セミナー」や実務の向上を目指した「技術力向上セミナー」「 IT 研修」などの階層別プログラムを設定し県と協働で事業を行います。（５）自然の水辺復活プロジェクト事業岐阜県では、自然に富んだ水辺環境の復元、保全を図り、次世代にすばらしい環境を引き継ぐために「モノづくり」「人づくり」「現場での研究」「産学民官協働」という施策をとおして岐阜県下の自然環境の創出や保全を効果的に進めていこうとする『自然の水辺復活プロジェクト』に取り組んでいます。当センターでは、当該プロジェクトのうち、自然共生工法を研究するため産学民官協働で活動している「岐阜県自然共生工法研究会」を運営する事業と、建設事業において自然共生を実践できる人材を広く育成するための自然工法管理士養成講習会を開催し、岐阜県自然工法管理士認定に関する事業を行います。２建設事業総合支援事業公共工事の品質確保の促進に関する法律（以下「品確法」という。）の施行に伴い、県及び市町村は、社会基盤の整備・維持の全ての過程で発注者責任を果たす対応が求められています。当センターは、発注者の立場となって中立性、公平性、守秘性を保持し、業務を行うとともに、業務を通して相談・助言・提言・支援等を行い発注者の資質の向上を図ります。その他、建設資材の試験、公共施設の維持管理等を行います。（１）行政相談支援事業建設行政が適正に執行され、より良いインフラ整備が進むよう各種の課題に対して、相談・助言・提言・支援等を行うとともに、自治体そのものがレベルアップし、良質なインフラ整備が推進される環境づくりを行います。ア総合支援事業公共工事発注者支援機関として、県及び市町村の公共事業の円滑な推進のため、計画策定から課題の整理、発注準備、入札・契約、施工管理・監督検査、事業評価の各段階で総合的に支援を行います。イ総合評価支援事業公共工事の品質の低下など公共工事の入札・契約方法が課題となっているなか、平成 19年 11月に公共事業の円滑な実施を目的として県と全市町村で「公共事業執行共同化協議会」が設立されました。協議会では、「品確法」で求められている落札者の決定に価格以外の施工能力や企業能力等の要素を加味した総合評価による発注方式を実施する上で必要な学識者等の意見を聴く場として「総合評価共同審査会」を設置しており、この審査会の運営実務機関として市町村の支援を行います。（総合評価共同審査会の運営内容） ○ 総合評価落札方式に係る意見聴取 ○ 総合評価共同審査会の開催・平成 26年度予定（審査会形式 14回／年）相談支援当センター本部及びインターネットのＨＰ上に「何でも相談窓口」を設けて、行政実務面から技術面まで建設行政・建設事業全般に係る相談を受け付け、総合的なアドバイスを行います。特に高度な技術的な判断を必要とする事案については学識経験者の意見を聴き、助言・支援を行います。さらに重要なインフラである橋梁の多くが耐用年数を過ぎ、急速な老朽化が進んでおり、当センターでは、橋梁の劣化や損傷が見つかった時のために「橋梁緊急相談室」を設置し、学識経験者や専門家と連携して早急に現地確認を行い対応策の提言・助言等をする支援を無償で行います。ウ災害支援事業災害は突発的に発生するため県及び市町村（特に財政規模の小さい町村）においては、災害発生直後の被災状況調査、応急工事の設計等緊急を要する事案にタイムリーに対応しきれないことが多くあります。当センターでは災害発生時の対応、災害復旧工法の検討・設計、災害査定へ向けての準備、以後の復旧工事、災害独特の事務処理等について業務を代行したり、助言・支援や研修等を行い確実な事業執行ができるよう支援します。エアセットマネジメント支援事業公共の基盤整備は、スクラップ＆ビルドから再生重視への転換期となっております。耐用年数を経て更新期を迎えたインフラの多くは住民ニーズや財政的制約から、修繕し延命処置をすることが必要とされています。このような事態に対応するため、市町村担当者の維持管理に関する意識の改善・向上に資するようアセットマネジメントの重要性を提言・助言を行います。更新期を迎えるインフラは橋梁、舗装、下水道などが有り、現在、市町村は橋梁を対象とした橋梁長寿命化修繕計画の策定を行っております。この修繕計画策定に当たっては、当センターが事務局をつとめる「岐阜県市町村橋梁長寿命化修繕計画検討委員会」において学識経験者や橋梁のエキスパートが計画の妥当性について助言・提言・支援等を行います。また、全市町村が平成 25 年度で橋梁長寿命化計画の策定を完了し、今後は「定期点検」、「計画の見直し」を繰り返すことになります。そのため、定期点検としての予備点検（簡易点検）及び計画修正に係る支援を行います。その他の公共施設については、明確な維持管理基本方針・維持管理マニュアルが定まっていない施設もあるため、これらの策定段階から支援を行います。オ（２）試験事業県内唯一のアスファルト混合物試験の公的機関として、アスファルト舗装道路の品質確保による県民の安全･安心な生活をめざして、次の２種類の試験を行います。アアスファルト混合物事前審査制度に基づき実施している合材の基準・配合試験イアスファルト舗装工事の現場施工状況を確認するために行う現場密度測定試験（３）施設管理事業公共土木施設の管理状況を現地巡視により確認する業務であり、異常があれば直ちに管理者へ通報するとともに現地で臨機の対応をとることになっています。当センターでは維持管理に知識のある資格者（道路管理支援士）が業務にあたり、当センターが実証試験を重ねて開発した「道路パトロール管理システム」を活用し、報告書を作成するとともに、蓄積したデータを分析することにより、道路状況の把握、今後の効果的な補修計画の策定を可能とする支援を行います。３建設 ICT 総合支援事業建設事業など行政事務の各段階で取り扱う膨大なデータを、ＩＣＴ（情報通信技術）の活用により処理・保管・共有し、事務の効率を高めるとともに住民サービスの向上を図ります。（１）入札参加資格審査事業発注者支援機関である当センターは、「岐阜県・市町村共同入札参加資格審査機関」として、岐阜県入札参加資格審査システムを利用し、建設工事業者、測量・建設コンサルタント業者及び森林整備業者からの入札参加資格に関する申請内容を審査し、各自治体に情報提供を行います。平成 26 年度からは岐阜県及び県下 42 の全市町村を対象に行うことになります。（２）積算システム運用事業県は建設工事発注に使用する工事設計積算システムを市町村へ無償で提供しており、市町村等への配布と維持管理を行う幹事団体として当センターを指定しました。当センターでは歩掛・単価の保守、システムの保守、システムへの問い合わせ対応等の業務を行います。また、同システムをベースとした「上水道積算システム」を当センター独自で開発し、市町村への提供も行います。平成 25 年度より運用を開始した「施工パッケージ型積算方式」は今後、対象工種が拡大される見込みです。そのため、市町村におけるスムーズな運用を支援します。（３）ＧＩＳ事業岐阜県域統合型ＧＩＳ（以下「県域統合型ＧＩＳ」という）とは、行政機関における地図データの重複整備防止やデータの相互利用を推進し、行政事務の効率化とコストダウン、住民サービスの向上を目的として稼働している地理情報システムです。当センター内に岐阜県のＧＩＳセンター機能を担い、県域統合型ＧＩＳ推進の中核となる「岐阜県ふるさと地理情報センター」を設置し、システムの開発・運用を行います。この地図は、県が作成し 1000 分の１の精度を持つ道路台帳附図及び 5000 分の 1 の精度を持つ森林基本図、市町村が作成し 2500 分の１の精度を持つ都市計画図を基に調製されており、インターネット上で無料利用出来る地図に比べ、特に県土の大部分を占める山間部において数段上の精度を持っています。現在、この地図を活用して県及び市町村が庁内における各種施策検討を行っているほか、橋梁や照明灯等の施設管理台帳システムの整備、自治会単位で詳細な避難経路等が表示できる防災ハザードマップ、暮らしに必要な福祉・健康・医療・子育てに関する情報、公共施設の所在地や観光案内などといった住民向けの情報提供が行われており、誰もが必要なときに利用できます。アＧＩＳ運営事業県域統合型ＧＩＳシステムについて、より使いやすい操作画面、レスポンスの向上や必要機能の追加、維持管理コストの削減をめざし、次世代システムへの更新を進めます。また、県内自治体における地理空間情報利活用の一層の推進を図るため県内外の活用事例等を紹介する「Ｇ空間セミナー２０１５（仮称）」を開催します。イ品質検証事業県域統合型ＧＩＳシステムで利用者が共通に使用する岐阜県共有空間データの品質検定を行い、地図データの精度向上を図ります。また、国土地理院が実施する基本測量成果、及び市町村が整備し共有空間データの原典図となる都市計画図など公共測量成果の品質検定も併せて実施します。（４）施設台帳等管理システム事業県域統合型ＧＩＳを利用して構築した各種システムを県や市町村に提供し、道路や上下水道など土木施設の維持管理事務の効率化や機能向上、行政サービスの向上等を図っております。現在、県が管理する道路、河川及び砂防施設を対象とした施設台帳管理システム、市町村が管理する道路や上下水道、橋梁等の管理、住民等からの通報への対応状況管理などの機能をひとまとめにしたセンターオフィスパッケージ（ Center Office Package）の開発と提供、土砂災害ハザードマップ作成や交通事故調査等住民の安全な生活につながる業務、県が進める建設ＣＡＬＳの電子納品管理システムを運用する業務等を行います。【収益事業等】良好な建設技術の提供による社会資本整備に伴う設計及び各種調査等事業１設計等事業公共土木施設整備に関する工程の中で『設計』とそれに付随した調査、測量、資料収集等の業務を行います。