船舶職員及び小型船舶操縦者法 (昭和26年4月16日法律第149号) (最終改正:平成18年3月31日法律第10号) 1.目的 【目的】 第一条 この法律は、船舶職員として船舶に乗り組ませるべき者の資格並びに小型船舶操 縦者として小型船舶に乗船させるべき者の資格及び遵守事項等を定め、もつて船舶の航行の 安全を図ることを目的とする。 船舶職員及び小型船舶操縦者法は、船舶の大きさや機関の出力等により、乗り組むべき船舶 職員の資格や員数を定めるとともに、小型船舶操縦者として小型船舶に乗船させるべき者の資 格及び遵守事項等を定めることにより、船舶の航行の安全を図ることを目的としている。船舶 職員及び小型船舶操縦者法に関する事務は、国土交通大臣が管轄する。 【定義】 第二条 この法律において「船舶」とは、第二十九条の三に規定する場合を除き、日本船 舶(船舶法 (明治三十二年法律第四十六号)第一条 に規定する日本船舶をいう。以下同 じ。)、日本船舶を所有することができる者が借り入れた日本船舶以外の船舶(国土交通省 令で定めるものを除く。)又は本邦の各港間若しくは湖、川若しくは港のみを航行する日本 船舶以外の船舶であつて、次に掲げる船舶以外のものをいう。 一 ろかいのみをもつて運転する舟 二 係留船その他国土交通省令で定める船舶 2 この法律において「船舶職員」とは、船舶において、船長の職務を行う者(小型船舶 操縦者を除く。)並びに航海士、機関長、機関士、通信長及び通信士の職務を行う者をい う。 3 前項の船舶職員には、運航士(船舶の設備その他の事項に関し国土交通省令で定める 基準に適合する船舶において次の各号の一に掲げる職務を行う者をいう。)を含むものとす る。 一 航海士の行う船舶の運航に関する職務のうち政令で定めるもののみを行う職務 二 機関士の行う機関の運転に関する職務のうち政令で定めるもののみを行う職務 三 前二号に掲げる職務を併せ行う職務 四 航海士の職務及び第二号に掲げる職務を併せ行う職務 五 機関士の職務及び第一号に掲げる職務を併せ行う職務 4 この法律において「小型船舶操縦者」とは、小型船舶(総トン数二十トン未満の船舶 及び一人で操縦を行う構造の船舶であつてその運航及び機関の運転に関する業務の内容が総 トン数二十トン未満の船舶と同等であるものとして国土交通省令で定める総トン数二十トン 以上の船舶をいう。以下同じ。)の船長をいう。 5 この法律において「海技士」とは、第四条の規定による海技免許を受けた者をいう。 6 この法律において「小型船舶操縦士」とは、第二十三条の二の規定による操縦免許を 受けた者をいう。 2.適用船舶 船舶職員及び小型船舶操縦者法は、次の船舶に適用される。 ① 日本船舶(船舶法第1条に規定する日本船舶) ② 日本船舶を所有することができる者が借入れた日本船舶以外の船舶 ③ 日本の各港間もしくは湖、川もしくは港のみを航行する日本船舶以外の船舶 ただし、上記の船舶であっても、次の船舶は除かれる。 1. ろかいのみをもって運転する舟 2. 長さが1.5m未満であり、推進機関の出力が2馬力(連続最大出力)未満である船舶 であって、国土交通大臣に指定されたもの 3. 係留船、被曳はしけその他これに準ずる船舶 4. 国土交通大臣が指定する水域のみを航行する船舶 (例として大規模遊園地内にある人工池内のみを航行する小型の舟等がある。) - 1 - したがって、小型船といえども、通常、推進機関を有するまたは取り付けて航行することがで きる船舶には、船舶職員及び小型船舶操縦者法が、適用されることとなる。 3.船舶の海技従事者と船舶職員 ①「海技従事者」とは、国土交通大臣よりその資格と能力があるものとして、免許を 受けた者をいい、現に船舶に乗り込んで職務をとっていると否とに関係しない。 ②「船舶職員」とは、海技従事者の免許をもっていて、船舶に乗り組み、現に次のよ うな職務を行う者である。 1.船長、2.航海士、3.機関長、4.機関士、5.通信長、6.通信士 「運航士」とは、一定の基準に適合する船舶において、次の職務を行うものを言い い、船舶職員に含まれる。 イ. 航海士の行う船舶の運航に関する職務のうち政令で定めるもののみを行う職務 ロ. 機関士の行う機関の運転に関する職務のうち政令で定めるもののみを行う職務 ハ. 前二号に掲げる職務を併せ行う職務 ニ. 航海士の職務及び第二号に掲げる職務を併せ行う職務 ホ. 機関士の職務及び第一号に掲げる職務を併せ行う職務 ③海技士の免許(以下「海技免許」)及び小型船舶操縦者の免許(以下「操縦免許」)の種類 資格:終身資格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・海技免許・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 操縦免許 資格証明書:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・海技免状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 小型船舶操縦免許証 海技士(航海) 海技士(機関) 海技士(通信) 海技士(電子通信) 小型船舶操縦士 一級海技士(航海) 一級海技士(機関) 一級海技士(通信) 一級海技士(電子通信) 一級小型船舶操縦士 二級海技士(航海) 二級海技士(機関) 二級海技士(通信) 二級海技士(電子通信) 二級小型船舶操縦士 三級海技士(航海) 三級海技士(機関) 三級海技士(通信) 三級海技士(電子通信) 特殊小型船舶操縦士 四級海技士(航海) 四級海技士(機関) 五級海技士(航海) 五級海技士(機関) 六級海技士(航海) 六級海技士(機関) 四級海技士(電子通信) ○改正前の船舶職員法(以下「旧法」という。)第五条第一項第一号から第四号までに掲げる資 格(以下「旧海技資格」という。)に係る海技従事者の免許(以下「旧海技免許」という。) ○小型船舶操縦士の資格に係る海技従事者の免許(以下「旧操縦免許」という。) 海技従事者免許においては、同じ範躊の上級免許は下級免許の資格を包含しているの で、上級 免許の所持者は、下級免許の資格の船舶に船舶職員として乗船することができる。 ④限定免許 イ.「履歴限定」:海技士(航海)及び海技士(機関)に関し、船舶の大きさ、航行区域、推 進機関の出力に応じ、その職務を行うことの出来る船舶職員の職について限定するもの。 ロ.「船橋当直限定」:船舶運航に関す職務のうち、船橋当直の職務のみを行う職務に限 定するもの。 ハ.「機関当直限定」:機関運転に関す職務のうち、機関当直の職務のみを行う職務に限 定するもの。 ニ.「機関限定」:海技士(機関)に関し、船舶の機関の種類について限定するもの。 ホ.「設備限定」:小型船舶操縦士に関し、身体の障害等に応じ、操舵設備その他の設備 について、限定するもの。 ヘ.「区域出力限定」:小型船舶操縦士に関し、身体の障害等に応じ、航行する区域及び 推進機関の出力について限定するもの。 - 2 - 4.海技免許を与えない場合 第六条 次の各号のいずれかに該当する者には、海技免許を与えない。 一 十八歳に満たない者 二 海難審判法 (昭和二十二年法律第百三十五号)第四条第二項 の裁決により海技免 許、第二十三条第一項の承認又は第二十三条の二の規定による操縦免許を取り消され、取消 しの日から五年を経過しない者 三 第十条第一項(第二十三条第七項において準用する場合を含む。次項において同 じ。)又は第二十三条の七第一項の規定により海技免許、第二十三条第一項の承認又は第二 十三条の二の規定による操縦免許を取り消され、取消しの日から五年を経過しない者 2 第十条第一項若しくは第二十三条の七第一項の規定又は海難審判法第四条第二項 の裁 決により業務の停止の処分を受けた者には、その業務の停止の期間中は、海技免許を与えな い。 つぎのいずれかに該当するものは、海技免許が与えられない。 ① 18歳に満たない者 ② 海難審判法の裁決により、海技免許・操縦免許を取り消された者 ③ 船舶職員及び小型船舶操縦者法により、免許を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者 ④ 船舶職員及び小型船舶操縦者法または海難審判法により、業務の停止の処分を受け、その 業務の停止期間を満了しない者 5.海技免許の登録と海技免状の交付 第七条 国土交通大臣は、海技免許を与えたときは、海技士免許原簿に登録し、かつ、海 技免状を交付しなければならない。 2 海技士免許原簿は、国土交通省に備える。 6.海技免状の有効期間 第七条の二 海技免状の有効期間は、五年とする。 2 前項の有効期間は、その満了の際、申請により更新することができる。 3 国土交通大臣は、前項の規定による海技免状の有効期間の更新の申請があつた場合に は、その者が国土交通省令で定める身体適性に関する基準を満たし、かつ、次の各号の いずれかに該当する者であると認めるときでなければ、海技免状の有効期間の更新をし てはならない。 一 国土交通省令で定める乗船履歴を有する者 二 国土交通大臣が、その者の業務に関する経験を考慮して、前号に掲げる者と同等以 上の知識及び経験を有すると認定した者 三 その資格に応じ海難防止その他の船舶職員としての職務を行うに当たり必要な事項 に関する最新の知識及び能力を習得させるための講習(以下「海技免状更新講習」 という。)であつて第十七条の十六及び第十七条の十七において準用する第十七条 の二の規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(以下「登録海技免状更新講 習」という。)の課程を修了した者 4 海技士(通信)又は海技士(電子通信)に係る海技免状は、第一項の有効期間内であ つても、電波法 (昭和二十五年法律第百三十一号)第四十八条の二 の規定による船 舶局無線従事者証明(以下「船舶局証明」という。)が同法第四十八条の三 の規定に より効力を失つたときは、その効力を失う。 5 海技免状の有効期間の更新及び海技免状が効力を失つた場合における海技免状の再交 付に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。 ア.有効期間:すべての海技免状の有効期間は、5年である。 8.海技免許の失効 第八条 海技士が上級の資格についての海技免許を受けたとき、又は船橋当直限定若しく は機関当直限定若しくは機関限定をした海技免許を受けた者が同一の資格についての限定を しない海技免許を受けたときは、下級の資格についての海技免許又は船橋当直限定若しくは 機関当直限定若しくは機関限定をした海技免許は、その効力を失う。ただし、船橋当直限定 若しくは機関当直限定又は機関限定をしない海技免許を受けた者が、上級の資格についての 海技免許で船橋当直限定若しくは機関当直限定又は機関限定をしたものを受けたときは、こ の限りでない。 2 海技士(通信)又は海技士(電子通信)に係る海技免許は、電波法第四十一条の規定 による無線従事者の免許又は船舶局証明が取り消されたときは、その効力を失う。 イ.失効:次の場合、海技免状は失効する。 ① 有効期間内に更新しないとき ② 同じ範躊である上級の資格について免許を受けたときの下級の海技免許 ウ.更新 - 3 - ア)有効期間の満了の1年前より満了する日までに、申請により、更新することができる。 イ)更新の条件……次のA項とB項の条件を充足する必要がある。 A:身体適性の基準を満たしていること。 具体的には、身体検査基準別表第三「乙種」に合格すること。 B:次のいずれかを充足すること 1.乗船履歴を有すること。 小型船舶操縦士の資格……小型船の船長として1月以上の乗船履歴 海技士(航海)の資格……総トン数20トン以上の船舶の船長または航海士 として1年以上の乗船履歴 海技士(機関)の資格……総トン数20トン以上の船舶の機関長又は機関士 として1年以上の乗船履歴 2.国土交通大臣が、業務の経験を考慮し、上記の乗船履歴と同等の知識及び経験を 有すると認めた者(例、各種船舶職員養成機関の教員、海上保安官、海事に関す る国土交通省の専門職員等) 3.免状更新講習の課程を修了した者 有効期間の更新の申請をする日以前の3カ月以内に修了した者でなければならない。 注)有効期間の更新手続きを忘れて、有効期間が過ぎ免状が失効したときは、免状更新講 習に代えて別に行われる「海技免状失効者講習」の課程を修了しなければならない。 9.海技免許の取消し等 第十条 国土交通大臣は、海技士が次の各号のいずれかに該当するときは、その海技免許 を取り消し、二年以内の期間を定めてその業務の停止を命じ、又はその者を戒告することが できる。ただし、これらの事由によつて発生した海難について海難審判庁が審判を開始した ときは、この限りでない。 一 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき。 二 船舶職員としての職務又は小型船舶操縦者としての業務を行うに当たり、海上衝突予 防法 (昭和五十二年法律第六十二号)その他の他の法令の規定に違反したとき。 2 国土交通大臣は、海技士が心身の障害により船舶職員の職務を適正に行うことができ ない者として国土交通省令で定めるものになつたと認めるときは、その海技免許を取り消す ことができる。 3 国土交通大臣は、前二項の規定により海技免許の取消しをしようとするときは、交通 政策審議会の意見を聴かなければならない。 10.船舶職員と免許 1)一般船舶の船舶職員と海技免許 例)(船舶職員及び小型船舶操縦者法施行令 別表) 遠洋区域を航行区域とする船舶および甲区域内において従事する漁船に対し (甲板部) 総トン数5,000トン以上の船舶 総トン数1,600トン以上5,000トン未満の船舶 船 長 一級海技士(航海) 船 長 二級海技士(航海) 一等航海士 二級海技士(航海) 一等航海士 二級海技士(航海) 二等航海士 三級海技士(航海) 二等航海士 三級海技士(航海) 三等航海士 三級海技士(航海) 三等航海士 四級海技士(航海) 総トン数500トン以上1,600トン未満の船舶 総トン数200トン以上500トン未満の船舶 船 長 二級海技士(航海) 船 長 三級海技士(航海) 一等航海士 三級海技士(航海) 一等航海士 四級海技士(航海) 二等航海士 四級海技士(航海) 二等航海士 五級海技士(航海) (機関部)推進機関の出力により区分されている。 出力6,000Kw以上の船舶 出力3,000Kw以上6,000Kw未満の船舶 機 関 長 一級海技士(機関) 機 関 長 二級海技士(機関) 一等機関士 二級海技士(機関) 一等機関士 二級海技士(機関) 二等機関士 三級海技士(機関) 二等機関士 三級海技士(機関) 三等機関士 三級海技士(機関) 三等機関士 四級海技士(機関) 出力1,500Kw以上3,000KwKW未満の船舶 出力750Kw以上1,500Kw未満の船舶 機 関 長 二級海技士(機関) 機 関 長 三級海技士(機関) 一等機関士 三級海技士(機関) 一等機関士 四級海技士(機関) 二等機関士 四級海技士(機関) 二等機関士 五級海技士(機関) 出力750Kw未満の推進機関を有する船舶 機 関 長 四級海技士(機関) 一等機関士 五級海技士(機関) - 4 - 2)小型船舶(総トン数20トン未満)においては、その大きさと航行区域により、それ ぞれ小型船舶操縦士として必要な資格が、次のように定められている。 現在の免許区分は、従来の1級から5級ま での5区分から、ボート・ヨット用の「1級」、 「2級」と水上オートバイ用の「特殊」の3 区分に再編されている。 2級には旧制度の湖川小馬力と同様の「湖 川小出力限定」の区分があり、エンジン出力 は、旧制度の10馬力未満から15Kw未満(約20 馬力)に拡大されている。 水上オートバイを操縦するためには、「特殊小型船舶操縦士」の操縦免許を所有しなければ ならない。1級・2級の操縦免許では操縦できない。 旧免許(平成15年5月31日以前)と新免許の対比は次のとおり。 20トン以上のプレジャーボートは、長さ24メートル未満のものまで1級または2級の操縦免 許で操縦できる。 ○特定操縦免許制度 (平成15年6月1日以降の新規免許取得者のみが対象となる) 旅客船や遊漁船など人の運送をする小型船舶の船長になる場合は、通常の試験(小型船舶士 操縦試験)の合格に加えて、小型船舶操縦者としての業務を行うに当たり必要となる海難発生 時における措置、救命設備等に関する「小型旅客安全講習」の受講が必要である。 ○小型船舶の範囲 「小型船舶」とは、総トン数20トン未満の船舶。但し、総トン数20トン以上のプレジャーボ ートで、次の全ての要件を満たしている場合には、小型船舶に含まれる。 ①一人で操縦を行う構造であるもの ②長さが24メートル未満であるもの ③スポーツ又はレクリエーションのみに用いられるもの(漁船や旅客船等の業務に用いら れないもの) また、次の要件の全てを満たすボートは、免許は不要である。 ①長さが3メートル未満であるもの(登録長) ※注:「登録長」は、概ね「船の全長×0.9」となる。 (なお、船型によって「登録長」の定義が異なるため、詳細は地方運輸局等に確認すること。) ②推進機関の出力が1.5kw(約2馬力)未満であるもの ③直ちにプロペラの回転を停止することができる機構を有する船舶 その他のプロペラによる人の身体の傷害を防止する機構を有する船舶 例)非常停止スイッチ、キルスイッチ、遠心クラッチ、中立ギア、プロペラガード等 →これにより、例えば、上記③の機構を有するエレキモーター(出力1.5kw未満に限る) のみを使用して3m未満の船を利用する場合には、免許は不要になる。 (※1.5kw未満のエレキモーターのみでも船の長さが3m以上である場合は免許が必要。) - 5 - 参考:旧区分(平成15年(2003年)5月31日以前) 船 舶 船舶職員 資 格 外洋小型船 (総トン数20トン未満) 航行区域 全ての水域(注) 船長 一級小型船舶操縦士 沿海小型船 (総トン数20トン未満) 船長 航行区域 沿海区域 海岸から20海里(約37km)以内の水域) 二級小型船舶操縦士 沿岸小型船 (総トン数5トン以上20トン未満) 船長 三級小型船舶操縦士 航行区域 海岸から5海里(約9km)以内 の水域及び平水区域(※) (※)平水区域:湖、川及び港内のほか、東京湾・大阪湾などの指定された水域 沿岸小型船(総トン数5トン未満) 船長 四級小型船舶操縦士 海岸小型船 船長 五級小型船舶操縦士 (総トン数5トン未満) 航行区域:湖川及び海岸から1海里(約1.8km)以内の水域 湖川小馬力小型船(総トン数5トン未満) 船長 (推進機関出力10馬力未満) 航行区域 湖川 湖川小馬力五級小型 船舶操縦士 (注) ○帆船以外の外洋小型船:沿海区域の境界からその外側80海里を超えて航行する時 ○帆船である外洋小型船:北緯60度線以南かつ南緯60度以北を航行する時 上記以外は、機関長として六級海技士(機関)以上の機関士の資格を有する者が乗り組む。 「海岸小型船」とは、近海区域又は遠洋区域航行区域とする小型船以外の総トン数5トン未満 の小型船であって、沿海区域のうち①湖川および②本州、北海道、四国、九州並びにこれらに 付属する島でその海岸が沿海区域に接するものの各海岸から1海里以内の水域(沿海区域以外 の水域を除く。)のみを航行するものをいう。 「沿岸小型船」とは、海岸小型船及び近海区域又は遠洋区域を航行区域とする小型船以外の小 型船であって、①平水区域および②本州、北海道、四国、九州並びにこれらに付属する島でそ の海岸が沿海区域に接するものの各海岸から5海里以内の水域(沿海区域以外の水域を除 く。)のみを航行するものをいう。 「沿海小型船」とは、海岸小型船、沿岸小型船及び近海区域又は遠洋区域を航行区域とする小 型船以外の小型船であって、沿海区域のみを航行するものをいう。 「外洋小型船」とは、海岸小型船、沿岸小型船及び沿海小型船の小型船をいう。 - 6 - 11.海技免状の携帯義務等 1)海技免状の携帯義務 海技従事者は、船舶職員として船舶に乗り組むときには、船内に海技免状を備え置か なければならない。 2)免許の取り消し等 次のいずれかに該当するときは、その者の海技免許を取り消し、または業務の停止(2 年以内)、あるいは戒告を受けることとなる。 ① 船舶職員及び小型船舶操縦者法および同法関連法規の規定に違反したとき ② 船舶職員として、職務上の非行があったとき ③ 心身の故障のため船舶職員として適しなくなったとき 3)海技免状の滅失等再交付 海技免状を滅失し、または棄損したときは、「海技免状再交付申請書」を地方運輸局に 提出し、海技免状の再交付を申請することができる。 再交付に必要な書類 ① 顛末書(用紙は自由、滅失・棄損した理由を書く) ⑥ 収入印紙 ② 戸籍抄本 1通 ③ 実印 ⑦ 納付書 ④ 印鑑証明 1通 ⑧ 写真票 ⑤ 写真(色黒写真、3.5cm×3.5cm)1枚 ⑨ 再交付申請書 4)乗船履歴(受験資格) 試験を受けようとする者は、試験の種類毎に定める乗船履歴を有さなければならない。 例)(施行規則別表第4) 一級海技士(航海) ◎総トン数5,000トン以上の沿海区域を航行区域とする船舶 総トン数1,600トン以上の近海区域を航行区域とする船舶 総トン数1,600トン以上の乙区域内において従事する漁船 総トン数500トン以上の甲区域内において従事する漁船 ◎二級海技士(航海)を所有し、3/O、2/Oとして従事・・・2年以上 二級海技士(航海)を所有し、Capt.、 C / Oとして従事・・・1年以上 ただし、学校卒業者に対しては、特例が設けられている。 (海技試験の受験資格) 則第24条 海技士(通信)及び海技士(電子通信)の資格についての海技試験は、試験開始期 日の前日までに十七歳九月に達する者でなければ、受けることができない。 2 海技試験は、試験開始期日の前日までに必要な乗船履歴を有する者でなければ、受けるこ とができない。ただし、第三十六条【(乗船履歴を要しない海技試験の学科試験)法第14条 第一項 ただし書の国土交通省令で定める学科試験は、第44条第一項及び第45条第一項(同 項第二号に係る部分に限る。)に規定する学科試験のうちの筆記試験とする。】に規定する 筆記試験を受ける場合は、この限りでない。 3 前項の乗船履歴には、試験開始期日の前5年以内のものが含まれていなければならない。 (学校卒業者に対する乗船履歴の特例) 則第26条 前条の規定にかかわらず、学校教育法第一条 の大学、高等専門学校、高等学校若 しくは中等教育学校であつて船舶の運航若しくは機関の運転に関する学術を教授するもの又は 水産大学校、海上保安大学校本科、海技大学校海技士科、海員学校本科、海員学校専修科、独 立行政法人水産大学校、独立行政法人海技大学校海技士科、独立行政法人海技大学校海上技術 科、独立行政法人海員学校本科、独立行政法人海員学校専修科若しくは独立行政法人海技教育 機構海技士教育科を卒業し、その課程(中等教育学校にあつては、後期課程に区分されたもの に限る。)において試験科目に直接関係のある教科単位を別表第六の単位数の欄に掲げる数修 得した者(海員学校本科を卒業した者にあつては昭和63年以後に卒業した者に、海員学校専修 科を卒業した者にあつては平成六年以後に卒業した者に限る。)が、同表の海技試験の種別の 欄に掲げる海技試験を受けようとするときは、同表の乗船履歴の欄に定める乗船履歴を有する ことをもつて足りる。 2 前項の乗船履歴は、最終卒業学校の課程中又は卒業後のものでなければならず、かつ、練 習船による実習は、30日以上連続したものでなければ乗船履歴として認めない。 - 7 - (乗船履歴として認めない履歴) 則第29条 次の各号のいずれかに該当する履歴は、乗船履歴として認めない。 一 15歳に達するまでの履歴 二 試験開始期日からさかのぼり、15年を超える前の履歴 三 主として船舶の運航、機関の運転又は船舶における無線電信若しくは無線電話による通信 に従事しない職務の履歴(三級海技士(通信)試験又は海技士(電子通信)の資格につい ての海技試験に対する乗船履歴の場合を除く。) ◎乗船期間の計算(則30条) ○乗船の日の翌日から起算し、末日は終了しないときでも1日として算入する。下船日を 算入して計算する。 ○月又は年で定める乗船期間は、暦に従って計算し、月又は年の始めから起算しないとき は、その期間は最後の月又は年における起算日に応答する日の前日をもって満了する。 ただし、最後の月又は年に応答日がないときは、その月の末日をもって満了する。 ○1か月に満たない乗船日数は、合算して30日になるときは1月とし、1年に満たない乗 船月数は、合算して12月になるときは1年とする。 注)練習船による実習は、30日以上連続したものでなければ乗船履歴として認めない。 (則26条2項) 12.海技試験 1)受験手続き ◎受験申請:海技従事者国家試験申請書に所定の書類を添えて、試験を受ける地を管轄す る地方運輸局(神戸は神戸海運監理部)を経由して国土交通大臣に提出する。 イ.写真 二葉 ロ.戸籍抄本若しくは戸籍記載事項証明書または住民票の写し ハ.海技従事者にあっては、海技免状の写し ニ.海技士(通信)の資格については、無線従事者免許書及び船舶局無線従事者証明書の写し ホ.指定する学校の卒業者または修了者については、卒業証明書の写しまたは修了証明書 の写しもしくは修了証明書、及び当該学校における修得単位証明書 ヘ.乗船履歴証明書 ト.指定された医師による、試験開始期日前6ヶ月以内に受けた予備身体検査証明書 チ.英語について、筆記試験に替わり口述試験を受けようとする者は、所定の英語講習課 程修了証明書 リ.身体検査の省略を受けようとする者は、身体検査甲種合格証明書または身体検査乙種 合格証明書 ヌ.筆記試験に合格した者にあっては、筆記試験合格証明書 ル.筆記試験の免除を受けようとする者は、当該試験科目に係る筆記試験科目免除証明書 ヲ.実技試験の免除を受けようとする者は、乗船履歴証明書 ワ.学科試験または実技試験の免除を受けようとする者は、船舶職員養成施設の発行する 修了証明書 ◎筆記試験合格の有効期間は、合格した日から15年である。 ただし、小型船舶操縦士に係る筆記試験合格の有効期間は、2年。 2)不正受験者の処分 ◎試験に関し不正行為があったときは、当該不正行為に関係あるものについて、その試験 を停止し、またはその合格を無効とすることが出来る。 ◎この場合において、その者について2年以内の期間を定めて試験を受けさせないことが出来る。 海技試験【実施】:試験は、資格別に行われる。 第十二条 海技試験は、国土交通大臣が第五条第一項各号に定める資格別(海技免許につ いて、船橋当直限定又は機関当直限定をする場合においては資格別かつ職務別、機関限定を する場合においては資格別かつ船舶の機関の種類別)に行う。 海技試験【内容】:試験は、①身体検査、②学科試験(筆記試験及び口述試験)が行われる。 学科試験は、身体検査に合格した者について、口述試験は、筆記試験に合格した者について行われる。 第十三条 海技試験は、船舶職員として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定する ことを目的として行う。 2 海技試験は、身体検査及び学科試験とする。 - 8 - 【小型船舶操縦士の場合】 (操縦試験の内容) 第二十三条の九 操縦試験は、小型船舶操縦者として必要な知識及び能力を有するかどう かを判定することを目的として行う。 2 操縦試験は、身体検査、学科試験及び実技試験とする。 3 操縦試験の内容は、小型船舶の航行の安全に配慮したできる限り簡素なものとするこ とを旨としなければならない。 海技試験【免除】 ①身体検査:身体検査基準(甲種)に合格した者は、1年以内の身体検査 身体検査基準(乙種)に合格した者は、3ヶ月以内の身体検査 ②筆記試験:船舶職員養成施設の課程を修了した者については、学科試験の全部又は一部が免除されている。 例)船舶職員養成施設 試験の種類 免除される試験 三級海技士(航海) 第一種養成施設 三級海技士(航海) 第二種養成施設 船橋当直三級海技士(航海) 筆記試験 **************************************************************** 四級海技士(航海) 第一種養成施設 四級海技士(航海) 筆記試験 **************************************************************** 五級海技士(航海) 第一種養成施設 五級海技士(航海) 筆記試験 **************************************************************** 三級海技士(機関) 三級海技士(機関) 第一種養成施設 機関当直三級海技士(機関) 第二種養成施設 内燃機関三級海技士(機関) 筆記試験 海技試験【免除】 第十三条の二 第十七条の十八及び第十七条の十九において準用する第十七条の二の規定 により国土交通大臣の登録を受けた船舶職員養成施設(以下「登録船舶職員養成施設」とい う。)の課程を修了した者については、国土交通省令で定めるところにより、学科試験の全 部又は一部を免除することができる。 2 第五条第一項各号に定める資格について海技試験を受ける者がそれぞれ当該資格より 下級の資格の海技士であつて国土交通省令で定める乗船履歴を有する者である場合には、国 土交通省令で定めるところにより、学科試験の全部又は一部を免除することができる。 3 海技士(機関)の資格について海技試験を受ける者がその受ける海技試験に係る資格 と同一の又はこれより上級の機関限定をした資格の海技士である場合には、国土交通省令で 定めるところにより、学科試験の一部を免除することができる。 4 六級海技士(航海)又は六級海技士(機関)の資格について海技試験を受ける者が小 型船舶操縦士である場合には、国土交通省令で定めるところにより、学科試験の一部を免除 することができる。 5 一級海技士(通信)、二級海技士(通信)、一級海技士(電子通信)、二級海技士 (電子通信)又は三級海技士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が五級海技士 (航海)又はこれより上級の資格の海技士である場合及び三級海技士(通信)又は四級海技 士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が六級海技士(航海)又はこれより上級 の資格の海技士である場合には、学科試験を免除する。 6 海技士(通信)の資格について海技試験を受ける者が海技士(電子通信)の資格の海 技士である場合(一級海技士(通信)又は二級海技士(通信)の資格について海技試験を受 ける者が四級海技士(電子通信)の資格の海技士である場合を除く。)及び四級海技士(電 子通信)の資格について海技試験を受ける者が二級海技士(通信)又は三級海技士(通信) の資格の海技士である場合には、学科試験を免除する。 7 一級海技士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が二級海技士(電子通 信)又は三級海技士(電子通信)の資格の海技士である場合及び二級海技士(電子通信)の 資格について海技試験を受ける者が三級海技士(電子通信)の資格の海技士である場合に は、学科試験を免除する。 操縦試験【免除】 【小型船舶操縦士の場合】 第二十三条の十 第二十三条の二十五及び第二十三条の二十六の規定により国土交通大臣 の登録を受けた小型船舶教習所(以下「登録小型船舶教習所」という。)の課程を修了した 者については、国土交通省令で定めるところにより、学科試験又は実技試験の全部又は一部 を免除することができる。 2 操縦試験を受ける者が六級海技士(航海)若しくは六級海技士(機関)又はこれらの 資格より上級の資格の海技士である場合には、国土交通省令で定めるところにより、学科試 験の一部を免除することができる。 3 一級小型船舶操縦士の資格について操縦試験を受ける者が技能限定をした一級小型船 - 9 - 舶操縦士又は二級小型船舶操縦士の資格の小型船舶操縦士である場合及び二級小型船舶操縦 士の資格について操縦試験を受ける者が技能限定をした二級小型船舶操縦士の資格の小型船 舶操縦士である場合には、国土交通省令で定めるところにより、学科試験又は実技試験の全 部又は一部を免除することができる。 4 一級小型船舶操縦士又は二級小型船舶操縦士の資格について操縦試験を受ける者が特 殊小型船舶操縦士の資格の小型船舶操縦士である場合及び特殊小型船舶操縦士の資格につい て操縦試験を受ける者が一級小型船舶操縦士又は二級小型船舶操縦士の資格の小型船舶操縦 士である場合には、国土交通省令で定めるところにより、学科試験の全部又は一部を免除す ることができる。 5 操縦試験を受ける者が国土交通省令で定める乗船履歴を有する者である場合には、国 土交通省令で定めるところにより、実技試験の全部又は一部を免除することができる。 海技試験-受験資格 第十四条 海技試験は、第五条第一項各号に定める資格別(海技免許について船橋当直限 定若しくは機関当直限定又は機関限定をする場合においては、資格別かつ職務別又は資格別 かつ船舶の機関の種類別)に、国土交通省令で定める乗船履歴を有する者でなければ、受け ることができない。ただし、国土交通省令で定める学科試験の一部については、この限りで ない。 2 外国政府の授与した船舶の運航又は機関の運転に関する資格証書を有する者であつ て、国土交通大臣の承認を受けた者は、前項の規定にかかわらず、国土交通大臣が相当と認 める資格について海技試験を受けることができる。 3 海技士(通信)又は海技士(電子通信)の資格についての海技試験は、第一項の規定 によるほか、国土交通省令で定める電波法第四十条 の資格について同法第四十一条 の免許 を受け、かつ、船舶局証明を受けた者でなければ、受けることができない。 操縦免許を与えない場合 第二十三条の四 次の各号のいずれかに該当する者には、操縦免許を与えない。 一 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める年齢に満たない者 イ 二級小型船舶操縦士(技能限定をする場合に限る。)及び特殊小型船舶操縦士 ロ その他の資格 18歳 二 第六条(海技免許を与えない場合)第一項第二号又は第三号に該当する者 16歳 13.雑則 1)海技免状の譲渡の禁止 海技従事者は、その受有する海技免状を他人に譲渡し、または貸与してはならない。 2)外国船舶の監督(PSC:Port State Control) イ わが国の港にある外国船舶であって定める船舶に対し、その乗組員が次の要件を満た しているかどうか、臨検することが出来る。 ① 1978年STCW条約締約国の船舶の乗組員が、その条約に適合する資格を有しているかどうか ② 1978年STCW条約未締約国の船舶の乗組員が、条約を締約した場合に必要となる資格 と同等の知識及び能力を有しているかどうか ロ 上記②の乗組員に対し、知識及び能力を有しているかどうか審査することが出来る。 ハ 外国船舶の乗組員がSTCW条約に定める要件に適合していない場合、その要件を満たす 乗組員を乗り組ますべきことを通告することが出来る。 ニ 上記ハにより、通告したにも拘らず、適合する乗組員を乗り組ませないときは、人命 財産海洋環境の保全の観点より、その船舶の航行の停止を命じ、または航行を差し止め ることが出来る。 ホ 上記ニについて、緊急に必要がある場合は、即時行うことが出来る。 - 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