第5回 JABEE 産業諮問評議会議事録 - JABEE

第5回 JABEE 産業諮問評議会議事録
開催日時
開催場所
出席者
議
平成17年5月12日(木)
経団連会館 902号室
別紙
13:30~15:00
題
1.開会および出席者紹介
2.会長挨拶および議長選任
3.議長挨拶 および 以後の進行
3-1 JABEEからの説明
3-2 自由討議
3-3 行政からの意見、感想等
4.挨拶
会議資料
資料1
資料2
資料3
資料4
吉川 弘之
金井 務
大橋
秀雄
第5回 JABEE 産業諮問評議会出席者リスト
自由討議の論点例(議事録本文に含む)
前回議事録(ホームページ参照)
技術者教育認定制度の普及と活用(ホームページ参照)
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資料1
第5回 JABEE 産業諮問評議会出席者リスト
産業諮問評議員
日立製作所
会長
金井 務
王子製紙
会長
大國 昌彦
経団連産学官連携推進部会長 味の素顧問
山野井 昭雄
日産自動車チーフ・テクノロジーオフィサー 大久保 宣夫
宇宙航空研究開発機構
執行役
稲田 伊彦
(立川 敬二理事長の代理)
東芝 研究開発センター
副所長
黒部 篤
(有信 睦弘常務の代理)
エンジニアリング振興協会
常務理事
宮川 秀眞
(広瀬 俊彦理事長の代理)
日本建設業団体連合会
常務理事
加藤 隆治
(平島 治会長の代理)
全国土地改良事業連合会
専務理事
佐藤 準
(梶木 又三名誉会長の代理)
関係官庁
文部科学省
文部科学省
経済産業省
経済産業省
専門教育課長
杉野
剛
基盤政策課長
大学連携推進課長
大学連携企画調整官
榊原
中西
市原
裕二
宏典
健介
日本技術者教育認定機構
会長
吉川 弘之
副会長
大橋 秀雄
認定・審査調整委員長
大中 逸雄
専務理事
福崎 弘
専務理事補佐(産業界担当)
福田 征孜
オブザーバー
磯川寛光(文部科学省)横内 稔(文部科学省基盤政策課)大熊玲子、
本間隆之(経済産業省)早川 智、花塚賀央(農業土木学会)石崎昭雄、
画星忠雄、三国良彦(JABEE)辻井伸一(日本経団連)
西原一仁(日刊建設通信新聞社)山本佳世子(日刊工業新聞)
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議 事 概 要
JABEE は平成13年度から認定を開始し、平成16年度の認定審査を終わったところである
が、認定プログラム数の総計は97教育機関で186プログラムに達した。修了生の累計は約
1万8千名で、修了生に対しては技術士一次試験が免除される。派遣審査員の数は昨年度約6
00名で、内約160名が産業界経験者であった。人材育成が益々重要になってくる中で、
JABEE は先駆的な仕事をなしえたと考えるが、人材を引き受ける産業界の声を反映していく
ことが益々重要になっている。2月8日に経団連ホールでシンポジウムを開催し、産と学が協
力して向上していく討論が行われたが、引き続いて今後の取組みを議論した。
JABEE 認定レベルについて
最低レベルの保証で、企業が期待する優秀な人材とは別であるとの誤解がある。高いレベルを
目指している大学に対しては、大学が公表している高いレベルを満足していることを審査する
ので、高いレベルの大学にも役立つ制度になっている。JABEE は高いレベルを更にスパイラ
ルアップする国際的システムであることを強調すべきである。
JABEE の成果の評価について
アウトカムとして、JABEE 修了が役立つかはっきりすれば企業としては JABEE を考え易い
が、メリットがあるか分かるには時間がかかる。修了生がどのように良くなったかが成果であ
る。5年経過したので、何らかの評価に取組むことが求められた。
伝統校が何故受けないか
東大は技術者教育ではなく理学重視の価値観を持っている。しかし、その価値観を明確にして
いないのが問題で、研究を重視するならするで、明確にして取組めば世界一になれるはずだ。
東大といえども卒業生は高度技術者として活躍する人が大多数である。東大と JABEE が正面
から話し合うことが求められた。
大学院外部認定への取組み
産業界から強く要望されている大学院外部認定に取組んでいるが、ヨーロッパと整合させる考
えで進めている。大学院外部認定の基準は叩き台的なものを作ったところであるが、専門職的
に国際的基準が必要な建築分野は別にして、その他の分野については多様性を尊重して、大ま
かにしている。
技術士の評価について
企業内での評価は、技術士についても博士についても進んでいない、企業内では資格より能力
が重視される。技術士の試験制度が知識に偏っていて、JABEE で云うような能力を見ていな
い。技術士に対する評価の改善につながることが期待されている。
人材育成の国際競争力
企業では国際比較をせざるを得ないが、問題解決能力が劣ると云われ、国際的に通用する技術
者教育の認定制度を作った。WA に加盟するので益々加速しなければならない。
JABEE の認知度向上
就職の履歴書に JABEE 認定プログラム修了を Yes/No で記載するといいので、産業界に協力
していただき具体化を進める。
3
議
議事
事
録
1.開会および出席者紹介
(JABEE 副会長大橋秀雄より、産業諮問評議員ならびに本日ご出席の皆様にお礼を申し上げ
るとともに出席者の紹介を行った。
)
議事
2.会長挨拶および評議会議長選任
(JABEE 会長吉川弘之より挨拶に続き評議会議長の委嘱があった。)
人材育成の重要性は強く云われ、総合科学技術会議の基本計画の中でも人材育成が大きく盛り
込まれた。基礎研究の推進と人材育成を二つの柱にしようと云うことで、人材なしには国は立
ち行かないことの再認識をしたといえる。しかしそのような認識にかかわらず、学力について
は初等、中等教育など順調とは云えない状況にある。大学は国立大学の独立法人化により多様
な関係の中で改善してゆく準備が整った。これまでのように国が一つの方針を立ててそれに従
って皆が付いて行く時代は終わり、多様な努力のなかで潜在的な力を発揮していく時代がきた。
その中で JABEE は大学教育の質の向上を狙って、大学人、現場の教師たちが考え、計画し、
引っ張ってきた取り組みであるが、産業界と行政の多大なご支援がなければなし得なかったこ
とである。わが国の流れの中で、先駆的な仕事をなしえたのではないかと考え、益々発展させ
て行きたいと願っている。人材を引き受ける産業界の声を反映していくことが益々重要になっ
ている。その意味で産業諮問評議会の役割が大きく、ご意見をいただきたい。
議事
3.議長挨拶および以後の進行
(議長を委嘱された金井議長により進行した。
)
大学と産業界と JABEE の関係、あるいは文部省との関係がすっきりしていないためか、進歩
が遅い。小野田さんはじめ皆さんが努力され、認定プログラム数は増えているが、産業界の感
想としては実際に関係してくるところが少ない。その辺のものの考え方からはじめて、JABEE
をどのように発展させていくべきかご議論をいただきたいとおもいます。
議事
3-1JABEE からの説明
(JABEE 認定・審査調整委員会 大中逸雄委員長から、資料4に従って説明がなされた。)
自立した技術者教育を目指しているが、ひとつの評価尺度として技術士の数があるが、日本は
約5万人で、欧米に比べて少ない。JABEE 認定プログラムを修了すると技術士1次試験が免
除される。認定プログラム数は97教育機関で186プログラム、修了生の累計は約1万8千
名になった。派遣審査員の数は昨年度で約600名で、内約160名が産業界からであった。
従来の教育では知識中心であったが、技術者倫理、コミュニケーション能力、デザイン能力を
重視している。デザイン能力とは問題設定能力、構想力、創造性などを発揮して製品開発など
ができる能力で、世界的に技術者教育の中で重視されるようになっている。産業界から強く要
望されている大学院外部認定に取組んでいるが、ヨーロッパと整合させる考えで進めている。
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議事
3-2自由討議
自由な討議をお願いする参考として、最近 JABEE で問題にしている論点を大橋 JABEE 副会
長が紹介した。(資料2)
1.
JABEE の普及と活用
2月8日に経団連ホールでシンポジウムを開催した。JABEE により産と学が協力して
向上していく空間ができた。外国の学生より基礎学力が不足、問題提起型が望まれる、
修士が増えて優秀の実感がない。伝統校へ働きかけること、修士課程の認定に取組む
こと、など要望された。企業は就職面談で JABEE 修了について質問する。討論会が
たびたび開かれることを期待。
2.
認定制度の導入による大学院改革の促進
ヨーロッパでは、技術者教育は5年間を標準にして、単位互換が可能な学部教育(3
年間)と修士教育(2年間)からなる2サイクル教育システムを確立し、2010年
までにヨーロッパの共通化を実現する計画で、ロシア、東欧を含め40カ国が参加し
ている。
大学教育への期待が高まる中で、産業界の強い要望を受けて、JABEE は、国際的に通
用するものとすべく、先行的に推進する必要がある。
3.
わが国に期待される国際的役割
WA への正式加盟が決まると、JABEE は新たな段階に入る。アジア各国はいずれも、
アメリカ型の学部認定とヨーロッパ型の修士を含めた技術者教育の両方をみながら、
国際競争力の源泉となる技術者教育に取組もうとしている。わが国はアジアの模範と
なる役割を果たさなければならない。それには、産と学の協力による強みの発揮が期
待される。
4.
学会活動への期待
工学教育から技術者教育へ意識を転換し、産と学が協力する活動の強化が求められる。
特に大学院修士での高度技術者教育は産業界の期待が強いが、学会が国際的動向を把
握して教育に反映させる役割を果たすべきである。
JABEE 認定レベルについて
金井議長から JABEE の認定レベルはいかなるものか、最低レベルとの誤解がある、との指摘
があった。
大中 JABEE 委員長から、国際的に通用する最低水準、あるいは技術士一次試験を免除でき
るレベルでなければならないのでチェックするが、それが最低レベルとの誤解になっているよ
うだ。高いレベルを目指している大学に対しては、大学が公表している高いレベルを満足して
いることを審査するので、高いレベルの大学にも役立つ制度になっている。合格レベルは書き
ものにできないが、JABEE の審査員は試験問題や答案を見て判断できる。
山野井委員から、2年後に中間審査をして改善を確かめている例が多いので、JABEE も進
化しているとの感想が述べられた。
大国委員から、JABEE が認定するのは学科と同じか、高専も一緒か、と質問があり、高専
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は専攻科が学位認定の対象になるので、JABEE の認定対象になっていることを説明した。
大学でも学科全体ではなく、学科の中にコースを作ってレベルを維持している例が多く、レベ
ルが高くないと認定されないことを説明した。
(最低レベルの保証で、企業が期待する優秀な人材とは別であるとの誤解がある。JABEE
は高いレベルを更にスパイラルアップする国際的システムであることを強調すべきであ
る。)
JABEE の成果の評価について
山野井委員から、経団連企業33社では、新入社員の85%が修士卒であるが、入社試験のと
き企業からは JABEE 修了を問う質問をしていないし、大学も願書に書いていないから、判断
できない状況にある。アウトカムとして、JABEE 修了が役立つかはっきりすれば企業として
は JABEE を考え易いが、メリットがあるか分かるには時間がかかる。企業の中では、優れた
技術者を撰んだら結果的に技術士、博士、が多くなるといったかたちでしか評価されない。
大学院で、認定プログラム修了生と認定以外の学部卒で、差があるか分からないかとの質問
があったが、日本の大学ではほとんどの学生が学部から修士に持ち上がるので、比較できるデ
ーターはない。
学生の話では、就職面接時に JABEE の話をしたら、話が盛り上がり、企業も JABEE のこ
とを知るようになってきている。
(修了生がどのように良くなったかが成果である。最終的な評価は産業界でいずれ定まるも
のであるが、何らかの評価に取組むことが求められた。)
伝統校が何故受けないか
金井議長から伝統校が JABEE 認定を受けようとしない理由として、レベルが違うと誤解して
いるのではないか。技術士一次試験が免除されるというが、日本では技術士が評価されない。
何かやり方を変えないと、皆さんが努力されている割に JABEE が評価されないのが気になる。
山野井委員から、東大の副学長と懇談して分かったこととして、伝統校は価値観に違いがあ
る。技術者教育というよりも、技術の基にある法則や理論に軸足を置く研究や教育が重要とい
う価値観を持っている。
大橋 JABEE 副会長から、東大はその価値観を明確にしていないのが問題で、個々の先生が
勝手な思いを持っている。研究を重視するならするで、明確にして取組めば世界一になれるは
ずと思います。東大といえども卒業生は高度技術者として活躍する人が大多数です。東大の医
学部が研究者を目指さないで優れた医者を育てるのと同じです。
大中 JABEE 委員長が、東大の先生には JABEE を知らずに批判している方があるが、
JABEE
の委員や審査員をされる方には東大の先生が沢山おられ、着実に進んではいる。など意見が述
べられた。
大久保委員から、東大と正面から議論すべきではないか。金井議長より、JABEE から東大
の集まりに行って話すべきだ。などアドバイスもされた。
杉野専門教育課長から、外部評価制度を大学が受け入れるようになるのに10年かかりまし
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た。ようやく大学丸ごと評価が始まったところで、分野別、テーマ別評価をどうするかが今後
の課題です。JABEE の取り組みがいろいろな分野で進むことが好ましいと考えています。よ
くぞ JABEE は産業界の支援を得ながら先生達がおやりになられた。東大,京大が受けていな
いからといって JABEE の価値が下がるとは考えていません。ミッションが違ってよいし、
JABEE が全てをやらなければ JABEE の価値が下がると考えるのには疑問を持っています。
との官の立場の感想が述べられた。
(東大と JABEE が正面から話し合うことが求められた。
)
大学院外部認定への取組み
山野井委員から、JABEE が大学院外部認定に取組むことに産業界は賛成で期待している。た
だ大学院は多様性が大切ある。専門職大学院との違い、特長を明確にし、出てくる人を評価で
きるようにすべきである。
大中 JABEE 委員長から、大学院外部認定の基準は叩き台的なものを作ったところであるが、
専門職的に国際的基準が必要な建築分野は別にして、その他の分野については多様性を尊重し
て、大まかにしている。
(大学院外部認定の必要性が重ねて求められた。)
技術士の評価について
金井議長から、技術士は日本の企業の中では評価されない。PE になったがアメリカでは自分
のサインが役に立つが日本では役にたつことが無かった。技術士の国際統一が必要ではないか。
エンジニア・モビリティー・フォーラムで国際的技術者資格制度の検討が進められている。
世界の傾向として業務独占は減って、名刺の肩書きとして高く評価される。JABEE 修了者が
一次試験免除になり技術士への道を作ったのは、公益責任を担う中核となる技術士を作るため
である。企業だけでなく技術者が責任を担うようになる、など技術士資格を評価すべき意見が
述べられた。
榊原基盤政策課長から、ある種の能力について、技術士には名称独占を認めている。国際的
には PE や APEC エンジニアは実際の仕事をする場合に能力かを示すので役に立つはずです。
独立した技術士の他に、官庁や企業内技術者の数が、建築関係を中心にして、増加している。
など官の意見が述べられた。山野井委員から、企業内での評価は、技術士についても博士につ
いても進んでいない、企業内では資格より能力が重視されることが話された。
大久保委員から、技術士の能力を測定できているかとの疑問が出され、大中 JABEE 委員長
から、技術士の試験制度が知識に偏っていて、JABEE で云うような能力を見ていない、との
現状認識が話された。
(技術士に対する評価の改善につながることが期待されている。)
人材育成の国際競争力
中西大学連携推進課長から、人材育成を重要視しており、WA に正式加入が認められるので、
国際的に負けないよう支援していきたい、との官の意向が述べられた。
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大久保委員から、日産自動車での例として、日本での新卒採用を減らす傾向がある。理由と
して、中国や東欧のエンジニアを採用した方がコストパフォーマンスがよい。企業では国際比
較をせざるを得ない。など企業の厳しい見方が述べられた。
大橋 JABEE 副会長から、外国と較べて問題解決能力が日本の教育では劣ると産業界から強
く云われて、改善する打ち手として強制力のある国際的に通用する技術者教育のアクレディテ
ーション制度としての JABEE を作った、など意気込みを説明した。
山野井委員から、経団連での調査で企業に入社して3~5年の若者に大学で何を学べばよか
ったかと思うか調べた結果、工学基礎が欲しかったといっており意識は持っている。JABEE
のやっている方向は正しいと思う。など能力評価について意見が述べられた。
(企業の厳しい見方が示され、JABEE の努力を加速しなければならない。)
JABEE の認知度向上
大久保委員から、企業の人事担当者が JABEE を知らない。また、自分の経験から言うと、国
立大学ということより、むしろ私立大学の方が新しい制度を生かして改善していく意欲が強い
と感じた。など企業での認知度の低さと、大学での JABEE を利用した改善意欲に対する感想
が述べられた。企業での認知度の低さについては、山野井委員から、先に経団連企業での採用
面接時の調査でも認知度が問題と指摘された。大中 JABEE 委員長から、JABEE ニュースを
産業界に配ることを考えていることを紹介した。
金井議長から、JABEE の認定を受けたら、企業も修了生も大学も得をするようにすべきであ
る。大国委員から技術者個人にとっては履歴書に書かないと評価されないので、それが無いと
すれば遅れている。金井議長から、就職の履歴書に JABEE 認定プログラム修了を Yes/No
で記載するといいと思いますと、具体案が話された。
(産業界に協力していただき具体化を進める。)
金井議長の総括
昨年と同じような議論であったが、JABEE の意義については異論がありません。一番大事な
ことは良く知らせて活かすことで、宣伝をしてもらいたい。官からサポートをいただいている
ことにお礼を述べられた。
議事 4 挨拶
(大橋 JABEE 副会長より、産業諮問評議会へのお礼の言葉があり終了した。)
以上
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