いんよう 陰陽とは すべてのものは永遠の昔から存在しているのではなく、 あわ 必ずその始まりがある。地球上のすべての生物も、三十六 億年ほど前、海洋に漂っていたリン脂質の泡が有機物質を 取り込んだものが 、その起源ではないかと考えられている 。 ちり 夜空に輝く星々も宇宙空間に浮遊する塵が気の遠くなるよ うな長い年月をかけて集まったものである。広大な宇宙で さえ、百五十億年ほど前のビッグ・バンと言われる現象に 始まったことが知られている。 古代中国においても、目の前に存在する世界の始まりは 論にたどり着いた。それは現代宇宙論のように観測に基づ shihei@ma 2. justnet . ne . jp いたものではなく、哲学的な探究の末たどり着いた必然的 ろ う し 結論とも言えるものであった。 ﹃ 老 子 ︵道德經 ︶ ﹄には、 ︽天地の始まりには名はない。万物の母には名がある。 物ありて混成し、まず天地が生まれた 。 ︾ http://www . shihei . com/ どのようであったのか、という問題が研究され、一つの結 命 運 を 推 す copyright 2000 Akira 0 sanai とある。つまり、物と物とを識別する手段としての名さえ れつぎょこう 定義することのできない状態からこの世が始まった、と言 われている 。 ﹃列禦寇﹄という書には、 ︽形あるものは、形ないものより生まれる。天地の始ま りには、太易があり、太初があり、太始があり、太素が あり、いまだ気は見られなかった。太初は気の始まりで、 太始は形の始まりで、太素は質の始まりである。気と形 こんりん こんとん 質が合わさって離れていないのを渾淪と言う 。 ︾ と言われている 。 ﹁渾淪﹂とは、混沌 ︵渾沌︶とか太極と言 われていることと同じである。天地は何もない混沌とした 状態から発生したとされているのである。混沌は英訳する とカオス ︵ chaos ︶で あ る が 、 こ こ で 言 わ れ て い る 混 沌 は 、 近年確立した科学の新分野で言われているカオスとは意味 えききょう あいたい shihei@ma 2. justnet . ne . jp ﹃ 易 經﹄には、 ︽易は太極にあり、これから両儀を生じた 。 ︾ とある 。この﹁両儀﹂が陰と陽のことである。天と地も相対 す る 関 係 に あ る こ と か ら 、﹁ 両 儀 ﹂ の 意 味 す る と こ ろ に 含 まれることになる。つまり、何も識別することができない http://www . shihei . com/ が異なるので注意が必要である。 命 運 を 推 す copyright 2000 Akira 0 sanai 太極という状態から、陰と陽という対立関係にある性状が shihei@ma 2. justnet . ne . jp 発生したことが、この世の始まりであると考えられたので http://www . shihei . com/ ある。 命 運 を 推 す copyright 2000 Akira 0 sanai
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