日本におけるアスベスト関連訴訟の概観 - Clydebank Asbestos Group

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PL-5-03 Akira Morita (抄録のみ)
日本におけるアスベスト関連訴訟の概観
森田明
弁護士、神奈川大学法科大学院[日本]
抄録:
日本におけるアスベスト訴訟は、まず、1970年代から80年代にかけてアスベスト製品製造や
吹き付け作業に従事して石綿肺に罹患した労働者がアスベスト・メーカーや関連企業を被告に
提訴したものがある。集団訴訟として長野地裁の対平和石綿訴訟、個別訴訟としては日本アス
ベストなどを被告としたものがあった。いずれも和解で解決している。
1988年に、横須賀住友石綿じん肺訴訟が提訴された。これは、初の造船労働者による集団
的なアスベスト訴訟であり、アスベスト製品の使用現場での被害について、メーカーではなく造
船会社の責任を問うたものである。その後、四国電力を被告として火力発電所の労働者が訴え
た事件、横須賀米軍基地で艦船修理等に携わった労働者が使用者としての国を訴えた訴訟、
三菱長崎造船所の労働者の訴訟、などが引き続き起こった。
最近では、これら造船現場で再び訴訟が提起されると共に、保育園における石綿撤去をめ
ぐる事件なども起きており、全国的に急激な増加とはいえないものの、多様な訴訟が展開しつ
つある。
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