﹁おばあちゃん、 いつもありがとう ﹂

いつもありがとう作文コンクール
第1回
入選
﹁おばあちゃん、いつもありがとう﹂
兵庫県
西宮市立広田小学校 四年
西水 思音
よ う や く金 剛 山の 頂上 に着 く 、 と汗 だ くの 私が ほっ と し たし ゅ ん間 、オ レン ジ 色 に光 る
点 を 持つ 黒 いチ ョ ウが 目の 前 を横 切 った 。 太陽 の光 に キラ キ ラ輝 い て、 光の つ ぶを ま いて
いるように見えた。
﹁あれがアサキマダラだよ。﹂
と、祖母が、言った。特別な花が咲いた時に南の国から渡って来る大変珍しいチョウだ。
﹁思音と歩くと、めったに見れない鳥や虫に会えるね。
﹂
祖母が汗をふきながら、にっこり笑った。登山の疲れが消えて行った。
私 の 祖 母は 自 然が 大好 きで 、 し ょっ 中 ハイ キン グを し て いる 。 私の こと も、 よ く 野鳥 観
察 や 山歩 き に誘 っ てく れる 。 祖母 の 作る お 弁当 は最 高 にお い しい け れど 、歩 い てい る 間は
と て もき び しい 。 最初 はい つ もと ち がう 祖 母に とま ど った け れど も 、私 のこ と を一 人 前の
登 山 仲間 だ と扱 っ てく れて い るん だ 、と 分 かっ てか ら はほ こ らし い 気分 にな る 。こ の 夏、
金 剛 山に 登 った 時 には 、滝 の そば の 崖を ロ ープ をつ た って 歩 いた 。 台風 の後 だ った の で、
な ぎ 倒さ れ た木 も あり 、歩 く たび に 足元 の 砂利 が転 が り落 ち て、 私 は緊 張で 汗 びっ し ょり
になりロープを持つ手が固まった。
﹁ぐずぐずせんとしっかり歩け。﹂
と 祖 母が 前 を向 い たま ま言 っ た。 私 は一 歩 ずつ 力を こ めて 歩 いた 。 どん どん 川 を逆 上 る。
つ い に岩 の 間か ら 水が しみ 出 して い る所 ま で来 た。 冷 たく て 自然 の 味が する 、 すき 通 った
き れ いな 水 だっ た 。こ れが あ の汚 い 大和 川 の源 流だ と 祖母 に 聞い て おど ろい た 。こ の 透明
な水を、どうやったらあんなによごしてしまえるんだろう。祖母が川の汚れについて、色々
な こ とを 教 えて く れた 。私 は 人間 の 生活 が 自然 にお よ ぼす 悪 いえ い きょ うに つ いて 知 って
ショックだった。家族にも教えたくて、水筒にこの水を入れて帰った。
祖 母 は 自然 の 中に いる と元 気 が わい て くる らし い。 学 校 やお け いこ でが んば っ て 時々 疲
れ て しま う 私を 、 自然 の中 へ 招待 し てく れ た。 そこ は たく さ んの 鳥 や植 物、 虫 のい る 心が
は ず む世 界 だっ た 。祖 母は ま るで 図 かん の 様に 何で も 知っ て いる 。 祖母 に教 わ って 、 私は
家 族 で一 番 自然 の こと を知 っ てい る 。私 も 自然 のに お いを か ぐと 、 わく わく し て、 背 節が
伸 び て、 体 中の 空 気が きれ い にな る よう な 気が する 。 自分 が 新し く なっ たよ う に感 じ る。
私を自然の中へ連れて行ってくれた祖母には、いつも心の中で﹁ありがとう。﹂と言ってい
る 。 これ か らも 祖 母と いっ し ょに 自 然を 感 じて いれ ば 、祖 母 はず っ と元 気で い てく れ ると
思 う 。私 は 、祖 母 を元 気に し てく れ る自 然 を大 切に し たい 。 いっ し ょに すご す 時間 を 大切
にしたい。ずっといっしょに楽しみたい。
おばあちゃん、いつもありがとう。