ほんのりとピンクの に浮かぶえくぼ。 歩くたび、肩先で揺れるやわらかな

作
創
ほんのりとピンクの
に浮かぶえくぼ。
実ちゃんをニヤニヤとながめ。
そんななか、わたしは亜実ちゃんの背中をなでていた。
亜実ちゃんは、相手かまわず手をのばしたりしない。
高瀬さん、どうしてわかんないのかなあ、と思いながら。
輝いている。
でも、みんな、亜実ちゃんと手をつなぎたがる。
て「えっ?」と顔をあげた。
先輩の目がすうっとやわらぐってことを。その目に、すぐ
し前から気づいていた。亜実ちゃんをみつめるときだけ、
立花先輩だって、そう。いつも先輩を見てたから、すこ
「だって、いきなりなんだもん。びっくりだよ」
でも、しかたない、と思う。
となりにいるわたしは映っていないってことも。
しはだれからも見えないのだろう。
亜実ちゃんが放つキラキラした光がまぶしすぎて、わた
のは、あとすこしで朝の予鈴が鳴るというときだった。
「なによ、ちょっとかわいいからって。バドミントン部の
ら、かわりに付き添いすることになってるの」
「ごめん、今日はダメなんだ。おかあさんが保護者会だか
「ひさしぶりに、駅ビルとかに遊びにいかない?」
を冷やし、
「うん、ありがと」
「おばあちゃん、元気になるといいね」
亜実ちゃんの目じりがわずかにさがる。
「そっか。おばあちゃん、大変なんだったよね。ごめん」
男子に、かたっぱしから手を出してるってうわさだけど、
教室にざわめきがもどった。
ある子はぬらしたハンカチで亜実ちゃんの
一方的にいいまくって高瀬さんが出ていくと、とたんに
立花くんはあたしとつきあってるんだからね」
左に曲がる。
交差点の前。亜実ちゃんはこのまままっすぐ、わたしは
亜実ちゃんが、つんとわたしの腕をつついた。
「ねえ、さやちゃん」
をたたいた。
実ちゃんの前に立つと、高瀬さんはいきなり亜実ちゃんの
凍りついたようなみんなの視線を追って、つかつかと亜
「佐々木亜実って、どの子!」
三年生の高瀬さんが二年一組の教室に怒鳴りこんできた
「パチンじゃない、バチンだよ、バチン」
「だよね、いきなりパチンだもんね」
亜実ちゃんのすこしおどけた声がして、わたしはあわて
「でも、びっくりしたー」
そんなものにくるまれて、亜実ちゃんはいつもキラキラ
歩くたび、肩先で揺れるやわらかな髪。
ある子は「暴力女!」と高瀬さんをののしり、ある子は亜
11 白いパラソル