障がい者 地域生活支援計画 サポートブック

障がい者
地域生活支援計画
サポートブック
計画相談と個別支援計画の連携から紡ぎ出す、
一人一人の豊かな地域生活支援を目指して
社 会福祉法人
南高愛隣会
目次
1
2
「障がい者地域生活支援計画サポートブック」活用のポイント
一人一人が豊かな生活を実現するための
計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
2
4
1 何故、今計画相談支援の作成が急がれているのか?
2 計画相談(サービス等利用計画)や個別支援計画が必要になった背景は?
3 計画相談(サービス等利用計画)支援からサービス利用までの流れは?
4 支援の大前提といわれているICFとは、どのようにとらえればいいでしょうか?
5 計画相談の数を上げることと、計画相談の質の向上は矛盾しないでしょうか?
6 2つの計画(個別支援計画とサービス等利用計画)は、何が違うのですか?
7 うまく連携するとは、どのようなことでしょうか?
3
4
5
事例 1
19
福祉サービス利用中で受給者証更新を機に、サービス管理責任者と相談支援専門員が
連携してサービス等利用計画を作成する事例
事例 2
29
緊急にサービスの導入が必要となり、スピード感が必要なサービス等利用計画作成のコツ
計画相談作成数と計画相談支援内容の
向上のために工夫できること
1 事業所でできる工夫
(1)事務員・補助員の導入で事務効率UP!
(2)ソフト導入で余分な手間を省こう!
(3)1つのサービス事業所で数人担当できると質も効率もUP!
(4)ノートパソコンとコピー機を持ち歩く相談員さんも
(5)困った時の事例検討!
2 行政との連携でできる工夫
(1)受給者証のやり取りを省くだけで事務負担の削減に!
(2)一人相談支援事業所で困らない工夫も必要!
(3)個人情報共有の同意のもとサービス事業所にも協力してもらえると・
・
・
?
3 当事者協力型の計画相談も有効かも!
51
51
54
55
(1)生活歴を利用者さんと一緒に作り上げよう
(2)計画相談支援について、利用者が参加できるように情報を加工して伝えよう
(3)当事者活動を応援しよう
おわりに
1
59
1 「障がい者地域生活支援計画サポートブック」活用のポイント
1
「障がい者地域生活支援計画サポートブック」
活用のポイント
「今更聞きたくても聞けない・
・
・
・」
「新人に説明する方法が知りたい」と基本的なことをまとめました。
POINT
1
まず、最初に確認しておきたいポイント
1 何故、今計画相談支援の作成が急がれているのか?
2 計画相談(サービス等利用計画)や個別支援計画が必要になった背景は?
3 計画相談(サービス等利用計画)支援からサービス利用までの流れは?
4 支援の大前提といわれているICFとは、どのようにとらえればいいでしょうか?
5 計画相談の数を上げることと、計画相談の質の向上は矛盾しないでしょうか?
6 2つの計画(個別支援計画とサービス等利用計画)は、何が違うのですか?
7 うまく連携するとは、どのようなことでしょうか?
相談支援専門員とサービス管理者や関係者がどのような場面でそのようなかかわりで支援するのか、具体的な事例としてまとめました。
POINT
2
事例 1 でお伝えしたいポイント
計画相談支援で最も多いのが、福祉サービス利用中で受給者証更新を機にサービス管理責任者と相談支援専門員
が連携してサービス等利用計画を作成する事例です。
鈴木太郎さん(仮名)の事例を通して、すでにある個別支援計画で進められていた支援が、サービス等利用計画が
導入されたことで、どのような経過を辿ったのかをまとめてあります。
● 事業所利用からわかるサービス管理責任者が持つ情報を提供し、サービス等利用計画作成のスピードアップ
質の向上に寄与
● 相談支援専門員は、もらった情報から違う視点でアセスメント
● 相談支援専門員は、現状のサービスのほか、鈴木太郎さんの夢や希望に向けて
● サービス等利用計画に沿って、サービス等利用計画が見直され、
サービス提供事業者の支援がより具体化され、
鈴木太郎さんの地域生活満足度を向上
POINT
3
鈴木太郎さん
︵仮名︶
必要な他の支援も検討
事例 2 でお伝えしたいポイント
いろいろな事由によって、緊急にサービスの導入が必要となる場合があります。
こうした場合は、通常の手順を簡略化したり省略したりする必要が生じてきます。
こうした緊急対応ができる背景には、やはり日ごろからの連携があればこそです。
千葉花子さん
︵仮名︶
千葉花子さん(仮名)の事例を通して、その流れのポイントお伝えします。
2
1 「障がい者地域生活支援計画サポートブック」活用のポイント
このサポートブックは、個別支援計画によるサービス利用中の人への計画相談支援の事例と、緊急でサービスの導入が必要となっ
た人にサクッと計画を作りサービスの提供と同時並行でモニタリングしながら計画相談支援の質を上げていく事例を使いながら、
「必要な人すべての人にサービス等利用計画を作成し、支援内容の向上のために工夫できること」のポイントをまとめています。
POINT
4
計画相談支援を進めるにあたって今できる工夫のポイント
1 事業所でできる工夫
(1)事務員・補助員の導入で事務効率UP!
(2)ソフト導入で余分な手間を省こう!
(3)1つのサービス事業所で数人担当できると質も効率もUP!
(4)ノートパソコンとコピー機を持ち歩く相談員さんも
(5)困った時の事例検討!
2 行政や他法人との連携でできる工夫
(1)受給者証のやり取りを省くだけで事務負担の削減に!
(2)一人相談員で困らない工夫も必要!
(3)個人情報の同意のもとサービス事業所にも協力してもらえると・
・
・
?
3 利用者との「当事者協力型」の計画相談が有効!
(1)計画相談支援について、利用者が参加できるように情報を加工して伝えよう
(2)生活歴を利用者さんと一緒に作り上げよう
POINT
5
計画相談支援や地域相談支援のQ&A活用のポイント
計画相談支援や地域相談支援のQ&Aには、日々の業務で「これってどうしたらよかったっけ」と疑問になることの
ヒントが詰まっています。自分に関係ありそうな項目にマーカーをつけたり、後輩から質問が来た時の手引書にも活
用できます。
厚生労働省から出されているものと、区市町村から出されているQAをまとめてホームページにアップしました。
必要な方は、ダウンロードしてご活用ください。
http://www.airinkai.or.jp/tokyo-office/index.html
3
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
2
一人一人が豊かな生活を実現するための
計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
1 何故、今計画相談支援の作成が急がれているのか?
平成24年4月の障害者自立支援法の一部改正 により、障害福祉サービスまたは地域相談を利用するすべての人に、計画相談支
※1
援(サービス等利用計画)の対象が拡大されました。
※1. 平成25年4月1日からは、法律名が「障害者総合支援法」に改称された。
図表1
ただ、図表2にあるように、現状はその対象者の数割しか
図表2
策定されていません。
皆さんの地域での計画相談支援の進捗状況はいかがで
しょうか。計画策定支援の対象者は何人か把握されていま
すか。計画策定に欠かせない相談支援専門員は、どこに何
人いるのか知っていますか。
「私は相談支援専門員ではないから関係ない」ではない
ですよね。福祉サービスにかかわっている従業者は、障害
者の権利としての計画相談が対象者全員に策定されるよ
うに、地域環境を、地域社会資源を整備する役割を担って
います。
ぜひ、従業者として地域の状況を知りましょう。地域の
状況がわかったら、どうすれば相談支援体制整備が図られ
るか仲間と一緒に考えて行動を起こしませんか?
平成26年4月からは、障害程度区分に代わって、障害支援区分に改正され、これまで以上に計画相談支援が重要になってきます。
この冊子は、福祉サービス提供事業所に勤務する従業者の方と、計画相談と域相談を担っている相談支援事業所の従業者がお互
い知り合い、連携して目標達成に近づくための行動を起こすサポートになることを願って作成しました。
できるだけ、具体的に、そして文章よりも絵で見て分かるように工夫しました。
本冊子の活用のポイントもまとめています。本人が作成しない「セルフプラン」ではなく、利用者自身が納得できるサービス等利
用計画で、対象者すべての人に策定されるよう、皆で力を合わせて目標達成をめざしましょう。
4
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
2 計画相談(サービス等利用計画)や個別支援計画が必要になった背景は?
障害福祉サービスは、戦後混乱期に、戦災孤児救済や傷病兵の職業訓練としてスタートし、50年余り、利用制限の高い障害者福祉
の責任は措置という形で市町村が担っていました。
社会保障基礎構造改革を経て、措置から支援費に、支援費から給付費へと、障害福祉サービスは、規制緩和とともに大きく変革し、
障害福祉サービスを提供するにあたり、そのサービスへの責任をサービス全体を見渡すサービス等利用計画と、個々のサービスに
ついて管理を行う個別支援計画によって、提供するサービスの責任を持つ、すなわち品質管理を行うこととなったのです。
図表3
私たちの師であった野中猛 は、サービス等利用計画や個別支援計画の基礎
※2
となるケースマネジメントの講義で、家を建てるときの設計図と施工図を引き
合いに出していました。
それになぞらえて、サービス等利用計画と個別支援計計画の関係性について、
比較してみます。
家を建てることは、人生において大きな大きなイベントです。かつて人口が
少なく、家を建てる件数が少なかった時代には、近所の大工の棟梁が設計図も
施工図も担い、時間とお金をかけて、職人さんと家を建て、改築も含めて、一生
面倒を見てくれていました。
戦後の人口増と高度経済成長を経て、持家を希望する人が増え、効率とスピードが求められるようになり、専門家である建設会社に
頼むことが多くなりました。建設会社は、営業マンや設計士が施主の希望を聞いて、設計図を作り、それを元に、工事責任者が施工図
を作ります。
「設計図」とは、設計者が施主(発注者)や公的機関に提出するために作成する図面で、部屋の広さや高さ仕上げ、形状がわかる図
面です。
「施工図」は、設計図を元にして、例えば壁の厚さ、天板の巾、材料の厚さ、高さなど、実際の現場を管理する人が必要な寸法を決
定しながら作成する図面です。この図面を元に、各職種が材料の手配、加工などを行います。
ひとつの家を作り上げるには、複数の職種の仕事がうまく調和していなければならず、大工さん、建具屋さん、
クロス屋さん、設備屋
さん、電気屋さん等、複数に及びます。それぞれが自分の仕事以外の寸法や形状を理解しなければ、自分の仕事が納まらなくなって
しまったり、せっかくの手配品を作り直すことになったりします。すなわち、チーム支援であり、その全体管理マネジャーが、設計士
(設計事務所)または営業マン(建築会社)なのです。施行管理は、現場責任者です。
設計図とは、お客様と設計者がお客様のニーズ(使い勝手や予算)に合わせる基本計画に基づいて、当然ながら法令
を順守しつつ確認申請を受け、デザインや仕様を規定するためのものです。
一方、施工図とは実際に設計図では描ききれない内容を、実際に現場でつくる人々が理解できるように、また加工
や組立ができるように作成されるものです。
施工図においては、全ての部位に対して"寸法"が入ります。 逆にいえば、設計図にはすべての部位に"寸法"が入って
いません。「寸法が入っていない」ということは、施工者が責任をもって「適切な寸法を算出してつくること」という意
味なのです。
図面にある全ての寸法には私たちの"思い"が込められています。 設計図なしでは建物は建ちませんが、設計図だけ
でも建物は建たないのです。
(三和建設公式サイトより転用:一部変更)
※2. 野中猛(1951-2013) 精神科医、日本福祉大学社会福祉学部保健福祉学科教授、日本精神障害者リハビリテーション学会会長など歴任。ケアマネジメントの伝道師と呼ばれていた。
5
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
計画相談支援は、これまでの生活を見直し、新たなサービスを導入する、あるいは変更するための地域生活支援計画を立て直すこ
とです。知的障害者や、精神障害者の多くは、地域生活を送るうえでの人生設計図すなわち、計画相談支援が必要となります。
そこで、
「設計図」=「サービス等利用計画」
「施工図」=「個別支援計画書」
に置き換えると、
「サービス等利用計画書」と「個別支援計画書」の関係性が理解しやすくなります。
連携の効果
● 全体像を示す計画が作成されることにより、サービス管理責任者は夢の実現に向けて、より具体的な計画を作成
することができる。
(両者の役割が明確化)
● サービス管理責任者は自分の事業所が相談支援事業所から期待されていることが分かり、
今後の事業展開のヒントを得られる。
● 相談支援事業所は障害福祉サービス提供事業所が提供するサービスの具体的な中身を把握することができる。
それにより、他の利用者へ有効な情報提供ができるようになる。
● 相互に連携する中で、地域に不足しているサービスなどの地域課題が見えてくる。
● 連携が上手くいきダブルコーディネーター風になれば片方の支援者の異動や不在があってもご本人のニーズに
対応できる。
● サービス管理責任者と相談支援専門員の連携が支援員を救う。
また、一方で、利用しやすくなった障害福祉サービスの利用者数は急増することが予測されました。
利用者の急増と、サービスの質を担保していくには、サービス等利用計画と個別支援計画がうまく
連動する仕組みが早急に求められます。
実際、障害者自立支援法施行後の実利用者数は増え続け、6年間で237,301人増と、1.5倍以上の
利用者数となっています。
図表4
6
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
3 計画相談(サービス等利用計画)支援からサービス利用までの流れは?
図表5は、新規相談からのサービス利用までの通常の流れです。あくまでも、通知等に沿った利用手続きの流れですので、区市町
村によったり、事例によっては若干手続きの流れが省略されたり、まとめて行われたりする場合もありますので、実際の手続きは、区
市町村と連携をとって実施することが利用者の利益につながります。
図表5
さて、図表1(4頁)で説明したように、図表5のような新規相談からサービス利用につながる方は、地域によっては1割に満たない
状況です。平成27年3月までに、福祉サービスを利用する方すべてに計画相談支援が必要になるということは、約9割の方がすでに
サービスを利用している方で、計画相談支援を行い、サービス等利用計画を策定することとなります。
これは、制度設計が前後したため、既存のサービス利用者(更新等)に対し、後から相談支援専門員が関わるという変則的な形となり、
数年間は制度改正に伴う特異な過渡期です。
法改正で、サビ管と相談員の手をつなぐのための経験は多くの市町村でこれからです。
その結果、相談支援専門員とサービス管理責任者の関係は、図表7のように、サービス等利用計画書と個別支援計画書の逆転現象が
起こっているということなのです。
図表6
図表7
今求められているのが、この過渡期に具体的な相談支援専門員とサービス管理責任者がどのように連携し、計画相談支援を利用
者の夢や希望を叶えるためのものに作り上げていくかということです。
そのポイントを、このサポートブックで事例を通してお伝えします。
7
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
4 支援の大前提といわれているICFとは、どのようにとらえればいいでしょうか?
ある街に両親と弟の3人暮らしの、知的障がい(療育手帳 A2)を持つ男性(Aさん 20代)が住んでいました。日中は就労継続B型
事業所に通ってはいるものの徘徊が多く、夜間帯以外は気が向くと外に出て近隣(半径5km圏内)のスーパーやコンビニ、書店など
に出かけます。長い時で4∼6時間は一人で外を徘徊している時も少なくはありません。このような徘徊行動だけをみると「問題行
動」として捉えることもできます。しかし、実際には、彼や両親は徘徊に関しては全くと言っていいほど困っていないのです。その答え
は、
「知的障がい者 A2」
「徘徊行動」だけでは見えてきません。彼をICF(国際生活機能分類:図表8)で捉えることが必要となります。
図表8
ICFとはInternational Classification of Functionig,
Disability and Healthの略で、WHO(世界保健機関)が
2001年5月の総会において、1980年にICD(国際疾病分
類)の補助として発表されたICIDH(国際障害分類)の改訂
版となっています。これまでのICIDHが身体機能の障害から
くる機能障害が引き起こす生活機能障害が社会的な不利益
を被るという考え方であったのに対し、ICFでは、
【心身機
能・身体構造】
と同次元での【活動】
【参加】
という社会参加基
準に【環境因子】
【 個人因子】等の影響を及ぼす個人固有の
個別因子で構成され、それらは相互に作用するものだと捉
えられています。
(※厚生労働省HP引用)
このような考え方は障害者にだけ当てはまるものではなく、全国民の保健・医療・福祉・社会システムのあり方を示唆しています。
例えば、20代女性(既婚者、健常者)が妊娠・出産したことにより、仕事という
【参加】
と、友人との女子会への【活動】が制限されるこ
とにより、他者と接する機会が減り、初産ということもあり相談相手が減ることからくるストレスが増え、健康状態への影響が懸念さ
れます。しかし、子育てに協力的な両親(実家)が近くに住んでいるという
【環境因子】があり、また
【個人因子】
として、お願い上手と
いう性格から育児疲れの際には定期的に実家に戻り、両親に子どもの世話のお願いが出来ることにより、健康状態は保たれています。
このようにICFの視点においては、機能障害や生活機能障害だけをみるのではなく、その個人を取り巻く様々な環境が相互に作用し
合い、それらが促進因子や阻害因子にもなりうる状態をみる指標となります。
さて、ICFで知的障害(療育手帳
A2)を持つAさんを捉えるとどうなるでしょうか。
Aさんが住む地域は自治会を中心に住民の繋
がりがとても強く、お祭りや文化芸能も盛んで祭事等への際には、子ども会から青年会、老人会、婦人会まで地域住民全体での大き
な行事となっています。そのなかで、両親は地元住民の生活の中心となるスーパーを経営しているため、その地域でAさん並びにA
さんの家庭を知らない人はいません。また、
Aさんは中学校までは地元の普通学級を卒業しており、その持ち前の明るさや人なつっ
こさから、近隣の住民の方より可愛がられ、幼少より地域のお祭りに参加し、同級生や下級生、先輩に交り踊りの練習を行っていまし
た。現在、
Aさんが通っている就労継続B型事業所も設置主体は社会福祉協議会となっており、活動内容も地域の中心でもある商店
街で弁当販売をおこなっています。そうした状態をICFでみると以下(図表9)のようになります。
8
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
図表9
上記の図を見て、
『 実際には、彼や両親は徘徊に関しては全くと言っていいほど困っていないのです。』
という理由が想像ついたで
しょうか。なぜ、
「知的障害で療育手帳A2」
「徘徊」
「理解力は5∼6歳程度」
「言語による感情表出やコミュニケーションは困難」であ
りながらも、
「徘徊」が「問題行動」になっていないのでしょうか。
【環境因子】
において、住民同士の繋がりが強い地域で育ち、また両親は地域住民が日常的に活用するスーパーの経営を行ってい
るため、Aさんやその家庭を地域の住民が知っている。また
【個人因子】
として、地元の小・中学校を卒業しているので、その地域には、
学校だけでなく、地域の祭事などでも一緒だった同級生や先輩、後輩が今でも生活しており、元来の明るく人なつっこい性格から、関
係性も良好。
【活動】
や【参加】
においても、自治会の老人会や婦人会にも遊びにいくため、お爺ちゃんやお婆ちゃん達からも可愛がら
れており、就労継続B型事業所も商店街で弁当販売を行っているので、近隣のお店の人達みんながAさんを知っている状況となって
います。
その結果、
Aさんが「徘徊」していても、Aさんを見かけた誰かが両親が経営するスーパーに「お宅のAちゃん、今は○○にいるか
ら、そろそろお家に帰りなさいと言ったよ。」と電話がかかってくるのです。そのため、両親は共働きでも息子(Aさん)が、どこにいる
のかが把握でき、また地域の人達に見守られているという安心感があるのです。そのため、
Aさん並びに家族にとっては「徘徊」自体
が「問題行動」にはならないのです。そして、最も大事な点は「徘徊」はAさんにとっては「歩くことが大好き」という
【活動】であって、
そうした
【活動】
や【参加】があったからこそAさんの存在が地域に周知され、自治会や商店街が「見守る」というインフォーマルな社
会資源になったのです。
このようにICFは障害の有無に関係なく、その人を理解することについては優れたアセスメントツールとなり得ますが、万能では
ありません。なぜなら、そこには大切な「ご本人の想い」や「ご家族の想い」という、それぞれの「主訴・主観」が抜けているからです。
正確には、抜けているというよりはICFの視点はいかに対象者を「障害者」としてではなく、その地域(文化・環境・風土・人間関係な
ど)で生活する「住民」として客観的に捉えるのかが重要視されるのです。
今回のAさんを例にみると、仮にご本人やご家族の想いが「地域のなかで、本人らしく生き活きと生活する」であった場合、ご本人
を昔から知っている住民が多く、繋がりの強い地域という
【環境因子】が、ご本人やご家族の想いに対して促進因子となっています。
しかし、ご家族の想いとして「自分達(両親)が亡き後、自立して生活するためにも周りに頼らず生きていって欲しい」
「周りの住民に
迷惑がかかっていないかを考えると、とてもストレスになってしまう」だった場合、繋がりの強い地域性という
【環境因子】が、ご家族
の想いに対しては阻害因子となります。このようにICFの視点というのは、さきほど述べたように「主訴・主観」は加味されておらず、
その「主訴・主観」次第では促進因子にも阻害因子にも成りうるのです。
9
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
私たちは、福祉の現場(相談・面談)において当然のようにご本人の想いに傾聴し、その主訴に対して日々支援をおこなっておりま
す。しかしながら、私たちが支援をおこなっていく際に福祉従事者だけで完結できるものなのでしょうか。ICFの視点を自分自身に置
き換えた際に、例えば恋愛で悩んでいる時には心のゆるせる昔ながらの知人(同級生)に相談してはいませんか。それは、定期的に
顔を合わせる場【活動】があり、現在でも関係を続けている有効な交友関係が築けているという性格【個人因子】
に加え、何かあった
時に会える場所にいる
【環境因子】状態なのです。また、別の例でみてみると、木曜日の夜に風邪を引いて体調を崩してしまった
【健
康状態】場合、金曜日の仕事【参加】は休むことになります。しかし、慎重で真面目な人【個人因子】であれば、月曜日に備えて土日は静
養するでしょう。しかし、楽観的で責任感よりも自身の楽しみや生き甲斐を優先したい人【個人因子】であれば、土曜日の夜に映画を
観にいくかもしれません。
「風邪」だけをみても、風邪が影響を及ぼす行動には個人因子や主訴によって千差万別となります。私たち
は生きていく上で、自身の性格や置かれた立場、その時の仲間や同僚(上司・部下)、家族など、様々な要因の影響(相互作用)を受け
ながら時には喜び、時には悩みながら生きています。そうした不完全で様々な要因に影響を受けながらも生きていくということは、
何も障害を持った方に限ったことではなく人として当たり前の現象なのです。
日本においても、WHOが2001年5月に第54回総会にてICFを採択したのを受け、厚生労働省は2001年6月には国際障害分類の
仮訳作成のための検討会を設置し、翌年2002年の8月には同省HPで掲載が始まりました。そのHP上でも「(前略)今後、障害者は
もとより、全国民の保健・医療・福祉サービス、社会システムや技術のあり方の方向性を示唆しているものと考えられる。」と明記され
ています。このように、ICFの視点というのは障害者だけに当てはめたものではなく、広く一般的に人を理解する際の重要なツール
となります。そうした視点をもった上で福祉現場において支援対象者を理解するツールとして活用することの重要性とは、障害を持
った方に対して「障害」や「診断名」
「症状や特性」だけで判断しない、対等な関係においての指標(判断基準)を持つということにあ
り、それこそが地域福祉サービス(ご本人が生活する地域でのサービス提供)において最も重要かつ基本的なことだと考えられます。
そうした大前提のもと、最も大切な「ご本人の想い」に添った支援をおこなっていくことが、私たち地域福祉サービス提供者の仕
事と言えるのではないでしょうか。
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2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
5 計画相談の数を上げることと、計画相談の質の向上は矛盾しないでしょうか?
ICFの考え方に基づいていかなる障害があろうとも、一人ひとりの人間はかけがえのない存在であり、幸せな人生を送りたいと考
えています。そして、我々支援者は幸せを実現するお手伝いをしたいと思って日々の支援に当たっています。しかし、けっして多いと
はいえないスタッフ数で毎日多くの利用者の対応をしています。
そのような状況の中で、
(ここではあくまで分かりやすさを優先するために便宜的に、濃密な対応を必要とする利用者をA群、丁
寧且つ継続的な対応を必要とする利用者をB群、その他をC群と表現させていただくことをお断りします)支援者が対応に困難さ感
じる利用者【A群】
や、丁寧且つ継続的な支援が必要な利用者【B群】
について、障害福祉サービス提供事業所は日常的に行政や相談
支援事業所と連携して支援にあたっていますが、本人やご家族からとりたてて相談や不満もなく長い月日が流れやすい利用者【C
群】の想いを聴きに十分にかかわることができていますでしょうか。
(図表10)
図表10
同じ利用者であるにも関わらず、A群やB
群に時間を取られてC群の利用者に十分に
支援ができていないことについて、支援者が
不全感やジレンマを感じている場合もある
のではないでしょうか。
十分な支援ができていないとしたら利用
者は図表10のように利用者満足ラインでは
なく、支援者妥協ラインにとどまっているの
かもしれません。
もしも、自分の子どもや身内が障害福祉サ
ービスを利用していたならば、C群のままで
過ごすことを望まないのでは当然です。しか
し、家族も現場の大変さを分かっているので、
実際には利用者満足ラインを下方修正して
しまうこともあると思います。
このような状況を平成24年4月1日に一部改正された障害者自立支援法(平成25年からは総合支援法に改正)を一つの契機と
して、サービス管理責任者と相談支援専門員が互いの役割を認識し連携することで利用者満足ラインを目指せる可能性があると
考えます。
前述の改正においてそれまでのサービス利用計画から、サービス等利用計画というように名称が変更されました。これは障害を
持った方にとって、障害福祉サービスの利用はその方の人生や生活の一部でしかないということであります。サービス以外に愛する
人と一緒に過ごすことで幸せを感じたり、貯金して旅行することで幸せを感じたり、誰かの役に立つことで幸せを感じるというサー
ビス以外の部分も含めて計画を作成することが求められています。
(公益社団)日本精神保健福祉士協会の相談支援政策提言委員会により作成された「精神保健福祉士のための相
談支援ハンドブック」においても、
「等」には障害福祉サービスに限らず、この世の全ての社会資源を「等」と捉えて、
サービスだけで囲ってしまわないようにと注意が呼び掛けられています。
この「等」にあたるサービス以外のインフォーマルな社会資源に関する情報を持ち、調整を得意としなければなら
ないのが相談支援専門員です。相談支援専門員が作成するサービス等利用計画はサービスが必要な根拠を示すと共
に、その人の夢や希望を実現するために必要な障害福祉サービス以外の資源も含めて作成する必要があります。
11
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
図表11
これまでサービス利用計画作成費の対象者が限定されていたことから全国的に作成が進まないこともあって、サービス管理責任
者は「等」の部分も含めて個別支援計画を作成せざるを得ませんでした。
このことから、サービス管理責任者にとってはサービス等利用計画がなくても十分だと考えることは自然なことかもしれません。
しかし、現場実践の中では相談支援専門員がその人の全体像を示した計画を立てることによって、これまで個別支援計画に盛り
込まざるを得なかった事業所外で提供されているサービス等が、相談支援専門員の作成する計画に含まれるようになったので、従来
より個別支援計画がすっきりしたので本人と計画を共有しやすくなり、事業所の職員も自分の役割を認識しやすくなったという声も
聞かれます。 法改正ですべての障害福祉サービスを利用する者にサービス等利用計画を作成しなければならないこととなりましたが、これに
よりサービス管理責任者と相談支援専門員の役割が少しずつ整理されようとしています。この過渡期においては、既に個別支援計
画がある利用者については、サービス管理責任者は把握しているアセスメント情報を相談支援専門員に伝える力が必要であり、相談
支援専門員はその情報をしっかりと受け止めサービス等利用計画に反映していく力が必要と言えます。
地域生活を送るためには様々なスキルが必要です。利用者の夢や希望を実現するために複数の障害福祉サービスが必要な方も
たくさんいらっしゃいます。私たちも学校で国語だけを習ってきたわけではありません。大人になってからお金の計算ができなくて
困らないように算数を習ったり、多少の英語を読めるように英語を習ってきました。健康的な生活を送るために保健体育の授業もあ
りました。このように生活に必要となる複数の科目を学習して今に至っていることと同じように、複数のサービスが必要な利用者に
はしっかりと障害福祉サービスをつないでいく役割も相談支援専門員に与えられた役割です。
もしも経験の浅い相談支援専門員と連携することになった場合はサービス管理責任者が助言や提案をするなどのお互いの支
え合いが利用者のために必要です。特に精神障害者の場合は福祉の支援に加えて医療的な視点を欠くことができませんので医
療との連携も重要です。利用者のニーズにマッチする資源を提供するためにサービス管理責任者以上に相談支援専門員は日頃か
ら様々な情報にアンテナを張りめぐらせ、サービスのことを知り、イザという時に使えるネットワークを日々意識して構築しておく
必要があります。
12
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
次に計画というペーパーの必要性について考えてみたいと思います。
我が国の歴史を振り返ると数年前の障害福祉サービスを措置という行政処分で利用していた時代では、施設の中で安全に生活す
ることを目的にした計画や集団生活から逸脱しないようにするための計画も見られ、人生の設計図や夢の実現のためにアクションプ
ランとなるような計画は少なかった気がします。また、計画を利用者やご家族に示して共有し、必要な部分は赤ペンで修正され、計画
が適宜見直され、必要に応じて計画をモデルチェンジしたり、時にはフルモデルチェンジをしてきたでしょうか。どちらかと言うと計
画は事務所に大事に保管され利用者やご家族に口頭で説明していることが多かった気がします。
つまり、いつまでたっても言葉の空中戦でなかなか地上戦にならず、結果が十分に実感できなかったといえます。このことは認知
に障害を抱える利用者や知的能力に障害を抱える利用者にとっては、話しの内容を良く理解できなかったり、不安を感じることにつ
ながっていたかもしれません。家族にとっても大事な身内について何を根拠として、どのようなサービスが提供されているのか分か
りにくかった部分はないでしょうか。障害福祉サービス提供事業所に個別支援計画が義務付けられたことで、サービス管理責任者に
よりどのような支援が提供されるのかが見えるようになりました。
改正により、これからは障害福祉サービスの利用者は個別支援計画に加えてサービス等利用計画を手にするので1人で2つ以上の
計画を持つことになります。どちらも似たような計画で違いが良く分からないということにならないように配慮する必要があります。
詳しくは後述しますが、サービス等利用計画は人生の設計図となるものであり、本人の夢や希望を大事にします。一方、個別支援
計画は夢や希望を実現するためのサービス等を具体的にどのように提供するのかを示した道標となるものといえます。
支援者として注意しなければならないことは、すでにある個別支援計画をそのままサービス等利用計画に転記するようなことや、
作成されたサービス等利用計画の一部を切り取って個別支援計画に転記するようなことは慎まなければなりません。大事なことは
サービス管理責任者も相談支援専門員も利用者の夢や希望を実現するためにどのような資源をどのように活用することが適切な
のか、どのような支援方法がよいのかを一緒になって見極める作業を繰り返し、計画に修正を加えていくということです。
(NPO)日本相談支援専門員協会により作成された「サービス利用計画評価サポートブック」のなかでは、サービス等利用計画の
必要性を利用者のためだけでなく、相談支援専門員にとって領域を超えたチームアプロ―チや協働による支援が可能になるものと
整理しています。このように計画は利用者や家族はもとより地域生活を支援する私たち支援者が連携するためにも重要なものとい
えます。
13
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
6 2つの計画(個別支援計画とサービス等利用計画)は、何が違うのですか?
利用者の夢や希望の実現のためにサービス等利用計画と個別支援計画の両方が必要であることは前述したところでありますが、
2つの計画の関係性については相談支援専門員養成のための初任者研修やサービス管理責任者の養成研修ではあまり詳しくは触
れられていません。また、サービス等利用計画を「大きな計画」と表現し、個別支援計画を「小さな計画」と表現する指導者もあり、大
きいか小さいか、上か下かなどの誤解を生んでいた地域もあります。
2つの計画はそもそも利用者の地域生活及び夢や希望の実現のための計画であることから、両者は並列・協働の関係にあると言
えます。しかし、図表12のように機能や役割に違いがあるといえます。つまり、サービス等利用計画は生活全般をアセスメントし、利
用者の願いを中心に生活や支援の全体像を示す機能があり、そこから障害福祉サービス等の必要性を見立てたもので、支給決定の
根拠となる役割があります。
一方、個別支援計画は必要なアセスメントをさらに深め、利用者の願いを具現化する機能があり、より具体的な支援内容を盛り込
んだもので、サービス提供の根拠となる役割があります。
また、チームアプローチの視点からは、サービス等利用計画は利用者はもとより、複数の事業者の支援の足並みを揃えるために必
要であり、個別支援計画も本人はもとより、事業所内の支援者の足並みを揃えるために必要なものであるといえます。
2つの計画の特徴としては、サービス等利用計画は、サービス等をつなげたり、広げたりするところに特徴があり、個別支援計画は
サービス等を深めるところに特徴があるといえるのではないでしょうか。
また、利用者にとってサービス等利用計画は「人生の設計図」となるものであり、個別支援計画は利用者にとっての「夢や希望の道
標」となるものといえるでしょう。
大雑把なたとえをするならば、サービス等利用計画は引いて全体を見渡す「鳥の目」であり、個別支援計画は近くで丁寧にきめ細
かく見る「虫の目」であると言えるのではないでしょうか。
図表12
14
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
図表12は一例であり、分かりやすさを意図しています。つまり、相談支援専門員のアセスメントは広くてサービス管理責任者のア
セスメントは幅が狭くていいということではありません。
利用者の夢や希望に基づいて、サービス提供する内容によっては、サービス管理責任者がアセスメントする範囲は広くもなり狭く
もなります。
利用する障害福祉サービスによってアセスメントは広くもなり、深くもなります。
あくまで前述の「鳥の目」と「虫の目」のように、視点や役割が異なるということと、両者をつなぐ機能がサービス担当者会議等の
ケア会議であるということを図解したものです。
さて、どんなに経験豊富な相談支援専門員でもサービス管理責任者でも初回の計画から100点の計画を作成することは不可能で
す。利用者の希望等は時間や環境によっても変化します。よって、モニタリングを繰返しながら利用者の状況変化に応じて適宜計画
を修正することが重要です。このように利用者を中心としてモニタリングを相談支援専門員やサービス管理責任者及び現場の支援
員で繰り返すことが計画の質や支援の質を向上させることにもつながります。
障害者の中には複数のサービス等を活用して生活している方がいます。
1人で個別支援計画を複数枚持っているという方もいる
でしょう。利用する資源が複数になると障害福祉サービス提供事業者同士の横の連携を十分にとらなければなりません。それぞれの
事業所では利用者のために最善を尽くしていると思いますが、お互いに忙しい中で支援の方向をすり合わせる時間を確保するには
工夫が必要です。そのためにも相談支援専門員は仲介者となり、サービス担当者会議等を通じて障害福祉サービス提供事業者同士
の足並みが揃うように場を設定することが必要です。そのようなチーム作りを通じて地域のネットワークを構築していくことは相談
支援専門員に与えられた責務と言えます。しかし、相談支援専門員の経験値によってはそういった場の必要性を十分に理解できてい
ない場合があります。そのような時にはサービス管理者が積極的に相談支援専門員に働きかけるなど後押しが必要です。
15
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
7 うまく連携するとは、どのようなことでしょうか?
これまで、障害者の地域生活支援にとって計画が必要な理由や、サービス等利用計画及び個別支援計画の違いと両計画の連動や
支援者同士の連携の必要性について触れてきましたが、最後にどうすれば連携が上手くいくのかと言うことを考えてみたいと思い
ます。ここで「上手く連携する」ということを取り上げる理由の背景には、サービス管理責任者も相談支援専門員も十分な連携がと
れていないという現場の声があるからです。
その原因を考えてみた時に、サービス管理責任者と相談支援専門員はお互いのことを十分に分かりあったうえで結婚していない
からと考えます。つまり、デートする期間(連携するための練習期間)が十分になく親(国)が決めた昔で言う政略結婚のような関係
がサービス管理責任者と相談支援専門員の間にはあると感じます。ということは、両者は結婚した後でお互いに分かりあっていかな
ければならないという運命に置かれています。
連携でも夫婦関係でも最も大事なことは、お互いが信頼できる関係になるということです。最初はお互いの意見や価値観によっ
てすれ違いや考え方のズレを感じることも多いでしょう。
「私たちは考え方がや価値観がズレているからやっぱり別れましょう」では
離婚してしまいます。時には意見が食い違ってしまうこともあるかもしれませんが、相手を思いやり、歩み寄りながらお互いを知るプ
ロセスを経て信頼関係をつくりあげていくことが連携の大事なところです。サービス管理責任者と相談支援専門員の連携について
は昔の政略結婚を乗り切った夫婦から学ぶことが多いのかもしれません。
図表13
そもそもなぜ連携が必要かと言うこ
とですが、
1人もしくは1事業所だけで
障害の対応から生活支援まですべて対
応できるかというと明らかに無理です。
また、図表13の①のように利用者と
障害福祉サービス提供事業者(サービ
ス管理責任者)の2者の構造は上手く
いくこともあるでしょうが、支援内容が
煮詰まったり、関係性の変化によって次
第に遠慮し合い時間が経つにつれて本
音が隠れやすくなることもあります。
加えて、障害福祉サービス提供事業者は利用者中心に支援を展開したいという建前と、利用してくれる障害者がいないと経営が
成り立たないという矛盾を抱えながらサービスを提供することになるので、真に必要なサービスを受けられない事態が発生するこ
とも懸念されます。
また、精神障害者の場合、他者との関係を作ることが苦手な方が見られますが、利用者をとりまく支援者等が少なく、利用者と障
害福祉サービス提供事業者だけの2者だけの図表13の①の構造は、障害福祉サービス提供事業所との関係が切れてしまうと利用者
は孤立してしまうか、若しくは我慢して付き合い続けていくことになってしまいます。
そのような状況を回避し障害福祉サービスを受ける側と提供する側が良好な関係を築くためにも図表13の②のような三角形構
造が必要になります。これが連携の一歩であるといえます。
障害福祉サービス提供事業所や相談支援専門員は日常的に
【A群】の利用者にかかわっていると思いますが、これは1事業所や1人
で支援することの難しさや限界に気づき必然的に図表13の③のように多機関とネットワークを構築した結果です。
私たち支援者が他者の力(手や頭)を使うと自分自身が楽になるということはあるかもしれませんが、連携により利用者が幸せに
なり、支援者や事業所としての使命を果たし、そのことで支援者自身が成長するというところに意味を見出さないと無駄な連携だけ
が増えてしまうことになりかねないので気をつけたいところです。
16
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
しかし、連携すればすべてが上手くいくのでしょうか。おそらく答えはノーでしょう。連携する者同士が連携に不慣れであったり、
ともに実践経験が浅かったり、互いの専門性や得意、不得意を十分に把握できていないとぎくしゃくしてしまいます。そのような状況
は利用者や家族を不安にさせてしまいます。よって、支援者同士の連携が十分に取れないうちは利用者や家族が会議のテーブルに
着く前に打合せをしてからお呼びするなどの配慮が必要です。
良い連携や良いチームを作るには何よりも練習が必要です。私たち支援者は利用者の夢や希望を実現することを目的に連携する
わけですからこの練習をサボるわけにはいきませんし、生活を支援するということは前述したように1人もしくは1事業所だけでは
到底無理なことなので、連携先が増えても対応できるようケア会議等を重ねて繰り返し連携の練習をしていかなければならないと
思います。
一方で連携やチームつくりには利点と欠点があることを私たち支援者はあらかじめ理解しておく必要があります。
野中猛によれば、医療保険福祉の領域でチームワークが上手く働くと、利点として
① 利用者の問題解決に対して、知恵が集まって創造的な計画ができ、情報が行きわたって迅速な実施につながる。
② 多くの資源や人材を最大限に利用できる。
③ 専門職にとって能力向上、人格発達の機会となり、ほかの人からの情緒的支援が受けられる。
とし、欠点として、チームが立派であると、
① 利用者の依存性が高まる問題が出てくる。
② 非効率的で意見調整に手間ひまがかかる。
③ 専門職にとっても役割混乱のために葛藤が生じやすく、大勢の意見に圧力を受けて反対できなくなるという
現象も起きる。
と整理しています。
現場実践の立場から連携の効果として感じることは、前述した全体像を示す計画が作成されることによりサービス管理責任者が
より夢を実現するための具体的な計画を作成することができるといった両者の役割を明確化できるということ以外に、サービス管理
責任者は自分の事業所が相談支援事業所から期待されていることが分かり、今後の事業展開のヒントを得られます。また、相談支援
事業所は障害福祉サービス提供事業所が提供するサービスの具体的な中身を把握することを通じて、他の利用者へ有効な情報提供
ができるようになったり、連携する中で地域課題が見えてくるということに効果があるのではないかと思います。
冒頭に政略結婚の話をしましたが、政略結婚とは家や親にとって何らかのメリットがあるから行われていたようです。サービス管
理責任者と相談支援専門員が連携することも同じように負担の分散や支援のアイディアが生みだされるシナジー(相乗)効果など
両者にとって多くのメリットがあり、そのメリットは利用者に還元されていくのだと思います。
それでは利点や欠点を踏まえながら私たち支援者はどのように連携をはじめたらいいのでしょうか。就労移行支援事業者や生活
訓練など有期限のサービス提供をする事業者やそこで働くサービス管理責任者は、事業所でのサービス提供終了後のことを常に意
識しているので早い段階から終了後を見据えて相談支援事業所と連携をはじめます。また、有期限のサービスに限らず生活課題を
多く抱えるA群やB群の利用者についても障害福祉サービス提供事業所から相談支援事業所に連携の依頼が日常的に行われている
でしょう。しかし、地域によっては相談支援事業所の数が少なかったり、行政の直営であったり、相談支援専門員のフットワークが重
かったりなどの違いによりそもそも連携ができていないというところもあります。
17
2 一人一人が豊かな生活を実現するための計画相談・個別支援計画のそれぞれの役割と連携
すでにある程度連携をとりやすい地域は
【C群】
にも徐々に手を付けてさらに連携を強化していくことがいいと思います。連携が
不十分な地域では新規の利用者のサービス担当者会議から丁寧に連携を重ねていく方法か、あえて
【A群やC群】
に取り組むことを
お勧めします。なぜならば、チームやネットワークは危機を乗り越えた体験によって強化されるといわれているからです。また、サー
ビス管理責任者から
【A群やC群】の連携について依頼を受けた相談支援専門員はフットワークよく動くことが必要です。
また、モニタリングを通じて連携を深める、広げるという視点も重要です。それはケアマネジメントが常に変化して行く利用者や環
境に対応して行く動的プロセスであり、修正や変更の必要が無い完璧な計画はないからです。だからこそモニタリングで連携とアセ
スメントを深め、必要に応じて計画を変更し、新たなサービス等をつないで広げていくということが必要になります。
サービス管理責任者の行うモニタリングについては、
「本人の状況変化」
「本人をとりまく環境の変化」
「本人のサービス利用に対す
る満足度」に着目することは勿論ですが、同時にスタッフにも着目することも重要です。それは「支援者が計画通りにサービスを提供
できているか」であったり、
「スタッフの足並みが揃っているか」モニタリングするというところです。利用者に言っていることがバラ
バラだったり、提供する支援内容が違っていたりなど、スタッフが同じ方向を向いて支援をしなければ利用者が不利益を受けてしま
います。
障害福祉サービスを利用するすべての障害者にサービス等利用計画を作成することとなったいま、これまでサービス提供が若干
手薄だった
【C群】の利用者の声にサービス管理責任者と相談支援専門員があらためて耳を傾けることになります。そして、ニーズに
応じてサービス管理責任者と相談支援専門員はそれぞれの役割にもとづいて連携しながら利用者の夢や希望の実現を支援してい
くでしょう。しかし、相談支援専門員はまだ、十分な質と量が担保されていません。そして、サービス管理責任者と相談支援専門員の
連携技術も不十分です。相談支援専門員とサービス管理責任者が質を高めていくためにも両者が効果的に連携して行くことが必要
です。
質を高めていくためには量をこなすことが近道だと思います。計画をこなし、各種ケア会議(サービス担当者会議、個別支援会
議)を繰り返すことでしか質は高められないと感じます。
1
質を高めるためには量をこなす
ことが近道。
2
良い連携や、良いチームを作るには
何よりも練習が必要。
全ての障害者に計画を立案することをチャンスと捉えて、障害者一人ひとりの幸せの実現のために、サービス管理責任者と相談支
援専門員は改めて連携を技術として身につけなければならない時期に来ています。
18
3 事例 1
3
事例 1
福祉サービス利用中で受給者証更新を機に、サービス管理責任者と
相談支援専門員が連携してサービス等利用計画を作成する事例
鈴木太郎さん【仮名】は、父親の死去後一人暮らしになったことや、相続問題で次第に精神的に調子を崩し、精神科を受診し、
2回入院治療も受けました。二回目の入院で、退院先としてグループホームを紹介され、退院後の日中活動として、りんご作業
所を利用することになりました。下記の図は、太郎さんの概要です。
鈴木太郎さんの当初の概要
図表14
基本情報
鈴木太郎さん
(42歳 男性)
統合失調症 合併症なし 障害年金2級 区分3
精神障害者手帳あり
住環境・経済状況
文京区内アパート
1LDKで家賃7万円
父の遺産を保佐人が
管理
現在の意向
1日の生活サイクル
▲
就寝
シャワー
帰宅
▲
週間生活サイクル
外食
9 19 20 22
作業所
朝食
起床
7
外食が中心。
自ら調理することは
ない。
掃除
お風呂のカビ。部屋にチラシなど
がたまっている。本人も居心地の
悪さを感じているが、
自室に掃除
道具がない。
入浴
毎日シャワーを浴びるのが日課。
買い物
移動
「作業所がないときの過ごせる場所や過ごし方を一
緒に考えてほしい。解決したい。」
「お風呂をきれい
にして、毎日シャワーを気持ちよく浴びたい。」
6
食事
服薬
管理
月に数回飲み忘れがあるとの
こと。
金銭
管理
毎月10万円で生活。浪費するこ
ともない。
(財産は保佐人が管理
している。)
趣味
漫画を読む。ラジオ鑑賞(テレビ
は部屋にない。)
喫煙
飲酒
無
医療状況
家族構成
処方内容:リスパダール錠1mg×1T
ワイパック錠0.5mg×2T セロクエル錠100mg×2T アキネトン錠1mg×1T アーテン2mg×1T(昼・夕・寝)
マイスリー錠10mg×1T レンドルミンD錠0.25mg×1T
ベゲタミンA×1T コントミン糖衣錠50mg×1T
プルゼニド錠12gm×1T(寝)
叔父保証人のみ
弁護士:保佐人
初診後2回入院
クリニック通院 1/2W
家族等関係
サービス・支援者
主治医
作業所
本人
保佐人
叔父
GHスタッフ
月曜から金曜日中は作業所で過ごし、それ以外は自宅で過ごせないため外で時間をつぶしている。
対人・性格傾向
42
▲
現在
引っ越し
36
アパート1階
35
被害妄想等
33
アパート生活
32
りんご作業所
退院・GH
31
精神科入院
ホテル転々
23
相続問題
父死去
22
警備員
20
ボストン留学
「作業所の工賃よりも収入を得ら
れるようになりたい。」
「英語の勉
強して、海外旅行に行きたい。」
18
専門学校
浪人生活
0
卒業
母死去
希望
生活歴
出生
温厚な印象。聞き上手。周りへの
配慮もでき社会性ある。 野中猛先生(日本福祉大学)
【WBアセスメント手法】
図表15 事例1に登場する支援者の一覧です。
太郎さんの支援者図
おじさん
弁護士さん
りんご作業所 サービス管理責任者 香川 勝さん
相談支援センター「ひまわり」
相談支援専門員 神山 信二さん
(指定特定相談支援・指定一般相談支援)
今年度4月から指定特定相談支援事業を
スタートしたばかりの相談支援事業所。
しかし、利用者の夢や希望の実現にむけ
て頑張っている熱い事業所です。
サービス利用
計画って?
鈴木太郎さん
(男)
統合失調症
42歳
(就労継続支援B型)
内職(DM封入作業)を中心とした作業をしている
事業所。旅行やバザーなどは利用者の自主運営を
心がけ、実行委員や係などの役割を皆で行なって
いる。
りんご作業所の職員さんは内職の調整や係
活動のサポートでちょっと忙しそうです。
いちご介護センター
(居宅介護)
ヘルパー 伊藤さん
メロン活動支援センター
(地域活動支援センターⅠ型)
支援員 滝 茜さん
山口先生
19
グループホームみかん
(共同生活援助)
世話人 西山さん
3 事例 1
さて、
9年前利用の退院調整で、グループホームに入ることが決まった鈴木太郎さんの日中活動先として、旧精神障がい者地域
生活支援センターのセンター長だった香川さんに利用打診の相談が入りました。そこから、サポートブックの事例がスタートします。
21頁22頁の図表17では、事例の経過を表しています。ご参照ください。
① 当時計画相談支援はありませんでしたから、香川さんは、鈴木太郎さんに面会し、太郎さんからお話を伺い、利用契約を結び、
アセスメントを実施しました。
(19頁 図表14)
② 開始と同時に、個別支援計画を策定しこの計画に沿って支援を継続しました。
③ 太郎さんから、今後の希望が語れるようになり、個別支援計画を見直しました。
(図表16)
図表16
サービス等利用計画導入前
④ 鈴木太郎さんの自宅に、通所しているりんご作業所(就労継続支援B型)の受給者証更新のお知らせと同時に、
「サービス等 利用計画(案)提出依頼」が届きました。
太郎さんは、書類の内容がよくわからなかったため、
りんご作業所のサービス管理責任者の香川さんに相談しました。
香川さんは、近隣の複数の相談支援事業所の特徴について情報を提供し、どこの事業所にするか一緒に考え、太郎さんは、相
談支援センターひまわりに計画相談支援をお願いしました。
相談支援専門員の神山さんは、鈴木さんから情報提供の許可をもらって、サービス管理責任者の香川さんから、当初のアセス
メント情報や、作業所利用で明らかになった情報の提供を受けました。
(図表14、図表16)
⑤ 鈴木太郎さんは、
りんご作業所の香川サービス管理責任者同席のもと、計画相談支援委ついて説明を受けました。
⑥ 計画相談支援をお願いすることになったので、届出書に押印しました。
⑦ そして、引き続き、相談支援専門員の神山さんは現在の生活状況や今後の希望について、鈴木さん本人と香川さんからお話 を伺い、在宅支援の必要性を感じ、関係者にも話を聞きました。後日アセスメント票としてまとめました。(図表18、図表19)
⑧ 相談支援専門員は、集めた情報から鈴木さんに必要な支援をサービス等利用計画(案)を作成しました。(図表20、図表21)
⑨ 鈴木さんを中心にサービス担当者会議が開催され、関係者と一緒に意見交換を行い、計画(案)は微修正されました。
⑩ サービス等利用計画を市町村に提出し、追加された新たなービスの支援が開始されました。
⑪ りんご作業所では、香川サービス管理責任者が、サービス等利用計画を元に、太郎さんの希望を実現するためのより具体的な
修正個別支援計画を作成し、再スタートしました。(図表22)
20
3 事例 1
図表18
太郎さんや関係者から得た情報で作成したアセスメント票
利用者氏名:鈴木太郎
相談支援専門員:神山 信二
1. 住まいについて
本人の希望・困っていること
お風呂が汚れていて困っている。
毎日シャワーを浴びているが、気持ちよく浴びるためにきれいにしたい。
現在の状況
グループホーム近くのアパート1階の賃貸 7万円の1ルーム。
ユニットバス、
トイレ付・収納する押入れもある。日あたりは悪く、日中薄暗い。
TVはなし。
(ラジオで充分楽しめる。)
アセスメント日:平成25年8月11日
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
お風呂のカビがすごくカビキラーでは落ちないほど汚れ
ている。本人は毎日利用しているが、汚れをすごく気に
している。
洗濯を外には干すところがないので、室内に干している。
ときにはベッドにかけて干すこともあり、工夫が必要。
ラジオのみで生活しているのは視覚刺激に弱いのだろ
うか?
着眼点 : ○現在利用しているサービス ○住環境 ○持ち家、借家(アパート等)
2. 日常生活について(清潔の保持や食事にかかわる事項)
本人の希望・困っていること
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
整理・整頓は苦手だが、ADLに大きな支障がないこと
が強み。食事には偏りがあるが、本人はあまり気にして
いない。
夜はグループホームの交流室、土・日は地活センター、
図書館、スポーツセンターなど過ごせる場所を提案して
いきたい。
また、整理・整頓や掃除の支援のためにヘルパーを利用
し、日中ヘルパーと部屋で過ごすことができないか確認
したい。部屋がきれいになることで居心地がよくなるか?
性格的にも温厚な印象であり、支援者からの助言にも
耳を傾ける方なのでいろいろ提案して解決したい。
『夜、土・日』の過ごせる場所、過ごし方を一緒に考えて、解決したい。
部屋を整理して、居心地をよくしたい。
現在の状況
食事は外食が中心。朝は喫茶店・昼はコンビニ弁当・夕は松屋など。
調理はしない。食事に偏りがある。
入浴は毎日シャワーを浴びている。
書類とチラシが混ざって、部屋の隅に置かれていたり、引越の段ボールに入ったままの
物がいくつか置かれていて、部屋を狭くしている。
洗濯は週2回程度行っている。
妄想的な症状があり、部屋にいる時間が20時∼7時のみ。
着眼点 : ○ADL ○食事 ○入浴 ○清掃 ○整理・整頓 ○書類の整理 ○買物 ○生活リズム
3. 日中の主な活動の場について
本人の希望・困っていること
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
作業所(就労継続B型事業)の工賃よりももう少しお金がほしい。他のメンバーの人が 事業所を9年間利用しているということもあり、活動に
仕事をしている様子を見て、チャレンジしてみたい気持ちと作業所以外の仕事ができる 慣れている。作業やレクの準備などやることも多く、
のか自信がない気持ちが五分五分。
余計なことを考えずに楽しく利用している。
工賃が毎月15,000円程度のため、事業所の利用負担で
現在の状況
なくなってしまうことに残念な気持ちがある。
就労継続B型事業を週5日通所。
最近、就労移行を利用して就職したOBの話を聞いて、
主にDMの封入作業、ポストカードの袋詰めなど内職作業の仕事を行っている。
就労したい気持ちもあるようだが、自信もない。
また、毎週木にマンション清掃にも参加(事業所内のグループ就労)。
お金を少し貯めたい気持ちがある。
バレーや旅行、バザーなど事業所内のプログラムも積極的に参加。メンバーの信頼も
あり、楽しく利用している。
着眼点 : ○現在利用しているサービス ○就労に関すること ○教育に関すること
4. 健康管理、療養生活について
本人の希望・困っていること
においをまかれている(タバコのにおいやくさいにおい)人に見張られているという
妄想があり、部屋にいれる時間は20時∼7時のみのため、とくに
『夜と土、日』の過ごし
方にこまっている。
現在の状況
服薬管理は自己管理で行っている。月に数回飲み忘れることがある。
部屋に対する妄想に対しては、病気の認識はない。
「主治医には症状とはっきり言われ
たが、ご本人は違う。症状でない。」と否定していた。
肩こりがひどく、針治療に毎週通っている。ときにはマッサージも利用。
それ以外の症状はなく、作業所も毎日通所している。
健診結果は良好。
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
服薬拒否はないが支援者が確認していないのが現状。
においをまかれている、人に見張られているという妄想
は発病当初からあるようで、医療とも連携をとりながら、
部屋以外に安心して過ごせる場所を一緒に考えていく
必要がある。
薬の飲み忘れに対して支援が必要かモニタリングを
通じて判断していこう。
着眼点 : ○服薬管理 ○食事管理 ○病気に対する認識等
5. 金銭管理や経済面について
本人の希望・困っていること
少し使えるお金を増やしたい。でも、無駄遣いはしたくない。
現在の状況
マンションの家賃収入で生活。弁護士が保佐人になっており、毎月10万円(家賃は含ま
れていない。)で自己管理して、生活している。浪費はない。
作業所の作業工賃が15,000円/月あるが、物足りなさを感じており少し使えるお金、
貯金を増やしたいと考えている。
財産がどの程度あるのか、ご本人は分からない。
着眼点 : ○経済環境 ○金銭管理(通帳の管理、銀行の利用、お金の使い方等)
23
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
経済的にはとても裕福。しかし、保佐人が管理している
ため、毎月10万円以上は使えないと本人は思い込んで
いる。
旅行代などが捻出できないか、保佐人も交えて相談が
必要である。
本人が預金残高を知らないのは何か理由があるの
だろうか。
3 事例 1
図表19
6. 趣味や生きがい、レクリエーションなどについて
本人の希望・困っていること
旅行に行きたい。とくに海外旅行(イングランドプレミアリーグ)に行ってみたい。
その時のために、英語も勉強しておきたい。
現在の状況
家での趣味はラジオと漫画(マガジン)が主。
作業所の旅行が楽しみ。
サッカー観戦(母校の観戦に行った。)
英語が得意だった。
(今はあまり覚えていない。)
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
作業所で行く旅行はとても楽しみにしているが、
年に1回なので、もう少し旅行に行きたいと思っている。
イングランドプレミアリーグに行って香川を応援したい
夢がある。
英語を学ぶ意欲がある。本人に合う英会話教室を
一緒に探すのはどうか。
着眼点 : ○趣味 ○余暇の過ごし方 ○レクリエーションへの参加等 ○旅行 ○当事者活動 ○社会的活動
7. 相談したり日常生活を支えてくれる人について
本人の希望・困っていること
親戚の叔父とも会っていないので、作業所のスタッフが頼りです。
香川さんは忙しそうだから、遠慮してしまうこともある。
現在の状況
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
特定のスタッフではなく、関わる複数のスタッフに相談
する事が出来るようにならないか?
地域定着支援の利用の必要性はないだろうか。
弁護士と相談できるようにならないか?
(とくに金銭面)
主な相談相手は作業所のスタッフです。
以前利用していたグループホームのスタッフも相談したいが、卒業してしまったので、
遠慮がある。
弁護士とは生活費が10万円で足りないときに連絡している。
着眼点 : ○現在のサービスの利用状況 ○家族の支援 ○相談しやすいひと ○他の関係機関等
8. コミュニケーションや対人関係について
本人の希望・困っていること
困った時、悩んだ時に遠慮してしまうことが多く、一人で抱えてしまう。
積極的に相談できるようになりたい。
現在の状況
言葉数は少ないが、意思疎通、言語理解も問題ない。男性女性とも苦手意識は無い。
聞き役、突っ込まれ役になる事が多く、声をかけられるのは嬉しい。
慣れた支援者から尋ねられれば、自分の気持ちを少しずつ話せる。
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
支援者の声掛けには、自分の気持ちを話せるが、
自ら相談することが少ない。
また、作業所では安定した様子なので、スタッフも
見守りの支援になりやすいので、注意。
相談して、解決したいと思っている。
着眼点 : ○意思表示の手段 ○意志伝達の程度 ○他者からの意志伝達の理解 ○対人関係 ○PCや通信機器の利用 ○筆記
9. 安全管理や緊急時について
本人の希望・困っていること
悩みを一人で抱える事が多い。
現在の状況
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
悩みを一人で抱える事が多い。
地域定着支援の必要性があるのではないか?
周囲の安全、火の始末など安全管理は問題ない。
自宅で火を使うことがない。携帯電話があり、自分でかけることはできる。
着眼点 : ○周囲の安全確認 ○火の始末 ○自殺ないし自傷行為 ○社会的適応を妨げる行為 ○緊急時の対応
10. 家族の希望
(叔父)
「私も高齢なので面倒をみることはできない。」
「アパートの保証人にはなるが、それ以外は自分でやってほしい。」
11. 地域の状況等特記事項
自宅は地下鉄の駅、都バスのバス停もそばにあり、移動は便利。グループホームも徒歩で3分の距離。
病院や作業所、就労系サービス、市役所等が比較的近くにある。
(徒歩20分圏内) 上野公園、動物園、美術館、博物館、植物園、図書館、スポーツセンターなどの公共施設が充実している。 地域活動支援センターの交流室が土曜日も開所している。
障がい者と健常者が交流することを目的としたフットサルチームがある。
私が望んでいること・うまくやりたいと思っていること // 心配なこと
「作業所が休みの時も安心して過ごしたい。」
「部屋やお風呂をきれいにして、居心地よくしたい。
(部屋がきれいになれば、少し居たいと思うかなぁ。)」
「月5万円くらいの収入を得られるようになりたい。」 「英語の勉強をして、海外旅行(イングランドプレミアリーグ)に行きたい。」
24
3 事例 1
サービス等利用計画(案)と週間計画(案)を作成後、市町村に計画(案)を提出。
サービス担当者会議開催後にサービス利用計画を再提出したサービス等利用計画。
図表20
図表21
25
3 事例 1
サービス管理責任者が、サービス等利用計画を元に、修正した個別支援計画
図表22
26
3 事例 1
『サービス等利用計画』
と
『個別支援計画』
を組み合わせた
1年後の生活についてインタビュー。
Q
A
現在、どのような生活を送っていますか?
苦労して貯めたお金で、ひさしぶりに旅行にいこうと思います。
海外旅行と考えていたけども、英語に不安もあるので、とりあえずは近場に行こうと考えています。
また、フットサルチームにも入り、土日は練習だけでなく試合があるので楽しみです。ザックジャパ
ンみたいな本格的なチームなんですよ!
Q
相談支援のサービス等利用計画と事業所B型の個別
支援計画を組み合わせてみていかがでしたか?
A
りんご作業所を利用した当初は、すぐ就労するつもりでした。
しかし、いつの間にか作業所は居心地がよく、楽しく過ごしているうちに一生りんご作業所が自分
の居場所になると思っていました。
今回、応援してくれる人が増えて、生活がより充実して、また就労したい気持ちがでてきました。
Q
どんなところがよかったですか?
A
まさか、香川を見に行くことを本気で皆が考えて応援してくれるなんて思いもしな
かったです。1人だと前に進めない不安があるけれども、多くの相談相手がいると安心
e
u
r Leag
Premie
できますね。
でも、皆の前で夢とかを話すのは少しはずかしいかな(笑)
へルパーさんと一緒に掃除や片付けをして、だいぶ快適な部屋になりましたよ。それ
に、今より多くの賃金を得られる事業所があると教えてくれたのはありがたいです。
Q
A
Q
A
不安はありませんでしたか?
色々な人が関わるようになったので、最初は大丈夫か不安だったけど、長い付き合いの香川サビ管さんが、間に入っ
てくれたり、今までの事を伝えてくれたおかげで、とても心強かったです。
他の利用者さんにこの組み合わせを、勧めたいと思
いますか?
勧めたいと思います。
いつの間にか夢や希望を忘れて、作業所に毎日来ることが目標になっている私見たいな人がいるん
じゃないかな。作業所で楽しく過ごすだけでなく、夢を叶えるためにいろいろな人が協力してくれる
ことを伝えたいです。
みんなの夢が叶ったら、りんご作業所もより楽しく過ごせる作業所になると思うんです。振り返り(モニタリング)の
相談もあり、親身になって聞いてくれています。計画の内容を途中で変更もできるらしいです。
本当に色々な人と出会えるし、色々なアイデアが出てきてよかったと思います。応援してくれる人がたくさんいて安
心して暮らしていますから。
27
3 事例 1
『サービス管理責任者にインタビュー
Q
相談支援専門員と連携して、大きく変わったことは
ありますか?
A
元々個別支援計画は作成していましたが、受給者証の更新を機にサービス等利用計画が策定されるということで、
正直不安になりました。相談支援専門員の方に③の個別支援計画を情報提供したときに、
「この個別支援計画って、
サービス等利用計画のようですね?これだけ色々な太郎さんの思いがあるのなら、りんご作業所だけでぜんぶやる
のは難しいんじゃない?一緒に考えましょう」と言われたんですね。その時に、サービス等利用計画と個別支援計画
の違いがわかっていなかったとわかりました。
初顔合わせに同席させてもらって、改めて鈴木さんの思いを聞かせていただき、日ごろ
の鈴木さんの支援で不全感やジレンマに感じていたのですが、サービス等利用計画を
元に担当者会議に参加し、必要な支援を全部自分たちで提供するのではなく、他のサー
ビスとの組み合わせがあることで、自分たちの役割がはっきりしました。個別支援計画
と支援方法が大きく変わりました。
Q
よく連携が重要といわれますが、連携の姿は
見えてきましたか?
A
はい。最初は太郎さんとりんご作業しかなかったのですが、別の視点から相談支援専門
員の神山さんにアセスメントしていただくことによって、グループホームみかん・いちご
介護センター・メロン活動支援センターと、太郎さんの生活に張りが出る皆さんが集まっ
て、支援の輪ができて、サービス等利用計画の導入前と導入後で太郎さんの地域生活は
世界が変わったと思います。
Q
A
連携のポイントがありますか?
私が伝えたいポイントは、3つです。
サービス等利用計画は、
引いて全体を見渡す「鳥の目」。個別支援計画は、近くで丁寧
1
にきめ細かくみる「虫の目」。サビ管の方が「私たちの方が細かいことを知っている
のよ。」なんて言いますが、まさにその通りだと思います。それぞれの役割を知ること
がポイントです。
3 つの
ポイント!
2
本人を中心に、
サービス管理責任者・相談支援専門員などの関係者が、本人の承諾の元、
情報やそれぞれの計画内容と共有することは、支援者だけではなくて、ご本人も自身の
視野が広がり、相乗効果をもたらします。
3
良い連携や役割分担をするためには何よりも練習が必要です。
それは、とにかく一緒に
やることです。これからオールケアマネ(必要な人全員にサービス等利用計画と個別支
援計画のセットでマネジメント)を目指すためには、どこの地域でも練習をサボれない
んじゃないかなと思います。
28
4 事例 2
4
事例 2
緊急にサービスの導入が必要となり、スピード感が必要なサービス等
利用計画作成のコツ
父 80歳
ぶどう訪問介護事業所
(居宅介護) サービス提供責任者
安増 玲子さん
相談支援センター「なでしこ」 相談支援専門員 加藤 恵子さん
(基幹相談支援センター・指定特定相談支援・
指定一般相談支援)
基幹相談支援センターを受託する。個別給付に
つながりにくい方のフォローアップや指定相談
支援事業所のバックアップなど守備範囲が広い
頼りになる相談支援事業所。
梨就労支援センター
(就労継続B型)
サービス管理責任者
松本 美紀さん
千葉花子(女)
統合失調症・てんかん
55歳
南精神科病院 佐藤精神科医
栗地域包括支援センター
ピーチ訪問看護ステーション
ケア荒川ジャー (精神科訪問看護)
山田 健二さん
看護師 吉野 菜々さん
基本情報
生活サイクル
医療状況
ほとんど自宅で過ごす
千葉花子さん
(55歳 女性) 統合失調症 てんかん 障害区分2
精神障害者手帳
荒川成年後見センター
(日常生活自立支援事業)
専門員 清水 由香さん
ADL・IADL
できる能力は持っているが、
やれていない
現在の意向
家族構成
精神科通院 1/4W
てんかん発作 2/月
処方内容:カルバマゼピン錠200mg
カルバマゼピン錠100mg
バルプロ酸ナトリウムSR錠200mg「アメル」
デパス錠0.
5mg
経済状況
「この家で暮らしたい」
「タバコと競馬は続けたい」
「父が心配」
住環境
父の年金で生活
本人年金未申請
家族の意向
自分も年老いてきた。いつ迎えがくるかわからない。
娘のことが心配で死んでも死にきれない。作業所にも通えなくなっ
たし、生活も荒れてきた、
どうしたらいいか。他の兄弟には昔、迷惑を
かけたこともあって娘のことでは頼れない。障害年金の管理も自分
がしていたため、
自分が出来なくなったことを考えると不安。
持家 古い木造平屋で4部屋、
土間に台所
サービス・支援者
父
父の友人
本人
主治医
包括支援センター
民生委員
生活歴
就職活動をするが無職
55
▲
現在
49
作業所退所
48
作業所通所
てんかん発作
30
退職
農業高校
卒業
出生
2.第一次アセスメント・申請
6.モニタリング・フィードバック
3.サービス調整・認定調査
4.担当者会議・サービス開始
29
5.個別支援計画作成・モニタリング
7.ケア会議
個別支援計画
の変更
1.出会いから訪問
サービス等利用
計画の変更
➡
サービス担当者会議
➡
モニタリング
個別支援計画の実施
➡
サービスの提供
個別支援計画
個別支援会議
個別支援計画
の原案
アセスメント
➡
継続サービス
利用支援
︵モニタリング︶
野中猛先生(日本福祉大学)
【WBアセスメント手法】
サービス等
利用計画
サービス担当者会議
サービス
事業者
支給決定市町村
サービス等
利用計画案
アセスメント
相談支援
事業者
➡
20
が誘因となり
18
薬品会社
就職
10
てんかん
0
4 事例 2
1
出会いから訪問へ
千葉花子さんは、意欲が低く引きこもりがちな生活をしており、同居の父親の体調悪化に伴い、生活環境がかなり荒れ
ている様子でした。
80歳を過ぎた父が、
「栗」包括支援センターに自分の体調の悪化で1週間後に入院が決まり、花子さんを一人で生活を
させなくてはならないと、生活での困り感を相談してきました。
「何よりも気になるのは、働いていない統合失調症の娘がいること。娘は外に出る意欲も低くてね∼。」
これは、父のことよりも娘さんの支援が必要だと判断した包括支援センター職員は隣にある相談支援センターの職員を
呼びました。
相談支援センター
「なでしこ」
栗地域包括
支援センター
相談員は来所時に父から得た情報を
整理します。
1週間で父が入院!
なかなか外に出られない!
家族含めてまわりに支援者なし
すぐに支援を
導入しないと!
➡
・月1回精神病院には通院できている。
・父と2人暮らしで家族とは疎遠である。
➡
・ごはんと味噌汁は作ることができる。
・外には銭湯に行く程度。 ・なかなか外に出られない。
・人見知りであり、初めてが苦手 ・父と20年近く2人暮らし。
・1週間で父は入院してしまう。
地域包括は、花子さんに支援が必要ではないかと、相談支援センター「なでしこ」に相談が入り、相談支援専門員の
加藤さんと一緒に訪問して確認しました。
加藤さんは、
「これは、至急サービスを導入しないと!」と判断しました。
1週間後には支援
に入ってくれるホ
ームヘルプ事業所
を探す!
明日、包括の職員
とご自宅を訪問
する約束をする!
ぶどう訪問介護事業所は、花子さんの家からも近い
かな。緊急でかつ慎重に関係作ってほしい。ぶどう
市役所に一報を
入れて、緊急利用
と計画の作成め
どを伝える!
➡
事業所なら大丈夫では・
・
・。
緊急で来週から支援が必要な方がいるん
だけど、お願いできそうかな?
➡
➡
調整しますね。支援内容や配慮店など
わかったらまた連絡待ってますね。
ぶどう訪問介護事業所
(居宅介護)
日常からの事業所とのやりとり。事業所の特徴や空き情報のやり取りは、緊急ケースの命綱
30
4 事例 2
2
第一次アセスメント・申請へ
病院との連携・訪
問看護ができるか
聞いてみよう!
相談員は本人と父から暮らしぶりや困りごとを聞き取ります。
また、家の様子を感じ取って整理します。
・自宅が冬のままである
➡
・掃除や洗濯・買い物が難しい様子。
・服薬管理も支援が必要な様子。
・将来は年金申請や金銭管理もいるかも。
・競艇やたばこはやめらない。
・どこか働くところがあるといいんだけど。
まずはホームヘ
ルプ(家事援助)
の申請が必要だ!
計画作成
父の状態を考え
ると成年後見も
同時進行だな∼!
・てんかん発作が不安な様子。
翌日すぐに包括支援センターの職員と自宅を訪問しました。
もう夏なのにコタツがあり、父の汚れた布団が敷きっぱなしであり、たくさんの書類が積みあがっていました。
お部屋に入ると花子さんが不安げに座っており、耳の遠い父が大きな声で話をするのを不快な顔をして見つめていま
した。挨拶をすると、照れくさそうな顔で答えてくれました。
父の入院は知っており、どうしようと思っていたと話してくれました。
今の暮らしを維持する
ための支援を申請しよう
➡
花子さんとの相性も確認が
必要だけど。まずは事業所
➡
への仮アポを取ろう!
➡
➡
花子さんに必要な支援や
掃除や買い物はすぐ必要!
1人の暮らしに不安がいっぱい
この家で今みたいに暮らしたい
➡
配慮点を説明。来週からだ
けどと緊急性も説明。花子
さんと会う日も調整。
緊急性の高い 計 画を急 い で 作るには
手元にあるアセスメント表(当初)は・
・
・
包括に来た父から
の聞き取り情報
&
その後自宅訪問を
し て 父 、本 人 から
把握した情報
緊急性があるからじっくり
アセスメントができないわ。
まずはサクサク作るわよ!
31
ここで出てくる日ごろからの連携!
日ごろのやり取りあればこそ、どの事業所が
どんな支援に強い?
どんな時間帯なら対応できる?
すぐに対応してくれる
事業所に仮アポを取ります。
4 事例 2
アセスメント票(当初)
図表23
利用者氏名 : 千 葉 花 子
アセスメント日 : 平 成 2 5 年 4 月 1 日
相談支援専門員 : 加藤 恵子
1. 住まいについて
買い物に支援が
必要みたい
本人の希望・困っていること
父が草とりをしろとうるさい。
この家で暮らしたい。他のところにいくと買い物する場所もわからなくなる。
現在の状況
父の布団は失禁が見られ、万年床の様子。ゴミが落ちているという感じではないが、
夏でもこたつがそのままある。古い木造1階建て。持ち家。
4部屋あり、土間に台所があ
る。家の外にトイレがある。
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
年代物の電化製品が多く、壊れて使用ができないもの
もある。
本人が使えない要因の一つに昔ながらの電化製品で
工程が複雑なこともあるのではないかと推測する。
着眼点 : ○現在利用しているサービス ○住環境 ○持ち家、借家(アパート等)
掃除にも支援が
必要みたい
2. 日常生活について(清潔の保持や食事にかかわる事項)
本人の希望・困っていること
食事はとれている(本人いわく)父は朝・昼兼用でモーニングに行っており、晩御飯は
ビールと惣菜。父が米と卵を買っていてくれるが、時々忘れいてることがある。
銭湯は週1回行くかな?あそこは時々、湯が冷たい!と言っている。
現在の状況
お米は自分で炊けている様子。ただ、保温機能のないガス炊飯器であるため、翌日には冷
たいご飯になっている。父が米や卵は買ってくれてはいるものの、最近は忘れてしまってお
り、本人との喧嘩になることもある。
1500円で3日分の食費とタバコ代だと言われている。
お風呂は父に即されてなんとか近くの銭湯に行くが、父もめんどくさくなっているようで、
なかなか銭湯にも行けておらず、臭うこともある。朝は早く起きて、父とともにTVを見た
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
健康を維持する食事がとれていない様子。食事の改善
と、作る気持ちや能力はある様子なので、作れるように
なると良いのではないか。
清潔については、あまり意識がない様子。即されれば行
くことはできるので、即す人が必要。
銭湯に行く声掛けが
必要みたい
り、タバコを吸ったり、ラジオを聞いている。
着眼点 : ○ADL ○食事 ○入浴 ○清掃 ○整理・整頓 ○書類の整理 ○買物 ○生活リズム
3. 日中の主な活動の場について
本人の希望・困っていること
今は、家にいる。昔は、仕事をしていた。
K事業所にも行っていたことがある。
現在の状況
小さいころからこの家に住んでいて、O小学校・O中学・H農業高校に行き、仕事を10
年くらいしていた。
(仕事は薬の営業の仕事だったとのこと)免許あり。ただし、てん
かんで倒れて以来、医師の指示により乗ってはいない。現在利用しているサービスは
なし。父との折り合いもあまり良くなく、喧嘩をすると家を飛び出したり、逃げるため
に、家の庭にある物置小屋でタバコを吸っていることもある。
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
父との関係にも言えるが、同じことを何度も言われた
り、大きな声で注意されると、その場にはいられない
様子。
着眼点 : ○現在利用しているサービス ○就労に関すること ○教育に関すること
4. 健康管理、療養生活について
本人の希望・困っていること
自分はわからんけど、月に2回くらい夜中に発作があるみたい。
(父が起きると言って
いる)体は悪くないと思っている。
現在の状況
てんかんが夜中に月2回ほど朝方にあり、全身けいれんで数分。嘔吐もある。その日
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
てんかんはかなり大きい発作である様子。
本人は健康だと言っているが、生活習慣などから一度
健康診断等も必要だと思われる。
は機嫌が悪く、そういう日にトラブルを起こすことが多い。てんかんは小学生のころ
からあったが、大人になって倒れるまでは出ていなかったと思うとのこと(父)てん
かん以外は病はないと思うとのこと。健康診断などはしていない。
着眼点 : ○服薬管理 ○食事管理 ○病気に対する認識等
5. 金銭管理や経済面について
本人の希望・困っていること
3日で1500円で過ごしている。たばこが高くなって困っている。でも父もお金がない
んだよね。
現在の状況
父と本人は父の年金(国民年金程度)で暮らしており、かなりギリギリの生活をしてい
る。本人はまだ障がい年金の申請をしていない。
父は本人が小さいころにてんかんでかかった病院を覚えていない。
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
金銭の意識はしっかりしている。
年金の申請の手伝いとその管理をどうするかが課題
である。本人に渡してしまうと数日で使ってしまうと
父は言っている。
着眼点 : ○経済環境 ○金銭管理(通帳の管理、銀行の利用、お金の使い方等)
32
4 事例 2
図表24
6. 趣味や生きがい、
レクリエーションなどについて
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
本人の希望・困っていること
父とたまにいく競艇が楽しみ。
隣町の競艇に行くことを楽しみにしている。
現在の状況
競艇には仲間は
いるのかな?
隣町にある競艇場に父と日曜日に行くことを楽しみにしている。
着眼点 : ○趣味 ○余暇の過ごし方 ○レクリエーションへの参加等 ○旅行 ○当事者活動 ○社会的活動
7. 相談したり日常生活を支えてくれる人について
本人の希望・困っていること
友達はいない。兄もどこにいるか知らない。父の友達が時々話に来るくらい。
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
昔の本人の行動から兄弟は疎遠であるが、いざとな
れば相談員も連絡先は知っており、連絡を取ることは
可能。
現在の状況
本人の友達はいない様子。兄弟も3人いるが、連絡先もわからない。
父は知っており、本人にわかることを恐れて自分がいつも持ち歩くバックに連絡先や
貴重品を入れている。もう一人の弟は行方知らず。父の友人がたまに自宅に来たり、
電話で連絡をする。本人も何かあったらその人に連絡すればいいと思っている。
近所にも父含めて迷惑(酔っ払って自販機の前で寝て
いる)をかけている。
兄弟とのやりとりは
どう行おう?
着眼点 : ○現在のサービスの利用状況 ○家族の支援 ○相談しやすいひと ○他の関係機関等
8. コミュニケーションや対人関係について
本人の希望・困っていること
父がうるさいとこと言ってきて困る。大きな声で怒鳴ってくる。
昔、作業所で文句を言われたりした。
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
現在の状況
父が耳が悪く、どうしても大きな声になってしまう。何度も同じことを言うのが苦
痛な様子。一緒に楽しいことをしているときはそうでもない。電話は苦手なようで
出ない。
大きい声の人には反抗的な態度になってしまうが、女
性や優しい雰囲気の人には慣れればいろいろと話を
してくれる。
着眼点 : ○PCや通信機器の利用 ○筆記
9. 安全管理や緊急時について
本人の希望・困っていること
食事も自分で作れている。
相談支援専門員の気づいたこと
(支援者として相談したい応援内容)
火の始末などは問題がない。自殺企図などもない様
子。何か言われると言い返す。言われていると思い込
むと言い返すなどはある。
現在の状況
食事も作れており、火の始末などは問題ない様子。
着眼点 : ○周囲の安全確認 ○火の始末 ○自殺ないし自傷行為 ○社会的適応を妨げる行為 ○緊急時の対応
どこか働けるとろが
あるといいのだが・
・
・
10. 家族の希望
父は80代であり、耳も遠い。父からは、自分も年老いてきた。いつ迎えがくるかわからないが、息子のことが心配で心配で死んでも死にき
れんと話している。他の兄弟にも以前に迷惑をかけているから頼れない。どこか働けるところがあって、なんとかここで生活していってく
れるといいんだが、困っても困ったと言えんだろうし、俺が倒れても救急車も呼べんだろうな。。。
11. 地域の状況等特記事項
民生委員の酒屋で買い物をしている。近所にも迷惑をかけているものの、見守ってくれている様子。
私が望んでいること・うまくやりたいと思っていること //
心配なこと
・このままこの家で暮らしたい。
お金の
心配がある
タバコ・競艇は
やめられない
お風呂が
入れてない
・父のことはそうは言っても心配である。
・父がいなくなった後も心配である。
・タバコと競艇は好きで続けたいと思っている。
33
てんかん発作
が不安
食事・掃除等が
不安
4 事例 2
3
サービス調整・認定調査
相談支援専門員
相談員は前日のアセスメントから必要なサービスを
計画に書き入れました。会ったばかりですが、緊急に
サービスが必要です。
花子さんのニーズと不安
・買い物や掃除ができない。
・薬の飲み忘れが不安。
・お金の管理に自身がない。
・お風呂をどうしよう。
に支援を組み立ててみました。
サービス等利用計画案を片手にこんな支援はどうですか?
と提案します!
相談員はセンターに帰るとすぐにサービス事業所と調整をし、事業所の協力の承諾を得ました。
同時に行政にも緊急性とすぐに認定調査をお願いしたい主旨を説明し、明日の認定調査をお願いしました。
その上で、翌日認定調査員さんと一緒に花子さんの自宅を訪問しました。花子さん了承のもと、認定調査員さんに第
一次アセスメントの情報を提供し、認定調スタート。
父が入院することに強い不安を抱いている花子さんに「こんな人がこんな協力をしてくれそうなのですが、明日会え
そうですか?」とサービス等利用計画案を示しながら提案しました。
同じ話を何度も話すのはつらい!
認定調査員
サービス管理責任者
緊急だけど、不安が募らない配慮を!
➡
相談員からの連絡を受けて、来週からの支援を組
み立てます。可能な時間帯や、こんな人が支援できそ
うだな∼という予定を準備して翌日の顔合わせの準
備をします。
申請書・サービス等利用計画に
捺印頂いて行政へ提出!
花 子さ ん が 今まで
通り、この家で暮ら
すために、こんな支
援があったらどうで
しょう?
支援やどんな人が何を手伝ってくれるのか説明し
て翌日の顔合わせ
こんな人たちが支援してくれるんだけど、どうかな?
荒川成年後見センター
(日常生活自立支援事業)
ピーチ訪問看護ステーション
(精神科訪問看護)
ぶどう訪問介護事業所
(居宅介護)
34
4 事例 2
図表25
図表26
35
4 事例 2
4
担当者会議・サービス開始へ
相談支援専門員
相談員は緊急に必要なサービス内容やサービスの
量を花子さんやサービス事業所に説明します。
・家事援助 1時間×週3回
・訪問看護 週1回
・成年後見 金銭管理 週1回
それぞれの役割とどんなことをしたらいいのかを
週間ケア計画を見ながら確認します。
いよいよサービス事業所のみなさんと顔合わせをしてサービススタートです。
自己紹介をして、花子さんの望む暮らしをお話しします。
「この家で暮らしたいと思っています。」
「掃除や買い物が不安です」
「てんかんは寝ている時にあります」第一次
アセスメントで聞いた内容を含めて相談員が付け足します。
「薬の飲み忘れなども手助けがあるといいなと話していました。」
「お金のやりくりにも不安があります」それぞれの
支援者の役割を説明しました。
お金のやりくりを
手伝います!
荒川成年後見センター
(日常生活自立支援事業)
掃除や 買い物は
私が支援します!
薬の飲み忘れを
支援します!
ぶどう訪問介護事業所
(居宅介護)
ピーチ訪問看護ステーション
(精神科訪問看護)
サービス管理責任者
サービス管理責任者は事業所に戻り、実際に支援する人の調整と個別
支援計画を作成します。
図表27
ホームヘ ルプの
個別支援計画
ぶどう訪問介護事業所
(居宅介護)
訪問介護計画
成年後見の
計画
荒川成年後見センター
(日常生活自立支援事業)
36
4 事例 2
図表28
5
サービス開始・モニタリングへ
相談支援専門員
相談員は初めての1人暮らしの不安を直接聞き取る
ことが大切です。顔を見て、家の様子を見ながら、
花子さんの変化を感じ、気持ちを聞きます。
・部屋は片付いてきた。
・花子さんは不安と言うより支援者の訪問を
待っている様子。
・父のことが気になる様子。
・近所の酒屋さんとの交流があった様子。
2週間が経過して
37
近所の酒屋に父の入院
の報告も含めて伺う。父
や花子さんの生活を聞く
ことができた!
4 事例 2
モニタリングの効果
視点は?
その結果、
どうする?
①計画に沿ったサー もし、ケア計画通りにサービスが提供されて
ビスが提供されてい いなかったり、あるいは利用者に不利な形で
るか
の サ ービス提 供が行 わ れ て いることが分
かった場合などには、利用者の立場に立ちな
がら仲介・調整を行います。
②計画に基づいた
サービスを提供する
ことで課題はないか
(利用者のニーズ解
決に向けた内容に
なっているか)
利用者に新たなニーズが生じていたり、ある
いは不必要なサービスが提供されていない
かどうかを確認します。必要があれば、再度
ニーズのアセスメントを行い、
「サービス等利
用計画」
を再作成します。
モニタリングとケアマネジメント
◆ケアマネジメントとは、常に変化して行く利用者や環境に
対応していく動的プロセス。修正や変更の必要が無い“完
璧”な計画はあり得ない。
◆だから、モニタリングでアセスメントを深めて、計画を変
更していく。
①直接サービス提供者から… ②サービス管理責任者から…
③利用者本人から… ④御家族等キーパーソンから…
③ 計 画 の 目 標 達 成 より効果的になるように、サービス提供事業
に向けたサービス提 所と一緒に、サービスの内容や提供方法につ
供となっているか
いて再検討します。
⇒モニタリングによりアセスメントが深まり、微調整や
軌道修正が出来る。
⇒まずは、計画作成をして、支援に着手しよう!
まだまだ花子さんのことがしっかりとアセスメントができているとは言えませんが、なんとかお父さんの入院までに今
の家で暮らしていくために必要な支援が整いました。
ここからが本当の花子さんを知っていく時間になります。相談員は、1人暮らしが初めての花子さんの家を訪問します。
不安なこと、意外に楽しめていることなどの話を聞いてきます。
一方で、相談員よりもたくさん関わりの機会のあるサービス事業所からも花子さんの様子やアセスメントを伺います。
サービス提供者
・病院にも今までの経過を聞いてみ
る必要がありますね!
・前に行っていた施設にも、経過を聞
いてみますね!
・書類のこと、違う視点から聞いてみ
ますね!
●本当に優しい人ですよ。何をし
ていいかわからないこともた
くさんあるみたいで、こちらか
ら声掛けをすると何でもでき
ます。
●洗濯機は動きません。触れな
いですが書類が気になります。
●最近前の施設の話をよくされ
ます。どこか出かけたいと。
●競艇が好きだって話をよく聞
きますね。100円200円かけて、
勝人競艇でうどんを食べるそ
うです。父と言っていたと。
●タバコを食事より優先してい
るみたいです。
●お風呂もお金が気になるよう
で。すこし、
1カ月の予測みた
いなものを一緒にかんがえて
みます。
●書類のことを話すと嫌そうな
顔をします。黄色くなっていて
何がなんだかわからないみた
いです。
ぶどう訪問介護事業所
(居宅介護)
荒川成年後見センター
(日常生活自立支援事業)
●発作は本人も気づいていない様
で嘔吐物でわかるみたいです。
●薬の飲み忘れが見られます。
●スナック菓子のゴミが多いかな。
●家がきれいになったねと話すと
すごく嬉しそうですよ。
●私にも競艇の話をしてくれます。
●こないだは勝ったからと缶コー
ヒーをどうぞと言われました。
ピーチ訪問看護ステーション
(精神科訪問看護)
38
4 事例 2
荒川成年後見センター
(日常生活自立支援事業)
専門員 清水 由香さん
ぶどう訪問介護事業所
(居宅介護) サービス提供責任者
安増 玲子さん
モニタリングと事業所からの
支援が入ることで、本来できて
フィードバックで本人の暮ら
いた部分、できるようになって
しぶりが見えてきました。
きた部分が見えてきました。
図表29
39
ピーチ訪問看護ステーション
(精神科訪問看護)
看護師 吉野 菜々さん
4 事例 2
雰囲気作りのツボ
花子さんは、大勢の前では緊張するタイプのようです。本人の
為の大切な計画の振り返りであることを伝えて,良くなったとこと
関係者
や、やれている所を丁寧に振り返ります。関係者に対しては、その
場限りではなく、日常的なやりとりを欠かさず、唐突に確認だけを
しないように日々の関係を大事にしましょう。本人の状況を確認し
て、互いのアセスメントを共有します。例えば花子さんは相談支援
花子さん
専門員とはヘルパーさんほどしょっちゅう会っているわけではな
いし、ひょっとしたら緊張も高いかもしれません。雰囲気作りとし
ては、ヘルパーさんの活動終わりに合流させてもらって、ヘルパー
さんがその日の最後の締めの活動をしているご自宅で花子さんか
ら聞き取りをするとかの一工夫もあります。
相談支援専門員
面接場所のツボ
本人にとって、どんな場所が落ち着けるかを相談し、教えてもら
うというのもいい手ですね。
関係者
「青空面接」の方が本音で話せるかもしれません。モニタリング
の場所は、面接室にこだわらず、自宅・事業所・公園のベンチ等、適
宜工夫しましょう。会議室で面と向かって会話するのでは緊張して
しまうので、ご本人にとってホームと思える場所、安心してしゃべ
花子さん
れる場所というものを探し出せると良いですね。
また、事業所に行く時は、忙しい時間帯を避ける等の配慮をしまし
ょう。この時間は忙しいとか、月始や月末ギリギリは忙しいからや
めておこうとか、なんとなく相手の立場も分かるかと思います。そ
うした気配りが、関係をよくします。
相談支援専門員
本人主体のツボ
花子さんは今の家で安心して生活したいという希望に対して、
私たちは花子さんの意向を最も重視していることを、言葉にして
関係者
伝えましょう。例えば希望に対して支援が役立っているか確認した
り、サービスの方向性を示すことで、不安を軽減できます。
関係者には、本人と会う前に支援者間で状況等を確認し、アセス
メントや今後の方針については、関係者間で事前に共有した方が、
花子さん
ご本人を混乱させなない場合もあります。ただ、あくまでも決める
のはご本人です。
相談支援専門員
傾聴のツボ
管理的で堅苦しくならない配慮がコツですね。
モニタリング調書やサービス利用等利用計画の順番通りに「これ
関係者
についてはどう思いますか?」ではなく、具体的に「最近はヘルパ
ーさんとお買い物に行っているみたいですね。どんな感じです
か?」など、本人の普段のエピソードから、話しやすいように聞き取
ることもポイントです。何気ない普段のエピソードから色んな事が
花子さん
引っ張りだされて、ご本人の日常の顔が見えてきます。
関係者へのモニタリングは、相談支援専門員はは中立的な、第
三者的な立場でお話をお聞きすることが1つのツボです。
相談支援専門員
40
4 事例 2
日常のツボ
花子さんにも関係者にもモニタリングの時だけでなく、普段か
ら連絡がもらえるような「顔の見える関係」になるために、業務
関係者
のついでに工夫してコミュニケーションを取る工夫もポイントで
す。
連携の取れる事業所が増えてくると、自分の持ち駒が増え、より
支援がスムーズになります。
花子さん
また、相談支援専門員は事業所を不在にするが多いのですが、
事業所いるスタッフにも花子さんの状況がわかるように情報を
共有することもポイントです。例えば「訪看さんから電話がかか
ってくるかもしれないです。聞いておいてください。」と頼めば、
情報をキャッチしそびれないコツとなります。
相談支援専門員
距離感のツボ
相談支援専門員は、花子さんとは、毎日会うわけではないから
こそ、ちょっと改まって話せるような雰囲気を生かします。
関係者
関係者に対しては、
「相談支援」は、現状や今後の方向性を確
認しながら、可能性を引き出すためのツールであることを他の支
援者と共有し、事業所よりとか、ご本人よりにならないような中
立の立場がポイントになります。サービス等利用計画は関係者の
花子さん
調整など本当に大変ですが、計画書を介して皆とコミュニケーシ
ョンを取り、
「ここにこう書いてありますよね?」と確認できる意
味でも、ツールとして、羅針盤として活用すれば、より効果的な支
援に繋がります。
相談支援専門員
解りやすさのツボ
標準となっている計画書の書式を、ご本人にわかりやすく加工
することは重要なポイントです。図や写真を使い、理解されてい
関係者
ることを確認しながら進めます。例えば私は普段から百均で売っ
ている小さなホワイトボードとか、A4の半分くらいのノートを持
ち歩き、図示しながらご本人に説明したり、聞き取りながらやって
いますね。そうして指し示しながらやると、ご本人がわかっている
花子さん
のかいないのかがこちらもわかるし、ご本人にとってもやりやす
そうなので、そうした工夫も取り入れてはいかがでしょう。関係者
には、シンプルな文章と解りやすい表現で、計画とその意図をと
共有することがポイントであり、そのためのモニタリングです。
相談支援専門員
目標設定のツボ
目標設定も負担にならないようなやり方の工夫が必要です。
あくまでも“本人”の目標の実現の支援ということで、無理な
関係者
計画や設定はやめましょう。目標だけではなく、本人の意見や想
いを支援者間で共有しようということで、例えば金銭管理だとか、
お薬関係だとか、体重が増えすぎたといった内科的な事になると
管理的になりがちなんですけれども、ご本人の希望だとか、そう
花子さん
いった所に着眼していったほうがいいかなという所ですね。
相談支援専門員
41
4 事例 2
本音を引き出すツボ
自分自身の本音はなかなか言葉にして口に出して言えるもの
ではありません。障害があればなおさらです。本人の思いや言葉
関係者
を大切にすることが、ご本人が本音を出せるようになるツボです。
一緒に過ごす時間が長い直接サービス提供者が、ご本人の本
音を聞き取っていることは多いです。相談支援専門員の見立て
が間違っていないか、本音を聞けているか情報を伝え合い、別の
花子さん
視点から教えてもらう姿勢を持つこともポイントです。
そのためには、ヘルパーさんとか訪問看護ステーションさんと
かに話を聞くときには、お互いに労い合うような姿勢が大事で、
着実な効果がありますので、お勧めです。
相談支援専門員
モニタリングのまとめ
ケアマネジメントとは、常に変化して行く利用者や環境に対応していく
動的プロセスです。修正や変更の必要が無い“完璧”な計画はあり得な
いのです。
事例2は、80歳を過ぎた父が、自分の体調の悪化で1週間後に入院が
決まり、花子さんを一人で生活をさせなくてはならず、父のことは病院
にお任せすればよいが、在宅で支援者を失い一人になる花子さんにす
ぐに必要な支援を入れる必要のある緊急時の流れを追ってきました。
平成27年末までに、福祉サービスを利用する人すべてに計画相談を立てることとなっている平成
26年度は、ある意味非常時ですし、数をこなすことと、必要な支援を導入することと同時並行で求め
られます。すなわち相談支援専門員には、
トリアージが求められます。
そこで、まずは、粗々の計画作成をして、緊急に支給決定を受け、支援に着手することが、優先され
ます。サービスを導入した後に、サービス管理責任者等から、詳細な情報をもらってモニタリングする
によりアセスメントが深まり、微調整や軌道修正が出来ます。
多くの緊急時には情報がほとんどない状況で支援を導入することになりjます。しかし、情報がない
から計画が立てられないと言っていると、支援が始まりません。
質より量なのか、量より質なのかという議論がではなく、とにかくペンを持って計画作成をやり、
支援を導入して一緒に情報を集める、モニタリングで、ご本人に希望をじっくり確認し、次の支援に
つなげる。そんな場数を重ねることで、数をこなしながら、計画相談支援やサービスの質を高めてい
くのです。
42
4 事例 2
43
4 事例 2
松本 美紀
44
4 事例 2
6
ケア会議(新しいニーズと支援者間の気付き)
相談支援専門員
相談員はサービス提供事業所からのモニタリング
「1人暮らしはけっこうお金を使って
大変だな∼」
「仕事をしてお金を稼ぎ
たいな」という声が!
から必要だった情報を聞き取ります。
・病院からの聞き取りから月に1・2回の発作があったこと。
・書類の整理から今までに警察とのやりとりで不愉快な
思いをしたことがあること。
・以前に通っていた施設で人間関係がうまくいかなかったこと。
それぞれの情報はチームに
フィードバック!
就労に向けてのサービス担当者会議を
しよう。支援者も追加して!
サービスが入って3ヶ月が過ぎました。時間とともに生活状況が良くなり、花子さんの心のゆとりも出てきて、笑顔が増
えてきました。最近は、支援者との会話を楽しんでいます。
そんな会話の中から、
「1人暮らしはけっこうお金を使って大変だな∼」
「仕事をしてお金を稼ぎたいな」という会話が出
てきました。そんな報告をヘルパーさんから受けた相談支援専門員は、必要な支援の更新時期かなと感じ、サービス担当
者会議を実施しました。
事業所の雰囲気や大
きさなどから数か所
見学。
梨就労支援センター
(就労継続B型)
サービス管理責任者
新しいニーズに
対応して
新しい支援者が
加わりました。
いチームメイト
新し
サービス担当者会議では、今までの経過や花子さんのできている
部分、新しいニーズなどを確認しながら、今後の必要な支援につい
て話をします。
欲しいものがあって。
稼ぎたいな。
梨就労支援センター
(就労継続B型)
ピーチ訪問看護ステーション
(精神科訪問看護)
新しい希望にむかって
新たなチームで支援
スタートです!
荒川成年後見センター
(日常生活自立支援事業)
45
ぶどう訪問介護事業所
(居宅介護)
4 事例 2
本人が主役となり、思いや願いを共有し、
次の動きを一緒に歩みだすための会議
ケア会議とは?
∼本人が運転する人生の旅∼
同乗者はみなさんです
・時に立ち止まったり、考えることもあります。
・そんな時、頼りになるのは同乗者の
支援者や社会資源です。
運転手は基本ご本人
で す が 、運 転 の自信
がない方もいます。本
人がナビ役となり、運
転を替わってあげる
ことも時にあります。
ケア会議の実施には いくつかの目的があります。
支援の結果を評価する
側面の強いもの
支援者からの追加アセスメント
もあり!
➡
➡
花子さんのできるところや、
やってみたいことの発見
もあり!
ニーズや状況の変化に
ついて対応するもの
花子さんの新しいニーズあり!
➡
追加アセスメント
的要素の強いもの
ヘルパーさんと花子さんの会話から
「仕事もやってみようかな?」の発言
があった。
今回の花子さんのケース会議では、緊急で支
援をスタートしたために、十分なアセスメント
でない状態で支援を開始しました。
相談支援専門員
ケア会議はこころの
ガソリンスタンド
1
2
困った会議の代表的な「症状」
1
そもそも何のために集まっているのか分からない。
2
何を話し合っているか分からない。
3
話し合いがあちらこちらに迷走しがち。
4
何時間もかけて議論したプロセスが無視され、
最後の意見に引きずられる。
5
いつも同じ人ばかりが意見を言っている。
6
声の大きな人の意見が通っている。
本人の思いや願いを確認して、
7
決めたことを後で覆す人がいる。
みんなの心のガソリンを補充し、
8
会議の記録がきちんと残っていない。
9
次回まで何をするか不明確である。
道に迷いそうな時、道が変化そうな時、
本人や支援者が立ち止まってちょっと
考える休憩場所
ちょっぴりメンテナンスを行う場所
<大切なことは・
・
・>
出発する場所です。
10
ほっと一息。
ガソリン
満タ∼ン!出発!
タイヤ
替えますね∼
決まったことが実行されない。
陰で文句を言う。
こんな会議にならないために、
ケア会議のコツとファシリの
技術を活用しよう!
!
46
4 事例 2
ケア会議のコツ
i
会議のコツ
タイミング
タイミングはとても重要です。相談支援専門員の加藤さんが、花
新しいチームメイト
ピーチ訪問看護
ステーション
(精神科訪問看護)
梨就労支援
センター
(就労継続B型)
ご本人
関係者
荒川成年後見
センター
(日常生活自立
支援事業)
子さんの状況を見て、本人がこうしたいという思いが出てきたと
同時に、会議を開催するタイミングを作っているわけです。関係者
にも「よし、それなら。」と言ってもらえます。
ぶどう訪問
介護事業所
(居宅介護)
関係者に会議を招集するときに、本人さんの変化のタイミング
が一番のポイントですが、忙しい中皆をお呼びするわけですから、
自分がサビ管さんに情報提供をして、そこからフィードバックをも
らうといった、お互いにWin-Winの関係を作っておくことが、タイ
ムリーに開催するもう一つのコツです。
相談支援専門員
i
会議のコツ
目的を明確に
ご本人が希望する支援を受けるために、なぜこの会議に参加し
新しいチームメイト
ピーチ訪問看護
ステーション
(精神科訪問看護)
梨就労支援
センター
(就労継続B型)
ご本人
関係者
荒川成年後見
センター
(日常生活自立
支援事業)
たほうが良いのか、会議に参加し、自分の状態を伝えることで、自
分が納得できる具体的な支援を選べることを伝えます。
関係者には、
「花子さんの他、誰と誰が集まり、○○について討
ぶどう訪問
介護事業所
(居宅介護)
議したいので、貴職は◇◇についてのご意見を伺いたいです。」と
目的をちゃんと切り分け、事前の根回しがコツです。今度の会議の
焦点はどこかの目的意識や、方向性を相談支援専門員が関係者と
共有できるように整理をして、情報提供をすることで、それに適し
た方が出席でき、事前の準備もでき、会議が活性化します。
相談支援専門員
i
会議のコツ
対象者
障がい者ということで、養護された歴史は、ともすると主人公は
新しいチームメイト
梨就労支援
センター
(就労継続B型)
ご本人
ピーチ訪問看護
ステーション
(精神科訪問看護)
関係者
荒川成年後見
センター
(日常生活自立
支援事業)
誰か・
・
・を見失い、養護者や支援者が対象になりがちです。
相談支援専門員は、ご本人には、
「あなたが主人公」というメッ
セージを発しつつ、関係者や家族にも本人のための会議であり、
ぶどう訪問
介護事業所
(居宅介護)
相談支援専門員はそれぞれの立場を尊重しつつも、ご本人が夢や
機能を話せるための工夫がコツですね。
相談支援専門員
i
会議のコツ
席配置
自分のための話だとわかっていても緊張するし、やっぱり会議
への参加は嫌だという方も多いです。その時に最大限緊張を和ら
げ、一緒に考え、参加しようよという雰囲気にするには、隣には安
心できる人を、花子さんの場合ではヘルパーさんや、訪問看護の
人ですよね。
新規導入時の会議では、相談支援専門員が隣に座るなど、とに
かく本人さんのとなりには、安心して話せる人に座ってもらい、正
面にも苦手な人は避けたほうが無難です。
47
4 事例 2
i
会議のコツ
手段
会話や言葉だけで進めるのではなく、可視化することは参加者
新しいチームメイト
ピーチ訪問看護
ステーション
(精神科訪問看護)
梨就労支援
センター
(就労継続B型)
ご本人
関係者
荒川成年後見
センター
(日常生活自立
支援事業)
皆が共有化できることと、目的に沿った話し合いに集中できます。
ホワイトボードを使ったり、パソコンをプロジェクターにつない
で移したりすれば、決まったことと、話し合わなければならないこ
ぶどう訪問
介護事業所
(居宅介護)
とがわかりやすくなります。
そして、そこで相談支援専門員が進行係りを行い、記録係りとの
役割分担も重要なコツになります。
可能であれば、相性の会う事業所内の方か、自立支援協議会の方
に、相棒になってもらえばスムーズですね。
相談支援専門員
i
会議のコツ
雰囲気
40頁のモニタリング会議の繰り返しです。
新しいチームメイト
ピーチ訪問看護
ステーション
(精神科訪問看護)
梨就労支援
センター
(就労継続B型)
ご本人
関係者
荒川成年後見
センター
(日常生活自立
支援事業)
発言しやすい場を作る、いっぱい話してもらうための工夫とは何
か。誰から話してもらったら次の人が話しやすいか。どんなメンバ
ーだったら会議がうまくいくか。こういったことは相談支援専門員
ぶどう訪問
介護事業所
(居宅介護)
が一人一人の関係者を知っておくと考えやすくなります。
相談支援専門員
i
会議のコツ
共有
会議には、参加した時点で、同じ情報を持っていることが会議が
新しいチームメイト
ピーチ訪問看護
ステーション
(精神科訪問看護)
梨就労支援
センター
(就労継続B型)
ご本人
関係者
荒川成年後見
センター
(日常生活自立
支援事業)
活発になり、新たな方向性が動き出す大事なコツになります。
それには、相談支援専門員やサービス管理責任者は、自分が聞
いいたこと、他の人からもらった情報を関係者に伝える力が求め
ぶどう訪問
介護事業所
(居宅介護)
られます。
会議に参加した関係者に情報が共有できていないと、他の人が
何をやっているのかもわからず、置いてけぼりにされているような、
疎外感を感じ、発言が否定的になったり、沈黙となったりする危険
性があるのです。
相談支援専門員
i
会議のコツ
共感
情報を共有することによって、ご本人の目標が「そうなんだね」
新しいチームメイト
梨就労支援
センター
(就労継続B型)
ご本人
ピーチ訪問看護
ステーション
(精神科訪問看護)
関係者
荒川成年後見
センター
(日常生活自立
支援事業)
と確認できることです。
「花子さんは現状でお金がかかるということを心配しています。
でも、働きたいという思いも一緒に出てきました。」と聞けば、
「そ
ぶどう訪問
介護事業所
(居宅介護)
うなんだ。じゃあうちの事業所では何ができるかな?」とか、会議に
参加している関係者がそれぞれの立場で何が出来るかというのを
考え共感するからこそ、
「これはどうでしょう?」という提案ができ
るのです。
相談支援専門員
i
会議のコツ
態度
■人の発言を聴く 全員の声に注目、相槌、メモ、目標達成との関連を考える。組み合わせて考える
会議での参加者一人一人が左の4つのポイントを
心にとどめた態度をとれば、会議はとても気持ち良
■分かりやすく話す 大きめの声、言葉遣い、誰に向けて、表情や身振り
いものになりますね。
■積極的に参画する 情報の積極的な提供、参加の機会を増やす、理由と根拠を示す、相手との感情や知識の読み
また、会議の最後には、皆が一言づ
■目標達成に努力する 進行の流れを読む、無駄な論争を避ける、司会の手助け、解決策の支持
つ発言できるショートタイムも締めと
高橋誠:会議の進め方(日本経済新聞社,1987) してのコツです。
48
4 事例 2
ケア会議実施にファシリテーションのスキルが
役に立ちます。
効果的な会議実施のためのポイントよ!
ファシリテーションとは
◎集団による知的相互作用を促進する働き
Facilitation
facil:ラテン語の easy
「容易にする」
「円滑にする」
「スムーズに運ばせる」
●人々の活動が容易にできるように支援し、上手く運ぶようにするのが
ファシリテーション
●中立な立場で、チームの
➡
①プロセスを管理し、
②チームワークを引き出し、
③そのチームの成果が最大になるように支援する
まさしくケア会議での
相談員の立ち位置
➡
そして、行動が変わる
ファシリテーターの役割
ファシリテーター(演出家)の役割
★メンバーの納得性と合意性を
いかに高めていくか
何が決まったかよりも、どのようにして決めた
かというプロセスが大事。
プロセスが良ければ合意形成しやすくなる。
参加者の意見をコントロールしてはいけない。
プロセスをコントロールすること。
合意形成されていない会議の結果は
行動につながらない。
★グループの力を引き出す
参加した人たちにとって、その場が
・最初に目的を明示
「意味あるもの」つまり、何かを獲得し
・最後まで話を聴く
たり、何かを生み出したりといった何ら
かの次のステップとしての「行動変容」
が生まれるためのしかけづくり。意味あ
る場とは、そこに参加することで参加し
ている人が何かを得たり、学んだり、気
付いたりできる場。
最大限会議参加者グループの力を引き出す役割がファシリテーターであって、場を温めて、雰囲気を良くして、どん
どん活発な意見を出して頂き、その中からより有益な情報を整理して、統合して、ご本人のために届けましょうねとい
う合意を図る場がケア会議です。
すなわち、場が温まってくると、参加者にすごくやる気が出てきます。そして、それが、参加者の行動にも影響し、行
動が変わってくるのです。この流れが、右記の図表になります。
49
プロセス(例)
・まず緊張をほぐす
・全員に発言させる
・意見対立を尊重する
……など
花子さんを中心
にして、花子さん
の意思を大切に!
4 事例 2
【ファシリテーション技術の会議での活用】
雰囲気作りが大切です。
参加者(職員)自由に意見を言える雰囲気を
作りましょう。支援方針や方法を考えるアイ
ディア会議では、最終決定以外にトップダウ
図表30
ンは不要です。
●プロセス設計
具体的且つ現実的な提案を採用し
場のデザインのスキル
ます。完璧な提案はないでしょう。
場をつくり、
つなげる
実行して振り返りを繰り返すことで
しか良い結果は得られません。
会議参加者(職員)全員が、これか
ら何について、どの位の時間の中で、
何について議論し、どのような結論
に向かっていくのか共有し、議論の
見通しを持つことが必要です。
(覚
共有
➡
実行
悟を決める部分)
まとめて、
分かち合う
決定
本人を中心に
▲
▲
合意形成のスキル
発散
参加者(職員)で議論・協議しな
ければならないことは山ほどあ
りますが、だらだらと進行するこ
とは避けましょう。終始テンポ
受け止め、
引き出す
●傾聴と質問
●意思決定手法の活用
● フィードバック
対人関係のスキル
収束
構造化のスキル
かみ合わせ、
整理する
●非言語
メッセージ
全参加者(職員)が発言者の意見
を否定せず、受け止める。
①傾聴 ②応答 ③観察 ④可視化
十分に情報を発散、拡散させ、多
面的な視野で検討していける土
壌作りが進行役に必要です。
よくリズム感を持って進行しま
す。
課題を絞り込んだら解決策の検
討です。
●ファシリテーション・グラフィック
●問題解決の基本は
「分ける」
ブレストが重要です。否定せず
拡散している様々な情報を整理し、課題
たくさんアイディアを出せるよ
を絞り込み明確化する。意見が空中に浮
うに進行役は良い意見を褒め、
センスの良いアイディアは掘り
遊して いる状 態 を 地 上 戦に持 ち 込 む
(WBの活用)。
下げて質問し具体的解決につな
がるように意見を収集します。
50
5 計画相談作成数と計画相談支援内容の向上のために工夫できること
5
計画相談作成数と計画相談支援内容の
向上のために工夫できること
計画相談支援は市町村が機関相談支援センターや自立支援協議会を核としながら、
「わが町の仕組み」を作り上げていくことで、
障がい者の地域生活支援の充実が図れます。
ただ、仕組み作りが進んでいない市町村では、思うように計画相談も進まない現状があります。
そこでここでは、我が国のモデルの一つである半田市の事例を取り上げながら、全国の相談支援専門員やサービス管理責任者か
らいただいた現場での工夫について、参加にしていただけそうなヒントをあげました。
1 事業所でできる工夫
(1)事務員・補助員の導入で事務効率UP!
サービス等利用計画作成には、たくさんの事務作業があります。
聞き取ってきたアセスメント・計画案・計画の打ち込み・受給者証の処
理・請求計画書やモニタリングシートの事業所への郵送などなど、事務作
業は膨大なものとなります。
相談支援専門員と事務員の得意とする役割は異なります。事務員はパ
ソコンのスキルや請求事務に関するスキルなど事務能力が専門性です。
相談支援専門員は、障がいのある方と向き合い、ご本人の夢や希望を、
ご本人の頭の中から一緒に取り出し、それを具体化するためにどのよう
な支援が必要か考え調整する専門家です。専門性を発揮できる時間を取
るには、それを支える事務員や補助員を導入して事務効率をUPし、チー
ムで支援することは計画相談を進める大きな原動力となります。
(図表31の赤字部分が事務作業)
図表31
51
5 計画相談作成数と計画相談支援内容の向上のために工夫できること
(2)ソフト導入で余分な手間を省こう!
計画案から計画・計画からモニタリングなど何度も同じような基本情報の内容などを
打ち込む必要のある計画作成のプロセスです。だからこそソフトの導入は便利なのです!
また、障がいのある方の生活状況やライフステージによってもモニタリング時期が異
なり、その管理は30ケースを超えると細かいことを覚えておくのは大変ですね。
ソフトによっては、計画やモニタリング画面から請求にも連動しており本当に便利です。
また委託相談等も含め、今後は行政への相談の実態を報告することも相談支援の大
事な役目になる中、相談数の推移や内容の分析は必須になります。
サービス等利用計画案
サービス等利用計画
モニタリングシート
(3)1つのサービス事業所で数人担当できると質も効率もUP!
モニタリングは半年に1回の方が多い現状があります。
しかし、
1つのサービス事業所に数人自分の担当する方が所属していたら・
・
・。
Aさん・Bさん・Cさん3人のモニタリングができます。これは、モニタリングへの
行き・帰りの移動時間に多くの時間を費やしてしまうという現状も少し軽減で
きます。
また、今月モニタリングでないDさん・Eさんの現状も自分の目で確認でき、
A 氏・B 氏・C 氏
D 氏・ E 氏・ F 氏
G 氏・H 氏・ I 氏
K 氏・ L 氏・M 氏
N 氏・O 氏・P 氏
Q 氏・R 氏・S 氏
気になることは事業所のスタッフさんにも確認できます。半年に1回のモニタリ
ングという間隔が空くというデメリットも少し削減されます。事業所へ足を運ぶ
回数が増えればサービス管理責任者や、世話人、支援との交流が増え、情報量
も増えてきます。
(4)ノートパソコンとコピー機を持ち歩く相談員さんも
福祉サービスの個別給付は、計画相談支援も含めて、利用者の方との契約が
あってからスタートします。サービスを導入するときも、まず計画相談支援の届
出をした上で、アセスメントを行い、計画作成案を作成し、その計画案に捺印を
いただいて行政に提出する必要があります。
通常計画案を入力するために一度事務所に戻って、印刷して再度障がいのあ
る方のもとに訪問して捺印をいただきます。
しかし、緊急のケースや移動時間を多く必要とする地域などでは、相談支援専
門員がノートパソコンと小型のコピー機を持ち歩いてその場で届出書の備考欄
や計画案の調整部分を入力し、印刷して捺印までを行っている事業所もあります。
52
5 計画相談作成数と計画相談支援内容の向上のために工夫できること
(5)困った時の事例検討!
「いろいろお話を聞くけど、将来が見えてこないなー」
「いつものようにサクサク作れない」とか、
「もう2年も支援しているけど、
現状が変わらない。違う視点で計画を立て直す必要があるのでは」と抱え込んで一人で悩んでいるのは、生産的ではありません。そ
れを解決する手立てが、事例検討会です。
事例検討会の方法の一つとして、野中式のホワイトボード活用した事例検討会があります。
野中式は、事例提供者が事前の準備をしなくても、ホワイトボードを活用して、最初は事例提供者と助言者が一問一答を繰り返しな
がら、生活側面ごとに情報を整理します。
概ね事例の概要が出そろったところで、事例検討会参加者からも質問を受けて更に情報を整理します。最初は、興味レベルの話を
たくさん引き出します。このやり取りを野中猛氏は「大阪のおばちゃんのように、根堀葉堀聞いてください」と言っていました。
後半は専門家として今後マネジメントしていくに必要な情報を引き出し整理します。
図表32
参考までに、野中式におけるアセスメントのポイントを挙げます。
図表33
1
問題の特徴(何が問題なのか)
2
その問題はいつから始まったのか? どのくらいの期間続いているのか? 問題の起こる頻度? 問題の起きる場所や時間?
3
本人はその問題をどのように感じ、考え、その結果どのような行動をとっているのか?
4
その問題はどのような発達段階やライフイベントで起こっているのか?
5
その問題は本人が日常生活を営むのにどれだけ支障があるのか?
6
その問題を解決するために本人が使える人的・物的資源は何か?
7
その問題解決のためにこれまでに取り組まれてきたことは何か?
8
問題解決のために本人は進んで支援を受けようと思っているか?
9
現在抱えている問題以外にストレスとなる状況はないか?
10
本人のどのようなニーズや欲求が満たされないために、この問題が起こっているのか?
11
誰が、どんなシステムがこの問題に関与しているか?
12
本人の持つ長所や強みは何か?
13
どのような外部の資源を必要としているか?
14
本人の医療・健康・精神面の情報
15
本人の生育・生活歴
16
本人の価値観・思考パターン
出典:渡辺律子「高齢者援助における相談面接の理論と実際第2版」
(医歯薬出版、2011 、P278)を野中猛氏が改変
事例検討会は、自立支援協議会の中に相談支援部会や、地域生活支援部会などがあればよいのですが、自立支援協議会にそうし
た事例検討の場がない時は、相談支援事業所とサービス提供事業所や、クリニック、地域の支援者などに声をかけて、地域で定例の
事例検討会を開催することをお勧めします。
53
5 計画相談作成数と計画相談支援内容の向上のために工夫できること
2 行政との連携でできる工夫
(1)受給者証のやり取りを省くだけで事務負担の削減に!
計画案作成後、支給決定が行われ行政から利用
者に直接受給者証が発行・送付されます。
発行された後、相談支援事業所は、発行された
受給者証で
● 立てた計画案と受給者証に記載されている
決定されたサービス量に差異がないか?
● モニタリング期間の設定はどのような期間で
決定されているのか?
などを確認するために受給者証のコピーが必要と
なります。そこで障がいのある方に連絡して郵送
されたかどうか確認したり、コピーを郵送してもら
ったり、訪問したりとかなりの労力を割いてコピーを受け取る必要があります。
この連絡調整や取りに行く移動時間、借りた場合は返却に行く移動時間は短くありません。
そんな時間を短縮するために、計画作成のための申請書に同意欄を設けて受給者証を相談支援事業所に郵送してもらうという工
夫や、行政との話し合のもとコピーを相談支援事業所に郵送してもらうという工夫ができます。
行政との綿密なやり取りが必要だということがわかります。
(2)一人相談支援事業所で困らない工夫も必要!
計画相談を行う事業所の7割近くが一人相談支援だという統計結果があります。一人
Q
A
相談支援では困ったときに相談する仲間や上司がいません。
それでは質の高い計画作成も難しい現状にあります。
そんな課題を解決するためには、それぞれの市町村で相談支援専門員が集まってさま
ざまなケースの課題や計画作成を行う上での課題を検討する場の設定が必要です。
また、それらの検討の結果、わが町でできたルールや社会資源は相談支援Q&Aや社会
資源シートとして残しておくと、一人の人の財産ではなく、それぞれの町の財産として継
承されます。
また、この会議には相談支援専門員だけでなく、行政職員も一緒に検討することで行
政の中とも課題が共有でき、一緒にルールや書式等の改善にも取り組むことが出来ます。
54
5 計画相談作成数と計画相談支援内容の向上のために工夫できること
(3)個人情報共有の同意のもとサービス事業所にも協力してもらえると…
すでにサービスを利用している方の場合、サービス提供事業所の支
援者が利用者の生活の現状や体の機能・支援するうえで配慮すべきこ
となどよくご存知です。
大前提として、利用者ご本人の個人情報の共有にともなう同意をい
どうしたら協力体制ができる???
自立支援協議会などで、情報共有の必要性を
確認しておくことが必要です!
ただいた上ではありますが、相談支援専門員がアセスメントをする前に、
サービス事業所のアセスメントシートを共有できることで、利用者は生
活歴など同じことを何度も聞かれるという苦痛も減らせ、本来重点を置
くべきどのように暮らしたいのか?何に困り感を感じているのか?など
の聞き取りに時間を費やすことができます。
(19頁∼28頁 事例1参照)
相談支援専門員
サービス管理責任者
?
3 当事者協力型の計画相談も有効かも!
(1)生活歴を利用者さんと一緒に作り上げよう
図表34
ご本人と一緒に生活履歴を家族イベント、
学歴、職歴、病歴など項目毎に表にまと
めるとわかりやすくなります。中途障害
等の場合に、ご本人が自分の人生を再
構築する上で素材になります。
文字情報だけよりも、こうした書式を利用する
ことで、関係者に情報の共通理解が図れやすくな
ります。
お示しした書式は、あくまでも一つの方法です。
請求事務のソフトに入っている書式を使い電算
化しているところもあるかと思います。
書式にこだわるのではなく、あくまでも本人を
守る、あるいはよい支援をするための情報共有の
視点での情報のまとめ方をする書類です。
もちろんこうした書類も、相談支援専門員やサ
ービス管理責任者、サービス提供職員も守秘義
務がありますから、情報管理をしっかりすること
は基本です。
55
5 計画相談作成数と計画相談支援内容の向上のために工夫できること
(2)計画相談支援について、利用者が参加できるように情報を加工して伝えよう
とある研修会で、自立訓練事業所の方の個別支援計画に出会いました。とても素敵な工夫だったので、ここにいくつかご紹介させ
ていただきます。
個別支援計画でもサービス等利用計画でも、基本は同じ書式進めたほうが、地域での共通理解が図りやすくなります。しかし、コミ
ュニケーションをとりやすくするために、もう少し配慮があったほうが良いなという方には、これからご紹介するような、個別対応の
書式もあったほうが、ご本人の目標設定が、伝わりやすくなります。
紹介のお願いをしたところ、以下のメッセージをいただきました。
『個別支援計画の工夫は、コミュニケーションに課題がある利用者さんのアセスメントをする中で、利用者
さん1人1人に私たちが提供する支援を共有して頂きやすいように、計画作成から一緒に考えて取り組ん
できたプロセスです。多くの個別支援計画は、巷で使われているオーソドックスな書式です。伝え方にもア
セスメントをしっかり行なって捉え、安易な図式化や構造化はかえって利用者さんの気持ちを傷つけてし
まう危険性も含まれているということも付け加えさせていただきます。』
図表35
56
5 計画相談作成数と計画相談支援内容の向上のために工夫できること
図表36
図表37
サービス等利用計画の作成も同じで、相談支援専門員だけで作成するものではありません。
障がいのある方やその家族も一緒に考えて、整理していく過程が大事です。
そのように考えると、今までのライフステージの変化や、3年後はどんな生活をしていたいだろうかなどの整理、生活の現状や家族
構成などにおいても障がいのある方やその家族とともに勉強会をしながら、一緒に整理していく形で協力してもらうというのも1つ
の効率的(研修会をすることで理解を深めてもらう)かつ友好的な方法かもしれません。
研修会をしながら整理してもらったシートをもとに計画作成をするとわかりやすく、楽しみながら作れるのではないでしょうか。
57
5 計画相談作成数と計画相談支援内容の向上のために工夫できること
(3)当事者活動を応援しよう
当時者会活動には、様々なものがあります。同じ障がいや病気を経験した人たちだからこそ、分かり合えるし、ロールモデルになり
ます。
孤立しそうな人たちをつないで、当事者の活動につなげたり、当事者会の活動が継続し活発になるように、専門家は舞台裏での応
援団です。
当事者会活動が広がれば、地域の社会資源も当事者の立場で、目線で見直すことができます。
また、精神障がい者ピアサポーターは、地域移行支援や障害福祉サービス事業に、ピアの専門家としてその支援効果が高いことも
わかり、活躍する人たちが増えています。
精神障がい者ピアスタッフの集いが開催されたり、精神障がい者ピアサポート専門員養成研修の取り組みもスタートしました。
こうした情報を当事者の方に伝えることも応援の一つです。
58
おわりに
ヒント集はお役に立ちましたでしょうか。
このサポートブックは、相談支援専門員になって日の浅い人、サービス管理責任者になってまだ日が浅い人などが、
顔の見える関係を作り情報の共有を図ることによって、サービス等利用計画が立てられ、障がいを持つ人たちが
地域の中で自分らしく安寧に過ごしたり、夢や希望を叶える支援であることを願って作りました。
平成25年度独立行政法人福祉医療機構社会振興助成金を活用した、
「障がい者地域生活支援全国ネットワーク
事業」の一環として、
「精神障がい者地域生活ケアマネジメント連携研修」を全国4か所で開催し、好評を得ました。
その時に使用したテキストや、演習でたくさん寄せられたご意見などが、
「障がい者地域生活支援計画サポート
ブック」の素材となっています。
障害福祉サービスを利用する人すべての方に、計画相談を作ることが求められている期限まで残された期間は
1年。でも全国的にその達成率は3割程度といわれています。
一人でも多く、その人の人生プランに即した計画相談支援が広がり、サービス提供事業所でより具体的な支援が
なされることを願います。
このサポートブックは、初版です。版を重ねるごとに、本当に皆様の計画相談やサービス提供のサポートができる
ブックを目指しています。
平 成 2 6 年 3 月末
障 が い 者 地 域 生 活 支 援 計 画 サ ポ ートブック 編 集 チ ー ム 一 同
社会福祉法人 南高愛隣会は、平成26年度も独立行政法人福祉医療機構の助成申請を予定し、
平成25年度の研修を踏まえ、バージョンアップした
「精神障がい者地域生活ケアマネジメント連携研修」
を予定しています。
研修の日程等につきましては、社会福祉法人南高愛隣会東京事務所のホームページで掲載する
予定です。
● 社会福祉法人 南高愛隣会 東京事務所 ホームページ
http://www.airinkai.or.jp/tokyo-office/index.html
59
「障がい者地域生活支援全国ネットワーク事業」研修企画部会委員
氏 名
所 属
氏 名
(敬称略・五十音順)
所 属
東 美奈子
社会福祉法人 ふあっと
相談支援事業所 ふあっと
佐原 和紀
特定非営利活動法人 やすらぎの会
精神障害者地域生活支援センター 翔
安増 栄恵
公益財団法人 横浜市総合保健医療財団
横浜市港北区生活支援センター
柴田 泰臣
特定非営利活動法人 NECST
ユースキャリアセンター フラッグ
市川 知律
有限会社 With A Will
市川社会福祉士事務所
清水真知子
社会福祉法人 精神障害者社会復帰促進協会
地域活動支援センター おおとり
伊藤未知代
公益財団法人 横浜市総合保健医療財団
横浜市総合保健医療センター
杉内 良三
社会福祉法人 南高愛隣会
生活訓練事業所 リンク
今井 里恵
社会福祉法人 ふれあい共生会 もくれん 生活訓練 ハナキリン
鈴木 伸彦
公益財団法人 横浜市総合保健医療財団
横浜市総合保健医療センター
遠藤 紫乃
特定非営利活動法人
ほっとハート らいふ
平 信二
医療法人社団 五風会
きよた相談サポートセンター
遠藤 真史
特定非営利活動法人 那須フロンティア
地域生活支援センター ゆずり葉
武田 牧子
社会福祉法人 南高愛隣会 東京事務所
塩谷 純子
社会福祉法人 蒼渓会
山梨県立あゆみの家
田中 文人
特定非営利活動法人 多摩在宅支援センター 円
地域活動支援センター 連
岡部 正文
医療法人 立川メディカルセンター 茨内地域生活支援センター
東海林 崇
株式会社 浜銀総合研究所
経営コンサルティング部
小佐野 啓
特定非営利活動法人 あおば福祉会 相談支援センター クレイ
徳山 勝
社会福祉法人 半田市社会福祉協議会
半田市障がい者相談支援センター
加藤 慎治
社会福祉法人 塩谷福祉会 せせらぎ
西 真人
公益財団法人 慈愛会
地域活動支援センター ひだまり
加藤 恵
社会福祉法人 半田市社会福祉協議会
半田市障がい者相談支援センター
樋口 勝
社会福祉法人 本郷の森
第2ホームいちょう・サポートセンターいちょう
加藤 由香
医療法人 小憩会 ACTひふみ
福岡 薫
社会福祉法人 みつわ会
兼浜 克弥
NPO法人 地域精神保健福祉機構 那覇市地域生活支援センター なんくる
松岡 広樹
特定非営利活動法人 じりつ
障害福祉サービス事業 アバンティ
神谷 牧人
株式会社 アソシア
松本 純一
社会福祉法人 はまぎくの会
ハートケアセンター ひたちなか
小林 由花
社会福祉法人 こころん
ヘルパーステーション こころん
山本 俊爾
特定非営利活動法人 ゆるら 地域相談室 ぽらりす
古俣 孝浩
社会福祉法人 豊芯会
地域活動支援センター こかげ
吉澤 浩一
特定非営利活動法人 ヒーライトねっと
相談支援センター くらふと
笹木 素美
医療法人 澤山会 リハビリテーションハウス 手稲
吉野 智
社会福祉法人 ロザリオの聖母会
中核地域生活支援センター 海匝ネットワーク
「障がい者地域生活支援計画サポートブック」編集委員
氏 名
所 属
氏 名
(敬称略・五十音順)
所 属
小佐野 啓
特定非営利活動法人 あおば福祉会
樋口 勝
社会福祉法人 本郷の森
古俣 孝浩
社会福祉法人 豊芯会
吉澤 浩一
特定非営利活動法人 ヒーライトねっと
岡部 正文
医療法人 立川メディカルセンター
武田 牧子
社会福祉法人 南高愛隣会
加藤 恵
社会福祉法人 半田市社会福祉協議会
金川 洋輔
医療法人社団 風鳴会 (臨時委員)
神谷 牧人
株式会社 アソシア
有野 哲章
埼玉県幸手保健所(臨時委員)
徳山 勝
社会福祉法人 半田市社会福祉協議会
60
引用文献
精神保健福祉士のための相談支援ハンドブック(ver1.1)
公益社団法人 日本精神保健福祉士協会 相談支援政策提言委員会(作成) 2013年6月発行
サービス等利用計画評価サポートブック
特定非営利活動法人 日本相談支援専門員協会 2013年3月発行
連携は技術である(第1回∼第10回)
リハビリナース(メディカ出版)新連載 野中猛(著)
図説ケアマネジメント
野中猛著 中央法規
61
障がい者地域生活支援計画サポートブック
計画相談と個別支援計画の連携から紡ぎ出す、
一人一人の豊かな地域生活支援を目指して
■発行日 2013年3月
■編 集 社会福祉法人 南高愛隣会 東京事務所
〒116-0014 東京都荒川区東日暮里5-10-2
Tel.03-3806-6912 Fax.03-3806-6913
■発 行 社会福祉法人 南高愛隣会
〒859-1215 長崎県雲仙市瑞穂町古部甲1572番地
Tel.0957-77-3600 Fax.0597-77-3966 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業
62
障がい者地域生活支援計画
サポートブック
計画相談と個別支援計画の連携から紡ぎ出す、
一人一人の豊かな地域生活支援を目指して
独立行政法人 福祉医療機構社会福祉振興助成事業