乙部町 幅崎 1, 志織 乙部町の概要 1.1 地名の由来 乙部とは、アイヌ語に由来している地名である。オ(=川口に)・ト(=沼)・ウン(=あ る)・ぺ(=もの)から転移したものであり、日本語でいうと「川口に沼のある川」という 意味である。そしてその川は現在、姫川と命名されている。 1.2 気候 日本海を北上する対馬暖流の影響を受けているため、北海道の中でも比較的温暖な気候 である。初霜は 11 月上旬であり、冬の間は強い季節風に見舞われるが、積雪は 0.5∼1.2 メ ートルと北海道の他の地域と比べ,少ない方である。 1.3 乙部町の位置 図 1 乙部町の位置 北海道南部の渡島半島西部に位置し、檜山 支庁管内に属している。東経 140 度 08 分北 緯 41 度 58 分である。 1.4 乙部町の歴史 乙部町に人が住み始めたのは,遺跡の出土 品などから,約 6 千年前からと推測されてい る。そこでは,和人が北海道に渡ってくるま で,アイヌ人が乙部町の美しい自然と共に生 活していた。その後,1441 年から,この乙部 町にも和人が北海道へやってきて移住するよ うになった。このあたりから乙部町では近く 出展:ウィキペディア の海でニシンが大量にとれるようになり,ニ シン漁で栄える町となった。この時期,ニシ ン漁で栄えていると知った人たちが,筑後, 佐渡,能登方面から移住してきた。ニシンが不作になったり,大津波におそわれたり,そ の 100 年後には市街地で大火事が発生したりと,乙部町は自然災害を幾度か受けてきた。 しかし,明治時代にはいり,学校や郵便局,警察署,裁判所などが出来,町として発展を とげたのだ。昭和時代に入ると,さらに様々な施設が建設され,レジャー目的とした観光 スポット施設の建設に力を入れてきた。 2. 人口 2.1 人口 平成 19 年度 6 月末現在、乙部町の人口は、男 2,218 人、女 2,531 人、全人口 4,749 人で ある。 図2 乙部町の人口の推移 10,000 人口数 8,000 6,000 4,000 2,000 0 昭和3 0年 9,117 総 数 4,682 男 4,435 女 1,506 6.1 35 年 8,760 4,536 4,224 1,577 5.6 40 年 9,188 4,650 4,538 1,748 5.3 45 年 8,060 4,029 4,031 1,727 4.7 50 年 7,317 3,579 3,738 1,839 4 55 年 7,031 3,361 3,670 1,897 3.7 60 年 6,719 3,207 3,512 1,945 3.5 平成 2年 6,011 2,847 3,164 1,879 3.2 7 年 5,422 2,536 2,886 1,838 2.9 12年 5,143 2,396 2,747 1,873 2.7 19 年 4,749 2,218 2,531 1,903 2.5 調査年 上の表からも分かるように、乙部町では 50 年前と比べて人口が約半分に減り、過疎化が 深刻化している。ピンク色の線は男の人口の推移を、黄色の線は女の人口の推移を表して いる。男も女も同様に減っている。世帯数は増えてはいるが、人口の減少の率に比べると、 ほとんど変わらないので、やはり、人口の減少が目立つ。1 世帯当たりの人口数は 1 桁であ り、同じ表では推移がわからないので、そこだけ下に別の表であらわす。 人口数 図3 1世帯当たり人口 7 6 5 4 3 2 1 0 昭和3 35 40 45 50 55 60 0年 年 年 年 年 年 年 6.1 5.6 5.3 4.7 4 3.7 3.5 平成 2年 3.2 7 年 2.9 12年 2.7 19 年 2.5 調査年 世帯数が 50 年前と多少増えてはいるが、ほとんど変わらない状態である。しかし、この 50 年間で,1世帯当たりの人口が約 3 分の 1 ほど減少している。世帯数だけ見るとほとん ど変化は見られないが,2つの数字を比べて見ることで,乙部町の人口の減少がはっきり とわかるのだ。 3. 乙部町の産業 3.1 乙部町の産業は? 乙部町は、北と東が山に囲まれており、西が日本海に面しているため、昔から半農半漁 で栄えていた町である。乙部町のメイン産業は、漁港から水揚げされたイカ、マス、スケ ソウダラなどの水産加工である。もう 1 つのメインは、アスパラガスや、日本一にも輝い た食用のゆり根の栽培である。 3.2 農業 他にも、稲作、馬鈴薯、かぼちゃ、にんじんなどの栽培も盛んに行われている。また、 鳥山温泉の温泉熱を利用したハウス栽培をおこなっており、年間を通して質の高い商品を 提供している。温泉の温泉熱を利用したハウス栽培の作物には、「おとべ温泉桃太郎」(と まと)「おとべ温泉キュウリ」などがある。最近では、観光の活性化も考慮にいれた新しい 取り組みとして、いちご観光農園がオープンした。最も多い時期で、1日に 100 人以上の 客が訪れる。 3.3 漁業 乙部町は古くから、漁業とともに歩んできた町である。江戸時代、ニシン漁でさかえた 乙部町は、大正時代になってニシンの不漁が続き、乙部の漁業にとってつらい時期が訪れ た。そして現在の乙部町の漁業は、 「とる漁業」から「育てる漁業」へと、新たな可能性を 広げた。稚魚放流、ヤリイカ産卵礁、タコ産卵礁、昆布養殖、ウニ増殖などをいっており、 資源保護対策に務めている。 3.4 課題 図4 第1次産業の推移 人口数 500 400 300 200 100 0 農業 林業 漁業 平成2年 400 57 320 平成7年 330 30 291 平成12年 263 24 292 調査年 そんな乙部町の農業・漁業も、今、大きな問題を抱え、悩んでいることが上の図からわ かる。農家の高齢化、労働力不足、農産物価格の低迷、農家数の減少など、非常に厳しい 状況になっているのだ。このような状況の中で乙部町は、農業再生プランを実施し、乙部 の特徴をいかした良い農業・漁業を行っていけるよう、頑張っている。 産業別人口 図5 産業別人口グラフ 1500 人口数 3.5 1000 500 0 第1次産業 第2次産業 第3次産業 平成2年 平成7年 平成12年 777 1,120 1,201 651 1,090 1,144 調査年 579 967 1,135 この図をみると、農業・漁業がやはり盛んに行われていることがわかる。また、弟3次産 業の従事者の減少率に比べ、第1次産業の従事者の減少率は非常に高いことも指摘できる。 4, 観光 4.1 乙部町の観光 図 6 リフレッシュスポット 乙部町には、自然に恵まれており、それを 生かした観光スポットが多い。乙部町の特産 品のゆり根などを使ったおいしい料理を味わ うことのできる温泉施設がある。また温泉施 設付近には、テニスコートやゲートボール場、 森林浴の楽しめる遊歩道がある。「素足の小 道」という遊歩道があり、この遊歩道には大 きさ・形の違う天然石が敷き詰められており、 素足でここを歩くことにより、足つぼが刺激 出展:乙部町商工会HP され、血行がよくなり内臓が活性化されると いる効果が得られる。 「健康再認識!温泉や健 康遊歩道でリフレッシュ」をモットーに、乙 部町は観光事業に積極的に取り組んでいる。遊園地やテーマパークなど、わいわい楽しめ るようなレジャー施設はないが、ここにくると心身ともに癒され、リフレッシュできるこ と間違いない。 さらに、乙部町の漁業をいかし、海水浴シーズンには、海でうになどの放流イベントを 実施したり、いちご農園などで夏期シーズンにいちご狩り体験を実施したりして、乙部町 の観光業と産業に関連をもたせ、町を活性化させようとしている。 図 7 富岡ワイナリー 4.2 特産品 また、乙部町はワイナ リーでも有名である。 その中でも特に有名な のが、フランスの田舎 を思わせる赤い屋根の 建物の富岡ワイナリー 出典:乙部町商工会HP で、乙部町の降水量が少なく、温暖な気候の特徴を活かした環境でフランス系山ブドウを 栽培し、本格的なワイン作りを行っている。「おとべ」や「遊楽部」などの銘柄のワインが 特産品である。また日本で初めての山ブドウ 100%で醸造したワイン「遊楽部ハーダム」も 有名である。この富岡ワイナリーでは、事前に予約すると、ワイン用ブドウ農園や醸造過 程の見学も可能である。 図 8 ブドウ園 出展:乙部町商工会HP 参照ホームページ:乙部町 HP, http://www.town.otobe.lg.jp/web/pd_menu.nsf 乙部町商工会:http://www.do-shokoren.com/kaido/jp_s/otobe.htm フリー百科事典ウィキペディア: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A %E3%83%BC%E3%82%B8
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