土佐市民病院労組・医療事故学習会開く

発行日:
2005.9.3
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発行元:
高知県医労連
土佐市民病院労組
医療事故問題の学習会を開催
土佐市民病院労組は、8月31日に定期大会を開催し、大会終了後に山岡敏明弁護士(高
知県労働委員会公益委員、高知県医師会顧問弁護士)を招き、医療事故についての学習会を
開催しました。この学習会には、病院看護部の幹部も出席し、医労連の他の単組からの出席
も加え60名あまりが参加しました。
山岡氏 「2度目の過ちを犯してはならない」と強調
山岡氏は、医療事故は人間である以上完全には避けられない
面があるが、2度目の過ちを犯してはならない、と強調。情
報を開示し、誠意ある対応の必要性を訴えました。
医療事故に関して、刑事、民事の責任が生じるが、民事に
ついては国公立の病院の場合、国家賠償法の適用となり、基
本的に経営者責任となる。自治体などから医療事故によって
損害をこうむったとして本人が求償を求められる場合も考え
られるが、民間と異なり重過失でないと認められない(民間
病院であれば、軽過失であっても認められる可能性が高い)。
民間と比べリスクが少ないといえるが、それを承知で保険に入るかどうかは本人の判断。そ
の場合、きちっとした顧問弁護士が県内にいるかどうかを確かめておくことが重要。裁判で
あれば、月一度東京から来るということも可能だが、示談交渉は地元の顧問弁護士でないと
事実上できない、と指摘しました。
1時間半の貴重な学習会となりました。※資料がほしい方は、県医労連までご連絡ください。
<日本医労連の医療の安全に関する方針>
○ 「安全・安心の医療確立」は患者・国民の切実な願いであり、医療機関と医療従事者の責務であり、労
働組合として最課題に位置付けてチェック機能を発揮する。
「安全・安心の病院づくりの提言」運動の手引きなどを活用し、①安全が確保できる人員体制、②業務や
マニュアルの点検等の明確な位置付けと財政保障、③発生時の集団的・民主的討論の保障、④安全管理
やリスクマネージメントの徹底、⑤事例の正確な分析と情報公開、などを追求し、増員・人員体制の確保と
労働環境の改善を求めます。
○ 安全のコスト保障を求める運動を一層強化します。政府に対しては、①いのちの安全にかかわるコスト
の公費負担、②国民、患者・家族の要望に応える「情報公開」、③配置基準の引き上げ、「1対1、1.5対看
護」の新設、④リスクマネージャー専任配置の財政措置、⑤事故防止優先の医療器材・医薬品等の仕様開
発の指導、などを要求するとともに、広範な医療関係団体、患者・障害者団体等との共同を重視し、共同の
宣伝行動や集会等の開催も検討します。
安全な医療器具等の採用などについて、診療報酬の裏づけを求めます。病院医療機能評価機構に委
託・設置された「第三者機関」については、予算措置の拡充とともに、①第三者性・公平性・公開性の保
障、②総合的な専門性と国民性の確保、③調査と対策についての監督権限の付与などを求めていきま
す。
<山岡弁護士の資料から>
Ⅳ 医療に関する民事上の責任
1 責任の主体(その1) 一般の病院、診療所の場合
(1)受託者(契約当事者*)である医療法人、医師
①
医療についての債務不履行責任(民法 415 条)
履行補助者である医師、看護師、薬剤師、介護福祉士、ヘルパー等の行為について責任を負う。
②
使用者責任(民法 715 条)
③
工作物責任(民法 717 条)
(2)治療、介護に従事した医師、看護師、薬剤師、介護福祉士、ヘルパー等
不法行為責任(民法 709 条)
2 責任の主体(その 2)国公立病院の場合
(1)公務員の過失による場合国、公共団体が責任を負う(国家賠償法 1 条 1 項)。
公務員は被害者に対して責任を負わない。
(2)公務員に故意または重大な過失があったときは、国、公共団体は公務員に求償権を有する(同条 2 項)。
上記 1 の場合は、軽過失の場合でも求償される(民法 715 条 3 項)。
3 責任の内容損害賠償
*治療契約のこと。