宇宙の商業利用に係る諸問題 小塚荘一郎 (学習院大学) 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 1 ケープタウン条約宇宙資産議定書 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 2 宇宙資産議定書の意義 30年ぶりの宇宙法条約(ハードロー) 宇宙分野で初めての私法条約 国内法上も、宇宙民事法の整備への契機 宇宙物体は「動産」扱いでよいか? 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 3 宇宙の商業利用と契約 宇宙の商業化:30年前からのアジェンダ 現状: 宇宙固有の民事法は皆無 紛争解決のための仲裁規定 (ハーグ常設仲裁裁判所) 契約による実務的対応 (例:「物理的に結合した宇宙資産」の問題 ――不動産ファイナンスとの共通性) 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 4 電源装置 1. 権利の実行として電源装置を移動 2. 権利の実行として電力供給を停止 A 債権者 B ペイロード 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 5 宇宙ビジネスとファイナンス契約 コーポレート・ファイナンス シンジケート・ローン プロジェクト・ファイナンス PPP/PFI LBO(2000年代半ば、主要な衛星オペ レータがターゲット) アセット・ベースト・ファイナンス? 宇宙資産議定書をめぐる実務界の反応 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 6 金融・担保法の経済学 衛星オペレータ事業の特徴 成熟したビジネスモデル 安定したキャッシュフロー プロジェクト・ファイナンス、LBOに は適合 アセット・ベースト・ファイナンス (典型例は航空機ファイナンス) 債務者によらず同じキャッシュフローが発生 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 7 宇宙ビジネスの新地平 宇宙資産議定書と途上国 途上国にとっての有用性 専門家が関与する必要性 先端的宇宙ビジネス 「宇宙ツアー」(サブオービタル飛行) 技術的なリスクの高さ デットファイナンス(貸付け)かエクイティ ファイナンス(株式出資)か 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 8 宇宙法の特徴? 「航空機ファイナンスとは違う」 規制の存在? 安全保障輸出管理 ITUによる周波数・軌道位置の分配 宇宙条約の原則 打上げ国の責任(「責任集中」) 登録国による管轄権と管理の行使 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 9 実務感覚と商事法理論 規制=取引費用(transaction cost) 理論的な問題「なぜ担保を取るのか?」 モラルハザード仮説 スクリーニング仮説 債権者はどういうリスクを引き受けてい るのか? 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 10 宇宙法上の財産権 天体・天体上の資源の財産権 宇宙条約(領有権の排除)が所有権も排除? 国家主権と私権 (古代ローマ法、中世ローマ法) 宇宙空間における知的財産権 リモートセンシング画像の著作権 「情報法」との接合性(commons問題等) 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 11 求められる「専門知」 理論的な問題 「国家主権と私権」 学際的な問題 担保法の経済学 実際的な問題 ファイナンス契約の手法 宇宙法研究所による法的フロンティアの 開拓を 慶應義塾大学宇宙法研究所シンポジウム 2012/3/12 12
© Copyright 2024 Paperzz