HVD-AN-080731 R0 高電圧デジタルドライバ・コンパレータ モジュール (High Voltage Digitalモジュール) アプリケーションノート 適用製品 ・ HVD30V1CH 株式会社エリア HVD-AN-080731 R0 安全上のご注意とお願い 多機能電子モジュール製品のお取扱を誤ると故障の原因となりますので、必ず使用する 前に、製品データシート及び本「アプリケーションノート」を熟読し、正しくご使用く ださい。 本資料のこの記号は注意を促す内容があることを告げるものです。 注意 この表示を無視して誤った取り扱いをすると、人が損害を 負う可能性が想定される内容または物的損害のみの発生が 想定される内容を示してます。 注意 (1) 多機能電子モジュールを用いる電子回路の設計に当たっては、使用上 いかなる外部条件の変動においても、そのモジュールに指定された 『絶対最大定格』を超えないようにしてください。 (2) 多機能電子モジュールは偶発的または予期せぬサージ電圧などにより 故障する場合がありますので、故障しても拡大被害が出ないような冗 長設計、誤動作防止設計など安全設計に十分ご注意ください。 (3) 極めて高い信頼性が要求される用途(原子力制御用、航空宇宙用、交 通機関、医療機器用、燃焼制御機器用、各種安全機器など)に使用し ないでください。これらの用途に使用されたことにより発生した損害 等につきましては、弊社は一切の責任を負いません。 お願い 1.本アプリケーションノートは、製品の選定のための資料です。 2.本アプリケーションノートに掲載されてある製品の仕様、寸法などは予告なく変更 する場合があります。 3.本アプリケーションノートに記載された情報・製品や回路の仕様に起因する損害ま たは特許権その他権利の侵害に関しては、株式会社エリアは一切その責任を負いま せん。 4.製品最大定格値を超えてご使用された場合の製品故障および二次的損害につきまし ては、弊社はその責任を一切負いません。 5.本アプリケーションノートによって第三者または株式会社エリアの特許権その他権 利の実施権を許諾するものではありません。 6.本アプリケーションノートの一部または全部を当社に無断で、転載または複製する ことを堅くお断りします。 7.本アプリケーションノートに記載された製品(技術)を国際的平和および安全の維 持の妨げとなる使用目的を有する者に再提供したり、またそのような目的に自ら使 用したり第三者に使用させたりしないようお願いします。なお、輸出等される場合 は外為法の定めるところに従い必要な手続きをおとりください。 HVD-AN-080731 R0 変更履歴 Rev. 年月日 0 2008.7.31 頁 - 項目番号 - 新規作成 変更内容 HVD-AN-080731 R0 << 目次 >> 1. 2. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 概要 P-1 HVDモジュールのアプリケーション 2.1 基本使用例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P-3 2.2 ATE性能向上への応用例 ・・・・・・・・・・・・・・ P-5 2.3 テスト・アプリケーション回路への応用例 ・・・・・・・・ P-7 トランジスタアレー(最大30V)テストへの応用 ・・・・ P-8 トランジスタアレー(最大60V)テストへの応用 ・・・・ P-9 2.4 ウェハ・バーンインシステムへの応用例 ・・・・・・・・・ P-10 2.5 計測器への応用例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P-11 HVD-AN-080731 R0 概要 本高電圧デジタルドライバ・コンパレータモジュール(HVDモジュール)は、高 電圧化が進むオートモーティブ半導体等のテストに対応するため、開発されまし た。 機能として各1チャンネルの高電圧対応ドライバとウィンドウコンパレータを 内蔵し、これらをシングルインライン・タイプのモジュール構造に納めました。 ドライバおよびコンパレータの入出力電圧範囲は、2つの電源ピン(VCC,VEE) 間の電圧により最大電圧範囲が決定されます。しかし、これらの電源ピンの最大 定格を超えて使用することはできません。 <ブロック図> <モジュール外観> 1/12 HVD-AN-080731 R0 概要 <絶対最大定格> <機能表> <ピン機能表> 2/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション 2.1 基本使用例 ・ 本HVDモジュールの基本接続および使用例を下記に示します。 DRVおよびRCVピンは、測定または試験対象(DUT)のピンへ接続します。 LVL_DRVHおよびLVL_DRVLピンは、電圧源(Vソース)へ接続されドライバ出力のハイ およびローレベルの電圧設定に使用される。なお、各ドライバ出力レベルは設定 電圧の5倍となります。また、LVL_DRVHはLVL_DRVLより高い設定電圧とする必要 があります。 DATAおよび_HIZピンは、5Vロジック入力ピンとなっておりますので入力する制 御信号は、0V~5Vのスタティックまたは、ダイナミック信号としてください。 VCMP_HおよびVCMP_Lピンは、ウィンドウコンパレータのスレッショルド電圧設 定に使用します。期待するスレッショルド電圧に対して1/5の電圧で設定しま す。 CMP_OUTHおよびCMP_OUTLピンは、各コンパレータの出力となります。出力は通 常の5Vロジック信号となります。 THERMピンは、内蔵された温度センサーのモニター出力として使用されます。 このピンには定電流源を接続し、ピンの電圧をモニターすることでモジュールの 温度モニターが可能となります。 3/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション VCCおよびVEEピンは、モジュールのメイン電源となります。最大定格として VCCは、+8Vから+33Vまで印加可能であり、VEEは、-28Vから-3Vまでとなっており ます。VCCとVEE間の電位差は、最大定格値で36Vまでとなっておりますので、注 意してください。 P5VおよびM5Vピンは、モジュール内部のロジック制御回路電源となっておりま す。P5Vピンは、+5V固定電源をM5Vピンには、-5Vの固定電源を接続してくださ い。 VCC,VEE,P5V,M5VおよびGNDピンは、モジュール動作時に瞬間的に大きな電流が 流れることがありますので、各電源までの配膳インピーダンスが十分に小さくな る配線レイアウト等を考慮するようにお願いします。 <参考ドライバ出力波形> (0V..5V@2MHz / 47pF Capacitor Load) 0V..5V@30MHz / 47pF Capacitor Load 0V..10V@2MHz / 47pF Capacitor Load 0V..10V@30MHz / 47pF Capacitor Load 0V..24V@2MHz / 47pF Capacitor Load 0V..24V@10MHz / 47pF Capacitor Load 4/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション 2.2 ATE性能向上への応用例 ・ ATEシステムでの基本的なピン・エレクトロニクス(PIN-ELE)接続を下記に示します。 ATE内部 DAC ッ A T E 制 御 ロ ジ 汎用PIN ELECTRONICS IC DUT DAC DAC 最大振幅18Vが限界 または 24Vで2Mbpsが限界 DAC 10Vを超える場合DAC出力 にアンプが必要 ATE <汎用PIN-ELE接続例> 上記の接続例で使用される汎用PIN-ELE半導体は、製造プロセス上高耐圧の製 品製造が困難であり、入手可能な製品は最大振幅18Vが限界であった。また、18V を超える製品も耐圧向上に動作速度がトレード・オフされ、今後要求される高電 圧・高速テストへ対応できない状況となっている。さらに、ドライバ振幅レベル 設定およびコンパレータのスレッショルド電圧設定にはDAC出力にアンプによる 昇圧が必要とされている。 HVDモジュールへの置き換え 上記の汎用PIN-ELEから弊社HVDモジュールへ置き換えることで多くの問題解 決、性能改善が可能となります。 - - - - - ドライバ出力振幅 :最大30V可能 ドライバ出力レート:10Mbps@24V、30Mbps@10V コンパレータ入力 :最大30V可能 レベル設定 :DAC出力増幅アンプ不要 制御信号 :5Vロジック信号のため専用レベル変換不要 汎用PIN-ELEからの置き換え接続例を次に示します。 5/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション ・ HVDモジュール置き換え接続例を下記に示します。 ATE内部 DAC ッ A T E 制 御 ロ ジ HVDモジュール 汎用PIN ELECTRONICS IC DUT DAC DAC 最大振幅30Vが可能 または 24Vで10Mbpsが可能 DAC ATE <HVDモジュール接続例> DAC出力 にアンプが不要 HVDモジュールへの置き換えにおいて、従来のPIN-ELE周辺回路の大部分は変更 なく置き換え可能です。本モジュールの基本的な仕様は汎用PIN-ELEと同等と なっているため、制御ロジックにおいても大きな変更なく置き換えが可能となっ ております。 6/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション 2.3 テスト・アプリケーション回路への応用例 現在の半導体テストにおいて、製品コストに占めるテスト・コストの増大は大 きな問題となってきている。これは、次々に開発される半導体の性能の向上によ る影響だけでなく、自動車関連製品等に対する品質維持・向上、さらに要求が高 まってきている低消費電力化への対応のための高電圧化への半導体試験装置の性 能要求による設備投資が大きな原因となっております。 よって、半導体試験工程への投資を最小限とするため従来より使用している試 験装置 (テスター)に対象半導体の試験に必要となる機能・性能のみをテスト・ア プリケーション回路に付加することで対応することが多くなってきております。 それがBOST (built-off self-test)等に代表されるテスト付加回路です。 本HVDモジュールは、テスト付加会ととして従来から使用しているテスターの アプリケーション回路へこのモジュールを付加することで、高電圧・高速機能 (ファンクション)試験が可能となります。 さらに個別対象半導体のアプリケーション回路への付加であるため、高電圧入 出力が必要とされるピンのみへモジュールを配置することで、無駄な機能追加の 必要もなくアプリケーション開発コスト削減も可能となります。 ATE内部 テスト・アプリケーションボード (DIBまたはPIB) PIN-ELE HVDモジュール 高電圧デジタルピン PMU リレー DUT 通常デジタルピン PIN-ELE <テスト・アプリケーションボードへの応用> 7/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション テスト・アプリケーションへの応用例として、通常ロジックレベルと高電圧レ ベルが混在した製品として、トランジスタアレー製品テストへの応用例を下記の 示します。 このトランジスタアレー製品をテストするためには、従来のテスターでは入力 ピンはテスターのPIN-ELEのドライバでドライブされ、出力側はPIN-ELEのコンパ レータの許容入力電圧を超えているため、テスターのVIソースへ接続してプログ ラムにより出力変化を測定する必要があり、テスト時間が長くなりテストコスト が増加する要因となってました。 しかし、本HVDモジュールをアプリケーション回路へ使用することで通常の ファンクション試験で対応可能となり、テスト時間を大きく削減可能となりま す。 DUT VCC 最大30Vまで *1 *1 ATE内部 ATE内部 DUT (トランジスタアレー) *1 テスト・アプリケーションボード (DIBまたはPIB) <トランジスタアレー(最大30V)への応用> *1のDUT出力に必要なプルアップ抵抗の電源にHVDモジュールのドライバを利 用することで、モジュールの_HIZ制御による抵抗の接続および切り離しも自動で 行えます。この接続ではプルアップ電圧は最大30Vまで可能です。 8/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション さらに出力耐圧が30Vを超えるトランジスタアレーのテストでは、下記の接続 にて60Vまでの製品テストが可能となります。 これは、本HVDモジュールのコンパレータ入力インピーダンスが500KΩである ことを利用し、コンパレータ入力に直列に500KΩを挿入することでコンパレータ 入力耐圧の30Vを超えないようにしております。 なお、DUT出力のプルアップ抵抗の電源はATEまたは外部電源を利用しますが、 抵抗への接続制御はHVDモジュールのドライバにより個別制御可能となっており ます。 PU抵抗電源 最大60Vまで DUT VCC ATE内部 ATE内部 DUT (トランジスタアレー) テスト・アプリケーションボード (DIBまたはPIB) <トランジスタアレー(最大60V)への応用> 9/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション 2.4 ウェハ・バーンインシステムへの応用例 近年、半導体への高信頼性要求に伴いバーンインは必要不可欠な工程となって きました。しかし、バーンイン設備にはオーブンのみならずボードおよびソケッ トなどの投資が必要であり、大きな負担となっております。さらに細密化された パッケージが多くなりソケットの開発・投資も大きな問題となってきておりま す。 それらを踏まえウェハ・バーンインという要求が高まってきておりますが、高 信頼性を要求する製品としては自動車関連半導体となりそれらは高電圧印加も必 要となっております。 そこで本HVDモジュールを利用することで高電圧印加も可能であり、プローブ のコンタクト・チェック機能も実現可能なウェハ・バーンイン試験回路を下記に示 します。 プローブのコンタクト チェック時にこのリレーを ONすることで定電流源へ各 プローブが接続され、定電 流印加時の電圧をウィンド ウコンパレータで 判定する。 定電流源 プローブ ウェハ 定電流源 ホット・チャック <ウェハ・バーンインシステムへの応用> 10/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション 2.5 計測器への応用例 従来より計測器の分野でのパルス・ジェネレータまたはパターン・ジェネレータ 等の信号発生器は、高速化するLSIをターゲットとして開発されていたため、出 力される信号は小振幅・高速信号となっていた。これにより大振幅信号が必要な 半導体製品の信号源を入手することは困難であった。増幅アンプとしては入手可 能だが、信号周波数としては数KHzと非常に低速信号しか増幅できなかった。 しかし、本HVDモジュールを従来の信号源の増幅アダプタもしくは、信号発生 器の出力段ドライバとして使用することで、今後要求される高速・大振幅信号源 として利用可能となります。 下記に計測器のパルス増幅アダプタとしての応用例を示します。 6V HVDモジュール ドライバ部 0..5V信号 0..30V信号 DUT 0V 0..5V信号 <パルス増幅アダプタとしての応用> 11/12 HVD-AN-080731 R0 HVDモジュールのアプリケーション 半導体動作評価にはロジック・アナライザーが利用されますが、この測定器も 通常のロジック電圧範囲に対応していますが、高電圧ロジックへの対応が遅れて おります。 そこで本HVDモジュールのコンパレータ部を利用することで既存のロジック・ア ナライザの入力電圧範囲を0-5Vから0-30Vへと拡大することが可能となります。 次にロジック・アナライザへの応用例を示します。 0..5V信号 0..30V信号 DUT コンパレータ・スレッショルド電圧 (Vset = Vth / 5) <ロジック・アナライザへの応用> 本HVDモジュールのコンパレータを利用することで、ロジック・アナライザへの 信号は通常の5Vロジックレベルとなります。 さらに、各コンパレータのスレッショルド電圧を個別に設定可能なので、ロ ジック・アナライザでの測定でハイ、ローおよびハイインピーダンスの3状態の観 測が可能となります。 コンパレータへの設定電圧は、 設定電圧(Vset) = しきい値(Vth) / 5 となります。 12/12 HVD-AN-080731 R0 株式会社エリア 〒879-1507 大分県速見郡日出町大字豊岡字岩垣799番地1 TEL:0977-73-2485(代表) FAX:0977-73-2486 HVD-AN-080731 R0
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