平成 28 年 第1回 学校保健委員会 平成 28 年7月14日 「歯科の先生にお聞きしたいこと」 歯科校医 山林 豊 ・<歯ブラシの選び方(大人・子供)> 歯ブラシの大きさは下の前歯3~4 本の幅と同じぐらいで、ナイロンの毛で 3 列、柄はまっすぐな物 が良いと思います。昔ながらのオーソドックスなものを月に 1 度ぐらいのペースで交換するのが良い と思います。ちょっと小さいかなと思えるぐらいが、口の中で小まわりがきいて、隅々まで届くと思 います。 子どもが使う歯ブラシと仕上げ磨きで使う歯ブラシは変えてください。 ・<歯磨きのブラッシングの時間(手磨き・電動歯ブラシ)> 当院で染め出しをして、きれいになるまで手鏡で確認しながら磨かせると、早い子で7~8分、遅 い子では 15 分ぐらいかかります。電動でも同様に時間がかかると思います。 時々、本人が磨いた後に手鏡を持ちながら、つまようじで歯面をこすって磨き残しがないか確認し て、あればもう 1 度磨かせて、歯磨きの大変さや、自分のどこに磨き残しが出るのかを自覚させるこ とが重要です。 ・<子どもの仕上げ磨きは何歳まで> 保護者の方に聞くと 3,4 年生ぐらいになると仕上げ磨きをあまりしなくなるそうです。 でも、3、4 年生のころの口は前歯が生えそろい、その後ろに永久歯が萌え換わる準備期間です。顎の 骨は前にも横にも大きくなり、乳歯の間に物がつまりやすくなってきます。乳歯が永久歯が正しく萌 えるのを導きますので、乳歯をむし歯にしないようにすることが重要です。また、萌え換わった永久 歯は脆弱でむし歯になりやすいです。全部の乳歯が抜けて永久歯に変わるまでは、ほぼ毎日寝る前に 仕上げ磨きをしてあげて下さい。12 歳臼歯(第二大臼歯)が 6 年生ぐらいに生え 28 本の歯がそろいます。 6 年生になっても週に 1~2 回は第二大臼歯のところを中心に見てあげて下さい。今の子は顎が小さい ので下の第二大臼歯(12 歳臼歯)がきれいに萌えずに、歯ぐきがかぶってむし歯になったり、歯ぐき が腫れたりする子もいますので、注意が必要です。 ・<歯間ブラシやデンタルフロスを使用する間隔(大人・子ども)> 必要な人は食べたら必ずやりましょう。歯と歯の間にむし歯ができたり、歯周ポケットが広がります。 つまった食べかす、歯垢は、必ずお掃除してから寝て下さい。子どもは歯と歯の間が狭い(骨吸収がな い)ので、デンタルフロス(楊枝状のものも可)が良いでしょう。大人で、すきまの大きい所は歯間ブ ラシが良いと思います。詳しいことは、かかりつけの先生の指導を受けて下さい。 ・<歯磨きのタイミング(起床時、食後、就寝前)> 「歯はお箸やお茶碗といっしょです。朝使った食器を洗わずにそのままお昼ごはんに使いますか? お母さんはきれいに洗ってくれますよね。」と子どもたちに話しています。 食べたら歯磨きが基本です。でもなかなか実行できません。少なくとも、1 日の汚れをその日のうちに きれいにすることが重要です。食べかすを残したままにしておくと、それが歯垢になって、寝てる間 にむし歯になったり、歯垢が固まって歯周病の原因の歯石になったりします。ですから、仕上げ磨き が重要です。 外出してすぐに歯磨きができないときは、キシリトールのガムやタブレットを利用すると良いでし ょう。食後の酸性に傾いたお口を早く中性に戻してくれます。また、キシリトールにはむし歯菌の活 動をおさえてくれる効果があります。しかし、取り過ぎるとお腹をこわすので注意して下さい。 ・<歯磨き粉の適齢期 (子ども用の歯磨き粉の卒業する時期) > 歯磨き粉(歯磨剤)は発泡剤の入っていないものや低発泡性のもの、研磨剤の入っていないもの(子ど も用)を使用することをお勧めしています。発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム)は中性洗剤やシャンプー に入っているものと濃度は異なりますが同じものです。硬い表皮に手荒れを起こすこともあるものを 口の中の粘膜に使用するのは心配です。アトピーがある子どもは発泡剤の入っていない製品をおすす めします。子ども用の方が発泡剤が少なく、低刺激だと思います。 ・<歯磨き粉を使うのと使わないのとではどちらが汚れが落ちるのか?> 歯磨き粉を使用した方が汚れが落ちやすくなり、きれいになります。しかし、使うことでのデメリ ットもあります。それは、歯磨き粉のさわやかな成分で多少よごれが残っていても磨けたつもりにな ってしまうことです。また、研磨剤の作用により萌えたての脆弱な永久歯の表面を傷つけてしまうこ とです。 歯磨き粉は発泡剤や研磨剤の入っていないものを使うか、何もつけずに水だけでさっぱりするまで 磨き、最後に少量の歯磨き粉(歯ブラシに3~5mm)をつけ軽く泡立てて歯磨き粉の成分(フッ素) が歯にいきわたるようにして、少量の水で軽くすすいで終わりにします。また、マウスウォッシュを 歯ブラシにつけて歯磨き粉代わりに磨けば、長時間磨いても歯を傷つける心配は少ないと思います。 ・<マウスウオッシュはどのくらい効果があるのか?> どんなマウスウォッシュを使っても口の中は無菌にはなりません。毎日きちんと歯磨きをした後に 使うことで、菌の多い人(疲れたり体調が悪いと歯ぐきが腫れたり、重い感じがする方)は、数日で起床 時(一日の内で一番口臭があります。 )にその効果を実感すると思います。大人に比べて子どもは菌が 少ないので、あまり必要性はないと思います。むしろ、誤嚥性肺炎をおこさないために祖父母の方に お勧めします。 ・<歯磨きで見落としがちなところは> 歯ブラシの届きにくい場所は、歯の裏側、舌側、歯ぐきに近いところ、最後臼歯の後ろ側などです。 また、歯並び、口の大きさ(身体の大きさと口の大きさは比例しません。)、歯の萌え代わり状況など で、個人差がありますので、手鏡を持ちながら丁寧に磨いて下さい。 ・<お昼ご飯(給食)の後、歯磨かなくて良いのか?> 現在、各個人の責任のもとで行なっています。学校医としても、昼食後の歯ブラシは個人に任せて おります。歯磨きをしない子は帰宅後にすれば良いと思います。 ・<中 3 の息子が歯を磨かず困っています。反抗期の子供に歯磨きさせるには?> 口臭やむし歯、歯周病の話をしてみて下さい。 歯磨き以外の質問では ・むし歯を放置するとどうなるのか? ・歯周病について
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