国際投信投資顧問株式会社 様 SAP

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SAP BusinessObjects
導入事例
国際投信投資顧問株式会社
国際投信投資顧問は、投資信託会社の頭脳となる
統合データベースとBIシステムの構築を、
JFEシステムズに依頼しました。
国際投信投資顧問株式会社 システム部 部長 岸山直樹氏
リスク管理部 リスク管理グループ グループリーダー 近森健三氏
国際投信投資顧問株式会社(以下、国際投信投資顧問)は、国内最大規模の投資信託「グローバル・ソブリン・
オープン
(毎月決算型)
」の運用を行っています。国際投信投資顧問は、JFEシステムズに統合データベースの
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構築とSAP BusinessObjects を活用したBIシステムの構築を依頼されました。
その経緯と効果について、同社システム部長 岸山直樹氏(写真左)と同社リスク管理部リスク管理グループ
グループリーダー 近森健三氏(写真右)に詳しく伺いました。
■ 国際投信投資顧問について
■ 導入の背景
― 国際投信投資顧問の業態について教えて下さい。
― BIシステム導入の背景について教えてください。
国際投信投資顧問は、三菱UFJフィナンシャルグループの一員で、
私ども国際投信投資顧問は、投資信託(ファンド)
という形で、債券、株式
1997年に国際投信委託株式会社と国際投資顧問株式会社が合併して
など様々な種類の資産を、国内外の取引市場での取引を通じ運用していま
現在に至っています。 国内最大規模の投資信託である
「グローバル・ソブ
す。そのため、個々の債券や株式に関するデータはもちろん、経済・金融情
リン・オープン
(毎月決算型)
」のほか、成長著しいアジア株式・債券等に投資
勢などに関するデータ、国内外の金利、為替市況などに関するデータ等、
するファンドをはじめ、幅広い商品を運用しています。
様々なデータを収集・分析し、
ノウハウを駆使しつつファンドの運用の指図
国際投信投資顧問の運用資産残高は、公募投資信託3兆1303億円、
を行っています。
私募投資信託375億円、
投資顧問1780億円となっており、
国内有数の資
また、各ファンドは、関係法令のほか、
「信託約款」や「目論見書」、運用方
産運用会社です(いずれも2012年6月末現在)。おかげさまで、今年12月
針やガイドラインといったファンドの具体的な仕組みや管理方法、投資対
に、
グローバル・ソブリン・オープンは設定15周年を、
そして来春には国際
象範囲や投資比率などの詳細について定めたルールに準拠して運用・管理
投信投資顧問も設立30周年を迎えることになりました。
されなければなりません。そのため、
ファンドに組み入れられている債券や
項 目
内 容
備 考
株式といった資産に関する最新の情報やデータを収集・分析し、
これらの
① 資産運用関連データの取得
ルールが遵守されているか、常に注意深くモニタリングしています。
機能、
データマート構築
更に、私どもは、投資家の皆様が各ファンドに関する必要な情報を入手
し適切な投資判断ができるよう、各ファンドの商品コンセプトや運用状況、
開発システム
リスク情報、その背景となるマクロ経済情勢などについて、様々なレポー
① 統合データベース基盤
② 法令・約款や運用方針・ガイド
② ミドルチェック機能
ライン等の遵守情報のチェック
③ レポーティング機能
③ 各運用ファンドの月次・週次
④ マーケティング支援機能
レポート等の作成
④ マーケティング関連のデータ
トをできるだけ解りやすく作成し、投資家の皆様にご提供しています。金
加工・集計、
レポートの作成
融商品は手に取ったり使ってみたりして品質の良し悪しを確かめることが
①② 2009年10月プロジェクト開始
できませんので、あらゆる事項は全て具体的な数字によって説明する必
開発期間
要があります。
2011年3月運用開始
−
③ 2011年7月運用開始
④ 2012年10月以降運用開始予定
このように、運用会社にとっては運用資産に係るデータや情報はいわば
生命線であり、その品質・鮮度が全てと言っても過言ではありません。特に、
1つのプラットフォーム上で様々
使用製品
なデータの統合・分析・レポーティ
SAP BusinessObjects
足許ますますファンドが多様化し、その数も増えてきている現状では、運用
ングを実現できる統合BI製品
資産に係るデータ・資産情報の品質とその管理、つまりデータ管理業務が
今まで以上に重要度を増してきております。
統合DWH・BIシステム
故に、その生命線である情報をいかに担保していくかが大きな課題であ
データソース
統合DWH
(RDBMS)
り、情報を集約する統合データベースの整備と、蓄積されたデータを活用
BI
(SAP BusinessObjects)
するための仕組み、つまりBIシステムに代表されるようなデータウェアハウ
スとデータ管理ツールへのニーズが急速に高まってきていました。
投資信託の仕組み
情 報の 流れ
レポートシステム
(債券、株式)
E TL
運 用会 社
購 入の 流れ
申込 金
投資家
申込 金
販 売会 社
ファンド
分 配 金 など
監査レポート
投信残高・約定
社内データ
マスタ管理
..
.
信託銀行
HPサイト情報
テキスト情報
など
データマート
生成
基本明細
データ
参 照 管理DB
各種チェック用
データマート
分 配 金 など
運 用成 果
投資
ディストリビュータ
サイト情報
約款、
ガイドライン
チェックレポート
多次元分析
各ユニバース
運用報告書、
週次・月次レポート
EXCEL出力
投 資信 託とは
さまざまな 投 資 対 象
投資家
投 資信 託
(ファンド)
投 資信 託
運用会社
分散投資
資金をまとめる
国内
金融 市 場
海外
株式
■ 統合データベース構築前の状況 ∼ 情報はあるのに
債券
CD・CP
デリバティブなど
― 統合データベースを構築する前の状況についてお聞かせ下さい。
各部門毎にデータベースがあり、同じ
■ 今回、依頼したプロジェクトの内容
外部情報提供会社から情報を取得しても、
格納する方法やデータの定義が異なって
― 今回、JFEシステムズに依頼されたプロジェクトの内容について教えて
下さい。
いるケースがありました。また、各個人が
それぞれ直接データを収集し、
自らの業務
で使 いやすいような形で独自のデータ
国際投信投資顧問では、2009年より、
これまで社内で各個人が個別に
管理・運用していたデータベースの統合化プロジェクトに着手し、業務支援
システムとして開発しました。このプロジェクトで、JFEシステムズにお任せ
した内容は以下の通りです。
ベースを作成し、利用している場合も少な
くありませんでした。
「今後も、安定稼働できるように
サポートをお願いしたいと思い
ます」岸山氏
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担当者が必要だと判断した銘柄や指標についての情報を、個別に取り込
随時取得して、週次、月次のファンドレポートに掲載する純資産総額や基準
んでいたため、社内での共有ができず、別の担当者は、その銘柄情報が
価額の推移グラフ、主要な資産の状況などを自動的にエクセルに出力して
データベースに格納されていることも知らないといった状況も発生してい
おり、
これを最終加工し完成品に仕上げています。
ました。また、運用ファンドの月次レポートなどの作成業務については、主要
ファンドを中心にシステム化が図られていましたが、最近の新型ファンドにつ
いては、担当者がEUCなどにより対応するなど手作業への依存度も高く、
作成や更新に時間がかかっていました。
一般的には、統合データベースのようなBIシステムは、
データ検索・分析
のための「情報系システム」
として利用するケースが多いと思いますが、国
際投信投資顧問の場合は、
このようなファンド運用のミドル・バック業務をサ
ポートする「業務支援システム」として利用を始めたところに特徴があると
思います。
― 既存のデータベースを連携させる方が、期間やコストを抑えられたの
なお最終的には、本来BIツールが得意とする
「情報系システム」
としての
ではないですか。
利用を視野に入れており、現在販売会社などのマーケティング関連のデー
既存のデータベースは、各部門が独自の基準で構築したものだったので、
タや情報を取り込むべくデータベースの拡張を行っています。
統一性がなく、
そもそも連携させることは極めて困難でした。全社的に共通
して必要となる運用ファンド関連のデータを一括で取得して新たなデータ
ベースとして統合し、利用できるようにする必要がありました。
■ 構築された統合データベースの活用法 ∼ 運用基準遵守のチェックとファンド資料の作成
■ 統合データベース及びBIシステム構築の効果
― 統合データベースとBIシステムを構築されて、どのような効果があり
ましたか。
定量的な効果としては、
これまでEUCや手作業で行っていた部分の多く
― 統合データベースをどのように活用されていますか。
をSAP BusinessObjectsで自動化することができた為、業務効率が大
幅にアップしました。特に、新たな運用ファンドが追加された場合の対応作
一般的にBIシステムでは、社内の勘定系のシステムや情報系のシステ
ムからデータを収集していると思いますが、国際投信投資顧問が構築し
たシステムでは、市況情報に関しても統合データベースに取り込んでい
業の軽減と効率化が図られており、直接的な費用削減だけでなく、対応時
間の短縮にもつながっています。概算ですが、2名から3名相当の保守コス
ト削減に貢献していると考えております。
ます。そうして、出来上がった情報を現在は主に以下の2通りの方法で活
また、自動化が進んだことで、
ここ数年でファンド数が倍増しているにも
用しています。
かかわらず、要員を増やさずに、従来の要員数で業務を回すことが出来て
1.ファンド運用ルールの遵守状況チェック
おります。
各ファンドは、それぞれ投資対象とする
■ 何を基準に、ベンダーを選定したのか
資産、地域、国、業種、通貨、格付、発行体
などの範囲、その投資割合の上限等が約
― 採用ベンダーの要件
款や目論見書等に定めらており、その運
用ルールを遵守する必要があります。そ
以下の条件で、
複数のベンダーを検討しました。
のため、統合データベースに運用資産に
関する情報を集約し、毎日、保有している
運用ファンド資産の状態を、BIシステムを
使って自動的に計算させて、運用基準を
遵守できているかどうかのチェックをして
1.金融業界での実績があること
「2009年当時から、早い段階
でシステム化しておかないと、
将来的に対応できなくなると考
えていました」近森氏
います。
金融業界の独特の用語や仕組みをゼロから説明していては、
プロジェクト
が進みません。そこで、スムーズにプロジェクトを進めるため、既に金融業
界での実績があることを条件としました。この条件で、ベンダーを2∼3社
に絞り込みました。
2.投資家向け資料(ファンドレポート)作成
2.エクセルでアウトプットがしやすいこと
また、投資家に対するディスクロージャー資料の作成ツールとしても活
用しています。具体例としては運用ファンドの情報を統合データベースから
先ほど申し上げた通り、
ディスクロージャー資料については投資家に分か
りやすく情報を伝えるために、エクセルを使い、集計データを図表にしてい
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ます。
「分かりやすさ」は譲れない部分ですので、
エクセルとの親和性が高く、
例えば、新しい運用ファンドが追加される場合にも、
ファンド運用ルールの
データ連携や加工が容易であるBI製品を扱うベンダーにしたいと考えてい
遵守状況チェック業務や、投資家向け資料(ファンドレポート)作成業務にお
ました。
いて、共通で使用する外部情報データなどの取得ロジックをきちんと定め
ておくことが要求されます。また、ユーザーが増えてくると、様々なニーズ
3.プロジェクトのマネジメント能力
プロジェクトを一緒に進めて行く上で最も気になる要素が、プロジェクト
のマネジメント能力です。提案を確実に実現するために、どのような開発
体制で臨むのか、そのプロジェクトマネジメント能力にも評価のウェイトを
置きました。
からデータの追加要請もでてきますが、各々の部署が勝手に追加開発をし
てしまうと、重複が生じたり全体の整合性が損なわれたりしかねません。そ
こで、統合データベースの所管部署を定め、その部署が新規に取得する
データについての定義を他のユーザー部署と調整して決定したり、全体の
システム開発を統括したりする役割を担うことで、データベースの業務仕
様の統一化を図っています。
■ JFEシステムズを選んだ理由 ∼
一緒に汗をかこうという姿勢
― JFEシステムズのどのような点をご評価頂いたのでしょうか。
前述のように、今回の統合データベースとBIシステムの構築は、単なる
情報の器や分析ツールの導入ということではなく、
「業務支援システム」と
して位置付けていました。そのため、
このような当社のニーズを真に理解し
て、それを実現するための提案をして頂けるようなベンダーを選ぶつもりで
した。
■ JFEシステムズへの評価と今後の期待
― JFEシステムズへの評価と今後の期待について教えて下さい。
JFEシステムズの担当者は、
誰もが分かるまで熱心に質問してきます。最
初は属人的なものかと考えていましたが、当社を訪れるJFEシステムズの
担当者全員が同じ姿勢で取り組んで頂いていると感じています。真面目で
勉強熱心な社員を生むJFEシステムズの社風は、素晴らしいと思います。
当社の業務理解に対する姿勢で、JFEシステムズを選定しましたが、それが
間違いでなかったことが証明され、私たちとしても喜ばしい限りです。
そこで、ベンダー選定に際しては、提案するBIツールの機能に加え、各ベ
ンダーの取り組み姿勢と力量をチェックするため、仮想のデータベースを渡
してそれを元にファンドレポートのパーツを試作してプレゼンテーションして
頂くことをお願いしました。当然、運用ファンドのデータに関する知識が必要
となるため簡単にはできないのですが、
JFEシステムズは、他ベンダーに比
今後も、
どなたが担当者になっても、
しっかりと国際投信投資顧問の業務
を理解し、
システムに落とし込めるようにして頂きたいたいと思います。ファ
ンドができる度に、新しい問題が出てくるので、
これまで通り、
きちんと対応
して欲しいですね。
べて質問の数がずば抜けて多く、
システムとパッケージを売るという姿勢で
また、データベースのインデックスの付け替えなど、パフォーマンスを下
はなく、私たちの意図や業務を理解し
「一緒に汗をかいて」良いシステムを
げないためのチューニングや、
バッチジョブの管理など、運用面での支援も、
作り上げようという姿勢が強く感じられました。
これまで通りお願いしたいと思います。期待しています。
実際、各ベンダーのプレゼンテーションについては、JFEシステムズが最
も時間を割いて試行錯誤して頂いたことが明らかに解るものであり、BIシス
テムの機能についても、上手く行かなかった部分やその代替案を含めて説
― お忙しい中、貴重なお話を、ありがとうございました。
明をして頂き、
これなら任せられると判断しました。
■ 運用で工夫している点
― 運用において工夫している点はありますか。
統合データベースを社内共通のデータベースとして維持していくため
には、データの取得ロジックを一義的に定めて管理しなければなりません。
03-5637-2256
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