第5学年 体育科学習指導案

第5 学年
体育科学習指導案
平成2 0 年1 0 月2 2 日(水)第5 校時
5 年2 組
39名
指導者
今野
拓洋
1 単元名
ソフトバレーボール
2 単元の目標
【技 能】 サーブやレシーブやパスなどの基本的なボールの扱い方を身につけ、
作戦や状況に応じ
た動きができる。
【態 度】 チームでのかかわり合いを通して、互いに認め、励まし合いながらゲームを楽しもうと
する。
ルールやマナーを守り、協力して練習やゲームに取り組もうとする。
【学び方】基本的な動きやルールを理解し、チームの力にあった簡単な作戦を立てている。
話し合いを通して、みんなが楽しめるようにルールを工夫したり、考えたりしている。
3 単元の評価規準
運動への関心・
運動についての思考・判断
運動の技能
意欲・態度
○友だちのよさを認め、励まし ○自分のチームのよさを生か ○基本的なボールの扱い方を
合いながら練習やゲームに
した作戦を立てている。
身に付け、状況に応じた動き
進んで取り組もうとする。
ができる。
○みんなが楽しめるように、ル
ールを工夫している。
○勝敗に対して正しい態度を
○自分から進んでボールを追
とり、マナーを守って安全に
い、積極的に動くことができ
練習やゲームをしようとす
る。
る。
<単元について>
(1)一般的特性
○ネットをはさんで2つのチームが相対し、ボールを打ち合い得点を競う運動である。
○バレーボールに比べ、ボールが大きく、軽く、柔らかいため、サーブやレシーブがしやすい。
○技能の高まりに応じて、アタックなどの攻撃ができるようになる。
(2)児童からみた特性
○ネットをはさんだゲームなので、相手チームのメンバーと接触しない安心感がある。
○ボールが軽く、柔らかいので、恐怖心が少なく、運動の苦手な児童でも取り組みやすい。
○うまくレシーブやパスをしたり、相手のコートに打ち返せたりすると楽しさを味わうことができ
る。
5 年 ゲーム・ボール ― 1 ―
○チームでボールをつなぐゲームなので、チームの一体感が生まれやすい。
○チームで上手にボールを回せるようになったり、ゲームでラリーが続くようになったりすると、
全体が盛り上がり、楽しい運動になる。
<児童の実態>
(1)運動に関する意識調査
【体を動かすことや運動は好きですか】
○好き 26 ×嫌い 2 △どちらでもない 9
○ 楽しいから。 たくさんの人と遊べるから。 体を動かすと楽しいし気持ちいいから。 得
意だから。
× あまり体力がないから。
△ 好きなものもあるけど、嫌いなものもあるから。 やりたいときとやりたくないときがある
から。
楽しいけどつらいから。 足がおそいから。
【体育の授業は楽しいですか】
○楽しい 17 ×楽しくない 1 △どちらでもない 19
○ 体を動かすのが楽しいから。 できなかったことができるとうれしいから。
自分のできないことに挑戦できるから。 先生がルールをやりやすくアレンジしてくれる
から。
△ やりたいものとやりたくないものがあるから。 楽しいものもあるけど楽しくないものもあ
るから。
たまに嫌いなことをするから。 得意な運動と苦手な運動があるから。
【ボールを使った運動は好きですか】
○好き 30 ×嫌い 1 △どちらでもない 6
○ 楽しいから。 投げるのがすきだから。 投げたり蹴ったりキャッチしたりして楽しいから。
△ 好きなものと嫌いなものがあるから。 当たると痛いから。
【どんな運動が好きですか】
(複数回答)
・体つくり 9 ・器械 11 ・陸上 9 ・水泳 19 ・ボール 21 ・表現 9
(2)ソフトバレーボール学習に関しての児童意識調査
【みんなが楽しくソフトバレーボールをするためには、どんなふうに運動したらいいですか】
・失敗を責めずに、励まし合ってプレーする。 17
・みんながボールにさわれるように考える。 10
・あきらめず最後までがんばる。 6
・動き方などをお互いに教え合ってプレーする。 3
・アタックやパスなどをたくさん決める。 0
【どんな人がチームのキャプテンになって欲しいですか】
・失敗を責めずに、友だちを励ましながらプレーできる人。 27
・チームの雰囲気を盛り上げられる人。 5
・ボール運動が上手な人。 2
・まとめる力がある人。 1
・冷静な人。 1
【ソフトバレーボールをするにあたって、自分のよさは何ですか】
・失敗した人を励ましてあげる。 8
・ボール運動が得意。 5
・あきらめないでプレーできる。粘り強い。 4
・大きい声が出せる。 3
・アドバイスができる。 2
5 年 ゲーム・ボール ― 2 ―
・遠くにあるボールを打ち返せる。 2
・アタックをレシーブできる。 2
・パスを上手に回せる。 2
など
【ソフトバレーボールであなたががんばりたいことは何ですか】
・みんなとうまくパスを回し合う。 6
・アタックをがんばる。 4
・みんなと仲良くする。 3
・最後まであきらめない。 3
・失敗を責めない。 2
・ボールを下に落とさない。 2
・ブロックをがんばる。 2
・みんなを気づかい、励まし合う。 2
・チームのみんなで楽しめるようにする。 2
・できるだけボールにさわる。 2
・上手にボールを打ち返す。 2
・できるだけチームに迷惑をかけない。 2
・得点をきめる。 2
・友だちのよさに気付く。 2
など
(2)平成20年度新体力テスト結果(5学年全体)
対 全国平均
対 東京都平均
(平成18年抽出調査)
(平成18年抽出調査)
15.35
17.80
31.33
38.33
43.14
▲1.78
▲2.08
▲1.11
▲4.05
▲8.79
▲1.74
▲1.05
▲1.99
▲1.10
▲2.11
9.68
138.88
19.45
▲0.34
▲17.32
▲6.76
▲0.29
▲13.63
▲4.69
5学年平均
握力(kg)
上体起こし(cm)
長座体前屈(cm)
反復横とび(点)
20mシャトルラン
(回)
50m走(秒)
立ち幅とび(cm)
ソフトボール投げ(m)
運動や体育の授業について、基本的には好む児童が多いが、運動の内容や種目による好き嫌いがあ
る。ボール運動については好む児童が多い。学校の休み時間では、晴れていても室内で過ごす児童が多
いなど、体を動かすことには消極的である。そのような運動習慣が新体力テストの結果に反映されてお
り、この学年の体力向上は大きな課題である。
「ソフトバレーボール学習に関するアンケート」からは、
よいプレーができたときに認められたり、失敗をしても励まされたりするなど、児童同士のあたたかい
かかわり合いにより、みんなが安心して運動を楽しめることをこれまでのボール運動の経験から学んで
いることがわかった。
本授業ではこの実態を踏まえ、好む児童が多いボール運動をとりあげ、一人一人の児童が互いのよ
さを認め合い、運動の楽しさを十分に経験できるように指導をしていく。
<授業の工夫>
研究主題「楽しく運動する子どもたち」との関連
ソフトバレーボールは団体競技であり、学級やチームの盛り上がりや一体感によって楽しさがより
高まることが期待できる。また、ゲームに勝つために一人一人の役割に依るところがバスケットボール
やサッカーに比べて大きい。そこで、かかわり合うことや協力し合うことの意識をめあてを通してそれ
5 年 ゲーム・ボール ― 3 ―
ぞれの児童にもたせたい。また、それぞれの児童のかかわり合いで生まれる気付きや楽しさを学習に生
かし、ボール運動の楽しさを十分に味わえるように、次の手だてを考えた。
一人一人が自らのめあてをもち
◆学級全体のめあてを立てることで、一人一人の児童が学級やチームにどのようにかかわり、役割
を果たしていくのかを考えながら、チームや個人のめあてを立てられるようにする。
◆ソフトバレーボールに必要な技能を示し、それぞれの児童が個の能力に応じためあてを立てられ
るようにする。
◆ゲーム中のよさをいくつかの観点で記録することで、めあてについてのチームや自己の振り返りが
できるようにする。
友だちとかかわり合いながら
◆練習やゲーム中、互いに励まし合う声かけやアドバイスが積極的に行えるように働きかけをする。
◆ゲーム中に見つけた友だちのよさやチームのよさをワークシートに記録させ、お互いのよさを知る
ことで、意欲を高めたり、次のめあてや作戦に生かしたりできるようにする。
◆学習の終わりに、その時間に言われてうれしかった言葉やうれしかった行動、参考になった言葉
かけや動作を互いに交換し合う時間を設ける。
運動の内容に関わる工夫
コート
ネット
使用球
プレーヤー
得点方式
勝敗
サーブ
バウンド
触球回数
ブロック
はじめのルール
縦12m×横6mバドミントンコート
バドミントン用ネット
ビニール製ソフトバレーボール100
g
1チーム4人でローテーション
ラリーポイント制
時間制(7分間)
コート内からのアンダーハンドサーブ
下からの投げ入れ可
1回ごとにチェンジサービス
1回までのバウンド可
4回まで
なし
予想されるルールの工夫(例)
得点制(11点/15点)
コート外からのフローターサーブ可
不可
3回まで
あり
5 年 ゲーム・ボール ― 4 ―
5
単 元 指 導 計 画 ( 単 元 名 : ソフトバ レー ボー ル
やってみる
時数
学
習
活
動
1
①準備運動をする。
②ソフトバレーボールについて
知る。
・サーブやレシーブなどの基本技
能
・ソフトバレーボールのルール
③学習の進め方を知り、見通し
をもつ。
・学習のねらい
・学級のめあて
・学習の進め方
④チーム編成をし、チーム毎に話
し合う。
・チーム名
・チームのめあて
⑤試しのゲームをする。
・ルールの確認
・ゲームの進め方
⑥整理運動をする。
⑦学習の振り返りをする。
教師のはたらきかけ
◆ソフトバレーボールの基本的
ルールや基本的な動きについ
ておさえ、児童が技能面の目
標を明確にもてるようにする。
◆学習の進め方や、安全な準備
や後片付けの方法などを指導
する。
指 導 時 間 : 4 5 分 ×7 回 )
ひろげる
2 ・3
ふかめる
4 ・5 ・6
7
①学習のめあてと内容の確認・準備運
動をする。
②ソフトバレーボール大会をする。
③整理運動をする。
④単元全体を振り返り、学習のまとめを
する。
①学習のめあてと内容の確認・準備運動をする。 ①学習のめあてと内容の確認・準備運動をする。
②チーム毎に練習をする。
【関心・意欲・態度】
②チーム毎に練習をする。
・サーブ
・チームで声をかけ合い、協力して楽し
・チームとして高めたい技能の練習
・レシーブ/パス
く運動しようとしたか。
・ゲームでの作戦の確認
・互いに技能を教え合う。
・チームの友達のよさを見つけ、伝えよ
③ゲームを行う(1 1 点先取×3 ゲーム)
③練習ゲームをする。(7 分間×3 ゲーム)
うとしたか。
・ゲームの合間に、作戦の確認や変更を行う。
・はじめは簡単なルールで行う。
・ルールやマナーを守って楽しくゲーム
・ルールは話し合いにより変更していく。
(別表「はじめのルール」参照)
に取り組もうとしたか。
・「ナイスプレーを見つけよう」カードに記録する。
(別表「予想されるルールの工夫」参照)
④整理運動をする。
・「ナイスプレーを見つけよう」カードに記録する。 【学び方】
・ルールや作戦について、話し合いに意
⑤学習の振り返りをする。
④整理運動をする。
欲的に参加し、工夫していたか。
<チームで話し合う>
⑤学習の振り返りをする。
【技能】
・めあてに沿った学習ができたかをふり返る。
<チームで話し合う>
・サーブやレシーブ、アタックなど、自
・「ナイスプレーを見つけよう」カードの記録を見て ・めあてに沿った学習ができたかをふり返る。
一人一人のよさを互いに認め合う。
・「ナイスプレーを見つけよう」カードの記録を見て 分の立てためあてに沿って技能を伸
ばすことができたか。
・チームでどのような練習が必要であるのかを話し
一人一人のよさを互いに認め合う。
・ゲームの中で作戦は有効であったかを話し合い、 ④ソフトバレーボールの学習を終えての
合い、練習に生かす。
感想を書く。
必要に応じて作戦を見直す。
<全体で話し合う>
<全体で話し合う>
・めあてに沿った学習ができたか。
・めあてに沿った学習ができたか。
・よりみんなが楽しめるようなルールの工夫
・よりみんなが楽しめるようなルールの工夫
◆基本的技能のポイントを絵図や実演により明確に ◆各チームが課題に沿って適切な練習ができている ◆前時までの学習を生かし、各チームが
かをワークシートや観察によって確かめ、必要に応 ソフトバレーボールの楽しさを十分味
示し、児童が練習に取り組みやすいようにする。
わえるよう、ゲームの組み合わせ等を
じて助言する。
◆教え合い、励まし合いができているチームを全体
配慮する。
に紹介するなどして、各チームのコミュニケーショ ◆作戦に無理がないかをワークシートや観察によっ
ンを促す。
◆自己評価の観点を明確に示すととも
て確かめ、必要に応じて助言する。
◆ゲーム中は各コートを観察し、ルールや技能につ ◆ルール変更時には全体で確認をし、児童が新しい に、これまでの学習におけるワークシ
ートなど見て児童が自分の伸びを実
ルールに対応できるようにする。
いて助言する。
感できるように支援する。
◆ゲーム中に声をかけあったり、積極的に話し合っ
たりしているチームをほめる。
☆ねらい1☆
ソフトバレーボールのルールや動きを知り、
簡単なルールでゲームを楽しもう。
☆ねらい2☆
ルールや作戦を工夫して、
みんなで声をかけあいゲームを楽しもう。
5 年 ゲーム・ボール ― 5 ―
6
本時の学習(本時
5/7時)
( 1 ) ね らい
【技
能 】 サー ブやレシー ブ、 パ スなどの 基 本 的 なボー ルの 扱 い方 が でき、 作 戦 や状
況 に応 じた動 きが できる。
【態
度 】自 分 や友 だちの よさに気 付 き、励 まし合 いなが ら練 習 やゲー ムに取 り組 もう
とする。
【 学 び方 】 作 戦 を意 識 してゲー ムに取 り組 んでいる。
(2 )学習過程
時
学習活動
○教師の働きかけ
①学習のめあてと内容の確認をする。
・前時までに変更したルールの確認
◇評価
○めあてを掲示し、意識して学習に取り組める
ようにする。
○ルールの解釈に違いが無いように、全体で
・本時の学習の進め方
よく確認する。
○十分に体をほぐすように指導する。
②準備運動をする。
③チームごとに作戦の確認をし、練習をする。 ○あらかじめチームカードを確認し、それぞれ
・それぞれ高めたい技能の練習をする。
のチームの力に見合った練習や作戦を考え
・作戦をチームで確かめ合う。
ているか確かめておく。
→練習内容やゲームでの作戦は、あらかじめ ○練習を見回り、必要に応じて助言する。
話し合い、チームカードにまとめておく。チ ○サーブやレシーブ/パスについて、必要に
ームカードを見て確認できるようにする。
応じて全体に指導する。
○互いに声をかけ合いながら練習をするよう
に指導する。
ルールや作戦を工夫して、みんなで声をかけあいゲームを楽しもう。
○本時での組み合わせとゲームの順番、役割
④ゲームをする。
分担を分かりやすく掲示する。
・1 1 点先取×3 ゲーム
E ×F
○「ナイスプレーを見つけよう」カードの観点
・1 回目
A ×B
C ×D
2 回目
G ×A
B ×C
を確かめ、なるべく多くのよさを見つけられ
3 回目
D ×E
F ×G
るように指導する。
◇励まし合いながら楽しんでゲームに取り組
<ゲームをしていないチーム>
もうとする。【関】
◇作戦を意識してゲームに取り組んでいる
・審判・得点係
【学】
・ゲームをしている友達のよいところを見つ
けて、「ナイスプレーを見つけよう」カー
ドに記録する。
◇基本的なボールの扱いができ、作戦に応じ
た動きができる。【技】
5 年 ゲーム・ボール ― 6 ―
☆ナイスボイス& アクション
・友達のよいプレーを認める声、励ます声、
アドバイス
・よいプレーを認める動作(拍手・ハイタッチ
など)、励ます動作
☆ナイスファイト
・最後まで諦めずボールを追っている。
☆ナイスサーブ
☆ナイスレシーブ& パス
☆ナイスアタック
○使った部位を中心にしっかりと体をほぐすよ
⑤整理運動をする。
うに指導する。
⑥今日の練習やゲームについて、チームごと
○「ナイスプレーを見付けよう」カードを見な
に振り返りをする。
がら、チームの一人一人のよさを認め合える
・めあてを達成できたか。
ようにする。
○チームで立てた作戦が有効であったか、さら
・今日の「ナイス○○」
→チームの仲間のよさを認め合う。
・次時に向けて(作戦、練習内容など)
に高めたい技能は何かを話し合い、次時の
学習に生かすようにする。
◇自分や友だちのよさに気付こうとする。
【関】
○チームで話し合った内容を全体に広げ、全
⑦全体で振り返りをする。
・めあてを達成できたか。
・本時で見付けた友だちのよいところ。
・新たなルールの見直しが必要か?
体でも互いのよさを認め合えるようにする。
○声かけや励まし、アドバイスができたチーム
を全体に紹介する。
○ゲームを通してルール上の改善点が無かっ
たかを確かめ、必要に応じて話し合うことに
する。
⑧個人カードに今日の振り返りをまとめる。
○一人一人のめあてに照らし合わせて振り返
りをすること、全体やチームでの話し合いを
受けて、自己の振り返りをすることを指導す
る。
⑨次時の予告をきく。
○次時の学習に向けての意欲を高めるように
する。
5 年 ゲーム・ボール ― 7 ―
7
研究協議会・授業のまとめ
(1 )研究協議
○ 児 童 が お互 いに励 まし合 い、 明 るく活 動 していた。 ゲー ムの 後 もメンバ ー の が んば りを
互 いに認 め合 っていた。
○ コー トに入 っている子 は、 ボー ルが 来 ていなくてもよく動 き、 思 ったより運 動 量 が 確 保 で
きているように思 えた。
○ 1 回 バ ウンドしてもよいルー ルなの で、 落 ち着 いてボー ルを見 てプレー が できていた。
○ 「 ナイスプレー を見 つけようカー ド」 によって、 プレー をしていない児 童 もプレー 中 の 児
童 の よさを見 付 けようと集 中 して見 学 していた。
○ 「 ナイスプレー を見 つけようカー ド」 にプレー 中 の 児 童 の 記 録 をしたことで、 それぞれの
児 童 の 動 きが 客 観 的 にわかり、 ふり返 りの ときに役 立 っていた。
○ 子 ども同 士 の 声 かけをどの ようにとらえたらいいの か。 声 かけは励 ましだけでよいの か。
運 動 の 特 性 に関 わるアドバ イス、技 能 面 での アドバ イスが もっとあった方 が よいの ではな
いか。
○ ルー ルが クラスに合 ったもの になっていて、 児 童 が 楽 しめる運 動 になっていた。
○ ふり返 りでは、 よかったことの みだけではなく、 チー ムの 課 題 についても話 し合 うようにす
ると、 次 時 の ゲー ムや技 能 の 向 上 にもつなが ると思 う。
○ 児 童 どうしで技 能 を共 有 することが 必 要 。 その ための かかわり合 いを考 えなくてはならな
い。
(2 )講評(講師:国士舘大学教授
池田延行先生)
○ ボー ルの 条 件 やルー ルで技 能 面 での 難 しさをカー バ ー できていた。ボー ルの 選 択 は、児
童 に合 っていて良 かった。
○ サー ブなどの 基 本 技 能 は、 共 通 で練 習 するとよい。
○ めあての 設 定 は、 もう少 し単 純 な仕 組 みにしたほうが よい。
原 則 はチー ムなの で、 チー ム毎 の めあてを中 心 にして、 それにあわせて個 人 の めあてを
たてる方 法 で良 いの ではないか。
○ 「 ナイスプレー を見 つけようカー ド」 には、 技 能 面 の 観 点 を入 れるとよい。
( 3 ) まとめ
今 回 の 授 業 では、友 だちとの かかわり合 いを通 して、運 動 の 楽 しさを児 童 に感 じさせるこ
とが できた。 授 業 後 の アンケー トでは、 ほぼ 全 ての 児 童 が 、 「 楽 しかった」 、 「 またソフト
バ レー ボー ルをしたい」 などの 感 想 をもっていた。
一 方 で、 児 童 の かかわり合 いの 中 に、 技 能 面 での 教 え合 いが 少 なかったことが 課 題 とし
て残 った。 サー ブ、 レシー ブなどの 基 本 技 能 の ポイントを明 確 に児 童 に示 し、 クラス全 体 で
の 練 習 時 間 を設 けるなど、 技 能 面 の 指 導 の 手 だてをさらに検 討 する必 要 が ある。
「 ナイスプレー を見 つけようカー ド」は、児 童 が 互 いの よさを見 つける手 だてとして、とて
も有 効 であった。 カー ドに技 能 の 観 点 を設 けるなど、 今 後 さらに工 夫 をして活 用 していきた
い。
5 年 ゲーム・ボール ― 8 ―
< 資料>
5 年 ゲーム・ボール ― 9 ―
第 6学 年 体 育 科 学 習 指 導 案
平成21年1月23日(金)
第6学年2組
28名
指導者
宮本
利樹
1,単元名
若小バウンドベースボール
2,単元の目標
【技
能】「打つ」「投げる」「捕る」「走る」といった基本的な技能を身に付け、簡単な作戦
をいかしてゲームができる。
【態 度】運動に進んで取り組み、互いに協力し、役割を分担したり、安全に注意したりし
ながら、楽しく練習やゲームをすることができる。
【学び方】ルールを工夫したり、チームで協力して攻めたり守ったりする作戦を工夫したり
してゲームをすることができる。
3,単元の評価規準
運動への関心・意欲・態度
運動についての思考・判断 運動の技能
・友だちのよさを認め、教え合 ・自分のチームの良さをい ・ゲームに参加するために
必要な「打つ」
「投げる」
かし、状況に応じた作戦
い、励まし合いながら、練習
「捕る」
「走る」の基本的
を立てている。
やゲームに進んで取り組も
な動きができる。
・みんなが楽しめるように
うとする。
ルールを工夫している。
・勝敗に対して、正しい態度を
とり、マナーを守って安全に
練習やゲームをしようとす
る。
<単元について>
(1)一般的特性
・二つのチームが、攻撃と守備を交代しながら、ボールを打ったり投げたり捕ったりして
得点を競い合う楽しい運動である。
・ボールがバットに当たって飛ぶと楽しい運動である。
・自分のチームに合った打順を考えたり、相手チームに合った守備隊形を工夫したりする
など、攻守に応じて作戦を考えることができる運動である。
(2)児童から見た特性
・攻守が明確に分かれているため、自分がどのように動けばよいかがわかりやすい。
・柔らかいボールを使用するので、恐怖感がない。
・ゲーム中に、静止している場面(攻撃側で打順が回ってきていない時など)があるため、
互いにプレーを見合い、応援や言葉かけをしやすい。
4,児童の実態、授業の工夫
<児童の実態>
6 年 ゲーム・ボール ― 1 ―
アンケート調査
6年2組
26名/28名中
1.野球に似たゲーム(ソフトボールなども)学校の体育の時間以外で経験したことがあ
りますか。
ある(17人)
ない(9人)
2.どのくらい野球、もしくは野球に似たゲームを行いますか。
(キャッチボールや、友だちとあそぶ野球などもふくんで)
週3~4回以上
月1回くらい
2人
5人
週1,2回
3人
ほとんどやらない
月2,3回
4人
12人
3.バウンドベースという野球に少し似たゲームに取り組んでいきます。学習の中でどん
な技能を身に付けたいですか。
(複数回答可)
打つ(バッティング)
捕る(キャッチ)
14人
5人
投げる(送球)
走る(走塁)
10人
4人
理由
打つ
・苦手
・経験が少ないから
・打つと気持ちいい
・たくさん点を取りたい
・瞬発力をつけたい
・打ち分けができるように
4
3
3
2
1
1
投げる
・投げる方向を正確にしたい
・苦手
・他のスポーツでも使うから
・遠くまでなげられない
4
4
1
1
捕る
・正確にとる
・他のスポーツに生かせる
・経験したことがない
・苦手
2
1
1
1
走る
・走塁の仕方がわからない 2
・足が遅い
1
・他のスポーツに生かす
1
4.バウンドベースを行うとき、クラスの仲間とのかかわりからどんなことを学びたいで
すか。
チームワーク
励ましの言葉
声を出す
7
7
4
協力
3
楽しくしたい 2
その人の得意なことを生かす
ルール 1
1
アンケートの結果から
①体育の授業以外で、野球に似たようなゲームの経験がない児童が約3分の1いる。残りの
3分の2の児童は経験がある。しかし、経験がある児童も、半数以上は、普段の生活や遊
6 年 ゲーム・ボール ― 2 ―
びの中で、ボールをつかんで投げることや、バットをもって振るということを日常的に行
っていないことがわかった。このことから、本クラスの児童は、ベースボール型ゲームに
関する経験が少ないことが明らかとなった。
②どんな技能を身に付けたいかという問に対して、【打つ】が一番多く、続いて【投げる】
が多いことがわかった。その理由の半数は、苦手意識があるからである。打てるようにな
りたい、正確に投げられるようになりたい、との児童の願いが込められていると考えられ
る。
③クラスの仲間とのかかわり合いで学びたいことは、チームワークや協力的な声をかけ合う
ことであった。
新体力テストのソフトボール投げの結果を見ると、6年生の全国平均(平成18年度抽出調
査)女子は17.24m、男子は29.46mに対し、若松小学校の6年生女子の平均は15.
51m、男子は28.02mと下回る。本校の6年生は、半分以上の種目で全国の平均を上回
っていることから、アンケート結果からもわかるように、ボールを投げる運動の経験不足が結
果に表れているのではないかと考えられる。
3、4年生の時に、キックベースは経験したものの、5年生では、ソフトボールではなく、
若松小学校の年間指導計画に従い、ソフトバレーボールを行ったため、ベースボール型ゲーム
は行っていない。そのため、児童が、経験が不足していることに不安を感じ、消極的なプレー
にならないように、
【打つ】
【投げる】などの技能を習得しながら、楽しく意欲をもってゲーム
に取り組めるよう工夫することが重要であると考えた。
<授業の工夫>
(1)研究主題「楽しく運動する子どもたち」との関連
○バウンドベースボールについて
本校での、高学年のベースボール型ゲームへの取り組みには、大きく分けて二つの課題があ
った。
①児童の実態調査からもわかるように、ベースボール型ゲームの経験は個人差が大きく、日
常的に行っている児童から、全く取り組んだことがない児童まで様々である。
このため、通常の用具・ルールで行うティーボールやソフトボールでは、打てない、うま
く捕れない、進塁や送球の仕方がわからないなど、ゲームそのものを楽しめない児童がい
ること。
②校庭が狭いため、安全を考慮すると、ソフトボールや通常のティーボールでは2面以上の
場を設けて行うことができない。1面のみで授業を行った場合、児童の運動量が極端に少
なくなってしまい、技能の向上も難しいこと。
これらの課題をクリアし、児童が楽しく活動できるベースボール型ゲームとして、「バウ
ンドベースボール」を考えた。このゲームの主な特徴は以下の通りである。
①後ろから攻撃側のピッチャーがボールをバウンドボードに当て、軽く跳ね返ったボールを
バッターが打つゲームである。ピッチャーは的がはっきり見えるため投げやすく、ボール
が速くないためバッターも打ちやすい。
②ルールを工夫してシンプルなゲームとすることで、ボールをバットで打って加点したり、
捕って投げることでアウトにしたりする楽しさが充分味わえる。また、児童の技能のレベ
ルに合わせて、ルールもレベルアップしていくことができる。
③柔らかく、つかみやすいボールを使うため、恐怖心を持たずに、楽しくプレーできる。
○指導の手だて
6 年 ゲーム・ボール ― 3 ―
一人一人が自らのめあてをもち
・バウンドベースに必要な技能やその習得のしかたを示し、それぞれの児童が自分の力に応
じためあてをたてられるようにする。
・ゲーム中の動きを、観点を絞って記録しておく。それをチームや自己の振り返りに活かす
ことで、次回へのより具体的なめあてをもつことができるようにする。
友だちとかかわり合いながら
・ゲーム中に見付けたチームや友だちのよさをカードに記録する活動を取り入れ、お互いの
よさを知ったり、技術の向上を認め励まし合ったりできるようにする。
・提示された練習内容から、チームに必要な練習を選び、互いに教え合い励まし合って技能
を高められるようにする。
(2)ゲームの工夫
使用する道具
・バット ティーボール用プラスチック製
・ボール ソフトテニス用スポンジボール
・バウンドボード
ロイター板に角度調節できる台を組み合わせたものを使用
ルール
はじめのルール
コート
三角ベース
打撃
バントはなし
三振・フォアボール・デッドボールな
し
ファウルは打ち直しとする。
ホームランゾーンにノーバウンドで
入ったらホームラン(3点)となる。
予想されるルールの工夫
三振あり
ファウルはストライクとする。
ホームランゾーンにノーバウンド
で入ったらホームラン(1点)と
なる。
守備側のチームから出す。
ピッチャー
攻撃側のチームから出す。
アウト
打ったボールをノーバウンドでキャ
ッチしたらアウト
進塁先にボールがきたらアウト
打って、1塁を踏めば1点、2塁を踏 本塁を踏んだら1点。
めば2点、本塁を踏めば3点。(走者
として残塁しない)ただし、進塁先で
アウトになった場合は、0点となる。
走者を塁に残さない。
走者を塁に残す。
盗塁、タッチアップはなし。
得点
走塁
攻守交代
攻撃側のチーム全員が打ったら交代 3アウトまたは4アウトで交代
する。
6 年 ゲーム・ボール ― 4 ―
コート
ホームランゾーン
25~30m
攻
撃
側
待
機
場
所
1
3
m
次打者
バウンドボード
13m
ピッチャー
バット置き場
○守備位置は、チームの作戦により、自由に決めてよい。
○バット置き場は左右どちらを使用してもよい。
6 年 ゲーム・ボール ― 5 ―
5.学習過程(45×6
本時
4/6)
やってみる
時間
1
ひろげる
2
3
4(本時)
ふかめる
5
学習活動
1.単元のねらいや進め方を 1.学習内容の確認をする 1.学習内容の確認をする
知る
2.準備運動をする
2.準備運動をする
・単元の流れ
・1単位時間の流れ
3.ホームラン競争をする 3.チームの時間
チーム毎に練習を行う
チーム毎に分かれて行
2.準備運動をする
・バットの握り方、スイングの仕方をチームで教えないながら行う
う
・投げたり、捕ったりする練習を行う
・バットの握り方、スイ
ングの仕方をチーム
3.バッティングや捕球、走
で 教 え な い な が ら 行 4.リーグ戦を行う 毎時間対戦チームを変える
塁の仕方を練習する
(1ゲーム)
う
・チームのよさを活かし作戦を立てゲームに取り組む
4.試しのゲームをする
・攻撃側の児童が記録をとる。
4.試しのゲームをする
(1ゲーム)
(1ゲーム)
・ルールや打ち方、捕り方
を 教 え 合 っ て ゲ ー ム を ・ルールや打ち方、捕り 5.整理運動をする
方を教え合ってゲー
する
6.学習のまとめをする
ムをする。
・攻撃側の児童が記録を
5.整理運動をする
初めのルール
とる
・1チーム7人 ・ボードに跳ね返ったボールを打つ
6.学習のまとめをする
・ファウルは打ち直す ・三振はなし ・打者一巡で攻守交代
5.整理運動をする
6
バウンドベースボール大会をしよう
1.学習内容の確認をする
2.準備運動をする
3.バウンドベースボール大会をする
全4チーム
1試合目
A
北側
対
B
南側
C 対
D
2試合目
A
対
C
B
対
D
3試合目
A
対
D
B
対
C
4.整理運動をする
5.学習のまとめをする
・打ったボールをノーバウンドでキャッチすればアウト
6.学習のまとめをする
教師のはたらきかけ
・試しのゲームはできるだけ簡単にし、児童が打つ、守る
経験をたくさんできるようにする。
・バットの持ち方や振り方、ボールの投げ方など、ゲーム
の中の児童の様子をとらえて、適宜指導する。
・教え合い、励まし合いができているチームを全体に紹介
し、各チームのコミュニケーションを促す。
・ホームランゾーンをつくる
・1塁1点、2塁2点
・ランナーの残塁はなし
ホームが3点
・チーム内で教え合い、励まし合いができているところを賞賛し、声をかけ合ってゲームや練習ができるようにする。
・技能の向上に合わせて、ルールの工夫ができるようにし、ゲームに対する意欲や技能の向上を図る。
・作戦に無理がないかをワークシートや観察によって確かめ、必要に応じて助言する。
・各チームが課題に沿って適切な練習ができているか観察で確かめ、必要に応じて助言する。
・ルールの変更があった時は全体で確認し、児童が新しいルールに対応できるようにする。
6 年 ゲーム・ボール ― 6 ―
6.
本時の学習(本時
4/6)
(1) ねらい
【技 能】状況に応じた基本的な動きができる。
【態 度】友だちのよさを認め、教え合い、励まし合いながら練習やゲームにすすんで取り組
もうとする。
【学び方】自分のチームのよさを活かした作戦を立てて、練習やゲームをすることができる。
(2) 学習過程
時
学習活動
○教師の働きかけ
1
①
学習のめあてと内容を確認する。
7
②
準備運動をする。
2
③
場の準備をする。
10
④
◇評価
○めあてを確認し、意識して学習に取り組め
るようにする。
○ルールの解釈に違いがないように、全体で
よく確認する。
○手首と肩を中心にほぐすように指導する。
チームごとに作戦の確認をし、練習す ○練習内容を見て、必要に応じて助言する。
る。
○チーム内でよい励まし合いができている
ところを賞賛し、児童の意欲を喚起する。
◇作戦に合った練習内容を選ぶことができ
捕る・投げる・走る
打つ・守る
ているか。
【運動の学び方】
打つ・守る
捕る・投げる・走る
チームの作戦をいかして、楽しくゲームをしよう。
17
1
7
⑤
リーグ戦を行う。
⑥
整理運動をする。
⑦
○友だちのよさを見付け、「ナイスプレイ!
レポート」に記入する。
○いいプレーや、いい声かけ、作戦は賞賛す
る。
◇状況に応じて、「打つ」「投げる」「捕る」
「走る」等の動きができているか。
【運動の技能】
◇友だちのよさを見付け、カードに書けてい
今日の練習やゲームについて、チーム
るか。
【関心・意欲・態度】
ごとに振り返り、全体でまとめをす
る。
6 年 ゲーム・ボール ― 7 ―