1/3 「低解像度赤外線アレイセンサを用いた行動識別システム」と 「電波を

プレスリリース
2014 年 7 月 28 日
報道関係者各位
慶應義塾大学
「低解像度赤外線アレイセンサを
低解像度赤外線アレイセンサを用
アレイセンサを用いた行動識別
いた行動識別システム
行動識別システム」
システム」と
「電波を
電波を用いた“まばた
いた“まばたき
“まばたき”検出システム
検出システム」
システム」の開発に
開発に成功
慶應義塾大学理工学部 大槻知明研究室では、プライバシーを考慮したセンサや見守り技術に関す
る研究を進めています。このたび、カメラを用いず、またセンサなどを身につけることなく、低解像
度赤外線アレイセンサを用いて人の行動を識別できるシステム、および電波を用いてまばたきを検出
できるシステムの開発に成功しました。
この研究成果によって、センサ装着の煩わしさやカメラによる心理的負担なしに、前者では高齢者
等の見守りが、後者ではドライバー(運転者)の眠気検出や、勉強時・コンピュータ等を使った作業
時の疲労度・集中度・眠気の検出が可能になります。また後者はドライアイ防止にも使用可能です。
両研究成果は、7 月 30 日(水)~8 月 1 日(金)に京都で開催される電子情報通信学会における知的環
境とセンサネットワーク研究会にて、また、9 月 2 日(火)~5 日(金)に Washington D.C.で開催され
る IEEE 25th Annual International Symposium on Personal, Indoor, and Mobile Radio
Communications (PIMRC2014) にて、それぞれ発表されます。
Ⅰ.低解像度赤外線アレイセンサを
低解像度赤外線アレイセンサを用
アレイセンサを用いた行動識別
いた行動識別システム
行動識別システム
1.研究の背景
内閣府の平成 26 年版高齢社会白書によると、日本の総人口の 24.1%が高齢者(65 歳以上)です。
また、高齢者の事故の 63%が家の中で起きています。独居老人が増えている現在、高齢者を見守る
ことは、とても重要です。これまでにセンサを身につけるシステムやカメラを用いた見守りシステム
がありましたが、装着の煩わしさやプライバシー侵害による心理的負担等が問題となっていました。
2.研究成果
大槻教授らは、電子レンジやエアコンなどの高機能家電や、空調・照明制御などのオフィス省エネ
に用いられている低解像度の赤外線アレイセンサを用いた行動識別システムの開発に成功しました。
この行動識別システムは、カメラと違い画像を用いずに、低解像度の赤外線アレイセンサで得られる
監視範囲の低解像度の温度分布に基づき、複数の行動を識別できます。センサ自体のサイズは L
11.6mm × W 8.0mm × H 4.3mm と非常に小さく、設置スペースや設置時の見た目も問題になりませ
ん。検出性能として,例えば転倒を約 97%という高精度で検出できることを確認しています。
3.今後の展開
今回開発した、低解像度の赤外線アレイセンサを用いた
行動識別システムによって、センサ装着の煩わしさや監視
カメラによる心理的負担なしに、高齢者等の見守りが可能
になります。現在、医学・工学・法学にわたる各企業およ
び大学と共同で、実用化に向けて、開発したシステムの有
効性についての検証を行っています。
図Ⅰ-1
低解像度赤外線アレイセンサの
低解像度赤外線アレイセンサの設置
アレイセンサの設置
例。天井に
天井に配置し
配置し、室内の
室内の人を見守る
見守る。
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図Ⅰ-2 図Ⅰ-1のように一人
1のように一人の
一人の人が部屋に
部屋に直立している
直立している場合
している場合の
場合の,低解像度赤外線アレイセンサの
低解像度赤外線アレイセンサの出力例
アレイセンサの出力例。
出力例。頭・
首付近の
首付近の温度が
温度が高くなる。
くなる。この温度分布
この温度分布の
温度分布の変化に
変化に基づき転倒
づき転倒などの
転倒などの行動
などの行動を
行動を検出する
検出する。
する。低解像度のため
低解像度のため,
のため,抽象度が
抽象度が
高くプライバシー侵害
くプライバシー侵害の
侵害の心配が
心配が少ない。
ない。
図Ⅰ-3 提案システムによる
提案システムによる転倒
システムによる転倒の
転倒の検出例
Ⅱ.電波を
電波を用いた“まばたき”
いた“まばたき”検出
“まばたき”検出システム
検出システム
1.研究の背景
近年、長距離バスの事故の発生に見られるように、ドライバー(運転者)の眠気や異常状態の検出
が急務となっています。また、コンピュータ端末を使った VDT (Visual Display Terminal)作業が増
え、ドライアイや疲労が問題となっており、健康管理が重要な課題となっています。昔から,「目は
口ほどにものを言う」と言われているように、まばたきは人の集中度や疲労度、眠気を表す重要な指
標です。まばたきを検出する方法として、カメラを用いる方法や、センサを顔に装着するなどの方法
がありますが、監視されているように感じる心理的負担や、センサ装着の煩わしさなどの問題点があ
りました。
2.研究成果
大槻教授らは、車や野球の投手の球速を測るのに使われているドップラーセンサを応用して、カメ
ラを用いず、またセンサなどを身につけることなく、電波を用いてまばたきを検出するシステムの開
発に成功しました。開発したシステムは、まばたきによって生じるドップラー周波数の変化を、雑音
低減や信号強調、信号識別などの信号処理により高精度に検出します。例えば、タイピング作業中に
は 95%のまばたき検出率を、頭の動きが比較的大きい VDT 作業中にも 81%のまばたき検出率を達成
しました。
3.今後の展開
今回、開発した電波を用いたまばたき検出システムによって、センサ装着の煩わしさや監視カメラ
による心理的負担なしに、ドライバーや VDT 作業者、受験生等の見守りが可能になります。現在、医
学・工学・法学にわたる各企業及び大学と共同で、実用化に向けて、開発したシステムの有効性につ
いての検証を行っています。
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図Ⅱ-1 まばたきによるドップラー
まばたきによるドップラー周波数
によるドップラー周波数の
周波数の例。赤く濃くなっている時間
くなっている時間がまばた
時間がまばたきに
がまばたきに相当
きに相当。
相当。
図Ⅱ-2 開発したシステムの
開発したシステムの使用例
したシステムの使用例
※ご取材の際には、事前に下記までご一報くださいますようお願い申し上げます。
※本リリースは文部科学記者会、科学記者会、各社科学部等に送信させていただいております。
・研究内容についての問い合わせ先
慶應義塾大学理工学部 情報工学科 教授 大槻 知明
TEL:045-566-1538
FAX:045-566-1747
E-mail:[email protected]
http://www.ohtsuki.ics.keio.ac.jp
・本リリースの配信元
慶應義塾広報室 竹内・棚橋
TEL:03-5427-1541
FAX:03-5441-7640
Email:[email protected]
http://www.keio.ac.jp/
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