熊本県教育委員会 インターネット・携帯電話の利用に関する家庭向け指導資料 2 子どもの成長に悪影響はありませんか ? インターネットや携帯電話が子どもの発達に及ぼす影響については、専門家による研究 がまだ十分ではありませんが、引きこもりや暴力、非行などとの関連性についての報告書 等があります。 最近、遅くまでインターネットをやっているようですが ? インターネットや携帯電話は、すでに多くの子どもたちが 利用している現状があります。しかし、熱中し、のめり込 むと心身に影響を与える場合もありますので、家庭での使 い方にも注意しておく必要があります。 1 インターネット依存症 オンラインゲームやチャットに熱中するあまり、深夜ま で起きていて、朝起きられない。しだいに学校の成績が落 ち、仲のよかった友達とも付き合わなくなり、夕食が済むなり自分の部屋に閉じこもり 家族との会話も少なくなるなど、引きこもりの初期の段階に移行する場合もあります。 *3 2 VDT 症候群 コンピュータの画面を同じ姿勢で長時間見つめていると、目の疲れだけではなく、首や 肩の痛み、頭痛や不眠などの症状が見られる場合があり、VDT 症候群と呼ばれています。 3 暴力、非行、問題行動との関連性 テレビやゲームの暴力シーンを見る機会が多くなると、暴力を認めたり、実際に非行・ 不良行為を経験したりする子どもの割合が多くなる傾向があります。また、ゲームをし ている時間が長い子どもほど、非行・問題行動のある割合が高くなる傾向があります。 家庭でできることは、どんなことがありますか ? *4 日本小児科医会では、子どもたちの発達への影響を考慮し、次の提案をしています 。 1 2 歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう。 2 授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴は止めましょう。 3 すべてのメディア *5 へ接触する総時間を制限することが重要です。 1 日 2 時間までを目安と考えます。テレビゲームは 1 日 30 分までを目安と考えます。 4 子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パーソナルコンピュータを置かないようにしましょう。 5 保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールをつくりましょう。 ( 平成 16 年 1 月 26 日 社団法人 日本小児科医会 ) - 3 - 熊本県教育委員会 インターネット・携帯電話の利用に関する家庭向け指導資料 解説 人は生活の中で新しい道具を使うようになると、悪影響を回避して上手に利用してきました。携帯 電話やインターネットなどの新しい技術は、上手に使われるまでにはもう少し時間が必要です。子ど もの発達への影響も、専門家により研究が始まったばかりです。 しかし、すでに携帯電話を持っている子どもから、悪影響が多いからといって取り上げるのは、携 帯電話が子ども同士のコミュニケーション手段となっていることも多く、友達との連絡がとれなくな り子どもを不安にする場合もあります。 そこで、発達段階にある子どもたちには、手紙のやりとりやあいさつなどの日常的な体験を含めて、 直接顔を見ながら対話をすることをベースに、様々なコミュニケーション手段を学ばせる必要があり ます。携帯電話やインターネットもその中の一つとして、利用させることが大切です。 FAQ( よくある質問 ) Q1 : ゲーム脳という言葉を聞いたことがありますが・・・? A1 : コンピュータゲームが脳に与える影響については、機能が低 下するということで話題になったこともありますが、脳科学 者や心理学者などの専門家による十分な研究が行われていな いのが現状です。文部科学省においても、脳科学と教育研究 に関する検討会が行われているところです。 しかし、脳との関係はわからないものの、ゲームと引きこ もりや暴力行為などとの関係については、関連性があるとの 調査報告がありますので、ゲームをする時間を決めて利用す るなどの工夫が必要です。 Q2 : 先日、子どもがパソコンで暴力的なシーンを見ていたので心配しています。 A2 : ビデオをはじめ、インターネット上にも、数多くの暴力や残酷な内容を含んだページが存在し ます。内閣府政策統括官から出された「青少年とテレビ、ゲーム等に係る暴力性に関する調査研究」 の報告によると、テレビの暴力シーンへの接触量が多くなるほど、暴力を許容する内容に賛成する 子どもの割合が多く、暴力行為や非行・不良行為を経験している子どもの割合が多くなっています。 また、ゲームをしている時間が長い子どもほど、非行・問題行動のある割合が高くなる傾向があ ります。 発達段階に応じて、暴力シーン等を見ることを制限したり、子どもと暴力の不合理さや被害者の 痛みなどについて、話し合うことが大切です。 関連情報・用語解説 *3)VDT・・・Visual Display Terminals の略でコンピュータディスプレイとキーボード等によって構成される機器。 *4) 子どもの発達とテレビ、ビデオの関係については、社団法人日本小児科学会からも提言がなされています。 *5) メディア・・・情報の記録、伝達、保管などに用いられるものや装置。CD, 電話、テレビなど。 - 4 -
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