2015 年度 世 界 史 ■ 大学・学部(日程):慶應義塾大学・法学部 ■ 出題構成(時間/配点):60 分/100 点 大問 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 形 式 空欄・単答 正誤 空欄・単答 空欄・単答・年代整序 分野・内容 等 シチリア・ナポリの歴史 世界各地の民主主義の発展と政治体制の変化 第二次世界大戦と戦後の平和機構の設立 奴隷制の歴史 難易度 標準 やや難 標準 標準 ※難易度は慶大受験生を母集団とする基準で判定しています。 ■ 出題傾向 ・解答方式はマーク式。大問数は4題,小問数は 50 問前後である。 ・例年,空欄補充問題と単答問題の出題が中心であったが,2012 年度は問題Ⅲが正誤問題のみ,問 題Ⅳは史料や表を用いた多様な問題が出題されるという大きな変化が生じた。以後,正誤問題や 資・史料,地図などを用いた問題も散見されるようになった。 ・空欄補充問題・単答問題の大問は,1ページ前後のリード文が提示され,空欄に入る語句を語群の 中から選ばせる形式で出題されることが多い。空欄補充問題・単答問題のいずれも同じ語群の中か ら語句を選ぶ場合もあれば,単答問題の語群が別に課される場合もある。 ・広い地域・時代を扱った総合的な大問が多く見られ,社会・経済史や文化史からの出題が目立つ。 ・例年,一部の教科書にしか掲載されていない細かい事項がいくつか問われている。また,解答とな る語句が基本レベルであっても,教科書とは異なる文脈で問われることによって設問レベルが難し くなっているものもある。 ・年度によって難易度に大きく差がある。 ■ 2015 年度入試の特記事項 ・問題Ⅰでは,シチリア・ナポリの歴史について古代から 19 世紀までの動向が問われた。設問(ア) や(イ)で問われた都市名は細かい。また,設問(ウ)は地理的な知識がないと正答を絞りづらか ったほか,イタリア統一の過程について問われた設問(オ)では,併合した地域の地図上の位置を 指摘しなくてはならなかったため,日頃から地図を参照し,地理的な知識を身につけていたかどう かで差がついたと思われる。 ・問題Ⅱは,19 世紀前半以降に世界各地で見られた「民主主義の“波”」をテーマとした問題であ った。1800 年から 2010 年までの世界の民主主義国の割合を示したグラフが提示された。正誤を判 断するためには細かい知識を要し,消去法でも選択肢を絞り込みにくい問題が多かったため,解き にくく感じただろう。現代史からの出題も多く,現役生を中心に,苦戦した受験生は多かったと思 われる。 ・問題Ⅲでは,第二次世界大戦期から冷戦期までの世界について問われ,戦後史からの出題が半分近 くを占めた。語群が与えられているので問題Ⅱほど解きにくい印象はないが,(43)(44)・ (45)(46)・(49)(50)・(59)(60)などで教科書の脚注や用語集・資料集で見られるような詳細な知 識も問われた。語群をヒントにして解答を導いてほしい。 ・問題Ⅳでは,奴隷制の歴史について古代から現代まで幅広く出題された。空欄補充問題・単答問題 に関しては,空欄(75)(76)や設問(ア)でやや細かい知識が問われたが,標準的な問題も多いため, 取りこぼしは最小限に留めたい。設問(キ)の年代整序問題は,高校世界史で扱うことの少ない文 書の採択・施行についても判断が必要とされたため,難しかっただろう。 2015 年度 世 界 史 ■ 求められる力とその養成 ・60 分という試験時間の中で全問を処理するには,かなりのスピードで解答することが求められる。 過去問等を利用して形式に慣れ,要領よく解答するコツをつかんでおきたい。 ・手薄になりがちな西アジア史や東欧史などからもかなり踏み込んだ内容の出題が見られるので,対 策を十分にしておくこと。また,文化史も頻出なので注意を払っておきたい。 ・時事的なテーマを切り口とした問題が出題されることもあるので,日頃から新聞などで国際社会の 動向について目配りしておくとよいだろう。 ・難問も散見されるが,基本~標準レベルの事項をきちんと押さえた上で,発展的な知識を少しずつ 増やしていくのが合格への近道となる。まずは教科書を中心に学習を進め,学習がある程度進んだ ら,過去問を中心に実戦演習を重ねよう。私大向けの問題集や過去問などに数多く当たることで, 教科書に載っていないが入試では出題されやすい事項をある程度カバーすることができる。
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