早稲田大学 文学部 国語 講評 〔総合分析〕 出題形式 試験時間 難易度 マーク式・記述式併用 90分(現代文2問、古文1問、漢文1問) 昨年並み。 〔大問別講評〕 (一) 評論文。「デカルトの計略」について。出典:林達夫 『デカルトのポリティーク』。 《本文字数:約 3600 字=昨年より約 300 字増加。設問数:8=昨年より1問減少。》 小問 問一 難易度 コメント やや難 【傍線部理解】事実上の主旨理解を問う問題。最後から3段落目と2段落目から判断 する。『哲学の原理』についてであることを忘れないこと。 問二・Ⅰ やや易 【空欄補充】空欄Ⅰの直前の指示語「ここ」に着目。一文前の内容を何と表現するか。 問二・Ⅱ やや難 【空欄補充】ジェスイトの攻撃は、『方法叙説』のどの部面に向けられていたか。空欄Ⅱ の前の段落から判断する。イは唐突であろう。 問二・Ⅲ やや易 【空欄補充】空欄Ⅲの直前5行から判断できる。 問三 やや易 【傍線部理解】傍線Bを含む段落の冒頭から明らかだろう。 問四 標準 【空欄補充】空欄甲の直後の表現から倒置して意味の通じるものを選ぶ。 問五 標準 【空欄補充】空欄乙の直後に「~と考えるに至った」とあることから空欄乙には最終結 論が入る。一旦はニを考えた後に「突然考えが変わった」ことに注意する。 問六 標準 【傍線部説明】文章全体から判断する。消去法が便利だろう。 問七 標準 【内容合致】ハは32~34行目に、ニは37~39行目に合致する。他は明らかに誤り。 問八 やや易 【漢字書き取り】1の「礁」という字はやや難しかったか。2・3はおとしたくない。 (二) 評論文。「文献学」について。出典:塩川徹也 『発見術としての学問』。 《本文字数:約 3400 字=昨年より約 700 字増加。設問数:7=昨年と同じ。》 問九 問十 問十一 問十二 問十三 問十四 問十五 やや難 【誤文発見】一文ずつ切りながら判断していくしかない。「このような~出自と生い 立ち」に該当する指示内容がないことに気づいたか。 標準 【整序問題】イの「そうした」、ハの「それ」、ニの「しかし」という指示語・接続語に着 目し判断する。 やや易 【傍線部説明】傍線A直前の「哲学や~解消する」との対比で「個別性」という語を 理解する。他の選択肢が誤りであることも明らかだろう。 標準 【傍線部説明】直前からの文脈から判断できる。ニは「結び付けようとする」が不適切。 やや易 【傍線部説明】前後の文脈から判断できる。「投影」という語の用法には慣れておき たい。 やや易 【空欄補充】46行目に「文献学も~普遍を目指す」とある。空欄乙直前の「万人に関 わる」もヒント。 やや難 【内容合致】ロは「最後に、~」から始まる段落と、ニは最終3段落と合致する。イは 「自分なりの見方」が不適切、ホは前半が誤りである。 (三) 古文。出典:『浜松中納言物語』。 《本文字数:約 1200 字=昨年より約 50 字減少。設問数:7=昨年より 1 問減少。》 小問 問十六・A 問十六・B 問十六・D 問十七・1 難易度 やや易 易 標準 標準 問十七・2 やや難 問十八 問十九 標準 やや難 問二十 やや易 問二十一 やや難 問二十二 易 (四) コメント 【空欄補充】後ろの文脈から空欄を含む文が反語であることをおさえる。 【空欄補充】「よも~じ」は入試頻出の基本表現。 【空欄補充】1行前の「あからさまの」以降の内容に着目する。 【文脈把握】15~16行目に同意表現がある。中納言が準備をしてから姫君を迎えに こようとしていることを読み取れたか。 【文脈把握】中納言が中将の乳母の妹に姫君の世話を依頼しようとしている状況を 読み取れたか。傍線部の「よに」にも着目する。 【主語判定】姫君の登場シーンは限られているのでそれほど難しくはない。 【和歌】傍線部の直後から中将の乳母の妹がむすめを連れていることをおさえる。 イの「思ふ人こそほだしなりけれ」に着目。 【空欄補充】空欄の前の「え」「侍る」、直後の「ば」に着目する。 【内容合致】ハは論外。ニは「事情を説明したうえで」が10行目に、ヘは「中納言が …お迎え」が最終行に、それぞれ反する。最終行の「迎へ給ふ人」とは中将の 乳母の妹とその娘。 【文学史】文学史の基本中の基本問題。 漢文。出典:『旧唐書』。 《本文字数:約 180 字=昨年より約 20 字減少。設問数:4=昨年と同じ。》 問二十三 問二十四 問二十五 問二十六 やや易 やや易 標準 標準 【返り点】再読文字「将」に着目する。 【空欄補充】文帝と皇后の性格が対比になっていることに着目する。 【文脈把握】傍線部までの内容から判断する。 【文脈把握】封倫のセリフの内容を正確に読み取れたか。 〔総合コメント・今後の指針〕 昨年と比べて、現代文と漢文が易化し、古文が難化した。全体的には昨年並みといえる。現代文や古 文の難しさに比べると、漢文が簡単なので漢文での失点は避けたい。 大問一は、「デカルトの計略」についての評論文。デカルトは多くの高校の教科書や予備校のテキスト で取り上げられている人物。本校でも扱った。設問は、文章の構成をしっかりつかめていないと解けない 設問もあり、受験生の読解力を試すのにふさわしい良問が多かった。 大問二は、「文献学」についての評論文。昨年の大問二より長く、読みやすい文章とは言い難いが、 設問はそれほど難しくなかった。問九のような〈不適切な文を指摘する問題〉は、見つけるのに時間がか かる場合が多いので、すぐに見つからなかったときは後回しにするといい。 大問三は、『浜松中納言物語』。単純な知識問題は少なく、文脈を正確につかめていないと解けない 設問が多かった。苦戦した受験生が多かったであろう。 大問四は、『旧唐書』。昨年よりも易化した。古文で予想外の失点をしてしまった場合でも、この漢文で 1 問ミス以内におさえていれば、十分に合格を狙えると思われる。漢文は設問数は少ないものの、きちん と学習していれば、確実に得点できるレベルの設問がほとんど。現役生のなかには受験勉強で漢文まで 手が回らないという人がいるだろうが、センター試験レベルの漢文はできるようにしておきたい。
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