特定鳥獣保護管 理計画 とカワウの保護管理 NPO法 人バー ドリサーチ 高木憲太郎 鳥獣 の保護及び狩猟 の適 正 化 に関す る法律 は、明治 6年 に制定 された鳥獣猟規則 を原 点 として 改 正 が繰 り返 され、平成 14年 には全面的 な改正 が行 なわれ 、現在 の形 にな つ た。 鳥獣 (シ カ 、イ ノシシ等 )に よる農林業、 さらに、平成 18年 には生息数 が著 しく増加 した一 部 の′ 自然植 生 へ の被 害 の 多発や 生息数 が 著 しく減少 した鳥獣 に対応す るために狩猟規制 の 見直 しや 鳥 獣保護施策 の 強化 につい て 改 正 が行 なわれ た。 また、カ ワ ウの個体数 が増 加 してい る状況 を踏 ま え、平成 19年 6月 1日 よ リカ ワ ウが狩 猟鳥獣 に指定 され た。 かつ ては鳥 獣被害 には有害駆 除 で対応す る こ とが多 く、対症療法的 で あ つたが 、平成 11年 の 改 正で 、科学的 。計画的な管 理 に よ り人 と鳥 獣 との様 々 なあつ れ きを軽減・ 解 消 し、長期 的な観 点 か ら当該′ 鳥獣 の保護 を図 るこ とを 目的 として 、特定鳥獣保護管 理計画 が創設 され た。 特定鳥獣保護管理計画 にお ける対策 の三本柱 は、個体数管理 、 生息環境管理及び被害防除対策 で ある。 しか し、 この 中で基礎 とな るのは 、被 害防除対策 で あ り、 これ が しつか りできて い ない ところでは、科学的 。計画的な管 理 は うま くいか な い。被 害防除対策 を上手 くや つてい くために は 、行政 に よるサポ ー トが重要である。 また、カ ワ ウを管 理す る ときに 、 あま りに もカ ワ ウの個 体数 にばか り意識 が行 つて しま うと、被 害 を減 らすた めに 、 よ り有 効 な手立てを見落 とす ことに な る。個体数 を効率 よく減 らす ため の方法 と、 い ま、そ こで起 きて い る被 害 をで き るだ け早 くな くす ための方法 は必ず しも同 じではな いか らであ る。 カ ワ ウの場合 、 ね ぐらや コ ロニー で起 きる 樹木 の枯死や糞 な どに よる景観被害 と、河川湖 沼で起 きるカ ワ ウが放流魚 な どを食 べ るこ とに よ る漁業被 害 とが あるが、後者 は、獣類 に よる農 業被害 とは被 害 の構造 が異 な り、河川湖沼 に生息 す る魚類 を人 間 とカ ワ ウが捕 り合 う構 図 の 中で起 きる。人間、 カ ワ ウ、魚類 、生息環境 の複雑 な 関係 を適正 に保 つ た めの管理方法 は、個体数管理以外 に も多数 あるはず である。 計画 は都 道府 県 が地 域個 体群 単位 で作成す る こ とにな つてい るが、カ ワ ウの よ うに長距離移動 す る種 の場合 、都道府 県 の境界 を越 えた管理 が必 要 にな って きて い る。 この よ うな ことか ら、環 境省 では 、広 域 に移動す るカ ワ ウの適切 な保護管理 の ため、行政的 区分 な どを考慮 して 、関東 (11 都県 )と 中部近畿 (15府 県 )の 都府 県関係者 、関係省 庁 な どを構成員 とす る広域協議会 を設置 し て い る。 広 域協議会 の役割 は、情報 の収集 ・ 共有、広域 的な管理指針 (広 域指針 )の 作成 と見 直 し、統 一 的 な手法 に よる調査方法 の周知、 モ ニ タ リング結果 の統合・ 評価 な どであ る。 この広 域指針 に 則 して各都道府 県 で特定計画等 の保護 管 理計画 を作成 してそれ ぞれ の地 域 にお いて保護 管 理 を行 つてい くとい う流れ にな る。 現在 、栃木県 、 山梨県、静 岡県 にお い て独 自の任意計画 が作成 され てい るが、特定計画 を策定 してい る福 島県及 び滋 賀県県 を合 わせ て も 5県 の み で ある。 カ ワ ウの 保護 管 理 を効果 的に進 めるた めには 、実効性 の あ る計画が必要 であ り、関係府 県 での特定計画等 の策定 が望 まれ る。 B
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