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VOL.70
発
今月の
テーマ
労働基準法シリーズ
2015.1.1
社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所
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第6回 : 賃金⑤
「平均賃金」の算定方法(2)
~「最低保障額」が適用されるとき~
今回の
今回のCASE
F社は原料調達のトラブルから自社の工場を数日休業することになり、その間、工場の従業員に休業手当を
支払うこととなりました。休業手当(1日につき平均賃金の6割)の額を算出する際、月給制の正社員や、時給制
のパートタイマーに対して、原則通り過去3ヵ月間の賃金総額をその間の暦日数で除して平均賃金を算出し、休
業手当を支払ったところ、一部の従業員から「休業手当の額が本来の額より少ないのではないか」と申立を受
けてしまいました。
平均賃金には最低保障があります。
平均賃金は、原則として算定すべき事由の発生した日以前3カ月間の賃金を、その間の暦日数で除し
て計算します(※1)が、賃金の全部または一部が日給制、時給制、出来高払制、請負制によって計算され
ている場合は、最低保障額の定めがあります。
原則的な計算方法で計算した額が、最低保障額を下回るときは、最低保障額が平均賃金となります。
原則的な計算方法で計算した額が、最低保障額を下回るときは、最低保障額が平均賃金となります。
(※1) 平均賃金の原則的な計算については、vol69「平均賃金の算定方法1」を参照してください。
最低保障額の計算方法
最低保障額は、次の算式により求めます。
Ⅰ. 賃金が日給制、時給制、出来高払制、請負制である場合
算定事由発生日以前3カ月間の賃金総額(※2) ÷ 期間中の実労働日数 × 60/100
Ⅱ. 賃金の一部が日給制、時給制、出来高払制、請負制である場合
(例:基本給等は月給制だが、残業手当など時間で支払われる賃金と併給されている場合)
下記、①と②の合算額
① 月給制で支払われた部分の総額 ÷ 総暦日数 (原則的な計算方法)
+
② 日給制、時給制等で支払われた部分の総額 ÷ 期間中の実労働日数 × 60/100 (Ⅰと同じ)
(※2) 賃金総額の内容は原則的な計算方法と同じです。詳細は vol69「平均賃金の算定方法1」を参照してください。
➣ 平均賃金(最低保障額)の計算例
・時給制パートタイマー(月ごとに支給される手当はなし)
・算定事由発生日以前3ヵ月間の賃金総額 ・・・243,000円
・算定事由発生日以前3ヵ月間の総暦日数 ・・・・・92日間
・算定事由発生日以前3ヵ月間の実労働日数 ・・・35日間
ここが
a.原則的
a.原則的な
原則的な計算方法
243,000円÷92日=2,641.3043・・・
b.最低保障額
b.最低保障額の
最低保障額の計算
243,000円÷35日×60/100=4,165.7142・・・
a<b ⇒ 平均賃金 4,165.71円
円(銭位未満切捨)
(銭位未満切捨
Point!
「平均賃金」の最低保障は、時給制のパートタイマーのほか、月給制であっても適用される場合
があります。最低保障が適用される可能性がある場合は、最低保障額の計算、および原則的な
計算方法による額と比較することを怠らないように注意しましょう。
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