- 1 - 中労委、平9不再46、平12.7.19 命 令 書 再審査申立人 ユニオン

中労委、平9 不再 46、平 12.7.19
命
令
書
再審査申立人
ユニオン・お おさか
再審査被申立 人
株式会社フレ ックス
主
文
本件再審申 立てを棄 却する。
理
第1
1
由
事案の 概要
本 件 は 、 株 式 会 社 フ レ ッ ク ス ( 以 下 「 会 社 」 と い う 。) が 、 ユ ニ オ ン ・
お お さ か ( 以 下 「 組 合 」 と い う 。) の フ レ ッ ク ス 支 部 長 で あ る X 1 ( 以 下
「 X 1 」 と い う 。) に 対 し 、 ① X 1 が 、 シ ス テ ム 開 発 部 へ の 配 転 命 令 を 拒
否し、不出社を 続けた ことを理由に 懲戒解雇 したこと、②平 成5年 年末一
時金をカット したこと 、③同6年6 月度及び 同年 7月度賃 金をカッ トした
こと、④同年 度の賃上 げを行わなか ったこと 及び⑤上記① の配置転 換及び
②ないし④に 関する団 体交渉に誠実 に応じな かったことが 不当労働 行為で
あるとして、 同年8月 11日に救済申 立てがあ った事件であ る。
2
初 審 大 阪 府 地 方 労 働 委 員 会 ( 以 下 「 大 阪 地 労 委 」 と い う 。) は 、 平 成 9
年10月31日に救済申立 て棄却の決定 をしたと ころ、組合は これを不 服とし
て、同年11月14日、その取消しと救 済申立て の認容を求め て再審査 を申し
立てた。
第2
当委員 会の認定 した事実
当委員会の認 定した事 実は、本件初 審命令理 由の第1「 認 定した事 実」
のうち、その 一部を次 のとおり改め るほかは 、当該認定し た事実と 同一で
あるので、これを引 用 する。この 場合にお い て、当該引 用する部 分 中、
「被
申立人」を「 再審査被 申立人」と 、「申立 人 」を「再審査 申立人」 と、「本
件 審 問 終 結 時 」 を 「 本 件 初 審 審 問 終 結 時 」 と 、「 当 委 員 会 」 を 「 大 阪 地 労
委」と、それ ぞれ読み 替えるものと する。
1
1の(1)中「株式 会社フレック ス(以下「会社」という )」を「会社」に、
「X1(以下 「 X1 」 という)」を「 X 1」 に改める。
2
1の(2)中「ユニ オン・おおさ か(以下 「組合」とい う)」を 「 組合」に
改める。
3
3の(3)のウ中「 X1を参加さ せなかっ た。」の 次に「なお 、 POS検討
会はPOS開 発に携わ っている技術 者の会議 であり、当時 の X1の 業務と
は直接関わり のないも のであった 。」を 加え る。
4
5の(1)のウ中「 システム開発 部の2部 制となってい た。」の 次に「そし
- 1 -
て会社は、X1 を、 4.25配転後、同人 が入社 当初担当して いたシス テム開
発業務の上流 工程に従 事させること を予定し ていた。」を加え る。
5
第3
1
6を削る 。
当委員 会の判断
7.4懲戒解雇 につ いて
(1) 組合は、 次のとお り主張する。
ア
会社は 、平成 5年 5月 27日の復職時の打 合 せにおいて 、X 1 が 労働
組合に関する 発言を行 ったことから 、同人 に 対し、復職 当初から 労 働
組合を組織す るおそれ のある人物と して警戒 した。
同月25日の復職時の打 合せにおいて 、 Y1社 長はX1に対 し、PP
Tシステム一 般の販売 についての営 業計画の 作成ではなく 、フレッ ク
スPOSの販 売をメイ ンとし、その開発 がで きるまではR PMの販 売
についての営 業計画 を作成するよう指 示した。にもかかわらず会 社 は、
フレックスP OS及び RPMについ ての情報 を全く与えず 、P OS 検
討会や全体会 議などの 社内会 議にも 一切参加 させないなど の対応を と
り続け、同人の業 務を 妨害し他の社 員との接 触を断つこと により労 働
組合の結成を 阻止しよ うとした。
会社は、X1 に対し、 十分な調査活 動ができ ないとしてそ の中止や
社内待機を命 じたりし ているが、十 分な調査 活動ができな かったと し
ても、その責任は同人に必要な情報を全く与えなかった会社にあり、
このX1に仕 事をさせ ない状態に置 くという 対応は同人を 退職に追 い
込むための嫌 がらせに ほかならない 。
イ
そして会 社は、組 合が会社に対 し X1の 組合加入及び 支部結成 を通
知し、組合加 入を公然 化したのをみ て同 人の 会社からの排 除の決意 を
一 層 固 め る に 至 り 、 そ の 直 後 に 12.22配 転 を 行 っ た 。 こ の 配 転 後 、 会
社は同人に対 し具体的 な業務を与え ず、いわ ゆる「仕 事から干 す」状
態とした上で 、同 人が 行った就業規 則の筆記 に対してけん 責処分を 行
い、具体的な 業務の指 示もしていな いのに活 動報告書の提 出を執拗 に
求めるなど同 人を退職 に追い込むた めの嫌が らせを行った 。
ウ
さらに会 社は、 X 1が対応でき ないプロ グラム開発業 務のいわ ゆる
下流工程を担 当させる べく 4.25配転を命じた 。これは、同 人に仕事 が
できない状況 をつくり 出すことによ って、退 職に追い やり 、又は 解 雇
して、同人を、そして組合を会社から排除しようとしたものである。
それゆえ、X 1は、4.25配転には応 じがたか ったところ、平成6年
5月9日、就 業時間終 了後に同人は 、会社取 締役及び他の 社員らか ら
集団的なつる し上げに あったため 、同人は 身 の危険を感じ 、その 翌 日
から緊急避難 的に直行 直帰を行った ものであ る。
エ
以上から すれば、 会社が X1に 対し、 4.25配転に従わ ず、直行 直帰
を 続 け た こ と を 理 由 と し て 7.4懲 戒 解 雇 を 行 っ た の は 、 組 合 を 嫌 悪 し
て支部を排除 するため になされたも のであり 、これを不当 労働行為 に
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あたらないと した初審 判断は誤りで ある。
(2) よって、 以下判断 する。
ア
前記第2 で引用し た初審命令理 由第1( 以下「初審命 令理由第 1」
という。)の 3の (1)のイのとおり 、Y1 社長 はX1に対し 、同 人の 復
職後の担当業 務につい て、PPTシス テムの 加盟店募集に 係る営業(セ
ールス)業務 であるが 、当面はこれ に係る市 場調査業務と し、フレ ッ
クスPOSの 完成後は その販売営業 業務とす る旨を説明し た上で、 P
PTシステム に係る営 業計画の作成 及びその 実行のための 活動計画 の
提出並びに営 業活動報 告書等の提出 を命じて いたのである 。
そして、X 1の 復職後 、12.22配転までの勤 務状況につい てみると 、
初 審 命 令 理 由 第 1 の 3 の (2)の ア 及 び エ 、 (3)、 (4)の ア 、 イ 及 び エ 、
(5)並びに(7)のとおり 、レントラ ックの Y 2 部長は、業 務打合せ の 際
X1に対し 、PP Tシ ステム営業に ついての OJTを受け ることを 進
め、同人もこ れに同意 していたにも かかわら ず、同人はレ ントラッ ク
の営業部員に 対し、O JTについて 当初2、 3回程度は日 程調整の た
めの連絡をし たものの 、調整ができ ないと、 それ以後は連 絡もせず に
放 置 し て 、 結 局 O J T を 1 回 も 受 け ず 、 12.22配 転 に 至 る ま で 調 査 活
動のみしか行 わなかっ たものである 。しか も 、同人が行 った調査 活 動
は、特に専門 的な知識 ・技術を要し ない、ご く単純なもの で、調査 を
し た 件 数 も 約 半 年 の 間 に 135件 で 、 1 日 平 均 す れ ば 1 件 な い し 2 件 程
度にすぎず、し かも、 同人は、 Y1社 長から 店舗との面談 や、売上 計
画作成を指示されたにもかかわらず、その指示に全く従わなかった。
そして、同人は、会社から調査活動の中止及び社内待機を命じられ、
その後、PP Tシステ ムの営業活動 の再開を 命ぜられたが 、レント ラ
ックのY2部 長から 13店舗に対する 営業活動 及びテレマー ケティン グ
を行うよう求められたにもかかわらず、それらを一切実施しなかった。
そのため 、会社は 、レ ントラックか ら、 X1 の勤務態度を 激しく非 難
され、こ のような 状況 では会社には PPTシ ステムの代理 店営業は 任
せられないと して代理 店契約を解消 されるに 至った。
以上の経緯か らすれば 、X1は会社か ら指示 された本来の 営業活動
を行わず、レントラ ッ クから求めら れたOJ Tや、13店舗に対す る 営
業活動、テレ マーケテ ィングも行わ なかった ため、会社と レントラ ッ
クの代理店契 約が解消 されるに至り 、その結 果同人に担当 させてい た
会社のPPT システム の代理店業務 がなくな っ てしまった ため 、会 社
は12.22配転を行 った ものというべ きである 。
したがって、 12.22配転には合理的 理由があ り、 12.22配転は、 X 1
が組合加入を 公然化し たため同人の 会社から の排除を意図 してされ た
ものであると の組合の 主張は採用で きない。
また、この間の 会社の X1に対する 対応につ いてみると、同 3の (2)
のア及びエ 、(3)のウ 並びに (5)のア及びイ のとおり、同人が会 社 に対
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し、会社の事 業計画、 フレックスP OSに係 る営業方針、 販売単価 そ
の他の情報 、レン トラ ックのPPT システム の販売実績等 の資料を 求
めたにもかかわらず、会社はこれらを与えておらず、また、会社は、
同人をPOS検討会や全体会議などの社内会議に参加させていない。
しかし、フレック スP OSは、当時まだ 開発 途上にあって 、営 業対 象
とはなってお らず、こ の期間同人が 取り扱う こととなって いたのは P
PTシステム であり、 この当時フレ ックスP OSに係る資 料が同人 に
提供されなか ったとし ても格別不合 理ではな い。また、P PTシス テ
ムについては 、同人 は レントラック から、P PTシステム 及びその 営
業についての説 明を受 け、レンタル ビデオシ ョップの名簿 、店舗情 報、
営業状況一覧 表、加盟 金、ソフ ト料 等も記載 されたPPT システム の
パンフレット 、レン ト ラック社の会 社案内 、テレマーケテ ィングに 係
るマニュアル 等の相当 詳細な資料を 受領して いること 、具体的 な店 舗
名を挙げた上 で 13店舗に対する営業 活動を求 められている ことなど か
らすれば、同 人が会社 に対して求め ていた資 料が得られな い段階に お
いても、容易 に行い得 る営業活動は 多々あっ たことが推認 される、 P
OS検討会は 、PO S 開発に携わっ ている技 術者の会議で あって 、当
う時の同人の 業務とは 直接の関係は なく 、他 に同人の業務 上出席を 必
要とする社内 会議があ ったことを認 めるに足 り る資料はな い。以上 か
らすれば、会 社におい て、 X1の業 務を殊更 に妨害したも のとは認 め
られず、この 点の組合 の主張は採用 できない 。
イ
12.22配 転 か ら 4.25配 転 ま で の X 1 の 勤 務 状 況 に つ い て み る と 、 初
審 命 令 理 由 第 1 の 4 の (2)の ア な い し エ の と お り 、 ① 同 人 は 配 転 直 後
から勤 務時間中 に会社 業務と無関 係な知 人等 へのあいさつ回 りを始 め、
Y3部長代理 が同人に 対し、外出 しないよ う 制止し、併 せて活動 報 告
書及び業界情 報誌から 業務に役立つ 情報を整 理したレポー トを提出 す
るよう命じた にもかか わらず、同人は これに 従わず、ほとん ど毎日「 情
報収集」を行 うとして 外出を続け、 ②再三に わたる会社の 求めによ り
ようやく平成6年4 月 18日に同年1月24日か ら3月末日までの 活動 報
告書を提出し たが、そ の活動状況は 、百貨店 内をウインド ショッピ ン
グを装いなが ら歩き回 ったとか、商店 街、書 店で人の流れ や、年齢 層、
ベストセラー 等を観察 したとか 、日本貿 易振 興会で輸入状 況資料を 見
たとか、大学助教 授と 面談したとか いうもの で、報告 書には 、訪問 先
の名称、面談 者の名さ え必ずしも記 載されて おらず、調査 結果をと り
まとめたものはなく、ずさん極まる内容のものであった。この期間、
同人は会 社の業務 命令 に従わず、勝手に外出 を続けていたものであり、
正常に業務に 従事して いたものとは 到底認め られないとい うべきで あ
る。
ま た 、 X 1 に 対 す る け ん 責 処 分 は 、 初 審 命 令 理 由 第 1 の 4 の (4)の
アのとおり、 上司が同 人に対し業務 に無関係 であるとして 就業規則 の
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条文のコピー 及びワー プロヘの入力 を拒否し たにもかかわ らず、こ れ
を就業時間中 に筆記し たため、始 末書の提 出 を求め、こ れを同人 が 拒
否したために されたも のであり、会 社が嫌が らせのために した行為 と
みることはで きないか ら、この点の 組合の主 張も採用でき ない。
ウ
一 方 、 当 時 の 会 社 の 状 況 を み る と 、 初 審 命 令 理 由 第 1 の 4 の (3)及
び5の(1)のウのとお り、会社は 経営悪化に より希望退職者 を募集 し、
これに従業員 の4割以 上が応募し 、また 、経 費節減のため 本社を移 転
し支払い家賃 を移転前 の約半額にす るなど、 経営の立て直 しを迫ら れ
る状況 にあり、会 社組 織も経営管 理部とシステム開 発部の2部制 とし、
システム開発 部はいわ ゆる上流、下 流のすべ ての工程を所 管するこ と
となった。こ のような 状況の中で、 会社が、 もともとコン ピュータ の
システム開発 に従事す る技術職とし て採用し た X1を 、同人が 入社 当
初担当していたシ ステ ム開発業務の上 流工程 に従事させるべく 4.25配
転を行ったこ とは、何 ら不合理とは 認められ ない。
エ
そこで 、7.4懲戒解雇について みると 、初審命令理由 第1の5 の (2)
の ア 及 び イ 並 び に (3)の ア 及 び オ の と お り 、 Y 4 取 締 役 が 、 再 三 、 X
1に対し、4.25配転後の業務説明を 行うため 外出せず、社 内待機し て
いるように命じたにもかかわらず、同人はこの上司の指示を無視して、
平成6年4月 27日以降 、勝手に外出して帰社 することなく直接帰宅 し、
出社せずに直 行直帰す るようなこと を続け、 会社業務に全 く従事し な
かったため、 会社は同 人に対し繰り 返し業務 命令書を送付 して業務 に
就くことを求 めたにも かかわらず、 同人が全 く態度を改め なかった こ
とから、7.4懲戒解雇 に至ったもの である。
上記ウのとお り、4.25配転は何ら不 合理なも のではなく、また、同
年5月9日に 5名程度 の従業員が X 1に対し 同人を批判す る発言を し
た時の状況は 何ら不穏 なものではな く、集団 的なつるし上 げなどと い
うものではな かったと 認められるか ら、直行 直帰がやむを 得ないも の
であるとする 組合の主 張は採用でき ない。
オ
以 上 の と お り 、 X 1 は 、 正 当 な 理 由 な く 、 4.25配 転 命 令 を 拒 否 し 、
会社の業務命 令に従わ ないで出社し なかった ものであるか ら、同人 に
対 す る 7.4懲 戒 解 雇 に は 合 理 的 な 理 由 が あ り 、 こ れ を 不 当 労 働 行 為 に
あたらないと した初審 の判断は相当 である。
2
平成5年 年末一時 金のカットに ついて
(1) 組合は、 次のとお り主張する。
会社は、X 1 の組合 加 入及び支部結 成通知直 後、同人の 平成5年 年 末
一時金につい て、同人 について 、同人の 復職 時の約束の 50万円から 30万
円をカットし 、20万円 のみ支給した 。会 社は 他の従業員に 対する一 時金
支給額についての立証 を行っておらず、この30万円の一時金 のカットは、
X1が組合員 であるた めにされたも のであり 、これを不当 労働行為 にあ
たらないとし た初審判 断は誤りであ る。
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(2) よって、 以下判断 する。
初 審 命 令 理 由 第 1 の 3 の (1)の イ 、 (4)の ウ 並 び に (6)の イ 及 び ウ の と
おり、会社は 業績の悪 化を理由とし て同5年 9月以降従業 員の賃金 カッ
トを実施し、同 年年末 一時金につい ても全従 業員に対し前 年同期の 半分
に当たる月数 を支給し 、 X1に対す る同年年 末一時金につ いても同 年9
月 以 降 支 給 の 賃 金 1 か 月 分 の 半 額 相 当 額 で あ る 20万 円 を 支 給 し て い る 。
復職時の協議 において 、同人に対する 年末一 時金は賃金 の 1か月相 当分
の額と定めら れていた ことからすれ ば、同人 に対する同年 年末一時 金の
カットは、会 社の経営 上の都合によ り全従業 員との横並び で行われ たも
のというべき であり、 同人が組合員 であるた めにされたも のとは認 めら
れない。
したがって 、これ を不 当労働行為に あたらな いとした初審 判断は相 当
である。
3
平成6年 6月度及 び7月度賃金 のカット について
(1) 組合は、 次のとお り主張する。
会社はX1に 対し 、同 人が 4.25配転に応じな いことを理由 として平 成
6年6月度及 び7月度 の賃金をカッ トしたが 、 4.25配転が不 当労働 行為
であることは 上記1主 張のとおりで あり、ま た、 X1は、会社の 暴 力的
つるし上げか ら身を守 るために直行 直帰した のであって、 会社業務 には
従事している のである から、この賃 金のカッ トは、 X1が 組合員で ある
ためにされた ものであ り、これを不当 労働行 為にあたらな いとした 初審
判断は誤りで ある。
(2) そこで判 断すると 、4.25配転が何 ら不合 理とは認めら れず、同 年5月
9日の出来事 も X1に 対する集団的 なつるし 上げなどとい うもので はな
く、同人は、 正当な理 由がなく、業 務命令に 従わず出社し なかった もの
であることは上 記1の とおりである 。し たが って、会 社がこれにつ いて、
債務の本旨に 従った労 務の提供とは いえない として、同年 6月度及 ぴ7
月度の賃金か ら当該日 数分をカット したのは 正当というべ きであり 、こ
れを不当労働 行為にあ たらないとし た初審判 断は正当であ る。
4
平成6年 度賃上げ の不実施につ いて
(1) 組合は、 次のとお り主張する。
会社は、X1 が4.25配転に応じない ことを理 由に、同人に ついての み
平成6年4月 度賃金か らの賃上げを 実施して いないが、同人 の賃金 が年
俸制で他の従 業員とは 賃金体系を異 にすると しても、他の 従業員に つい
て は 月 額 平 均 5,000円 の 賃 上 げ を 実 施 し て い な が ら 同 人 に つ い て の み 賃
上げをしない ことは、 同人が組合員 であるた めにされたも のであり 、こ
れを不当労働 行為にあ たらないとし た初審判 断は誤りであ る。
(2) よって、 以下判断 する。
初 審 命 令 理 由 第 1 の 3 の (1)の イ の と お り 、 X 1 の 賃 金 は 年 俸 制 で 他
の従業員とは 賃金体系 を異にしてお り、この ような異種の 体系の賃 金の
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賃上げについ ては、他 の従業員とは 異なる別 個の合意を必 要とする との
初審判断は相 当である 。
そして、X1 は、4.25配転命令が何 ら不合理 なものではな のにもか か
わらず、正当な理 由も なくこれを拒 否 したば かりでなく 、会社 の業 務命
令にも従わず 出社しな いという行動 をとり続 け、長期にわ たって債 務の
本旨に従った 労務の提 供を行わなか ったもの である。この ような同 人の
勤 務 態 度 か ら す る と 、 初 審 命 令 理 由 第 1 の 5 の (3)の ウ の と お り 、 会 社
が組合に対し 団交の席 上、X1の賃上 げにつ いては同人の 配転問題 が解
決するまで回 答できな い旨述べ、結 局、同人 について同年 4月度賃 金か
ら の 賃 上 げ の 合 意 が 成 立 し な い ま ま 、 7.4解 雇 に 至 っ た こ と は 、 同 人 が
組合員である ことを理 由とする不利 益取扱い とはいえない というべ きで
ある。
したがって 、これ を不 当 労働行為に あたらな いとした初審 判断は相 当
である。
5
不誠実団 交につい て
(1) 組合は、 次のとお り主張する。
会社は、第 1回団交 に おいて、 X 1の平成 5 年年末一時金 カットの 理
由について業 績悪化を 理由としたの で、組合 はその根拠と なる決算 書の
提出を求め、 その後の 第3回団交に おいて会 社は決算書提 出を約束 しな
がら、第4回団交ではY1社長が一方的に退席するなど団交を拒否し、
結局決算書の 提出を拒 否した。 X1 の場合は 既に合意済み の賃金の カッ
トになるので あるから 、誠意を持っ てその根 拠及び資料を 提示すべ きで
あるのにこれを行わず、赤字 も概数 を示 したのみで正確 な数 字を示 さず、
赤字の原因、 今後の業 績の見通しな どについ ても一切明ら かにして いな
い。また 初審命令 は、 X1の勤務状 況及び同 人の業務命令 不服従を 不誠
実団交の正当 理由とし ているが、か りに同人 の業務命令不 服従なる もの
があったとし ても、こ れが不誠実団 交の正当 理由となり得 ないこと は明
らかである。 よってこ れを不当労働 行為にあ たらないとし た初審判 断は
誤りである。
(2) よって、 以下判断 する。
たしかに、初 審命令理 由第1の3の (6)のウ 、4の (4)のウ及び 5 の (1)
のエのとおり、 第1回 団交に おいて、 組合が 会社に対し、業 績悪化 を示
す決算書を見せるよう求めたのに対し、会社は、第3回団交において、
同6年3月末 までの決 算書の提示に 一度は同 意しながら、 結局決算 書を
提 示 せ ず 、 ま た 、 第 4 回 団 交 に お い て 、 Y 1 社 長 は 、「 X 1 の 謝 罪 文 を
受け取るまで 団交でき ない」旨 述べて退 席し たため、その日の 団交 が打
切りとなって おり、こ のような会社 の交渉態 度に問題があ ったこと は否
定できないと ころであ る。
し か し 、 同 第 1 の 3 の (6)の ウ 、 4 の (4)の ウ 並 び に 5 の (1)の 工 及 び
(3)の イ な い し エ の と お り 、 ① 会 社 は 、 組 合 に 対 し 、 第 1 回 団 交 に お い
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て、従業員の 平成5年 年末一時金支 給につい て、業績が悪 化したも のの
努力して前年 度の半分 を確保した旨、 また、 第3回団交に おいては 、口
頭ではあるが、同5年 12月期決算に おいて約 7,500万円ないし8,000万円
の経常損失が 発生した こと及び希望 退職者を 募集した旨説 明してい るこ
と、②第4回団 交は上 記のとおり打 切りとな ったものの、そ れ以降 、会
社は組合との 団交に応 じ、更に 3回の団 交が 開催されてい ること 、③第
3回団交以降 は、 X1 の勤務状況の 不良、 4.25配転命令の 拒否、業 務命
令に対する不服 従が続 いていることが労 使間 の当面する最も 大きな 問題
となっており 、これが 会社の交渉態 度にも大 きく影響して いると認 めら
れることを総 合的に判 断すれば、会社 の交渉 態度が不誠実 であって 不当
労働行為に当 たるとま ですることは できない というべきで ある。
したがって 、これ を不 当労働行為に あたらな いとした初審 判断は相 当
である。
以上のとおり であるの で、本件再審 査申立て には理由がな い。
よって、労働組 合法第 25条及び第27条並びに 労働委員会規 則第 55条の規定
に基づき、主 文のとお り命令する。
平成12年7月19日
中央労働委員 会
会長
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花見
忠
㊞