サヨナラ原発の動き ヨーロッパで勢い

サヨナラ原発の動き ヨーロッパで勢い
前号で各国の動きをお知らせしましたが、その後「脱原発」の動きは、特にヨーロッパで大きく前進し
ています。ドイツでは政府が「原発撤退法案」を閣議決定したのに続き、スイスでは国民議会(下院)が
「原発全廃」の政府方針を承認しました。イタリアでは国民投票で有権者の絶対多数が「原発ノー」の意
思を示しました。オーストリアやデンマークでも「脱原発」の動きが進んでいます。
<ドイツ> 全 17 基の原発を 2022 年までに全廃へ「工程表」
フクシマ事故からわずか 3 ヶ月後の 6 月 7 日、ドイツ政府は、国内にある原発 17 基の全廃を柱と
する原子力改正案を閣議決定しました。原発の代替として風力発電などをこれまで以上に促進する再
生エネルギー法案など関連法案なども決めて、
上下両院の審議にかけられます。
メルケル首相は昨年、
原発の稼動を 22 年までに停止するとしたシュレーダー前政権の方針を見直し、稼働時期を平均で 12
年まで延長することを決めていましたが、国内世論にも押され、
「日本のような技術力が高い国でも原
子力の危険はコントロール不可能だ」
「再生エネルギー分野で先駆者となる」と述べて方針を大きく転
換しました。各原発の廃止年を明確化して段階的に原子炉を廃止、最後の原発を 2022 年に廃止する
としています。
<スイス> 「2034 年までに原発全廃」を国民議会が承認
スイス国民議会(下院)は 6 月 8 日、国内にある原発を順次廃止し、新たな原発も禁止する政府方
針を、賛成 101、反対 54、棄権 36 で承認しました。今後上院で採決される予定です。フクシマ事故
後、国内の 5 基の原発を耐用年数の切れる 2034 年までに廃止する方針を発表していました。この結
果に対し、スイスの経営者団体・エコノミースイスは、原発廃止はスイス経済に打撃をもたらすとし
て反対し、最終的には国民投票で決定すべきだと主張しています。
<イタリア> 国民投票で「原発ノー」94% 有権者の絶対多数
6 月 12、13 の両日、イタリアで実施された原発復活計画の是非を問う国民投票では、
「復活に反対」
が有効投票総数の94.05%、
全有権者の50.86%と絶対多数に達し、
国民投票で脱原発を決定しました。
イタリアでは 1990 年までに原発を全廃しましたが、ベルルスコーニ政権が 3 年前に方針を転換し原
発復活を表明しました。フクシマ事故の後その計画の無期限凍結を決めましたが、最高裁(破棄院)
が民意に委ねるべきだとして国民投票の実施を支持しました。同首相は 13 日、敗北を認める声明を
出しました。
<日本>でも、国民の意思は明らかに「脱原発」に向かいつつあります。ふたつの世論調査の結果―
「原発を段階的に減らし将来は止める」に賛成 74%、
「反対」14%、
「原発」の利用に「賛成」
(37%)
の人でも 63%が「段階的に減らし将来は止める(朝日新聞 14 日付)
。
「原発を減らすべき」47%、
「す
べて廃止すべき」18%、
「増やすべき」1%(NHK 同日放送)―からもそれは明らかです。
地方自治体の議会でも、山口県周南市議会の中止要求意見書に続き、同県下松市議会が 9 日、中国
電力が上関(かみのせき)町に計画中の上関原発の「凍結」を求める議員提案の意見書を全会一致で
可決、福井県小浜市も 9 日、期限を定めて原発から脱却するよう国に求める議員提案の意見書を全会
一致で可決、岩手県一関市議会でも同趣旨の意見書を賛成多数で可決しています。
(W)
編 集 後 記
☆ 湯河原で開かれたさる退職者の会の会合で東北から来た一人の参加者が訴えた。
「会場に来るま
で、あちこちで、
『がんばろう……』のポスターを見たり、車中のアナウンスを聞いたりしたが、
『一
億総懺悔』で戦争責任をうやむやにした戦後の日本とそっくりだと思った。原発事故で誰一人責任を
取ろうとしない。国や東電は〝原発は安全〟だとウソをつき、反対するものを村八分にし、反対運動
を警察や公安調査庁を使ってまで妨害した。
『戦後民主主義』は戦争責任を追及できなかったが、今
度こそ、民主主義は国民・人民のための政治であるという原点に立って、戦後民主主義の二の舞にな
らないようにしよう」
。
☆ 発言を聞いて私たちの憲法運動が震災復興・原発事故を巡って試されると思った。7 月 9 日の集
会でこのようなことも話し合えたらと思います。ご来場をお待ちしています。(S)
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