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平成 27 年度
群馬県
地域・大学連携モデル事業
「地域づくりの拠点としての渋川市公民館の役割」
現状分析と今後についての提言
平成 28 年 2 月
上武大学ビジネス情報学部
准教授
森下一成(博士・工学)
目次
1
提言の背景として
2
現状と今後の課題
(1)地域をつくる担い手の育成
・・・
1
〜学齢期からの地域活動への参加と学校との協働
・・・
(2)新たなニーズに対応した公民館の運営
2
〜利用者の拡大を目指して
・・・
5
(3)情報提供の強化
・・・
7
(4)地域活動の拠点として公民館が支援できることのメニュー化
・・・ 10
(5)生涯学習・社会教育の専門家としての公民館職員の資質向上
・・・ 14
(6)交通アクセス及び施設・設備・サービス面の拡充
・・・ 16
3
・・・ 18
提言
2
1
提言の背景として
私の研究室には 2 人の渋川市民の学生が在籍している。
初回のゼミにおいて、ひととおりコミュニティ研究の概要を話し、群馬県内の消滅
可能性のある自治体の1つとして、渋川市の名が挙げられていることを話したところ、
そのうちの 1 人が「ふるさとがなくなることはとても悲しい」とリアクション・ペー
パーに書いた。今回のモデル事業へ向かう背景としてはこのようなものがあった。
約 8.1 万人の人口を擁する渋川市の高齢化率は 29.4%(平成 26 年)で、群馬県の高
齢化率 25.4%を大きく上回り、自治体そのものの消滅可能性を指摘される以外にも、
今後のさらなる高齢化の進行によって生じるさまざまな事態が懸念されている。
その一方で、消滅の懸念をかき消すように、市域の各コミュニティ間で差異はある
ものの、公民館を中核とした社会教育・地域活動は活発であり、近年では伊香保公民
館(平成 27 年)や古巻公民館(平成 23 年)が優良公民館として文部科学省から表彰
を受けている。すべての公民館職員のきめ細やかな対応と住民の地域活動へのたゆま
ぬ努力をうかがうことができる。第 2 次世界大戦後、渋川市制発足後に市域全域に公
民館を設置するなど、渋川市は充実した社会教育・地域活動を目指してきた。
しかしながら、近年、中高年の公民館活動への参加はきわめて高いものの、若年層
の利用があまりにも少ないという傾向をどの公民館職員からも聴いた。こうした状況
は渋川市における高齢化に起因すると考えられるが、必ずしもそればかりが理由では
ない。どのような原因があるにせよ、利用者の偏りは公民館の持つ地域づくりの拠点
としての機能を減衰させるものである。また、多様な価値観による共生や社会全体の
意識の変化などにうながされ、これまで気づかなかったほころびなどが目立つように
なってきた。人情に厚い上州気質を多分にもつ渋川市民のこまやかな気遣いで繕って
きたほころびも、そろそろ大きな修繕が要るようになってきたようである。渋川市公
民館の現状調査及び今後に対する提言は、こうしたほころびを人と人とのつながりで
縫いあわせ、すべての人が「市民」としての力を養い、それを発揮できるようにする
ものでありたいと願っている。
1
2 現状と今後の課題
今回の調査から明らかになった渋川市の公民館の現状を踏まえ、(1)〜(6)に今
後の課題を整理する。
(1)地域をつくる担い手の育成
〜学齢期からの地域活動への参加と学校との協働
渋川市公民館が地域活動の拠点としての役割を担うためには、地域活動の担い手に
なる人を育てる機能をも併せ持つことが必要となる。それとあわせて、地域における
人と人との輪をつなぎ、世代間をつなぐために、若年層が地域活動に参加することが
欠かせない。そのために公民館は、学齢児童・生徒を、公民館を拠点とする地域活動
へ導くために学校と協働することが課題となる。中学校卒業後、あるいは高校卒業後、
渋川市の子どもは渋川市外での生活の時間が多くなる。就職先は市外になることもあ
るだろう。80 年以上のライフ・キャリアを展望したときに、渋川を忘れず、渋川との
つながりを残し、ふるさとと関わって生きようとする思いをつなぐ、そのようなふる
さとでの人と人とのつながりの糸を紡ぎ、育てることが課せられている。
また、学齢児童・生徒とともに、義務教育を修了した青少年から 30 歳代の若年層の
上記地域活動への参加を促し、導くことも課題となる。
① 「社会教育・地域活動の谷」の克服
定期利用団体に対する調査では、回答のおよそ 80%が「公民館を通じて地域に協力
できること(地域活動)」に積極的な姿勢を示しており、とても心強い。その一方で、
サークルの構成員について、若年層は少なく高年齢者が多いというように年齢に偏り
があり、また男性の参加が少ないことなどは、地域活動の継続性や求心力を考えたと
きに今後の不安要因でもある。サークルの活動で重視していることに「人とのつなが
り」を挙げるサークルは半数以上にのぼるが、そのつながりに若い世代を入れるよう、
公民館の支援のもとで、サークルに努力を促したい。地域活動の拠点として公民館が
在り続けるためには、活動を継承する若い世代の参画がなければならない。そのため
には、学齢期以前から公民館に慣れ親しんで地域活動への参加を習慣化し、公民館で
の活動が 10 代後半、20 代、30 代へと継続することが望ましい。
しかしながら、現状は 10 代、20 代の利用者を合わせても2%であり、これに 30〜
40 代を合わせても 20%に満たない。また、サークルへの参加者について、10 代は7%
を占めるが、20 代と 30 代は両年齢層を足してようやく7%を超える程度だ。
2
このような若年層の利用の少なさ、いわば「社会教育・地域活動の谷」をいかに底
上げするかは今後の課題であり、なかでも学齢期からの学校教育との協働が大きな課
題となる。渋川市においても、中教審答申「新しい時代の教育や地方創生の実現に向
けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」で示された「地域
学校共同活動」などを梃子にして、この「谷」を底上げするよう期待したい。
②学校教育との協働の具体化について
学校教育との協働は、公民館主催事業と定期利用団体など公民館で活動するサーク
ルと双方における可能性を見出すことができる。本調査結果からも、クラブや部活動
などの支援など学校の教育活動に参加する意思を持つサークルは 144 団体(52.9%)
にも及ぶ。こうした地域の力をクラブ活動や部活動などの学校教育に活用することは、
前掲の中教審答申が示す地域との協働にも沿い、地域活動の拠点としての公民館活動
に若い世代が参画する契機ともなる。前掲答申は次のようにいう。
「地域によっては,公民館等の社会教育施設を一つの拠点として,高齢者の健康維持
や文化の伝承等の地域課題に関わる社会教育活動を,住民が主体となって活発に行っ
ているところもある。学校という場を地域の人々が集い,学び合う場としていくだけ
でなく,このような拠点が学校とつながり,双方向の関係を持つことも有益である」。
公民館を地域活動の拠点とする場合、渋川市教育委員会内において,社会教育担当
部局と学校教育担当部局との連携・協働体制の構築が不可欠であるが、とりわけ公民
館、学校それぞれの「現場」というフロントに立つ職員の連携・協働こそが最も肝要で
あることはいうまでもない。
幸い、渋川市には、北橘地区のように、公民館の館長と校長が定期的に話し合いの
場をつくっている例がある。全市域でこうした機会を設け、議題とする事項を漸次拡
充することは、
「時代の要請」と述べても過言ではない。現代はもはや学校にのみ「知」
が集積しているわけではなく、徳育や体育も地域の中で育むことができる時代である。
また、渋川市自らが策定した、教育基本法 13 条に連なる「平成 27 年度渋川市教育行
政方針」<2 生涯学習の充実 (6)公民館活動の推進>を実質化するための具体的
なプロセスでもあり、この履行を促したい。
これまで、学校という拠点に 9 年もの間、学齢児童・生徒が拠り、公民館という拠
点に中・高年齢層が拠り、その狭間に「社会教育・地域活動の谷」が茫漠として存在し
ていた。まずは、拠点 2 つを結び、かつ、谷を渡る橋を架けねばならない。学齢期の
9 年間について、その教育のほとんどを学校に負担させるのではなく、地域活動の拠
3
点となる公民館やそこで活動する地域の人々に委ねれば、人生 80 年を見すえたとき
に、生涯学習や地域活動の連続性という観点からも望ましい結果を生じさせる。こう
した学校教育による学齢児童・生徒の「囲い込み」を解くことは、前掲の答申でも繰り
返し述べられている。
学齢期から地域活動に親しめば、児童・生徒自らが地域に関わることで「地域が良
くなる、地域が変わる」という実感を得る機会が増えるだろう。そのような自己の有
効性感覚を育み、その余韻が学齢期以降も残るような経験を渋川市の子どもに得させ
るため、地域のおとなが力を合わせることを期待したい。
4
(2)新たなニーズに対応した公民館の運営 〜利用者の拡大を目指して
今回の調査では、公民館非利用者のうち、その属する世帯の全員が非利用者である
傾向が強いという点が判明した。公民館が地域活動の拠点となるためには、可能な限
り多くの住民を公民館に集められた方がよい。それゆえ、こうした非利用者層を利用
者へと転ずるための「開拓」が課題となる。
年齢層で見た場合、30 代以下の利用者は 10%にも満たない。一方、サークル参加
者を見ると 10 代は7%強程度を占めているものの、やはり 20 代、30 代は極めて少な
く、
「社会教育・地域活動の谷」となっている。また、相対的に、男性の利用者は少な
い。こうした「谷」を形成する 20 代、30 代は公民館の事業等にどのような希望を持
っているのか。一例として、視覚化してみる。
スポーツ
その他 40
パソコン
35
30
ボランティア
25
20
歴史・郷土
15
10
読書関連
5
0
子育て関係
ダンス・舞踊
ヨガ・気功・体操
武道
美術
手工芸
写真・映像
ゲーム
音楽
囲碁・将棋
文芸
料理
語学
伝統芸能
書道
20代、30代の非利用者
n=49
茶道・華道
非利用者全体 n=485
図 2-1
20 代、30 代の非利用者の希望(非利用者全体との比較)(単位は%)
無回答を除き、20 代と 30 代による各回答が回答者数に占める割合を、全体のそれ
と比較したのが図 2-1 である。
5
公民館の事業に関する希望として、美術、文芸、歴史が0、パソコンがほとんどな
く、子育て関係の事業を多く希望するなど、60 代、70 代が多数を占める全体と比較
すると、明瞭に異なることがわかる。価値観の多様化した時代であるにもかかわらず、
こうした年代をはじめとする階層ごとのニーズを把握した公民館主催事業が課題で
あり、利用者のバランスを回復する必要がある。住民の一部に利用者が偏在している
状況では地域活動の拠点となることはできない。
ニーズ等については、公民館利用者については今回の調査結果を活用することが望
まれるが、公民館運営でどのようにニーズを反映するかが課題となる。
利用者であっても、公民館主催事業参加者の 70%が事業に対する要望を聴取された
ことがなく、そのうちの 45%が要望を反映してほしいと願っている以上は、新たなニ
ーズの掘り起こしのためにも、聴取の機会を設けるべきであろう。
既存の運営審議会、運営委員会がそうした機能を期待されていることは周知である
が、こうした既存の組織がニーズを反映しがたいのであれば、そのための新たなしく
みを設けることが課題となる。
具体的には、即座に新たな組織を立ち上げるのではなく、コーディネーターやファ
シリテーターを介在させながら、公民館職員と利用者らが和やかな雰囲気で意見交換
をできる場を設けるなどの、柔軟で工夫を凝らした取り組みが求められている。たと
えるならば、古代ギリシャのアゴラにも似た場であることを公民館はその機能の 1 つ
に求められていると述べても過言ではない。せめて、身近な地域課題だけでも、代議
制民主主義や首長のリーダーシップを待つのではなく、住民自治の意義に沿うあり方
をこうした取り組みで模索してもらいたい。
このようなしくみは、意見や希望を聴取するという合目的的な側面も有するが、公
民館職員と利用者との心理的距離を近くし、相互の理解から信頼感の醸成へと至る道
でもある。
「管理する側」と「管理される側」という「彼我」の関係から、
「わたした
ち」という関係へ向け、公民館が地域活動の拠点として求心力を高めるための直接的
な対話の場の導入を期待したい。
6
(3)情報提供の強化
今回の調査では公民館利用者、非利用者を問わず、情報に関わる事がらを公民館に
対する要望とする回答が少なくなかった。ここでは情報提供の媒体について検討する。
①紙媒体について
公民館利用者・非利用者を問わず、多くの住民が「広報しぶかわ」に目を通してい
る。また、
「公民館だより」は、利用者の多くが情報を得る媒体であるだけでなく、非
利用者も目を通している点は留意したい。これら以外にも「社協だより」など、市が
発行する紙媒体は情報提供の媒体として有力な手段であることが判明した。こうした
紙媒体について、住民のニーズを反映しながら、紙面における記事のボリュームを増
し、訴求力のある内容を盛り込めるよう、充実を図ることが課題となる。
②Web 媒体について
一方、利用者に比べ、非利用者は渋川市ホームページや渋川市公式 Twitter を多く
見ていることが明らかになった。渋川市もすでに着手しているが、特に、今後力を入
れていかなければならないのは SNS を用いた情報発信だろう。SNS の種類は多様であ
り、また、その利用層も年代によって異なる。今回の調査では若年層の回答が少ない
ため、SNS の年代別利用の調査結果は出せないが、全国を単位とする SNS の年代別利
用率の調査結果が『平成 27 年度
情報通信白書』に示されているので、それを1つ
の参考資料とする。
Facebook
70
60
50
40
30
20
10
0
LINE
Twitter
20代以下
30代
40代
50代
60代以上
mixi
図 2-2
Instagram
SNS の年代別利用率比較(『平成 27 年度
情報通信白書』より森下が作成)
(単位は%)
7
調査結果から、各年代で量的かつ質的に大きな差異があることがわかる。これによ
ると、60 代以上の SNS 利用は 20 代の半分以下であり、また Facebook、Twitter の利
用はあるが、LINE や mixi の利用はわずかでしかない。50 代になると他の年代とほと
んど変わらないレーダーチャートになっている。全国的な調査結果をそのまま渋川市
にあてはめることはできないが、利用者こそ少ないものの、50 代以下は若年層と異な
らない SNS 選択をしており、Twitter より LINE の利用者が多い。また 40 代以下にな
ると、すべての年代で LINE が最も多い。情報通信上のセキュリティに配慮しなけれ
ばならないことは言うまでもないが、こうした若年層の利用している LINE をはじめ
とする媒体への情報発信を強化することは課題となる。
SNS を用いた情報発信の強化については、知らせたい地域情報を、繰り返し情報発
信することを促したい。というのも、SNS の情報流通速度は速く、小さく軽い情報は
拡散されずに流されていってしまうからだ。また、マス・メディアのように不特定多
数を対象とするのではなく、多くは情報を発信する主体に関心を持つ個人に向けた情
報発信であるから、公民館の発信する情報もまたそうした個々の情報の受け手の琴線
に触れるような、より地域性の高い情報を選択する必要がある。公民館利用者の 75%
が自宅から 15 分以内の公民館を利用していることを考えれば、SNS による情報発信
は、当日に SNS でイベントの情報に気づいた住民がすぐにイベントに来てくれるとい
うような即時的な効果も期待できる。
そのような観点から、渋川東部公民館、赤城公民館、伊香保公民館などが、公民館
単位で「公民館だより」や「公民館通信」を発行し、さらにそれを Web 上にアップし、
より地域性の高い情報発信をしている点は大いに評価できる。一方で、pdf でアップ
されたファイルをダウンロードすることは、スペックが十分ではないデバイスでは不
可能なこともある。また、その効果は「張り紙」
「フライヤー」と同様であり、有効で
はあるが、能動的な媒体ではない。多くの情報が氾濫する現在、より強く、鐘を鳴ら
して喧しく住民に告知することが求められている。細分化した情報をタイムリーに流
せるよう、各公民館が SNS 等の情報発信の媒体を効果的に選択して用いることを期待
したい。
最後に、公民館主催事業などのコンテンツをフローではなくストックとして扱い、
生涯学習の糧にすることを提案したい。事業の内容などを動画撮影し、知的財産権等
の権利関係に留意しながら、YouTube にアップしたり、図書館などで貸し出しできる
ようライブラリー化する工夫を探求することを期待する。このような工夫は公民館主
8
催事業が開催される時間に公民館に来ることができない住民に対して有効であり、生
涯学習の視点からも取り組む価値を見出せるのではないか。今後の社会教育がスマー
トフォンでも視聴可能なようにパーソナル化することも視野に入れ、工夫を促したい。
なお、公民館利用者間の情報共有という今後の課題については後述する。1
1
「フロー」と「ストック」
公民館主催事業の多くは、その日時に参加することができなければ、二度と参加できない
ものです。これを「フロー」というように表現しました。より多くの住民の皆様にこうした
事業を広く知ってもらうためには、これを録画するなどして記録し、事業が終わっても視聴
可能なように渋川市の「資産」
、つまり「ストック」として扱うべきと考えます。
9
(4)地域活動の拠点として公民館が支援できることのメニュー化
公民館主催事業で希望するテーマとして 113 人もの回答者が「地域づくりやまちづ
くりに関するもの」を求め、76 人もの方が「ボランティア活動に関するもの」を求め
ていることは心強い。
また、公民館を通じて地域に協力できる意思を持つサークルが 80%近くあり、学校
の教育活動に参加の意思を持つサークルは半数を超える。こうした有志のサークルは
地域活動の拠点としての公民館においてコアを形成するものである。
このような力を地域活動に活かすために公民館がどのような支援をできるか、その
具体化は今後の課題の1つである。
①公民館主催事業からサークルへ
現状において、利用者のうち、公民館主催事業への参加者は半数を超えるが、その
内訳を見れば、
「まつり、文化祭、運動会などのイベント」が最も多く、講座は「趣味
や教養を深める講座」以外の参加者は低調である。
こうした公民館主催事業に対する満足度について、調査結果は「満足」「やや満足」
が 35%強であり、
「不満」
「やや不満」は 5%にもならないことから、概ね満足と判断
できるが、
「どちらでもない」
「無回答」を合算した 60%弱の回答をどう評価するかは
判断の分かれるところである。公民館主催事業の満足度は配分される予算に左右され
がちだが、引き続き参加者の満足度を高める努力が求められていることは確かだ。
また、公民館利用者で定期利用団体のサークルに参加する者は 30%程度と、公民館
主催事業への参加者よりも少ない。利用者の多くが参加する個人の趣味・教養、知識・
技能、健康・体力づくりなどをテーマとする公民館主催事業での学びを向上・促進させ、
利用者を地域における学びあいであるサークルへ導くガイドの不在が伺えるのであ
る。
さらに、利用者のサークル不参加の理由を見ると、「意欲はあるがきっかけがつかめ
ない」、
「活動の内容がよくわからない」、
「活動していることを知らなかった」などの
回答が一定数あった。こうした利用者に対しては、適切なガイドがいればサークル活
動へ導くこともできたと思われる。また、
「一緒に活動する知人がいない」ならばサー
クルの代表や面倒見のよい方へと人と人とをつなぎ、「希望する内容のサークルがな
い」ならば類似するサークルをともに見出すなどのコーディネーターがいれば、解決
へ至る可能性もあるだろう。
このように、公民館ができる支援として、ガイド、コーディネーターとしての機能を
10
果たすことが求められている。特にコーディネート機能については、前掲中教審答申
において、地域学校協働本部の機能の 1 つに数えられているが、さまざまな意味での
コーディネート機能は今後の公民館が担う重要な課題の 1 つであり、コーディネータ
ーやガイドを育てることもまた課題のうちに含まれる。
②非利用者への関わり
前項のようなガイドやコーディネーターは公民館非利用者にも必要である。
公民館非利用者のうち、公民館での活動以外に地域づくりやまちづくりに参加・継続
している者とは、前掲答申の表現を借りるのであれば「ゆるやかな協働」を模索して
いくべきである。公民館での活動以外に地域づくりやまちづくりに参加経験はないが、
これから参加の意思のある者や、参加方法がわからない者については、前項と同様、
公民館がガイダンス、あるいはコーディネート機能を果たしていくことが課題となる。
③地域課題、情報の共有と自由度の高いスペースの確保
定期利用団体のサークルが公民館に支援を求める内容として最多のものは「会員募
集など PR 支援」であり、サークルのほとんどが新規会員や後継者を募集している。
そうでありながら、自らの活動内容等を紹介するパンフレットを作成しているサーク
ルは 30%にも満たない。一方で、パソコンサークルなどからは「そうした団体があれ
ば手伝う」旨の自由記述回答も寄せられている。こうしたサークル間で意思疎通を図
ることができれば、さまざまな協働が可能になる。高齢者のサークルゆえにパンフレ
ットを作れないということも、小さいが地域課題の 1 つである。こうした日常生活の
延長線上にある身近な地域課題を話し合える、自由に人々が溜まれる場の確保は今後
の 1 つの課題であるが、これについては後述する。
④運営における利用者との協働
利用者、非利用者を問わず、公民館とともに地域活動に携わる意思を持つ住民の存
在だけでなく、公民館主催の事業にさまざまな形で携わる意思を持つ住民もいる(。
公民館は地域活動の拠点として、こうした住民自治の先頭に立とうとする人々を協働
するフェローとして、緩やかに組織化し、協働のためのトレーニングを施すことが期
待される2。これもまた、「彼我」の関係から「わたしたち」へ転換するための課題の
2
「フェロー」
「仲間」のことです。他の自治体では住民の皆様を「サポーター」と称することも多いよ
うですが、公民館職員と地域活動を行う住民の皆様は、プレーヤーとサポーターの関係では
なく、同じ「わたしたち」であるべきであると願い、「フェロー(仲間)
」という言葉を使い
ました。
11
1 つでもある。
⑤さまざまな主体との協働の検討
今回のモデル事業において、上武大学森下研究室の学生が子持公民館を除く渋川市
の各公民館において、公民館行政について館長ならびに職員からヒアリングを行い、
地域活動・サークル活動に参加し、参与観察とコミュニティ・デザインの実践を行っ
た。
各公民館での学生の活動は、職員及び住民に相応に評価され、学生の記憶にも地域
活動へ参加することの意義と自らのキャリアにおける「市民」像を考えるきっかけに
なったと思われる。特に、赤城公民館における文化発表会への参加は、調査活動から
得た地域課題を解決へ導く糸口を学生自らが考案、かつ実践するものだったが、それ
は多くのステークホルダー(利害関係者)にとって有益なものであったと判断しうる。
【住民】
新鮮な雰囲気
イベントに活気を感じる
若い世代との交流に意義
赤城公民館
文化発表会
【職員】
【学生】
業務負担の軽減
これまでの学びの検証
イベントの住民満足度向上
キャリア開発(市民の役割)
シティズンシップの向上
図2-3 学生との協働によるステークホルダーの利益
「有益」という判断は、当日、現地を訪れた私の感想でもあるが、学生によって実
施された社会調査によっても明らかになっている。
上記の赤城公民館での経験を PDCA サイクルで考察し、未達成であった内容につい
て再挑戦するのが、中央公民館定期利用団体発表会なのだが、本提言執筆段階におい
て、未だ開催されていないのでこれを評価することはできない。
12
学生によるコミュニティ・デザインの集大成となる中央公民館定期利用団体発表会
はまだ開催されていないが、図 2-3 のように協働は大きな価値を生み出す。それは赤
城地区文化発表会来場者や赤城公民館職員に対する調査からも明らかだ。もちろん弊
害がないわけではないが、協働の内容を振り返り、後の活動で活かしていくことによ
り解消は可能である。本調査では、諸条件より、大学との協働しか図ることはできな
かったが、今後はさまざまな主体との協働を積極的に推進することを期待したい。
13
(5)生涯学習・社会教育の専門家としての公民館職員の資質向上
前項の内容を実質化するため、公民館に配置された職員は自らが社会教育に貢献
する者としての専門性を高めることが必要となる。
公民館職員としての専門性とは、社会教育に関する幅広い知見とともに、前項で
挙げた、ガイドならびにコーディネーターとしての知見と実践する力を挙げること
ができる。また、公民館が主催する事業について、事業の構想から実施に至る運営
能力も必要であろう。
このように専門的な能力を高めることとは別に、公民館職員には社会教育のフロ
ントにいる者としての資質の問題がある。それは市役所の窓口というフロントにい
る者の資質とは明確に異なり、この点は公民館職員の人事について留意しなければ
ならない点の1つであろう。これは社会教育の一般行政化が生じさせている課題の 1
つである。人事異動によってやむなく公民館に在勤するのでは、地域住民の熱意や
意欲を削ぐことにもなりかねない。公民館職員として志願する者を選抜するという
ように、利用者に対する接遇向上を図るためにも、社会教育の実践者としての意欲
を優先した人事への転換を図ることを促したい。
これとともに考慮しなければならないのが、渋川市職員のキャリアパスにおける
公民館職員の位置づけである。公民館職員の社会教育の実践者としての専門性を高
める努力は正当に評価されなければならず、渋川市職員としてキャリアパス上の過
分な負担や障害にならないよう配慮を願いたい3。
また、社会教育主事の配置は必ずしも十分ではない。有資格者に対しては発令
し、各公民館に配置するとともに、専門性に考慮した人事考課とキャリアパスの確
立を強く要請する。
その上で、渋川市には、公民館職員が社会教育に携わる職として専門性を高める
ための研修の充実を促したい。本来であれば、研修のための予算を割かなければな
らない。その余裕が市財政にないのであれば、大学等が実施する無料の公開講座へ
3
「キャリアパス」
仕事の上で一定の地位に就いたり、昇進のみちすじなどを意味します。
現在の公民館職員は、社会教育や地域活動の専門家であるかどうかで公民館職員になっているので
はなく、市役所職員のひとつの異動先でしかありません。平成27年12月に示された中教審答申の
趣旨をくみとると、これからの地域活動は公民館と学校との協働が特に欠かせませんが、学校の教師
が教育の専門家であるのに対して公民館職員が社会教育の専門家ではないということになると、さま
ざまな面で弊害が生じかねないことを憂慮しています。
提言では公民館職員としての専門性を高めるよう述べていますが、職員個人がそのように努力して
も、それに対する正当な評価がなく、庁内での昇進のみちすじなどの人事上の配慮を明らかにしなけ
れば、職員の意欲がそがれてしまいますので、「キャリアパス」を明示するよう求めています。
14
の参加をもって研修とするなど研修の方法は幾通りもある。外部教育資源に触れる
ことにより、職員の専門性が高まるばかりではなく、参加によって生まれる人との
つながりが今後に活きることも期待できる。こうした研修は必ず住民に還元できる
ものであるから、公民館職員の職務のうちに入れ、豊かな専門性が育まれることを
期待したい。
以上のように、公民館職員の資質・専門性を高めるとともに、今後の検討課題と
なるのが、資質・専門性を十分に持つ市職員以外の者の登用である。渋川市ではす
でに生涯学習課において生涯学習推進指導員養成講座を開講しているが、その修了
者に対しては公民館の運営や地域活動に参画してもらい、ガイドやコーディネータ
ーとして活躍することが期待できる。こうした市民の育成もまた地域活動において
は不可欠な要素であり、自治の本質を体現するしくみとして今後に期待したい。
15
(6)交通アクセス及び施設・設備・サービス面の拡充
①交通アクセス
公民館までの交通手段で最も多いのは自らの運転による自動車・バイクであり、他
の交通手段を圧倒している。これに徒歩、他者の運転による自動車・バイク、自転車が
続くが少ない。公共交通機関を用いる利用者は、わずかにバスを利用する 3 名のみで
ある。今後の課題として、利用者が免許返納などで自動車を運転できなくなったとき
にどのように公民館へのアクセス手段を確保するのか、超高齢社会に向けての取り組
みがある。自分で車を運転して行けなくなったら公民館には行かないという選択をす
る利用者にどのように生涯学習を保障するかも含め、検討すべき課題として提起して
おく。
②施設・設備について
公民館で不便な設備・箇所についての設問では、764 の有効回答のうち 686 が無回答
(記述なし)だったことから、利用者はおおむね施設・設備面で深刻な問題を抱えず
に利用しているとも思える。ただし、記述のあった回答のほとんどが首肯しうる内容
であり、すべての回答について報告するので、各公民館は検討の対象とされたい。回
答は駐車場とトイレに対する指摘が多いが、特にバリア・フリーの視点からの回答に
ついては十分な検討が必要である。
次いで、(4)③で指摘した、公民館内での自由に人々が溜まれる場の確保という課
題について、ここで続けたい。地域活動の拠点としての機能を公民館が持つというこ
とは、社会教育の場でありながら、コミュニティ施設としての機能を一部兼ねるとい
うことでもある。現在の渋川市公民館の多くは社会教育施設として合目的的にデザイ
ンされており、遊びの空間があまりない。今回の調査では、休憩したり、時間をつぶ
すことのできる場所について問うたが、図書館が最も多く、次いでホール・ロビー・ラ
ウンジなどだった。よく利用する公民館の施設として「ホール」という回答が最多で
あるのも、ホールが自由度の高い空間であり、インターな場であることが理由の1つ
に数えられるだろう。しかしながら、ホール・ロビー・ラウンジ等は各公民館で形状が
異なるため、必ずしも居心地の良い空間であるばかりでなく、気軽に立ち寄れて、談
話、対話を自由に重ねることのできる空間として確保されているものではない。公民
館を地域活動の拠点とするのであれば、活動に参加する人々が集い、話し合うことの
できる、自由度の高いワーク・スペースが確保されていることが望ましい。社会教育
施設としての性格を維持しつつも、各公民館においてこうしたスペースが利用者に用
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意されるよう期待したい。
③サービスについて
地域活動における悩みの1つに活動時間がある。家族のあり方や働き方の多様化に
より、必ずしも公民館の開館時間内の活動には参加できないという声は今回の調査で
も多数にのぼった。
公民館利用者にとって、利用しやすい時間帯として回答に多かったのは、平日の午
前中から午後 5 時までの間であり、サークル活動をはじめ、公民館主催事業もこうし
た時間帯に組まれることが多い。視点を替えれば、こうした時間帯に比較的余裕があ
る者だけが公民館における諸活動に参加できるということであるが、利用者であって
もサークル活動に参加できない理由として「活動の時間帯が合わない」という回答が
多いので、利用者と言っても一様ではない。一方で、非利用者が公民館を利用しない
理由として「仕事・家事などで時間が取れない」という回答が最多であった。
以上のような調査結果が示すのは、活動時間の多様化に対応するサービスの提供が
大きな課題の1つということである。こうした、問題は渋川市だけの問題ではなく、
多くの自治体で解を模索している最中であるが、公民館の開館時間やその他のサービ
スの充実を求めて指定管理者制度の導入を図る自治体が少なくない。平成 23 年度公
民館調査によれば、全国で 14681 の公民館のうち 1161 の公民館が指定管理者を置い
ている(平成 23 年 10 月現在)。指定管理者制度の導入については、公民館運営協議
会が指定管理者となって公民館を運営するという自主運営方式を導入するなど、さま
ざまな工夫が凝らされているが、先行して導入している自治体について、十分なケー
ス・スタディをこなす必要がある。課題に対する処方箋の 1 つとして視野に入れるべ
きではあるが、まずは導入に向けての熟議の時間を要するであろう。
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提言
渋川市の公民館が地域活動の拠点としての役割を果たすために、次のように提言す
る。
(1)地域をつくる担い手を育成すること
①学齢児童・生徒の地域活動への参加のため学校と協働すること
中教審答申「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在
り方と今後の推進方策について」を念頭に。
・サークルによるクラブ活動・部活動への支援
(具体例)
→クラブ活動にサークルを招き、指導を依頼する。
→公民館のサークルを「もう 1 つの文化部」として児童・生徒が参
加する。
・公民館と学校が共催する地域活動の拡充
(具体例)
→地域と学校が連動する防災訓練(シェイクアウト)を実施する。
→児童・生徒のボランティア・リーダーを育成し、さらに、学齢期
以降のボランティア・キャリアのグレードを明示する。(ジュニ
ア・リーダー、シニア・リーダー、マスターなど)
②「社会教育・地域活動の谷」解消のため、学齢期以降の若年層を地域活動へ導く
こと
・10 代後半から 30 代のニーズを満たす事業・講座で公民館利用に導く。
(具体例)
→高校生へのキャリア(進路)・ガイダンス
→市内在勤の 10〜30 代に対するキャリア・アップ講座
→退職者の知恵と経験を分かち合う業界研究講座
③公民館を利用するサークルに子どもの加入を促すこと
・中高年齢層の和を重んじるサークルから地域の子どもを育てるサークルへ
(具体例)
→小・中学校、市内の高校にもサークルの会員募集を依頼する
→ひな祭り、こどもの日などにサークル活動へ子どもを招待する
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(2)公民館の運営において、多様かつ新たなニーズに対応すること
①非利用者層を利用者にするような事業を開催すること
・(1)①と同様、若年層を取り込むための魅力ある事業を企画
・40 代から 50 代以降の中高年齢層対象の事業
(具体例)
→ビジネス・スキルに直結する事業の企画
②公民館が主体となってニーズの把握に努めること
・事業の開催の度に満足度とニーズの調査を実施
(具体例)
→事業に対する満足度と新たなニーズに関するアンケート調査実
施し、大学等研究機関に分析を依頼し、それを事業へフィードバ
ックする。
③「彼我」の関係から「わたしたち」という関係を育てること
・公民館を利用するサークルとの定期的な意見交換
(具体低)
→コーディネーターやファシリテーターなどを入れながら、定期的
にサークル主宰者や会員と懇談の機会を持ち、直接、意見を交換
し合い、公民館の運営に反映する。
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(3)情報提供を質的に精緻に量的に増大させること
①「広報しぶかわ」「公民館だより」の紙面を一層充実させること
・公民館から伝えたいことだけではなく、住民や公民館利用者が伝えたいことも
掲載
(具体例)
→サークル紹介やサークルの会員募集を掲載する。
→公民館主催事業・講座参加者の感想を掲載する。
②SNS や YouTube などの多様なメディアを駆使して、能動的な情報提供を図るこ
と
・各公民館単位で Twitter など SNS のアカウントを持つ。
(具体例)
→Twitter を例とするなら、定期利用団体の会員などにフォローをお願
い
し、各公民館単位でのイベントを細かく告知して拡散を期する。
・PDF をアップするだけでなく、SNS で情報を細かく告知
(具体例)
→公民館主催事業などの告知をカウントダウン方式で提供する。
・YouTube の活用
(具体例)
→過去に開催した事業のもようを撮影してアップする。
(知財等権利関係に留意)
・図書館ライブラリー化
(具体例)
→過去に開催した事業のもようを撮影して DVD などのメディアに
加工し、図書館で視聴・貸出可能なようにする。
(知財等権利関係に留意)
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(4)地域活動に対する支援内容を明確化すること
①住民のニーズを把握しながら公民館主催事業を充実させること
参照(2)②③
②公民館主催事業参加者をサークル活動へ導くこと
・公民館とサークルのジョイント事業を実施
(具体例)
→サークル発案の公民館主催事業を開催する。あるいは、公民館主
催事業の内容とジャンルを同じくするサークルに事業への参加を
呼びかけ、事業参加者にサークルへの参加をガイドしてもらう。
・公募型協働事業を実施
(具体例)
→NPOや市民団体などが発案し、公民館が事業内容を審査した上で事
業
を共同で実施する。
・公民館主催事業参加者に対するフォロー
(具体例)
→公民館主催事業参加者に、後続する事業や地域活動を情報提供で
きるよう、(3)②に記述したように SNS でのつながりを持つ。
③非利用者と協働し、支援すること
・公民館を利用していない地域活動参加者との協働
・非利用者に対する地域活動参加の呼びかけ
(具体例)
→地区運動会や発表会など、公民館非利用者も多く集まる地域イベ
ントで、公民館主催事業や公民館が主催する地域活動を告知し、
参加を呼びかける。
④地域課題・情報を住民が共有できるよう支援すること
・公民館のコミュニティ施設化
(具体例)
→住民が自由に使える交流スペースの確保
・公民館利用者間ならびにサークル間の連携
(具体例)
→掲示板の有効活用、Twitter の相互フォロー、LINE のグループ化
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⑤利用者を公民館における地域活動へ導くこと
・(2)③をもう一歩推し進め、対話による共感を協働へ
(具体例)
→繰り返す対話の中で信頼感を醸成できたら、ともに公民館における
地域活動を実施する住民フェローとして緩やかに組織化し、協働を図
る。
⑥さまざまな主体との協働を推進すること
・サークルその他住民との協働
参照(4)②③
・NPO などの団体との協働
(具体例)
→NPOの発案による公民館主催事業の実施
・大学等教育・研究機関との協働
(具体例)
→学生の活力をボランティアとして活用する。
→公民館行政のインターンシップ学生(高校〜大学院生)
を通年で受け入れる。
→大学教員を講師として招聘する。
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(5)公民館職員は生涯学習・社会教育の専門家としての資質を向上すること
①公民館職員としての資質・専門性の向上を図ること
・公民館職員を希望する市職員を優先配置
(具体例) →職員調書等を有効に用い、公民館希望者を優先的に配置する。
・住民・利用者への接遇の向上
(具体例)
→住民・利用者とコミュニケーションが取れ、さまざまな主体と協
働できる市職員を公民館に配置する。
・専門性を高める努力を評価する人事考課
(具体例)
→下記のような研修への参加にポイントを付与し、ポイントの数を
人事考課の対象とする。
・専門性を高める研修等の充実
(具体例)
→公民館内での研究会を奨励する。
→大学等が実施する公開講座の受講を奨励する。
→大学等、研究機関の研究者との共同研究を奨励する。
②社会教育主事を適切に処遇すること
・有資格者については発令する。
・各公民館に社会教育主事を配置する。
・社会教育の専門家としてふさわしい人事考課とキャリアパスを強く要請する。
③住民を公民館における地域活動の運営に携われるよう導くこと
参照(4)⑤
・公民館運営を協働できる地域人材の育成
(具体例)
→生涯学習推進指導員にコーディネーターとして活躍してもらう。
→公民館独自の地域人材の養成(参照(1)①ボランティア・リーダ
ーの養成)。
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(6)公民館までのアクセス、施設・設備・サービス面の拡充を図ること
①公民館までのアクセスについて超高齢社会に適する手段を検討すること
②公民館施設のアメニティを高めること
・防犯上の観点からも、過度な節電はやめ、照明を明るくする。
(具体例)
→人感センサーやLED電球の導入。
・熱中症予防の観点からも、空調の効果を確認する。
(具体例)
→パッシブ・ソーラーも考慮する4。
・トイレを使いやすく快適にする。。
(具体例)
→照明を明るくする。
→洋式便所を増やす。
→手荷物を置けるようにする。
・くつろげるスペースの確保
③公民館施設のバリアフリー化とノーマライゼーションを推進すること
・誰もが歩行が困難になり、車いす利用者になる可能性を考えて館内設備を見直す。
(具体例)
→壁面に手すりを設ける。
→段差を解消する。
→ドアを引き戸にする。
④地域活動に用いるための自由度の高いスペースを確保し、提供すること
参照(4)④
⑤サービスの拡充を目指して、地域団体による指定管理者制度の導入を検討する
こ
と
・先行して導入した自治体について研究を進める。
⑥その他、回答者から寄せられた、問題のある施設・設備について点検し、問題点
を確認したら対応策を検討すること
4
「パッシブ・ソーラー」
気温が高くて暑ければ、すぐエアコン・・・もちろん現代の建築物は機械に頼ることを前提
として作られているものがほとんどです。もちろんそれも必要なのですが、夏の陽射しを遮
り、冬の陽射しを取り込めば、機械にあまり頼らなくても済みます。これが「パッシブ・ソ
ーラー」の考え方の基本です。夏の暑さを遮るために、壁面を緑化したり、公民館を取り囲
む樹木を多くするなど、これからの公民館の建築や設備に活かしたい考え方として示しまし
た。
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