第3章 次世代育成支援環境の課題

第3章
次世代育成支援環境の課題
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子どもを取り巻く次世代育成支援環境の課題
①児童館等の子どもの遊び場の整備
町内には、児童公園が整備されていますが、就学前児童保護者アンケート調査における子
育て支援策において、効果が高い施策として、保護者の 46.4%が「児童館や公園など子ども
の遊び場の拡充」をあげています。
同様に、小学生児童保護者アンケート調査における子育て支援策においても、保護者の約
60%が「児童館や公園など子どもの遊び場の拡充」を第1位にあげており、
「雨の日に遊べる
施設・場所や児童館・公園などの整備」が求められています。
②多様な体験学習の場の整備
小学校低学年・高学年とも遊びの第1位は「テレビゲーム」
、第2位は「スポーツ」と同じ
です。低学年は高学年に比べ、「おにごっこ・かくれんぼ」「自転車で遊ぶ」など外の遊びを
好む傾向となっています。一方、高学年は家の中で遊ぶ傾向が見られ、もっと多様な体験の
積み重ねが心豊かな子育てにとって必要と考えます。
地域における子ども同士の交流の場づくりに対しては、約 60%の保護者が「遊び・スポー
ツを教えてくれる場」を強く望んでいます。
③子どもの安全性の確保とバリアフリー化
子どもとの外出の際、街中で困ったことは、まちづくり全般にわたり指摘がされており、
公共施設や幅の広い歩道整備等の子どもの安全性・快適性の確保やバリアフリー化が求めら
れています。
④子どもの居場所づくり
小・中学生の学校が終わってからの平日の過ごし方は、「塾や習い事」「遊び」や「部活」
が中心となっています。
夏休み期間等において、安全な子どもの遊び場や自主活動の場等の子どもの居場所づくり
の充実が求められています。
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家庭における次世代育成支援環境の課題
①生きがいのもてる子育て環境の整備
就学前児童保護者アンケート回答者の 69.4%の方は、「楽しさと生きがい」を感じ子育て
していますが、一方では子育てにおける不安・負担については「子育てによる費用の負担」
「自分の自由な時間が持てない」「子育てに伴う疲れ」「子育てに自信がもてない」との指摘
があります。
子育て費用の負担については、小学生保護者と同様に経済的な負担を感じており、生きが
いのもてる子育て環境の整備が求められています。
②仕事と子育ての両立
就学前児童保護者アンケート結果から、子育てと仕事の両立をするうえで大変だと思うこ
とは、「急病の時に面倒をみる人がいない」が最も高くなっています。
大変だと感じたことはないと回答している保護者は、わずか4%で小学生高学年保護者
(20%)と比較すると子育ての経験不足による仕事との両立に大変さが感じられます。
このため仕事と子育てをサポートする「子育て支援センター」の整備が求められています。
③子どもの食生活の充実
就学前児童保護者アンケートにおいて、毎日家族そろって食事をしている家庭は、39.5%
と半数以下となっています。また、子どもだけで食べる孤食は、8.6%となっています。
家族との安らぐ場として、食事を大切にすることが家庭に求められています。
④適切なしつけができる家庭づくり
子どものしつけにおいて特に気をつかっていることは、
「あいさつができること」が最も高
く、次いで「約束を守る」「食事のマナー」「自分のことは自分で行う」と続いています。ま
た、高校生年代アンケートにおいても、小・中学生年代における家庭でのしつけにおいては、
「あいさつができること」を第一に、多くのしつけが家庭で行われてきたことを示していま
す。
親から受けた「しつけ」を次世代に受け継いでいく家庭づくりが大切といえます。
⑤児童虐待の防止
自分の子どもへの虐待経験では、
「自分も時々ある」が3人に1人以上の割合に達していま
す。また、
「してしまいそうになった」と答えている方もおり、他人事ではなく保護者自身が
「叱りすぎている」と自覚し、身近で深刻な問題と捉えており、子育てに伴うストレスへの
対処が広く求められています。
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地域における次世代育成支援環境の課題
①子育てネットワークづくり
ワークショップ、アンケート調査でも子育てに関わるサークルや子育て組織の設立、情報
交換の場づくりが要望されています。
子どもが主体のイベントや高齢者との交流など、子育ての「輪」づくりが求められていま
す。
②子育てサポートの充実
アンケート調査において、子どもの病気や緊急の用事や泊りがけの出張などにより、保護
者の半数の人が、子どもを預けなければならない状況があったと回答しています。
対処方法としては、70%の方が「親類・知人に預けた」
、50%の方は「父親、母親が仕事を
休んで面倒を見た」と回答しており、子育てをサポートする「子育て支援センター」の整備
が求められています。
③異世代間の交流
次代の親を育成していくためには、子育ての大切さと喜びを身近で体験してもらう場づく
りが求められています。高校生年代における「赤ちゃんとのふれあい」
、地域における豊かな
子育て経験者である「高齢者との交流」など異世代間の交流を進めていく必要があります。
④地域資源の活用
地域内には豊かな自然、生活体験豊かな高齢者、スポーツクラブ、地域の祭りや文化、空
き店舗、余裕教室、保育園・幼稚園等の地域資源が多く存在しています。
身近で多様性のある子育てを進めていくためには、これらの地域資源を活用することが求
められています。
⑤みんなで守る犯罪
すべての子どもが安心して生活していくには、犯罪、有害環境、いじめ等に対して、地域
みんなの目で常に子どもを見守っていくことが求められています。
⑥地域リーダーの育成
地域における子育て支援施策として、既にファミリー・サポート・センターを設置し活動
していますが、会員互助が前提であり会員の拡大・増強が望まれています。
また、放課後児童クラブ(学童保育所)は、5施設設置してありますが、入室の要望は年々
増加しており、スタッフの増強が必要となっています。
次世代の親づくりや子育て支援のための地域リーダーの育成が求められています。
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行政における次世代育成支援環境の課題
①生活しやすい安全なまちづくり
アンケート調査では、遊び場の周辺道路の危険性や遊具の老朽化に伴う危険性、歩道や信
号のない道路など安全性の確保に関わる指摘があり、交通事故や犯罪から子どもを守るため
の安全なまちづくりが求められています。
②健康づくりの充実
アンケート調査における子育ての日頃の悩みにおいては、
「病気や発育・発達に関すること」
「食事や栄養に関すること」が高く、次世代の子どもを生み、育てていくためには、親子が
ともに健康な毎日を送るための健康づくりの施策が重要です。
③幼稚園・保育園の連携強化
幼児教育、保育の質的向上と子育て支援が求められています。
④情報の提供
子育てに関する悩みや不安を相談する相手は、
「配偶者」
「友人・知人・近所の人」
「親・兄
弟姉妹」といずれも身近な人が対象となっています。
子育てに関わる情報については、広範囲の情報網を活用した情報提供の拡充が求められて
います。
⑤町民と行政の協働体制の整備
きめの細かい施策展開を実施していくためには、行政内部の関連課(局・室)の連携をよ
り強化していくとともに、関係団体やボランティア、地域住民との協働体制づくりが重要で
す。
町民と行政が力をあわせ、みんなで次世代を育成していくことが必要です。
⑥行動計画の進行管理
次世代育成支援行動計画は、計画目標を策定し目標達成に向けたアクションプランです。
計画の進行管理として、毎年施策の実施状況や進捗状況等を庁内組織において点検・評価
していく必要があり、そのためには中核的な組織の構築が求められています。
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