医療倫理 - 大学病院の緩和ケアを考える会

5時間目
医療倫理
大学病院の緩和ケアを考える会
臨床緩和ケア「緩和ケア講義DVD」
DNR
DNR(Do not resuscitate)
蘇生不適応、蘇生せずとして始められた医療
行為であるが、CPRによる効果が認められな
い末期状態や、脳死など救急医療の場で蘇
生の可能性のない患者にはCPRは行なわな
いという概念
DNAR(Do Not Attempt Resuscitate)
事例について考える
事例:75歳、女性
診断:直腸がん術後、多発性肺・肝転移
経過:術後癌の進展を認め治療不可となり在宅となっ
たが、息苦しさが増強し来院、胸水貯留を認め
緊急入院となった。胸水排液により症状は軽減
するも全身状態が悪化し、数日後家族がお見
舞いに来ている時に心肺停止となり病棟で心肺
蘇生が行なわれた。
家族:夫は2年前に亡くなっており、息子夫婦と同居
事例について考える
癌の末期:全身状態が悪化し、心肺停止となり
病棟で心肺蘇生が行なわれた
この現場についてどう思うか
・・・医師の立場より考える
自分が主治医だったらどうするか
事例についてどう対応するか
癌末期での心肺停止に対する蘇生について
1 医療の場で蘇生は必要不可欠
2 患者の意思確認に基づき蘇生を行う
1) 確認できない時は蘇生する
2) 確認できない時、家族の意思を確認しておく
・・・家族の意思(希望)により蘇生を行う
2)´ 蘇生の実際と結果を充分説明し意思確認
・・・DNARという医療行為を説明する
3) 意思確認出来ればDNARを行う
DNAR
DNARとは蘇生を行わない行為で原則的には
患者の意思の表明(確認)が必要である
蘇生の成功率が低い(蘇生を行っても治癒しな
い、QOLが向上しない)癌末期や治療効果が
期待できない患者に対し救急医療の場で行わ
れる医療であり、医療行為についての問いか
けでもある
癌の末期では
急変した場合の処置として行われる事
心停止に対する・・・心マッサージ
電気除細動
呼吸停止に対する・・・気管挿管、人工呼吸
処置の後で
延命は一時的で、元の状態に戻る事はない
・・・この時、延命措置は必要な事か
癌の末期でDNARを行わない時
患者の望まない心肺蘇生が行われる可能性が
ある
かえって苦痛を与えるだけという危険性がある
患者のQOLが保たれない危険性がある
最期のときを家族が患者と共に過ごせない可能
性がある
DNARの現場で
医師が行わなければならないこと
CPRの適応がない状態について前もって患
者・家族に説明し、医療措置についても充分説
明する
患者が出来る事
起こりうることを理解し自立と自己決定権の観
点から前もって意思を示しておく
家族が出来る事
病状、病期の理解と患者に起こるであろう
様々な事に対する心構えとその場の決断
DNARに際して
DNAR指の妥当性については複数の医師で検討
患者、家族にいつ、どのように説明するか検討
・・・CPRをした場合のことも充分説明する
患者、家族が充分理解したかを確認
説明の過程、承諾については診療録に記載する
説明、承諾の場にはスタッフが同席する
・・・看護師、MSW
指示が決定したら病院の責任者に報告する
・・・倫理委員会が設置されていれば報告