文藝春秋 出版プロモーション部 NEWSLETTER

文藝春秋 出版プロモーション部 NEWSLETTER
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Vol. 25
2013.5.15
013 年 9 号目の「NEWSLETTER」をお届けいたします。昨年 5 月に開始し、2 年目に入りました。応援あり
がとうございます。
なお、小社書籍の書影使用許諾に関しましては、煩雑な手続きなしに、
「文藝春秋出版プロモーション Web」
(http://shuppan-pr.bunshun.co.jp/ ID:bunshun PW:shuppan-pr)にて行えます。ご活用ください。また、
当 WEB にはこれまでのニューズレター、リリース、重版情報など、小社関連の情報が満載です。どうかご覧くだ
さい。
安倍総理が横山秀夫『64』
を
大宣伝!
国
民がゴールデンウィークを
てタラップに乗り込んでいただきたいものですが。
村上春樹さん、京都で語った
『色彩~』
の
「創作の秘密」
4
満喫している中、ロシア、サ
月12日の発売以来、注文殺到で品切れ店が続
ウジアラビア、アラブ首長国連邦、
出。7日目の 18日に100 万部達成が決まった、
トルコを歴訪して「トップセール
村上春樹さんの書き下ろし長篇小説『色彩を持たな
ス外交」を展開した安倍総理。5
い多崎つくると、彼の巡礼の年』
(1785 円)。ご迷惑
月4日に政府専用機で羽田空港
をおかけしましたが、ゴールデンウィーク中には 90
に帰国しましたが、タラップを降
万部まで搬入され、
ようやく需給バランスが落ち着い
りる際、総理が握りしめていたのは昭恵夫人の手で
てきました。
はなく、横山秀夫さんの警察小説『64』
(1995 円)
村上さんは日本国内では長く、表に出ないことで
だったのです!
有名でしたが、その村上さんが 5月6日に京都の京
ご存知、横山さんの傑作「D 県警」シリーズの最新
都大学百周年記念ホールで、河合隼雄物語賞・学
長篇。7年の沈黙を破って昨年10月に刊行された
『6
芸賞の創設記念企画として「魂を観る、魂を書く」と
4』は、昭和 64 年に起こったD 県警史上最悪の少
題した講演会、公開インタビューを行いました。村
女誘拐殺人事件をめぐって警察内部が対立。刑事
上さんが国内で大規模なイベントを行うのは 18 年
部と警務部が全面戦争に突入していく中、主人公の
ぶりとのことです。
三上はどうするのか——組織と人間という壮大で重
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に関
いテーマに挑んだ横山警察小説ですが、日本国のか
して村上さんは、以下のように述べられました。
じ取りを一身に担う総理に感じる部分があったので
<「ノルウェイの森」のときは純粋なリアリズム小説
しょうか。
を書こうと思った。一度書いておかないと、ひとつ上
4月18日のテレビ番組でも好きな小説に『64』を
にいけないと思った。自分では実験的だと書いたも
挙げてくださった安倍総理。648 ページにおよぶ大
のがベストセラーになったのは、うれしかったが、あ
作なだけに、多忙な時間の合間を縫って読書される
る種のプレッシャーになった。
ことは大変だと思いますが、トルコ・アンカラからの
前作「1Q84」での大きな意
朝日新聞
より
H
P
11 時間の機
味は、全部三人称で書いたこと。
中で 無 事 最
三人称はどこにでも行けるし、誰
後 まで 読 み
にでも会える。ドストエフスキー
終えたでしょ
の「悪霊」のような総合小説を書
う か。 小 社
きたかった。(「多崎つくる」は)
的にはもう一
僕の感覚としては、頭と意識が別々に動いている話。
度、握りしめ
今回は「1Q84」に比べ、文学的後退だと思う人が
いるかもしれないが、僕にとっては新しい試みです。
同組合」調理師。有楽町―新橋間のガード下にあ
出来事を追うのではなく、意識の流れの中に出来
る会社の食堂の主任、
「食堂のおばちゃん」なのです。
事を置いていく。(多崎の恋人の)沙羅(さら)さんが、
しかも、それまでの人生も山あり、谷ありでした。
つくるくんに(過去と向き合うため)名古屋 に行きな
早稲田大学時
さいと言うが、同じように僕に書きなさいと言う。彼
代には漫 画 家を
女が僕も導いている。導かれ何かを体験することで、
目指していた山口
より自分が強く大きくなっていく感覚がある。読む人
さんですが、漫画
の中でもそういう感覚があればいいなと思う。
の才 能に限 界を
今回は生身の人間に対する興味がすごく出てきて、
感じて 断 念。し
ずっと考えているうちに、
(登場人物たちが)勝手に
かし卒業後に就職した会社は倒産、30 代はシナリオ
動きだしていった。人間と人間のつながりに、強い
を学びましたが、芽は出ません。悩んだ挙句、好き
関心と共感を持つようになった。
な料理で食っていこうと思って食堂に入り、調理師
(多崎は友人4人との共同体から切り捨てられる
免許を取った後、山口さんは「小説を書こう」と決心。
が)僕も似たような経験をしたことはあるし、何が人
2007 年から時代小説や短編ミステリーを発表して
の心を傷つけるのかはだいたい分かる。人はそう い
いましたが、今回の『月下上海』で 54 歳にして本格
う傷を受けて、心をふさいで、時間がたつと少し開
的に小説家デビューを果たしました。
いて、ひとつ上に行くことを繰り返しながら成長する。
作品は第二次大戦中の上海が舞台のミステリー
ひとつの成長物語なんです。
あり、恋愛あり、殺人ありの手に汗握るサスペンスロ
僕は自分の小説を読み返して、涙を流すことは
マンで、選考会でも絶賛されました。
ない。唯一泣いてしまうのは、小説ではないが(地
山口さんの背景に注目した記事が東京新聞 5月9
下鉄サリン事件の被害者や遺族を取材した)
「アン
日に掲載されると、すぐに取材が殺到。レシピ本を
ダーグラウンド」。殺された方の20代の奥さまの話
出さないかという話も来ています。松本賞受賞の大
を聞き、家を出て、電車に乗っている時に涙が出た。
型新人にぜひ、ご注目ください。
1時間ぐらい止まらなかった。
それが、違う話を書いている時にもよみがえってく
る。あの本を書いたことは、僕にとって大きな体験
だった。
小説を書き始めた29、30歳のころは、書きたい
けど書けないことがいっぱいあった。書けることを少
しずつ増やし、だいたい書きたいことが書けると思え
たのは2000年ぐらい。(今作も)単純に書けるよう
になったから、書こうと思ったのかもしれない。>
(引
用は東京新聞より)
『色彩を持たない多崎つくる~』は現在、105 万部。
連休明けも売れ行き好調です。ありがとうございま
した。
新・松本賞作家は
「食堂のおばちゃん」
東京新聞HPより
注目の新刊
『わが家に伝わる、いのちのことば』
(8月23日発売予定)
辰巳芳子 シンプルな材料で、作るのも簡単ながら、栄養満点の
「いのちのスープ」で有名な料理研究家の辰巳芳子さ
ん。これまでたくさんの著作を書かれていますが、そのな
かの至極の言葉を集めた名言集が本書です。食材の扱
い方、料理以前の心得、季節と旬について、なぜ食事を
作るのか、大切にすべき風土の賜物、いのちのスープが
できるまでなど、技術者の祖父、料理研究家の母から辰
巳さんが叩きこまれた人生哲学を散りばめながら、迷い
ながら生きる女性たちに人生の先輩が贈る、厳しくも暖か
6
い寸言集にレシピも加わった、辰巳ファン垂涎の書です。
歳。腰を据えて書いた初めての作品で、見事受賞に
『劇団四季の
「美しい日本語」教室(仮)』
(文春新書 7月20日発売予定)
浅利慶太 輝いたのですが、彼女の職業は「丸の内新聞事業協
他の新劇と違い、セリフの聞き取りやすさに定評のある
月下旬に刊行される本年度松本清張賞受賞作
品の『月下上海』。著者の山口恵以子さんは 54
劇団四季の芝居。その秘密は、
「文
好評既刊
学」や「言葉」へのリスペクトから来
ていると、
「劇団四季」代表の浅利慶
太さんは言います。
聞き取りやすさの秘密は、独自の
「母音法」
「呼吸法」
「折れ法(フレー
ジング法)」といった発声法。一般の
人々であっても、このメソッドを体得することによって、第
一印象をよくでき、思っていることを正確に伝えられ、しか
も、健康法にもなるのです。
この独自のメソッドを劇団創立60周年にあわせて初
公開したのが本書です。同時に60 年の歩みの振り返り
も収録していますから、劇団四季ファンからも喜ばれる本
です。
●都市をさすらう非定住者の姿を描いた新城カズマさん
の意欲的な連作小説『tokyo404』
(1365 円)。4 月
28日の東京新聞に著者が登場。5 月13日の毎日新聞
でも取り上げられました。
●村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の
年』
(1785 円)。刊行以来さまざまなメディアが取り上
げてくださってますが、5 月9日の読売新聞では、編集
委員の鵜飼哲夫さんが「村上春樹と百田尚樹 ミリオン
強気の増刷の背景」と題して取り上げ、12日の書評欄で
も、橋爪大三郎さん、宇野重規さんのおふたりが評して
くださいました。
●前回のニューズレターで取り上げました「オール讀物」
5 月号の「司馬遼太郎から池波正太郎へ宛てた手紙」。
5 月6日の毎日新聞「余録」欄に取り上げていただきまし
「陰陽師」が歌舞伎になります!
「陰陽師」シリーズといえば、
夢枕獏さんの大人気シリーズ。
これまで 文 庫 本 で 450 万 部、
累計 540 万部売り上げている
ほどですが、9 月の歌舞伎座で、
新開場記念 新作歌舞伎『陰陽
師 瀧夜叉姫』が行われること
になりました。
原作はもちろん夢枕獏さん。
『陰陽師 瀧夜叉姫』
(文春文庫 上下各 660 円)を下敷きにして三幕
構成になります。
主人公の安倍晴明は市川染五郎、源博雅は中村
勘九郎、瀧夜叉姫には尾上菊之助、平将門は市川
海老蔵という豪華キャストです。新しい歌舞伎座
と陰陽師のコラボレーションをお楽しみください。
前回の歌舞伎座改装の 1951 年に、新作歌舞伎
として初めて上演されたのは、のちに、新作歌舞伎
が打ち出される魁となるほど大入りとなった『源氏
物語』でした。
舟 橋 聖 一 脚 色・ 谷 崎 潤 一 郎 監 修・ 久 保 田
万 太 郎 演 出 の ほ か、配 役 も、海 老 蔵( 十 一 代
目團十郎)の源氏を中心に、梅幸の桐壺・藤壺、松
緑の頭中将、猿之助の御門、美術・作曲・振付にも
最高のスタッフを配し、半年後「須磨明石の巻」を
加えて再演されるなど、新しい客層を掴み、歴史に
残る成功を収めました。
今回、関係者一同、建て替え後初の新作歌舞伎と
いうことで、この『源氏物語』のようにするべく、大
変に力が入っています。
どうかご期待ください。
た。
●天才とも神童ともいわれ、多くの伝説を生んだチェス
プレーヤーのボビー・フィッシャー。彼の生涯を綴った
『完全なるチェス』
(F・ブレイディー 2625 円)が、4
月28日の毎日新聞の書評では若島正さんが、5 月5日
の朝日新聞ではいとうせいこうさんが、評してくださいま
した。
●現役大手商社マンでありながら、芥川賞を受賞した磯
崎憲一郎さんの初の中篇集『往古来今』
(1470 円)。5
月11日の読売新聞の「文化 ときめき」で紹介されまし
た。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。な
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《担当》 柏原光太郎(文責)、
目崎敬三、永妻あきな、坂本一馬