3学年だより

3学年だより
明治中学校 第3学年
第 5 号
平成25年5月8日
文責
西村
警鐘!! 生徒たちは危ない橋を渡っています!
誕生日のプレゼントに買ってもらった子ども用のライフル銃で,5歳の男の子が2歳の妹を誤って射殺して
しまうというショッキングな出来事がアメリカで起きました。子ども用のライフル銃が売られているというこ
と,プレゼントとして親が5歳の子に買ってあげるということ,人に向けて発砲してしまうということ,どれ
をとっても驚きを禁じ得ません。この場合,「人に向けて撃ってはいけませんよ」とよく言い聞かせたからとい
って,親の責任は免れるのでしょうか?…そんなことはないでしょう。
日本の場合,子どもにライフル銃を買い与えはしませんが,中学生に対して比較的買い与えているものに携
帯通信端末(携帯電話・スマートフォン・タブレット端末等,以下,「端末」と略します)があります。明治中では,
保護者会等において一貫して「むやみに買い与えないでほしい」とお願いしてきました。しかし,すでに生徒の
端末保有率はかなり高くなっているのが現状です。この現状に対して,われわれ教員は少なからぬ危機感を抱
いています。ライフル銃と端末とを同等に並べるな,と言われるかもしれません。確かに,端末には人を殺傷
する力はありません。国家からも自治体からも規制されずにだれもが持てる道具です。使い方さえ間違わなけ
れば,とても便利な道具です。ところが,この道具は,使い方次第で人を傷つけることができる凶器にもなる,
という現実を忘れてはいけません。現に,生徒たちは大人が思っている以上にこの道具を使いこなし,利用規
約を逸脱した使い方をおぼえ,法に触れるような行為さえ日常的にくり返しています。生徒全員が,とは言い
ませんが,端末を買い与えられている生徒の多くがルールを逸脱した使い方を知っていますし,実際にルール
を逸脱した使い方をしています。「知らぬは親と教員ばかりなり」という状態と言って過言ではありません。
実例を挙げます。端末では,だれもがFacebookやmixi,GREEなどに代表されるSNS(ソーシャル・ネットワ
ーキング・サービス),またはLINE,カカオトーク,commなどに代表される無料通話アプリを,登録・利用する
ことができます。今,3年生の利用率が最も高いと目されているのがLINEです。生徒たちは,「明中3年生の
ルーム」「3年○組のルーム」などの“交流の場”を設定し,自由な会話を楽しんでいます。このような交流の
場は,原則固定されたメンバーしか入れませんので,生徒たちは大人の目が届かないところで,のびのびと自
由な会話を楽しんでいます。目が届かないので,親に対する愚痴や教員批判などをしている可能性も否定でき
ません。だとしても,ルールやマナーを守ってさえいれば,大目に見ることもできます。ただ,ひとたびルー
ル違反・マナー無視をするメンバーが登場すると,交流の場はたちまち“嫌がらせの場”や“いじめの場”と
化してしまいます。最近の実例で言うと,このような場で「なりすまし」と「だまし」が行われたことが分かりま
した。二つの端末を巧みに使い分け,架空の人物になりすましてトークに参加し,仲間をだましてメンバーの
気持ちをもて遊ぶというものでした。メンバーの中には,「なりすまし」「だまし」と知っていながら,「だまし」
に加担した者もいました。当人たちは「どっきり」と称していますが,集団によるいじめのような状況になって
いたと言えます。また,一歩間違えると,交流の場は“暴露の場”と化します。実名を挙げてだれかの悪行(そ
れが真実かどうかは全く別問題ですが)を暴露して,そのメンバーの評価をおとしめることも可能です。その
他にも,ネット上にアップされた写真を本人の了解を得ないまま勝手に使ったりしている者もいました(これ
は明らかな肖像権の侵害に当たります)。
このような実態が一部明らかになったため,先日臨時の学年集会を開き,端末の間違った使い方の問題点(利
用規約違反,名誉毀損,肖像権侵害等)を指摘した上でその危険性について周知しました。そして,改善でき
ないのなら端末を使用すべからず,という指導を行いました。
保護者の皆様に重ねてお願いいたします。今回の件は氷山の一角に過ぎないのかもしれません。端末は,便
利な道具ではありますがトラブルの元になり得る危険な道具でもあるということを改めて認識していただきた
いのです。買い与えるからには,そのリスクまですべて背負う覚悟と責任を持っていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。