インターネットを利用する際のガイド

児童生徒のインターネット利用におけるガイドライン(高校生向け)
インターネットを利用する際のガイド
● はじめに
世界中に広がるコンピュータネットワークを通じて情報を収集・発信するインターネットは、
いまや私たちのコミュニケーションツールとして欠かせないものとなりつつあります。
インターネットにつながったコンピュータさえあれば、地域や時間の制約を受けず誰でも自由
に活動することができる、ある意味でもっとも開かれた世界といえますが、年齢や性別に関係な
く対等に行動することができることの裏返しとして、ユーザー一人一人の自己責任がより強く求
められます。また、インターネットに関する技術があまりに急速に発達してしまったために、予
想もしなかったトラブルや、自覚なく法律を犯してしまうケースも生じています。
私たちがインターネットを利用する際には、次のことに注意しなければなりません。ルールを
守りながら、安全かつ有意義に活用してください。
● 自己管理の重要性について
◆ ユーザーIDとパスワード
インターネットを利用するためにはユーザーIDとパスワードの組み合わせが必要
です。(学校のコンピュータからインターネットを利用する場合には、学校が代理で
生徒全員分のユーザーIDとパスワードを取得していることがあります。)ユーザー
IDというのはインターネットの世界での名前、パスワードはユーザーIDを名乗っ
た人が本当にその人であるかを確かめるための合言葉です。インターネットの世界で
は、ユーザーIDとパスワードの組み合わせだけが唯一あなた本人であることを証明
してくれる鍵なのです。ユーザーIDとパスワードを他の人に知られてしまうと、だ
れかがあなたになりすましてあなたに届いた電子メールを読んでしまったり、電子メ
ールを送ったりするばかりでなく、犯罪に利用されてしまう危険性もあります。ユー
ザーIDとパスワードはあなたのプライバシーを守っているだけでなく、インターネ
ットの世界全体を不正な利用者から守る役目も果たしているのです。ですから、ユー
ザーIDとパスワードは他の人に知られないよう十分注意しましょう。また、家族や
友人であっても自分のユーザーIDとパスワードを使わせない、同様に自分も他の人
のユーザーIDとパスワードを使わないことが大切です。
パスワードは自分の氏名、生年月日、電話番号など、容易に類推できるものは避け、
ひんぱん
できるだけ頻繁に変更するようにしましょう。
◆ 個人情報
インターネット上での個人情報の公開や流出には十分注意してください。個人情報
とは、氏名、住所、電話番号、勤務先、性別、年齢、障がいなど、個人に関するさま
ざまな情報のことです。Web ページや電子掲示板、チャット、メーリングリストなど
に書かれた内容は不特定多数の人間の目に触れるものですから、そこであなたの個人
情報を読んだ見知らぬ人からのストーカー行為をはじめ、さまざまなトラブルに巻き
けんしょう
込まれる恐れがあります。また、一見普通の懸 賞 募集やアンケート調査に見えるサイ
トの中にも、実際にはダイレクトメールを送る名簿のために情報を集めていたり、個
人情報を悪用することを目的としたりしているものがあります。
特定の人どうしでやり取りする電子メールにおいても、伝達途中に他人の手によっ
て解析される恐れがあります。電子メールは封のできる封書ではなく、読もうと思え
ば誰にでも読まれてしまうハガキのようなものです。ですからクレジットカードの番
号やコンピュータへのパスワードなど、他人に知られては困る情報は電子メールで送
らないようにしましょう。
◆コンピュータウィルス
コンピュータウィルスとは、システムやプログラムに被害を及ぼすことを目的とし
て作られた悪意のあるプログラムのことです。コンピュータウィルスに感染すると、
コンピュータ内部のプログラムやデータを勝手に削除したり、書き換えたり、異常な
画面を表示したりといった被害を受けるばかりでなく、他人にも迷惑を与える場合が
あります。
コンピュータウィルスへの感染経路としてはインターネットからのダウンロード、
フロッピーディスクや CD-ROM でのデータのやり取りなど、さまざまなパターンがあ
りますが、現在一番多いのは電子メールによるものです。最近は感染したコンピュー
タのアドレス帳を読み出して他の多くの人にウィルスの入った電子メールを自動的に
送りつけ、次々に感染させていく悪質なウィルスも出現していますので、知らない人
から来た電子メールはもちろん、知り合いの電子メールアドレスからであってもタイ
トルや本文がなく添付ファイルのみが送られてきた場合など、不審な電子メールは安
易に開かない注意が必要です。
く じ ょ
対策としては、定期的なデータのバックアップとともに、ウィルスを検出し駆除す
る「ワクチンプログラム」とよばれるソフトウェアをあらかじめコンピュータにイン
ストールしておくことが有効です。しかし、毎日のように新種のウィルスが発見され
ていますから、インターネットに接続したら、まずワクチンプログラムを最新のもの
えつらん
に更新してから、Web ページを閲覧したり、電子メールを受信したりするようにして、
常に新種のウィルスに対応できるようにしておきましょう。
うつくしま教育ネットワーク(FKS)では、やりとりされるすべての電子メール
に対して、ウィルスチェックを行っています。
万一コンピュータウィルスに感染してしまった場合には、ただちにネットワークか
ら切り離し、他の人との電子メールやデータのやり取りを中止しましょう。また、ネ
ットワークの管理者(管理者が分からない場合には学校の情報担当の先生)に連絡し
ましょう。
◆ インターネットショッピング
Web ページや掲示板を通じて商品の売買やオークションを行うインターネットショ
ッピングは遠隔地や外国の品物、珍しい品物を手軽に入手できるという魅力をもつ反
とくめい
さ
ぎ
面、インターネットの匿名性を悪用した詐欺等の被害に遭う危険性もはらんでいます。
さらに代金支払いのために住所・氏名・クレジットカード番号等の個人情報を打ち込
んだことがきっかけで、これらの個人情報が漏れてしまう可能性もあります。
インターネットショッピングをする際にはショップの所在地や連絡先、販売条件等
を確認し、本当に信用できるショップであるかどうかを自分で判断しなければなりま
せん。また、送信する内容が暗号化されて外部から分からないような仕組みになって
いるかどうかを確認することも必要です。
もし被害に遭ってしまったら、まず家族や学校の先生に相談し、警察や国民生活セ
ンター(http://www.kokusen.go.jp/)、福島県消費生活センター(tel:024-521-0999)に連絡す
るようにしましょう。
◆ 不適切な情報
インターネット上には多くの有益な情報がありますが、同時に、性表現や暴力を扱
ったもの、差別や犯罪を助長するもの等、不適切な情報を公開しているサイトも存在
します。中には不適切な情報の公開だけでなく、違法な商行為やファイルのダウンロ
ードを行っているものもあります。不適切な情報を発信しているホームページへアク
セスすることによって個人情報の流出や悪用の被害を受けたり、ねずみ講への参加や
かくせいざい
麻薬・覚醒剤等の薬物購入等、自分自身が犯罪者になってしまったりする危険性があ
ります。
えつらん
インターネットに接続してリンクをたどりながら Web ページを閲覧することをネッ
トサーフィンといいますが、その途中でこのようなサイトに出会った場合、そこで提
供されている情報が適切かどうか、信頼できる情報かどうかを判断する態度が大切で
す。
もちろん、自分自身がそのような不適切な情報を発信してはいけないということは
いうまでもありません。
● 法律に関わることについて
◆ 他人のプライバシー
インターネットを利用する際には、先に述べたように自分の個人情報を守るという
自己管理とともに、他人の個人情報を勝手に漏らさないための配慮も必要です。他人
の住所、氏名、電話番号はもちろん、私生活上の事実や秘密、写真や似顔絵などを本
人の了解なくインターネット上でみだりに公開すると、個人の人権を侵すことにより、
ばいしょう
プライバシーの侵害として訴えられ、損害賠 償 を請求される可能性があります。他人
の個人情報については、基本的に公開しないようにし、もし表示する必要がある時に
は必ず事前に本人の了解を得るようにしましょう。
ひ ぼ う ちゅうしょう
◆ 他人への誹謗 中 傷
他人の人格を否定したり社会的評価(世評・名声)を低下させたりするようなもの
しゅうち
をインターネットに掲載すると、その人に嫌悪、羞恥、不快感などの精神的苦痛を与
ばいしょう
えたとして民事上の責任(損害賠 償 責任)を問われる可能性があります。また、場合
き そ ん
ぶじょく
によっては刑事上の責任(名誉毀損罪/侮辱罪)を追及され、刑罰を受ける可能性も
あります。
しょうぞうけん
◆ 著作権・肖 像 権
文章や絵、アニメや漫画のキャラクター、新聞記事、写真、地図、音楽、ビデオ、
ソフトウェアなどの著作物は著作権法によって保護されています。私たちがこれらを
きょだく
複製、転載、改変したりする場合には著作権者の許諾を得なければなりません。例外
きょだく
として私的利用の範囲内に限り著作権者の許諾が不要とされていますが、インターネ
ットで公開される Web ページについては、「営利目的でなく個人として楽しみで作っ
ている」ものであっても「私的利用」とは認められません。インターネット上の Web
ページは世界中のどこからでもアクセスすることができ、多数の人に読んでもらうこ
とを目的に情報を発信しているものだからです。同様に電子メールでも大勢の人を対
象に送信する場合には私信とはいえません。
インターネットでの著作物の利用については以下のような利用が著作権の侵害にあ
たります。
a.他人の Web ページや電子掲示板に載っている文章や写真等を、無断で他のサイト
や電子掲示板に転載すること。
b.書籍、雑誌、新聞などの記事や写真を無断で転載すること。
c.テレビやビデオから取り込んだ画像やデータを無断で掲載すること。
d.芸能人や著名人の写真、キャラクターをまねて描いた絵の画像データを無断で掲
載すること。
e.他人が作成したソフトウェアやそれを改変したプログラムを無断で掲載すること。
f.音楽や歌詞またはCDなどから取り込んだデータを無断で掲載すること。
g.他人の電子メールを無断で掲載すること。
a〜gについては、著作権者の許可を得られれば正当に使用することができますが、
無償で許可を得られる場合もありますし、有償の場合もあります。また、許可自体を
得られない場合もあります。いずれにしても他人の著作物の使用を希望する場合には
必ず著作権者の指示に従いましょう。
また、自分自身が撮影した写真であっても、被写体本人の許可なく撮影したものや
インターネット上での公開について許可を得ていないものを公開した場合などは、
しょうぞうけん
ばいしょう
肖像権 の侵害として訴えられ損害賠 償 を請求される可能性がありますので注意しま
しょう。
◆ なりすまし・不正アクセス
他人のユーザーIDやパスワードを使ってその人になりすまし、電子メールの送受
信や商品売買等インターネット上のさまざまな活動を行うことを「なりすまし」とい
います。また、「なりすまし」やその他不正な手段を使ってアクセスを許されていな
いコンピュータに侵入し、データの改ざんやシステム運用の妨害などを行う行為を「不
正アクセス」といいます。
「なりすまし」や「不正アクセス」は犯罪行為であり絶対に行ってはなりません。
これら不正アクセス行為を防止するため、平成 12 年 2 月「不正アクセス行為の禁止等
に関する法律」が制定されました。
とくめい
インターネットは一見匿名で行動できるように見えますが、アクセスする毎に記録
が残ります。違法行為があった場合、そのコンピュータ上に残された記録を警察やプ
たど
ロバイダーが協力して辿っていくことで、いつどこの誰が行ったのかを容易につきと
めることができ、必ず捕まることになります。
● ネチケットについて
これまで述べてきたのはインターネットを利用する際に犯罪やトラブルに巻き込まれないた
かげ
めに必ず守らなければならない必要最低限のものばかりです。いわば、インターネットの「影」
の部分についての警告です。
しかし、インターネットが世界のどこからでも素早く情報を収集・発信できる非常に便利なコ
ミュニケーション手段であることも事実です。この素晴らしいコミュニケーション手段をみんな
で快適に利用していくために、一般社会にマナーがあるのと同じようにインターネットの世界に
もさまざまなマナーが存在します。これを「ネットワーク」と「エチケット」という2つの言葉
を組み合わせて「ネチケット」と呼んでいます。
ネチケットの基本は一般社会でのマナーの基本と同様「他人を不愉快にさせない」という一点
につきます。そのために一般社会生活上も必要とされる道徳的な約束事のほかに、インターネッ
トの世界特有の約束事もあります。
インターネットを取り巻く状況は現在も発展途上にありますから、それに関わるネチケットも
日々新しいものが生まれたり変化したりしています。最初からすべてのネチケットを身に付ける
ことは不可能ですが、まずは基本的なルールに留意しながらインターネットの世界に触れ、徐々
にさまざまなネチケットを学んでいきましょう。また、もし、ネチケット違反を指摘されたら、
丁重におわびし、その後同じトラブルを繰り返さないよう心がけましょう。
あいさつ
◆ 挨拶や言葉遣い
これは一般社会においてももちろん重要なことですが、特にインターネットの世界
においてはお互いの顔が見えず文字だけに頼ったコミュニケーションとなりますから、
通常の会話以上に言葉をよく選び、誤解や失礼のないように気を配る必要があります。
かんよう
また相手からのメッセージの表現についても寛容に受け入れ、すぐに感情的にならな
いようにしましょう。
◆ 相手側のコンピュータ環境への配慮
半角カタカナやマルつき数字、特殊な記号、JIS 規格にない字形等の特殊な漢字は
使用してはいけません。相手側のコンピュータの種類によっては正しく表示されない
も
じ
ば
(文字化け)だけでなく、インターネット上の他のコンピュータを誤作動させてしま
う可能性もあるからです。
<インターネット上で使ってはいけない文字や記号>
て ん ぷ
また、電子メールにファイルを添付して送る場合には、必ず相手方に確認をしてか
らにしましょう。ファイルの種類によっては相手が見ることができなかったり、受け
て ん ぷ
取れなかったりすることがあるからです。また、あまり容量の大きい添付ファイルを
送ることも、相手側の受信に時間がかかり、金銭的に迷惑をかける場合があるだけで
なく、自分のコンピュータや相手のコンピュータに異常をきたしてしまう可能性もあ
ります。
電子メールの送受信に使う「メールソフト」や Web ページを見るために使う「ブラ
ウザソフト」にはさまざまな種類があり、相手が自分と同じものを使っているとは限
りません。使用するソフトによって電子メールや Web ページの画面上での表示のされ
方が違ってくることがありますから、電子メールを送るときや自分のホームページを
公開するときには、相手が自分と同じ環境で見ているとは限らないという点に配慮し
て作成するようにしましょう。
◆ 宛先の確認
電子メールのアドレスは1文字違っても届きません。別の人に届いてしまい、秘密
にしたい内容が漏れる場合もあります。送信ボタンを押す前に必ず宛先の電子メール
アドレスを確認しましょう。メールソフトのアドレス帳や返信ボタンを使って自動的
に宛先を入力する際にも、別の人に送ってしまったり、返事をする必要のない人にま
で送ってしまったりすることがないよう注意してください。
また、電子メールにはC.C.(カーボンコピー)といって、多くの相手に対し同じ文
面を一斉に送信することができる便利な機能がありますが、この場合、送られた電子
メールの宛名欄に宛先の電子メールアドレスが全て記載されてしまい、アドレス情報
の流出につながる場合があります。宛先どうしが全て知り合いでない場合には、トラ
ブル防止の観点から、受け取った電子メールからは他に誰宛に同じ電子メールが送ら
れているのかを判別できないB.C.C.(ブラインドカーボンコピー)の機能を使って、
送信するようにしてください。
◆ チェーンメール・ダイレクトメール・いたずらメール
不特定多数の人に電子メールを送ることはサーバーに過度の負担を与え、結果的に
世界中のネットワーク利用者全体に迷惑をかけることになります。たとえ善意からの
もの(例:コンピュータウィルスについての警告、緊急輸血のお願いなど)であって
も、むやみに転送することで、結果的に電子メールの連鎖(チェーンメール)を引き
起こしサーバーに負担を与えたり、場合によってはパンクさせたりする恐れがありま
すから、友人などに知らせる場合であっても、転送する必要性をよく検討してから送
信するようにしましょう。
もちろん悪意や興味本位の電子メールを送信することは社会的にも許されないことです。
インターネットを利用する際の詳しい情報については、下記のサイトを参考にしてください。
◇ネット社会の歩き方【コンピュータ教育開発センター】
http://www.net‑walking.net/
◇インターネット利用ガイド【教育ソフト開発・利用促進センター】
http://www.edu.ipa.go.jp/kyouiku/internet/internet.html
◇ネチケット情報(ネチケットホームページ)【千葉学芸高等学校】
http://www.cgh.ed.jp/netiquette/
◇インターネットを利用する方のためのルール&マナー集【電子ネットワーク協議
会(現インターネット協会)】
http://www.enc.or.jp/enc/code/rule/
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