ⅩⅠ-4 マイコプラズマ感染症

ⅩⅠ-4 マイコプラズマ感染症
1 概要
原因
マイコプラズマ・ニューモニアエ
感染経路
飛沫感染、鼻咽頭粘液や気道分泌物に排出される
潜伏期
14~21 日
症状・臨床経過
頭痛・倦怠感
40℃
体温
治療開始
咳
胸痛
胸部 X-P 所見
病 日
発熱・全身倦怠感・頭痛などで初発。3~5 日後に咳が出現し徐々に強くなる。
解熱後も長く続く(3~4 週間)
。
呼吸器症状のほか皮疹が見られることもある。
合併症として、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋
炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など
多彩なものがある
診断
マイコプラズマ迅速検査+臨床症状・画像所見を総合的に判断
※ マイコプラズマ特異的 IgM 抗体は、一旦産生されると少なくとも半年間、
長ければ1年以上、血中に残存する。たとえ抗体が検出されても既往感
染による可能性を否定できない。擬陽性の場合も多く、結果の解釈には
注意する。
CF 法・PA 法
ペア血清:急性期と回復期の血清で 4 倍以上の抗体上昇
シングル血清:CF 法で 64 倍以上、PA 法で 320 倍以上
LAMP 法(咽頭ぬぐい液)
:感度特異度ともに高く診断に有用
治療
クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン
感染期間
症状出現後2~3週間
2 院内感染対策
(1) 飛沫感染予防策を行う。
① 個室管理による隔離を行う。
② 患者の1m以内の作業時や入室時サージカルマスクを着用する。
③ 患者の室外への移動は厳しく制限する。やむを得ず病室より出る場合はサージカルマス
クを着用する。
④ 備品を専用化する必要はない。
⑤ マイコプラズマ感染症患者同士は同じ病室で良い。
3 入院患者・職員に発症した場合
職員に発症!
入院患者に発症!
ICT または感染症科医師へ連絡
個室隔離
複数患者同室隔離
就業停止
(治療開始し
発熱のある期間)
当該部門と ICT の協議により実施
(1)接触者リストの作成・接触の程度のランク分け
対象:発症時から発症者と密接な接触や近くで会話をした人(同室者、職員、付き添
い、面会者、検査移動で明らかに当該患者と接触した他の患者、他部門の医療者)
(2)発症者と濃厚に接触した患者への対応
発症観察期間中、個室管理または接触者・既感染者と同室にし厳重な観察を行う。
(3)発症者と濃厚に接触した職員への対応
潜伏期・罹病期間から就業停止は現実的ではないと考える。
サージカルマスク着用の上、就業可能とする。自覚症状出現時は ICT へ連絡。
直ちに検査を行い陽性であれば治療を開始する。発熱がある場合は就業停止。
4 接触者の発症予防
有効な方法はない