「占冠大好き教育」の実践

平成28年度
北海道小学校長会地区活性化支援事業【実践事例レポート】
1 報告地区:上川
2 事例報告学校名:占冠村立占冠中央小学校
3 報 告 者
:校長 森野 憲仁
4 キーワード:コミュニティー・スクール~「占冠大好き教育」の実践~
1
はじめに
学校の概要
本校は,上川管内最南端にあり,日高山脈と
夕張山地に囲まれた盆地状の市街地に位置して
います。自然環境に恵まれ,94%が山林であ
り,現在自然環境から育まれた農産物や林産資
源の活用が検討されています。村は,少子化・
人口減少が続いており,子どもたちの育成が村
の存続に係る重要な課題となっています。そこ
で,将来の占冠を支える人材育成のため,子どもたちが村の自然環境の素晴らしさを認識
し,村に愛着をもつことが重要だと捉えました。そのため,コミュニテイー・スクールを
基盤として,学校教育や社会教育において「ふるさと学習」を充実させ,「占冠大好き」
という子どもたちの育成を目指した実践を進めています。
2 コミュニティー・スクールを基盤とした「占冠大好き教育」
(1)学校運営協議会で目指す子ども像の実現に向けた協議の充実
①学校運営協議会を定期的に実施する中,学校外における子ど
もたちの様子が話題となることが増えてきました。
②児童の学習や遊びの場としての学校づくり,地域づくりにつ
いて運営協議会の委員からの意見をもとに学校経営方針を作
成し,承認されることで,地域で学校を運営するという意識
が高まってきています。
(2)ふるさと学習の充実
「ふるさと学習」の充実のため,学校支援地域本部や公民館,社会教育が基盤とな
り,講師やボランティアが派遣され,次のような授業が展開されています。
①村木である「楓」から樹液を取るメープルシロップを題材とした学習では,1・2
年生が外部講師の指導により,学校裏の楓の木から樹液を採取する方法を見学する
とともに,採取した樹液に熱を加えて煮詰める体験をしました。
②化石の学習では,6年生全員が学校横のタンネナイ沢で,約1億年前に生息してい
たイノセラムスの化石を採取する活動をしました。
(3)三者連携協定~協力大学・企業との連携~
占冠村では,「占冠村」と「北海道大学」,「星野リゾート」の三者連携協定が結ば
れており,下記のような授業が展開され,子ど
もたちが地域の自然環境について学んでいます。
①「川の学校」では,水生昆虫のヒゲナガカワ
トビケラの採取により豊かな自然環境を守っ
ていくことの大切さを学んだり,川の水の流れを視覚化することにより,川の環境
を捉える授業が展開されたりしています。
②「雪の学校」では,積雪の深さの調査活動や雪の結晶のレプリカ作成などにより,
子どもたちが,普段目にしている雪について科学的な視点で学んでいます。
(4)管外の子どもたちとの交流~日高町通学合宿への参加~
①本村では,毎年,日高青少年の家での通学合宿に参加していま
す。道内唯一となる他管内の小学生と交流を図る通学合宿を通
して,子どもたちは,よりよい人間関係を築くことの大切さを学ぶとともに望まし
い生活習慣を身に付けています。
(5)アスペン市からの短期留学生との交流
①本村は,アメリカ合衆国コロラド州
アスペン市と姉妹提携しており,毎年,
中学2年生全員を対象にホームステイ
を中心にした短期の交換留学が実施されています。また,アスペン市からの留学生
の受入の際の,本校の児童との交流の中で,全児童が英語で自己紹介をし,英単語
を使ったゲームに取り組みます。子どもたちは,外国の人と積極的に交流しようと
する態度を身に付け,英語や外国に高い関心をもつようになっています。
(6)ICTの活用
①子どもたちの学力向上を目指して,実物投影機やタブレットを活用した授業改善に
取り組んでいます。練習問題や発展問題をタブレットを活用して授業や土曜学習,
長期休業中の学習サポートの場面で取り組んでいます。
3 コミュニティー・スクールの成果と課題
(1)成果
①学校運営協議会において,多くの意見を踏まえて全員で協議することができるよう
になってきている。
②学校,家庭,地域の連携が図られ,子どもたちは地域の方々に見守られながら将来
の夢や希望をもって学校生活を送っている。
③子どもたちが毎日,生き生きと登校し,学習意欲が向上してきている。
(2)課題
①子どもたちに一層,郷土を愛する心を育む学校経営を展開していくこと。
②家庭や地域と連携して,更なる地域の教育力向上につなげていくこと。
4
おわりに
コミュニテイー・スクールを基盤とした学校運営を進め
る中,占冠学びの十か条が作成されました。また,公民館
が主体となった子どもたちの学習環境が充実してきていま
す。具体的には,土曜学習や長期休業中の学習サポートに
ついても,コミュニティー・スクールを基盤として,公民
館が中心となり子どもたちの学習環境を充実させています。