1.社会・治安情勢 (1)ホンジュラス暴力犯罪研究所によれば、本年1月

1.社会・治安情勢
(1)ホンジュラス暴力犯罪研究所によれば、本年1月から6月までの間における殺人事
件は昨年比で微減しており、今年中の人口10万人あたりの殺人発生率は昨年の85.5
から若干低下するとの見方を示しているが、殺人や強盗といった凶悪犯罪は依然として高
水準で発生しており、治安情勢は厳しい状況が続いている。
(2)9月19日、ホンジュラス北部の麻薬組織の中でも勢力が強いとされるロス・カチー
ロス(Los Cachiros:米国財務省が麻薬取引及びマネーロンダリングを活発に行っている組
織として指定)の関連施設に対する大規模な捜索が行われたが、多額の現金や高級不動産
が差し押さえられ、またホンジュラス国内でも有名な企業が同組織の関連施設であったこ
とが判明し、同組織が潤沢な資金を背景に国内の麻薬取引等に大きな影響を与えているこ
とが明るみになった。一方でホンジュラス政府は軍警察や新たな特殊部隊等の創設により
治安回復に取り組んでいるものの、麻薬組織をはじめ、マラスといった犯罪組織の勢力は
依然として強く、治安回復には困難が伴うとみられる。
(3)8月頃から、テグシガルパ市等において、殺害後、死体をシーツに包んで路上に放
置したり、橋から死体を吊すといった、敢えて死体を公衆の目に晒す「みせしめ」といえ
る事件が相次いでおり、これらは犯罪組織間の抗争とみられているが、今後、抗争が激化
する可能性も排除できず、また本年秋に予定されている大統領選挙に伴い、政治絡みの犯
罪も増加する可能性もあることから、ホンジュラスの治安情勢には引き続き注意を要する。
2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)依然として犯罪組織間の抗争とみられる殺人及び怨恨が原因とみられる請負殺人が
多発しており、対象者だけでなく付近に居合わせた人々に対しても無差別に発砲する事件
も散発している。また、商業施設等の駐車場における短時間誘拐や路上及び公共交通機関
(乗り合いのタクシーやバス)内において、現金及び携帯電話等を狙った強盗殺人事件も
多発しており、これらの犯行の殆どに銃器が使用されている。中でも銀行等にて現金を引
き出した者を車両等で尾行し、銃器等で脅して現金を奪い取る強盗事件も散発している。
同種事件は邦人も被害者となっており、今後も散発する可能性が十分にあることから特に
注意を要する。
(2)邦人被害事案
テグシガルパ市内を車両にて移動中の在留邦人が、車両に乗った強盗団に前方を塞が
れ、銃器を向けられて金品を差し出すように要求され、所持金品を奪い取られた。
(3)邦人以外の被害事案
(ア)7月9日、テグシガルパ市内において、銀行で多額の現金を引き出した米国人男性
が、警察官の制服を着た強盗に現金を強奪され、犯人らはバイクで逃走したが、被害者は
犯人らを車両で追いかけた後、車両ごと体当たりして横転した。犯人らも転倒したがタク
シーにて逃走した。
(イ)7月26日、テグシガルパ市内において、銀行で多額の現金を引き出した女性が車
で移動中、強盗に襲撃され、現場付近にいた警備員が犯人らと撃ち合いになった。女性は
車で現場から逃げようとしたが電柱に衝突した。
(ウ)8月14日、サンペドロスーラ市において、銀行で多額の現金を引き出した男性が、
後ろをつけてきた男らに銃撃され、男性は付近の病院まで逃げ切ったが銃撃により負傷し
た。
(エ)9月28日、テグシガルパ市内の交差点で、歩行中の男性が、車で追跡してきた男
らから銃撃を受け即死した。
(オ)9月29日、テグシガルパ市内において、銀行で多額の現金を引き出した男性が、
車両で帰宅途中、強盗団の車両に前方を塞がれ、車両ごと強奪された。
3.テロ・爆弾事件発生状況
8月1日深夜、テグシガルパ市内の大統領私邸付近において、何者かが車両から爆発物
を投げ、警備小屋付近で爆発した(物的及び人的被害無し)。
4.誘拐・脅迫事件発生状況
日本人被害は無し。
5.日本企業の安全に関する諸問題
(1)ホンジュラスの対日感情は良好であり、日系企業を対象としたテロの可能性は低い
とみられるものの、強盗等の一般犯罪は依然として高水準で発生していることから、同種
犯罪に対する防犯対策の強化が必要である。
(2)6月13日付で当地の一部地域に対する渡航情報が更新されたが、
「渡航の是非を検
討」の地域(外務省 HP 渡航情報参照)については継続であるため、該当地域における業
務予定がある場合は、これまで以上に安全対策の強化及び現地治安情報の収集を行うこと
を勧める。(了)