米軍横田空域の一部削減にかかる書記長談話 10月27日、国土交通省は、横田空域の一部削減について米軍との合意に達したこと を明らかにした。 日本の航空交通量は、この20年で約2倍に増加しており、今後も羽田の新D滑走路整 備、成田のB滑走路延伸、関空Ⅱ期工事の進展によりさらに増大することが予測されてい る。また、オリンピックを控えた中国や経済的発展がつづいている韓国・東南アジアにお ける国際拠点空港の整備により、日本上空を通過する外国民間航空機も増加の一途をたど っており、こうした航空交通量の増大にともなう空域の過密化への対応は喫緊の課題とな っている。 しかし、一見広大に思える日本の空には、第2次世界大戦後の連合軍による占領政策以 来、米軍が管理する横田空域や岩国空域、レンジやウォーニングエリアなどと呼ばれる広 範な軍事訓練空域が存在し、効率的な航空交通流形成や一元的な空域管理の大きな障害と なるとともに、空域の過密化に拍車をかけ、ニアミスや遅延の遠因ともなっている。 これまで全運輸労働組合は、国民のための安全・安心な交通運輸行政をめざす視点にた って、こうした空域の問題点を指摘するとともに、日本国民にとって航空の安全を確保す る上では空域が貴重な資源であるという観点から、その有効利用を図るために、軍事空域 を削減・撤廃し、民間航空中心の空域・航空路再編をすすめ、国土交通省航空局による一 元的な空域管理を行うことが必要と主張してきた。また、パイロットをはじめとする多く の民間航空労働者も、安全で効率的な民間航空ネットワークを確立するためには、軍事空 域削減・撤廃が必須として、とりくみを強化してきた。 今回の横田空域の一部削減は、こうしたとりくみの成果であり、米軍軍事空域の全面返 還にむけた一歩として歓迎するものである。 その一方で、日本には岩国や、房総半島沖に設定されている軍事制限空域のR-116、 沖縄のウォーニングエリアなど米軍が管理する広大な軍事空域が存在している。また、一 部削減されるとはいえ、横田空域は南は伊豆半島から、北は新潟までの首都圏を含む広大 な空域を依然として占めることとなり、過密化した空域を解消する抜本的な対策となって いないことは明らかである。横田空域が全面返還されてこそ、航空の安全を阻害する過密 空域が抜本的に緩和されると言えよう。 全運輸労働組合は、安全で効率的な日本の空を確立するために、米軍が管理する空域を はじめ、すべての軍事空域の削減・撤廃を行うとともに、国民の貴重な資源である空域の 有効利用と民間航空中心の航空ネットワーク確立及び空域の一元管理にむけて、民間航空 労働者とともに引き続き奮闘するものである。 2006年10月27日 全運輸労働組合 書記長 安藤 高弘
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